ニューズウィーク日本版2月16日号。「人生相談からアメリカが見える」のコーナーから引用します。
首都ワシントンの連邦議会議事堂乱入事件のニュースを見て、目を疑いました。私の19歳の甥が暴徒の中で南軍旗を振り、突入しようとしていたんです。
私はイギリス人のゲイ男性で、姉はずいぶん前にアメリカに移住しました。彼女はアメリカで保守派の説教師と結婚すると、途端に同性愛者を拒絶するようになりました。姉の一家が年に一度、母の元へ里帰りするときには私も一緒に食事し、必ず夫を同伴します。姉夫婦からは子供への「影響」が心配だと嫌みを言われます。
その姉からメールが来て、彼女の息子の裁判費用を出してほしいと頼まれました。甥は暴行罪で起訴されていたのです。無視しましたが、母まで「孫を助けてあげるべき」と言ってきました。母には失望しました。病気の彼女を支えてきた私に向かって「あんたがゲイだから孫が1人しかいないのよ」などと言うのです。母の本性が見えました。縁を切っていいでしょうか。---甥の愚行を恥じる男
今回は「アメリカが見える」だけでなくイギリスも見えてくる質問です。
この相談の最大の問題は、なぜ裁判費用を出すことを拒否しているのかが分からないことです。
最初に疑問に思った、なぜ姉夫婦は自力で裁判費用を出せないのか、ということです。年に一度一家でイギリスまで往復するというのはそれなりの資産か収入があるはずです。
この相談者も頼られるくらいですから、結構な金持ちなのでしょう。母親に頼まず弟に頼るというところから見て、家の資産ではなくこの相談者が自力で財産を築いたのだと思われます。
そこで、データとして必要なのは、
・「裁判費用」の総額
・お姉さん夫婦はいくら出すか
・お姉さん夫婦の資産・年収
・相談者に頼るのはいくらなのか
・相談者の資産や年収
です。
相談者にとって巨額な金を無心されて出せないのか、それほどでもないけど姉夫婦が十分に出していないからいやなのか、額の問題ではなくお姉さん夫婦が失礼な態度をとったから出したくないのか、それとも国会議事堂に突入するような馬鹿のためには何もしてやりたくないのか・・・・
相談者は、なぜ姉夫婦の依頼を断るのかをきちんと言語化しなくてはなりません。おそらく母親にもきちんと理由を伝えないのでしょう。
それはともかく、「あんたがゲイだから孫が1人しかいないのよ」というのは、そこだけ切り出せば「正しい」のかもしれませんが、同性愛者の息子に向かって言うのはちょっと酷です。いくら母親でも言葉を選ぶべきだと思います。