【朝日新聞】内向き日本、海外留学尻込み 04→08年、2割減

1月29日朝日新聞朝刊より

海外留学する日本人学生が減っている。不況や就職難などが相まって「内向き」志向が進んでいる。一方、海外展開に軸足を移す国内企業は、海外で通用する人材を求める姿勢を強めている。国や自治体などは、新たな対策に乗り出した。
■企業は世界採用を強化
 ピーク時の45%。かつて世界一だった米国への日本人留学生数は激減した。
 米国際教育研究所によると、2010年度の日本人留学生は2万1290人で前年度より3552人(14%)の減。最多の1997年度より約2万6千人も少ない。最も多かった中国の14%しかなく、国別順位では、サウジアラビアにも抜かれて7位に転落した。
 トップレベルの大学の例をみても、減少傾向は顕著だ。ベネッセコーポレーションの調査によると、米ハーバード大に入学した日本人学生は、10年度は100人で、00年度より58人(37%)減った。同じ期間に、中国、インド、シンガポールは倍増している。同じ先進国でも、ドイツは7割近く増えている。
 減少傾向は米国に限らない。文部科学省の直近の調べでは、米国も含む海外大学への日本人留学生数は6万6833人(08年)。ピークだった04年より2割減った。
 昨今の円高で回復の兆しもある。留学支援会社の留学ジャーナル(東京)が昨年、全国で相談を受けた大学生は前年より14%増えた。「厳しい就職事情の中、企業へのアピール材料として留学を目指す学生が増えた」と担当者。だが、その多くは1カ月程度の短期留学だという。
 若者にとって、海外へのハードルは何か。産業能率大が10年に全国の新入社員400人に尋ねたところ、「海外勤務を希望しない」が49%。01年より20ポイントも増えた。理由は、リスクが高い(56%)、能力に自信がない(55%)など。「海外勤務に積極的になる」と思う対策を尋ねると、語学研修(58%)が最多で、言葉の壁にぶつかっている様子がうかがえる。
 民間シンクタンク・大和総研の原田泰顧問はこう指摘する。「今の生活水準に満足し、国内で働ける技量さえ身につければいいという考えが広まっている。しかし、企業側は、人口減少で市場が縮む日本から海外へ軸足を移している」
 パナソニックは今春、グループ全体の新規採用1450人のうち8割近くを海外の現地採用とする。「海外展開をさらに進めるという方針に沿う形」と広報担当者は話す。ローソンは日本で学んだ外国人留学生の採用を08年から始め、全体の2~3割を占める。「社員の多様化が狙い。海外出店でも役立つ」という。
■国、奨学金で後押し
 こうした中、国や自治体は、海外留学の後押しに力を入れようとしている。
 文科省は新年度予算案で、海外留学する大学生に支給する奨学金の総額を今年度の1.6倍となる約31億円に増やし、対象人数も1.2倍にした。外国語による会話や論文作成の力をつける大学教育の充実などのため、新たに50億円の予算も盛り込んだ。
 高校のうちから海外に目を向けさせる施策も目立つ。高校生300人の留学経費を支援するため、約1億2千万円を計上。対象人数を今年度の6倍に増やした。同省によると、3カ月以上の海外留学をする高校生は、04年度の約4400人から08年度は約3200人に減っている。
 東京都教育委員会も都立高校の生徒150人を留学させるため、新年度予算案に約1億9千万円を計上した。経費の一部を公費で負担する計画だ。20年までに延べ3千人の留学を目指している。
 京都府教委も新年度、府立高校生が1カ月ほど留学する経費の一部を補助する制度を始める方針だ。担当者は「就職活動に追われて留学に目が向かない大学生が多いと聞く。高校で動機付けをする経験が必要だ」と話している。(岡雄一郎)


こういうのを植民地根性というのでしょうか。アメリカへの留学生数を競い合って、中国に負けたとかサウジアラビアに抜かれたとか、大新聞が言っているのは恥ずかしいです。

企業が海外の現地採用を増やしたり日本への留学生を採用したりする傾向があることと、日本人が海外留学をすべきことを関係あるかのように書いていますが、根拠がありません。仮に、海外留学生組が一般学生よりも就職率が高いという数値があれば、理解できます。数値とまではいかなくても、企業の声として留学経験者を積極採用したい、という声があれば、納得できます。しかし、そうした根拠はいっさい示されていません。「内向き」というキーワードだけで説明しようとしています。

また、留学者数の目標が示されていません。まさか朝日新聞は、日本の学生がすべて海外留学すべきと考えているわけでもないでしょう。基準がなければ、「内向き」かどうかは言えないはずです。

それ以外にも、この記事は数字の扱いがぞんざいなところが目立ちます。抜き出してみます。

米国への留学者数:
1997年 ★47,000人 (2010年は「1997年度より約2万6千人も少ない」より)
2009年 24,842人
2010年 21,290人


ハーバード大への留学者数:
2000年 158人
2010年 100人


海外への留学者数:
2004年 ★84,000人(「04年より2割減った」より)
2008年 66,833人


3ヶ月以上の高校生留学生:
2004年 4,400人
2008年 3,200人


★印はピーク年。

このように各データの年度はバラバラです。これでは比較ができません。「海外留学者数」や「3ヶ月以上の高校生留学生」にいたっては、最新データが2008年と4年も前ものもしか出ていません。これでは何も語れません。

さらに驚くべきは次のデータです。

留学ジャーナルへの相談大学生数:
2011年 2010年より14%増


2011年(昨年)は留学者数が増加した気配さえあります。ほとんどの項目で、前年の数値がないのは記事として欠陥です。もしかしたら2011年も留学数は多くないかもしれません。しかし、留学ジャーナルの相談数が2011年に増加したことに言及する以上、2011年の数値は出さなければいけません。

杜撰な記事だと思います。
スポンサーサイト

【本】「日本脳」改造講座


「日本脳」改造講座「日本脳」改造講座
(2010/12/02)
榊原 英資

商品詳細を見る


日本人固有の考え方や振る舞いを「日本脳」と名づけ、「欧米脳」に対比させています。基本は、「日本脳」のままでは世界に太刀打ちできないとするものです。ただし、なんでもかんでも「欧米脳」を誉めそやしているわけではありません。日本の美点もきちんと評価しています。一見、一方的に日本をくさしているような書名ですが、中身はバランスがとれています。

不満があるのは、「日本脳」が「欧米脳」に負けた具体例が乏しいことです。むしろ、著者自身や白州次郎などが「日本脳」を乗り越えて成功した事例紹介ばかりが目立ちます。これでは、「日本脳」のままでいけないという主張の裏づけが足りません。

また、ページ数の多くを英語教育に費やしています。著者は英語に堪能なようですが、さほど説得力を感じられません。著者自身の成功の経験を誰もが実行できるわけではないからです。前に紹介した『「英語公用語」は何が問題か』(鳥飼 玖美子)の方に軍配をあげます。個人の成功体験よりも、学者たちが積み重ねた知見の方が重視されるべきです。

全面的に賛同できる意見は少ないですが、刺激を受けました。一読の価値はあります。

著者についてはこのblogで前に言及しています。これです。参考までに。

【アニメ】テルマエ・ロマエ


アニメ テルマエ・ロマエ ?【Blu-ray】アニメ テルマエ・ロマエ ?【Blu-ray】
(2012/04/20)
FROGMAN、東地宏樹 他

商品詳細を見る

原作は未読ですが、有名なので噂では知っていました。

面白かったです。さすがに評判になった原作だと思いました。

ただ、アニメーションとしてはどうなのでしょうか。まるで絵が動いていません。これをアニメーションと呼んでもよいのかどうか疑問を感じます。アニメスタッフがいけないというより、この題材をアニメ化するのがそもそも難しかったのかもしれません。

