【朝日新聞】負の歴史を外国で話す

9月16日朝日新聞朝刊の投書欄。山口県の無職(71)の「未来のため負の歴史伝えよう」を読みます。

陶芸歴40年の私は12年前、中国の重慶市の美大で講演した。朝鮮の焼き物について説明した際、日本が戦前、朝鮮を植民地支配し、創氏改名や朝鮮語の使用制限など民族文化を破壊したことを話した。教室の雰囲気が一変し、学生たちの態度が変わった。授業後の感想文には、学生の多くが「日本人は誤りを認めず、謝罪しないと思っていたが、そうでない人もいることに驚いた」と書いた。
出版社「学び舎」の歴史教科書を採択した中学校が圧力を受けた。その中心にいるのは、日本が中国で行った南京事件などの虐殺行為をなかったことにしようとする勢力ではないか。
文部科学省も歴史教科書の検定で、日本の負の部分の記述を減らそうとしている。こうした動きが、中国政府による反日的な政策にも反映しているのではないか。
日本の子供たちが将来、中国や韓国で、日本の負の歴史を知らないまま振舞うと、よい結果が得られないことは明白であろう。
子どものたちのための歴史教育は、史実はそのままに伝え、知識を身につけ、適切に判断を下せるようにすることが大切だ。教科書検定もその点を考慮してほしい。


投書子があげた日本の歴史の個々についての議論はあるかと思いますが、日本が歴史のなかで悪いことを一つもしなかった、ということはありません。また、そうした事実を知って、必要があれば語れるというのも悪いとは思えません。

しかし、投書子には疑念を持ちます。

それは、外国で日本の悪を謝罪する自分に酔っていませんか、ということです。

焼き物の話をしにいって、なんで創氏改名やら朝鮮語の使用制限に言及するのでしょうか。秀吉時代に陶工を連れ帰ったという話なら分からないでもありませんが、投書子の話は焼き物とも中国とも無関係です。

無関係な話をして、“他とは違う立派な日本人”と呼ばれることに快感を得ているようも見えます。

だいたい中国人学生の反応が妙です。目の前で謝っている日本人を見たのだから、「日本人は誤りを認めず、謝罪しない」という仮説を撤回するのが普通です。しかし“たまたま例外の日本人がいた”と仮説の補強をしています。それは、投書子の、自分は数少ない良心的な日本人と見て欲しい、という意思をくみ取ったからではないでしょうか。

自分がやったわけでもないことを謝るのは心理的には楽です。だからこそ、その“謝罪”で自分が気持ちよくなっていないかを十分に内省すべきだと考えます。
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【朝日新聞】加熱式たばこは是か非か

9月14日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。「争論」のコーナー。テーマは「加熱式たばこなら?」です。大阪国際がんセンター特別研究員の大島明氏の意見を見ます。

 1980年代から禁煙治療に携わってきました。紙巻きたばこから、より害の少ない「加熱式たばこ」への移行を社会的に容認し、やめたくてもやめられない喫煙者に提示していくことは十分あり得ると考えます。公衆衛生の分野には、「ハーム・リダクション(害の低減)」という考え方があるからです。
 たとえば英国では、薬物注射の回し打ちで感染症が広がった際、薬物の撲滅に固執せず、感染拡大を食い止めるために注射針の無料交換を実施しました。現実的な対応で実を取る手法です。
(略)
業界大手のフィリップ・モリスは、加熱式たばこの蒸気は紙巻たばこに比べて有害物質が平均9割以上、少ないと発表しています。また英国の研究者の最近の推計では、平均的ユーザーの生涯発がん確率は、紙巻きたばこより加熱式たばこの方が2ケタ小さく。まだデータは少ないのですが、少なくとも紙巻たばこより健康への害ははるかに少ないと思われます。
(略)


「ハーム・リダクション」という言葉は初めて知りましたが、考え方としては納得のいくものです。

しかし、大島氏の議論には賛成できません。

第一に、加熱たばこの健康被害についてのデータがほとんどない状態なのに、紙巻きたばこより害が少ないと決め付けていることです。たばこ会社の研究発表はまゆつばですし、最近発明された加熱たばこの生涯発がん確率の推計ができるというのも疑問です。

