【アニメ】心霊探偵八雲

心霊探偵八雲 第1巻 〈通常版〉 [DVD]心霊探偵八雲 第1巻 〈通常版〉 [DVD]
(2011/01/26)
小野大輔、藤村歩 他

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NHK総合の3週にわたる一括放送で観ました。原作は小説のようですが、未読です。

全体を通して、幽霊調伏やら、探偵ものやら、父親との戦いやら、要素もりだくさんで整理できていません。混乱した印象しかもてません。

特に、主人公とヒロインの親同士が知り合いだった、という中盤のエピソードにはあきれます。なんの伏線もなく、いきなりそんなことを言い出されてもついていけません。しかもそれがヒロインの「小沢」という姓から、主人公の叔父が気がつくというものです。珍しい姓なら分からなくもないですが、こんなごくありふれた姓で、「もしかしてあなたの親は?」などと言い出すのは噴飯ものです。しかも、この縁は、物語にはなんの影響もしていません。ヒロインが物語にからみ続けるための理由付けのためだけです。

とてもではないですが、原作を読んでみようという気にはなれませんでした。
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【朝日新聞】はたらく気持ち

2月26日 朝日新聞 be on Saturday 人材コンサルタント・映画ブロデューサーの田中和彦氏のコラム「はたらく気持ち」より

『「草食男子」にはかせる下駄』という題で、美術館副館長Kさん(41)のエピソードを紹介しています。

民間美術館の副館長Kさん(41)は、人事担当者から手渡された最終面接用のリストを見て顔をしかめた。
「やっぱり、男性の新規採用は難しいな」
1次面接した学芸員から、「これは」という人材はみんな女性で、男性は押しなべておとなしく物足りないという報告を事前に受けていた。案の定、筆記と面接を合わせた総合点の高い順に名前が記載されたリストの上位に並んだのは、見事に女性の名前ばかりだった。
元々、女性に人気の高い職場ではある。だが、美術品の搬送や展示の設営など、意外に力仕事も多い。Kさんとしては、男女をバランスよく採用したいと考えていたのだ。
美術という特殊な業界ならではの傾向かと思いきや、同窓会で会った商社の人事部で働く友人からも、似たようなものだと聞かされた。
「総合職採用じゃ、女性の方が圧倒的に優秀だよ」
24時間バリバリと働く商社マンのイメージは、今は昔になりつつあるらしい。
仕事だけではなかった。家庭内でも男女逆転現象が進んでいるのを、Kさんは目の当たりにしたばかりだった。
両親が暮らす実家に近い場所に引っ越そうと、マンション売却を考えた時のことだ。不動産会社に相談すると、
「買い手をみつけるには、オープンルームにしないと」とアドバイスされ、入居したままの状態で、買い主候補の来訪を受け入れることにした。
「クローゼットや納戸の中まで見せなきゃならないなんて」。そう妻に愚痴られながら、寝室や浴槽、トイレの隅々まで入念に掃除し、よそ行きの服を着て、「見学デー」を迎えた。
30歳前後の若い夫婦が10組以上も訪ねてきたが、例外なく、家主に鋭い質問をしてくるのは妻の方だった。「ここは床がきしみますね」「いい家なのになぜあえて引っ越すんですか」・・・
夫はといえばのんびりとしたもので、子どもの相手をしたり、妻に従ってメモを取ったり。一生の買い物にもかかわらず、主導権を発揮する気配はまったくなかった。
商社の友人からは、「男には下駄を履かせないととても採用できない」とも打ち明けられた。どうやら、TOEICなどの語学力の足切りラインを、男性に限って少し下げることまであるらしい。
美術館でも、「草食男子」に下駄をはかせるべきか否か。履かせるとすればどんな下駄があるのか。最終面接を前に、Kさんは思案投げ首の体だ。


事例は3つ挙げられています。
1.Kさんの美術館の新規採用では女性の方が優秀だった。
2.Kさんのマンションを見に来た10組あまりの夫婦では奥さんの方が主導権をもっていた。
3.Kさんの友人の勤める総合商社では、総合職では女性の方が優秀。TOEICの点数で男性に下駄を履かせているらしい。

