【朝日新聞】社説余滴:五輪は政治の下僕じゃない

8月30日 朝日新聞朝刊オピニオン欄の「社説余滴」にスポーツ社説担当の稲垣康介氏が「五輪は政治の下僕じゃない」という

一文を載せています。

 なんとも後味の悪い結末だった。
 8月10日のロンドン五輪、サッカー男子3位決定戦、日本と韓国のライバル対決だ。
 この日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島(韓国名・独島〈トクト〉)に上陸。試合後、勝った韓国選手の一人が「独島は我々の領土」と書かれた紙を掲げたことから、政治対立の延長のようなとげとげしい印象だけが残った。
 だが、現地で取材していた私は、これとは違う空気を感じていた。
 試合後、選手たちは歩み寄って健闘をたたえあい、最近までJリーグにいた韓国選手はかつてのチームメートとユニホームを交換していた。そんな彼らに、双方のサポーターも拍手を送った。
(中略)
 うかつにも選手が紙を掲げたことに気づかなかった私は、こうしたことをスポーツ面用のコラムに書いた。
 翌日、問題が表面化し、原稿はボツになったが、あの夜に記者席で抱いた感慨が間違っていたとは思わない。
 政治と五輪の関係は、じつに厄介だ。政治が自国民のナショナリズムをあおろうと思うとき、五輪ほど安直に使える道具もない。だからこそ、五輪憲章は競技場での政治的な宣伝を禁じているのだ。
 韓国サッカー協会が、紙を掲げた選手の行動について「二度とこういうことが起きないようにする」という文書を日本側に送ったのは、五輪精神に照らして当然だった。
 これが韓国で「謝罪文だ」と批判され、協会会長が国会で釈明することになった。残念というほかはない。
 4年前の北京大会。開会式の当日に軍事衝突したロシアとグルジアの選手が、射撃で銀と銅メダルに輝いた。ふたりは表彰台で抱き合い、そして言った。
 「なにごとも私たちの友情を壊せない」
 こうしたドラマに出会うたびに思う。そう、五輪は政治の下僕ではない。


サッカーの試合後、健闘をたたえあうのは、ごくありふれたことです。特に日韓サッカーの絆が深まっていることの証明にはなりません。健闘をたたえあったのも事実なら、領土問題のプラカードを掲げた選手がいたことも事実です。

ロシアとグルジアの射撃選手の話はたしかに美談です。スポーツでの友情が政治に邪魔されるのは見苦しい、というのもわかります。しかし、今回のプラカードを掲げたのは選手のやったことです。選手どうしが仲良くしているのを、政治が阻害しているわけでもなんでもありません。

稲垣氏は自分の見たくない光景を突きつけられて惑乱しているだけに見えます。

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【朝日新聞】記者有論:日韓関係 日本の努力知ってほしい

8月29日朝日新聞朝刊オピニオン欄の「記者有論」に政治部の東岡徹氏が日韓関係について一文を載せています。

 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領のたがが外れてしまった。竹島に上陸し、天皇訪韓の条件に謝罪を求め、野田佳彦首相からの親書も送り返した。
 もはや李大統領の任期中に日韓関係を改善させるのは絶望的だ。12月には韓国で大統領選があり、日韓関係も争点になるだろう。この際、韓国の人々に日本の戦後に目を向けてほしいと思う。
 李大統領は竹島で警備隊を激励し、「命をかけて守らなければならない」と述べた。9月7日からは防衛訓練が始まるという。日本国憲法は国際紛争を軍事力で解決することを禁じており、武力で竹島を奪い返すことはあり得ない。だからこそ、日本政府は竹島の領有権問題を平和的に解決するため、国際司法裁判所への提訴を提案した。
 ただ、韓国で日本の平和憲法が十分に理解されているだろうか。2010年に公表された日韓歴史共同研究の報告書で、韓国の教科書に憲法9条などの記述がないと日本側が指摘している。
 慰安婦問題もそうだ。李大統領は15日の演説で日本政府に「責任ある措置」を求めたが、日本側がこれまで何もしてこなかったわけではない。
 日本政府は1965年の請求権協定によって解決済みで、新たに国家として個人補償はできないという立場だ。それでも何とか償おうと関係者の努力で生まれたのが「アジア女性基金」だった。基金は95年に政府主導でつくられ、元慰安婦に国民の募金による「償い金」と首相の「おわびの手紙」を送った。
 基金は2007年に解散したが、デジタル記念館(http://www.awf.or.jp/)がある。ぜひ読んでほしいのが募金に応じた人たちのメッセージだ。「かつての兵士として、軍人恩給の一部を寄付します」「日本人として、人間として心からおわび申し上げます。あの戦争を知らない27歳の若者より」
 私は5月、ソウルにできた慰安婦問題に関する博物館を見学した。基金の「償い金」事業について「多くの生存者たちが『侮辱感』を感じ、最後まで受け取りを拒否」と説明されていた。心のこもった償い金が「侮辱」とされるのは残念でならない。
 日本も過去を反省しなければならないが、韓国には、日本が謝罪も反省もしていないという凝り固まった見方がまだある。こうした見方は日韓の和解を遠ざける。戦後日本の努力をぜひ知ってほしい。