百歩譲って、紙巻と加熱を同量の本数を吸った場合だと加熱たばこの方が害が少ないことを認めたとしても、これまでの紙巻きたばこの愛煙者が同量の加熱たばこで満足するとは限りません。ニコチンの少ないたばこに替えたら本数が増えた、というのと同じ現象がおきるかもしれません。

現実世界のなかで健康被害が減るかどうかは不明です。

第二に、紙面にも載っているデータですが、習慣的にたばこを吸う人の割合は、2003年の27.7%から、徐々に減り続け2015年には18.2%となっています。

特定個人に限定すれば「やめたくてもやめられない喫煙者」なのかもしれませんが、全体として観測すれば、たばこは十分にやめられる習慣です。

「ハーム・リダクション」は、すくなくとも煙草を吸う人の割合の減少が止まってから考えればいいことだと思います。

【朝日新聞】在日朝鮮人帰国運動に後悔する必要はあるのか

9月13日朝日新聞夕刊。『拉致家族を支援「罪滅ぼし」20年』。副題は「新潟の86歳、在日朝鮮人帰国運動を後悔」です。

(略)
。新潟市で呉服商を営んでいた小島晴則さん(86)は拉致被害者家族会結成前から家族を支援してきた。行動の根底には、在日朝鮮人の帰国運動に関わった経験への反省があるという。
(略)
 59~84年、在日朝鮮人ら約9万3千人が「祖国建設のため」として、新潟港から北朝鮮に渡った。小島さんは「新潟県帰国協力会」の事務局長。各地から集まる人々を船に乗せて送り出すのを手伝った。
 当時の日本社会は帰国運動に好意的で、小島さん自身、協力会の機関紙「新潟協力会ニュウス」で「すばらしい国朝鮮」などと記事を書いた。
 しかし64年に北朝鮮を初めて訪れた際、人々の生活の貧しさに驚いた。北朝鮮当局が知人の帰国者に会わせてくれないことに違和感が膨らみ、運動から手を引いた。
 やがて、北朝鮮に渡った帰国者や日本人妻から援助を求める手紙が届くようになる。「一度だけ助けると思って援助して下さい」「お願い聞いて下さい。古着、ハギレ、なんでもいいです」――。小島さんは帰国運動で、新潟港から船で発つ人々を撮影していた。改めて写真を見て、悲壮な表情の人も少なくなかったことを思い出した。
(略)


終戦後、朝鮮の人たちが独立を果たした自国に戻ろうと考えたのは不思議ではありません。それに協力した日本人が後悔するというのは私にはよくわかりません。

日本人協力者はあきらかに好意から協力しています。北朝鮮の生活が貧しかったとしても、それは北朝鮮政府と北朝鮮人の問題に過ぎません。帰国後のことは自己責任で頑張ってもらうしかありません。

むしろ、帰国したいというのを邪魔したとしたら、そちらの方が問題です。

在日朝鮮人に対する保護者意識みたいなのがあるのかもしれませんが、私にはさっぱり理解できない感情です。

【朝日新聞】テレビ局の言論統制?

