【朝日新聞】出しゃばりすぎ? ジュリーって何者 勝敗覆すことも

7月31日 朝日新聞朝刊より

 ロンドン五輪の柔道で、審判の判断を審判委員(ジュリー)が覆すケースが目立つ。ジュリーとは何なのか。
 ジュリー(jury)とは英語で「陪審」を意味する。柔道は主審と2人の副審がいる。その判定の是非を、試合会場の脇で判断するのがジュリーだ。
 全日本柔道連盟によると、国際大会で勝者と敗者を間違えるトラブルがあり、1994年からジュリー制度が導入された。当初は審判の裁定に口を出すことはなかったが、2006年のビデオ判定の導入と共に口を出すケースが目立つようになったという。
 ロンドン五輪では、試合会場に3人のジュリーが待機する。きわどい判定があるとビデオモニターで確認。審判にイヤホンを通じてメッセージを伝える。試合を止めて繰り返して見ることもあるという。
 30日の女子57キロ級2回戦。主審の「技あり」の判定が、ジュリーの指摘で「反則」になり、ブラジル選手が負けた。29日の男子66キロ級でも、日本の海老沼匡(まさし)選手とソウ準好選手(ソウは専の寸が日、韓国)は両者ポイントがないまま旗判定に。主審、副審の3人全員がソウ選手の旗を揚げたが、ジュリーの指摘を受けた再判定で今度は3人とも海老沼選手を勝ちとした。
 国際大会の運営に携わってきた鹿屋体育大の中村勇(いさむ)講師(国際柔道論)は「国際大会で審判が出した旗判定にまでジュリーが関わったのは初めてではないか」と驚く。一方で国際柔道連盟(IJF)は30日、「今回の介入は正しい決定だった」とのコメントを発表した。
 国際大会のジュリーは審判経験も豊富で数多くの国際試合をこなした精鋭だ。72年のミュンヘン五輪金メダリストの川口孝夫さんがアジア代表として加わるなど、審判より現役時の実績が上だったり、IJFで重責を担っていたりする場合が多い。
 全柔連には「ジュリーは審判の最終決定を尊重しなければならない」という明文規定がある。しかし、全柔連によると、IJFにはジュリーの権限について明文規定はなく、審判の判定を覆す権限がジュリーに与えられているという規定も存在しないという。
 ソウル五輪女子52キロ級銅メダリストで日本オリンピック委員会理事の山口香・筑波大准教授は、「(ジュリーの介入は)主審と副審の計3人で判断できない場合に限るのが筋。これでは審判が存在する意味がなくなってしまう」と指摘する。


大相撲では、行司の軍配に物言いがつくことがあります。さらにビデオ判定も参考にして勝敗を決めます。相撲ファンはそのことを、おかしいとは思っていません。その意味で、山口准教授の「審判が存在する意味がなくなってしまう」という心配は理解しかねます。目的とすべきは、フェアな判定です。審判団のメンツをたてることではありません。

今回の男子66キロ級の判断に疑問の声があがっているのは、ジュリーへの不信ではないと思います。3人の審判が一度は韓国選手の勝ちを宣言したのに、ジュリーの「助言」でころりと判定を変えたことが原因です。国際試合の審判にしてはレベルが低いのでは、という不信です。

ジュリー制度は今後洗練させていくべきであって、否定すべきだとは思いません。
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【朝日新聞】風:ASEAN会議 紛糾の背景には中国の存在感

7月30日朝日新聞オピニオン欄に、アジア総局長の藤谷健氏の「ASEAN会議 紛糾の背景には中国の存在感」という文章が載りました。

(前略)
 今月半ば、東南アジア10カ国でつくる東南アジア諸国連合(ASEAN)が、ここで会議を開いた。調和と全会一致が尊ばれるはずの集まりだが、建物の名に似つかわしくないほど、紛糾した。
 焦点は南シナ海だった。議論内容をまとめる外相会議の共同声明で、フィリピンとベトナムが、中国と対峙(たいじ)した岩礁や排他的経済水域への言及を要求した。だが、二国間の領有権に起因するので含めるべきでないとした議長国カンボジアと対立し、採択できない異例事態に陥っていた。
 「事件」はその最中に起きた。日本や中国、米国なども加わった12日午前の東アジアサミット外相会議。各国が順番に意見表明をする場で、フィリピンのデルロサリオ外相が話し始めた。南シナ海をめぐる自国の立場を説明しかけた時、マイクのスイッチが突然切れた。外相はそのまま話し続け、名指しは避けたものの、中国非難を繰り返した。
 「発言封じで切られたに違いない」。カンボジアは否定するが、フィリピン人記者は憤る。翌朝の臨時外相会議では、ASEAN事務局長が声明の重要性を説く最中、議長のホー・ナムホン副首相兼外相が会議の打ち切りを宣言して退出。カンボジアへの不信感が一気に広がった。
 カンボジアには「中国の代弁者」(ASEANの外交官)との疑惑の目が向けられる。実際、中国はカンボジアでの存在感を増している。中国企業は各地で資源の開発権を得る一方、ダムや道路などインフラ整備で数十億円単位の無償援助を与えた。
 一方でフィリピンのかたくなな態度も目立った。ASEANの場では以前から独自の主張を繰り広げたが、最後は説得を受け入れ、矛を収めてきた。だが、オバマ米政権がアジアに米軍の軸足を移そうとする中、米国と安保協定を結ぶフィリピンの立ち居振る舞いに変化が出てきた。
 太平洋国家を自認する米国と海洋進出を強める中国のパワーバランス。荒波の中、ASEAN諸国がどうかじ取りするかがいま問われている。
 ただ、中国がこの地域で存在感を増しているのは、金の力だけではない。カンボジアを例に挙げても、この3年で胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席や後継者の習近平(シー・チンピン)副主席をはじめ、外相や国防相、全人代委員長ら実力者が相次いで訪ねている。
 域内国に駐在するある日本の大使は「日本は援助が先細りで要人往来は一方通行。中国は人も物も頻繁に行き来している。太刀打ちは無理」と自嘲気味に話す。
 玄葉光一郎外相は今回、国会審議のためプノンペン入りが遅れた。昨年末にはミャンマーとあわせ、タイ・カンボジア歴訪を予定していたが、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が死去したため、ミャンマー以外の予定をキャンセルした。
 玄葉氏の乗り継ぎで2度素通りされる形となったタイ・バンコクの国際空港では、VIP待遇のはずが手荷物検査を求められ、帰国便はファーストクラスのない機材に急に変更された。タイ政府の意趣返しとのうわさが流れる。
 マイクのスイッチ切れも、空港での出来事も、何かの行き違いで起きたのだろう。だが、あまりにも象徴的に思えてならない


唐突に日本の話題が出たのは違和感があります。そもそも、話題は中国とフィリピン・ベトナムとの対立の話であり、中国のカンボジアへの影響力の話でした。中国の影響力の源泉と日本のそれを比べる意味がありません。

「現状のレポート」→「日本の問題点の指摘」というテンプレートに沿って文章を書いたのでしょうか。前段の中国とフィリピンの軋轢が読み応えあるだけに、ステレオタイプの陳腐な締めが残念です。