これは東岡氏が事実を見誤っているようです。

「アジア女性基金」について韓国が知らないということはありません。東岡氏が自分で書いているように、「多くの生存者たちが『侮辱感』を感じ、最後まで受け取りを拒否」したのです。つまり、「戦後日本の努力」が不十分、というのが韓国側の主張です。東岡氏は、韓国の主張・意見を正確に把握していません。

今回の李大統領の言動は、日本に対し過大な期待をしてそれが裏切られたと感じての反応のように見えます。竹島訪問ぐらいなら、どうということもなかったかもしれませんが、天皇への謝罪発言は一線を越えてしまいました。どこまでやっても日本は怒らないと思っていたのでしょう。要するに甘えです。

こうした韓国に対して、「戦後日本の努力をぜひ知ってほしい」というのはピントが外れています。

【朝日新聞】世論調査―質問と回答〈7・8月実施〉

8月28日朝日新聞朝刊 世論調査の発表がありました。
引用します。

 (数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当者中の比率。<>内は全体に対する比率)

◆野田内閣を支持しますか。支持しませんか。

 支持する 27
 支持しない 66

◆今どの政党を支持していますか。

 民主14
 自民19
 国民の生活が第一3
 公明3
 共産2
 新党きづな0
 社民1
 みんな5
 国民新0
 新党大地・真民主0
 たちあがれ日本0
 新党日本0
 新党改革0
 その他の政党1
 支持政党なし49

◆仮に今、衆議院選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか。

 民主18
 自民31
 国民の生活が第一7
 公明5
 共産5
 新党きづな0
 社民2
 みんな11
 国民新1
 新党大地・真民主0
 たちあがれ日本1
 新党日本0
 新党改革0
 その他の政党8

◆あなたにとって次の衆議院選挙で何が一番重要な判断材料になると思いますか。

 党首 7
 政党のこれまでの実績 12
 政党のこれからの期待度 35
 政党のかかげる公約 23
 候補者本人 19

◆次の衆議院選挙で、どんな意識で投票先を選ぶと思いますか。考えに近いものを2つまで選んでください。

 自分の考えに近い人や政党を選ぶ62
 印象のよい人や政党を選ぶ11
 これまでの実績を判断して選ぶ32
 政権を担う能力がある政党を選ぶ49
 いつも投票している人や政党を選ぶ6
 知り合いや組織に頼まれて選ぶ2
 勝ちそうな人や政党を選ぶ0
 大勝ちする政党が出ないように選ぶ4

◆次の衆議院選挙で投票先を決めるとき、以下にあげる政策をどの程度重視しますか。(左から「大いに重視する」「ある程度重視する」「あまり重視しない」「全く重視しない」の順)

 景気・雇用対策53 37 6 0
 社会保障50 40 6 1
 外交・安全保障35 46 14 1
 行政改革33 43 17 2
 消費税の引き上げ43 36 14 3
 原子力発電47 35 12 3
 経済の自由化を進めるTPP(環太平洋経済連携協定)23 47 22 3

◆国政選挙で、政党の公約に具体的な数値目標や財源、達成期限などを盛り込むべきだと思いますか。おおまかな方向性だけでよいと思いますか。

 盛り込むべき 61
 方向性だけ 34

◆次の衆議院選挙後の政権は、どんな形になるのがよいと思いますか。考えに一番近いものを選んでください。

 民主党を中心にした政権11
 自民党を中心にした政権25
 民主党と自民党の連立政権27
 民主党と自民党以外の政党を中心にした政権22

◆大阪市の橋下市長が代表を務める大阪維新の会についてうかがいます。次の衆議院選挙で維新の会が国会で影響力を持つような議席を取ってほしいと思いますか。

 取ってほしい 50
 そうは思わない 43

◆原子力発電を利用することに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 37
 反対 52

◇その賛成や反対の気持ちの強さはどれぐらいですか。(左は賛成、右は反対)