実写で映画化も行うようです。映画の方に期待します。

【朝日新聞】「死刑の存廃 揺れてもいい」 

1月26日(木)朝日新聞東京版朝刊オピニオン欄で映画監督で作家の森達也氏が死刑について語っています。

昨年11月、死刑制度をテーマにするシンポジウム(京都弁護士会主催)に、パネリストとして参加した。催しの第1部は、地元高校生たちによる発表だ。 これまで死刑制度に格別の興味や関心を持たなかった彼らは、人を殺したのだから処刑されることは当然だと思っていた。でも被害者遺族やかつての冤罪死刑囚、執行に立ち会った教誨師や元刑務官などに会って実態を知る過程で、少しずつ 意識を変えた。
(中略)
高校生たちが発表を終えた瞬間、客席にいた男性から怒声が飛んだ。
「被害者の人権はどうなるんだ!?」
突然の鋭い声に会場は静まり返り、高校生たちは硬直した。涙顔になっている女生徒もいた。全員が沈黙したまま、第1部は終了した。
この国では、死刑制度を支持する人が、国民の8割以上を占める。客席の男性と同じ主張をするメディアや識者も多い。ここまで読み進めながらあなたも、男性の叫びに内心では同意しているかもしれない。
ならば言わねばならない。あなたは前提を決定的に間違えている。被害者と加害者の人権は対立概念ではない。片方を上げたら片方が下がるわけでもない。両方とも上げれば良いだけの話なのだ
正義と悪。敵と味方。黒と白や右と左。そして被害と加害。前提を二項対立にしたほうが確かに思考は楽だ。でもそれは現実ではない。この世界はもっと複雑で多面的だ。
(中略)
法の制度の整合性を常に考察することも、法相の重要な職責であるはずだ。ところが議論や考察をするために重要な前提である情報公開が、ほぼまったくなされていない。
確かに一昨年、法務省は刑場を公開した。でもあれは空っぽの野球場だ。野球ではない。野球場だけを見て野球の考察や議論ができるはずがない。試合の生中継は無理にしても、どんな選手がいて、どのようなルールで、どのように試合が行われるのか、これらを知らずに野球の考察や議論ができるはずがない。
(中略)
裁判員制度を導入した日本は、国民が国民の死刑を決める稀有な国になった。処刑してから実は冤罪だったと判明したとき、あらゆる意味で取り返しはつかない。意見は決して出尽くしてなどいない。知らないから語れないのだ。せめて揺れよう。揺れながら考察と議論を続けよう



被害者と加害者の人権は対立概念ではない。片方を上げたら片方が下がるわけでもない。両方とも上げれば良いだけの話なのだ。

刑罰とは人権の制約です。もちろん法で定められた以上に人権を侵していいわけがありません。犯罪者であっても人権を不当に侵してはいけないというだけのことです。一般的に加害者の人権を上げねばならない理由はありません。

森氏の意見に違和感を覚えるのは、加害者の処遇を考える際に、被害者の人権を考慮することを楽な思考と評しているところです。加害者の人権を考える際に被害者を忘れる方がよっぽど単純です。単純化が悪いとは言いませんが、どちらが楽な思考をしているのかはよく認識する必要があります。


死刑廃止論者は、よく死刑の情報公開がないと批判します。しかし具体的に何の情報を公開すべきと考えているのかはっきりさせません。

試合の生中継は無理にしても、どんな選手がいて、どのようなルールで、どのように試合が行われるのか、これらを知らずに野球の考察や議論ができるはずがない。

野球にたとえないで、死刑制度の何を公開しろ、と言いたいのか具体的に明言すべきです。

絞首刑が残虐であることがわかるような情報を公開しろと言うのなら、「生中継」もしくは録画の中継が必要になります。しかし森氏は、それは無理だと思っているようです。


一番おかしいのは、死刑賛成派にばかりに揺れろと言っているように見えることです。

そもそも、"揺れろ"などとあやふやなことを言っていないで、反対なら反対理由を添えてと堂々と主張すべきです。


【本】猫の手


猫の手 (SHINJUSHA MYSTERY―エラリー・クイーンのライヴァルたち)猫の手 (SHINJUSHA MYSTERY―エラリー・クイーンのライヴァルたち)
(2000/11)
ロジャー スカーレット

商品詳細を見る


1931年。ロジャー・スカーレットの推理小説。
原題「Cat's Paw」

偏屈で裕福な老人が甥姪たちを支配しています。屋敷で、その老人が殺される。生活力に乏しい甥達とその妻、老人の愛人などが容疑者になります。

「グリーン家殺人事件」を想起させます。こちらは連続殺人事件ではないのでちょっと地味ですが。また、カードゲームで性格分析をするあたりは「カナリア殺人事件」も思い出します。私は気がつかなかったのですが、巻末の解説で「フランス白粉の秘密」との符合も指摘されていました。もっともな指摘でした。

良作です。

参)【本】ビーコン街の殺人

【朝日新聞】天声人語

1月25日 朝日新聞の天声人語より。

 孔子と弟子たちの言行を記した「論語」には「女」という文字が19回登場するそうだ。とはいっても、うち17回は「汝(なんじ)」の意味で使われ、女性という意味では2回しか出てこない。その一つが、よく知られた「女子と小人(しょうじん)とは養い難し」だという▼中国文学者の一海(いっかい)知義さんが故・加藤周一さんとの対談で述べていた。天下国家は男の仕事、という意識だろう。いわゆる儒教文化圏の日本で、議会や経営への女性参加が少ない遠因は、その辺と無縁ではなく思われる▼女性の国会議員は増えてはいるが、衆院ではまだ11%しかいない。お隣の韓国より低く世界で120位あたりにとどまっている。そうした停滞に風を吹き込む朗報だろう。滋賀県大津市長に女性最年少で越(こし)直美さんが選ばれた▼女性首長の率は国会議員より寂しい。知事は47人中3人、市長は787市でわずか15人。嘉田(かだ)由紀子さんが知事を務める滋賀は、これで県と県都のトップに女性が立つ。全国初の二人三脚となる▼米国で学び、働いた越さんは「ガラスの天井」という言葉をご存じだろう。女性の進出を阻む見えない障壁を言う。米国でも、この天井に頭をぶつけて大勢が沈む。障壁を青天井に変えていくパワーを、ここは期待したい▼「鉄の女」と呼ばれたサッチャー元英首相が言ったそうだ。「政治の世界では、言ってほしいことなら男性に、実行してほしいことなら女性に頼むことです」(『名言の森』から)。さわやかな手腕を、存分に振るってほしい。



論語の「女子と小人」は、下働きの男女を指すのであって、女性差別の言葉ではないと思っていました。論語に明るいわけではありませんので、ここでは置いておきます。それはさておき、女性衆議院議員が少ないことの理由を「儒教文化圏」といった言葉で説明するのは感心しません。証明も反証もできないことを言うのは無意味です。


女性の社会進出の指標に衆院(下院)の女性議員数を持ち出すことの愚は以前に書きましたのでここでは繰り返しません。リンク先をお読みください。
【時事問題】国会議員の女性の割合


「ガラスの天井」とは、性別や人種などを理由としてある限度以上に昇進できないことを指します。市長は、その市の行政のトップでそれ以上の地位はありません。「ガラスの天井」を青天井に変えて何に昇進しろというのでしょうか。意味が分かりません。「天井」つながりで言葉を並べてみたかっただけだとすれば軽薄です。


