【朝日新聞】リスク社会に生きる

12月30日朝日新聞朝刊より

人間の文明が、人間の存在を脅かしてします。足元にそんな危うさをはらんだ「リスク社会」に、私たちは生きている。3・11後のこの国で、おびえ過ぎず、楽観もせず、リスクと上手に付き合うには、どうすればいいのか。


という問題意識の特集です。1月1日から社会面で連載する先行記事のようです。
気になったところを引用します。

(前略)
専門家と一般人のリスク評価のズレを示した調査がある。例えば発がんを招く喫煙は、専門家の評価は危険度1位。だが、市民の評価は8位だ。一方で原子力は、市民の危険は1位と見なしていたのに、専門家の分類は20位。いずれも震災前の調査である。
人は、選択可能な生活習慣より、情報の少ないリスクを怖がる傾向があるという。研究は従来こうした現象を「客観的リスク」と「主観的リスク」の分裂と位置づけ、専門家が「正しい」情報を伝えれば解消できると考えてきた。
しかし、原発事故は専門家の正しさに疑問符を付けた。
(後略)


※記事で言及している調査は、「リスク学事典 日本リスク研究学会編」(2006)から。一般女性を対象に調査したものです。
※リスク順位は(専門家/一般人の順)で、喫煙(1位/8位)、飲酒(2位/21位)、自動車(3位/7位)、ピストル(4位/2位)、原子力(20位/1位)、食品保存料(27位/3位)、殺虫剤(28位/9位)、抗生物質(29位/4位)、スプレー缶(30位/20位)

記事は、専門家と一般人のリスク感覚の違いに興味が向いているようです。しかし、私には、リスク順位の算出方法に関心が向きました。

まず、この専門家とは何の専門家なのでしょうか。原子力発電から殺虫剤、飲酒や食品保存料まで、かなり広範囲のリスクを評価しています。常識的に考えて一人の人間がこれだけ多岐にわたる内容の専門知識を持ち合わせているはずがありません。おそらく、それぞれの専門化に依頼をして評価してもらったのだと思います。しかし自分の専門領域だけを語っていたのでは順位はつけられません。殺虫剤の専門家が原子力発電について点数をつけたのだとすれば、それは「専門家」ではありません。一般人の評価と呼ぶべきです。

また、原子力の専門家は原子力の危険を低く言いたいでしょうし、銃器の専門家はピストルの危険を高くしたがるかもしれません。専門家といっても立場によって順位は変わってくるはずです。公正な基準で専門家を依頼したのかも謎です。

さらに言えば、順位付けを危険の確率で評価しているのか、それとも影響の度合いで評価しているのかも分かりません。すくなくとも記事では言及していません。

そもそも、こうした雑多な項目のリスクに順位をつけることに何の意味があるのか根本的に理解できません。順位にどういう意味があるというのでしょう。

こうしたわけのわからない「研究」を基にしなくても、現代社会のリスクにどう対処すべきかの記事は書けるはずです。1月1日からの本連載には期待しています。


リスク学事典リスク学事典
(2000/09)
日本リスク研究学会

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【展覧会】殿様も犬も旅した広重東海道五拾三次

於:サントリー美術館

広重の東海道五拾三次のうち保永堂版と隷書版を中心とする展覧会です。作品のいくつかは「変わり図(微妙に構成を変更した版)」も展示しています。

江戸から京都までの宿場ごとに展示するという愉快な展示方法をとっています。途中に東海道の地図で案内してくれるのもよい趣向です。

最近、西洋美術ばかりみていたせいか、独特な構図にはあらためて驚かされました。西洋人が浮世絵に衝撃を受けたというのも、日本人のひいき目ではなく、理解できるような気がします。仮に江戸の浮世絵師が西洋の街並みを描いたとしたら、我々は見たこともない視点の風景を見ることができたかもしれません。そんなあらぬ想像をしてしまいました。

保永堂版の蒲原の初摺と後摺の両方を同時に見られたのがうれしかったです。

お勧めします。

【テレビ】追跡真相ファイル「パチンコにハマる女たち」

NHKの番組。パチンコ依存の女性についてのルポです。

パチンコ依存の女性は75万人もいるそうです。依存症になる平均年数は男性が10年に対し女性が5年とのこと。これは男性が主に金銭目的でパチンコをしているのに対して女性はストレス解消が目的となっていることが影響しているそうです。番組でも、実際にパチンコ依存になった女性の証言から、それを裏付けています。

また、韓国では国を挙げてギャンブル対策に取り組んでいることを報告。それに対して日本では行政が何の対策も講じていないことを指摘しています。そもそも建前ではパチンコがギャンブルではない(遊戯だそうです)ことが原因の一つになっているそうです。

誰かを悪者にするのではなく、客観的な報道番組だったと思います。その点では好感が持てます。しかし、女性の依存症だけを問題視するのはよくわかりません。男性のパチンコ依存症を扱わないのは不公平でもあり、不可思議です。男性のパチンコ依存症が何人いるのかは結局触れませんでした。これでは、「パチンコ依存の実態」の報道としては片手落ちです。

【アニメ】ぬらりひょんの孫 千年魔京


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第一期に続いて視聴。

第二期はバトル中心になったので、家永カナなどの日常での友人の活躍(登場)シーンは激減しました。4分の1しか妖怪でない、という設定が生かされていません。昼になると人間の姿になって妖怪としての力を失う、というのも半ばなかったことにしています。

バトル中心にするには、邪魔なキャラクラーだったり設定だったりするのでしょうが、非常にバランスが悪くなりました。作品の根幹を見失った感じがします。

設定にも不満があります。

最後の対決が唐突に持ち越しになったのはがっかりです。無理に引き伸ばしてもいいことはありません。きちんと決着をつけるべきでした。

羽衣狐が息子の清明に斃されるのは意味がわかりません。羽衣狐は清明を生むのが目的だと自覚していました。その点で清明に騙されたわけでもなんでもありません。なにが起きたか分からないという顔で退場しましたが、わけが分からないのは視聴者も同じです。

鏖地蔵がリクオの父(リハン)に仕掛けた策略もおかしなものです。リハンが邪魔なので、初めの奥さんを洗脳して殺させよう、というところまではいいです。しかし娘と名乗って接触させるのは不自然です。素直に奥さんとして登場させるのが正当です。これでは警戒しなかったリハンが馬鹿に見えます。