 強 19<7>54<28>
 中 52<19>36<19>
 弱 26<10>6<3>

◆定期検査で停止中の原子力発電所の運転を再開することに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 36
 反対 52

◇その賛成や反対の気持ちの強さはどれぐらいですか。(左は賛成、右は反対)

 強 19<7>55<29>
 中 51<19>36<19>
 弱 26<10>7<3>

◆原子力発電を段階的に減らし、将来はやめることに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 80
 反対 12

◆原子力発電を全面的にやめるとしたらいつごろが適当だと思いますか。

 すぐに 16
 5年以内 21
 10年以内 21
 20年以内 16
 40年以内 6
 40年より先 2
 将来もやめない 8

◆国内の電力にしめる原子力発電の割合は、震災前の2010年は26%でした。2030年の原子力発電の割合はどのくらいがよいと思いますか。

 0% 42
 5% 9
 10% 18
 15% 9
 20% 7
 25% 4
 25%より上 4

◆政府は今後のエネルギー政策を決めるにあたり、2030年の電力の割合について(1)~(3)の案を示しました。考えに最も近いものに1つだけマルをつけてください。

 (1)原発0%の案 49
 (2)原発15%の案 29
 (3)原発20~25%の案 12

◆政府は今後のエネルギー政策の案を6月末に示し、国民に議論してもらったうえで8月末に決めることにしています。議論の期間は十分だと思いますか。不十分だと思いますか。

 十分だ 23
 不十分だ 70

◆2030年に電力にしめる原発の割合を0%にするために、電気料金の追加負担が必要になるとしたらどう思いますか。

 負担が大きくなってもよい7
 少しぐらいの負担ならよい48
 あまり負担はしたくない29
 絶対に負担はしたくない11

◆2030年には太陽光や風力などの再生可能エネルギーの利用は大きく進むと思いますか。

 大きく進む 65
 そうは思わない 28

◆太陽光発電や家庭用燃料電池(エネファーム)などを使って自宅で発電するシステムを導入したいと思いますか。

 導入したい・導入した60
 そうは思わない29

◆政府は、原子力発電の割合を減らしていく「脱原発依存」を進めていると思いますか。

 進めている 19進めていない 73

◆以下の原子力発電に関する記述について、「強くそう思う」場合を7、「まったくそう思わない」場合を1、ちょうど中間を4とする

と、あなたの考えの強さはどのくらいですか。(7択。左端が「まったくそう思わない」、右端が「強くそう思う」)

 原発を運転しないと電気代の上昇が心配だ 9 7 10 30 18 10 13
 原発を運転しないと電力の安定供給が心配だ 10 7 10 25 18 12 15
 原発を運転しないと原発立地地域の経済や雇用が心配だ 12 7 11 30 16 10 11
 エネルギー資源が乏しい日本には原発が必要だ 23 11 13 25 10 6 8
 地球温暖化を防ぐには原発が必要だ 27 12 14 27 8 4 5
 原子力発電所の設備の安全対策が不安だ 1 1 2 13 11 15 54
 原発事故が起きたときの政府や電力会社の対応能力が不安だ 1 1 1 7 7 14 69
 原発事故が起きたときの放射能の影響が不安だ 1 0 1 6 7 13 72
 今の科学技術では原子力のエネルギーを制御しきれない 2 2 4 21 12 15 42
 原発は放射性廃棄物の処分や廃炉を考えると割高だ 1 2 3 25 13 14 40
 原発についての情報は十分に公開されている 43 19 13 15 3 2 4