まだ選ばれたばかりですので、マスコミがエールをおくるのは悪いこととは思いません。しかし、今回の天声人語は、新市長の政治的手腕や思想をまったく考慮せず、ただただ女性だから持ち上げているようにしか見えません。これも形を変えた女性差別です。

【アニメ】デビルマンレディー


デビルマンレディー DVD-BOXデビルマンレディー DVD-BOX
(2002/12/11)
岩男潤子、嶋村薫 他

商品詳細を見る


Gyaoにて視聴。今回が初見です。

漫画の「デビルマン」は読んでいます。漫画の「デビルマンレディー」は部分的にしか読んでいません。

主人公は内向的ですが、決して内面が豊かというわけではありません。状況にただおびえ流されるだけです。当然持つべき疑問を関係者にぶつけません。かといって自分の境遇に納得している風でもありません。観ていていらいらしました。

個々のバトルシーンもあまりうまいものとは思えません。重量感もスピード感もありません。前半はビーストとの戦いが続きますが、正直言って退屈です。ビーストやデビルマンレディーの巨大化でバトルシーンにひねりを出そうとしたのかもしれませんが失敗しています。どんなにうまく情報操作してもあれでは一般人に気づかれないわけがありません。かえって不自然さが目立ちました。

物語の後半で、ビーストの存在が公になり社会が壊れていきます。これは漫画「デビルマン」を思い出させますが、見せ方がヘタです。世の中が一変してしまったというのが描けていません。漫画「デビルマン」と比べると雲泥の差があります。

残念ですが低評価です。

【朝日新聞】投書:小川法相は死刑執行再考を

1月22日朝日新聞朝刊の投書欄より。
東京都世田谷区の54歳の国家公務員(男性)の投書です。

小川敏夫新法務大臣は就任会見で、死刑について「たいへんつらい職務ではあると思うが、職責をしっかりと果したい」と述べ、執行への意欲を見せた。昨年は19年ぶりに死刑の執行が無く、日本も死刑停止に向かうのかと思われた時期の大臣交代は、死刑をしない大臣は不要という政府の意思が透けて見える。
マスコミも含めて、「法務大臣が死刑をしないのは法律違反だ。死刑反対なら大臣を引き受けるな」との意見がある。しかし、昨年8月30日、政府は質問主意書への答弁書に「死刑執行命令がなされなくても違法となるものとは考えていない」と明記しており、死刑を命じることは大臣の職務ではない。また小川大臣は、死刑存廃の議論は出尽くしていると発言し、千葉景子元大臣が始めた死刑制度勉強会の中止を検討している。
小川大臣は検事や弁護士を経験しており、死刑に犯罪抑止力はなく被害者には別の救済方法が必要、という議論も承知しているはずだ。むしろ冤罪や誤判の可能性を考え、死刑をいったん執行停止し、存廃についての議論を呼びかけることが大臣に求められている。死刑の存廃は、人の命を大切にするという高い倫理感でこそ判断されるべきだ。


死刑執行を停止して議論をしようという提案は理解できません。執行を停止しなくても議論はできます。議論をする前提にハードルの高い要求をしては、なにも進みません。死刑廃止を決める前に死刑廃止を実行しろ、と言っているのと同じです。

誠実に死刑に反対しているならば、法務大臣に超法規的な要求をするのではなく、死刑を廃止した新しい刑罰体系を堂々と世論に訴えるべきです。それをしない死刑廃止論者の意見にはうさんくさいものを感じます。

なお、私は死刑廃止論者ではありませんが、賛成派というわけでもありません。

参)【本】知っていますか? 死刑と人権 一問一答

【朝日新聞】社説:原発住民投票―都民の関心、示すとき

1月22日朝日新聞の社説です。

東京で住民投票をしよう。
この署名活動が、いまひとつ盛り上がらない。
呼びかけているのは、市民グループ「みんなで決めよう『原発』国民投票」。東京電力の大株主の東京都と、関西電力株を持つ大阪市に、住民投票を実施するための条例づくりを直接請求しようという活動だ。
すでに1カ月間の署名期間を終えた大阪市では、請求に必要な「有権者の2%」を上回る、6万人あまりを集め、選管の審査を待っている。
だが、東京では期間2カ月の3分の2が過ぎても、まだ必要な21万余の半分に届かない
この少なさは、どうしたことなのか。
署名の趣旨は「原発反対」でも「推進」でもない。
原発の是非を自分たちで決めるために、住民投票をしようというのだ。
つまり署名の数は、関心の強さをはかる物差しになる
首都圏の電力は原発事故前、3割近くが原子力で賄われていた。その消費者の都民が、わずか2%の関心すら示せなかったら、福島県をはじめ原発の地元住民はどう思うだろう。
一方では、関心はあるのに、どこで署名できるのかがわからないという人も多いようだ。
(中略)  
原発の行く末をみんなで考える。そのための住民投票をするには、もっと署名が要る。
大震災を機に、エネルギー政策が根幹から問い直されているいまこそ、都民は消費者としてもの申そう。そのために、首都で住民投票を実現させよう。


「署名の数は、関心の強さをはかる物差しになる」という論理は間違っています。

リコール請求ではリコールしたい人が署名します。それと同じことで原発賛成派は署名しないでしょう。また、自ら指摘しているように署名を集めていることを知らない人も多いでしょう。署名数が関心を持っている人の数だ、というのは無茶な決め付けです。

それ以前に、この社説は基礎データの見せ方に問題があります。説明された基礎データ(数値)を抜き出してみます。

集まった署名数
大阪市 6万人。
東京都 21万人の半分以下(具体的な数値は不明)。

必要な署名数
大阪市 6万人以下(具体的な数値は不明
東京都 21万人


このように基本となる数値データの多くが提示されていません。

いい加減な社説だと思います。

【朝日新聞】記者有論:日朝協議 政治決断と説明が必要だ

1月20日朝日新聞朝刊オピニオン欄の記者有論のコーナーに、政治部の大島隆氏が北朝鮮問題について論じています。

(前略)
野田佳彦首相は「不測の事態」に備えるように指示を出した。しかし、拉致問題を進展させるためには、日朝協議に向けた準備に着手すべきだ。
必要なのは、(1)リスクを取る政治の決断(2)国内世論への説明の二つだ。
外交交渉は、お互いが「合意した方が利益になる」と考えて初めてまとまる。過去の協議では、北朝鮮が拉致問題の再調査を、日本が制裁緩和の用意をそれぞれ表明した。こうした「取引」は再び浮上しうるが、制裁緩和や食糧支援には反対も出るだろう。
リスク覚悟で踏み込むか否か。キムジョンウン体制の出方を見極めながらの決断は、政治家にしかできない仕事だ。
もう一つ、世論への説明は、政官挙げて取り組む必要がある。秘密交渉が当たり前だった19世紀までとは異なり「外交の民主化」が進んだ現代では、国内世論も交渉の行方を左右する。日朝協議はこうした現代外交を象徴する交渉だ。
しかし、北朝鮮を巡る過去10年間の日本外交は、世論と向き合う努力が足りなかった。特に外務省という組織は、世論が苦手だ。時には世論を軽んじ、ある時は批判を過剰に怖れて萎縮してしまうところがある。交渉前に手持ちのカードをすべて明かすことはできないとはいえ、事前に基本方針を丁寧に説明し、理解を得ることは、交渉基盤の強化につながるはずだ。
02年、当時の日朝国交正常化交渉担当大使だった鈴木勝也氏は国会でこう訴えた。
「外交交渉の結末は、ほとんどが半分譲って手を握るというパターンだ。そこは国民の皆様にもご理解をいただきない」
いま、表だってこうした発言をする政治家や外務官僚はいない。譲歩なしに拉致問題を解決できれば、それが最善だ。しかし、もし交渉が必要と考えるなら、それを世の中に率直に伝え、理解を得る努力から逃げるべきではない。