1の例は、Kさんも指摘しているように「美術という特殊な業界ならではの傾向」である可能性が高いです。過去と比較して、昔は優秀な男も応募してきた、というなら最近の傾向と言えます。しかし、なぜか、過去との比較をしてくれないので、1の例は例として価値がありません。

2の例は、私には当たり前のように思えます。一般的に女性の方が、家の細かい部分に感心が高いように思います。

3の例は、何をもって「圧倒的に優秀」としているのか不明です。Kさんは、英語力に男女差があるのでは、と考えています。しかし、女性の方が男性よりおおむね英語の成績が上ですので、これも例としては不適切です。

そもそも商社の採用で、男子に下駄を履かせている、というのが奇怪です。本当に女性が「圧倒的に優秀」だと思っているなら、基準に満たない男は採らなければいいだけです。おそらく、本音では採用試験の点数では、本当の「優秀さ」が測れない、と思っているのでしょう。

Kさんにアドバイスをすれば、男女別に採用人数枠を決めて、それぞれ採用すれば問題は解決します。

Kさんにも、Kさんの友人にも言いたいのは、「草食男子」がどうのこうのと社会批評をする前に、自分たちの採用基準をよく省みるべきだと思います。自分たちが欲しい人材が上位にくるような採用基準になっていないのが問題の本質です。



【朝日新聞】オピニオン欄:大相撲のない日本

2月25日の朝日新聞朝刊のオピニオン欄で「大相撲のない日本」という題で、劇作家の山崎正和氏が、八百長問題で揺れる相撲に関して意見を書いています。

前段で、相撲が「国技」と呼ばれるようになったのは歴史的経緯からみて間違っている。後段では、「国技」ではないのだから、衰退するならそれでもいいじゃないか、と主張しています。

後段から引用します。

(前略)
さて、八百長問題です。これは今の相撲界では防げません。新弟子のことから寝食をともにし、おかみさんの世話になり、兄弟子にしごかれ、という前近代的な擬似家族の関係があるのです。相撲界は、そんな間柄の部屋で構成する一族です。親しい力士が十両から幕下へ転落する危機にある、となったときにフッと力が抜けることを誰がとがめられるでしょうか。賭博と結びついていない限りは、どっちが勝っても面白ければそれでいいんです。
あまり露骨に八百長をやれば、真剣勝負を楽しんでいた人は去っていき、それでも相撲が好きだという人が残る。それだけのことです。市場原理に委ねればいい。お客を楽しませるのがプロスポーツですから、相撲協会が真剣勝負が魅力だというなら、そうすればいい。一方で八百長があったとしても、お客が楽しんでいるなら、またそれでいいのです。司法で断罪をするような形で八百長の全容解明みたいなことをするのは、あまり賛成できません。プロスポーツの魅力は均質なものではありません。
国技と名乗って国の監視下にあるから、八百長はけしからんと言われるのであって、国と関係なければ、八百長だなんだと騒ぐ必要がありますか。相撲協会が国技だと言いたいなら言えばいいが、国が優遇する必要は、まったくありません。プロレスだって何だって、あらゆる格闘技が、国とは何の関係もなくやっているじゃないですか。国技の名の下に、大相撲を権威化、神格化したことが、禍根を残したのです。
もしファンが見放して、大相撲がなくなるなら、私はそれで構わないと思っています。確かに大相撲のファンは多い。なくなれば、寂しい思いをする人も多いでしょう。しかし、これは習慣の問題で、歴史の中になくなったものは、帯刀やちょんまげなどいっぱいあるんです。今ある伝統文化をすべて残すとすれば、お金がいくらあっても足りません。
雪舟の名画、これは保存しなきゃなりません。しかし相撲は今も生きている興行営業なのです。


現在、問題になっている八百長疑惑は、金銭で星の売買をした、というものです。十両から転落しそうな相手力士に力をつくせないこととは別のことです。山崎氏は、問題をすりかえて矮小化しています。

>国の監視下にあるから、八百長はけしからんと言われるのであって、国と関係なければ、八百長だなんだと騒ぐ必要がありますか。

これも間違いです。かつて、プロ野球も八百長問題で騒ぎになりました。ファンが八百長を認めないから騒いでいるのです。

>あまり露骨に八百長をやれば、真剣勝負を楽しんでいた人は去っていき、それでも相撲が好きだという人が残る。それだけのことです。市場原理に委ねればいい。

市場原理に委ねるのは結構です。しかし、山崎氏が理解していないのは、大相撲ファンは真剣勝負を望んでいる、ということです。金銭で星のやりとりをする八百長を相撲ファンは許さないのです。