参)藤谷健氏の文章へ言及は下記にもあります。
【朝日新聞】ブータンから 誰もが幸せ感じられるように

【朝日新聞】他国選手の活躍に敬意を

7月27日朝日新聞朝刊、オピニオン欄にジャーナリストのロバート・ホワイティング氏へのインタビュー「他国選手の活躍に敬意を」が載っていました。

(前略)
 パリでも、五輪の話題がメディアをにぎわせています。どんな競技に、どんな環境で育った選手が出場するのか。4年に一度、五輪の話題で盛り上がるのは、どの国も同じでしょう。
 しかし私は「国」が前面に出てくる五輪は、あまり好きじゃありません。私の母国、米国は大リーグなどプロスポーツの人気が高く、日本に比べて五輪への関心が薄いと言われます。それでも、1984年ロサンゼルス大会、96年アトランタ大会で「USA、USA!」と叫ぶ観客がたくさんいました。私は「ホスト国なのに失礼な態度だな」と残念に思いました。
 国が前面に出てくると、スポーツの真の楽しさが後回しになってしまうような気がします。国別対抗という魅力を否定はしませんが、国の存在は、もう少し抑制的に扱うべきです。
 昔の話ですが、ロサンゼルス大会男子マラソンで、日本期待の瀬古利彦は14位に終わり、テレビの中継時間内にゴールできなかった。日本人は怒りましたね。なぜ瀬古を見せてくれないのか、と。私は笑ってしまいました。だって、14位の選手に世界の人たちは興味ないのですから。日本人にとって、当時の五輪新記録で金メダルを獲得したロペス(ポルトガル)より、瀬古が大事だったんでしょう。
 柔道、競泳、レスリング、女子サッカー――。今回も日本人が見るのは、おそらく日本の有力選手が出ている競技だけでしょう。放映権料の問題や放送時間の制限もあって、仕方ない事情もあると思います。しかし日本人の成績だけに注目が集まるのでは、スポーツというものを理解していないのではないか、と感じざるをえません。
 私は東京大会が開かれた64年、日本にいました。男子マラソンのアベベ(エチオピア)、柔道無差別級のヘーシンク(オランダ)といった選手を、日本人がリスペクトし、彼らは日本でヒーローになりましたね。市川崑が総監督の記録映画「東京オリンピック」も、日本人の活躍だけにフォーカスした作品ではありませんでした。日本人は今よりずっと健全な関心を五輪に寄せていたと思います。
 ところで、日本人選手はなぜ負けて泣くのですか。武士道の精神ですか。敗者の涙を尊ぶのは日本人の習慣であり、伝統ではあるのでしょう。
 でも世界の多くの国では、負けて泣く日本人選手を不思議に見ています。高校野球と違い、五輪は世界中が見ています。日本人は感動しているのかもしれませんが、ほかの国の人は「子どもっぽいなぁ」と笑っています。負けて泣くべきではありません。(聞き手・秋山惣一郎)


ホワイティング氏は、日本人以外が「他国選手の活躍に敬意」を示している、とは言えていません。逆に、1984年のロサンゼルス大会で米国人が、「ホスト国なのに失礼な態度」だと指摘しています。これでは、「他国選手の活躍に敬意を」示さないのが日本人特有の問題かどうかわかりません。それどころか世界では一般的な傾向である可能性もうかがえます。

ロサンゼルス大会で日本選手がテレビ中継時間にゴールできないことで日本人が怒ったことを、ホワイティング氏は嘲笑しています。しかし、その時、日本人が何に怒ったのかは、この文章ではよくわかりません。期待に応えられなかった選手に怒った、と考える方が自然です。当時の日本人が世界に向けたテレビ放送で日本人をもっと映せと怒っていた、とあざ笑うならそれなりの論証が必要です。

1964年の東京大会では、日本人は外国人選手にも関心を示していたことをもって昔の日本人は今より健全だった、と主張しています。しかし、日本で開催されたサッカーのワールドカップでも外国人選手に注目が集まっていました。自国での開催の場合と他国で開催した場合の関心の度合いを比較するのは無理があります。また、これも現在の日本人特有の傾向だというのであれば、「健全」な他国の例を紹介すべきです。

日本人選手が負けて泣くと、嗤っています。泣くことを、根拠なく「武士道」と結びつけるのは、日本文化への侮辱です。(私は泣いている日本人選手を見た覚えがないので前提から疑わしくおもいますが)

諸外国との十分な比較をせず、よその国(日本)を嘲笑する態度は、ジャーナリストとしての能力に疑問がわかせます。「他国選手に敬意を払え」と他人に要求する前に、おのれが他国に敬意を払うべきです。

【本】溺死人

イーデン・フィリポッツの推理小説。1931年発表。

推理小説としては1926年の「密室の守銭奴」以来ですので5年振りになります。

作品の出来はあまりいいものとは思えません。小説というより韜晦癖のある論文を読まされているような気がしました。訳文のせいもあるのかもしれませんが。

作者は1862年生まれですので、この作品を書いたのは70歳近くだと思われます。そういった年齢的な側面も、この作品の特性に影響しているのかもしれません。


【朝日新聞】正義を掲げ追い込んだ先に

7月26日朝日新聞朝刊のオピニオン欄に映像作家の森達也氏の文が載っています。引用します。

 大津市いじめ自殺問題に関連する3人の中学生とその両親や親類の名前や顔写真、住所などが、ネットの掲示板などで晒されながら拡散している。学校や教育委員会への嫌がらせや脅迫もすさまじい。福島第一原発事故以降、東京電力や政府に対して多くの人が抱いた「なぜ事実を隠蔽するのだ」との憤りや鬱憤が、一気に出口と標的を見つけたかのようだ。ただしこの正義は油紙のようにぺらぺらと薄い。そして容易く炎上する。試しにパソコンを起動すれば、数回のクリックで写真や住所が現れた。「絶対に許すな」や「追い込め」など、書き込み量も尋常ではない。
 イジメとは抵抗できない誰かを大勢でたたくこと。孤立する誰かをさらに追い詰めること。ならば気づかねばならない。日本社会全体がそうなりかけている。この背景には厳罰化の流れがある。つまり善悪二分化だ。だから自分たちは正義となる。日本ではオウム、世界では9・11をきっかけにして、自己防衛意識の高揚と厳罰化は大きな潮流となった。ところが北欧は違う。この流れに逆行する形で寛容化を進めている。
 昨年7月にノルウェーで起きたテロ事件の被告であるアンネシュ・ブレイビクの公判が、6月22日に結審した。最終意見陳述で被告は、犯行は「自分の民族や宗教を守るためだった」と無罪を主張した。つまり自己防衛だ。判決言い渡しは8月24日。責任能力の有無が最大の焦点となるだろう。でももし責任能力が認められたとしても、77人を殺害した彼の受ける罰は、最大禁錮21年だ。なぜならノルウェーには死刑も終身刑もない。最も重い罰が禁錮21年なのだ。
(中略)
 ただし、寛容化政策が始まった80年代、治安悪化の懸念を口にする国民や政治家は多数いた。でもやがて、国民レベルの合意が形成された。なぜなら寛容化の推進と並行して、犯罪数が減少し始めたからだ。
 つまり理念や理想だけの寛容化政策ではない。犯罪の少ない社会を本気で目指したがゆえの帰結なのだ。満期出所者には帰る家と仕事を国家が斡旋する。彼らが社会に復帰することを本気で考えている。一方、この国の刑事司法は、本気で犯罪の少ない社会を作ろうとは考えていない。むしろ追い込んでいる。クラスの多数派が誰かを追い込むように。悪と規定した標的やその家族をネットとメディアが追い込むように。
 ブレイビクは法廷で「単一文化が保たれている完全な社会」を保持する国家の一つとして日本の名をあげて称賛した。
 だから時おり想像する。もしも「ブレイビクから称賛されたことをどう思うか」と質問したら、ネットで「追い込め」や「許すな」などと書きこんでいる人たちは、何と答えるだろうかと。



森氏は善悪二分化を批判しながら、自分も敵味方の二つ(寛容なノルウェー社会と不寛容な日本社会)に分けています。「油紙のようにぺらぺらと薄い」のは森氏の方です。

森氏は、最後の問いかけも的外れです。

>だから時おり想像する。もしも「ブレイビクから称賛されたことをどう思うか」と質問したら、ネットで「追い込め」や「許すな」などと書きこんでいる人たちは、何と答えるだろうかと。