まるで北朝鮮が拉致問題の再調査をしないのが、日本の政府や外務省の責任のようなことを言っています。しかし、誘拐したのは北朝鮮ですので、解決に向けて努力する責任は北朝鮮にあります。

「過去10年の日本外交は、世論と向き合う努力が足りなかった」というのも疑問があります。小泉訪朝前の対北朝鮮外交日本外交は、関心が薄かったこともありますが、世論を無視していました。この10年の方が国民に方針を説明しています。

新聞が政治を監視する役割を持っているのは分かります。しかしなんでもかんでも政治家が悪い、官僚が悪い、と言うのは間違いです。きちんと考えて言うべきです。

参考までに、このBlogで大島隆氏の記事に言及したものにリンクを張ります。
【朝日新聞】日中の改善、市民の交流から 外務省、世論対策を強化
【朝日新聞】記者有論:首相は国の顔 「ダメなら交代」許されぬ

【本】「英語公用語」は何が問題か


「英語公用語」は何が問題か (角川oneテーマ21)「英語公用語」は何が問題か (角川oneテーマ21)
(2010/11/10)
鳥飼 玖美子

商品詳細を見る

ビジネス界をはじめとして検討が進む「英語公用語」に対して、大学教授で同時通訳者の著者が多角的に分析し批判した書です。

著者の主張は明快かつ論理的で説得力があります。日本人同士が英語で仕事の話をするのは非常に困難ですし、無理に推し進めれば害があります。完全に同意できます。

しかしこの主張が、社内で英語公用化を進めている経営者に届くことはないでしょう。彼らは自分の信念で部下が苦労することを当然と考えているように見えます。日本人同士で英語を使っていることで仕事に間違いが生じても、それを英語公用化の弊害とは認識せず、部下の個人的な資質のせいにするような気がします。社内英語公用語化のニュースを聞いて、ああいう会社に勤めていなくてよかったと心底思ったものです。

公用語について以外では、P114の語学の勉強方法が参考になります。著者は一つの方法にこだわるな、と主張しています。

結局のところ、ひとつのメソッドにすがるのではなく、あれこれ試した上で自律的に判断し、自分に合った方法を選択して努力するしかない。努力は欠かせないが、苦しくても頑張るという精神論では英語学習は続かない効果はあがらない。自分の性格や置かれた状況に見合った方法を見つけ、無理なく続けることだろう。


たいへんためになる識見だと思います。

【朝日新聞】インタビュー:経済成長という麻薬

1月18日 朝日新聞朝刊オピニオン欄に、仏の経済学者ダニエル・コーエン氏のインタビュー記事が載りました。

コーエン氏は、一人当たりの所得が増えていくというのは、歴史的に例外的なことであったと指摘し、欧州もこれから経済成長のない時代にはいるとしています。また人間が幸せを感じるのは、成長が加速していく時で、豊かさそのものはいずれ飽きてしまうものだ、と論じています。

成長にこだわらない選択肢として次のようなことを言っています。

たとえばフランスでは回答として労働時間を短くする35時間労働が打ち出された。もし経済成長にともなう暮らしに居心地の悪さがあるとすれば、それは働きすぎだからだ。みんなで同時に働く時間を少なくすればいい
35時間労働について、私が受け入れがたい批判はこういうものだ。『もっと働かなければならない。なぜなら中国人はうんと働いているのだから』。これはおかしい。富というのは、働かなければならない時間を減らすためにあるはずだ。フランス人が10%の労働時間を減らして、10%収入を減らしても、それは問題ではないはずだ。
貧しい人がたくさん働くのは、まさに貧しいからだ。余裕のある者も同じくらい働くべきだという考えはばからしい。


非常に魅力的な意見です。心情的には大賛成です。しかし、この意見への強力な反論として次のようなものがあると思います。すなわち「フランス人が10%の労働時間を減らすと、収入を50%失う可能性がある」。

現在豊かであるからといって油断をすると全てを失うこともあり得ます。これに対して有効な反論がないと一般への説得力を持ちません。

もう一つ、経済成長をしない時代に入ったことで、社会が悪い不寛容になる、とも論じています。これは昨日話題にしたユーロ圏崩壊に関係することです。引用します。

欧州の危機は米国と少し違う。それは欧州統合というプロジェクトの危機だ。これは、欧州を利己的な各国家を超えた共同体として統合しようという理念に基づいている。それなのに、繁栄している国々が、困難を抱えた国を助けずに見捨てようとする動きが出たときに、それを欧州統合の理念が押し返せない。
債務危機の議論とともに、ギリシャ対ドイツだの、イタリア対ドイツだのとステレオタイプもまたぞろ登場してきている。欧州建設が始まって半世紀にもなろうというのに愚かしい。
文明が進むということは、人類はだれもが兄弟だと考えることができるようになるということでもある。欧州統合もその一つだ。だが、文明の進歩がこれほどもろいとは、信じがたいほどだ。


コーエン氏は、欧州統合は損得の問題ではなく理念の問題と捉えています。

二点、指摘します。

第一に、コーエン氏の主張は、文明が進歩したら人類のだれをも兄弟と考えるのだから債務危機国を助けるべき、というものです。

しかし、現実の兄弟で考えてみます。独立した生計の弟が借金をして遊びに散財したとします。果たして金銭的に助けるでしょうか。よほどの余裕がなければ助けないでしょう。兄弟関係に譬えていますが無理があります。

第二に、「人類のだれをも」と言っていますが、ユーロ圏というのは汎人類的なものではありません。コーエン氏もギリシャを助けるべきと考えても、アフリカやアジアの貧しい国を同じように助けろ、とは言わないはずです。ユーロ圏は、国家の組みなおしに過ぎません。各国家が利己的だと言うなら、同じようにユーロ圏は外に対して利己的だといえます。

コーエン氏がユーロに理念を見出すのは自由ですが、ついてこない人たちに失望するのは少々ズレているように思います。

【朝日新聞】社説:ユーロ危機―格下げに負けぬ結束を

1月17日朝日新聞社説より。

フランスなど欧州9カ国の格付けを米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が一斉に引き下げた。ギリシャの債務減免をめぐる同国政府と金融機関との交渉は、減免率での対立から中断した。
 債務問題への対応の遅れが、経済環境をさらに悪化させる負の連鎖が生じている。次々と迫る難題に、外国為替市場ではユーロ安が一段と進む。
(中略) 
 このまま個々の国の信用に頼り続けると、信用力格差から利害の対立が鮮明になり、ユーロの分裂や崩壊というシナリオが現実味を帯びる。
 仮に、金融市場がギリシャの離脱やユーロの分裂を真に受け始めると、資産保全や投機的な思惑による巨大な資金シフトが起き、銀行システムを危機に陥れる恐れがある。そうなれば、健全な国の経済までもが大打撃を受けることになる。
 このような制御不能の事態を防ぐために、欧州は団結して問題解決への姿勢を示し、思惑の芽を摘まなければならない。