つきつめて言えば、山崎氏自身が相撲ファンでないから、無くなってもいいです、と言っているだけです。興味がないものが無くなっても、その人にとっては構わないでしょう。しかし、こんな意見には、新聞で大仰に開陳するような価値はありません。


【アニメ】京極夏彦 巷説百物語

京極夏彦 巷説百物語 DVD-BOX ディレクターズエディション京極夏彦 巷説百物語 DVD-BOX ディレクターズエディション
(2004/02/27)
中尾隆聖、小林沙苗 他

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原作は未読です。
Gyaoで配信したものを観ました。

タイトル名に原作者の名前をつけ、原作者の名前に「亭」をつけたキャラクタが出てきて、しかも原作者が声優をつとめる。さらに、そのキャラクタは黒幕的存在で物語の重要人物。このような自己愛丸出しには辟易とします。もしかしたらアニメスタッフの遊びなのかもしれませんが、視聴者には関係ありません。作品からそのまま感じるのみです。辟易とした、というのが正直な感想です。

もう一ついうと、畳や戸が曲線で描かれています。どういう狙いがあるのか見当もつきませんが、意味がわかりません。曲がった畳の絵が面白い、と思っているのでしょうか。どう考えてもおかしいです。

変なところばかりに目がいって、素直に作品を楽しめませんでした。最後の方は惰性で観ていました。

【本】アメリカはどれほどひどい国か

アメリカはどれほどひどい国か (Voice select)アメリカはどれほどひどい国か (Voice select)
(2009/05/01)
日下 公人 高山 正之

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アメリカの悪口だけでなく、中国への批判も含んでいます。対極に位置する日本を褒め称える、という内容です。たしかに、アメリカが善なる国だと考えるのは危険だ、というのは共感できます。しかし主張にやや極端なところがあり、全面的には賛成できません。

アメリカも中国も歴史的に奴隷経済の国家で、現在の米中蜜月は奴隷経済国家同士の利害の一致である。一方、日本は歴史的に奴隷を持つことを否定し続けていた国、との主張があります。しかし、いかに低賃金であろうと労働者は、奴隷とは違います。また、中国の低賃金労働力をあてにする米国が奴隷経済なら、日本の企業だって中国に進出しているわけですから、奴隷経済ということになってしまいます。

このように、論理展開はやや強引ですが、散りばめられた雑学的知識は、面白かったです。第二次大戦後に、イタリアは日本に賠償を求めたのは知っていましたが、ドイツには求めなかったというのはこの本で知りました。ちょっと驚きました。

興味深いのは、両氏が日本の孤立化を志向しているところです。米国や中国のような大国と深くつき合うのは危険、という考えならば、他の中規模国家との連携を考えるのが自然だと思います。しかし、特定の国と仲良くしようという考えは出てきません。両氏のような思想は一般的には右翼思想と捉えられるでしょうが、大亜細亜主義を唱えた戦前の右翼思想とは別物です。この点には注意が必要です。

文字が大きいこともあります、スイスイ読めました。

【映画】ソーシャルネットワーク

Facebook創業の物語の映画です。Facebookは、先のエジプト騒乱時に活用されたことが話題になっていたので、時流に乗ったテーマでした。

時系列をシャッフルしながら進みます。また、みなが早口でまくし立てるようにしゃべります。それでも、分かりやすく混乱することはありません。2時間、飽きずに観ました。

誰かに感情移入するということはできない映画でした。特に、主人公は何を考えているのかまったく分かりません。観る人に解釈をゆだねているようです。

ただし、私がFacebook自体を知らないためか(一応予備知識は仕入れてから観ましたが)、彼らがどれ程すごいのかピンとこないところはありました。


【展覧会】なぜ、これが傑作なの?

