【アニメ】神様ドゥルズ

神様ドォルズ 第1巻 [Blu-ray]神様ドォルズ 第1巻 [Blu-ray]
(2011/09/21)
岡本信彦、福圓美里 他

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原作は未読です。

キャラクターがキチンと作りこまれています。主役になれそうな人間がごろごろいるのに目を見張ります。

謎の提出と解決も適度に配分されているので、ストレスもないし興味が薄れることもありません。村社会と都会、村の中の有力家系の対立、隻と普通の村人の対比、など重層的な対立構造も物語に深みを与えています。

オープニングは今期一番優れていたように思います。

気になったのは村外の人(先生)が死んだのを隠蔽するのはいくらなんでも無理ではないか、という点くらいでした。

このまま終結できれば傑作になったと思います。しかしながら、最終回は途中で放り投げてしまいました。なんの決着もついていません。これでは高評価のしようがありません。これで他人に視聴を勧められるか、といえば答えは否です。実に残念な作品です。
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【アニメ】夏目友人帳 参

夏目友人帳 参 1 【通常版】 [DVD]夏目友人帳 参 1 【通常版】 [DVD]
(2011/08/24)
神谷浩史、井上和彦 他

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シリーズ第三期ですが、読みきりの話がベースですので、主人公の立ち位置は変わらずに、同じ雰囲気で進みます。

第二期で垣間見えた陰陽師の抗争も第三期でちょっと触れられています。決着がつかなかったので、第四期に引き継ぐのでしょう。戦いそのものよりも、柊(名取の式)の心情の方に興味がいきました。単なるバトルものとは一味違っています。

いい話が多く、安心して観られます。

あえて言えば、二期と三期の放映に時間が空きすぎていて思い出せない妖(あやかし)がありました。もっとテンポよく放映してほしいです。

良作です。

【アニメ】花咲くいろは

花咲くいろは 1 [Blu-ray]花咲くいろは 1 [Blu-ray]
(2011/07/20)
伊藤かな恵、小見川千明 他

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はじめのうちは、説教の連発でいやな感じでした。三話目あたりで切ろうかどうしようか迷いましたが、巡回しているblogでの評判がよいので視聴続行することにしました。

結果、切らなくて良かったです。なかなか面白かったです。説教も初めのうちだけでそれに終始するわけではありませんでした。

事件はいろいろありますが、旅館や学校の周辺のできごとなのでのんびり観ることができます。平和な気分で楽しめました。

残念なのは、旅館を閉めた理由です。あれでは女将のわがままにしか見えません。おそらく映画への出資が決定打になって経営困難に陥った、という構想だったのだと思います。なぜかそれをぼやかしてしまったので、不自然に見えました。

全体として評価すると良作です。

【朝日新聞】ベテラン教員、すり減る意欲 1万人調査

9月26日 朝日新聞朝刊社会面の記事より。これです。

引用します。

教員の感じる働きがいはベテランになるほど落ちている。そんな結果が全国の教員1万人を対象にした、社団法人「国際経済労働研究所」(大阪市)と日本教職員組合の共同調査で明らかになった。一般企業の従業員とは正反対の傾向だ。特に男性教員で働きがいの「劣化」が激しかった。
 昨年11月から今年1月まで、全都道府県の小中高校、特別支援学校の日教組組合員から1万2376人を無作為に抽出して調べ、8320人から回答を得た(回収率67.2%)。
 これを、研究所が190余りの企業の労働組合員を対象におこなった今回の設問の一部を含む調査から、2万人余りを抽出した結果と比較した。つまり、ともに管理職ではない組合所属の現場の先生と企業従業員の実感を比べたものだ。
 「今の仕事が楽しい」かどうかを尋ねたところ、教員で「そう思う」と答えたのは、30歳未満80%、30代75%に対し、40代67%、50歳以上59%と中高年で急降下した。
 「今の仕事を続けたい」も30歳未満、30代ともに76%、40代74%だったのが、50歳以上55%と急落。「今の仕事にとても生きがいを感じる」も30歳未満74%、30代73%に対し、40代69%、50歳以上62%と低下した。
 一方、企業の従業員の場合は、「続けたい」と答えたのは30歳未満の39%が50歳以上で52%、「生きがいを感じる」も30歳未満の23%が50歳以上で32%になるなど、ベテランほど働きがいが増す傾向がある。
(後略)
編集委員 氏岡真弓


あきれた記事です。

記事に付属しているグラフを普通に見れば、教員に比べて企業従業員の意欲が低いのがわかります。確かに教員は年齢が高くなるほど意欲が減っていますが、それでも企業従業員よりも高い数値です。

具体的に数値を比較してみます。

「今の仕事にとても生きがいを感じる」との設問に同意している30歳未満-30代-40代-50代の答えは、
教員は、74%-73%-69%-62%
企業従業員は、23%-20%強-30%弱-32%(30代、40代は記事リンク先のグラフからの読み取り)
となります。

「今の仕事を続けたい」との設問に同意している30歳未満-30代-40代-50代の答えは、
教員は、76%-76%-74%-55%
企業従業員は、39%-40%強-40%強-52%(30代、40代は記事リンク先のグラフからの読み取り)

すべての数値で、企業従業員の意欲は教員の意欲を下回っています。

もちろん教職員たちが、自分たちの年齢がたかくなるにつれて意欲が減退することを問題視するのはかまいません。彼らは教員ですので、教員について関心を持つのは自然です。しかし、新聞記者がこのデータを見て、”ベテラン教員の意欲がすり減っている”と記事にするのはいただけません。虚心にデータを見れば企業従業員の意欲の低さこそが問題だと思わなければいけません。

社団法人「国際経済労働研究所」と日本教職員組合の発表を、よく考えずにそのまま載せたのでしょう。プロの新聞記者としてはお粗末な仕事です。

【アニメ】ロウきゅーぶ

ロウきゅーぶ! 1 【初回生産限定版】 [DVD]ロウきゅーぶ! 1 【初回生産限定版】 [DVD]
(2011/09/28)
花澤香菜、井口裕香 他

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ロリアニメということなのですごく敷居が高かったのですが、ためしに観たら結構面白かったです。

ロリにみせてスポールものというわけではありません。ロリもスポーツも両方を追っています。すごく難しいバランスなのでしょうが、成功しています。今期の収穫といってもいいぐらいです。

気になった点をいくつか


序盤のクライマックスである男バスとの試合の前提が引っかかりました。いかに男バスが強くても学校のクラブ活動である以上、女バスを解体して練習時間を確保しようというのは考えられません。仮に、そういう実力主義で弱肉強食の世界なのだとするなら、この試合結果をうけて女バスの練習時間のために男バスは解散されなければなりません。そうならなかったということは、弱い部は解散、という前提がおかしいということになります。


パンツを返すのに夜中に部屋に忍び込むのは不自然です。もとのところに置いておけばいいだけです。無理に笑える状況にしています。


跳び箱の中で試合を見るのも不自然。正規のコーチですし、教員の親戚なのですから堂々と見学できるはずです。また、着替えだす前に跳び箱から出るチャンスはありました。これも無理に笑える状況をつくっています。