さらに、その体を、羽衣狐の転生につかう理由がありません。転生体は転生体で別に探すのが普通です。初めの奥さんの体を使ったというのは偶然がすぎます。

読者の意表をつこうとして迷走したというのが真相でしょうか。ちょっと失敗だったようです。おそらくは原作の問題であってアニメスタッフの責任ではないとは思いますが。

一期目の感想で、陰陽師の花開院ゆらのことを、見た目が地味とか着こなしが野暮ったいとかさんざんに書いてしまいましたが、二期目はちょっと美人に見えてきました。服装も洋服でなく陰陽師の装束のせいか、垢抜けた感じでした。これはよかったです。

【アニメ】ベン・トー


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原作は未読です。まったく予備知識なしで観ました。

馬鹿馬鹿しい話を大真面目にやるという面白さを狙ったようです。その点では成功です。こうした狙いのギャグアニメはいままでなかったのではないでしょうか。ちょっと記憶にありません。

反面、半額弁当の奪い合いを、というだけの話ですので展開に膨らみがありません。話数を重ねるにつれ、惰性になってきたように思います。

客観的には馬鹿げたことをやっているという前提が、キャラクターの掘り下げを難しくしたのかもしれません。

バトルシーンはスピード感があり迫力がありました。

評価が難しい作品ですが、楽しめました。

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一期目に続いて視聴。
原作は未読です。

一期目も面白かったですが、二期目も良い出来でした。

ギャグのテンポもいいです。キャラクターも偏ることなく描いているので、全員に親近感がわきます。

キャラクター同士の関係(特に恋愛面)に変化があらわれそうな気配を漂わせながら、ほとんど変化しませんでした。それが、残念でもあり、うれしくもありました。

最終回に松本さんにスポットがあたるというのも、期待通りでした。

三期目も作って欲しいです。

【アニメ】僕は友達が少ない


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原作は既読です。大変に面白い小説で大好きです。

アニメ化した際に、エピソードを割愛したのが残念。アニメだけを観た人に面白さが伝わっているのか心配になります。なんでこんなにはしょっているのかと思っていたら、最終回で夜空=ソラのエピソードをしたかったようです。

基本はギャグですので、無理にストーリーを完結させる必要はないはずです。また、テンポを気にする必要もなかったはずです。もっと原作の力を信じて、一つ一つのエピソードとギャグを、じっくりやった方がよかったように思いました。

原作ファンとしては一応の満足をしました。

【朝日新聞】国交の扉解放へ 日本から動け

12月23日 朝日新聞朝刊オピニオン欄。『どう動く「金正日」後』という題で朝鮮半島情勢について二人の学者の意見が載りました。そのひとり一橋大大学院准教授のクォン・ヨンソク氏の発言を引用します。

日本では北朝鮮がどう変わるか議論されていますが、私は日本がどう変わるかを注視しています。
戦後の日本外交は「静観」が多いように思います。大きな事件が起きると「情報を収集し、事態を見守る」。今回もそういうコメントを見ます。国際関係史では「静観政策」などと呼んでいますが、これは政策とは言えません。
今度こと日本外交を抜本的に転じる時です。日朝国交正常化を実現させてほしい。それも自らの判断と行動で。世界の中で日本の役割、日本外交の存在感をアピールする絶好の機会です。
日朝が正常化すれば、米朝正常化も進むでしょうし、南北和解も進む。北朝鮮が東アジア国際社会の一員に加わった時の全体像を、我々はもっと想像する必要があります。感情的な反感からは何も生まれません。東アジアの秩序づくりを日本が進めたら、「顔が見えない」「米国追随」という評価はがらりと変わるでしょう。
(中略)
日本の首相が米国に先駆けて国交正常化を実現させれば、間違いなく歴史に名を残します。そのチャンスがあるのに、どうしてやろうとしないのか。私が首相だったら、やります。日本の存在感を世界に主張できる、二度とない機会でしょう。
(後略)


賛成できません。

日朝国交正常化をすることで日本側にどういうメリットがあるのかわからないからです。「存在感をアピールする絶好の機会」とか「「顔が見えない」「米国追随」という評価はがらりと変わる」とか「日本の存在感を世界に主張できる」などといったことはメリットとは言えません。ただの虚栄心です。

具体的な国益が問題なのです。北朝鮮との国交が日本の国益になるなら進めればよいし、国益にならないのであれば進める必要はありません。

まして、政治家が歴史に名を残すことを目的として外交を利用すべきではありません。

【朝日新聞】社説余滴 政治が偏狭になってゆく 

12月22日朝日新聞朝刊オピニオン欄より。社説余滴のコーナーで教育・事件社説担当の石橋英昭氏の一文です。引用します。

この国の政治は、急速に偏狭になりつつある。
民主党は、在日外国人にも認めてきた党員資格を、日本人であることを条件にする方針に決めた。外国人サポーターは認めるが、党の代表選びでは投票できない。
きっかけは、相次いで発覚した外国人献金問題だ。
(中略)
浮かび上がるのは、日本人と同じように地域社会に溶け込んだ在日韓国人の存在だ。土建業や遊戯業を営む人も多い。公共事業や許認可の関係で党を問わず政治家とついあうのは日常でもある。
政治資金規正法は外国人からの政治献金を禁じる。外国勢力に政治が影響を受けるのを防ぐため、とされる。
この規定ができたのは36年前だ。その後も世代を重ね、社会に根を張った在日韓国人を、ひとくくりに「外国勢力」と呼べるだろうか。政治資金収支報告書で「外国人捜し」をするだけでなく、法律が現実に合わなくなっていることにも、目を向けるべきだろう。
だが、そんな議論を封じるような風潮がある。
2年前、政権を獲得した民主党は、結党以来こだわってきた永住外国人の地方選挙権実現に意欲を見せた。
ところが現実味を増したとたん、保守勢力が反発した。「憲法上の疑義がある」という法律論以上に声高だったのは、「外国人にのっとられるぞ」「安全保障の問題だ」といった排斥論だった。
外国籍でも、地域の一員として義務を果たしてきた人々に、どの範囲で政治参加の道を開くのか。その問いが、いつのまにか「外敵への対処」の問題に変えられる。不安をあおる言辞が行き交い、冷静な議論はかき消される。
野田首相は「私は外国人参政権には慎重な立場だ」と述べて、幕を引く構えだ。自治体では、住民投票に外国人の参加を認める動きにブレーキがかかっている。
そして民主党は、これまで理念に共鳴し、党費を払い、応援してきてくれた仲間にまで「外国人か否か」と問い、出てゆけと言う。
時代の閉塞感のなか、矛先が内なる他者に向けられる。嫌な空気が広がっている。