於:ブリジストン美術館

挑発的な題の展覧会ですが、特別に不可思議な作品を集めたわけではありません。普通の展覧会です。

ちらしから引用します。

(前略)
今回のコレクション展示では、このピカソ作品(注:「腕を組んですわるサルタンバンク」)を含め、特に当館を代表する12点に焦点をあて、なぜ優れた作品だと考えられているのか、なぜ多くの人にあいされてきたのかをあらためてご紹介いたします。


音声解説で、作品の価値について丹念に語っています。ここで、「なぜ、これが傑作なの」かの説明がされているといって良いでしょう。ここの音声解説はお勧めできます。

展覧会の内容とは関係ないことですが、自転車で出かけようと思ったので、事前に電話で駐輪場の有無を問い合わせました。“無い”と即答されました。ブリジストンの施設なのに駐輪場がないというのは、ちょっと可笑しかったです。

【本】本当は嘘つきな統計数字

本当は嘘つきな統計数字 (幻冬舎新書)本当は嘘つきな統計数字 (幻冬舎新書)
(2010/11)
門倉 貴史

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世のあふれる統計数字を鵜呑みにすると、誤解したり騙されたりします。この本では、こうした「嘘つき」な統計数字がどうやって生み出されるかを丁寧に解説してくれます。

題名は過激ですが、一方的に「嘘」と決め付けているわけではなく、公平に論じています。「嘘」が生まれるさまざまな事例・原因が紹介されていますので、通読すると広範な知識が身につきます。

「嘘」というより「錯覚」と言った方が正しそうなものもありますが、統計数字をあやつることで、与える印象を大きくかえることができる、というのがよく理解できるようになります。

おすすめの一冊です。

【朝日新聞】悩みのるつぼ:子のいない長男夫婦がふびんで

2月12日 朝日新聞のbe on Saturdayの「悩みのるつぼ」という人生相談のコーナーに以下のような相談が載りました。

子のいない長男夫婦がふびんで 相談者 主婦 50代

 50代の主婦です。長男夫婦のことで相談します。
 長男夫婦は2人とも、保育士をしています。子どもが人一倍好きで、子どもの心を育てていくことに生きがいを感じているようです。
 ただ、残念ながら、まだ自分たちの赤ちゃんが授かりません。年齢的なこともあり、不妊治療を受け、高度な体外受精などに6回ほど挑戦もしましたが、これまでは結果が出ておりません。本当にかわいそうでなりません。
 嫁は気だてのいい、芯のしっかりした子です。ダメだったときに、「気力、体力、経済力のすべてを使い果たしてもダメでしたが、折れた心を修復してまたがんばります」と、メールを打ってきました。
 私はこれを読んで、涙がとまりませんでした。
 世の中は順番通りにはいかないもので、後で結婚した下の息子の夫婦に、先に赤ちゃんが授かりました。私にとっては初孫となります。それはうれしいのですが、長男たちの気持ちを考えるとふびんでならず、この世の不条理を思いながら、本当につらい日々です。
 どうにもならない問題なのはわかっています。見守ってあげるしかありません。
 こんな立場のときは、いったいどんな気持ちで乗り切っていけばいいのでしょうか。お力をお貸し下さい。


