【朝日新聞】不破哲三氏のインタビュー

11月17日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。日本共産党前議長不破哲三氏のインタビュー。テーマはロシア革命100年です。

(略)
 ――ロシア革命の功罪のうちの「功」ですね。では、「罪」はどうでしょうか。
 「ソ連が積極的役割を果たしたのは革命後の短い期間、レーニン(1870~1924)が指導した時期でした。それをどんでん返しにしたのがスターリン(1879~1953)です。晩年のレーニンはスターリンの大国主義など危険性に気づいて闘争を開始したが、その途中で病に倒れた。スターリンは、一連の内部闘争を経て30年代には共産党と政府の絶対的な支配権を握り、社会主義とは本来無縁の独裁者になってしまった」
(略)
 「スターリンは、第2次世界大戦でヒトラーを破ったが、戦争の始まる瞬間まで、ヒトラーと組んで世界を再分割する夢に酔っていた。戦争の時期にも、大国主義の野望は捨てない。東欧を支配し、対日参戦の条件に領土を要求する。今の中国にもその危険があるが、過去に覇権を握った歴史を持つ国は、新政権ができても大国主義が復活しやすい」
(略)
 ――不破さんは日本政治の変遷を見てきました。政治はどう変わりましたか。印象に残る人物は。
 「80年に一部の野党が『共産党を除く』という原則を唐突に打ち立てました。戦前の抑圧とは違うが、共産党排除という異様な政治体制が34年続きました。それ以前はマスコミでも、ひとつの政党として自然体で見られていました」
(略)
 ――今回の総選挙で共産党は大幅に議席を減らしました。過去にもブームがありましたが、ある地点で壁にぶつかります。
 「日本共産党が前進したときには、必ず反攻作戦が組織されるのが、戦後政治の一つの特徴で、先ほどの『共産党を除く』の壁もその代表的な一つでした。それに負けないで前進する条件をつくってきたのが、私たちの歴史だった。今度の党自身の後退は、『市民と野党の共闘』をめぐる状況の突然の変化の中で起こったことで、『壁』の再現とは位置づけていません」
(略)
 ――共産党という名にアレルギーがある人もいます。より広い層に訴えるために党名変更すべきだ、という議論があります。
 「いわゆるアレルギーの大もとには、いろいろな誤解があります。例えば、ソ連型、あるいは中国型の社会を目指している、という誤解。今度の選挙戦の教訓からも、そういう誤解を取り除いてゆく日常的な努力を全党を挙げて強めるつもりでいます。日本共産党は、戦前から95年、この名前で活動してきたが、将来的には、21世紀から22世紀をも展望しながら、日本に理想社会をつくるために活動する政党です。党名には、その目標が体現されています。誤解を取り除く本格的努力をしないで、名前だけ変えて当面を糊塗するといったやり方は、日本共産党の辞書にはありません」



ソ連がひどい国だったのはスターリンが悪いのだというのは、その通りかもしれませんが、私の知る限りソ連以外でも社会主義国家のすべてが為政者への批判を許さない政権でした。

スターリンが悪いからとか、「過去に覇権を握った歴史を持つ国」が悪いとかいうだけでは理屈に合いません。

社会主義や共産主義に問題があると考えるのが自然です。


日本共産党が逆風にさらされてきた原因を、自民党が悪い、他の野党が悪い(それも真実かもしれませんが)、と他に責任を求め、自分たちに非はなかったのかと反省しない姿はそれこそ”スターリン”です。


日本共産党の支持が広がらないのは、外国の社会主義国家のせいとばかりは言えません。日本共産党の党首がどうやって選ばれているのか不透明なことにも原因があります。公明党も不透明なのですが、彼の党の場合は宗教団体がバックにいてその意向で党首が決まっているというのが、良し悪しは別として了解できます。

その点、日本共産党はどういう基準で党首が選ばれているのか全く見えません。万一、日本共産党が政権を獲ったら、この不透明な人事がまかり通るのが見えています。

こういう不透明さというのが、外部の人間には気味悪く映っているのです。


不破哲三氏の肩書はこの記事によれば、日本共産党前議長です。あくまで前です。その人が「そういう誤解を取り除いてゆく日常的な努力を全党を挙げて強めるつもりでいます」って言うのは普通の市民、なんらかの組織の属したことのある市井の民の感覚からすれば変です。


日本共産党の悪口を書きましたが、時々良いことも言っている政党だと思いますので、まったく排除したいとは思いません。今の規模くらいで頑張っていただきたいと思っています。
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【朝日新聞】ラストベルトの復活は

