【朝日新聞】社説:カジノ法案 「数の力」を振り回すな

12月6日朝日新聞の社説。『カジノ法案 「数の力」を振り回すな』より

 刑法の賭博罪にあたるカジノの解禁に道を開く法案が、きょうにも衆院を通過する見通しだ。自民党は14日に会期末が迫る今国会での成立をめざす。
 衆院内閣委員会の審議はわずか2日間、計約6時間にすぎない。自民党と日本維新の会などの賛成で採決を強行したが、党内に慎重論の多かった与党の公明党は賛否を決めきれず、自主投票に回った。
 ギャンブル依存症の増加や治安の悪化、青少年への悪影響、不正な資金洗浄(マネーロンダリング)に使われることへの懸念など、法案は数々の問題をはらむ。世論もむしろ慎重・反対意見の方が多い。
 それなのに、公聴会や参考人質疑といった幅広い意見を聴く手順を踏むこともなく、「数の力」で押し通そうとする。
 あまりに強引で拙速な進め方であり、衆参ともに圧倒的な議席数を握った安倍政権のおごりというほかない。
 法案は議員立法で、カジノの詳細な制度設計は、施行後1年以内をめどに政府がつくる実施法案に委ねている。
 例えば最大の懸案のギャンブル依存症対策はどうするのか。
 法案提出者の細田博之氏(自民)は、衆院内閣委で問われ、「大きな問題だ。政府に働きかけ、政府からも必要だと回答を得ている」と答弁した。
 国会は政府に「丸投げ」ということなのか。カジノ解禁を決める前に、まず国会で十分に議論すべき課題のはずだ。
 推進派はまた、カジノの収益の一部を依存症対策にあてればいいと主張する。だがカジノ解禁は新たな依存症患者を生み出しかねない。まさに本末転倒である。
 自民党の強硬姿勢の背景には首相官邸の強い意向がある。
 安倍首相はかねて「観光振興、雇用創出の効果は非常に大きい」とカジノ解禁に前向きだ。菅官房長官は先月下旬、「観光立国の観点で審議してほしい」と与党幹部に要請した。
 カジノ解禁がもたらす社会問題よりも、海外からの観光客の呼び込みなど経済効果を重視する政権の姿勢が浮かぶ。
 今国会では、年金改革関連法案に環太平洋経済連携協定(TPP)承認案・関連法案と、与党の採決強行が相次ぐ。
 衆参ともに単独過半数を握った自民党には、異論がますます届かなくなっているように見える。
 カジノ解禁は日本の社会に禍根を残すことになりかねない。「数の力」を振り回し、強引に通すようなことは許されない。


カジノ法案に関して、自民党の議会運営は問題があります。社説でも手順があらっぽいと批判しています。私もそう思います。

それとは別に、カジノ自体にも朝日新聞は反対のようです。理由は、ギャンブル依存症の増加、青少年への悪影響、マネーロンダリングに使われる、世論に反対が多い、などです。

それはそれでもっともなのですが、死刑制度に対する日頃の態度とはかけ離れているのが気になります。

死刑制度については、OECD加盟国で日本と米国だけが死刑をしている、とさかんに外国との比較していました。死刑制度について、外国との比較が大事なら、カジノについても外国と比較するべきです。

また、死刑に対して世論が肯定的なのは過小に評価しているのに、カジノ反対の世論は重視するというのも不公正です。

死刑反対でもカジノ反対でも、きちんとした理由を挙げているなら構いませんが、都合によって理由を使い分けるのは良くない態度だと思います。
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【ウルトラセブン】第四話:「マックス号応答せよ」

ゴドラ星人が登場します。

謎の連続海難事故を調査するため、ウルトラ警備隊のアマギ隊員とソガ隊員は地球防衛軍の原子力船マックス号で現地に向かいますが、不思議な力で宇宙空間に放り出されます。地球侵略を狙うゴドラ星人のたくらみでした。地球防衛軍の目を事故海域に向けさせて侵攻しようという作戦です。一方、地球ではモロボシ=ダンが、車の故障を装う女(実はゴドラ星人の変装)に騙されウルトラ・アイを奪われてしまいます。

この回の特徴はゴドラ星人が何人も出てくることです。いままでの宇宙人は、侵略しようというのに一人とかせいぜい二人だけでやってくるという人手不足感がありましたが、ゴドラ星人は侵略する気まんまんです。女の子に化けて男を騙しウルトラ・アイを奪うというのも、前回のピット星人(エレキングをつれてきた星人)から情報を得たのかと思えるほど用意周到です。