ユーロ崩壊を食い止めろ、という主張です。

しかし、これではなぜユーロが崩壊してはいけないのか分かりません。

社説が主張するところによれば、ユーロの崩壊やギリシャの離脱が起きると、金融市場の投機によって銀行システムが危機に陥り、経済に大打撃を与える、ということです。たしかにその可能性はあります。しかし、無理にユーロを維持しようとしても銀行システムは危機に陥るかもしれません。ユーロを維持することが欧州の経済にとってよいことなのかどうか、結論は出ていないと思います。

経済への影響は置くとしても、南スーダンの独立の例でもわかるように、国家の分裂=悪ではありません。基本的には独立国家として長い歴史を築いてきた欧州各国がもとの体制にもどることがそんなに悪いことなのでしょうか。

この社説を読んで、ユーロ崩壊が良くないと考える読者は少ないでしょう。

【朝日新聞】社説:センター試験―複雑さ、もう限界だ

1月17日朝日新聞の社説です。

大学入試センター試験で大きなトラブルがおきた。
 2冊配るべき問題冊子を、1冊しか配らない。そういった試験監督者の不手際が、全体の8%にあたる58会場であり、約4500人が迷惑をこうむった。
 混乱したのは、地理歴史と公民の試験だ。今回からこんな仕組みに変わった。
 2科目受ける受験生は、たとえば地理と日本史のように地歴から2科目選んでもよいし、地歴と公民から1科目ずつ選んでもよい。その2科目をまとめてひとつの時間帯で試験する。解く順番は自由だが、先に解いた科目の得点だけを使う大学もある。だから問題を2冊同時に渡す必要がある受験生がいる。
 1回聞いただけでは、のみこめない複雑さだ。それが混乱を招いた。周知期間も半年では短すぎた。
(中略)
 今回の失策だけなら、2冊に分かれた問題冊子を1冊にまとめれば再発は防げる。でも、それだけでいいだろうか。
 制度の変更にトラブルはつきものだ。英語のリスニングが始まった6年前も、機器の不具合が相次いだ。当面はこれ以上仕組みをいじらず、定着を図るべきだ。
 試験監督でさえ間違えるのだから、ころころルールが変わったのでは、受験生はおちおち勉強に打ち込めない。
 そのうえで、もっとシンプルな制度への改革を、10年単位で議論してはどうか。
 センター試験を複数回に増やす案も、かつて大学審議会などで出た。一回だけの機会に比べて、受験生の重圧を減らせる。運営側の失敗で不公平が生まれたときに取り返しをしやすくするためにも、もう一度真剣に検討したい。
 もちろん、変えるときは十分な予習時間をとろう。




ここによれば受験者は約50万人です。したがって影響を受けたのは、およそ1%になります。

会場数で割合を出すと8%になるにせよ、実態を正確にあらわすのであれば受験者の割合で表現すべきです。あえて8%という大きい数字を出してきたとしか思えません。扇情的な報道です。


>1回聞いただけでは、のみこめない複雑さだ。それが混乱を招いた。周知期間も半年では短すぎた。

試験監督が1回聞いただけでわかったつもりになってもらっては困ります。分からなければ、何回でも確認するのは当然です。そもそも大多数の試験監督は指示通りに実施できています。制度の問題を論ずる以前に、一部の人の仕事振りを問題にすべきです。


>試験監督でさえ間違えるのだから、ころころルールが変わったのでは、受験生はおちおち勉強に打ち込めない。

どの科目が選択科目として認められるのかがころころ変わるのでは受験生は大変です。しかし、問題用紙を同時に配るか別々に配るかといったことは受験生には関係ありません。試験監督がプロ意識をもって努めればよいだけです。

ミもフタもない話ですが、制度が悪いのではなく、試験監督の問題だったように思います。

【時事問題】兵庫県知事の大河ドラマ酷評発言

兵庫県知事がNHKの大河ドラマ「平清盛」を酷評したことで、知事に対して苦情が殺到しているそうです。1月15日の朝日新聞にも東京都の主婦(51)の投書が載りました。

(前略)
人間の感性は個人で異なるし、知事が個人的に評価しなくてもかまわないが、公の立場での発言であれば、別の見方をする視聴者がいることにも思いをいたすべきだった。
(後略)


この意見が典型的な批判だと思います。

私にはこうした批判がよくわかりません。面白いという感想を持つ人が酷評している人の発言を不快に感じる必要はありません。それぞれの意見が違う、というだけのことです。それが公人であるからといって怒るのは狭量です。

むしろ、この程度の発言に対して、つるし上げをする風潮に不気味さを感じました。

【週刊金曜日】日本で高校が無償化されるならば朝鮮学校も対象にするべき

2011年12月16日(876号)の週刊金曜日に「日本で高校が無償化されるならば朝鮮学校も対象にするべき」との韓国の俳優クオン・ヘヒョ氏のインタビュー記事が載りました。

韓国人が日本の朝鮮学校の支援活動をするというのがもの珍しいですが、言っている中身は朝鮮学校無償化をすすめる人たちと同じような内容だと思います。いくつか引用してみます。

日本の市民団体のメンバーの方がこう言っていました。
「日本で高校が無償化されるならば、朝鮮学校も対象にするべきです。日本の社会が最小限、行うべき人権問題です。それができないなら、日本は先進国ではありません」
つまりこの地で学ぶ学生たちに公正に教育を受けられるようにするのが先進国のあり方だというのです。


日本の学校と比べて公平ではないかもしれませんが、不公正とはいえません。学校によって授業料が違うのを不公正とはいいません。そもそも、朝鮮学校の運営を禁止しているわけではないことに注意する必要があります。

また、朝鮮学校の無償化をしないと日本が先進国でない、というのも論理には飛躍があります。

ここ数年、経済が沈滞している影響で、日本の人々は保守的になっているのかもしれません。しかし、こういう時こと人権を守るために動いてほしいです。朝鮮学校を高校の無償化から除外するかどうかは、日本社会が今後、住民の人権についてどう取り組んでいくかという、重要な試金石になると思います。


高校無償化は民主党政権が始めたことです。それまでは日本の高校も無償ではありませんでした。無償でなかった時期に日本全体の人権が抑圧されていたということでもありません。日本の高校に比べて得が少ないというだけであって、人権問題といった大げさなことではありません。

「日本で高校が無償化されるなら、朝鮮学校も対象にして欲しい」といった穏やかな要求であれば素直に受け入れられた可能性もありますが、「するべき」など大上段に言われると、とても協力する気分にはなれません。

朝鮮学校で学ぶ生徒のために考えているのではなく、社会運動としてやっているとしか見えません。仮に将来朝鮮学校の無償化が行われたとしても、彼らはまた別の「不公正」を見つけてくるでしょう。こうした運動には心底うんざりします。

念の為に追記しますが、朝鮮学校に通う人たちを非難しているわけではありません。なんでもかんでも運動に結びつける人たちのことを問題視しているだけです。

【本】聖剣の刀鍛冶11


聖剣の刀鍛冶  11 (MF文庫J)聖剣の刀鍛冶 11 (MF文庫J)
(2011/11/23)
三浦 勇雄

商品詳細を見る

前巻からずいぶんと間が空きましたが、シリーズ最新刊です。

短編のエピソード集ということでしたが、外伝的なものではありません。本筋にしっかりからんだ話でした。しっかりというよりも、最終巻のイベントかと思うようなことも起きます。この調子だともうそろそろ終わりが見えてきた感じです。