こうした不自然さは前半だけですので、だんだん良くなってきていると評価できます。

ロリはロリですから一般受けは無理だと思いますが、良作です。

【朝日新聞】記者有論:東北復興 小沢氏は首相で勝負せよ

9月24日 朝日新聞朝刊オピニオン欄より。引用します。

発足したばかりの野田新政権。閣僚が早々に辞任したり、国会の会期をめぐって右往左往したりと、早くも前途多難だ。8月まで民主党の小沢一郎元代表を1年8カ月担当し、東日本大震災の被災地・仙台に転勤してきて、私は率直に思う。小沢氏はやはり、首相になるべきではないか。被災地・岩手出身として東北復興の先頭に立つべきではないか---。
小沢氏は1993年の自民党分裂、細川政権樹立から20年近く、政治の中心に居続ける。自自公連立や民由合併を経て、2007年参院選では代表として民主党を勝利に導き、09年の総選挙では選挙担当の代表代行として政権交代の立役者になった。好き嫌いはともかく、その「政局的手腕」を認める人は多い。
だが、首相の座に座ったことがない以上、「政治的手腕」は未知数だ。小沢氏の政治活動の大半は「裏方」で、実も、誇張も含めて「政局の陰に小沢あり」とささやかれた。政権を作り、操り、壊した。そんな小沢氏を好きか嫌いか、認めるか認めないかを軸に、90年代以降の政治が展開してきたのも事実だ。
野田政権では小沢氏をめぐる対立はいったん後景に退いた。反面、輿石東幹事長など、小沢氏に近い議員が中枢に返り咲き、このままでは無役の小沢氏が「闇将軍」になりかねない。
だからこそ、小沢氏は首相として表舞台に立つべきだと思う。「小沢首相」なら、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、国益を代表し、中国と堂々と渡り合えたのか。「財源はなんぼでもある」と明言したマニフェスト実現のためのお金を、省庁の抵抗を押さえ込んで大胆に配分できたのか。震災復興や原発事故にどう対応するのか。すべて答えが出る。
小沢氏が有言実行できれば、その「政治的手腕」を示すことになり、名宰相とうたわれるだろう。できなければ、小沢氏は有言不実行の単なる壊し屋として政治の表舞台から退場せざるを得ず、そこに新しい政治のうねりが生まれるだろう。いずれにせよ、「小沢首相」で自ら、この20年の政治を総決算できる。
小沢氏も逃げるつもりはないはずだ。昨秋の代表選で「自分が首相にならないと日本がおかしくなる」と、立候補に踏み切った。自身の刑事裁判で無罪となれば、来年9月の代表選で政治生命をかけて立候補すべきだと思う。
東北復興取材センター 蔵前勝久


朝日新聞の論調とはまるで違うのが珍しいだけで、中身に新味はありません。

そもそも首相にならないと「政治的手腕」がはかれないというのであれば、大部分の政治家の「政治的手腕」は不明のままです。なぜ小沢一郎氏だけを首相にして試してみる必要があるのか理解できません。日本の首相は、失敗したら取り替えればいいというような軽いものではないはずです。

また、蔵前氏は「このままでは無役の小沢氏が「闇将軍」になりかねない」と心配していますが、田中角栄元総理は総理大臣を退いた後に「闇将軍」となったことを理解していないようです。小沢氏が総理大臣として有言不実行だったとしても「闇将軍」化する可能性は残ります。

表面的には公平に見せかけていますが、理屈がまるで成り立たない小沢一郎待望論に過ぎません。

【朝日新聞】記者有論:原発と表現 「村」言葉使わぬ新聞目指す

9月23日朝日新聞朝刊オピニオン欄の記者有論のコーナーから引用します。

「直ちに健康に影響はありません」。原発事故の後、枝野幸男官房長官(当時)らが記者会見で繰り返したこの言葉で、さらに不安が高まったという人は少なくないだろう。「直ちに影響がないのは今自分が身をもって証明している。知りたいのはこれからどうなるかだ」。これが多くの人の思いだったのではないか。本当に知りたいことについて何も語っていない空虚な言葉は不信感を生む。
朝日新聞の原発関連記事で、20日だけ使われた言葉がある。原子炉格納容器を水で満たし、燃料棒を水没させることを表した「水棺」。チェルノブイリ事故後に原子炉をコンクリートで覆った「石棺」からの造語だろう。
封じ込めるという意味は連想させるが、水で覆うという作業のイメージは伝わらない。「水」と「棺」の組み合わせから、社内でも「大津波で多くの犠牲者が出たのに無神経では」と議論になり、使うのをやめた。同じ指摘は読者からも届いた。
限られた字数でわかりやすく書かれているものとして、まず思い浮かぶのは国語辞典だ。文章をわかりやすく書くためには、どんなことを心がけるべきなのだろう。
「広辞苑」を担当する岩波書店の平木靖成さんは「専門家の原稿は難しいが、形容詞を加えたり漢語を和語にしたりして工夫している」。また三省堂「大辞林」の山本康一さんは「専門用語を別の専門用語で説明しないこと。長文は二つに切るだけで読みやすくなる」と話す。
公式サイトなどで誰もが報道発表を見られる今、役所言葉をそのまま書くだけではメディアの役目は果たせない。内輪だけで通じる業界用語は便利で楽だ。だからといって永田町や霞ヶ関、原子力業界といった特殊な「村」だけで流通する言葉を何の配慮もなく乱発していないか。
十数年前から子ども向けの科学実験講座を開いている川村康文・東京理科大教授は「科学技術はみんなのもの。専門家は相手にわかるように発信する必要がある。それができないのは専門家自身がよくわかっていないからだ」と手厳しい。
読者が考えるための材料を新聞は提供できているか。独り善がりな内輪の言葉に頼ることで、読者との間に壁をつくっていないか。読者側に立って想像力を働かせ、読者の「知りたい」に応えられるよう、「村」言葉を使わない勇気を持ちたい。
校閲センター・用語幹事補佐 上田明香


上田氏は、「村」言葉を「特殊な「村」だけで流通する言葉」と定義しているようです。それならば、枝野官房長官の言葉は「村」言葉ではありません。「水棺」も、誰の造語か書いていないので、原子力業界「村」の「村」言葉なのかどうか定かではありません。

「村」言葉の具体例がないままに、「使わぬ新聞目指す」と言っても、ピンときません。

理科大の先生の意見も分からないではありませんが、限度があるはずです。相手が限定されているなら、それに合わせた言葉を使うことはできると思いますが、不特定多数相手にはどうしても専門用語を使わざるを得ないはずです。例えば、経済記事を書くのに、「円高」とか「増税」という言葉をいちいち噛み砕いて説明するのは無理だと思います。

しかしながら、こうした懐疑的な意見は意見として、に読者に分かりやすく書こう、不快な言葉や止めようと不断に努力する姿勢は非常に好ましく思いました。期待します。


【本】知っていますか? 死刑と人権 一問一答

知っていますか?死刑と人権一問一答知っていますか?死刑と人権一問一答
(1999/12)
アムネスティインターナショナル日本支部

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「はじめに」より引用します。

この本では、アムネスティ・インターナショナルがこれまでに受けた死刑に関する多くの疑問や質問のなかからいくつかを選んで、それに答えるという形で、私たちがなぜ死刑に反対しているかを述べています。


私は、死刑に賛成でも反対でもありません。仮釈放のない終身刑ができるなら死刑制度は廃止してもかまわないと思っています。死刑廃止論者の理由を確認するために読んでみました。


P10より引用します。

「国民の多くが死刑を支持している」ために今すぐ死刑を廃止することがむずかしいとしても、死刑の執行を停止して死刑存廃の議論を深め、死刑廃止に向けた環境をつくっていくことは可能なはずです。


死刑廃止論者に感じる最大の疑問はここにあらわれています。正当な裁判で確定している死刑の執行を、手続きを無視して止めろ、という主張です。死刑を廃止すべき、と考えているなら堂々と刑法を改正する運動を起こすべきです。


P11より引用します。

一方、日本の刑法には「終身刑」という刑罰はありませんが、「死刑」に代わる刑として、現在注目されています。世論調査などによれば、「牢獄から生涯出られない終身刑が認められれば、死刑を廃止してもよい」という意見もあります。しかし、「長期間かけて執行する刑であり、結局は死刑と同じである」「仮出獄なしは、希望をすべて奪う点で残虐である」という反発も存在します。そこで恩赦による減刑を制度化した終身刑や、仮釈放許可期間を十五年、二十年に設定できる無期刑はどうか、という議論も出ています