大津事件の件をネット上で反応している人のすべてが、日本の単一文化を守ろうとしているわけではないはずです。彼らはいじめを行う人間とそれをかばいだてする人間に怒りをぶつけているのであって、移民を排斥しているわけではありません。「何と答えるだろうか」と疑問を持っているようですが、関心がありません、というのが一般的な答えかもしれません。

森氏が勝手に「敵」としてひとくくりにしただけであって、一緒にされた方には答えようがありません。はからずも善悪二分化の軽薄さが証明されてしまいました。



ノルウェーの寛容化政策で犯罪数が減少し始めた、とうれしそうに紹介していますが、日本の方が犯罪率は低いです。もちろん文化だけが犯罪率に影響するわけではありませんが、日本がノルウェーに治安を学ぶのはおかしな気がします。



森氏の思想は、「欧米では・・・、それに引きかえ日本では・・・」という昔ながらのパターンの域をでていません。


参)【朝日新聞】「死刑の存廃 揺れてもいい」 


【本】聖書の名画を楽しく読む


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(2007/02)
井出 洋一郎

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以前記事にした「ギリシア神話の名画を楽しく読む」の姉妹編。実際にはこちらの方が先に出版されているようです。

構成も目的も「ギリシア神話の名画を楽しく読む」と同じです。面白くてためになるのも同じです。

美術ファンには、自信を持ってお勧めできます。


【読売新聞】死刑判決の割合、戦後混乱期並みに…最高裁調査

読売新聞の記事です。

 最高裁の司法研修所は23日、裁判員制度導入前の死刑判決の傾向などを調査した初の研究報告をまとめた。
 殺人事件の起訴に対する1審での死刑判決の割合は、この20年で4倍近くに上昇。戦後の混乱期並みとなり、厳罰化の傾向を顕著に示した。一方、殺人や強盗殺人事件で死亡した被害者が1人の場合、死刑が求刑されても死刑確定は3割にとどまることなどが明らかになった。
 研究報告は刑法学者と裁判官3人が担当。死刑については、裁判官が積み重ねてきた量刑判断を尊重する必要性が高いとし、判断傾向を詳細に調査した。調査結果を踏まえた評議を裁判員らに促す狙いがある。
 終戦直後から裁判員裁判導入までの1946~2009年を対象に、起訴人数に対して1審で死刑判決を受けた人数の割合を10年ごとに調査。殺人事件では46~54年が1・02%だったが、55~94年は0・25%前後で推移。95~04年に0・63%、05年以降は0・99%と20年前の4倍となっていた。


この調査では、「厳罰化の傾向を顕著に示」していません。1審の死刑判決の割合が上昇することと厳罰化とは無関係です。

まず、1審で判定するのはおかしなことです。結審したもので統計を取るべきです。調査元の司法研修所は、裁判員裁判との比較のために行ったようですので、それは意味があります。しかし、この資料で「厳罰化」の傾向を見つけるのは乱暴です。

また、死刑判決の割合が上昇したのは、分母が減った可能性があります。つまり死刑にならないような犯罪が減れば、死刑判決の割合は上昇します。「厳罰化」とは無関係です。

本当に「厳罰化」しているかどうかは、同じような犯罪での刑罰が重さをくらべてみないと分かりません。

資料の読み方が間違っています。

【朝日新聞】ザ・コラム:酒気帯び運転 厳罰化でこぼれ落ちたもの

社会部長山中季広氏の文章です。

 労働法に詳しい弁護士から「日本で今もっとも気の毒な先生が信州にいます」と聞いた。軽い酒気帯びで懲戒免職とされた女性教諭が、復職を求めて提訴し、嘆願署名が4万人を超えたというのだ。
 長野県内の中学で17年あまり英語を教えてきた坪井香陽さん(42)。免職に至る経緯を当人に尋ねた。
 3年前の金曜の夜、自宅そばの居酒屋で焼酎の水割りを5、6杯飲んだ。妹の大病を思いわずらった時期で、幼なじみが「飲んで元気を」と誘ってくれた。車なら数分で行ける店だったが、行きも帰りも20分ほど歩いた。
 午前0時前に帰宅し、すぐ眠りについた。翌朝6時半に目覚めて、財布がないことに気付く。カード類以外に現金も1万7千円は入っていたはず。慌ててカード会社に電話して紛失届を済ませ、車で捜しに出た。昨夜の道を行き来したが見つからない。遺失物届を出そうと交番に寄った。
 財布の中身などを説明中、警官から予期せぬ言葉を浴びた。「お酒のにおいがしますね」。その場で呼気検査を求められた。応じると意外にもアルコール分0.3ミリグラムが検出された。「目の前が真っ暗になりました。朝もすっきり目覚め、二日酔いの症状は全然ありませんでしたから」
 校長に伝えると、すぐ自宅謹慎を命じられた。県教委から懲戒免職を告げられたのは3カ月後。退職金も支給されなかった。生活のため学習塾で教え始めたが、人生の急転がいまだ素直にのみこめない。
 「たしかに自分は愚かなことをしました。でも普通に生きている誰にでも起こりうることじゃないでしょうか。職を奪われるほどのことなのでしょうか。私と同じ目に遭った先生が全国に何人もいると知り、提訴に踏み切りました」
 この件をどう見るか。飲んだ翌朝早くに運転したのは、うかつと言えばうかつだっただろう。二日酔いを見逃さなかった警官も、職務熱心とほめるべきなのかもしれない。だが、はたしてこれは教諭を即座に失職させるほどの重罪なのだろうか。
 調べてみると、免職とされた教諭が教委を訴えた例は想像以上に多かった。うち秋田や横浜、佐賀、熊本などの例では教委側が敗訴している。それらの判決を地裁分と高裁分で計8件通読して気付いたのは、教委がどこもよく似た自縄自縛に陥っていたことである。
(中略)
 さて今回、職種ごとの懲戒基準を比べてみると、目立って厳しかったのが公立学校の教諭だった。警官や医師、国家公務員では、酒気帯びでも、事故さえ起こしていなければ停職で済まされる余地が大きい。
 何であれ、にわかに正義が高く掲げられると、大勢が厳格化の方向になだれを打って打ちすぎて、現場が自縄自縛に陥ることがこの国にはままある。「生徒の範たる教育公務員ゆえ高い飲酒倫理を」という理念はわかるが、一律に免職とするのはやはり硬直しすぎだろう。
 同じ酒気帯びでも、招いた結果に応じて責任を問うすべはないものか。初犯かどうか、事故を伴ったか、物損か人身か、当夜の酒か前夜の酒か、教員としての勤務実績はどうか。個別の事情ごとに処分を選ぶ仕組みがあれば、教委側の敗訴がこれほど続くこともなかったはずである


長野県の先生の件は、これだけを読むとちょっとかわいそうな気がします。翌日になったら二日酔いの症状もなければ運転可能と思うのは無理ないことだと思います。ただし、これは本人側の主張だけですので、この通りだと断定はできません。少なくとも酒くさいと警官が考える程度には酒は残っていたのは確かです。

個別の案件の是非を論じたいわけではありません。注目したのは、山中氏の次の言です。

>何であれ、にわかに正義が高く掲げられると、大勢が厳格化の方向になだれを打って打ちすぎて、現場が自縄自縛に陥ることがこの国にはままある。

山中氏が比較して発見したのは、公立学校の教諭への懲戒基準が他の公務員より厳しかったということです。日本と諸外国を比較していません。したがって、日本(この国)の文化論を行うのは的を外しています。