「どうにもならない問題」と頭では理解しながらも、どういうふうに心を持てばよいのか、識者に問いかけています。真摯で好感の持てる姿勢です。

これに対して、社会学者の上野千鶴子氏が次のような回答しています。

 こういうご質問、困りますね。これはどなたのお悩み? ご長男の? お嫁さんの? それともあなたご自身の? 誰も他人の悩みを代わって悩んであげることはできません。この質問がご長男夫婦から直接来れば別ですが、代理投稿のようではお答えしようがありません。
 まずご長男夫婦のお悩みと、あなた自身のお悩みとを切り分けましょう。お困りなのはあなたご自身なのですね。子どものできない長男の嫁をあなた自身が見ていてつらい、どうふるまってよいかわからない、というお悩み?
 ご長男に子どもがいないことを気に病んでいるのはあなたご自身ではありませんか? 子どものいない嫁に、あなた自身が失望していませんか? もしかして子どものいない女は、女として一人前でないと思ってはいませんか? ……そういうあなたの視線が、お嫁さんを追い詰めているかもしれません。不妊治療はそれでなくても心身共に負担の重い作業。結果が出ずにそれだけでもつらい思いをしていらっしゃるでしょうに、気にしている姑に「がんばります」と報告してくるお嫁さんて、なんてけなげ。せめてその負担ぐらい減らしてあげませんか。
 子どもが好きで保育士を職業に選んだ者同士、たとえ自分の子どもがいなくても、プロとしての誇りを持って生きていく道を選ぶことも可能です。自分の子どもを産むか産まないかは、本人たちの問題であって、たとえ親であっても容喙すべきではありません。
 あなたの役割はむしろ、子どもを産まなければというプレッシャーから彼女を解放してあげること。産んでも産まなくてもわたしはOKよ。あなたたちの人生なんだから。子どもを産むばかりが幸せではないわよ、とまずあなたご自身が思えるかどうか、ですね。お世継ぎを期待しているわけじゃあるまいし、子どもがいなければ人生まっくらになるわけでもありません。
 気持ちはおのずと態度に出ます。子どものない女はかわいそうと思っているあなたが、お嫁さんのストレス源のひとつだと自覚してください。
 昔も今も子は授かりもの。その気になったからと言って計画どおりにできるわけではありません。ひとの生き死にに人為がはたらかないことに、もうすこし世の中のひとびとが謙虚であってくだされば、と願います。 


上野氏の「長男に子どもがいないことを気に病んでいるのはあなたご自身ではありませんか? 子どものいない嫁に、あなた自身が失望していませんか? もしかして子どものいない女は、女として一人前でないと思ってはいませんか? …」という疑問には、何の根拠もありません。根拠がないにもかかわらず、勝手にそうだと決め付け、暴走を始めます。揚げ句の果てには、相談者がお嫁さんのストレスの源だ、とまで言い放ちます。もちろん最後まで根拠はありません。すべて上野氏の妄想としかいいようがありません。

毎回、このコーナーの上野氏の回答はひどいものが多いですが、今回もいつもながらのあきれた回答です。まじめな相談者が可愛そうになってきます。

自分のエッセーで書くなら勝手ですが、人生相談の回答なのですから好き勝手な妄想を書き散らすべきではありません。上野氏には人生相談の回答をする資格がないように思います。

【本】「若者はかわいそう」論のウソ

「若者はかわいそう」論のウソ (扶桑社新書)「若者はかわいそう」論のウソ (扶桑社新書)
(2010/06/01)
海老原 嗣生

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この本は、現在の若者が昔に比べて就職に苦労しているという言説、いわゆる「若者はかわいそう」論に、異を唱えたものです。豊富なデータを駆使して論を積み上げているため、説得力があります。

著者の説では、
1.85~95年の為替レートの変化
2.85年から続く、大学進学率の急上昇
3.80年以降に低下した出生率
の三つの地殻変動が起きている。この地殻変動を正しく認識せずに表面的に観測した結果が「若者はかわいそう」論である、としています。

現在の労働問題を論じるには、無視できない主張だと思います。


【朝日新聞】「参院いらない」藤井氏が陳謝へ

2月9日朝日新聞朝刊の政治欄より引用します。

講演発言、議長ら反発

参議院運営委員会(鈴木政二委員長=自民党)は8日の理事会で、藤井裕久官房副長官が7日の講演で「参院が(衆院)のカーボンコピーだったら二院はいらない」と発言したことを取り上げ、「院に対して不穏当」として謝罪を求めることを確認した。藤井氏は「誤解を招いた」として9日にも謝罪する考えだ。
民主党出身の西岡武夫参院議長も記者会見で「全くの論外だ『参院はいらない』などと仮に言ったとすれば、普通なら罷免だ」と強く非難した。


私には参議院運営委員会の委員長や参院議長の怒りは正当だとは思えません。どんな組織でも不要論が出てくるのは、その当否は別として、止むを得ないことです。参議院が必要だというなら、その存在意義を堂々と訴えればいいだけのことです。自身が所属する組織を不要と言われたから怒っているだけのように見えます。

なお、参議院が衆議院のカーボンコピーというのは、藤井氏の間違いです。現在の参議院は、与党が少数でいわゆるねじれ現象になっています。このねじれが念頭にあって、一院制の方が果断に国政に対処できる、というのが藤井氏の本音だったのではないでしょうか。それならば、それはそれで一つの見識だと思います。