死刑廃止論者に感じる第二の疑問がこれです。死刑を廃止した後、どういう刑罰がいいのか意見がまとまっていません。とにかく死刑を廃止することだけが一致しているだけです。「議論も出ています」などとひとごとのように言うのではなく、自分はこのように考えていると打ち出すべきです。


冤罪の可能性など、確かに死刑廃止論者のいうことには耳を傾ける必要はあります。しかし、彼らの主張はとにかく死刑を廃止しさえすればいい、というようにしか見えません。これが、死刑には賛成でも反対でもない私が読んだこの本の正直な感想です。


【アニメ】TIGER&BUNNY

TIGER&BUNNY(タイガー&バニー) 1 [DVD]TIGER&BUNNY(タイガー&バニー) 1 [DVD]
(2011/05/27)
平田広明、森田成一 他

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実在の企業をスポンサーという形で登場させる、というのは何でいままで誰も思いつかなかったのか、と思うくらい素晴らしいアイデアでした。ペプシはキャラクター(ブルーローズ)を出演させた実際のCMをうっていました。これも現実とアニメを交錯させた発想で、私の中ではペプシの好感度が上がりました。

気になったのは、ネクストが迫害されているのか、受け入れられているのかはっきりしていないことです。ヒーローは特に迫害されずに生きてきたようですし、悪人は迫害されていたようです。一方は育った環境が良かったから社会を守るヒーローになり、もう一方は迫害されたがゆえにアウトローとなった、というのは分からないでもありません。しかし、受け入れる人と迫害する人が分離して生活しているわけではないはずです。ヒーローも昔は心無い仕打ちをうけていたかもしれませんし、悪人も親切にされたことがあったかもしれません。ここら辺を掘り下げてくれると、キャラクターにも舞台設定にももっと深みが出たと思います。

ウロボヌスの件も、ルナティックの件も決着がつかないままでした。二期を作る気があるのでしょうが、何の結論も出さずに終わったのはちょっと残念です。

全体としては良作でした。

【テレビ】IS 男でも女でもない性

IS(アイエス)~男でも女でもない性~DVD-BOX(5枚組)IS(アイエス)~男でも女でもない性~DVD-BOX(5枚組)
(2011/11/25)
福田沙紀、剛力彩芽 他

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ISについては両性具有とかアンドロギュヌスという名で認識していました。笠井潔の「薔薇の女」を読んでいたためです。その影響で両性具有(IS)については実在の人間というよりは神話的な存在というイメージを先行して持っていました。
薔薇の女―ベランジュ家殺人事件 (創元推理文庫)薔薇の女―ベランジュ家殺人事件 (創元推理文庫)
(1996/06)
笠井 潔

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このドラマは人間としてのISの物語です。

ドラマですので、ストーリーの出来やら役者の演技を評価するのが常道だと思います。一例を挙げれば、物語の途中でISのネットワークを主催している人が登場しましたが、特になにをするわけでなくいなくなってしまいました。これは不自然です。しかし、そうした欠陥を欠陥だと言いつのっても、本作を正面から論じることにはならないと思います。題材が特異なものだからです。

作品テーマに即して二点指摘します。

一点目。主人公の春が校内放送で自分がISだと打ち明けるのには驚きました。秘密を持つことと嘘をつくことが違う、と思うのは思春期を過ぎた大人の感覚なのでしょうか。たしかに思春期だと男女間の恋愛が感情生活の多くを占めますので、ISである、ということは想像を超えた悩みなのでしょう。これについてはおかしいとか納得できるとかいうことさえできません。

二点目。最終回で春の母親が春を諭すシーンには感銘を受けました。学校との約束を破って、ISであることを校内に打ち明けたために、春は退学寸前になっています。その時、母親は春に対して、退学になったとしてもそれは学校との約束を破ったからであって差別が理由ではないと言います。実に条理にかなった考えだと思いました。

非常に意義深いドラマだったと思います。このドラマのおかげで世界が少し広がったような感じさえしてきました。

【朝日新聞】投書:看護師の労働環境の改善を

9月19日 朝日新聞朝刊の投書欄に現職の看護師の方からの投書が載りました。岡山市の42歳の女性のものです。

引用します。

6日の社説で、外国人看護師について「『人の開国』を大胆に」と論じていたが、私には納得できない。
看護師は専門職に見合わない低い給料、夜勤があるための不規則な生活など、劣悪な労働環境になる。きつい、汚い、危険、暗い、くさいの5K職場だ。それでも頑張りたいと願っても、子どもができれば夜勤ができなくなり、離職せざるを得ない人が多いのが現状だ。
看護師として働きたくても働けない有資格者はたくさんいると思われる。政府はまず、こういう問題を解決するのが先ではないか。外国人看護師が大量に入ってくれば、低賃金で働き、しかも夜勤をこなし、最初は良いかもしれない。しかし労働環境が改善されないままでは結局外国人の方々も離職してしまうのではないか。外国人看護師を論じる以前に、今の労働環境を改善してほしい。


外国人看護師については、私も以前にとりあげています。
【朝日新聞】社説:外国人看護師―「人の開国」に向け改革を
【朝日新聞】EPA看護師候補に光を

現場の看護師の方からの意見ですので、これは重く受け止める必要があります。「危険」と「暗い」は、どういうことなのかよく分かりませんが・・・・・・

看護師の不足を外国人労働者でおぎなおう、という発想は安直です。なぜ不足しているのかを考えなければ対策になりません。投書子の指摘するように、働けない有資格者が働けるように改善するのが先決でしょう。

外国人看護師の問題は、看護の仕事がどうあるべきかを中心に考えなければなりません。貿易の取引材料にしたり、友好関係樹立の道具にしたり、というのは正しい考えとは思えません。

【アニメ】異国迷路のクロワーゼ

異国迷路のクロワーゼ The Animation 第1巻 [Blu-ray]異国迷路のクロワーゼ The Animation 第1巻 [Blu-ray]
(2011/09/21)
東山奈央、近藤隆 他

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これは面白かったです。

全体に温かいムードに包まれていますが、登場人物はそれぞれ過去を背負っていますし、金持ちと貧乏人の差も描かれていますので、現実を無視したほんわか作品ではありません。

当初は、時代背景からいって、人種差別も描かれるのかと思っていましたが、そこまではありませんでした。後から振り返ると、これはやらなくて正解だったと思います。

キャラクターはみな魅力的でした。また、パリの街と湯音の和服という取り合わせは一見不自然でありながら、次第に違和感がなくなりなじんできました。

不満を言えば、1クールで終わってしまったことくらいです。

【アニメ】NO.6

NO.6 VOL.1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]NO.6 VOL.1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
(2011/09/21)
梶裕貴、細谷佳正 他

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原作は未読です。

あまり面白くありませんでした。視聴打ち切りの機会を失って、ずるずる最後まで観てしまいました。

まず、社会の設定がおかしいです。

ディストピアものらしいのですが、管理社会(No.6)も非管理社会(西ブロック)も、まともに描けていません。管理社会のNo.6内でも、個人営業のパン屋がのんきそうに営業できて、人間的に幸せな人はいっぱいいそうです。西ブロックも特別弾圧されているような気配はなく、貧しくとも元気に暮らしています。第九回で西ブロックの弾圧(人狩り)がおき、なるほど迫害されているのだな、とわかりましたが、唐突すぎて、作劇上の都合にしか見えませんでした。

次にストーリー展開です。偶然古着屋でガールフレンドの服を見つけて危機を察する、というのは失笑ものです。他の展開もこれと大同小異です。

シオンとネズミがキスするシーンも唐突でうんざりします。必然性があればまだわかるのですが、ただのウケ狙いなのでしょう。
最後になにもかも爆発させて終わりにするというのも、実に安易な結末です。まじめに考えて作ったのか、疑わしくなります。