まるで、「問題を発見」→「この国への批判」というテンプレートにしたがって組み立てているように見えます。そのため、文章に説得力を感じさせません。


参)山中季広氏関連の記事です。
【朝日新聞】同時テロ10年 ブッシュ氏のエリートパニック
【朝日新聞】大人版PISA:開国迫られるか日本型人材育成

【映画】メリダとおそろしの森


メリダとおそろしの森 (竹書房文庫)メリダとおそろしの森 (竹書房文庫)
(2012/06/28)
アイリーン・トリンブル、ブレンダ・チャップマン 他

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3D、吹き替えで鑑賞しました。

ピクサー制作だけあって、スティーブ・ジョブズへの献辞がありました。

アニメーション映画なのですが、CGにより髪の毛の一本一本までも精密に描かれています。それでも実写に近くなったわけではなく、アニメ的なデフォルメがなされています。ただし、キャラクターデザインは日本人には受け入れられないと思います。少なくとも、私には魅力を感じませんでした。

ストーリーは単純です。悪人は出て来ません。魔女の魔法でひどい目に合わされますが、魔女に悪意はありません。はっきり言えば、主人公メリダの自業自得です。つまり、自分で大きくした問題を自分で解決する、という構造です。これが一つの欠陥といえるでしょう。

もう一つの欠点は、主人公のメリダがあまりにも現代的な発想をすることです。おそらく1000年以上昔を舞台にし、生まれた時から王女だった割には、現代女性のような考えをするのはおかしいです。この現代的な思考が物語を動かしたきっかけだっただけに説得力がありません。また、いくら熊に変身するという異常な体験をしたとはいえ、母親もその考えに感化されるのは納得できません。

また、魔女も悪意がない割に、メリダへのアドバイスが具体性に欠いているのも困ったものです。作劇上の都合が丸出しです。

もう少しなんとかならなかったのか、と感じました。

【朝日新聞】ニッポン 人・脈・記 日英新世紀11

7月20日朝日新聞夕刊1面の「ニッポン人・脈・記 日英新世紀」の11回。「70年憎んだ果ての和解」より引用します。第2次世界大戦中の英国人捕虜への取材です。

(前略)
対日最強硬派と目された元捕虜がいる。アーサー・ティザリントン。捕虜や民間人抑留者への賠償を求め、日本政府を相手に裁判を起こした。2年前に88歳で亡くなるまで、謝罪と賠償を求める運動の先頭に立ち続けた。
「欧州で死んだ捕虜は4%。私がいた台湾の収容所では、500人のうち生き残ったのは100人だけだ」
どれほど「日本人憎し」なのだろう。身構えて訪ねた記者をティザリントンは温かく迎えた。「あいまいなオワビではなく、明確なシャザイを政府に求めたい。日本の人や今の天皇を責める気はない」
むしろ、なぜ人はあんなに残酷になれたのか、理由を知りたいとも話した。日本人や日本に関する本を集め、自宅に日本庭園まで造っていた。
(後略)
=沢村亙


台湾での捕虜の死亡率が80%で欧州では4%に過ぎなかったというのは驚きました。これは、アーサー・ティザリントン氏の言であって数字に誇張があるかもしれませんが、日本の収容所でひどい目にあったことは事実なのでしょう。個人的に怒りや憎しみを感じるのは理解できます。しかし、それが日本一般へのシャザイを求めるとなると、違和感があります。

世界史的にみれば、日本より英国の方がはるかに長期間かつ広範囲で暴虐を働きました。これは誰も否定できないでしょう。彼らは、どう考えても自国のことを棚にあげてもの言っているようにしか思えません。

英国政府がどこにもシャザイしていない(と思います)のに、自分が日本政府にシシャザイを求めるのはどういうことなのでしょうか。あまりにも、あっけらかんとした二重基準に驚きました。

【時事問題】中部電力社員の発言について

中部電力のホームページに下記の掲載がありました。
「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」での当社社員の発言について

7月16日に名古屋市において開催された「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」において、当社社員の意見の中に、福島第一原子力発電所事故の被災者の方々のお気持ちを傷つけるような不適切な発言があったことに関して、深くお詫び申し上げます。

その他にも、意見聴取会に当社社員が参加し、意見表明したことにつき、みなさまから厳しいご意見を多数頂戴いたしました。

例えば、

・電力会社の社員は利害当事者であるから、一般国民の意見を聞く場に出るべきではなく、意見に耳を傾けるべきだ。
・「原子力発電のリスクを過大評価している」との意見があったが、そのような一方的な評価はおかしい。
等です。

今回は、当社社員の個人的、自主的な参加であるものの、これらのみなさまからのご指摘は、まことに重大であり、当社として真摯に受け止め、電気事業に携わる者の役割と責任を、今一度心に決めて、電力の安全、安定、安価な供給に取り組んでまいる所存です。


明示していませんが、「不適切な発言」とは、「原発事故の直接的な影響で亡くなった人は1人もいない」という発言を指しているようです。多くの抗議があったことが想像できます。

しかし、「直接的な影響で亡くなった人は1人もいない」というのは事実です。事実を発言したことで責めるのは間違っています。事故の大きさを死者の数だけではかってよいのかと議論を深めるのはよいことです。しかし、事実の指摘を、道徳を振りかざして黙らせようとするのは不健全です。

また、中部電力が、社員の発言を勝手に謝罪するのはやり過ぎです。(社員の承諾があったのかもしれませんが)。

さらに指摘すれば、仮に、「厳しいご意見」を了とするなら、公聴会に社員を参加させないとか、原発のリスクを見直す、というものであるべきです。「電力の安全、安定、安価な供給に取り組」むことではありません。完全にずれています。面倒なクレーマー扱いをして、まじめに受け取っていないのは明らかです。

中部電力に抗議した側も中部電力側も、真摯に議論とは無縁だと思いました。

【朝日新聞】記者有論:東電社員殺害事件 再審でも証拠開示を

7月17日朝日新聞朝刊オピニオン欄の「記者有論」のコーナーで社会部の根岸拓朗氏が「東電社員殺害事件 再審でも証拠開示を」という文を載せています。引用します。

 東京電力女性社員殺害事件で、再審開始決定を受けて釈放されてから9日後。18年ぶりにネパールへの帰国を果たし、母親から首に花輪をかけられて抱き合うゴビンダ・プラサド・マイナリさん(45)の姿を空港で取材しながら、「この結論になるなら、もっと早く帰国を実現できなかったのだろうか」と思った。
 釈放されれば不法残留状態のマイナリさんは強制退去となり、今後もし決定が覆っても再び拘束するのは難しくなる。それでも、東京高裁があえて無期懲役刑の執行停止を決めたのは、無罪を確信したためだろう。
 マイナリさんが逮捕されたのは15年前。弁護団が再審を求めてから開始決定まで7年3カ月もかかった。再審請求審で長い時間がかかった最大の要因は、検察が証拠開示を渋ったことだ。弁護側から現場に残された物証の開示を求められても、「検討する」と繰り返すばかり。裁判長に強く促されて、ようやく2年前に女性の体内にあった精液が保管され続けていたと明らかにし、最新の技術によるDNA型鑑定が決まった。
 「有罪が確定した事件なのに、なぜ今さら証拠を出さなければならないのか」。消極的な対応からは、検察のそんな意識がうかがわれる。しかし、税金と強制捜査権を使って集めた証拠は本来、正義を実現するために使われるべき「公共の財産」だ。検察が独占できるものではない。
 「検察に有利な証拠だけを出し、裁判で勝てばいい」。そんなゲーム感覚はないだろうか。検察は今も有罪を主張している。メンツや組織防衛ばかりにこだわるのは、最近の検察不祥事に通じると私は感じる。
(後略)