◆比較的低い量の放射線の被曝について心配するほうですか。

 心配するほう 52
 心配しないほう 44

◆食品を選ぶとき、放射性物質の影響を心配してどこのものか産地を気にしていますか。特に気にしていませんか。

 気にしている 41
 気にしていない 56

◇(気にしている41%の人に)放射性物質の影響を心配して産地を気にしていることに対し、周りから冷ややかに見られたことがありますか。

 ある 6<3>
 ない 88<37>

◆旧ソ連のチェルノブイリ原発や福島第一原発で起きたような深刻な原発事故が日本で今後、起きる可能性がどの程度あると思いますか。

 大いにある 36
 ある程度ある 49
 あまりない 13
 全くない 1

◆アメリカなど太平洋周辺の国々の間で関税を原則ゼロにして人やお金の流れを自由にするTPP(環太平洋経済連携協定)について、どの程度関心がありますか。

 大いにある 21
 ある程度ある 52
 あまりない 23
 全くない 2

◆日本がTPPに参加することに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 44
 反対 37

◆TPPへの参加は、日本の経済にとってよい影響が大きいと思いますか。悪い影響が大きいと思いますか。

 よい影響 35
 悪い影響 37

◆TPPをめぐるアメリカなどとの交渉で、日本の交渉力にどの程度期待できると思いますか。

 大いにできる 2
 ある程度できる 16
 あまりできない 58
 全くできない 20

◆アメリカやオーストラリアなどTPP参加国との間で農業を自由化したら、日本の農業にとってよい影響が大きいと思いますか。悪い影響が大きいと思いますか。

 よい影響 20
 悪い影響 60

◆TPPに参加する場合、日本は関税をゼロにする品目からコメを外すように求めるべきだと思いますか。

 求めるべきだ 60
 その必要はない 32

◆TPPの参加国にあわせて日本の食品の安全基準を低くするとしたら、どの程度問題があると思いますか。

 大いにある 42
 ある程度ある 46
 あまりない 9
 全くない 1

◆TPPへの参加で食糧を外国からの輸入に頼る割合が増えるということにどの程度不安を感じますか。

 大いに感じる 31
 ある程度感じる 50
 あまり感じない 16
 全く感じない 1

◆日本はアメリカ中心のTPPとは別に中国や韓国との経済の自由化も検討しています。日本はこれから経済の面で、アメリカとの関係と、中国や韓国との関係と、どちらを重視すべきだと思いますか。

 アメリカ 49
 中国や韓国 33

◆日本はこれから外国との間で人や物、お金の行き来を今より拡大したほうがよいと思いますか。今の程度でよいと思いますか。

 今より拡大 37
 今の程度 57

◆社会保障の財源にあてるために、消費税を2014年4月に8%に、2015年10月に10%に引き上げることに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 34
 反対 53

◆日本の社会保障制度をどの程度信頼していますか。

 大いに信頼している3
 ある程度信頼している32
 あまり信頼していない47
 全く信頼していない17

◆国の研究機関は2060年に日本の人口が今より3割減少すると推計しています。人口が3割減ることをどう思いますか。

 大いに問題がある43
 ある程度問題がある39
 あまり問題はない14
 全く問題はない2

◆今後の社会保障の支出についてうかがいます。高齢者への支出を減らし、子育てなどをしている若い世代への支出を増やすことに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 43
 反対 43

◆70歳以上のお年寄りの窓口での医療費負担額は原則1割です。70歳以上の人に今より多く医療費を負担してもらうことに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 31
 反対 60

◆消費税などを増税して財源をつくり、年金保険料の支払いが少ない人にも一定額の年金を保障することに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 32
 反対 60

◆日本の財政の状況はどの程度深刻だと思いますか。

 大いに深刻だ62
 ある程度深刻だ32
 あまり深刻ではない4
 全く深刻ではない1

◆経済成長によって日本の税収を増やすことにどの程度期待できると思いますか。

 大いにできる 5
 ある程度できる 31
 あまりできない 53
 全くできない 10

     ◇

 〈調査方法〉郵送方式・層化無作為2段抽出法。全国の縮図になるように339の投票区を選び、各投票区の選挙人名簿から平均9人を抽出、計3千人の有権者を選んだ。7月12日に調査票を発送し、8月20日までに届いた返送総数2303、有効回答2249、回収率75%。有効回答の内訳は男46%、女54%。20代10%、30代15%、40代16%、50代16%、60代20%、70代16%、80歳以上7%。


朝日新聞の世論調査が自分に来たという想定で回答してみます。

>◆野田内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持しません。

>◆今どの政党を支持していますか。
支持政党ありません。
 
>◆仮に今、衆議院選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか。
今なら、自民党です。

今回の調査では、総計88%がどこかの政党の名前を挙げています。
前回は「答えない・分からない」が48%、前々回が47%でしたので、大きく数字が変わりました。
解散の気運が高まっているためでしょうか。