【時事問題】オリンピック招致

2月8日の朝日新聞朝刊に、夏季オリンピック招致に関する記事がありました。引用します。

「オリンピック呼ぼうって言ったのに 東京・広島、選挙しだい」

日本オリンピック委員会(JOC)がめざす2020年夏季五輪招致の雲行きが怪しい。積極的だった広島市の秋葉忠利市長が突然退任を表明。16年五輪招致に続き検討している東京都の石原慎太郎知事は進退を明確にしない。JOCは4月にある二つの首長選を、祈るような思いで見守る。
(中略)
 JOCが強く望んでいるのが、16年五輪招致で敗れた東京都の再挑戦だ。
(中略)
 ただ、肝心の東京都の動きが鈍い。一度失敗した経験から、都庁内には「都主導の招致活動には限界がある」との声が根強い。
 石原都知事も1月23日、テレビ朝日の報道番組で20年夏季五輪招致について、「私はやりたいが、日本人の国家の態勢から言って無理。総力戦ができない」と述べ、再び招致を目指しても成功は難しいとの見方を示した。「国民に強い意志がない。ひとごとで『やるなら見に行くよ』って。皆がその気にならなかったら、盛り上がらない」。しかも従来、実際に招致活動を始めるかは「次の知事が決めること」としてきた。
 一方で、東京都は再挑戦もにらみ、スポーツ振興局内に招致担当者を置いている。都幹部は「次の知事が再挑戦を決断しても対応できるよう準備はしておきたい」。自民党からは石原擁立論も出始めた。
 「東京都はすでに五輪の準備をしている。五輪反対派が知事にならなければ大丈夫」。JOC幹部の言葉は希望的観測でしかない。(加戸靖史、岡雄一郎、由利英明)


私は、オリンピック招致に「強い意志」はありません。よって、なぜいまさらオリンピックを招致したいのか不思議でなりません。首長がオリンピックを招致したいのは名誉欲のためと考えれば納得できますが、JOCが招致したがっている理由がわかりません。

JOCのホームページに、JOC会長のメッセージを見つけました。関係部分を引用します。

今期2年間の重点施策として、次の8項目を設定しました。
1.2016年東京オリンピック・パラリンピック招致成功のため、東京都、招致委員会と連携しNOCとして最大限の努力をする。
2.バンクーバー冬季オリンピックで好成績をあげるための効果的な強化を行う。
3.JOCゴールドプランを推進し味の素ナショナルトレーニングセンターの活用を含め強化環境をさらに整備する。
4.オリンピック・ムーブメントをさらに推進する。
5.競技団体と連携して国際戦略活動を推進する。
6.環境保全活動を啓発する。
7.財政基盤確立のためのマーケティング活動の充実を図る。
8.スポーツ立国を目指し文部科学省、日本体育協会等関係団体との連携をさらに深める。

8つの重点施策の中で、最も重要な目標といえるのが、2016年東京オリンピック・パラリンピックの招致活動を成功させることです。 2016年には国民の70%が1964年の東京オリンピックを知らない世代というデータもあります。私たちが64年大会で味わった感動を、次世代を担う今の子どもたちにも味わってもらうために、招致活動をぜひ成功させなければなりません。


2016年のオリンピック招致は、すでに2009年に決着しています。JOCのページは更新されていませんが、2016年の招致理由と2020年の招致理由が異なるとは思えません。JOCはこの考えを踏襲しているものとみなします。

自分たちが1964年の東京オリンピックで感動した。すでに国民の70%が東京オリンピックを知らない。あの感動を知ってもらいたい。故に、招致活動をしている、というロジックです。

飛躍がありすぎます。まず、東京オリンピックの後、札幌や長野で冬季オリンピックを開催したことを無視しています。国民の70%が東京オリンピックを知らなくても、日本で開催したオリンピックを知っているのはかなりのパーセントになります。また、オリンピックを自国で開催することがそんなに素晴らしいことであるなら、一度も開催したことのない国にやらせるべきです。

まるで説得力のない主張だから、首長だのみになるのだと思います。

【本】佰物語

オリジナルドラマCD 佰物語 (講談社BOX)オリジナルドラマCD 佰物語 (講談社BOX)
(2009/08/04)
西尾 維新、渡辺 明夫 他

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「化物語」シリーズのCD本です。アニメ化された際の声優が、百個の話(コント?)を語ります。