民主党が党員資格を日本人に限るようにかえたきっかけは、献金問題が理由ではありません。民主党代表選挙権を外国人に与えると自動的に日本の首相の選択に外国人が関与することになるからです。野党の党首選びでは問題にされなかったことが与党第一党になって問題視された、というのが事実です。これは石橋氏の事実誤認です。


石橋氏が挙げたことがらで、外国人に制限をかけたのは、民主党の党員資格だけです。それも“間違いを正した”というべきものです。外国人参政権に至ってはそもそも存在していませんでした。“急速に偏狭になりつつある”というのも事実誤認です。


世代を重ねようと社会に根を張ろうと、日本人でないものは日本にとって外国人です。それが集団となれば「外国勢力」と呼べます。当たりまえのことです。
念の為に言って置きますが、在日外国人が、日本国籍をとらないことを非難しているわけではありません。それはそれで自由です。差別の意図はありません。日本国籍がなければ外国人であるという事実を指摘しているだけです。


「外国人にのっとられるぞ」「安全保障の問題だ」というのを、排斥論だと切り捨てるべきではありません。のっとられない、安全保障に危険はない、と主張したいのであれば根拠を示して主張すればよいだけです。それが議論です。石橋氏のやっているのは、論敵を差別主義者だとレッテル貼りをしているだけです。


「どの範囲で政治参加の道を開くのか」と問いかけが、「外敵への対処」の問題に変えられたわけではありません。反対の理由を述べているに過ぎません。


私のみるところ、「冷静な議論」をしていないのは石橋氏の方です。

【朝日新聞】赤ちゃんペット いつ販売?

12月21日朝日新聞夕刊より引用します。

5年に一度の動物愛護法の見直し議論が大詰めを迎えている。焦点は、子犬や子猫を生後何日から販売できるか、という問題だ。環境省の専門委員会が21日に規制案を示す予定だが、動物愛護団体とペット業界が鋭く対立し、なお結論が見えないままだ。
(中略)
 一方、動物愛護運動に取り組むNPO法人「ALIVE」の野上ふさ子代表は「親や兄弟から離れる時期が早すぎると、ほえ癖やかみ癖がつく」と指摘。結果として飼い主に捨てられ、殺処分されるペットが増えると批判する。
(中略)
犬や猫を仕入れた店は、健康状態を2日以上確認しないと販売できない。「生後56日」で規制されれば店に並ぶのは、最短でも58日だ。全国ペット協会会長も勤める太田社長は「56日には科学的根拠が乏しい。経験上、飼い主に渡る時期が遅れると動物が人見知りになる恐れがある」と話す。
(後略)


素直な気持ちで言えば、「野生」の状態では親離れするまでの日数と同じくらい一緒にいさせてあげたいなと思います。しかし、情緒的な考えだけでは決められることではないようです。

まず、野上氏の主張ですが、「親や兄弟から離れる時期が早すぎると、ほえ癖やかみ癖がつく」には根拠が示されていません。「結果として飼い主に捨てられ、殺処分されるペットが増える」との主張も同じです。データのないことを勝手に言っているようにしか見えません。

太田社長の「飼い主に渡る時期が遅れると動物が人見知りになる恐れがある」もデータはありませんが、経験上の意見だと言っているので、野上氏よりもましに見えます。しかし、商売優先で発言しているようにも感じます。

この記事だけでは、どちらの言い分が正しいのか判断しかねます。データを示して説得力のある議論を双方に望みます。

【朝日新聞】投書:米兵と夜の女 池に投げ込んだ友

12月20日朝日新聞朝刊の投書欄より引用します。投書子は熊本県の84歳の男性です。

米兵と夜の女 池に投げ込んだ友
終戦からしばらくして連合国軍の日本進駐が始まり、私の街にも粋なジャンパー姿の米兵たちがあちこちに見られるようになった。その頃、同級生のNが米兵とパンパンガール(主に在日米軍将兵を相手にした街娼)を池の中に投げ込んだらしいといううわさを聞いた。三十年後、Nと会った私は真偽を確かめた。
ある夜、彼は米兵と肩を組んで歩いてくるパンパンガールに注意したという。すると、女は「何よ、偉そうに、敗残兵のくせに!」と彼をなじったという。その「敗残兵」という言葉だけは許せなかった。ついカーッとなり、女を池に投げ込み、止めに入った米兵も池に投げ込んだ、ということであった。
大戦で若者は国のために命を投げ出して戦った。敗戦で精神の支柱をなくし、生きる方向性を見失った者も多かった。私は心情を察せずにはいられなかった。


どう考えてもNさんが悪いように思います。そもそもの発端はNさんの「注意」です。その「注意」の中身はおそらく女性にとって許せない言葉だったことは想像に難くありません。見知らぬ女性に悪態をついたら、「敗残兵」と言われ、今度はそれが許せないと暴力に訴えた、というのがNさんの行動です。

投書子はNさんの心情を察しているようですが、私には無茶苦茶な行動にしか見えません。

【本】2012年空前の日本投資ブームが始まる


2012年・空前の日本投資ブームが始まる2012年・空前の日本投資ブームが始まる
(2011/06/28)
増田 悦佐

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文章は平易で読みやすいです。スラスラ読めます。

書名と内容が合っていません。特に日本に投資ブームが来るということを言っているわけではありません。震災後の日本・世界の動きを著者の特有のスタンスで分析したものです。むしろ副題の「日本と日本人がいまできること、すべきこと」の方が本書の内容に合っています。

やや一方的な見方をしているような気もします。しかし全体に日本を肯定的に捉える論調で一貫しているので、読んでいて元気がでます。そういう意味では良い本でしょう。

本書の内容がどこまで正しいのかは読者が自分で判断するほかはありません。盲信するのは危険な気がします。が、一読する価値はあると思います。

【朝日新聞】2012米国大統領選 交わらぬ社会

12月18日 朝日新聞朝刊一面に「2012米国大統領選 交わらぬ社会」という特集記事が載りました。大統領選を控えた米国の排外的な潮流を特集したものです。なかなかに力の入った記事で読みごたえがありました。