少しでも良い点を探して書きたいのですが、残念ながら、見つかりませんでした。


【アニメ】うさぎドロップ

うさぎドロップ 【初回限定生産版】 Blu-ray 第1巻うさぎドロップ 【初回限定生産版】 Blu-ray 第1巻
(2011/10/28)
土田大、松浦愛弓 他

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原作は未読です。

ほのぼのとした話でした。人格破綻ぎみの母親が娘を捨てた話なので陰鬱になってもおかしくないのに、女の子(りん)の明るい性格のせいか、むしろほのぼのとした話になっていました。

原作者は女性漫画家で、作中で娘を捨てた母親も漫画家です。自身を完全に投影しているわけではないでしょうが、ある部分は自画像になっているのでは、と思います。

出だしで違和感があったのは、りんの血縁関係について誰もきちんと調べた形跡がないことです。年寄りの子供、というのは疑われてしかるべきなのですが、誰もがすんなり受け入れているのが不自然です。DNA鑑定をした、とかの描写が必要だと思いました。大吉がりんを養育することを役所が認めているのですから、戸籍には入っていたとは思いますが、説明がないのが不満です。

それに関連して、あの祖父さんの遺産相続はどうなったのでしょうか。いくらなんでも、りんを無視するような無法は通らないと思います。作品のテーマとは違うから無視したのでしょうか。

テーマに関連して言えば、りんが良い子過ぎるのがもの足りなかったです。子供が悪いことをした時にどうやって叱るか、というのはいきなり子育てを始めた大吉には非常に難しいはずです。そういう話が一個くらいあっても良かったかと思います。

アニメとしては異色の題材ですが、うまく料理してくれました。絵柄も合っていました。良作です。


【朝日新聞】朝鮮活字と日本

9月15日 朝日新聞夕刊の「窓:論説委員室から」のコーナーで「朝鮮活字の日本」という一文が掲載されました。引用します。

豊臣秀吉の侵略で朝鮮から日本が奪った陶磁器の技術は江戸時代に輸出産業として花開いた。半面、同様に朝鮮から得た金属活字による印刷技術は目ぼしい発展がなかった。
高麗王朝時代に発明された金属活字は、後継の朝鮮王室も振興した。刷り上った書物は美しく、中国や日本でも珍重された。そして、略奪の対象になった。
日本では徳川家康が朝鮮活字に倣った駿河版活字で書物を発行させたが、すぐに失速。手彫りの木版による印刷物が江戸の世を席巻する。
当時の金属活字は大量の印刷には耐えられなかった。流麗な続け文字と挿絵を一体で構成するビジュアル化に不向き、幕府の版元取り締まりに不都合―――さまざまな理由があったらしい。
ただ、活字印刷をシステムとして発展させる力が、職人技を組み合わせて世界に誇る浮世絵の世界までも現出させた「ものづくり力」に比べて弱かったから、とも思える
アナログに固執してデジタル革命に乗り遅れたように、現代の日本の産業も「ものづくり力」が強いために、新しいシステムを軽視し、古いシステムに安住する癖がある。そして技術で勝ち、商売で負けている。
ものづくり神話は私たちの視野を狭くする。円高に勝つためにも、重々わきまえたい。
<川戸和史>


現代の日本は、技術が高いが故に革新的技術に乗り遅れる、そして同じことがかつて金属活字の受け入れで起きていた、という指摘です。事実であるなら、歴史の教訓だったり暗合だったりと興味深いものがあります。

しかし、残念ながら、そう思うのは早計です。木版技術の精巧さが金属活字の発展を妨げた、というのは、あくまで「とも思える」という、(おそらく川戸氏の)思いつきに過ぎません。

歴史が繰り返されるという話の骨格が、根拠のない思いつきでは、面白くもなんともありません。

【朝日新聞】日本の先生、働き過ぎ? 事務作業長く OECD調査

9月14日 朝日新聞朝刊 社会面より

引用します。

日本の先生は先進国の中で勤務時間が長いことが、経済協力開発機構(OECD)が13日に発表した調査結果から明らかになった。ただ、長いのは授業ではなく、事務作業の時間。負担が重い一方で給与は減る傾向にあり、教員の質を確保する手立てが課題になっている。
 調査によると、日本の小学校の先生の勤務時間は、2009年の時点で年間1899時間。データのある調査対象国21カ国の中で米国に次いで2番目に多かった。ただし授業に費やす時間は707時間で、OECD加盟国の平均を72時間下回っており、授業以外の事務作業などの時間が勤務時間数を押し上げていることがうかがえる。
 一方で給与をみると、05年の水準を100とした場合、平均は7ポイント上昇していたのに対し、日本は5ポイント下がっている。OECDの調査担当者は「日本は仕事の負担は重いが、報酬は恵まれていない。優秀な人材が集まり教員の質を上げるような対策が必要」と話す。


おかしな記事です。

教員を目指す人間が、日本でなろうか、フランスでなろうか、などと悩むはずがありません。日本の中で、教員になろうか別の職業を選ぼうかと悩むのです。

また、年間1899時間の労働時間は決して多いとは思えません。厚生労働省の資料によれば、日本の平均以下です。

同じ資料から、日米の順で労働時間が長くて仏独が少ないのは、教員に限ったことではないのがわかります。

給与水準も同じです。日本の教員が5ポイント下がったと、OECD諸国と比較しても意味がありません。日本のほかの職業との比較が重要です。さらに言えば、05年からの相対比較データだけを出すのは恣意的です。給与総額で比較するのが普通だと思います。

そもそも、このOECDの調査担当者って何者なのでしょう。もしかして、日本での調査を依頼された教員だったりするのではないですか。

「OECD調査担当者」なる者の言うことを咀嚼もせずにそのまま書き写しただけの記事のように見えます。


【時事問題】鉢呂前経産相発言について

鉢呂経産相は、副島第一原発周辺を「死のまち」と表現し、陳謝、撤回しました。また取材中の記者に「放射能つけちゃうぞ」と、服をなすりつけるような仕草をし、この責任をとる形で辞任しました。

この件に関し、9月13日の朝日新聞朝刊オピニオン欄で、写真家藤原新也氏が次のように書いています。

(前略)
今、マスコミはその矛先を本丸ではなく、あさっての方向に向けている。鉢呂吉雄前経済産業相の問題がよい例だ。副島第一原発の周辺を「死のまちのようだった」と話したことの、どこがおかしいのか。ありのままだ。死という言葉が副島県民の神経をさかなでする、という差別用語への過敏が、事実すらも排除してしまう。「放射能つけちゃうぞ」という記者との瑣末なやり取りを、重箱の隅をつつくように記事にする神経も尋常ではない。まるで小学校の反省会の「言いつけ」のようなものだ。胆力の衰えた幼稚な報道で能力未知数の政治家たちどころに消えるのは、国民にとってただただくだらない損失だ。
(後略)


また、同日の投書欄にも同じ主旨の投書が載っていました。神奈川県鎌倉市在住の無職70歳の男性のものです。

(前略)
「残念ならが市街地には人っ子一人いない。まさに死の町という形だった」という発言は、深刻な事実を素直に表現しただけではないか。言葉の裏にも避難民を侮辱する気配はみじんも無い。ではチェルノブイリ周辺を「死の町」と報じたメディアはなかったのか、「放射能つけちゃうぞ」も非公式な場でじゃれただけの話ではないか。
(後略)


「死のまち」発言については、私も両氏と同じ考えです。この程度の発言を問題視していたら、政治家は表面的な言葉しか使えなくなります。それは民主主義にとって不幸なことです。

ただし、「放射能つけちゃうぞ」に関しては、両氏とは違う意見です。「幼稚」なのは報道ではなく、鉢呂氏の方です。なぜ経済産業大臣が記者に「じゃれる」必要があるのかさっぱりわかりません。政治家と記者の関係は友達ではありません。緊張感に欠けています。そして、このように緊張感に欠けた人間は政治家として能力なしだと思います。