シリーズを読んでいる人向けです。知らない人には何のことだかわからないでしょう。知らない人が買うとは思いませんが。

これを読むと、このシリーズが深く理解できるようになるとかいうことはありません。ファンのためのお楽しみブックです。

内容に比べて価格が高いのが残念です。正直言ってCDなしで売れるような内容とは思えません。それでもファンにとって、一度は読んで(聴いて)おきたい本です。

【朝日新聞】「はたらく気持ち」

2月5日 朝日新聞 be on Saturday 人材コンサルタント・映画ブロデューサーの田中和彦氏のコラム「はたらく気持ち」より

「新米運転手の小さなウソ」という題で、2ヶ月前にタクシー運転手に転職したSさん(37)のエピソードを紹介しています。

「すみません」
タクシー運転手のSさん(37)は客を乗せるたびに、先手を打つように頭を下げる。そしてこう続ける。「この仕事を始めて、まだ1週間なんです。道に詳しくなくて」
本当に転職したのは2ヶ月前。だが、道に詳しくないのは事実である。
(中略)
客に頼りなさが伝わると、露骨に嫌な顔をされることもある。つい先日も、目的地が分からずまごついていると、急ぎの客から、「今日は運が悪い」と、舌打ちされてしまった。
一方で、途中途中の道路やビルの名前を一つ一つ丁寧に教えてくれる客もいる。
自信がつくまでは、「新米」のままでいよう。Sさんなりに考えて、小さなウソをつき続けている。
半年前までは、塗装関係のリフォーム会社の営業マンだった。人の出入りの激しい業界で10年以上頑張ったのに、昨今の不況から最後は退職勧奨の憂き目にあった。地元では再就職先が見つからず、知人のつてを頼ってようやく見つけたのが、東京でのタクシー運転手の仕事だった。
(中略)
Sさんにとっての救いは、分からないことがあれば、何でも教えてくれる先輩ドライバーの存在だ。道が覚えられないとこぼすと、「その日に走った道を、地図で復習すると頭に入るよ」。その教えは従順に守っている。
営業マン時代には、同じ会社の後輩でも、売り上げを競うライバルだと考えて、自身のノウハウについては一切明かさなかった。それが当たり前の世界だと思っていた。
小泉政権の規制緩和以来、タクシー業界の競争も激化するばかりだ。その先輩の度量の広さには、自分の生き方を反省してしまった。
そして、道順を説明してくれる親切な客にも、人としての在り方を教えられた。
「自分もいつか、教えることのできる人間になりたい」
そんな目標を胸に秘め、今日も新米ドライバーが東京の街を走り続けている


筆者の田中和彦氏はこの運転手を肯定的に見ているようですが、私は正反対の印象を持ちました。そもそも道が分からないのにタクシー運転手をしているのがおかしいと思います。料金を払っている客が道を教えなければならない理由はありません。Sさんは十分に自信がついてから仕事をすべきです。Sさんの個人的な事情は客には関係ありません。

田中和彦氏の見解は、リストラされた可愛そうな人が小泉政権の規制緩和による競争激化で苦しんでいる、というステレオタイプなもののようです。プロ意識に欠けている人間を、変な文脈でかばうのは不毛です。

【映画】GANTZ (Part1)

GANTZ VISUAL BOOK (タレント・映画写真集)GANTZ VISUAL BOOK (タレント・映画写真集)
(2011/01/21)
不明

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原作と違うのは、主人公たちの年齢をやや高めにしたことです。この年齢差が、彼らの印象を大きくかえてしまいました。つまり“青臭さ”が薄まり、“あきらめ感”が大きくなりました。また、オリジナルが生きているのにGANTZに召還されてしまい、二重に存在してしまう、というエピソードを省いたことも大きいです。さらに、星人との戦闘中は、戦士は一般人からは見えない、という設定もでてきませんでした。その設定は生きているけど説明を省いただけかも知れません。

おこりんぼう星人との戦闘シーン(殺陣)はよくないです。飛び道具を持っているのだから、さっさと撃てばよいのに、逃げてばかりでした。このシーンはCGも良くなかったように思います。