ただ、次の部分には引っかかりました。記事がおかしいというのではなく、そこに描かれた人の発言がおかしいと思いました。引用します。

(前略)
米国内には今、約1100万人の不法移民がいるとされる。農作業や建築業などを担って米国の足元を支える。
アリゾナ州トゥーソンに住むカルロス・マルチネスさん(29)は9歳の時、メキシコから両親に連れられてきた。馬小屋の清掃員として働いた父は、口癖のように「勉強しなさい」と言い聞かせた。
苦学の末に6年前、アリゾナ大でソフトウェア工学の修士号を取った。だが、永住権も社会保障番号もないマルチネスさんを雇う会社はなかった。今は建築現場の労働者だ。「20年以上まじめに暮らしてきた。それでも米国民になれず、いつ強制送還されるかわからない。本当に悔しい
(後略)

9歳では自分の意思で米国に来たわけではないのは理解します。しかし不法に入国したのは事実です。そこで20年以上まじめに暮らそうがどうしようが米国民になれないのは当たり前です。なにを悔しがっているのか分かりません。そもそも将来にどういう展望をもって大学で修士号を取ったのでしょうか。甘え、としか評しようがありません。米国を恨むのは筋違いです。

【映画】映画 けいおん!


【映画パンフレット】 『けいおん!』 出演(声):豊崎愛生.日笠陽子.佐藤聡美.寿美菜子.竹達彩奈【映画パンフレット】 『けいおん!』 出演(声):豊崎愛生.日笠陽子.佐藤聡美.寿美菜子.竹達彩奈
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すごく楽しい映画でした。大満足です。

本来は映画の感想として、どこがどう面白いのかを書くべきでしょうが、この映画に限ってはできません。作品をどうのこうのと客観的な視点で論じることができず、映画を観て自分が楽しかったということ主観的なことしか言えません。

テレビシリーズを知らない人が観て、どのくらい楽しんでもらえたのかは気になるところです。

作品の外の話になりますが、半券24枚貼らせてグッズと引き換えにするという商売は、あこぎに感じます。大人のいやらしさ、というものを感じずにはいられません。「けいおん」には似つかわしくないです。やめて欲しかったです。

テレビシリーズが好きだった人は是非劇場で観てください。

【朝日新聞】記者有論:高校教育 最低限の学びくらいは

12月16日朝日新聞朝刊オピニオン欄に、社会部の山本浩二郎氏による「記者有論:高校教育 最低限の学びくらいは」という一文が載りました。

学びの質がこれ以上落ちないためにはどうすればいいのか。文部科学省の中央教育審議会で高校教育の再検討が始まった。進学率98%の高校、えり好みしなければどこかには入れる大学。両者を一体にとらえ、「全入」時代の学びの将来像を描くべきだ。
難関ではない大学の現実は厳しい。足し算ができない。アルファベットを覚えていない。そんな生徒が大学に進む。高校も大学も入試の圧力では勉強の意欲を維持できない。私大では学力検査のないAO・推薦入試で入学する学生が5割を超える。中学、高校の水準をクリアしているか試される機会がないので初年時教育などで高校以下の学習をする大学も珍しくない。
突き詰めると、高校教育が大きなカギを握っている。
(後略)


以下、山本氏は高校教育についてあれやらこれやら憂いています。

まったくおかしなことを言っているようにしか思えません。

足し算は小学校生で学びます。アルファベットを覚えるのは中学です。高校教育は大きなカギを握っていません。カギを握っているのは小学校と中学校の義務教育期間になるはずです。

山本氏には、ひと様の子弟の教育を心配する前に、自身の文章をよく考えて書くことをおすすめします。

【アニメ】スーパーナチュラル・ザ・アニメーション


SUPERNATURAL THE ANIMATION / スーパーナチュラル・ザ・アニメーション 〈ファースト・シーズン〉コレクターズBOX1 [DVD]SUPERNATURAL THE ANIMATION / スーパーナチュラル・ザ・アニメーション 〈ファースト・シーズン〉コレクターズBOX1 [DVD]
(2011/03/09)
内田夕夜、東地宏樹 他

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元は、アメリカのテレビドラマのようですが、未見です。

基本は化物退治の話です。前半は、兄弟が失踪した父親を探しに旅をする間に、さまざまな超常現象に出くわす、というストーリーです。単なる化物退治ものにならないように手を変え品を変えしています。貧乏神の話や、河童の話などは、面白かったです。しかし、「悪魔」の描き方は平板でした。悪魔は悪魔だから悪、といわんばかりで、大雑把なつくりのように感じました。米国ドラマをもとにした部分と、アニメスタッフが入った部分で、分裂してしまったのでしょうか。

大人になった男兄弟二人で旅をする、というのはなんとも殺風景な話です。失踪した父親を探すというのも色気がありません。米国人はこういう設定で面白がれるのでしょうか。ちょっと違和感があります。

当初は、兄弟二人で父親探し。途中から親子三人で悪魔との対決。最終回の先にあるのは、封印を突破した数百の悪魔退治、という具合にコンセプトがころころ変るのもおかしな感じです。人気があるから無理やり延長したのがありありです。

つまらないということでもありませんが、ものすごく面白いということもありません。普通の作品でした。日本の昨今のアニメと違って新鮮といえば新鮮でした。

【朝日新聞】問責連発「統帥権干犯問題と同じ」

12月15日朝日新聞朝刊刊より。引用します。

民主党の仙谷由人政調会長代行は14日、東京都内で講演し、参院の問責決議ついて「毎年、(問責決議を)行使を戦術にするのはある種の統帥権干犯問題と同じ。民主主義、議会、政党政治に大変な禍根を残しつつある」と述べ、自民党など野党を批判した。
統帥権干犯問題は、1930年にロンドン海軍軍縮条約に調印した浜口雄幸内閣を軍部などが批判し、戦前の政党政治が衰退する一因となった。仙谷氏自身は昨年、菅内閣の官房長官として問責を受け、内閣改造で更迭された恨みをぶつけるかのように、「解散しない参院が、内閣のボディーにズシンズシンと重いパンチを打ち込めるのは甚だ奇妙な話だ」とまくし立てた。
ただ民主党が野党時代、政権を追い込むため問責決議を使ったことについては「真摯に反省しないといけない」と神妙だった。