また、これだけの回答率なら、実際の選挙結果もある程度予測できます。自民党が勝利するでしょう。

>◆あなたにとって次の衆議院選挙で何が一番重要な判断材料になると思いますか。
「政党のかかげる公約」 

いくら能力や実績があっても自分の支持しない政策を実行する政党には投票できません。「公約」が判断の基本になるのは当然だと思います。

>◆次の衆議院選挙で、どんな意識で投票先を選ぶと思いますか。考えに近いものを2つまで選んでください。
 自分の考えに近い人や政党を選ぶ
 政権を担う能力がある政党を選ぶ

>◆次の衆議院選挙で投票先を決めるとき、以下にあげる政策をどの程度重視しますか。(左から「大いに重視する」「ある程度重視する」「あまり重視しない」「全く重視しない」の順)
 景気・雇用対策   「大いに重視する」
 社会保障      「あまり重視しない」
 外交・安全保障   「大いに重視する」
 行政改革       「あまり重視しない」
 消費税の引き上げ 「あまり重視しない」
 原子力発電     「あまり重視しない」
 経済の自由化を進めるTPP(環太平洋経済連携協定) 「ある程度重視する」

毎度の指摘ですが、「経済の自由化を進める」といった枕詞を設問に入れるのは不適切です。

>◆国政選挙で、政党の公約に具体的な数値目標や財源、達成期限などを盛り込むべきだと思いますか。おおまかな方向性だけでよいと思いますか。
それは各政党が考えるべきことです。過半数を取る見込みのない政党が具体的な数値目標を提示しても滑稽なだけです。

>◆次の衆議院選挙後の政権は、どんな形になるのがよいと思いますか。考えに一番近いものを選んでください。
「自民党を中心にした政権」

民主党には政権担当能力がないのがはっきりしました。少なくとも一回は休んで反省してください。

>◆大阪市の橋下市長が代表を務める大阪維新の会についてうかがいます。次の衆議院選挙で維新の会が国会で影響力を持つような議席を取ってほしいと思いますか。
「そうは思わない」
能力の有無がはっきりしない政党が影響力を握るのは危険です。また実績のない政党に期待を寄せるのも危険です。

>◆原子力発電を利用することに賛成ですか。反対ですか。
賛成 

>◇その賛成や反対の気持ちの強さはどれぐらいですか。(左は賛成、右は反対)
弱 

>◆定期検査で停止中の原子力発電所の運転を再開することに賛成ですか。反対ですか。
賛成 

>◇その賛成や反対の気持ちの強さはどれぐらいですか。(左は賛成、右は反対)
弱 
つまり、消極的な賛成です。

>◆原子力発電を段階的に減らし、将来はやめることに賛成ですか。反対ですか。
賛成 

>◆原子力発電を全面的にやめるとしたらいつごろが適当だと思いますか。「40年より先」 
そんなに簡単にはやめられない、と思います。

>◆国内の電力にしめる原子力発電の割合は、震災前の2010年は26%でした。2030年の原子力発電の割合はどのくらいがよいと思いますか。
よくわかりません。2030年の電力需要も予測できませんし。

>◆政府は今後のエネルギー政策を決めるにあたり、2030年の電力の割合について(1)~(3)の案を示しました。考えに最も近いものに1つだけマルをつけてください。
強いて言えば(3)です。
ただ、いまから18年後の技術がどうなっているのかわかりません。画期的な技術革新によっては原子力の割合を下げられるのかもしれません。

>◆政府は今後のエネルギー政策の案を6月末に示し、国民に議論してもらったうえで8月末に決めることにしています。議論の期間は十分だと思いますか。不十分だと思いますか。
不十分だと思います。

>◆2030年に電力にしめる原発の割合を0%にするために、電気料金の追加負担が必要になるとしたらどう思いますか。
「あまり負担はしたくない」
正直言えば、負担はしたくないです。それで済むか、と言えば済まないのでしょうが。

>◆2030年には太陽光や風力などの再生可能エネルギーの利用は大きく進むと思いますか。
「わかりません。」
世論調査で未来予測をさせても意味がないと思います。
「再生可能エネルギーの利用を進ませるべきだと思いますか。」という設問なら意味がありますが。

>◆太陽光発電や家庭用燃料電池(エネファーム)などを使って自宅で発電するシステムを導入したいと思いますか。
今のところ導入するメリットは感じません。
計画停電が頻発するのなら、考えるかもしれませんが、今年の電気は逼迫していませんので。

