【朝日新聞】獣医学部の設置について

5月25日朝日新聞朝刊。「いちからわかる!」のコーナー。『「国家戦略特区」に新しい獣医学部?』より

新しい獣医学部を認可したことに総理への忖度があったのなかったのと騒ぎになっています。朝日新聞の「いちからわかる!」のコーナーで、ニュースの前提となる「国家戦略特区」についてQ&A形式で解説しています。

(略)
 A 原則として学部をつくるのは大学の自由だけど、医学部や獣医学部などは医師や獣医師らの増えすぎを抑えるために文科省が認めてこなかった。だから特区に限って認めるように緩和したんだ。医学部も特区で認められ、千葉県成田市に今春、国際医療福祉大医学部が開学したよ。
 ア 特区や規制緩和の課題は?
 A 規制には健康や安全を守るために必要なものもあって、単に緩めたり、なくしたりすればいいというものではない。特区で規制緩和をする場合、そこで事業ができる一部の企業や団体だけが利益を得られるケースも出てくるので、事業者を選ぶ過程には透明性が求められるんだ。(岡崎明子)


そもそも、医師や獣医師が増えすぎるのを文科省が抑える理由がわかりません。

役所がやるべきなのは、最低限の知識を有していることを確認するための免許を発効することで、知識があるなら何人でも免許を発効すべきです。免許発効をきちんとしていれば、「健康や安全を守る」ことはできます。

増えすぎたら競争が強まって、腕の悪い医師や獣医師は淘汰されるだけのことで、これはどんな職業でも起こりうる自由競争です。医師や獣医師が自由競争からまぬかれていい理由はありません。

おそらく医師と獣医師が規制することを望んでいるのでしょう。単に、競争があるのがいやだからです。

学部の設置を大学の自由にやらせるべきと考えます。
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【朝日新聞】「まともな投資家」とは?

5月20日朝日新聞、金融・経済面。「経済気象台」のコーナーは「行き過ぎの株主優待」です。なお、この経済気象台は「この欄は、第一線で活躍している経済人、学者ら社外筆者が執筆しています」というもので、作者はペンネームで書いています。実名は分かりません。

 株主優待を設ける企業が急増している。大手証券会社の調べでは2月末で1370社超、上場企業の約35%と過去最多だ。株主優待がテーマの催しは大盛況。関連情報はネットにあふれ、書店には専門のコーナーも出るほどだ。
 株主優待は一定数以上の株式をもつ株主が受けられるサービスで、もともとは個人株主への利益還元だ。優待に着目する個人株主は長期保有が70%、短期売買は10%に満たないという調査もある。新たな安定株主を求め、一定期間以上保有している株主をさらに優遇する企業も急増中で、この3年間に174社が採用、290社に迫る勢いだ。
 行き過ぎも目立つようになってきた。まず、株主の手を離れて金券ショップやネットで売買される外食・航空・交通系企業の優待券の増加。次に、株主の名前が確定する決算月に、現物株の買いと借り株による売りを同時に行う取引の横行。株式を保有せず、株主名簿に名前を残す「ぬれ手であわ」のもくろみだ。
 最近の定番はクオカードや商品券の支給で、自社製品をもたないサービス業や製造業に多い。この11カ月間に株主優待を新設した96社のうち、57社がこのタイプだった。金券などは事実上の現金で、株主優待と配当金1円増のどちらがいいのか悩む企業も少なくない。まともな投資家ならこんな事態をいつまでも見過ごすはずがない。
 株主優待を株式投資のリターンとしてとらえる風潮は終わりにすべきだ。株主に企業を身近に感じてもらいたいなら、自社製品やサービス、あるいは本社・工場・店舗の見学会など、企業をリアルに体験してもらう方法もある。すべての株主の気持ちに沿った対応を大事にしたい。(象)


株主優待の(活用方法として)行き過ぎの例としてあげているのは、金券ショプなどでの転売と買いと売りを同時に行う「ぬれ手にあわ」手法です。

金券ショップに売ることがなんで問題なのか分かりません。株主のために送ったものなのですから、自分で使おうが友達にあげようがお金に換えようが、株主の勝手であり、会社の不利益になるものではありません。株主が感謝するという目的にあっています。

「ぬれ手にあわ」手法は、瞬間的に株主になっているだけなので株主優待の目的に合致しないというのは同意します。しかし、こうした行為が問題になるほど蔓延しているとは思えませんし、これを理由に株主優待をやめろというのは、生活保護を不正受給している人がいるから、生活保護制度をやめろ、と言っているのと同様です。不正受給ができない仕組みを考えるのが本筋です。

「まともな投資家ならこんな事態をいつまでも見過ごすはずがない」という意見にはまるで同意できません。

株主優待で潤うのは、1000株とか100株といった少額株主です。

百万株の大株主への優待が100株株主への優待の一万倍ということはありません。せいぜい10倍だったり、場合によっては同じだったりもします。したがって一般の株主優待は少額株主に有利な制度となっています。