衆参のねじれによって内閣が追い込まれやすくなっているのは事実ですし、最近の政権がことごとく短命に終わるのもこれが一因です。参議院の改革は必要だと思います。

しかし、そうであるなら仙谷氏は、はじめに自分たちの野党時代の振る舞いを謙虚に詫びるべきです。また自分が問責をくらったことについても一言あってしかるべきです。自分のことを棚において、「統帥権干犯問題と同じ」などと大げさなことを言っても、説得力皆無です。

民主党からもう少しまともな参院改革の案を提示して欲しいですが、仙谷氏には荷が重いようです。

【朝日新聞】ゲームのお作法:「報われたい」すがる主婦

12月13日朝日新聞朝刊オピニオン欄 「ゲームのお作法」の七回目。作家の石川結貴さんの意見です。ネットゲームにはまる主婦についてです。引用します。

ネットワークゲーム、通称ネトゲの依存性の高さは、通常のテレビゲームの比ではありません。ゲームに依存しているのではなく、そのゲームをインターネットを通じて一緒にやっている、仲間同士の人間関係に依存しているからです。はまりすぎると、現実の生活が破綻してしまう。「覚醒剤」に例える経験者さえいます。
中でも、専業主婦はネトゲにはまりやすい傾向があります。主婦とゲームは一見結びつかないようですが、戦闘だけではなく、自分好みのキャラクターを育てたり、地道に農作業をしたり、というゲームも多いのです。
主婦業をきちんとこなしても、報酬や評価で報われることはあまりない。でも、ネトゲの世界で怪物を倒したり、自分のキャラクターの世話をしたりしたら、ポイントの獲得など必ず目にみえる成果が上がります。ネトゲ内で指導的な立場にたち、数十人のプレーヤーでつくるチームのリーダーになることも夢ではない。現実の生活よりも、ネトゲ内でのバーチャルな生活の方が充実しているし人間関係の責任も思い、という人も珍しくありません。
(中略)
私の取材した主婦の中には、ネトゲのキャラクター育てに熱中するあまり、現実の子育てを放棄して祖父母に任せてしまった人もいます。ネトゲだったら自分のキャラクターが成長すれば、必ずネトゲ仲間から「かわいいね」「こんなに大きくなったんだ」と声をかけてくれる。なのに、現実の子育てはひたすら子どもと向き合うだけ。子どもの世話でゲームの時間も十分にとれず、いらだちが募ったそうです。
(中略)
どれくらいの数の主婦がネトゲに依存しているのか、実態はわかりません。だが、パソコン以外にも携帯電話やスマートフォンなど、ネトゲを利用する機会は広がる一方です。増えこそすれ、減ることはないでしょう。
(聞き手・太田啓之)


石川氏の主張する、主婦がネットゲームにはまる理由は説得力があります。

一方で、ネットゲームに「はまる」とは具体的にどういう状態なのかを定義していないのが気になります。子育てを放棄してネトゲをしているのと、普通にネトゲを楽しんでいるのとの間には幾層もの段階があるはずです。なんらかの定義をしないと「はまる」「はまらない」という区分けはできないはずです。

また、何%の主婦がネットゲームにはまっているのか、ネットゲームにはまっている人のうち主婦は何%なのかがわかりません。つまりデータがありません。

言っていることは興味深いのに、こうした穴が論にあるのは残念です。

【本】アラブはなぜユダヤを嫌うのか


アラブはなぜユダヤを嫌うのか―中東イスラム世界の反ユダヤ主義アラブはなぜユダヤを嫌うのか―中東イスラム世界の反ユダヤ主義
(2008/06)
藤原 和彦

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出版社(株式会社ミルトス)は、イスラエル関係の本を出しているところです。つまり、客観的な立場の出版ではないことははじめに注意する必要があります。

まず、題名に「アラブは」とありますが、本の内容は「イスラムは」です。トルコやマレーシアの反ユダヤ主義についても述べています。

また、題名に「なぜ」とありますが、この問いには答えていません。イスラムの伝承やらイスラム指導者の語る陰謀論を紹介していますが、「なぜ嫌うのか」を明確にできていません。

イスラムがユダヤを嫌う最大の理由は、イスラエル建国にあります。強引なイスラエル建国とその後のイスラエルの振る舞いが、反イスラエル(ユダヤ)感情の源泉になっているのはまぎれもない事実です。イスラエルが好きか嫌いかは別として、これは紛れもない事実です。これを無視した論を組み立てているようでは、底が知れます。

全体として何がいいたいのか不明確な本です。特に意味のあることが学べたという気もしません。

読む価値はありません。

【時事問題】金メダリスト 準強姦容疑で逮捕

柔道の金メダリストで事件当時大学客員教授が、酒に酔った教え子に暴行を働いた、として逮捕されました。

参考記事はこちら

被害者が泣き寝入りするのは正しくありませんが、目撃者がいないので犯罪があったと確信を得るのは非常に難しいです。今回のように行為そのものは認めた上で合意があったと言われると、どちらが正しいのか判断しようがありません。

裁判では、立証できないかぎり被告人の有利に解釈すべきです。「被害者」には納得いかないことかもしれませんが、冤罪を生むよりはましです。新聞報道を読んでいる限りでの判断ですが、自供が得られなければ有罪にするのは困難だと思います。起訴もできないかもしれません。

そう考えると、このような大々的な報道は問題です。無罪になっても彼の人生は無茶苦茶になってしまうでしょう。この際、犯罪被疑者の匿名報道を真剣に検討すべきではないでしょうか

念の為に付け加えますが、この柔道家の行為は有罪にならないとしても問題はあります。合意があったとしても、酒に酔った未成年の教え子と男女関係になるというのは教育者としてあるまじき行為です。この点では彼は猛省すべきです。

【映画】リアル・スティール


リアル・スティール (角川文庫)リアル・スティール (角川文庫)
(2011/11/25)
リチャード・マシスン

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これは面白かったです。

人間の格闘技が廃れて、ロボットのボクシングがさかんになった近未来が舞台です。闘うのが、つまり頑張るのが人間でなくロボットですので、へたな見せ方だと父親の影がうすくなるのですが、この映画は違いました。父と子の絆がしっかりと描かれていました。

先の展開がほとんど読めますが、欠点になりません。むしろ安心して観られます。

ちょっと不満なのは主人公ロボットのATOMの来歴にまったく触れられなかったことです。なんの理由もなく、拾ってきたロボットがチャンピオンに挑むほどの実力を持っている、というのは不自然です。もう少し説明が欲しかったです。