>◆政府は、原子力発電の割合を減らしていく「脱原発依存」を進めていると思いますか。
「進めている」と思います。
各地で行われているヒアリングは「脱原発依存」に誘導しているように思います。
ただ、いきなりゼロにするつもりがないので、原発ゼロ派は不十分に感じているのかもしれません。

>◆以下の原子力発電に関する記述について、「強くそう思う」場合を7、「まったくそう思わない」場合を1、ちょうど中間を4とすると、あなたの考えの強さはどのくらいですか。(7択。左端が「まったくそう思わない」、右端が「強くそう思う」)
 原発を運転しないと電気代の上昇が心配だ    7
 原発を運転しないと電力の安定供給が心配だ   7  
 原発を運転しないと原発立地地域の経済や雇用が心配だ  1 
 エネルギー資源が乏しい日本には原発が必要だ  7 
 地球温暖化を防ぐには原発が必要だ  4 
 原子力発電所の設備の安全対策が不安だ 6 
 原発事故が起きたときの政府や電力会社の対応能力が不安だ 6 
 原発事故が起きたときの放射能の影響が不安だ 7
 今の科学技術では原子力のエネルギーを制御しきれない 7
 原発は放射性廃棄物の処分や廃炉を考えると割高だ 5
 原発についての情報は十分に公開されている 4 

>◆比較的低い量の放射線の被曝について心配するほうですか。
心配しないほう
今となっては、もう気にしていません。

>◆食品を選ぶとき、放射性物質の影響を心配してどこのものか産地を気にしていますか。特に気にしていませんか。
気にしていません。

>◆旧ソ連のチェルノブイリ原発や福島第一原発で起きたような深刻な原発事故が日本で今後、起きる可能性がどの程度あると思いますか。
程度はわかりませんが、可能性はあると思います。
ゼロと考える根拠はまったくないはずです。

>◆アメリカなど太平洋周辺の国々の間で関税を原則ゼロにして人やお金の流れを自由にするTPP(環太平洋経済連携協定)について、どの程度関心がありますか。
ある程度ある 

>◆日本がTPPに参加することに賛成ですか。反対ですか。
反対 

>◆TPPへの参加は、日本の経済にとってよい影響が大きいと思いますか。悪い影響が大きいと思いますか。
悪い影響

>◆TPPをめぐるアメリカなどとの交渉で、日本の交渉力にどの程度期待できると思いますか。
あまりできない 

>◆アメリカやオーストラリアなどTPP参加国との間で農業を自由化したら、日本の農業にとってよい影響が大きいと思いますか。悪い影響が大きいと思いますか。
悪い影響が大きいと思います。

>◆TPPに参加する場合、日本は関税をゼロにする品目からコメを外すように求めるべきだと思いますか。
求めるべきだと思います。

>◆TPPの参加国にあわせて日本の食品の安全基準を低くするとしたら、どの程度問題があると思いますか。
大いにあると思います。 

>◆TPPへの参加で食糧を外国からの輸入に頼る割合が増えるということにどの程度不安を感じますか。
ある程度感じます。 

>◆日本はアメリカ中心のTPPとは別に中国や韓国との経済の自由化も検討しています。日本はこれから経済の面で、アメリカとの関係と、中国や韓国との関係と、どちらを重視すべきだと思いますか。
「アメリカ」 

>◆日本はこれから外国との間で人や物、お金の行き来を今より拡大したほうがよいと思いますか。今の程度でよいと思いますか。
「物」や「お金」と「人」は分けて考えるべきです。「人」の行き来は、今より少なくすべき、だと思います。

>◆社会保障の財源にあてるために、消費税を2014年4月に8%に、2015年10月に10%に引き上げることに賛成ですか。反対ですか。
反対です。 

>◆日本の社会保障制度をどの程度信頼していますか。
ある程度信頼しています。

>◆国の研究機関は2060年に日本の人口が今より3割減少すると推計しています。人口が3割減ることをどう思いますか。
「あまり問題はない」と思っています。

前提として,この推計を信用していません。50年後の人口が予測できるというなら、50年前に今の人口が予測できた、というのでしょうか。それとも人口予測の精度がこの50年で上がったとでもいうのでしょうか。人口の予測は無理だと思います。

>◆今後の社会保障の支出についてうかがいます。高齢者への支出を減らし、子育てなどをしている若い世代への支出を増やすことに賛成ですか。反対ですか。
賛成 

>◆70歳以上のお年寄りの窓口での医療費負担額は原則1割です。70歳以上の人に今より多く医療費を負担してもらうことに賛成ですか。反対ですか。
賛成

貧乏だと医者にかかれない、というのはよい社会ではありません。しかしお年寄り一般が貧乏なわけではありません。お金持ちのお年寄りもいます。一律に1割負担、というのは疑問です。