検察批判です。概ね賛成ですが、若干引っかかるところがあります。

「ゲーム感覚」という言葉はさておき、検察が裁判に勝つためにルールの範囲内で努力するのは間違ったこととはいえません。一番問題にすべきなのは、公正中立であるべき裁判所が、検察よりの判断をし続けたことです。裁判所は「強く促す」程度ではなく、指示・命令すべきでした。

多くの再審裁判で聞かれるのは、裁判所が検察と一体化しているかのような姿勢です。マスコミは検察批判に終わらず、裁判所も批判の対象とすべきではないでしょうか。

【朝日新聞】夫人説強まる?やはり妹? 正恩氏の隣「謎の女性」再び

 北朝鮮の朝鮮中央テレビは15日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記による平壌市内の幼稚園視察に、若い女性が同行している様子を報じた。正恩氏が6日、音楽公演を観覧した際、隣にいた女性と同一人物とみられ、韓国では「夫人か、妹か」と議論が沸騰している。
 韓国の専門家の間では、女性が視察にまで同行し、常に他の幹部より正恩氏の近くにいることから「夫人の可能性が高まった」との見方が出ている。その一方で、妹のヨジョン氏ではないかとの意見も根強い。北朝鮮側は身元を明らかにしておらず、真相は不明のままだ。(ソウル=貝瀬秋彦)


このような内容のことが新聞記事になるのが不思議でなりません。大多数の日本人にとって、この「若い女性」が夫人だろうが。妹だろうが、どっちでもかまいません。新聞紙面の無駄使いです。

どこかの国の王族に対するような興味でこの記事を書いているのでしょうか? そうであるなら新聞社のあり方として健全ではないような気がします。

【朝日新聞】社説:ロンドン五輪―メダル至上主義でなく

7月15日朝日新聞の社説を引用します。

開幕が近づくロンドン五輪で、日本は金メダルの数で「世界5位以上」をめざす。
 3月に文科省がつくったスポーツ基本計画に、そう書いてある。いわば国策である。
 日本選手が金メダルに輝く姿にあこがれ、スポーツが好きになる子どもが増えるなら喜ばしい。強化には税金を使うから成果を求めるのも理解できる。志は高く持つ方が頑張れる、という意見もあるだろう。
 だが、国が金メダル数を目標に掲げるのには賛成できない。
 日本勢のメダルに紙面で一喜一憂する新聞社が批判するなんて、おこがましいと言われるかもしれない。
 それでも、あえて言いたい。
 国際オリンピック委員会(IOC)の五輪憲章には「五輪は選手間の争いであり、国家間の争いではない」と書いてある。
 国がトップ選手の強化に熱心になるきっかけは、2006年トリノ冬季五輪。日本のメダルはフィギュアスケート、荒川静香の金1個に終わった。文科副大臣が号令をかけ、「育成・強化は国の責務」と打ち出した。その精神は、昨年できたスポーツ基本法に反映された。
 今年度のスポーツ関連予算は238億円。うち、五輪の有望種目を手厚く支援する事業は27億円と、3年前から9倍に増えた。ロンドン五輪の成績であらためて種目を絞り直すという。
 それに比べ、スポーツ基本法が掲げる「生涯スポーツ社会の実現」に向けて振り向けられる財源は見劣りする。
 昨年11月、朝日新聞は全国世論調査で「スポーツ政策で国に望むこと」を聞いた。「世界に通用する選手の養成」が16%にとどまったのに対し、「スポーツに親しめる環境作り」は60%に上る。国の使い方と逆だ。
 金メダル至上主義で心配なのは、ゆがんだ選択と集中が進むことだ。
 世界で競技人口が少ない種目の方が頂点に近づけるという発想で、日本国内でも愛好者が少ない競技に国費を注ぎ込む。そのために、広く人気があるのにメダルに縁遠い競技が切られるとしたら、本末転倒だ。
 メダルの数だけでなく、競技団体がそのスポーツを盛んにするため、ふだんどれだけ身近な活動に取り組んでいるかも、予算に反映させてはどうか。
 文科省は今年度、約6億円を投じ、トップアスリートによる地域のジュニア選手への指導を促す事業を始めた。こうした取り組みが広まれば、五輪選手の強化に国費を出すことに、国民の共感もわいてくる。


説得力を感じません。それは、朝日新聞が「日本勢のメダルに紙面で一喜一憂」しているからではありません。「五輪の有望種目を手厚く支援する事業は27億円と、3年前から9倍に増えた」とありますが、それと対比すべき、生涯スポーツ関連予算は、「財源は見劣りする」とあるだけで、具体的な数値がないからです。

社説が紹介してくれないので、自力で調べました。文部科学省のサイトで見つけた資料によれば、「生涯スポーツ」関連予算はこの数年で特別に減っているわけではないことがわかります。スポーツ関連予算は近年増加傾向にありますが、特に増加が目立つのは「学校体育」の予算です。メダル獲得の予算を増やすために生涯スポーツ予算を削ったという傾向は見えません。

そもそも、オリンピックのメダル獲得のための適切な予算額と、生涯スポーツのための適切な予算額は別個に論議すべきです。あっちの予算が増えたのにこっちの予算が増えないのが悔しい、とでもいわんばかりの主張には説得力を感じません。

【展覧会】ドビュッシー、音楽と美術 ---印象派と象徴派のあいだで---

於:ブリジストン美術館

音楽家ドビュッシーと交友があった画家を中心に印象派や象徴派の絵画、さらにはジャポニスムの関連作品などです。ドビュッシーを中心として互いに影響しあった芸術家たちの展覧会です。

今年がドビュッシー生誕150年にあたるとのことで企画されたようです。

私は音楽には疎いのでドビュッシーと言われても、どういう音楽なのかよくしりませんでした。ただ、自作品のジャケットに北斎の絵を使ったことを知っていたくらいです。ドビュッシーが好きな人ならもっと楽しめると思います。

音声ガイドは俳優の安井邦彦氏。ドビュッシーになりきって解説してくれます。背景の音楽はもちろんドビュッシーの作品です。

三連休の真ん中の日曜日に行きましたが、それほど混雑していませんでした。

10月14日まで開催しています。

【朝日新聞】耕論:暴力団に立ち向かえ 情報提供促す司法取引を

7月13日朝日新聞朝刊オピニオン欄の「耕論」コーナーは「暴力団に立ち向かえ」という題でした。その中で、フリーライターの鈴木智彦氏の「情報提供促す司法取引を」というインタビュー記事を引用します。

(前略)
 そもそも暴力団の存在を法的に認めたうえでそれを規制しようとする暴対法には限界があります。これに対し、昨年までに全国で施行された暴排条例は、基本思想が大きく違い、暴力団に利益供与したり取引したりした市民の側を処罰することで暴力団の存続の条件をすべて否定しようとしています。ゴルフ場が暴力団にプレーをさせるのも、レストランが食事を提供するのも利益供与として処罰される可能性があります。実際大きい効果を生んでいます。例年料理屋で盛大な忘年会を開いていたある有力な暴力団も昨年末は組事務所で紙コップに乾き物のおつまみで忘年会を開いたそうです。最近知り合いの近畿地方の広域組織の幹部が「もうヤクザの時代じゃない」と私に電話した後、若い衆を道連れに自殺したということがありました。生活の基盤だけでなく、プライドも奪われたのでしょう。
 暴力団が弱体化するのはいいのですが、組織が地下に潜ってマフィア化し、コントロールが効かなくなることが心配です。また、国内の取り締まり強化を嫌って暴力団は急速な勢いで海外進出しています。
 マフィア化し国際化する暴力団に対抗するには、司法取引に応じて犯行を自白して情報提供したヤクザには、減刑を約束するだけでなく、新しい名前と戸籍を与えて一生保護するくらいの思い切った捜査手法や、自治体警察の枠を超えた強力な取り締まり体制を導入すべきでしょう。(聞き手・山口栄二)