全体としてはお薦めすます。

【展覧会】プラド美術館所蔵ゴヤ-光と影

於:国立西洋美術館

メインは、「着衣のマハ」です。私の主観ですが、今年来日した絵ではもっともビックネームだと思います。

他にも、「自画像」や「日傘」に心打たれました。

思ったよりは混雑していませんでしたのでゆっくり鑑賞することができました。

音声解説は石橋蓮司さんと松尾佳子さんの二人。石橋蓮司さんがゴヤに扮して語ります。

是非、見に行くべき展覧会です。

【朝日新聞】朝鮮王朝の実録を作るため 儀軌保管の理由研究

12月8日 朝日新聞朝刊 国際面より

先般、韓国に引き渡した、朝鮮王朝儀軌が日本に渡ってきた由来を追っています。引用します。

6日に韓国側に引き渡された朝鮮王朝儀軌は、なぜ日本の宮内庁に保管されていたのか。韓国では、日本が貴重な文化財を戦利品として略奪したとのイメージが残る。だが、佐賀大の永島広紀准教授らの研究で、当時の日本の宮内省が朝鮮王公族の公式記録にあたる「実録」を作る材料として、複数ある資料の一部を手に入れていたことがわかってきた。
儀軌はもともと、王室のあらゆる儀式や国の建築などを記録した資料。鮮やかな色彩の絵図入りで筆写された。王室の書庫に保存する正本のほか、散逸に備えて副本が作られ、4ヶ所に分けて保管された。
永島准教授が、佐賀県立名護屋城博物館で発見した資料によると宮内省は1920年9月19日付で、日本の植民地支配下にあった朝鮮総督府に対して、前年に亡くなった朝鮮王朝26代国王の高宗と27代国王の純宗に関する儀軌を、無償で譲渡するように依頼する文書を出していた。「四部以上現存シ事務上差支ナキモノ各一部」と指定し、日本に送っても不都合がないものを送って欲しいという配慮をしめしていた。
王族は日本の皇族に準じた扱いを受けており、宮内省は朝鮮の王朝の実録を編纂する必要があった。儀軌はそのために必要だった。
宮内省の依頼から2年後の1922年5月、儀軌は日本に渡った。
永島准教授は「略奪ではなく、目的と意図があって集められた。感情論ではなく、史実の確定はしていかねばならない」と話す。
(ソウル=箱田哲也)


この研究によれば日本に朝鮮王朝儀軌があるのは、強奪ではありません。

引き渡すにせよ、日本が不当に所有していたものではないと、日韓双方が確認した上でのこととすべきでした。あいまいなままで寄贈すれば、韓国は日本が悪いことをしていたから返還したのだ、と受け取るでしょう。(実際、そう受け取っているようです

日本政府は日韓友好のためと考えて引き渡したのでしょうが、友好にはまったく寄与していません。それどころか、双方に反感が生まれただけの結果に終わったようです。

【朝日新聞】入試に小説 なぜ出ない?

12月6日朝日新聞朝刊文化欄に「入試に小説 なぜ出ない?」という記事が載りました。国語の入試問題から小説がなくなったことを取り上げています。

大学入試センター試験まで約1ヶ月。毎年、国語の長文読解問題で「小説」は必ず出題されているが、各大学の実施する入試には姿を見せることは少ない。なぜ、人気がないのか。

高校国語の授業では、小説の読解は定番だ。東京書籍の「現代文」教科書には、中島敦「山月記」や志賀直哉「城の崎にて」だと、おなじみの作品が今も掲載されている。
だが、大手予備校の代々木ゼミナールによると、国公立大の約1割が、この5年、入試に小説を出題しなくなった。私立では近年、出題率が3~5%程度、そもそも、文学者の文章からの出題が減る傾向にある。
(後略)


この記事を読んで、国語教育に小説の読解があることに疑問を持っていましたことを思い出しました。小説を読むことは教わることでもなければ、国民に必要とされる能力でもありません。本当に必要なことは論説文の読み書きのはずです。

もちろん、小説を読むことが国語教育に悪いとは思いません。しかし過度に文学に偏重した国語教育は、本当に必要な国語能力、すなわち論理的思考能力の訓練に役立ちません。

数学でも論理的な思考能力は陶冶することはできます。しかし数学が扱う世界は抽象化されたすぎています。現実世界で論理をどう働かせるべきかを学ぶには、やはり論説文の読解が適しています。

私の記憶では、国語教師はすべてかつての文学青年であり文学少女でした。必ずしも論理的な文章が得意とは限らない人たちによる国語教育は大いに改善の余地があります。

国語教育を文学の支配から解放すべきです。

【朝日新聞】何かが見つかる脱ゲーム

12月6日朝日新聞朝刊オピニオン欄の「リレーおぴにおん」ゲームのお作法の五回目です。NPO「子どもとメディア」の山田真理子氏の「何かが見つかる脱ゲーム」というインタビュー記事です。

なぜ子どもがゲーム漬けになるのでしょう。思うに、ゲーム以外の楽しみを親が与えていないことも一因です。ゲームがあればまとわりつかれないし楽ですが、他の素晴らしいことを体験する時間を子どもは奪われるのです。
私たちNPOはノーメディアデーを提唱しています。月に1度でいい、家庭ではゲームは一切せず、テレビも見ない日を決めてもらいます。
学校で友達とケンカしたある女子中学生は、家でテレビを見てパーッと忘れようとしましたが、ノーメディアデーであれこれ考える時間があって、明日謝ろうと思い直したそうです。それは「してはいけない」と禁止する日ではなく、子どもに「もんもんと悩んだり、何かを発見すること」をちゃんと与える日なんです。
8月には「脱メディア合宿」をしました。小1から中2までの男女12人が、ゲームやテレビのない4泊5日を共に過ごしたんです。ゲーム依存の子どもたちが苦手とする自己表現やコミュニケーションをキーワードに、様々な体験型のプログラムをしました。
絵を描く時は色を好きなように塗り重ねる。体をたたいたり、手拍子でリズムを奏でたりする。1人が「木」の役になり、「木になる実」「木を登る虫」など演じたいものになる。何の制限もなく感じたままに振舞える子どもたちは、そのうち自分はこんな一面があったのかと気付きます。ゲーム持参の子も、途中からしなくなりました。人との触れ合いを通して、ゲームより楽しいことを知ったんですね。
子どもには早い時期からそういう体験をさせて欲しい。テレビの視聴時間も親がコントロールすべきです。36歳で次男を生んだ私は体力的にきつく、動き回らせないため2歳途中までテレビをよく見せました。長男、長女はそうじゃなかったのに、父に指摘され、はっとした。次男には多動傾向があり、ゲームは与えずに楽しい活動に数多く参加させましたが、中2まで通知表に「落ち着きがない」と書かれ続けました。私は小さい頃のテレビ漬けが原因だと思い、その反省もあってゲーム依存対策に取り組んできました。
(後略)
(聞き手・金重秀幸)