>◆消費税などを増税して財源をつくり、年金保険料の支払いが少ない人にも一定額の年金を保障することに賛成ですか。反対ですか。
「反対」
払うべきものを払わなかった人に年金をあげる理由はありません。 

>◆日本の財政の状況はどの程度深刻だと思いますか。
「ある程度深刻だ」と思います。

>◆経済成長によって日本の税収を増やすことにどの程度期待できると思いますか。
大いにできる

経済成長したら税収は増えるのは当たり前だと思います。
もしかしたら「日本は今後、経済成長できると思いますか?」と訊きたいのでしょうか。

参:同趣旨のBlogの記事です。
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【朝日新聞】世論調査―質問と回答〈8月4、5日実施〉

【朝日新聞】ザ・コラム:「宿題の夏 たっ、助けてドラえも~ん」

8月26日朝日新聞オピニオン欄に、東京・社会部長の山中季広氏が夏休みの宿題について書いています。

(前略)
 「夏休みにまで宿題を出すのは、米国ではごく少数の勉強熱心な私立校だけ。真夏も机にかじりついて勉強すれば将来よい暮らしが送れるかもしれないが、休むべき時に休むのも大切です。米国でも学期中はすさまじい量の宿題が出ていますから」
 宿題に悩む米国の子供が夢見るのがネットの装置だとしたら、日本の子供があこがれるのはやはりドラえもん風の万能助っ人らしい。夏休みの宿題をさぼった男児をタヌキ顔の教授が助ける「天小森教授、宿題ひきうけます」(1995年刊)で人気を集めた作家の野村一秋さん(57)に、宿題観を尋ねた。
 野村さん自身、子供時代は夏の宿題が重荷でならなかったそうだ。中でも読書感想文が苦痛だった。ある年、豊臣秀吉の薄い伝記を読むと、以後3年続けて夏ごとに似た感想文を書き上げた。担任が代わると、ばれないことに気付いたからだ。
 「夏休みの宿題は、休暇中も学期中と同じように過ごさせるために編み出された余計なもの。教え方の下手な先生ほど、教室で面倒を見られない分、宿題を多く出すのだと信じていました」
 長じて小学校の先生になった野村さんはその信念を実践する。宿題をギリギリまで少なくしたのだ。「父母にはいたって不評でした。家庭訪問先で『もっと宿題を出して』と頼まれたこともあります」
 作家として独立するまで、教壇には20年立った。「読書感想文を必須にするから子供が本嫌いになる」と同僚を説得し、感想文を出しても出さなくてもよいよう改めた。自発的に感想文を出した児童の中から全国最優秀作が出た年、わが宿題哲学の正しさをかみしめたと語る。
(後略) 


「読書感想文を必須にするから子供が本嫌いになる」というのは真実味を感じます。もちろん、中には本嫌いにならない子供もいますので証明は難しいのですが、直感的には正しい意見だと思っています。

しかし、野村市秋氏の「自発的に感想文を出した児童の中から全国最優秀作が出た年、わが宿題哲学の正しさをかみしめた」というのはいただけません。これでは”宿題哲学”の正しさは実証されていません。

読書感想文を全員に強制するのは、すべての子供に読書に親しませる、というのが目的のはずです。全国最優秀作を狙うためであるなら、全員に強制する必要はありません。つまり、「自発的に感想文を出した児童の中から全国最優秀作が出」ても全員に読書感想文を強制するのが無駄とか、悪影響がある、ということは証明できません。

主張には賛成なだけに、こうした没論理には残念です。

【展覧会】レーピン展

於:Bunkamuraザ・ミュージアム

ロシアの移動派、イリア・レーピンの展覧会。全て国立トレチャコフ美術館所蔵のイリア・レーピンの作品です。

音声ガイトには、特別解説として、東京外国語大学長の亀山郁夫氏が特別解説としてより深い解説をしてくれます。

気に入った作品は
夕べの宴」 躍動感を感じさせます。
ユーリア・レープマンの肖像」 意志が強く頭の良さそうな女性像です。どういう人だったのか、一目でわかるような気がしました。
皇女ソフィア」 囚われた皇女ソフィアを描いた歴史画。窓の外に死体が釣り下がっていますが、ソフィア皇女はそれに目もくれず正面をにらみ付けています。意思の強さと紙一重の狂気が伝わってきました。
休息-妻ヴェーラ・レーピナの肖像」 今回の展覧会の目玉です。