前巻は、暗い感じでしたが、今回は全体に明るい調子で進みました。

【朝日新聞】投書:大学図書館を開放する以上は、

朝日新聞の投書欄より。千葉県松戸市の56歳の会社員男性の投書を紹介します。

休日に、かねて利用している大学図書館に行った。身分証明書の提示と年間利用料(千円)の支払いを条件に、一般にも開放されているのだ。私としては、無料で利用できる公立図書館よりも空いているので利用しやすい。
入室して2時間ほど経つと、図書館の担当と思われる女性が私の傍らに立った。そして、「ここは図書室の資料を読むためにあるのです。自習はお控えください」。唐突な言葉に言葉が出なかった。というのも、私が机に広げていたのは、薄っぺらなノートをボールペンだけだったからだ。ただ、図書室の資料を読んでいなかったことは明らかだった。だから私は「必要に応じて利用しております」と、一言だけ言いかえした。
女性担当は、けげんそうにすぐには立ち去らなかった。「ここは大学生のための図書室なのだから出ていってくれ」とでも言いたかったのだろうか。この図書室に講義と講義の合間に入ってきては傍若無人に雑談していく学生をよく見掛けるが、注意している姿をみたことはない。大学はもっと柔軟な思考を願いたい


度し難い投書です。

唐突な言葉に言葉が出なかった。というのも、私が机に広げていたのは、薄っぺらなノートをボールペンだけだったからだ。

なにが「というのも」かさっぱりわかりません。その司書さんは本を読むための施設だから自習をするな、と言っているのです。まさに「薄っぺらなノートをボールペンだけだったから」注意されたのです。

ただ、図書室の資料を読んでいなかったことは明らかだった。だから私は「必要に応じて利用しております」と、一言だけ言いかえした。

「だから」の後は普通ならば、自習を控えて資料を読むことに専念するとか、退出するとかになるはずです。「必要に応じて利用しております」と言いかえしたというのは不適切です。会話が成立していません。

女性担当は、けげんそうにすぐには立ち去らなかった。

当然です。いい年をした大人が普通の会話ができないのですから怪しんで当然です。

「ここは大学生のための図書室なのだから出ていってくれ」とでも言いたかったのだろうか

違います。資料を読むための場所なのだから自習はやめろ、と言いたいのです。投書子が自分で書いています。人の言うことは、聞こえてはいても理解はできないようです。

この図書室に講義と講義の合間に入ってきては傍若無人に雑談していく学生をよく見掛けるが、注意している姿をみたことはない。

雑談しているという学生はともかく、投書子が司書さんに対して傍若無人なのは明白です。

五十過ぎの大の男の書くことではありません。朝日新聞も、よく考えて投書を採用すべきです。こんな文章を載せるのは紙面の無駄遣いです。

【朝日新聞】記者有論:北朝鮮情勢 人による生きた情報必要

1月10日朝日新聞朝刊オピニオン欄より。国際報道部の牧野愛博氏による北朝鮮問題に関する一文です。引用します。

(前略)
日米韓は主に、偵察衛星で写真を撮ったり、北朝鮮内の通信を聞いたりして情報を集めている。だが、それにも限度がある。韓国軍情報司令部自慢の777部隊は19日、死去発表の直前に部隊への帰任を命じる北朝鮮軍指令「キムジョンウン大将命令1号」を傍受したが、直後に北朝鮮は通信の周波数を変えたという。
そこで威力を発揮するのが、ヒューミント(人間を通じた諜報情報)だ。いわゆるスパイ
である。ある関係筋は総書記が死去したとされる17日の夕刻、北朝鮮高官から「19日正午に特別放送がある」と聞いた。別の関係筋は、中国の公安関係者経由で総書記が16日夜に平壌の官邸で死去したという北朝鮮高官親族の証言を得ていた。
(中略)
ただ、日本の活躍は期待できそうにない。かつて日本は対北朝鮮外交で「対話と抑止」を掲げたが、日本人拉致問題を契機に「対話と圧力」になり、事実上「圧力と圧力」に変化した。原則的に公務員の交流も止まった。
北朝鮮の行方は北東アジアの安全保障を大きく揺るがしかねない。相手の正体を把握してこそ、戦略の立てようもある。独自のヒューミントを得る努力も必要だ。対話を通じて情報を得ることも大事だ。それは北朝鮮への譲歩ではない


おかしなことを言っていると思います。

牧野氏の主張はこうです。北朝鮮の内情を探るのに、日本の活躍は期待できそうにない。なぜなら「圧力と圧力」政策によってヒューミントが行われていないから。

しかし、米国も韓国も、ヒューミントによってキムジョンイルの死去情報をいち早く得ていたという事実はありません。ヒューミントで情報が得られたとして牧野氏が紹介しているのは「ある関係筋」とか「別の関係筋」といった、よくわからない「筋」だけです。

米国や韓国が北朝鮮にヒューミントを仕掛けていると牧野氏が思っているなら、ヒューミントは有効的に働かなかったと解釈すべきです。米国も韓国もヒューミントを行っていないと思っているなら、日本だけをヒューミントをしていないと責めるのはおかしいです。

牧野氏の言っていることは辻褄があっていません。これでは彼の言葉とは裏腹に、日本が北朝鮮に譲歩の姿勢を示さないのが気にいらないだけのようにしか見えません。

なお、ここで私が言いたいのは、牧野氏の主張の矛盾と、その隠された動機への疑いです。北朝鮮に対して諜報活動が不要だと主張しているわけではありません。

2012冬調査(2011/10-12月期、終了アニメ、24作品)

アニメ調査室(仮)さんで行っているアンケートに投稿しました。

評価基準は
S : とても良い(第3回より追加)
A : 良い
B : まあ良い
C : 普通
D : やや悪い
E : 悪い
F : 見切り、視聴はしたが中止(または見逃しが多い)
x : 視聴なし、(または視聴中のため評価保留)
z : 視聴不可(わかる範囲で良いです)

次のように評価しました。

01,UN-GO,F
02,君と僕。,x
03,gdgd妖精s,x
04,ベン・トー,B
05,Fate / Zero,S
06,マケン姫っ!,x
07,はっぴーカッピ,x
08,ダンボール戦機,x
09,C3 シーキューブ,x
10,輪るピングドラム,F
11,僕は友達が少ない,B
12,WORKING´!! (2期),A
13,たまゆら hitotose,x
14,世界一初恋2 (2期),x
15,侵略!? イカ娘 (2期),A
16,境界線上のホライゾン,F
17,真剣で私に恋しなさい!!,F
18,森田さんは無口。2 (2期),x
19,フジログ 第2シーズン (2期),x
20,ぬらりひょんの孫 千年魔京 (2期),C
21,アイドルマスター (THE IDOLM@STER),x
22,ましろ色シンフォニー The color of lovers,x
23,ひだまりスケッチ×SP (特番 4期),x
24,こぴはん (ネット配信),x

個々の作品評はリンク先をご覧ください。


見切り作品について

■UN-GO
3回まで視聴。
次の時間帯の「ギルティクラウン」とともに、「コードギアス」の影響が濃いいものが並んでしまいました。もう少し編成を考えるべきだったと思います。
目新しい探偵ものだとは思いますが、あんな能力があるなら、普通に「あなたは犯人ですか?」と聞いてまわれば、一発で解決するような気がしました。最後まで観ると、納得できる設定だったのかもしれませんが、そこまで辛抱できませんでした。

■輪るピングドラム
1クールはまるまる観ましたが我慢できずに切りました。面白いと思って観ていたのではなく、「ウテナ」の幻影を追っていただけでした。勝手に片思いをしていて勝手に幻滅しただけです。その意味ではきちんと鑑賞できていなかったと思います。