山田氏の自分の正しさを疑わない態度には辟易とします。のっけから「ゲーム」を悪いものと決め付けていますが、まったく検証されていません。ろくに勉強もしないでゲームばかりやっていたらよくないかもしれませんが、ここで紹介された子供たちがどの程度の時間ゲームで遊んでいるかまったく分かりません。

当然、NPO「子どもとメディア」の活動がどの程度の効果を挙げたのかも検証されていません。

ゲームとテレビを混同しているのもいただけません。ゲームとテレビは違うものですからきちんと区別して論じるべきです。

山田氏の次男の話は無理があります。中2まで「落ち着きがない」と言われたのを、2歳途中までテレビをよく見せたのが原因だと考えています。しかし、2歳途中までの育て方より、2歳途中から中2までの育て方の方が影響度が大きいと考えるのが自然です。あるいは、もって生まれた性格だ、と考えるべきかもしれません。しかし山田氏は、あくまで自説に固執していますので、2歳途中までのテレビのせいにしています。根拠薄弱です。

最後に、母親によって全国紙にプライバシーを暴かれた山田氏の次男には同情します。

【時事問題】朝日新聞社員、警官を蹴って逮捕

朝日新聞記事より引用します。

警官蹴った疑い、朝日新聞社員を逮捕 埼玉県警
埼玉県警は6日、朝日新聞編成局編集センター次長の長(ちょう)玉樹容疑者(44)=埼玉県東松山市日吉町=を公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕し、発表した。
東松山署によると、長容疑者は同日午前0時55分ごろ、同市材木町の路上に停車中のパトカーの車内で、男性警察官(40)の頭を蹴った疑いがある。容疑を認めているという。
長容疑者は同市内の飲食店で1人で酒を飲んで会計を済ませて店を出る際、いきなり男性店員(20)の顔を殴りつけてトラブルになった。店の110番通報で駆けつけた警察官から車内で事情聴取を受けていた。逮捕時、かなり酒に酔っていたという。
朝日新聞社広報部の話 本社社員が逮捕されたことを重く受け止め、厳正に対処します。


二点指摘します。

車内で人の頭を蹴る、というのは相当に難しい行為です。座ったままで、簡単に人の頭を蹴ることが出来ることとは思えません。座席の上で寝そべっていたら蹴れるでしょうが、警官が事情聴取の最中に寝そべらせておくのは不自然です。マスコミはただ警察の発表をそのまま伝えるのではなく、隠された事実を丁寧に掘り起こすべきです。自社の社員の不祥事だからといって萎縮してはマスコミの任務は果たせません。

細部に疑問は残りますが、人の頭を蹴るのが悪いのは確かです。しかし、蹴られた警官に油断があったのも間違いありません。店員の顔を殴った疑いがあるのですから、暴力を振るうことは当然念頭におくべきです。万一、刃物を隠し持っていたら切りつけられたのかもしれません。警官は自分の油断をよく反省すべきです。

【テレビ】日曜美術館:永遠のマハ~ゴヤがみつめた女性たち~


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人生も作品も起伏が激しいせいで作品理解が困難なゴヤの二枚の「マハ」を中心に紹介した番組でした。「着衣のマハ」の来日に合わせての番組のようです。

もっとも興味を引かれたのが、「マハ」と同じポーズをとらせた実験です。モデルの筋肉の各部には力が入り、決してリラックスできないことがわかりました。これにより「マハ」を見る人にも激しい緊張感を強いる、という指摘でした。そのように言われてみると、たしかに緊張感のあるポーズだと思います。

反面、時代背景の説明はおざなりでした。異端審問の件などは、もっと説明が欲しかったところです。

ゲストの話は、"俺が俺が"という態度が前面にでて好みではありませんでした。NHKなのだからもう少し落ち着いた雰囲気でもよいと思います。なお、これは好みを言っているだけで、けっして今回のゲストの方をけなしているわけではありません。

【朝日新聞】記者有論:防衛局長発言 問題なのは言葉だけか

12月3日 朝日新聞朝刊オピニオン欄に、那覇総局長の谷津憲朗氏が「防衛局長発言 問題なのは言葉だけか」という一文を載せています。

米軍普天間飛行場の辺野古への移設計画に向けたアセスメントの評価書の提出時期を政府が明言していないことをめぐり、「犯す前に、犯しますよと言いますか」と田中聡沖縄防衛局長が発言した件です。

谷津氏、この発言の場にいましたが、聞いてはいなかったそうです。この顛末を次のように書いています。

(前略)
なんとも間抜けだが、私は例の発言を聞いていない。では、もし聞いていたら記事にしたか。参加したのが自分ではなく同僚で、そう報告を受けたら「書け」と指示したか。いまこう書くのは大変気が重いが、たぶん記事にしなかったのではないかと告白せざるを得ない。酒の席で基地問題を男女関係に例え、政府が意のままに出来るかのように表現するケースは、防衛局に限らず、時々聞いたことがあるからだ。
(後略)


本文は、言葉が悪いだけでなく、現実に沖縄に負担を押し付けている政府の行動も悪い、と締めています。谷津氏の問題意識は理解できますが、私には引用部分が気になりました。

オフレコ中の発言だから記事にしなかったのではなく、このような発言が「時々聞いたことがあるから」記事にしない、のだそうです。あの発言と同等のものが時々発せられている、というのは事情を知らない人間には驚きです。

オフレコ発言を記事にしたことには疑問がありますが、そうでないならこの手の発言は今後は積極的に報道してもらいたいものです。あのような品性を欠いた発言を許してはいけないからです。

【映画】インモータルズ/神々の戦い

ネタばれありの感想です。

ギリシャ神話からキャラクタ名を流用していますが、ギリシャ神話とは無関係のストーリーです。原典に対して思い入れのない人たちがつくった映画なのでしょう。

悪者の王様が、囚われのタイタン族を解放しようとたくらみます。妻子を救ってくれなかった神々に恨みがあるためです。タイタン族を解放するために特別な弓が必要で、その弓の場所を知ることのできる巫女を捕らえようとします。