ゆえにこのコラムでは大株主を「まともな投資家」と言いたいようです。しかし、私には少額でも長期にわたって保持してくれる投資家が「まともな投資家」のように思えます。

【朝日新聞】(多和田葉子のベルリン通信)歴史の輪郭、ぼやける怖さ

5月19日朝日新聞朝刊の「文化・文芸欄」。「多和田葉子のベルリン通信 歴史の輪郭、ぼやける怖さ」

(略)
 今ドイツ社会が揺らいでいるのは、難民を受け入れたからでもテロ事件が起こったからでもない。保守も革新も同意していた歴史の輪郭が次の世代に伝わりにくくなってきたからだ。ナチス政権が人種、思想、宗教を理由に差別、迫害、殺人を行ったこと、言論の自由を侵害したこと、ナショナリズムを煽って侵略戦争を行ったことは、どんなに政治的立場が違っていても一応みんな認めてきたはずなのに、それを平気で否定するような演説が現れ、支持者を得るようになってきた。
(略)
 マクロンが選挙戦の最後に声をからして強調していたのは、ヨーロッパが連帯することがいかに大切かという一点だった。フランスはマクロンを選んだというより、EUを選んだのではないかと思う。今のEUには改善すべき点もあるが、今の世界を見渡すと民主主義の砦として頼りになるものが他に見あたらない。ウクライナ問題に関してプーチンを支持するマリーヌ・ルペンがヨーロッパへの期待を裏切る存在として見られても仕方がない。
 EUを選ぶことはナショナリズムにノーを唱えることであり、第二次世界大戦のような惨事を二度と繰り返さない、という決意の表れでもある。そのためには、第二次世界大戦がどういう戦争だったかという認識を共有する必要がある。もしも、わたしを乗せたタクシーの運転手のように、広島に原爆が落ちたという事実さえ認めない人間が増えていくようなことがあれば、わたしたちは携帯を見ながら運転するドライバーの車に乗せられた客と同じで、大変危険な未来に突入することになるだろう。


EUが「民主主義の砦として頼りになる」というのは考えられません。EUの意思決定は市民や市民の代表によってではなく、EU官僚によって行われています。EU自体が民主主義的に運営されていないのに、何で民主主義の砦になるのでしょうか。

EUが第二次世界大戦の悲劇を繰り返さないために生まれたのは事実ですが、現在のEUが欧州での戦争を防止しているというのは言いすぎです。英国がEU離脱を決めた際に、経済的影響を懸念する声はありましたが、英国とEUが戦争になることを心配する声はありませんでした。

ドイツでは戦後、立場の違いはあっても一応にホロコーストを反省してきたが、近年それを否定する声が出てきて「今ドイツ社会が揺らいでいる」、というのも嘘臭いです。本当に今までのドイツ人が一応にホロコーストを認めていたのなら、ホロコースト否定論を法律で禁止する理由がありません。昔から、一定数のドイツ人は戦争中のドイツを肯定してきたのだと思います。

多和田氏の態度は、民主主義とは正反対のものです。意見に反対な人を、愚かもの、歴史修正主義者、反民主主義者、といわんばかりに罵るだけで、真摯に議論を戦わせようとしません。もしかしたら説得する理論なんて持ち合わせていないのかもしれませんが。

【朝日新聞】ニュースをどんどん忘れる私たち

5月17日朝日新聞夕刊。「思考のプリズム」のコーナー。映画作家・想田和弘氏の「ニュースをどんどん忘れる私たち 乗っ取られる注意力」より

(略) 
 思えば近年、ニュースの循環サイクルはあまりにも短い。例えば野党は今も「森友問題」を国会で追及し続けているが、「森友ネタ」に対するメディアや人々の食欲は、一時に比べて格段に衰えている。森友問題に、なんとなく飽きてしまったからであろう。
(略) 
 「人の噂も75日」という諺がある。人間が忘れっぽいのは昔からなのだろう。だけど今や75日も覚えているなら長い方である。報道機関は読者や視聴者に飽きられるのを恐れて、どんどん古いネタを捨てて新ネタに乗り換える。忘却のスピードは加速するばかり。悪循環である。そういう僕もそのスピードに絡め取られている。
 マイクロソフト社の研究によれば、人間の集中力の持続時間は2000年には12秒あったが、13年には8秒に落ちたそうだ。金魚の集中力は9秒だそうで、それよりも短い。
(略)
森友問題への注意をそらすために「北朝鮮危機」が過剰に演出されたと疑うのは、穿ち過ぎだろうか。いずれにせよ、私たち自身が短気になり集中力が細切れなので、容易に乗っ取られてしまいかねない。
 人類は「より速く」を求めて技術革新を進めてきた。しかし私たちが最も警戒しなければならないのは、もはや物事が進むスピードの「遅さ」ではなく、「速さ」なのだと思う。


もっともらしいことを言っているようですが、論にアラがあります。

メディアは常に新しい話題を求めているのは事実ですが、それはメディアの本質が「ニュース」だからです。新しいネタがなければ報道は縮小されます。たまに調査報道的に特集が組まれることもありますが、新事実がなければ紙面や時間を費やすことはありません。