不満はありますが、後編に期待します。

なお、今回は、WARNER MYCAL CINEMASのULTIRAというシステムで観ました。
基本料金に200円上乗せになりますが、スクリーンは巨大でありながら、明るい画面で見やすかったし、音響も素晴らしかったです。200円ならお得だと思いました。

【朝日新聞】「墓穴掘った国会証言の回避」

2月2日朝日新聞朝刊のOpinion欄より

朝日新聞コラムニストの若宮啓文氏が、強制起訴された小沢一郎議員について述べています。この中で気になる一文がありました。引用します。

小沢氏は身の潔白に自信を示し、疑惑を報じ続けた新聞やテレビにも矛先を向ける。その揚げ句、週刊文春にはこんな発言も載っているので驚いた。
「新聞には、機会があるたびに、誰でもいいから社を代表する人に出てきてもらって、公開討論会で大いに議論しようじゃないか、と呼びかけているんですが、出てきたためしがない」
本当だろうか。そんな呼びかけがあったなら、真っ先に応じたかったのに・・・と思って取材現場の記者たちに確かめてみると、「少なくとも小沢氏をめぐる事件が表面化して以来、そんな呼びかけは聞いたことがない」という。いったいこれはどういうことなのか。


小沢氏は、新聞が公開討論会に応じないと主張し、若宮氏は真っ向から反論しています。私は、小沢氏が嘘を言っているのだと思います。朝日新聞に限らず、新聞社が、小沢氏との公開討論会などというおいしいネタを逃す理由がありません。申し入れがあれば新聞社は応じた、と考えるのが自然です。

このような子供じみた嘘をつく人間が、ほんの少し前まで日本の政治の中心にいたという事実に愕然とします。


【朝日新聞】第三の開国-野球も?

2月1日 朝日新聞朝刊 オピニオン欄より

プロ野球の改革について、スポーツマーケティング会社「トラストインサイト」代表の鈴木友也氏と、野球解説者の張本勲氏が意見を述べています。テーマは「第三の開国」とのことで、米国やアジアの野球とのつき合いについてです。

鈴木氏は、米国の野球の連携強化を主張しています。外人もオーナーになれるようにしたり、米国野球との交流戦を行ったり、という提案です。

私は、鈴木氏の意見は空論だと思います。米国人が日本のプロ野球の実力を認めたとしても、日本の野球中継が売り込めるとか、グッズが売れるとかは、考えにくいです。外人のオーナーができるとプロ野球がよくなるという意見には、なんの説得力もありません。

もう一人の、張本氏の意見を一部引用します。

日本のスター選手が大リーグへ次々と移籍することに、強い疑問を感じています。(中略)このままでは、日本球界を背負う人材がいなくなってしまう。プロ野球を見たいと思う人もいなくなってしまうかもしれません。


むしろ米国野球との交流を閉ざす方向で提案しています。日本の選手が米国に行きにくくし、球団数(=1軍の選手数)も絞り込むことで質の高いプレーを観客に提供すれば、ファンは戻ってくるとの主張です。また、アジアとの連携を強化して、試合の開催をアジアに売り込め、とも言っています。

張本氏の主張は、賛否はともかく、理屈はついています。いまさら日本選手が大リーグに挑戦するのを阻害すると、かえってファンは離れていくような気もしますが、理屈に合わないことを言っているわけではありません。

ちょっと気になったのは次の部分です。

外国人枠もアジア出身の選手についてはなくせばいい。日本は1球団で1軍に出場できる外国人の数に制限がありますが、アジアの出身者は無制限にするのはどうでしょう。


アジアから日本に一流選手が流入しやすくすれば、アジアと日本の関係は、現在の日本と米国の関係と相似になります。つまりアジアのプロ野球は経営が苦しくなり、日本でのみ栄えることになります。日本選手が米国に流出して「日本球界を背負う人材がいなくなってしまう」のが本当なら、アジアから日本に選手が流出すればそれぞれの国の球界を背負う人材がいなくなるのは必然です。張本氏がアジアの野球が地盤沈下することをもくろんでいるとは思えません。ただ、自身の主張するメカニズムに無自覚なのだと思います。ちょっと面白く思いました。

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Author:えいび
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