しかし、王様が巫女を捕まえることなく、弓は王様の手におちます。つまり、巫女は物語に登場する必然性はありません。無駄なキャラクタです。

タイタン族の解放を目指す王様と、それを防ぐ主人公らギリシャ軍の戦争が始まりますが、王様が一枚上手で、タイタン族は解放されてしまいます。そこで、神々が降臨してタイタン族と戦いが起きます。つまり、主人公も物語に登場する必然性がありません。無駄なキャラクタです。

申し訳のように王様と主人公は闘いますが、神様どうしの戦いの方がはるかに重要で、人間の戦いなど些事にしか見えません。

映像は迫力がありますが、ストーリーがいいかげんです。人にはすすめられません。

【朝日新聞】死刑:執行停止して徹底議論を

12月1日朝日新聞朝刊オピニオン欄の「私の視点」コーナーで、英上院議員のアルフレッド・バブス氏が「死刑 執行停止して徹底議論を」という一文を載せています。引用しつつコメントします。

私が死刑反対を訴える主な理由は四つある。まず高度な規範を持つべき国家が人命を奪うのは正しいことではない。


いきなり理由にならないことを言っています。正しくないという根拠を述べずに、ただ「正しいことではない」では説明になっていません。

次に誤審の可能性が常にある。死刑執行後に無実がわかっても元に戻れない。1949年にロンドンで起きた妻子殺人事件は夫の死刑執行後に真犯人が判明し、英国が死刑廃止に向かうきっかけとなった。


これは正当な理由です。冤罪の可能性は大問題です。

三つ目として、だれにも更正機会は与えられるべきである。英国人女性リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件で無期懲役を言い渡した判決が「(被告に)更正の可能性がないとはいえない」と述べたのは全く正しい。


「だれにも更正機会は与えられるべきである」というのはバブス氏の信念なのでしょうが、ただその信念を述べるだけでは、反対意見の持ち主を説得できません。なお、リンゼイ事件での判決は、あの事件の被告に更正の可能性がある、と言っただけです。だれでも更正の可能性がある、とか、だれでも更正機会は与えられるべき、とは言っていないようです。

最後に死刑廃止は文明社会の潮流だ。2010年12月に国連総会で採択された死刑執行停止決議は賛成109ヵ国、反対41ヵ国、棄権35ヵ国。予断は許さないが、中東の民主化「アラブの春」で賛成国が増える可能性がある。独裁からの脱却と民主化に伴って死刑が廃止される傾向があるからだ。


刑法はそれぞれの国のものですから、よその国は関係ありません。たとえば麻薬取引に対する刑罰も国ごとに違いますが、それが問題だと言っている人はいないように思います。

仮に、反対に死刑実施国が増えたとき、バブス氏は、死刑は「文明社会の潮流だ」というのでしょうか。そうであるなら公正だと思いますが、私には疑わしく思います。

死刑が犯罪を抑止する確たる証拠はない。すべてではないが死刑存置国は概して殺人事件も多い。


殺人事件が多いから死刑が必要になっている国が多いのだと思います。原因と結果を取り違えています。

国が人を殺すという事実が、人命に対する感覚に影響を与えている可能性はある。


ここまでくると妄想に近いような気がします。

死刑に頼らなくても、刑事司法制度を整備し、犯罪を断固許さない姿勢を政治が示せば安全な社会は実現可能だ。


ここら辺はもう少し具体的に説明して欲しいです。「犯罪を断固許さない姿勢」とはなんなのでしょうか。死刑を廃止と同時に一般刑罰を重くしろ、という意見であるなら、一考の価値があります。

死刑廃止の道に踏み出す第一歩として、モラトリアム(刑の執行停止)が検討に値する。一定の時間をかけて、犯罪が増えたかどうか検証しつつ、徹底的に議論すれば良い。死刑制度に関する情報がより一般に公開されれば、国民も議論に参加できるだろう。


法律で死刑を廃止すれば死刑判決はなくなります。現在の死刑囚の執行を停止する必要はありませんし、すでに判決がくだったのに執行しないのは間違っています。

英国にも「目には目を、歯には歯を」といった応報的な考え方がかつてはあった。下院を中心とした議論を経て(65年に)死刑執行を停止した。その後も法律としては海賊行為などの罪に死刑が残った。正式に廃止されたのはずいぶん後(98年)のことだ。
ただ、私は死刑の存否を国民投票にかけるのは賛成しない。意見が沸騰し、落ち着いた議論ができなくなる。十分な情報も議論の積み重ねもなく、いきなり死刑の賛否を問われれば人は死刑に賛成するかもしれないが、議論を経ればより複雑な意見を示すはずだ。議論は政治家が先導すべきだと考える。


要するに、国民は間違った判断をするから知的エリートが導くべきだ、という意見です。遺憾ながら、それは正しい考えなのかもしれません。

しかし、問題なのは、バブス氏が死刑の存否にのみ国民投票に反対しているらしいことです。「死刑の存否を国民投票にかけるのは賛成しない」と言っていることからそのように判断できます。一般的に国民投票に反対しているなら、ひとつの見識だと思いますが、自分の意に沿わない結論になりそうだから国民投票に反対、というのは不誠実です。

近年、日本の法相が「国民的な議論が必要」という考えを示していることに期待したい。私は他国の制度を非難したり、指図したりするつもりはない。英国の経験や英国政治が乗り越えてきた課題を日本と分かち合いたい。


言葉を選んでいるようですが、えらそうなもの言いです。そもそも英国の治安は日本よりはるかに悪いです。だからといって英国人が日本人に教える資格がない、とまでは言いません。しかし、両国の犯罪発生率の差をみれば、バブス氏はもう少し謙虚であるべきです。

英国の治安については、外務省海外安全ホームページより引用します。

英国内務省等の統計によると、2009年4月から2010年3月にかけて警察に記録された犯罪件数は約479万件 (日本の2009年刑法犯罪認知総数は約170万件)で、その数は対前年比7.7%と減少しております。同期間中の犯罪発生率(人口10万人あたりの犯罪発生件数)は、約7,857件 (日本の2009年犯罪発生率は約1,383件)で日本の約6倍あり、他の先進諸国と比べても相当に高い犯罪発生率といえます。


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Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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