失言が理由で大臣をクビになった人は何人もいますが、記者に悪ふざけをしてクビになったのは鉢呂氏だけではないでしょうか。

【言葉】敬語:JR北海道社長失踪に関する記者会見より

昨晩、JR北海道の社長が失踪したことに関して、同社の重役(常務だったと思います)が記者会見をしているのをテレビで見ました。驚いたことに、この重役は自分の社長の行動を記者に説明するのに敬語をつかっていました。「さまざまな形でのご苦労、ご心労が重なっていたことは事実かと思います」と言った具合です。

言うまでもないことですが、外部に向かって喋る場合、自分の上司のことでも敬語をつかってはいけません。私は、これができない社会人をいままで見たことがありませんでした。今回のJR北海道の重役がはじめてです。

ある程度の年齢で、しかも世間的には尊敬されるべき地位にあるにも関わらず、このざまです。この人個人に問題があるのか、JR北海道という会社に問題があるのかわかりませんが、ただただ驚き、あきれました。

【映画】インシディアス

原題: INSIDIOUS
製作年度: 2010年

ホラー映画です。

出だしは伝統的なホラーという感じで快調に進んでいきます。結構怖い映像もチラチラ見せて大いに盛り上がりました。

しかし、クライマックスがよくありません。父親が息子のために頑張るという展開はひどくありきたりで、ただのアメリカ映画になってしまいました。

幽霊もぞろぞろ出てくると、怖いという感じがしなくなります。

また、締めもよくありません。普通のホラー映画では面白くないと思ったのかひねりを加えたのでしょうが、これが蛇足です。意味のわからないオチになってしまいました。

もう一つ気になったのは聖職者の扱いです。登場して少し相談に乗っただけで帰っていきました。幽霊に負けたとかいう意味のある役割はありません。ただ帰っちゃっただけです。一体、何だったのでしょうか。ひどく不思議でした。

全体としては、ちょっと残念な出来でした。

【朝日新聞】論説委員室から:松下政経塾

9月9日 朝日新聞夕刊の「論説委員室から」より引用します。

野田佳彦首相は松下政経塾の卒業1期生だ。玄葉光一郎外相、前原誠司政調会長ら、いまの政権の内閣、党幹部に塾出身者が目立つ。
塾はパナソニック(旧松下電器産業)の創業者故松下幸之助氏によって1979年に創設された。OBの政治家は70人を超えるという。
20年以上前、神奈川県茅ヶ崎市にある塾を取材した。地盤も看板もない若者たちが、政治の未来に希望を抱いていたのが印象的だった。
塾生たちは寮生活をしながら、松下での販売研修や山中鍛錬に汗を流していた。そこから深い政治哲学を学び取ったかは不明だが、政治家への志は強まったのだろう。商売に誠意を尽くしながらも心の中のそろばん勘定は忘れない。そんな商人道も会得したのではないか。幸之助の薫陶を受けた野田首相の低姿勢ぶりを見て、そう感じる。
とはいえ同じ塾の卒業生が各政党の議員名簿に並ぶのは特異なことだ。しかも似たような「保守政治家」が多いように見受けられる。
欧州では政治家の養成は主に政党が担っている。ノルウェーで不幸なテロ事件が起きたが、舞台となったのはある政党の青年集会だった。
政治家をめざす若くて優秀な人材が求められている。松下政経塾のほかにもさまざまな人材育成ルートを育てていきたい。
<脇坂紀行>


「深い政治哲学を学び取ったか」は、他人の内面ですので「不明」だ、と言っているのでしょうか。違います。その直後に「政治家への志は強まったのだろう」と内面を断じています。つまり、塾生は「深い政治哲学を学び取っ」ていない、と言っているのと同然です。

さらに「そろばん勘定は忘れない」と毒づいています。なんでそんなことを言うかといえば、「野田首相の低姿勢ぶりを見て、そう感じ」たそうです。妄想に近い推測です。

また、唐突に、欧州では政党が政治家の養成をしている、と紹介します。なら日本の政党(おそらく保守でない政党)がやるべきことをしていない、と言うのかと思えば、違います。あくまで「さまざまな人材育成ルーツを育てていきたい」とのことです。

脇坂氏の論は支離滅裂でなにが言いたいのかはっきりしませんが、唯一わかるのは「松下政経塾」が気に入らない、ということです。

個々の政治家を批判するのはよいのですが、出身母体をひとくくりにするのは意味がないように思います。百歩譲って「松下政経塾」出身政治家をひとまとめに評価するのを認めたとしても、このような卑しさを感じさせる文章では、おおかた読者は納得しないでしょう。


【朝日新聞】9.11の教訓 公の議論が過激主義消す

9月9日 朝日新聞朝刊オピニオン欄より

ニューヨーク・タイムズ・シンジケート配信記事の前米国務長官コンドリーザ・ライス氏の文章の抄訳です。9.11の総括です。

引用します。

(前略)
あの日、政権を担っていた私たちにとっては、時が止まったかのようだ。何が安全保障を構成し、国を守るために何が必要とされるか、私たちの意識は決定的に変化した。地球上で最大の武力と経済力をもつ米国が、破壊的な攻撃を受けたのである。実行したのは国家をもたない過激派組織で、当時破綻国家だったアフガニスタンの国土から指揮されていた。
攻撃から何カ月もの間、私たちは根底にある原因について何度も考えた。あの9月のよく晴れた日に飛行機をビルに激突させるほどの憎悪を生んだのは、一体何なのだろうか。
あれから10年が経ったいま明らかなのは、9.11後、世界的に民主主義を後押しすることと政治体制を支えることが求められているということだ。
(中略)
9.11で私たちは、どの国も孤立して自国の安全を守ることはできないことを知った。そして、破綻国家の再建を支援することは、もはや援助ではなく、必要なのだ。
米国が推し進めている外交政策は、相手国の立場に立って変革を促すと同時に、現実的なものである。すなわち、経済社会開発を促すとともに、弱者の保護と権利拡大を推進する。そして、文明的で最終的により平和な世界になるよう力を注いでいるのである。
米国には不屈の精神がある。9月11日は、敗北や、弱さや、世界超大国の没落という考えを思い出す日ではない。悲劇と勝利の中で力を結集し、自由が世界に広がると宣言する日なのである。


ライス前国務長官は、わりあいにバランスのとれた考えをする人だと思っていました。そのライス氏でさえ、このような“アメリカ万歳”の主張を叫ぶことには暗然とします。

「飛行機をビルに激突させるほどの憎悪を生んだのは、一体なんなの」かは、米国が首謀者を処刑してしまったため真相は分かりませんが、おそらく米国が他国に好き勝手に介入したのが原因だと思います。

弱者保護も権利拡大も民主主義も結構なことなのですが、他国から干渉は、それ自体が嫌がられます。そもそも民主主義が定着すると親米になると、能天気に信じているところからして理解できません。


【朝日新聞】世界は変わったか:「開かれた社会」に分断の影

9月8日 朝日新聞朝刊オピニオン欄より
9.11同時多発テロから10年後。この10年を振り返って三人の論者の意見が載りました。そのうちの一人、ノルウェー元首相トールビョルン・ヤーグラン氏の意見を見てみます。

ヤーグラン氏は今年7月のノルウェーでのテロとともに9.11を論じています。社会の規制ではなく、「開かれた社会」を守り、高い倫理感を保つことでテロを防げる、と指摘しています。