■境界線上のホライゾン
4回まで視聴。
絵はよく動いていてクオリティは高そうなのですが、いかんせん話がさっぱり分かりません。原作を読んでいないとついていけないようです。残念ながら、原作を読もうと思うほどの魅力は感じませんでした。

■真剣で私に恋しなさい!
2回目まで視聴
キャラクターをいっぺんに出しすぎて覚えられませんでした。覚える気がおきるほど面白そうには思えませんでした。好みに合わなかったというだけです。


【アニメ】Fate/Zero


『Fate/Zero』 Blu-ray Disc Box ?『Fate/Zero』 Blu-ray Disc Box ?
(2012/03/07)
小山力也、川澄綾子 他

商品詳細を見る


テレビ版「Fate/stay night」は視聴済み。映画「Fate/stay night- UNLIMITED BLADE WORKS」も観ています。ただし、ゲームには未だ手を出していません。

今期、一番面白かったです。

stay nightはラブコメみたいなところもありましたが、Zeroはそうした要素は廃して、全編緊張感がみなぎりっぱなしです。こちらの方が私の好みに合います。

バトルシーンだけでなくキャラクターどうしの関係も特筆ものです。ライダー・アーチャー・セイバーの聖杯問答や、キャスター陣営の最終話の狂った交歓、ライダー陣営の交流など、目をみはるものがありました。

1クール間があいたので、本当の評価は完結してからにすべきですが、いまから名作と評価される予感がします

なお、聖杯問答ではセイバーは負かされたわけではないと解釈しました。あれは古代世界で王だったライダーと中世に王となったセイバーの違いです。時代が違うために、臣下に違いがあります。ライダーがあの調子でブリテン王をやってもうまくはいかないでしょう。もちろんセイバーにマケドニア王はつとまりません。どちらかの王のありかたが間違っていた、というわけではなく時代の違いです。ところが、セイバーは内省的であるため、ぐらついてしまった、というのが真相だと思います。

【朝日新聞】記者有論:国交正常化40年 等身大の中国人を知ろう

1月7日朝日新聞朝刊のオピニオン欄の記者有論のコーナーに、編集委員五十川倫義氏による「等身大の中国人を知ろう」とい一文が載りました。

(前略)
両国民(引用者注:日本と中国のこと)とも相手が好きでない。言論NPOと中国紙チャイナー・デーリーの昨年の調査では、中国人の約66%、日本人の約78%が相手国に良くない印象をもつ。歴史認識、台湾、領土、政治体制の違いに加え、海の軍拡や資源争いなど新たな問題まで抱えたのだから、無理もないのかもしれない。
両国は経済の協力ができても、政治の対立や心の壁を乗り越えるのは苦手だ。それが日中間の本質にあり、摩擦を増やし続けている。
だが変化の芽もある。
昨夏、浙江省で高速鉄道事故が起きた際、中国紙、経済観察報は日本の新幹線の高い安全性の理由として科学技術力、仕事への態度に加え、透明な社会で世論が監督していることを指摘した。中国版ツイッターのウエイボーでは、市民の政治参加と司法モデルについて問われた法律学者が「日本から学ぶことができればすばらしい」と答えていた。
グローバル化で人の往来や情報量が増えたことや、様々な分野の交流などで、等身大の日本が伝わり始めたように見える。
国交正常化から40年で、ようやく顔を出したこの芽を大切に育てたい。
理解が深まれば、冷静な対話を期待できる。そんな国民の層が厚くなれば、様々な摩擦の中で、適切な対応を求める世論になる。日中の行方に不透明な要素が多いなか、重要な存在になるはずだ。もちろん、等身大の中国人を知ることも必要だ。そうでなければ、対話をできる層は広がらない。
日本のロックバンド、ジプシークイーンが昨年、中国で演奏した時のこと。大学生たちからこう言われたという。「日本を目標に、もっと中国を良くしていきたい」。日中が苦手にしてきた心の壁を、いつか乗り越えられるかも知れない。


三点、指摘します。

第一に、相手国民の「等身大」を知ると友好が深まる、というのは根拠がありません。よく知ったらさらに嫌いになるという事態は十分に考えられます。確かに日中のもめごとは、領土問題、歴史問題、人権問題、資源問題など両国政府の方針によって衝突しているものが多くあります。しかし、毒ギョーザ事件など、市井の中国人が起こした問題で嫌悪感が深まったこともあります。市民どうしが知り合えれば仲良くなれる、というのは幻想です。

第二に、中国以外の例が示されていないのは感心しません。「等身大」を知ると友好が深まる、という五十川氏の主張が正しいというのであれば、等身大に知り合っている友好国の例を挙げるべきです。日米は同盟国ですが、大部分の米国人は等身大の日本人を知らないでしょうし、逆もしかりです。昨年のブータン国王の日本訪問でブータンへの好感度が上がりましたが、日本人がブータンの人びとを「等身大」に知っているわけではありません。中国以外の国との例を考えれば、「等身大」を知ること友好には、さほどの関連がないことが分かります。

第三に、包括的な世論調査の結果を瑣末な例でくつがえそうとしている誤りがあります。世の中にはいろんな人がいますので、大多数とは違うことを言う人は常にいます。そうした少数意見だけを取り上げていてはゆがんだ像しか見えてきません。少数意見を無視しろ、ということではありません。しかし世論調査の数字を棚上げして、ネットでのある法律家の発言や、日本のロックバンドの演奏に来た数人の大学生の意見を重要視するのは間違っています。

【展覧会】フェルメールからのラブレター展

於:Bunkamuraザ・ミュージアム

改修が終わり再開しました。

フェルメールの3作品(「手紙を書く女」「手紙を読む青衣の女」「手紙を書く女と召使」)を中心として、17世紀のオランダ絵画の展覧会です。

「手紙」や「家族」といった当時の風俗ごとに作品を置いているという親切な並べ方をしています。配っているパンフレットは詳細な上に、『17世紀オランダの手紙事情』とか『「フェルメールからのラブレター展」クイズ』といった楽しい解説も満載です。

展示作品群も素晴らしいもので、充実した時間を過ごせました。

これはお勧めの展覧会です。

【朝日新聞】情報社会と大学 見えぬ壁越える若者育てよ

1月5日 朝日新聞朝刊オピニオン欄より。
東京大副学長の吉見俊哉氏が「情報社会と大学 見えぬ壁越える若者育てよ」という一文が載りました。

(前略)
今日の世界では「壁」は、防壁や隔離という以上に、しばしば融合や越境のシンボルである。それならばいっそのこと、人類史上最大の壁で、日中の大学院生が、原発問題からサブカルチャーまで多様なテーマで「壁を越える」方法を集中討議しようというわけだった。
21世紀のアジアで中国の存在感は一層増大する。その際、日中間の見えない壁とは何か。それを超える方策とは何か。東シナ海の領有権のような政治問題に集中すると議論は袋小路になる。しかし視点をずらし、次世代が共有するテーマについて多面的に対話すれば、多くの迂回路から日中共通の認識基盤を構築できるだろう。
(中略)
情報社会は壁が容易に越えられる社会だが、同時に容易に壁が生まれていく社会でもある。世界は一元化に向かいつつ、多元化に向かう。そこでは知的財産権からネオ・ナショナリズムまで、様々な新しい壁も出現していく。しかし正解は、壁がなくなればいいというのではない。新しい壁の出現には理由がある。見えない壁の存在を自覚しつつ、それでも壁を乗り超え続ける意志と能力のある若者を育てていくことに、未来の大学の役割がある。