9月9日朝日新聞朝刊『情報番組を政治的発言で降板? 出演者の「告白」が拡散』

 番組の責任者から発言内容の修正を求められていた――。日本テレビ系の情報番組を降板するコメンテーターのこんなツイートが話題になっている。真相がはっきりしないままメディア不信が広がり、言論空間が細ってしまう、と危惧の声も出ている。
 このツイートをしたのは評論家の宇野常寛氏(38)。自らのツイッターで8月31日、出演する朝の情報番組「スッキリ!!」を9月で降板すると公表。政治的発言が理由でトラブルになったことを明らかにし、投稿へのリツイートは2万件を超えた。
 宇野氏はツイッターで、日中戦争中の南京事件に否定的な本を置いていたアパホテルについて、1月19日の放送で「歴史修正主義だ」と批判したことを紹介。その結果、「(日本テレビに右翼の)街宣車が押し寄せ」たため、番組側が問題視したのではないかと主張した。ユーチューブにも自ら説明する映像を投稿し、「僕は事実上のクビだと解釈しています」などと約30分語った。
 宇野氏は朝日新聞の取材に対し、3月2日の森友学園問題についての打ち合わせで、「(番組内で)安倍政権のナショナリスティックな言動を批判する」と予告したところ、当時のプロデューサーから発言内容を修正するよう求められたとも主張している。
 プロデューサーは理由として、「政治的公平」を定めた放送法を挙げたという。宇野氏は、修正の要求について「別のスタッフから、1月の『歴史修正主義発言』が番組上層部の怒りを買ったことが原因、と聞いた」と語った。それ以降も、コメントをめぐって「何度か摩擦があった」という。
 日本テレビは朝日新聞の取材に対し、「番組の制作過程に関する詳細についてはお答えしていない。10月期の番組リニューアルに伴う通常のコメンテーターの交代。交代される方は他にも複数いらっしゃる」としている。(湊彬子、滝沢文那、高久潤)


新聞でも雑誌でも有識者に寄稿を求めたり、短いコメントをお願いしたりすることがあります。しかし、これらは編集のチェックを受けて紙面に載ります。一定スペースを好きなように書かせるということはないはずです。

またどの有識者に意見を求めるかも編集部が気をもむところです。何を言い出すか分からない人間にテキトーに依頼したりしません。

これらは編集権の行使です。これで「言論空間が細ってしまう」と心配するのは的外れです。

テレビの生放送では事前のチェックができませんから、発言の方向を確認するのは当たり前だと思います。

テレビ局の上層部の「忖度」でリベラルな意見が言えなくなっているという印象を与えようとしているのでしょうが、かなり無理があります。

【朝日新聞】北朝鮮は立ち止まらない

9月6日朝日新聞朝刊。北朝鮮情勢について。慶応大学名誉教授(朝鮮半島政治が専門)の小此木政夫氏の「まず立ち止まり、意思疎通を」です。

 「大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載可能な水爆実験の成功」という発表が事実なら、北朝鮮の瀬戸際外交の挑発能力は格段に強まるだろう。
 8月、北朝鮮は中距離弾道ミサイル「火星12」でグアム島周辺に一斉攻撃すると脅しをかけた。今後は、米本土も射程範囲に収めるとされるICBM「火星14」と水爆による新しい挑発が可能になる。事態は非常に危険な段階に入った。
 問題は米国と北朝鮮の意思疎通が不十分で、誤解や誤算ばかりが生じていることだ。日米韓は国連の制裁強化に動くが、今は双方がまず立ち止まり、意思疎通を図るべきではないか。対話が成立しなくても、立ち止まることに意味がある。
 一方で、北朝鮮が核・ミサイル開発を続けることで、現在の構図を変えてしまう可能性もある。北朝鮮は今回の核実験の結果を受けて、近く核搭載可能なICBMの試射を行うはずだ。核・ミサイル開発の完了を宣言すれば、中国とロシアは既成事実として承認に向かうだろう。核保有国と認められればミサイル発射などの挑発は不要になる。北朝鮮の核武力保有を前提とした、新たな対話が模索される段階になる。
 (聞き手・石橋亮介)


言ってることがよく分かりません。

現在の状態で双方が立ち止まることが大事と言いながら、北朝鮮が核・ミサイル開発を推し進めれば核保有国と認められ新たな段階に入ると言っています。

小此木氏の言うとおり、北朝鮮としては核保有国として認められたいのですから、現時点で「立ち止まることに意味」はありません。先に国際社会が制裁を止めたって北朝鮮は立ち止まらないでしょう。

北朝鮮が核・ミサイル開発を止めれば、双方立ち止まります。しかし北朝鮮を静止する具体的方法がないからみんなが困っているのです。
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えいび

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日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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