引用します。


今年7月、ノルウェーでおぞましいテロが起きた。「穏やかで、平和で、寛容な国でテロなんて」と世界は驚いた。容疑者は現実と異なる社会に住んでいた。ネットを通じて、同じ価値観を共有する人とだけ対話していた。移民やイスラム教徒を追い出し、キリスト教徒だけが住む純粋社会を夢見た。バーチャル社会の中で「自分こそが正しい」と確信していた。
一方、イスラム社会の一部にも同じ構造が見出せる。自分たちの価値観に依拠した法律を求める勢力だ。外国人を追い出し、イスラム教徒だけの社会を目指す。
だが、宗教そのものがテロを生んだわけではない。冷戦が終わって資本主義と共産主義の対立が解消し、人々はよりどころとして固有の宗教や民族性、文化との結びつきを求めた。グローバル化は多くの有益なものをもたらしたにもかかわらず、宗教・民族上の他者を「敵」と見なす風潮を生んだ
(中略)
チェニジア、エジプト、リビアなど欧州の周辺地域に市民社会を築く手伝いをする。自らテロの標的になっても「開かれた社会」の看板を下ろさない知恵を絞る。ネット上での過激な意見を法律で規制するのではなく、個人がその発言にきちんと責任を負う文化を定着させる。それがテロを防ぐために欧州がなしうる貢献だ。


ヤーグラン氏は間違っていると思います。

そもそも「宗教・民族上の他者を「敵」と見なす」のは冷戦が終結してからではありません。人類は歴史のはじまりから宗教・民族上の他者を敵としてきました。明らかな事実誤認です。

また、「きちんと責任を負う文化」を定着させるとテロが防げる、というのも無理があると思います。提案に具体性がないこともありますが、どんな社会をつくろうとそれに不満をもつ人をなくすことはできません。

ノルウェーのテロに関して言えば、問題にすべきことは、個人が簡単に武器を集められたことです。火器や爆弾さえ入手できなければ、あれほどの大規模なテロにはならなかったはずです。

考えの足りない人間を教導してやるべきだ、といった意見を言うのは気持ちがいいかもしれませんが、有効な対策とは思えません。


【朝日新聞】アメリカは帝国か

9月7日朝日新聞朝刊 オピニオン欄で「アメリカは帝国か」という論題で、東京大学教授と藤原帰一氏と早稲田大学教授の田中孝彦氏が意見を述べています。

朝日新聞は「帝国」を定義していませんがが、藤原氏は次のように考えています。「軍事力で圧倒的な優位を背景に、単独で決定・行動し、他国の追随を当然視する国家」と。田中氏もこの定義からはずれていないと思います。

藤原氏は、アメリカは帝国だと考えています。田中氏は、ブッシュ2期目から帝国として振舞うことを止めたと考えています。そして両氏ともイラク戦争が論考の中心にあります。確かに、英国や日本など少数の同盟国の賛成だけでイラク戦争を始めたアメリカは、「帝国」だったのかもしれません。

しかし、この手の議論は少し古いように感じます。つい最近、南沙諸島関係では中国が近隣諸国に対して傲慢な振る舞いをしていましたし、リビアの騒乱ではヨーロッパ諸国が勝手に軍事介入していました。横暴なアメリカに世界が困っている、という図式は現在では当てはまらない、と思います。

4~5年前ならいざ知らず、イラク戦争を肴にしたアメリカ「帝国」論はすでに古すぎます。

それとは別に、田中氏の一節を引用します。

(前略)
一方、学ばなかったのが小泉政権の政策決定者たちではないでしょうか。アメリカを帝国のイメージで見ていたのでしょう。ついていかなくちゃいけない。日本には北朝鮮の脅威がある。見捨てられたら大変だ、という恐怖感にとらわれているようにも見えました。
彼らが複雑な国際政治の構造について、もっと正確で妥当なイメージを持っていれば、あんなに単純についていくことはしなかったでしょう。非常に単純な図式でしか見ていなかったといえます。
アメリカに「捨てられるんだったら、捨ててみろ」といってみたらどうだったんでしょう。これだけ相互依存が進んでいる現在、見捨てることなどできないはずですから、日本もアメリカも。


いまだに鳩山元首相のような能天気なことを言っている人がいることに驚きました。

【朝日新聞】投書:娘と格闘した夏休みの宿題

東京都町田市の財団法人職員37歳の方の投書です。新聞には実名が載っていますが、このブログでは名前はふせます。

夏休みも終盤に入った休日、小学3年生の娘が、切羽詰まった様子で、算数と国語の宿題を手伝って欲しいとお願いにきた。妻に子育てを任せていた反省と、子ども時代、親に宿題を手伝ってもらっていた記憶がよみがえり、「よしっ、わかった!」と自信をもって喜んで了解した。
ところが、安請け合いした後に大きく後悔することになった。例えば算数。リットルとデシリットルに関する問題について、自分では理解していても、説明するとなると非常に難しい。
娘から矢継ぎ早に飛んでくる質問にうまく答えられず、当初の自信がしぼんでいく。国語も同様で、普段、パソコンに慣れきっているせいか、簡単な漢字さえもなかなか頭に浮かんでこない。
数時間に及ぶ共同格闘を終えた後、娘以上に充実感でいっぱいになった。2人で机に向かい、必死に考え、答えを出すのはとても新鮮だった。来年こそは、余裕をもって娘と向き合うことを、私の当面の課題としたい。


この財団法人職員さんは、うれしそうに娘の宿題を手伝ったことを全国紙で発表しています。いちいち書くのも馬鹿馬鹿しいですが、そもそも子供の宿題は子供がやるものです。親が手伝ってはいけません。しかも実名と年齢職業大まかな住所つきです。

こんな投書をすれば、娘さんの友達に目ざとい子がいれば気がつくかもしれません。本人が恥をかくのは勝手ですが、家族を巻き込むべきではありません。

よく、こんな危ういことができるなあ、と思いました。


【本】民主の敵 政権交代に大義あり

民主の敵―政権交代に大義あり (新潮新書)民主の敵―政権交代に大義あり (新潮新書)
(2009/07)
野田 佳彦

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野田新総理が2009年6月(麻生政権時代)に出版していた本です。

まだ野党時代の民主党が、政権奪取に向けて、なぜ自民政権ではだめなのかをつづっています。その数ヵ月後の選挙で政権交代が実現します。当然のことですが、今となって読むと苦笑せざるをえない記述もあります。それをあざ笑おうとは思いませんが、わずか2年前の本ですので検証してみることにします。

■選挙なき総理交代について
P82から

小泉さんが選挙で勝った後、安倍、福田、麻生と三人も、民意を反映していない総理大臣が続いてしまいました。間接民主主義の建前からみれば、議員内閣制という制度の中では、違法な政権とまでは言えません。しかし、これだけ時代の変化が激しいときに、民意の裏づけのない政権が、国の舵取りをし続けるということでいいはずがありません。


皮肉なことに野田氏自身が民意を反映していない総理になってしまいました。この件で自公政権を攻撃したのは野田氏だけではありません。民主党が一丸となって言っていたように記憶しています。この件につて民主党からコメントがないのはいぶかしく思います。

■道路行政について
P18では、自民党の道路政策について語っています。

もちろん、この「道路イズ政治」を支持してきた、その仕組みに乗っかってきた国民を多数いたわけです。田舎になればなるほど、その度合いは深かったでしょう。ある時までは、それでよかったことは否定しません。国家の成長と国民の幸福のためにそういう政治が求められた時代に、もし私が政治家だったとしたら、票のために利益誘導はしたくはありませんが、地元の発展のために必要な予算を引っ張ってくるという選択をしていたかもしれません。ただ、それは、あの時代の政治判断としては、ということです。
忘れてはならないのは、一度作ったシステムが、永続的に有効に機能すると考えるのは、幻想でしかないということです。時代に合わせた軌道修正を怠ったところに、自民党の今日の問題があるわけです。


過去の政策は否定しないが、時代が変わりその変化に自民党がついていってない、という主張です。
一見もっともな主張ですが、時代が変わったということを客観的に評価する基準を示していないのは難点です。これでは、まだ道路が必要だ、という意見に理屈では抗しきれないでしょう。