しかし、肝心の作戦は穴だらけです。

そもそも海難事故を頻発させて注意をそこに引きつけたいのなら、本当に船をそこに沈めてしまえばいいだけです。わざわざ宇宙に運ぶのは手間もかかるし、途中で目撃されるおそれもあります。なんの意味もありません。

また、ウルトラ・アイを奪ったのに気絶させたモロボシ=ダンを放っておくというのは、ピット星人と同じ間違いをしています。(本当にピット星人から学んだかどうかは知りませんが)

なお、ゴドラ星人は多勢登場したこともあってか、一人一人は弱いです。地球人にのされるくらいです。デザインはカッコイイのですが・・・・・・

【朝日新聞】イスラムと民主主義、誤解と理解

12月4日朝日新聞朝刊。「日曜に想う」のコーナー。今回は大野博人・編集委員の「イスラムと民主主義、誤解と理解」です

(略)
 1993年、米ハーバード大学のサミュエル・ハンチントン教授がフォーリン・アフェアーズ誌に発表した論文で「文明の衝突」が話題となった。これからはイデオロギーより文明間の対立の危機が増す、と指摘していた。その中に、イスラムを含め西欧以外の文明は、民主主義や市場経済といった価値観になじみにくい、という考えが示されていた。
 人口の9割ほどがイスラム教徒であるインドネシアのジャカルタに駐在していた私は違和感を覚えた。目の前で正反対に見える出来事が起きていたからだ。
 イスラム教徒の学生らによる公営宝くじへの反対運動だ。イスラムが禁じる賭けにあたるという理由だった。信徒は多くともイスラム法で統治している国ではない。庶民の楽しみに目くじらを立てる原理主義運動と見えなくもなかった。
 だが、実態は宗教運動ではなく社会運動だった。多くの貧しい人々が一獲千金を夢見てなけなしの金をつぎ込む。家庭崩壊の悲劇も後を絶たない。しかも、莫大な収益は独裁者スハルト大統領周辺の利権になっていると見られていた。
 学生リーダーらの考えは明快だった。
 「目指すのは、宗教上の教えの実現というより民主的な社会」「イスラムは運動の出発点として、あるいは参加者の連帯感を維持する上で役に立ちます」
 独裁政権下の民主化運動も、イスラムを前面に出せば弾圧をかわしやすい。イスラムは民主主義を後押ししていた。
(略)
 あれから四半世紀近く。インドネシアでも過激派がテロを起こした。最近はキリスト教徒であるジャカルタ州知事がイスラム批判をしたとして大規模な抗議デモが起きた。「知事を殺せ」という叫びも上がったという。何かが変わりつつあるのだろうか
(略)


公営宝くじの反対理由がイスラム教の教義からきていると理由を掲げているなら、それは原理主義運動に他なりません。独裁者に反対するための運動を宗教を隠れ蓑にしたのだ、というのが大野氏の解釈です。しかし独裁者の資金源が宝くじだけ、ということはないはずです。あえて宝くじ反対運動を展開したのは、イスラム教の教義が理由であることは間違いないでしょう。

学生リーダーは、目指しているのは民主的な社会であり、イスラム教は参加者の連帯感を維持するため、としていますが、彼らの目指す社会に非イスラム教徒の居場所があるようには思えません。非イスラム教徒は連帯感を持ちようがないのですから。

イスラム教徒だけであれば、民主的で平等で人権が尊重された社会が実現できるのかもしれませんが、非イスラム教徒に対してその原則は通じていません。だから、キリスト教徒であるジャカルタ州知事に攻撃的になれるのです。

「何かが変わりつつあるの」ではなく、何も変わっていないのだと思います。

【朝日新聞】フランス人の自画像

12月2日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。「憲法の価値を守るもの」という特集で、二人の識者の意見を聞いています。そのうちの一人、仏国務院副院長・ジャンマルク=ソヴェ氏の「世論や政権からの独立重要」を引用します。

なお、仏国務院というのは、かつては大統領がトップ(院長)でしたが、現在院長職はないそうです。つまり、副院長がトップです。話はそれますが、山形石雄のファンタジー小説「戦う司書」シリーズでバントーラ神立図書館のトップが館長代行だったことを思いしました。