納得しがたい主張です。

鈴木氏は、暴排条例が効果を発揮していると述べ、暴力団幹部が自殺したことを紹介しています。それにも関わらず「組織が地下に潜ってマフィア化し、コントロールが効かなくなることが心配」しています。しかし、この心配を裏付ける根拠は示されていません。

根拠なしで、司法取引制度を導入し、内通者への減刑や生涯にわたる生活支援を求めるのは無理があります。まじめに働いていても生活に困窮している人が多くいるなか、なぜ組織暴力組織に属していた人間を厚遇する必要があるのか、さっぱり理解できません。


取材する能力と、世の中に提言する能力はまったく別であることを証明したインタビュー記事です。

【本】殺意


殺意 (創元推理文庫 (124‐1))殺意 (創元推理文庫 (124‐1))
(1971/10/22)
フランシス・アイルズ

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1931年、フランシス・アイルズ作、倒叙推理小説。

現在では、フランシス・アイルズがアントニー・バークリーの別名であることは周知の事実ですが、本書が発表された時、「フランシス・アイルズ」の正体は伏せられたままでした。

アントニー・バークリーとは作風はまったく異なります。笑いの要素は微塵もありません。私が最初に読んだフランシス・アイルズ(アントニー・バークリー)の小説が本書「殺意」だったので、アントニー・バークレーの作風を誤解していました。この数年、推理小説を時代順に読み進めて、この「殺意」がいかに従来の作風と違うのかを思い知らされました。

これまで読んだ、アントニー・バークリー作品のリストを挙げておきます。
レイトン・コートの謎  1925
ウィッチフォード毒殺事件  1926
プリーストリー氏の問題 1927
シシリーは消えた  1927
ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎  1927
絹靴下殺人事件  1928
ピカデリーの殺人  1929
毒入りチョコレート事件  1929
第二の銃弾  1930
最上階の殺人  1931

また本書は、倒叙推理小説の三大傑作に数えられてもいます。倒叙推理小説オースチン・フリーマンが創始したものです。私の知る限りでは、フリーマン以外の手による初めての倒叙推理小説です。

落ちも秀逸です。

【本】ギリシア神話の名画を楽しく読む


カラー版 ギリシア神話の名画を楽しく読むカラー版 ギリシア神話の名画を楽しく読む
(2007/08/11)
井出 洋一郎

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名画に描かれたギリシア神話を解説することで、絵を深く理解することを目的としています。類書にはない平易な語り口で入門書としてもとっつきやすいものです。

4ページを一区切りとして、はじめの2ページでギリシア神話の紹介。次の2ページが対話形式で美術作品との関連を解きます。

知らない作品も多く勉強になりました。

残念なのは、紹介している美術作品の数が少ないこと(4ページの一区切りで2作品)だけです。

お勧めできる好著です

参)【本】聖書の名画を楽しく読む

2012夏調査(2012/4-6月期、終了アニメ、26作品)

アニメ調査室(仮)さんで行っているアンケートに投稿しました。

評価基準は
S : とても良い(第3回より追加)
A : 良い
B : まあ良い
C : 普通
D : やや悪い
E : 悪い
F : 見切り、視聴はしたが中止(または見逃しが多い)
x : 視聴なし、(または視聴中のため評価保留)
z : 視聴不可(わかる範囲で良いです)

次のように評価しました。

01,オズマ,x
02,つり球,x
03,ZETMAN,x
04,君と僕。2,x
05,謎の彼女X,F
06,うぽって!!,x
07,さんかれあ,x
08,夏色キセキ,B
09,緋色の欠片,x
10,あっちこっち,x
11,めだかボックス,D
12,ヨルムンガンド,B
13,坂道のアポロン,x
14,ゆるめいつ3でぃ,x
15,アクエリオンEVOL,x
16,モーレツ宇宙海賊,x
17,黄昏乙女×アムネジア,x
18,Fate/Zero 2ndシーズン,A
19,這いよれ! ニャル子さん,B
20,リコーダーとランドセル レ,x
21,クイーンズブレイド リベリオン,C
22,シャイニング・ハーツ 幸せのパン,x
23,これはゾンビですか? OF THE DEAD,x
24,LUPIN the Third 峰不二子という女,x
25,咲 Saki 阿知賀編 episode of side-A,B
26,ポケットモンスター ベストウイッシュ,x

個々の作品評はリンク先をご覧ください。


見切り作品について

■謎の彼女X
制作したスタッフには申し訳ありませんが、生理的に受け付けられませんでした。

【朝日新聞】世論調査7月10日

朝日新聞の世論調査の結果が発表されました。

引用します。

◆野田内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する  25(27)
 支持しない 58(56)

◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」25%、右は「支持しない」58%の理由)
 首相が野田さん25〈6〉 2〈1〉
 民主党中心の内閣12〈3〉 9〈5〉
 政策の面30〈8〉 46〈27〉
 実行力の面25〈6〉 39〈23〉

◆いま、どの政党を支持していますか。
民主15(17)▽自民13(15)▽公明3(2)▽共産2(1)▽新党きづな0(0)▽社民0(0)▽みんな2(2)▽国民新0(0)▽新党大地・真民主0(0)▽たちあがれ日本0(0)▽新党日本0(0)▽新党改革0(0)▽その他の政党2(1)▽支持政党なし55(55)▽答えない・分からない8(7)

◆できるだけ早く衆議院を解散して総選挙を実施すべきだと思いますか。急ぐ必要はないと思いますか。
 早く実施すべきだ43
 急ぐ必要はない44

◆仮にいま、衆議院選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか。
民主14(19)▽自民22(22)▽公明3(2)▽共産3(3)▽新党きづな0(0)▽社民1(1)▽みんな4(4)▽国民新0(0)▽新党大地・真民主0(0)▽たちあがれ日本0(1)▽新党日本0(0)▽新党改革0(0)▽その他の政党6(4)▽答えない・分からない47(44)

◆次の衆議院選挙のあとの政権は、どのような形になるのがよいと思いますか。(択一)
 民主党中心の政権7
 自民党中心の政権17
 民主党と自民党の連立政権36
 民主党と自民党以外の政党が中心の政権25

◆民主党と、自民党・公明党が政策の面で協力していくことは、よい面が大きいと思いますか。よくない面が大きいと思いますか。
 よい面が大きい48
 よくない面が大きい32

◆民主党を離れた小沢一郎さんが、新しくつくる政党に期待しますか。期待しませんか。
 期待する 14期待しない 81

◆大阪市の橋下市長が代表を務める大阪維新の会についてうかがいます。次の衆議院選挙で、大阪維新の会が、国会で影響力を持つような議席を取ってほしいと思いますか。そうは思いませんか。
 国会で影響力を持つような議席を取ってほしい52
 そうは思わない36

◆社会保障の財源にあてるために、消費税を2014年4月に8%に、2015年10月に10%に引き上げる法案に、賛成ですか。反対ですか。
 賛成 42(39)反対 49(52)

◇(「賛成」と答えた42%の人に)それはどうしてですか。(択一)
 社会保障のために必要だから41〈17〉
 財政再建のために必要だから35〈15〉
 消費税は広くみんなが負担するから21〈9〉

◇(「反対」と答えた49%の人に)それはどうしてですか。(択一)
 社会保障の改革が進んでいないから13〈6〉
 国の経費削減が進んでいないから44〈22〉
 景気や生活に悪い影響があるから38〈19〉

◆原子力発電を段階的に減らし、将来は、やめることに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 67反対 21

◆原子力発電所の運転再開問題についてうかがいます。定期検査で停止していた、福井県の大飯原発が運転を再開しました。大飯原発の運転再開はよかったと思いますか。よくなかったと思いますか。
 よかった 41よくなかった 42

◆大飯原発のほかにも原発の運転を再開することに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 35反対 49

◆野田内閣は、2030年の電力に占める原発の割合について、「0%」、「15%」、「20から25%」の三つの選択肢を示しました。あなたは、三つの選択肢のうちどれが望ましいと思いますか。(択一)
 0%42
 15%29
 20から25%15

     ◇

 調査方法 7、8の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は3162件、有効回答は1818人。回答率57%。


朝日新聞の世論調査が自分に来たという想定で回答してみます。

◆野田内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持しません

◇それはどうしてですか。
「政策の面」です。
よく考えると、この設問に「首相が野田さん」と答えるのは変な気がします。「首相が野田さん」だったら何故支持できないのかを問うているはずなのに、「首相が野田さん」だから、では答えになっていません。あえて「首相が野田さん」だから支持しないという人は、個人的な恨みでもあるのでしょうか?