読者・視聴者側に「飽き」がくることはありますが、忘れたわけではありません。そもそも、忘れることと飽きることは両立しません。

マイクロソフトの研究は、人の集中力の話であって、忘却とは無関係ですし、人が同じ話題に飽きるということとも無関係です。

飽きるということと、忘れるということと、集中力ということを、区別せずに議論しています。

『森友問題への注意をそらすために「北朝鮮危機」が過剰に演出されたと疑うのは』想田氏の思い込みに過ぎません。

政府がテレビ局や新聞社に、北朝鮮の話題を多く扱うように働きかけたというのは無理のある想像です。そんなことをすればどこかのマスコミが政府の要請をすっぱ抜くはずです。陰謀論者の妄想じみています。

【朝日新聞】「沖縄」に関するフォーラム

5月14日朝日新聞朝刊オピニオン欄。「フォーラム」のコーナーのテーマは「沖縄」です。

 本格化するアメリカ軍基地の移設工事を巡り、沖縄県と政府の対立が続きます。県内移設や基地そのものの必要性、基地が沖縄に集中する状況について尋ねた朝日新聞デジタルのアンケートには、開始1週間で2200を超える声が寄せられています。沖縄と「本土」の温度差、基地問題を伝えるメディアについての意見を、紹介します。


アンケートは二問で、結果は次の通り。グラフが添付されているので書き写しました。数字は回答数で、左が「沖縄県」右が「沖縄県以外」の人です。

沖縄のアメリカ軍基地について、あなたの考えに一番近いのは?
日本の安全に不可欠で、沖縄の負担はやむを得ない 66 270
日本の安心につながっているので維持したほうがいい 30 39
どれだけが必要か検証し、減らせるものは減らしていくべきだ 51 179
沖縄の犠牲にしてまで必要だとは思えない 103 607
日本の防衛のために役立っているとは思えず、なくしていくべきだ 87 725
その他 10 47

沖縄の基地負担を減らすため、「本土」で基地を引き取るべきだという考えについてあなたは?
現在の規模は必要なので、「本土」でも引き取るべきだ 25 95
減らせる基地は減らし、「本土」でも引き取るべきだ 161 727
基地そのものを減らすべきで、「本土」でも引き取るべきではない 80 739
基地は沖縄に置くべきで、「本土」が引き取るべきではない 49 142
その他 32 164

回答者の内訳
属性質問で「沖縄県」を選んだ 347人
「沖縄県以外」を選んだ 1867人



ひどく分かりにくいです。

沖縄と「本土」の温度差を確認したいという意図はわかります。しかし、回答者の数は違うので実数を並べても、どのくらいの温度差なのかはっきりわかりません。

そこで、それぞれの地区で何パーセントがその回答を選んだのかを計算しなおしました。

沖縄のアメリカ軍基地について、あなたの考えに一番近いのは?
日本の安全に不可欠で、沖縄の負担はやむを得ない 19.0% 14.5%
日本の安心につながっているので維持したほうがいい 8.6% 2.1%
どれだけが必要か検証し、減らせるものは減らしていくべきだ 14.7% 9.6%
沖縄の犠牲にしてまで必要だとは思えない 29.7% 32.5%
日本の防衛のために役立っているとは思えず、なくしていくべきだ 25.1% 38.8%
その他 2.9% 2.5%

沖縄の基地負担を減らすため、「本土」で基地を引き取るべきだという考えについてあなたは?
現在の規模は必要なので、「本土」でも引き取るべきだ 7.2% 5.1%
減らせる基地は減らし、「本土」でも引き取るべきだ 46.4% 38.9%
基地そのものを減らすべきで、「本土」でも引き取るべきではない 23.1% 39.6%
基地は沖縄に置くべきで、「本土」が引き取るべきではない 14.1% 7.6%
その他 9.2% 8.8%


意外にも沖縄県の人の中に、米軍基地を「沖縄の負担はやむを得ない」「維持したほうがいい」と考える人が19.0%、8.6%と、「本土」より多いことがわかります。また、沖縄に基地を維持したい(「本土」に持っていってほしくない)という人も14.1%で、「本土」の人より多くなっています。

もちろん、基地負担を減らすために「本土」に持っていって欲しいという意見も「本土」以上にありました。(7.2%+46.4% vs 5.1%+38.9%)

「本土」側の特徴は、『基地そのものを減らすべきで、「本土」でも引き取るべきではない』という意見が39.6%で、沖縄を大きく上回っていることです。

ここから、「本土」の人が冷たく沖縄を差別しているために基地を押し付けている、という見方は一面的ではないかという疑いが生まれます。そうではなく、沖縄県民は安全保障や基地について真面目に考えているが、「本土」の人たちは多分に空理空論的なのではないでしょうか。

ただし、この数字はランダムに選ばれた人を対象にした世論調査とは異なり、自発的に回答するアンケートです。ゆえに、意見を言いたい人たちが回答を寄せていますし、おそらく実際よりも行儀のいい意見が多いと思われますので、その点を留意する必要があります。

なお私は、当面は「どれだけが必要か検証し、減らせるものは減らしていくべき」で「減らせる基地は減らし、「本土」でも引き取るべき」、しかし長期的には外国の軍隊の駐屯はやめるべきと考えています。
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えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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