■田母神論文について
P137から

自衛官の持つフラストレーションについては、親父のこともあるので、普通の人以上によくわかっているつもりです。しかし、それでも田母神俊雄前航空幕僚長については、やはり私は評価できません。
田母神さんは、現役の幕僚長の立場でありながら、民間企業に「日本は侵略戦争などしていない」という主旨の論文を送ったことが問題とされました。私自身は、歴史認識については、タブー視せずに見直していかなければならないという立場です。しかし、幕僚長という極めて専門性、戦略性が問われる立場にいて、何であの時期にあんな論文を書いたのかが問題なのです。
自分の立場であのような発言をすれば政治問題化するのではないか、という見通しがなかったのだとしたら、航空自衛隊の制服組のトップとしての戦略眼を疑わざるを得ません。正直、幕僚長がこれほどそそっかしい人でいいのか、と不安に感じた方も多いのではないでしょうか。


タブー視しないという立場ならば、政治問題化したら田母神氏の言論の自由を擁護すべきです。それを、見通しが甘いからダメと、からめてから非難するのは少し卑怯だと思います。また、戦略眼があれば、騒ぎが起きるまえに政治問題化すると予測できた、というのも無理があります。結果論だと思います。

■小泉元総理
本書のあちこちで小泉元総理について触れていますが、どれも歯切れの悪いものです。それは小泉氏の政策が、「道路行政」を典型とする古い自民党とは違うものだからなのでしょう。民主党が(もしかしたら現在の日本の政治家全部が)小泉氏の評価を定め切れていないようです。

■赤城大臣
P178から

あの参議院選挙勝利の要因は大きくわけで三つあると思います。相撲でたとえれば、殊勲賞は何と言っても長妻昭さんの指摘した「消えた年金」問題。
小沢さんは敢闘賞だと思います。(中略)
技能賞は絆創膏大臣、赤城徳彦さん。あの絆創膏を、あのようなタイミングであのように顔に貼る技能に、日本中がしびれたわけです。


本書のほかの記述は誠実さのあらわれなのか不快なものはありませんでした。しかし、ここの赤城氏への意地の悪い皮肉は突出していました。すこしギョッとしました。どちらが本当の野田さんなのでしょうか。

■総論
自民党だけが政権についているのはよくないからとにかく政権交代を実現しよう、と主旨です。その意見に多くの有権者が賛成し、政権交代がなりました。

いずれ、民主党は敗北し政権を追われるでしょう。問題はその次です。再度政権を奪取するためには、この程度の理屈ではもう有権者はのってくれないでしょう。本書「民主の敵」を越えられなければ、民主党に未来はないでしょう。

【朝日新聞】同時テロ10年 ブッシュ氏のエリートパニック

9月4日 朝日新聞朝刊 オピニオン欄より

アメリカ米同時テロ10年の節目に合わせたかのように8月末、チェイニー前副大統領の著作「わが時代」が刊行された。この機に、ブッシュ前政権を支えた人々の回顧録を7冊買いそろえ、一気に読んでみた。
 副大統領の本のほかに、ブッシュ大統領の「決断のとき」、ラムズフェルド国防長官「周知の事実と未知の事実」、リッジ国土安全保障長官「試練の時」、ローブ補佐官「勇気と結末」。あわせてローラ大統領夫人の「真心からの言葉」と母親バーバラさんの「回想」も斜め読みした。
 女性ふたりの著書は飾らない筆致で好印象だったが、男性陣の5冊は題名だけでなく中身も脂っこかった。共通するトーンは過剰な雄々しさ、みなぎる自画自賛。立て続けに読むとちょっと胸焼けがする。
 とりわけ興味深かったのはテロ当日の大統領の慌てぶりとその釈明である。
 《朝》大統領はフロリダ州の小学校を視察中だった。補佐官からテロ発生を伝えられ、取材陣の目の前で動揺する。ところが大統領の回顧録によると、自身は冷静だったという。〈危機管理の第一は平静さ。私がショックに陥ってはいけない。慌てたらパニックの波を国中に送ってしまう〉と自制したそうだ。ものは言いようである。放心し、恐怖にとらわれるまでの一部始終が放映されたことをお忘れらしい。
 《昼》大統領はなぜか首都へ戻らず、10時間あまり雲隠れした。副大統領の本によると、「首都に戻ると危ない」と大統領を諭し、遠くネブラスカ州で退避させたそうだ。どう考えてもあの局面で大統領が身を隠すのは賢策ではない。「臆病」「役立たず」と批判されたゆえんである。
 《夜》ようやく首都に戻り、大統領は眠りについた。まもなく「敵機襲来」の声に起こされる。夫人の回顧によると〈大統領は、近視の私にコンタクトを着けるいとまも与えず、寝間着のまま2人で階段を駆けおりた〉。敵機でなく米軍機と判明するのだが、その動転ぶりたるや尋常ではない。
 こうしてみるとテロ初日、ブッシュ氏は朝から晩まで逃げてばかりいた。まるでパニックに陥っていたかのようだ。
 大災害でパニックを起こすのは一般大衆ではなく、権力を持つエリートの方だという研究がある。米災害社会学で「エリートパニック」と呼ばれる現象だ。
 日本でも大震災の後に散見された。どなりちらす首相、放射線情報を隠す原子力当局、乱立した政府対策本部。どれもパニックと言ってよい迷走ぶりだった。
 この分野に詳しい米コロラド大学のキャスリン・ティアニー教授を訪ねた。
 「大衆は危機に直面するとパニックを起こすもの、と思い込んだ政府機関の長たちが恐怖にとらわれ、自らパニックに陥る現象です。安全じゃないのに『安全です』と繰り返す。手にした有益情報を隠す。はては被災者に銃を向けることもある」。6年前、ブッシュ政権が「秩序回復のため」と称してハリケーン被災地に部隊を投入したのが典型という。
 米国の災害学者たちは、地震やテロなど数十年分の惨事における大衆の動きを調べ「市民の圧倒的多数はパニックなど起こさない」という結論を得た。ティアニー教授自身、95年には神戸を、今年6月には東北を実地調査に訪れ、被災者がいかに冷静だったか学会で発表している。「むしろ問題が多いのは公的機関の動きの鈍さや連携のなさ。どの国でも、国難に直面して動転し、機能しなくなるのはエリート層です」
(後略)
朝日新聞・山中季広(ニューヨーク支局長)


キャスリン・ティアニー教授によればエリートパニックとは「大衆は危機に直面するとパニックを起こすもの、と思い込んだ政府機関の長たちが恐怖にとらわれ、自らパニックに陥る現象」のことです。テロがあった日に、放心したり、恐怖にとらわれたり、首都にもどらなかったり、味方機を敵機と間違えて避難したり、というのはエリートパニックとは違うことのようです。

「エリートパニック」という言葉は置くとして、山中氏のブッシュ前大統領批判は正しいでしょうか。朝昼晩と行動を論評しているので、私も朝昼晩をそれぞれ検証してみます。

<<朝>>
「危機管理の第一は平静さ。私がショックに陥ってはいけない。慌てたらパニックの波を国中に送ってしまう」とはブッシュ氏の内面です。山中氏にも誰にも、それを嘘と断定することはできません。また、実は、慌てていたくせに回顧録で美化するのが許せない、という批判は低劣です。慌てているように見えたことが、どのような弊害をもたらしたのかを論じるべきです。極論を言えば、弊害がないのなら放心しててもかまいません。

<<昼>>
後になって首都に危険はなかった、と言っても始まりません。その時の判断としてどちらの意見が正しかったのかと言えば、やはり政治家である米副大統領の意見だと思います。朝日新聞ニューヨーク支局長が米副大統領より、安全保障やテロ対策に精通しているとは思えません。それでも自身の意見に自信があるなら、根拠を示すべきです。「どう考えても」の一言だけでは根拠になりません。