11月15日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。米トランプ大統領誕生の理由の一つである米中西部のラストベルト。その中で米民主党委員長として民主党の衰退を危惧していたデビッド・ベトラス氏のインタビューです。

(略)
 ――かつて民主党を支持した労働者はなぜトランプ氏に流れた?
 「民主党はブルーカラー労働者の暮らしを以前ほど気に掛けなくなった。少なくともそれがこの街の労働者に残した印象です。
(略)
 ――今後、どう変えるべきか?
 「配管工、美容師、大工、屋根ふき、タイル職人、工場労働者など、両手を汚して働いている人に敬意を伝えるべきです。高等教育が広がっていても、多くの人は学位を持っていない。重労働の価値を認め、仕事の前ではなく、後に(汗を流す)シャワーを浴びる労働者の仕事に価値を認めるべきです。彼らは自らの仕事に誇りを持っている。しかし、民主党の姿勢には敬意が感じられない。『もう両手を使う仕事では食べていけない。教育プログラムを受け、学位を取りなさい。パソコンを使って仕事をしなければダメだ』。そんな言葉にウンザリなんです」
(略) 
 ――とはいえ、かつての製造業をラストベルトに戻すのは容易ではないと多くの人が言います。
 「そんな言葉は候補者の口から聞きたくないんです。労働者の再教育という訴えも何度も聞かされた。今さらプログラミングなんてできませんよ。そんなメッセージは響かない。なぜ労働者のための政策を実施すると訴えないのか。インフラ整備は代表例。古びた橋や道路を補修すれば多くの雇用になる。彼らは汗を流して自分の腕で稼ぎたがっているんです」
(略) 


米民主党は労働者を向いていなかったからトランプに負けた、という分析です。

ブルーカラーがホワイトカラーに反乱を起こしたとみることもできます。まだ民主党で頑張っているベトラス氏の中にさえ党のエリートへの敵意を感じます。

気になったのは、俺たちはブルーカラーだからプログラミングの勉強なんかしたくない、と言わんばかりの態度、勉強を拒否する姿勢です。

ブルーカラーといえども、例えば50年前の労働者が使わなかった道具を現在は駆使しているはずです。世の中の変化にしたがって徐々に自分を変えていくのは当たり前で、”今さらプログラミングなんてできません”などと言っているようでは、ラストベルトでの製造業の復活というのは難しいのではないかと思います。

【朝日新聞】「世界で稼ぐコンテンツ」

11月11日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。「世界で稼ぐコンテンツ」と題して、日本のアニメ・漫画などの海外展開について識者の意見を聞いています。その中の一人で、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を手掛けた映画・舞台プロデューサーの福原秀己氏の話です。

 コンテンツの輸出とは、単に作品を海外に伝えるのではなく、価値を「運用」して最大化していくことです。ところが日本ではコンテンツで稼ぐと言うと、国内の人気作品にちょっとしたローカライズ(現地化)を加える「翻訳」のようなイメージで受けとめられがちです。原作を100%と考え、いかに価値を減らさないか。まるで伝統芸能の継承のように考えられています。
 私は、2004年から集英社と小学館の海外展開を担う米企業の幹部になり、10年ほど、アメリカで輸出に携わりました。14年にトム・クルーズ主演で公開された映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は日本のライトノベルが原作で私が仕掛けた作品です。
 幸い商業的に成功しましたが、学んだことがあります。「メジャー」にしたいのならハリウッド側の論理を理解し、どう原作の価値を発展させるか。つまり異なる立場の意見を吸収し、利害を調整しながらコンテンツをゼロから作り直す必要があるということです。実際、「オール・ユー・ニード」も映画化に伴って主人公が日本人という設定も含め大幅に変えた。
 日本のコンテンツへの海外からの注目度はかねて高い。「輸出」される前からインターネット経由の海賊版を通じてマンガ「NARUTO」など国内のヒット作は人気を博してきました。今では正規版が時間をおかずに消費者に届くようになり、さらに市場は拡大しました。知名度や前評判がない作品でも日本のコンテンツを当たり前のように消費する層が生まれてきた。ただ数ある中から選ばれるには、原作が当初想定していたより幅広い層が楽しめるようにする必要がある。原作を大幅に変えることもいとわない、いわば原作至上主義からの脱却が、価値を「運用する」ことには欠かせません。
 米国でも、「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカスは12年、自社「ルーカス・フィルム」をディズニーに売却しました。時にルーカス本人が批判することがありますが、発表された新シリーズは成功している。どんなに優れた作品も作家性だけでは価値を高められない時代になっている。
(略)


海外展開で成功を目指すには、作家性を薄めて一般に受けるような改変を厭うべきでないという意見です。

実際「オール・ユー・ニード・イズ・キル」も主人公を白人にしなければ成功しなかったというのは想像に難くありません。文面から察するに、福原氏は”作家のわがまま”に手を焼いてきたのでしょう。

しかし、大勢の意見をいれて改変をするというのは無難な成功はできますが、尖がった魅力を失うという側面もあります。万人にそこそこ受けることをしたらコアなファンが去っていった、というのはありそうです。

海外展開を目指して日本で作ったコンテンツが必ずしも日本国内で受けないというのもこれが理由だと思います。

営業的観点からは正しいのかもしれませんが、ファン目線で言えば、作家性を押し出した作品がなくなるのは見たくない光景です。

【朝日新聞】悪夢のような「東アジア共同体」

11月11日朝日新聞朝刊。『シンポジウム「日中韓国民相互理解の促進」東アジア共同体への道は』より
日中韓の関係者があつまって「国民相互理解の促進」をテーマにしたシンポジウムがありました。朝日新聞が共催しています。このシンポジウムは15回目だそうです。

 日本、中国、韓国。3カ国の間でたびたび生じる国民感情の摩擦について、中国側と韓国側の研究者は「歴史認識の違い」を大きな要因としてあげた。
 中国の金景一氏は、近代以降における、日本の中国や朝鮮半島への侵略や植民地支配を挙げ「3カ国で歴史の記憶は異なる。こうした歴史問題は相互理解の最も大きな障害になっている」と現状を分析。韓国の尹徳敏氏も「戦後70年以上たつが、歴史的な和解がまだなされておらず、3カ国の国民の相互理解は後退している」と危機感を示した。
(略)


あいもかわらず”歴史認識”です。

こんなものが国家間の軋轢の原因であるはずがありません。例えば中国とアセアン諸国がもめているのは中国の拡張主義が原因であって、別に歴史解釈の違いが原因ではありません。中韓がTHAAD配備でもめているのも利害の不一致が原因です。歴史観なんて関係ありません。

そもそも歴史観というひとりひとり異なって当然のものを、自国どころか他所の国とまで一緒になりたいという情念が不気味です。

だいたい日中韓がことさら仲良くしなければならない理由を思いつきません。近くの国だからいがみ合うより仲良くするに越したことはありませんが、それ以上に接近しなければならない理由はありません。人間関係でいえば顔見知りになったからといって結婚を迫られたみたいです。国家レベルのストーカーです。

 尹氏は、東アジア地域が直面する共通の「危機」として、北朝鮮の脅威▽高齢化と人口減少社会▽経済成長の停滞――を挙げた。「自国利益だけに執着していては東アジアの発展はない。日中韓は運命共同体。東アジア共同体の構築が必要だ」と呼びかけ、例としてEUを挙げた。
 金氏は「3カ国の相互理解は、東アジアで冷戦体制を維持したい米国によって阻害されている」と持論を展開し「運命共同体にするためには、米国の影響力を最小限にする必要がある」とした。
(略)


韓国の尹氏のあげた共通の「危機」のうち北朝鮮の脅威だけは日韓で共有する問題です。中国にも影響はありますが、日韓と共有はしていません。高齢化と人口減少は共通する課題ですが、それぞれの国で解決する問題であって三国が一致協力したって意味はありません。経済成長もそれぞれの国の問題です。他国の成長まで責任は持てません。
中国の金氏の言っているのは陰謀史観です。米国の影響力は排除して自国が優位に立とうという底意が丸見えです。
 

小針進氏は「日本人が中韓に親しみを感じないのは、外交摩擦と否定的な報道の影響が大きい」とし、「『糾弾ありき』で近隣国への批判に前のめりになる姿勢が新聞、テレビ、ネットを問わず3カ国のジャーナリズムに見られる」と語った。
 また、慰安婦問題などで関係改善に向けた日本の政策を韓国メディアが「生ぬるい」として評価せず、それが日本で「嫌韓感情」の拡散につながるなど「負のスパイラル(連鎖的悪循環)に陥った」とも。さらに、例えば韓国メディアは日本語訳版をネット配信しているが「その文言がかえって反感の材料になっている」と語り、「読者は自国民だけではない」という地域的な広がりを日中韓のメディアは自覚すべきだと述べた。


報道によって連鎖的悪循環に陥ることがあったかもしれませんが、マスコミの使命は事実を伝えることです。日中韓有効のために事実を伏せようとか、表現を弱めようとかするのは本末転倒です。
日中韓友好は結構ですが、それを目的として報道の目的を見失っては困ります。

次の囲み記事が面白かったです。

 米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD〈サード〉)の韓国配備を巡り、冷え込んでいた中韓だが、10月31日、関係改善の共同文書を発表した。シンポジウムでは両国の参加者による議論が白熱する場面もあった。
 「共同文書の発表は歓迎するべきことだが、中国は今もTHAAD配備に反対している」。自由討論で、韓国の金漢権氏はこう述べ、韓国の立場を中国は理解すべきだと訴えた。
 申錫昊氏も「中国はTHAAD配備が北東アジアの(安全保障上の力の)均衡を崩すと言うが、北朝鮮と米国の対立の根源は朝鮮戦争にあり、中国の毛沢東主席も戦争に同意した。中国に責任はないのか?」と、中国側に問いかけた。
 中国の趙強氏は「朝鮮戦争を中国が推し進めたとは私は思わない」。さらに「THAAD問題には様々な見方がある。中国は地域平和のために最大限の努力をし、対価も多く払っている。より広い視点で中国の動きを見てほしい」と切り返した。


韓国が中国に歴史認識を迫ったら一蹴された形です。韓国の事大主義っぷりのあらわれともとれますが、もしかしたら対日本戦略として中国が焚きつけた”歴史カード”が中国に撥ね返る予兆かもしれません。

【朝日新聞】「横断歩道のルール 止まらぬ車、戸惑う外国人」

11月9日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。「私の視点」のコーナー。名城大学准教授のマーク・リバック氏の「横断歩道のルール 止まらぬ車、戸惑う外国人」より 

 私が日本に来て、とまどったことのひとつは、日本は「信号機のない横断歩道は車優先」ということだ。
(略)
 このままの状態だと、海外から多くの人が訪れる東京オリンピックの際、「横断歩道では車は止まってくれる」のを当たり前だと思っている外国人は、すぐに交通事故にあってしまうだろう。実際にわたしの母が初めて来日したとき、横断歩道であやうく命を落としそうになった。
 日本の横断歩道で車と歩行者の行動を観察していると、車優先で、歩行者は車の途切れ目をみはからって横断しているようだ。わたしの日本人の妻も運転中に横断歩道で停車しないひとり。その理由を尋ねると、「日本人は人を待たせることを心苦しく感じる。停車してあげると慌てて渡ろうとして、反対車線の車にひかれてしまうリスクが高まるから、下手に止まらないほうがいい」と話す。車も歩行者もお互いに迷惑のかからないあうんの呼吸をもって横断歩道と付き合っているのだろう。
 しかし、これは外国人には通じない。外国人は「日本人は親切で礼儀正しい」と信じているので、きっと横断歩道でも「必ず停車して、私たちが渡り終わるまで笑顔で見守ってくれるだろう」くらいの期待をもっている。そのため、オリンピックイヤーの2020年だけでも歩行者優先のルールを徹底するか、「日本では横断歩道で車はとまりません」と空港に降り立った外国人全員によく周知するか、どちらかにしないと、「日本人は思っていたほど親切じゃない」とがっかりさせるだけでなく、実際に事故にあう外国人も出てしまうだろう。オリンピック成功のためにも、ぜひこの問題に真剣に取り組んでほしい。



この状況はよくわかります。地域差はありそうですが、私の暮らす街では車はほぼ止まってくれません。ただし例外があります。それは車椅子を押している場合です。ドライバーは車椅子利用者にはなぜか優しいです。しかし、リバック氏の奥さんが言うように、これも有難迷惑になっていることはままあります。車椅子を押して急いで渡るのは大変なんですよね。親切で止まってくれたのはわかるのでお辞儀して渡るんですが、内心後でのんびり渡りたいな、と思っていることもあります。(もちろん止まってもらって助かることも少なからずあります)


面白いのは、リバック氏や彼の頭にある外国人は、日本人は親切で礼儀正しいのに横断報道で車は止まらない、とショックを受けていますが、リバック氏の奥さんの言によれば、日本人ドライバーは暴走しているわけではないそうです。
リバック氏の奥さんの言うのもちょっと誇張があると思いますが、日本人は外国人より複雑な気の使い方をしているみたいです。


オリンピックだからといって外人に見場をよくするために生活習慣を変えるというのは好きになれませんし、ドライバーには言い分もありましょうが、法律が車は止まれと言っている以上、止まってもらうしかないでしょう。日本人だけならなんとかなったところろでも、外人相手には通じません。
本当に事故が起きたら、轢かれた方だけでなく轢いた方も辛いですし。
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えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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