◆いま、どの政党を支持していますか。
「支持政党なし」です。

◆できるだけ早く衆議院を解散して総選挙を実施すべきだと思いますか。急ぐ必要はないと思いますか
「急ぐ必要はない」と思います。
特に争点が見当たりません。まず定数是正を行ってからではないかと思います。
この設問は、今選挙をすると、自分の支持政党が有利になるか、不利になるか、を問うているだけのような気がします。

◆仮にいま、衆議院選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか。
まだ、決めかねています。

◆次の衆議院選挙のあとの政権は、どのような形になるのがよいと思いますか。
次は、自民中心の政権がよいと思います。民主党の場合、政権を担うだけの能力が不足していました。もう一度野党になってじっくり政策を磨くべきだと思います。
民主と自民の連立は望ましくありません。両党が並立することを望みます。

◆民主党と、自民党・公明党が政策の面で協力していくことは、よい面が大きいと思いますか。よくない面が大きいと思いますか。

野党であっても政策面で協力することはよいことだと思います。なんでも反対は野党の責任放棄です。もちろんなんでも賛成はいけません。

◆民主党を離れた小沢一郎さんが、新しくつくる政党に期待しますか。期待しませんか。
期待しません。

◆大阪市の橋下市長が代表を務める大阪維新の会についてうかがいます。次の衆議院選挙で、大阪維新の会が、国会で影響力を持つような議席を取ってほしいと思いますか。そうは思いませんか。
そうは思いません。
彼らは国政を担う能力をまだ証明していません。へたをすると第二の民主党政権になります。

◆社会保障の財源にあてるために、消費税を2014年4月に8%に、2015年10月に10%に引き上げる法案に、賛成ですか。反対ですか。
反対です。

◇(「反対」と答えた49%の人に)それはどうしてですか。
「景気や生活に悪い影響があるから」です。

◆原子力発電を段階的に減らし、将来は、やめることに賛成ですか。反対ですか。
賛成です。万一事故があった場合の影響が大きすぎます。

◆原子力発電所の運転再開問題についてうかがいます。定期検査で停止していた、福井県の大飯原発が運転を再開しました。大飯原発の運転再開はよかったと思いますか。よくなかったと思いますか。
答えられません。難しすぎる質問です。
事故は怖いですが、だからといって計画停電の影響も軽視できません。

◆大飯原発のほかにも原発の運転を再開することに賛成ですか。反対ですか。
同上。

◆野田内閣は、2030年の電力に占める原発の割合について、「0%」、「15%」、「20から25%」の三つの選択肢を示しました。あなたは、三つの選択肢のうちどれが望ましいと思いますか。
代替エネルギーがどこまで実現できるかに関わります。原発だけで目標設定することが正しいとは思いません。よって回答できません。


参:同趣旨のBlogの記事です。
【朝日新聞】世論調査
【朝日新聞】世論調査
【朝日新聞】世論調査
【朝日新聞】世論調査 2012年6月
【朝日新聞】世論調査 2012年6月28日

【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第二章「太陽圏の死闘」


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(2012/07/27)
菅生隆之、小野大輔 他

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第一章に続いて視聴しました。

今回は、ワープ・波動砲・反射衛星砲と見所満載でした。

どれも想像を超えた迫力に満ちた画面で大満足です。特に波動砲は、以降のアニメ作品に重大な影響を与え、類似の表現がそこかしこで見られます。本家本元の波動砲の名に恥じない映像を見せてくれました。


ガミラスが占領した星の人間をガミラス軍に編入して前線に立たせている、という設定が明らかになりました。冥王星のシュルツが地球に対して、我々のように降伏すれば生きながらえられるのに、と語るシーンがあります。

しかし、地球側はガミラス人が機械なのか生物なのかさえ分かっていなかったことが今作で判明しています。個別の軍人に対しては、冥王星海戦での降伏勧告のようなものがあったのでしょうが、政府間でのいわゆる外交交渉があったようには思えません。

あるいは、地球政府にはなんらかのアクセスがあって、軍人たちには隠されていたのでしょうか。謎です。


シュルツがデスラー総統にヤマト撃沈を報告したところ、軽く無視されるシーンがありました。

この時点ではヤマトの脅威はガミラスには伝わっていなかったのですから、戦艦一隻を撃沈した、と手柄顔で報告するシュルツがおかしかったように思います。


反射衛生砲の設定は納得できます。旧作では、ガミラスが圧倒的に優位なのに、何故冥王星基地に自衛用の大砲を置くのか説明がありませんでした。

今作の設定だとその疑問は解消されています。


第三章は、10月13日からの公開です。

【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第一章「遥かなる旅立ち」
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第二章「太陽圏の死闘」
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第三章「果てしなき航海」
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第四章「銀河辺境の攻防」
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第五章「望郷の銀河間空間」
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第六章 到達!大マゼラン
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第七章 そして艦は行く

【朝日新聞】窓 論説委員室から:お騒がせ法律家

7月7日朝日新聞夕刊の「窓 論説委員室から」のコーナーで渡辺雅昭氏の「お騒がせ法律家」という一文を載せています。引用します。
  

 民主党の分裂騒ぎの情けなさ。
階猛衆院議員は自らが離党メンバーに入っていると知り、あわてて残留を表明した。たしかに小沢一郎氏に離党届を預けはした。だがそこまでだ。提出行為についての委任を、小沢氏は改めて私に求めるべきである――。そんな説明をした。
法律家らしい、と書いた記事もあった。階氏が弁護士資格をもつためだが、もっともらしい理屈をこねる前に、常識人であることがよき法律家の条件だ。そんなに大事なものを預けた不明を恥じるのが先だろう。
その階氏はホームページで、裁判をかかえる小沢氏が離党すべきでない「現実的な理由」を説いている。いわく、「野党の一議員に過ぎなくなった場合、これまで以上に公平な裁判が行われにくくなることを危惧する」「少なくとも無罪が確定するまで与党にとどまるべきだ」
つまり与党か野党かで裁判所の対応は違うというのだ。法や証拠とは別の要素で審理は左右され得ると、かりにも政権党に身をおく者が公言する。司法も、三権分立の精神も、なめられたものである。
階氏とともに離党届を引っ込めた辻恵衆院議員も弁護士だ。こちらは小沢氏が強制起訴される前に、検察審査会に圧力まがいの電話をかけて批判を浴びた。この党の法曹出身議員っていったい……
(渡辺雅昭)


ここに挙げた二名の議員への批判は的確だと思います。しかし、「この党の法曹出身議員っていったい……」と一般化するのは同意できません。民主党の他の法曹出身議員・他党の法曹出身議員・民主党の法曹出身以外の議員といった人たちがどうなのかを分析せずに、二名の例だけで語ることは乱暴すぎます。