 フランスの国務院の役割は、政府提案の法律が憲法や国際条約に照らして適当か否かを答申したり、行政裁判の最高裁として判決を下したりすることです。
 例えば昨年11月のパリ同時テロ直後から、政府は(令状なしで捜査できる)非常事態宣言を憲法に明記し、さらにテロ容疑で刑に服した重国籍者のフランス国籍を剥奪(はくだつ)しようと国務院に意見を求めました。私たちは政府に否定的な意見を出しました。非常事態は恒久的になってはならないし、国籍剥奪はテロにつながる直接の危険性があるなど重大なケースでしか検討されるべきものではない、と。
 国務院は行政の一部ですが、意見や決定は政府や議会から独立しています。さらに重要なのが世論からも独立していること。国務院の決定文書の冒頭は常に「フランス人民(国民)の名において」と書かれていますが、私たちが言う「人民」とは世論ではない。えてして世論は市民の自由の制限をもたらします。世論の熱狂や激情にくみしてはならない。私たちは歴史的に散々痛手を被ったはずです。
 20世紀の、とりわけ欧州の歴史を振り返りましょう。ナチスドイツは、世論が、人民を裏切る帰結を生み、私たちの基本的な価値を根こそぎ傷つけてしまいうることを教えます。かつてルソーは(共同体の意志としての)人民の意志を「一般意志」という概念で説明し、(個人の利害の追求の総和である)全体意志と区別した。
 私は憲法が尊重された中でつくられる法は、一般意志の具体的な表現だと考えます。だからこそ、憲法の価値が尊重されないといけない。それによって社会的な亀裂や緊張が取り除かれるのです。
 国務院は(憲法の)価値の尊重を通じて、社会に貢献しています。例えば今夏、私たちはイスラム教の女性用の水着「ブルキニ」の海岸での着用の禁止は、違法と判断しました。良心の自由や、海岸を行き来する自由など、人間の根本的な自由への侵害だ、と。
 仏憲法に明記されたライシテ(政教分離原則)は国家の中立性と良心の自由の保障を意味します。ブルキニ着用問題では世論の圧倒的多数が禁止を支持し、社会的な対立が起きていました。ですが、ひとたび国務院の判断が明らかになると、多くの人は「決定は正しい」と支持した。社会的な知恵として受け入れられたのです。
(略)


フランス人は認めたがらないかもしれませんが、フランスというのは結構権威主義的な社会なのだなあ、というのが感想です。

世論がつねに正しいわけではないというのはその通りだと思います。「ブルキニ」の着用禁止は違法(違憲?)だという仏国務院の判断も私は正しいと思います。

それはともかく、フランスの少なからぬ人たちが「ブルキニ」を着用禁止にすべき、と考えていたのに、ひとたびお役所が違法だ、と言ったとたんに、『多くの人は「決定は正しい」と支持した』のは、権威主義的社会だといわざるをえません。

エマニュエル・トッド氏は自著(これです)の中で、さかんにフランスを個人が自由な意思を持つ社会と規定し、権威主義的とされるドイツと対比していました。フランス人に限りませんが、往々にして、自画像は自分が見たいように見えるのかもしれません。

【ウルトラマン】第三十一話:「来たのは誰だ」

ケロニア登場

ボリビアに在住していた科特隊隊員が日本に帰国します。挙動不審のこの隊員、実は知性を持つまでに進化した植物人間ケロニアで、科特隊基地の壁の材質を探りに来ていました。

そして、飛行機の編隊まで繰り出し、人類に真正面から挑戦してきます。ケロニア本体もウルトラマンと結構いい勝負をするほどの強さです。スペシウム光線をものともしません。

興味深いのは、みんなが疑っている挙動不審の隊員(実はケロニア)をハヤタ隊員だけが全く疑っていないところです。こういうのは周りが信じないことを、主人公が慧眼で疑うというのが常道だと思いますが、ここでは逆です。

なお、今回初めて、地球産の知的生物が敵としてあらわれました。これまでの敵で宇宙から侵略してきた知的生命か、知性の無い怪獣です。

侵略する方とされる方では侵略する方が悪いので、第三者のウルトラマンが地球の味方になっても不思議ではありません。怪獣が暴れまわる場合も、知的生物同士ということで人類の味方になってくれたのかもしれません。

しかし、ケロニアは地球産の知的生物です。宇宙人のウルトラマンから見れば、人類とケロニアは等距離のはずです。にも関わらず人類の味方をした、ということは、やはりウルトラマンの意識は地球人であるハヤタのものと解するべきなのでしょうか。
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Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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