<<夜>>
米軍機を敵機と見誤ったのは、ブッシュ氏の責任ではありません。当時の状況から考えて用心して避難するのは間違いではありません。また夫人にコンタクトをつけさせるいとまも与えずに避難したのも、なじられることではありません。火事の時に着の身着のままで避難するのを求められるのと同じことです。

後知恵でこき下ろすのは感心できません。


【本】働かないアリに意義がある

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)
(2010/12/21)
長谷川 英祐

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紹介文を引用します。

働き者で知られるアリに、われわれは思わず共感する。
だが、生態を観察すると、働きアリの7割はボーとしており、
1割は一生働かないことがわかってきた。
しかも、働かないアリがいるからこそ、組織は存続できるという!
これらの事実を発見した生物学者が著す本書は、
アリやハチなどの社会性昆虫に関する最新の研究結果を
人間社会に例えながら、わかりやすく伝えようとする意欲作である。


ハチやアリなどの真社会性生物の研究者による一般向けの解説書です。

紹介文を読むとアリの社会の人間社会に置き換えた軽い読み物といった雰囲気ですが、実際はかなりまじめな本です。

真社会性生物の世界は驚くほどの驚異に満ちています。またその特徴は、生物種によって多様で決して一様ではありません。彼らの社会の仕組みが、合理的に作られている部分、現時点で謎の部分を丁寧な解説がされています。

ついには、多細胞生物自体が複数の細胞による社会性生物ではないか、といった驚くべき仮説さえ紹介されます。

興奮の一冊です。

【朝日新聞】小沢さんと組んだわけ

9月2日 朝日新聞朝刊 オピニオン欄に、民主党代表選挙に敗れた海江田万里氏のインタビューが乗っていました。

引用します。

(前略)
-もし、経済評論家でテレビのコメンテーターだった海江田万里さんが今の政治家の海江田さんを見たら、何と言うでしょう。
「まあ、小沢さんの力に頼った傀儡だと言うでしょうね。それが一番コメンテーターとしては受ける発言だし、また使ってもらえるからね」
-政治家・海江田万里は、それにどう反論しますか。
「そういう意見があるということは、よくわかっています、と言うでしょうね。否定してもしょうがないですから」


虚無的な人格の人だなあ、という印象を持ちました。過去の自分の立場を「受ける」ためで、「また使ってもらえる」ためと言い、今の立場も「否定してもしょうがない」といいつくろうことさえしません。

発言が変わることはある程度は止むを得ないことだとは思いますが、この人にはそれを真摯に説明しようという意欲さえないようです。

このような人物が日本の首相にならなくて本当によかった、と思います。

【朝日新聞】西村賢太さん:尻ぬぐいできれば名総理

8月31日 朝日新聞朝刊のオピニオン欄に、「逆境を知る3人」から野田新総理へのアドバイスが載りました。その中で、作家の西村賢太さんの発言「尻ぬぐいできれば名総理」を紹介します。

西村さんは、小沢支持のようです。小沢支持者の考えを知る上での参考になります。

(前略)
首相は海江田万里さんがいいと思っていました。小沢一郎さんの持ち駒でもいい。実態として小沢さんの主導でも、物事が動いていくなら。海江田さんは大臣辞任の時期を問われて泣きましたが、否定的には見ていません。情がある人間だと思う。閣僚目線じゃなく人間目線で対処してくれそうな気がした。
小沢さんは政治とカネの問題などを言われていますが、東北出身だから震災復興にも思いはあるはず。官僚の使い方も知っている。政権運営には小沢さんの使い方がカギになるでしょう。野田さんが、自分を支持しなかったことで遠ざけて反目するのなら、菅さんと同じことになる。不毛な争いに巻き込まれ、迷惑するのは国民です。
ここは、国のためにということで、小沢さんに頭を下げるぐらいの気持ちでやってほしい。大人なんだから利用し合えばいい。変なプライドやメンツを捨てるべきです。


まず、わからないのが「物事が動いていくなら」小沢さんの主導でもいい、という一節です。おそらく、小沢院政の海江田首相だと、日本の何かがが良くなるとい言いたいのでしょう。しかし、何がどのように良くなるのか、それが小沢院政でないとなぜ動かないのか、説明がありません。これでは信者の発言です。

また、海江田氏が泣いたのは、他人に同情してではなく、自分を憐れんでのことです。それは状況を見ればあきらかです。「情がある」とか「人間目線」とかいうのはひいきの引き倒しです。

一番わからないのは、小沢氏が「官僚の使い方」を知っている、という一節です。小沢支持者はさかんにこれを言い立てます。しかし、特に優れて小沢氏が官僚を使いこなせたという実績は知りません。政治家なのですから権力に応じて官僚が動くことはあるでしょう。しかし、特別小沢氏に官僚を使う能力があるとは証明されていないように思います。

西村氏が特別だとは思えません。小沢支持者の言っていることは、総じてこの程度に過ぎません。


【朝日新聞】5000人デモ ネットから火 「韓国番組多い」つぶやき引き金

9月1日 朝日新聞朝刊 社会面より

引用します。

ネット上に投稿された、韓流ブームを批判するひと言が、テレビ局を取り囲むデモに発展する騒動が起きている。ネットから既存メディアへの異議申し立ての性格を帯びる反面、不確かな情報をネタに盛り上がる「祭り」のような危うさも潜む。

(中略)
抗議が目的なのか、ただリアルな充実感を得たいだけなのか、ネットでは9月のデモも予告されている。広告主への抗議を呼びかけ、企業の電話番号リストも流されている。
韓流ブームのきっかけは、NHKが2003年に放映したドラマ「冬のソナタ」だった。以降、各局が競うようにドラマや歌謡曲を流しており、フジテレビだけが特別ではない。名指しの批判には、同局も戸惑う。広報窓口には、「自分たちが偏向しているという認識はない。編成も公正を期している」と反論している(西本秀)


さらに、囲み記事で、ニュースサイト編集者の中川淳一郎さんの話が載っています。

韓流のソフトは安く、視聴率もそれなりに取れる。テレビ局は経済合理性で動いているだけだろう。「偏向」と批判する前に、ネット上の都合のいい情報しか信じない自分たちの方が偏向してないか自問してほしい。
義憤に駆られているのだろうが、結局、暇で韓国が嫌いな人たちに見えてしまう。


私の知る限り、韓国ドラマが多いのだけが理由でデモが起きたわけではありません。韓国とは直接関係のない番組で無理やり韓国ネタを放送することが問題視されているのだと思います。視聴率がそれなりに取れるからドラマ枠を増やした、というので説明がつかないように思います。

それに、テレビ局や雑誌などのマスコミがブームを仕掛けるのは誰もがうすうす知っていることです。ニーズがあるから受身で放映枠を増やした、というのは嘘だと思います。フジテレビの本音はブームを作り出してなにが悪いのか、というものなのでしょう。実際、その仕掛けに乗る人も決して少数ではありません。

しかし、今こうした「仕掛け」に不信感を持ち、声を挙げる人たちが現れてきました。そして、マスコミは彼らへの有効な回答ができないでいます。

もちろん、単なる芸能ブームをあおっているだけなら目くじらを立てることはないでしょう。しかし、決して利害が一致しているわけではない特定の国の印象をよくしようという動きに警戒するのは、決しておかしなことだとは思えません。

韓国がきらいだからデモをしている、という批判はあまり意味がありません。主張が正しいか否かを問題にすべきです。暇かどうかも関係ありません。非生産的なレッテル貼りは控えるべきです。

最後に朝日新聞の取材について言いたいことがあります。フジテレビが自分たちだけがデモの対象になっていることに戸惑っているなら、朝日新聞はデモをしている側にその理由を取材すべきです。これをしないのは、デモをする側が理不尽であるとの印象操作をしたいのか、取材がいいかげんなのかのどちらかです。


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えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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