もっと丁寧な議論を望みます。


参)【朝日新聞】窓:「ああ、勘違い」

【アニメ】Fate/Zero 第二期


Fate/Zero アニメビジュアルガイド IFate/Zero アニメビジュアルガイド I
(2012/03/26)
角川書店

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第一期に引き続き視聴。

第一期の素晴らしい仕上がりを維持してくれました。今期、最高に面白かったです。

ただし、クライマックスの説明が不足していたように思います。StayNightに繋げるために、セイバーとギルガメッシュとの決着がなかったのは仕方がないとしても、切嗣の苦悩と決断の理由がよく伝わってこなかったのはまずかったです。バーサーカーがランスロットだったのには驚きましたが、セイバーとどういう因縁があったのかよくわかりませんでした。(アーサー王伝説でのランスロットのエピソードは知っていますが、この物語の中での位置づけがわからない、という意味です)

絵の質、迫力は素晴らしいものがありました。終始、画面に引き込まれ続けました。

最後の展開で説明が不足していたのだけが残念でなりません。

【朝日新聞】私の視点:生活保護騒動 ネット世論の未熟さ見えた

7月5日 朝日新聞朝刊オピニオン欄に、東洋大准教授の藤本貴之氏が先のお笑いタレント親族の生活保護「不正」受給問題について一文を載せています。引用します。

人気お笑いタレントの親族が生活保護を「不正」に受給していたとして、メディアやネットで批判にさらされた。国会議員も「追及」の立場で参戦した。
(中略)
しかし、ここまで強く非難されるべき問題だったのか、いささか疑問だ。人気タレントの親族とはいえ、成人同士の話である。経済的には独立しており、生活を保障したり扶養したりする義務は強制されていない。他人には言えない家族の事情があるかもしれない。一般論でいえば、たとえば親に虐待されて育った子にまで扶養の義務を求めるのは酷だろう。
思い出すのが米国の歌手マライア・キャリーの例である。全米女性最多レコード売り上げ記録と数億ドルの資産を持つと言われるこの歌手の姉は、貧困層に属すると報じられている。今なお、コールガールとして貧しい生活を送り、売春や薬物による逮捕歴もある。マライアはそんな姉を扶養していない、という。
それでもマライアを米世論が強く非難したという話は聞こえてこない。彼女がチャリティー活動には熱心だと聞くと、さすがに違和感を持つが、姉を扶養していない事実をもって非難されるべき過失である、とは思わない。
ところが日本では今回、タレントのバッシングが起きた。背景には、事をことさらにあおった「ネット世論」があったように思う。背後に「ディスる(=悪意を持って批判する)楽しみ」が透けてみえるからだ。
ブログやツイッターなどで、個人が意見を手軽に表明できるようになった現代、ネット世論が生活者とメディアの距離を縮めるのに貢献しているのは確かだろう。しかし、時として大きな影響力を持つようになったあまり、人気者や権威を手軽にディスることで、満足感や優越感を味わうという負の価値観も根付かせつつあるのではないだろうか。
ネット世論が、既存のメディアには見られない有益な視点を発信している点は認めよう。だが、まだまだ未成熟である。勢いよく一方向に走り出すときこそ、慎重になるべきだ。十分に検証されないままの感情的な批判や、便乗して「人気取り」を狙う政治家のあさましい発言に、私たちは冷静に対応することが必要だと考える。



一般論として、親子であっても人に言えない事情で扶養を求められない事情があることは承知しています。しかし、今回のお笑いタレントの場合には、そういう事情はありませんでした。仲のよい親子だったと報じられています。

藤本氏は、話を一般論に摩り替えています。批判されたのは、このお笑いタレントのケースです。


次に、マライア・キャリーの姉が貧困でコールガールをしていることを非難されないのに、と続けています。

しかし、今回問題視されたのは、兄弟親子で助け合わないことではありません。本人は高収入で仲もそれなりにいいのに、親族に生活保護を受けとらせていたことが問題視されたのです。

藤本氏は何が批判されたのかを全く理解できていません。


また、マライア・キャリーの姉は生活保護を受けていたのでしょうか? 言及がないのでわかりません。また姉妹は仲がいいのでしょうか? これも言及がありません。

つまり比較になっていません。


藤本氏の、非難の矛先は「ネット」に向いています。しかし、マライア・キャリーの例をひいた時点では、日本が米国に比べ許容度が低いことを問題視していたはずです。なぜなら米国にも「ネット」は存在しているのですからです。

底の浅いネット批判に過ぎません。


以上のことから、「十分に検証されないままの感情的な批判」をしているのは藤本氏の方だと考えます。

【映画】ベルセルク 黄金時代編Ⅱ ドルドレイ攻略


【映画パンフレット】 『ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略』パンフレット<通常版>【映画パンフレット】 『ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略』パンフレット<通常版>
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不明

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一作目に続いて視聴。

今作も迫力のある映像でした。前半には圧倒的な戦闘と戦争シーン、後半にはガッツとグリフィスの訣別を配し、緩急がついています。時間の経つのを忘れて見入ってしまいました。

特に、画面から剣の重さを感じさせるのは見事です。

いまから三作目が楽しみです。

参)【映画】ベルセルク 黄金時代編Ⅰ 覇王の卵
参)【映画】ベルセルク 黄金時代編Ⅲ 降臨

【アニメ】咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A


咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 第六局 [Blu-ray]咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 第六局 [Blu-ray]
(2012/11/21)
悠木碧、當山奈央 他

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前作は大好きです。前作の感想はここです。

前作の雰囲気はあるのでそれなりに楽しめました。

ただ、終始バランスが悪かったのが気になります。麻雀の勝負が満足に描いたのは終盤になってからです。また、主人公がまったく活躍しなかったのも驚きです。活躍以前にどういう能力をもっているのかさえ不明のままでした。

本作はきわどい描写もなく「健全」でした。好き嫌いはあるでしょうが、みどころが薄まったというのは否定できないところでしょう。

残念に思う部分もありますが、それでも「咲」の新作が観られたのは嬉しいです。

2期かOVAかで続きを描くようです。期待します。

【アニメ】クイーンズ・ブレイド リベリオン


クイーンズブレイド リベリオン Vol.1 [Blu-ray]クイーンズブレイド リベリオン Vol.1 [Blu-ray]
(2012/06/27)
遠藤綾、小林ゆう 他

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正編の「クイーンズ・ブレイド」はOVA版も含めて視聴しています。

話が中途半端に終わりました。当然ですが二期があるのだと思います。

正編は、キワモノと思いきや、キャラクタの造形がしっかりした作品でした。それに比べると本作は劣るといわざるをえません。正編のキャラクタが登場することで興味をつないだ感じです。なお、新キャラでは「異端審問官シギィ」だけはきちんと作りこまれていたように見えます。

話の大枠である「反乱」の動機もしっくりきません。素直に見て、女王の治世がそれほど歪んでいるようには思えません。女王個人の性格は正編に比べて歪みを感じさせますが、民衆が困っているような描き方をしていません。これだと、正義の反乱というより、テロリストのたぐいです。

あるかどうか分かりませんが、二期目に期待します。二期目では正編とのつながりをもっと描いてほしいです。

【アニメ】夏色キセキ


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(2012/06/27)
高垣彩陽、寿美菜子 他

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切ろうかと悩んでましたが、途中から面白くなってきたので最後まで視聴しました。第四回の入れ替わりの話あたりから、面白くなってきたように思います。

放映前は日常物だと思っていましたが、魔法少女物だったようです。魔法少女物も日常物とかぶるところが多いので違和感ありませんでした。

ただ、最後までお石様とは何だったのか、彼女たち以外の願いをかなえてくれるのか、といった謎に答えなかったのは疑問です。そのことを彼女たちの誰も追及しないのも納得できません。

疑問はありますが、面白い話もたくさんあって満足しました。特に、4年前の自分たちと交錯する話は素晴らしかったです。
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えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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