壁を越えることが善であると決め付けていますが、根拠が示されていません。同じ言語を話す同国人であっても壁はできます。人が社会で生きていくためには壁は必然であるばかりか必要なのだと思います。壁を乗り越えるのが悪いとは言いませんが、乗り越えないのが悪いとは言い切れないはずです。

政治問題を離れ両国の若者が壁を超えて連帯する、という図に夢を託しているのでしょうが、私には無邪気な御伽噺の聞こえます。

【本】夜歩く


夜歩く (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-2)夜歩く (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-2)
(1976/06)
ジョン・ディクスン・カー

商品詳細を見る


ディクスン・カーの処女作。1931年発表。

舞台はパリ。カーですので当然のように密室殺人で、かつ怪奇趣味にあふれています。

殺人の舞台がトウキョー通りというところに面しています。架空の名前かと思ったら、実際にそういう名前の通りがあったそうです。wikiを参照

フランスを舞台にしたせいか「黄色い部屋の秘密」を思い出させます。こちらは都会が舞台ですが。

ヴァン・ダインやクイーンといった近代的でロジカルな推理小説というより、やや古風な雰囲気です。小説としての味があるとも言えます。

この「夜歩く」によって、推理小説界の大物作家が出揃った、といえます。その意味では重要な作品です。

【朝日新聞】北朝鮮見据え日韓が協力を

1月3日朝日新聞朝刊国際面。「2012世界の道しるべ」と題して5人の指揮者に話を聞くという企画です。3日は慶応大学教授の添谷芳秀氏とカーネギー国際平和財団客員研究員のデビット・ロスコフ氏の二人。後の3人は5日の紙面に登場予定とのことです。

添谷芳秀氏の発言で気になった部分を引用します。

------日本の対処は。
日本の安全にとって朝鮮半島の安定は決定的要因だ。安全保障政策の基本は最悪の事態に備えること。これまで政治家は上の空だったが、北朝鮮内部の葛藤が朝鮮半島に混乱をもたらし、東アジアを不安定にする事態を想定して、真剣に対処すべきだ。朝鮮有事の際は中国が真っ先に動くだろう。日韓は米国とそれぞれ同盟関係にあり、日米韓が団結して同じ目標に向けて動くことが3国の利益になる。そのためにも日韓関係が重要だ。
------日韓には竹島(韓国名・独島)の領有権や、元日本軍慰安婦への謝罪補償をめぐる問題がある。
日韓が協力の重要性を理解すれば歴史、領土問題のアプローチも変わり、前進できる。日本は慰安婦の問題を法的に決着済みと突っぱねず、人道的対応に知恵を絞るべきだ。韓国の人が日本と協力したいという気持ちにならなければ、安保面もうまくいかない。一方で韓国側は、領土や歴史問題への一方的な国民感情が日韓協力の大きな障害になっていることを認識してほしい。


北朝鮮対策として日韓が協力しろ、という論はよく聞きます。この議論へは常々疑問を感じていましたので、今日はそれについて書きます。

第一に、日韓が協力して何をするのか、具体的なことが触れません。添谷氏の論も同様です。多少触れているのが次の一節です。

>日韓は米国とそれぞれ同盟関係にあり、日米韓が団結して同じ目標に向けて動くことが3国の利益になる。

これでは精神論にしか見えません。3国の利益になる、といっていますが日米韓はそれぞれどういう利益を得るのかまるで説明がありません。韓国や米国には思惑があるのでしょうが、日本が共闘すべき理由が分かりません。中国が体制崩壊後の北朝鮮に影響力を行使するのは韓国としては困るかもしれませんが、私は日本は困らないと思っています。体制崩壊後の北朝鮮の地に権益を求めているわけでもないでしょうから。

日米韓は一枚岩ではありませんし、一枚岩にならなければならない理由も見当たりません。

次に日韓が仲良くする方策として、耳にタコができる方法を提案しています。それは日本が情を示せば韓国が応えてくれるというものです。まったく根拠がありません。それどころが反対例もあります。先だっての朝鮮王朝儀軌の件です。”法的に決着済みと突っぱねないで対応”したのに、日韓関係はよくなりませんでした。

つまり日韓が協力すべき目的もはっきりしていないし、その方策も穴だらけ、というのがこうした議論の特徴です。

【展覧会】没後150年 歌川国芳展(前期)


奇想の天才絵師 歌川国芳奇想の天才絵師 歌川国芳
(2011/10/26)
新人物往来社

商品詳細を見る

於:六本木・森アーツセンターギャラリー。

休みの日に行ったせいもあるでしょうが、非常に混雑していました。歌川国芳という絵師はこれほどまでの人気があったのか、と失礼ながら驚いてしまいました。

展示点数も400点を超えるというボリュームで堪能できました。

「武者絵」は、現代の劇画を彷彿とさせるところがあって面白かったです。しかし、描かれた人物やエピソードについて不案内のものも多く、きちんとした鑑賞をできませんでした。つまり西洋画では聖書やギリシャ神話に相当する部分の知識です。これについては今後の課題として考えていきたいと思います。

作品解説は少なめです。ありていに言えば不親切といえるレベルです。音声ガイドはよかったのですが、展示会場の説明が貧弱でした。作品リストも配っていないようでした。

展示会場自体にも不満があります。クロークとして20個程度の荷物しか預かれないのはお粗末です。展示会場では、客のほとんどが荷物を抱えながらの鑑賞という奇妙な光景でした。主催者は他の展示会場と比べて反省すべきです。


【アニメ】侵略!?イカ娘


侵略!? イカ娘? 【初回限定特典(黒ミニイカ娘&ブラックタイガー号)】 [Blu-ray]侵略!? イカ娘? 【初回限定特典(黒ミニイカ娘&ブラックタイガー号)】 [Blu-ray]
(2012/01/18)
金元寿子、藤村歩 他

商品詳細を見る

一期目に続いて視聴。

一期目に続き、二期目も満足の出来です。

一期目の放送が完全にダークホースだったので二期目の期待が高くなりすぎましたが、予定調和的な愉快さは健在でした。

笑える話だけでなく、泣ける話もあります。可愛いミニイカ娘も出てきてくれました。

不満を言えば、オープニング曲が変ったことです。あの「侵略♪侵略♪侵略♪侵略♪侵略♪侵略♪イカ娘!」の歌詞は衝撃的でした。頭から離れない歌詞です。あの曲(正確には歌詞)は変えて欲しくなかったです。

【映画】聯合艦隊司令長官 山本五十六―太平洋戦争70年目の真実―


聯合艦隊司令長官 山本五十六聯合艦隊司令長官 山本五十六
(2011/11/08)
半藤 一利

商品詳細を見る


太平洋戦争開戦前からの山本五十六の半生を描いたものです。

ここら辺りの歴史には詳しくはないので、映画がどこまで史実に即しているのかはわかりません。知っている限りでは間違いはありませんでした。

山本五十六を美化しすぎているのが気になります。人間性を美化するだけでなく、作戦指揮、国際政治の動向まで、まるで現在の人が当時の歴史を振り返って語っているかのごとく見通しているのはちょっとやりすぎだと思います。このため日本の失敗はことごとく他の人に押し付けられてしまったようです。これだと、単に歴史の勉強のようになってしまい、山本五十六の人間性に迫ったものにはなっていません。

単純な反戦平和のメッセージでなく、マスコミや世論の好戦的な雰囲気を描いたのはよかったと思います。

まずまずの映画だと思います。
sidetitleプロフィールsidetitle

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle最新トラックバックsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitleFC2カウンターsidetitle
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleリンクsidetitle