【時事問題】夫婦別姓
私自身は夫婦別姓に賛成なのですが、反対派の意見を頭から受け付けないという立場はとりません。意見を聞く耳は持っています。
反対派の代表である麗沢大学八木秀次教授(憲法学)の意見を引用します。
選択的夫婦別姓に反対する理由は二つあります。一つは、民法を改正しなくても、旧姓使用を拡充すれば多くが解決できるということ。もう一つは、現在の戸籍制度の下では、導入が難しいということです。
現在は、結婚すると親の戸籍から出て新たに夫婦の戸籍を作り、子どもたちもそこに記載されます。婚姻届を出す際に戸籍筆頭者を決め、家族が共通の姓を名乗るのです。「1戸籍1氏(姓)」ですね。これが別姓になると、「1戸籍2氏(姓)」になり、家族共通の姓がなくなります。姓が「ファミリーネーム」から「個人名」に変わってしまうということです。姓の性格の変更は、同姓を選んだ夫婦にも波及し、国民全体の問題になります。別姓を選びたい人だけの問題ではありません。今の戸籍の仕組みを前提とする限り、法制化は困難なのです。
片方が姓を変えることに不都合があることは、反対派も理解しています。法制審が答申した25年前と違って、今の賛成派の多くが、戸籍の廃止を求める思想から別姓を主張しているわけでもないでしょう。
ただ、家名存続を希望する配偶者が別姓を選んでも、子どもの姓をバラバラにしなければ、次の世代まで続きません。きょうだいで姓をバラバラにすることは、国民の大半には受け入れ難いことです。
今の戸籍でも身分事項欄には旧姓が載っています。それを基に、住民票にも旧姓を併記できるようになりました。不毛な対立をやめて、旧姓が使えない場面を改善していくことが現実的な選択肢だと思います。(聞き手・杉原里美)
八木氏は理由を二つ挙げていますが、一つ目は反対する理由になっていません。確かに「旧姓使用を拡充すれば多くが解決できる」かもしれません。しかしそれは”あえて賛成する理由がない”ということであって、熱意をもって反対する理由にはなりません。
二つ目は、「戸籍の仕組み」と矛盾をきたすということです。「今の戸籍の仕組みを前提とする限り、法制化は困難なの」でしょうが、制度改正派は、今の仕組みを変えてくれ、と要望しているのです。
”現行のルールを変えてくれ”という要望に対し、”現行のルールにのっとれば変えられない”というのは回答になっていません。
夫婦別姓では、家名存続の声にこたえられないということですが、夫婦同姓制度では結婚そのものをしなくなる恐れがあります。子供が長じてから片方の親の家名を継げるようにするなどの制度改正をすることも考えられます。
夫婦同姓固守を主張する人たちがなにゆえここまでかたくななのか、私には理解できません。