他に、ムソルグスキーの死の直前の肖像画があります。私は音楽には詳しくありませんので、ムソルグスキーといっても名前くらいしか知りませんでしたが、この肖像画をみてちょっと興味が湧いてきました。



【本】オランダ靴の謎

オランダ靴の謎 (創元推理文庫 (104-7))オランダ靴の謎 (創元推理文庫 (104-7))
(1959/09)
エラリー・クイーン

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エラリー・クイーンの推理小説。1931年発表。いわゆる「国名シリーズ」の第三弾です。

病院を舞台にした、連続殺人事件です。このあたりの時期から複数殺人が推理小説の本道になっていく感じがします。

エラリー・クイーンの初期の傑作の一つです。

なお、15章の作者注に「全国的に捜査の網を張られたシカゴのジャック・マーフィー事件、バーナビー・ロスの摘発事件、(偽装殺人事件)として全世界に喧伝された事件等において、その筋をうけてハーパーが演じたジャーナリズム的活動は、忘れえないものである。」とあります。


【アニメ】BLOOD+


BLOOD+(1) 通常版 [DVD]BLOOD+(1) 通常版 [DVD]
(2006/01/01)
喜多村英梨、小西克幸 他

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ネタばれがあります。未見の方はご注意ください。

Gyaoにて視聴。本放送でも観ていましたので再視聴になります。当時も面白いと思っていました。再視聴してもその印象は変わりません。それどころか、あらためて魅力を発見しました。

出産後のディーバが血の効力を失っていたというのも意外性十分ですし、小夜が終盤になってどんどん弱くなっていくというのもありきたりでない展開です。

普通の作品だと、クライマックスに敵対勢力が総力戦に打って出て派手なドンパチになることが多いですが、この作品では、とんでもない陰謀をめぐる話になりました。よく工夫されています。

初見では、ディーバがリクを襲った理由を、後の回で知って驚愕しました。再視聴すると、当時からディーバにそれを臭わせる仕草(自分のおなかをいとおしそうにさすっています)があるのに気がつきました。これだけでも再視聴の価値がありました。

エッチなシーンやら恋愛話はアニメでは珍しくありませんが、それらを通り越した生々しい生殖の話題を真正面から描いているのは特筆すべきです。

カイと小夜を、ありがちな恋愛話にはもっていかなかったのは好感がもてます。謝花さんやディーバはカイと小夜の関係を疑っていたようですが、実際どうなのかは分かりません。終盤、カイが小夜に沖縄に帰って共に店を再建することを提案しますが、これが恋愛感情に基づくものなかかは明確でありません。多様な解釈が成り立つと思います。

敵対しているからといって話し合いができないはずがないというカイの考えは、決して空想的な平和主義ではなく、重みのある裏づけをもっています。カイがいなければ、小夜は赤ん坊である姪の二人を殺害し、自死を選んでいたはずです。悲惨な結末にならなかったのはカイのおかげです。

問題を感じたのは、ソロモンの扱いです。敵味方を超えた愛、みたいなことをしたかったのかもしれませんが、完全に空回りです。小夜にほとんど相手にされなかったばかりか、物語に不用な存在になっています。

もう一つ問題に感じたのは、本部の船が沈んだり、専属の科学者が離反したりしたくらいで「赤い盾」が壊滅したことです。資金と意思があるなら、組織は維持されるはずです。実際、小夜と再接触したあと何事もなかったように「赤い盾」は再建されています。意味がわかりませんでした。

高名な「The Last Vampire」と同じブランドでありながら世界観を別にしたので、叩かれやすいたち位置ですが、決してひけをとらない名作だと思います。4クールという長丁場でありながら、途中でだれることなく最後まで緊張感を持続してくれました。

【朝日新聞】時事小言:領土領海「主権譲らず挑発もせず」

8月21日 朝日新聞夕刊の文化欄に、国際政治学者の藤原帰一氏が、最近の北方領土、竹島、尖閣と相次ぐ領土関係の事案について「主権譲らず挑発もせず」という一文を載せています。

 ロシアのメドベージェフ首相による国後島訪問から2カ月も経たない8月、韓国の李明博大統領が竹島を訪問し、香港の活動家が尖閣諸島の魚釣島上陸を強行した。日本が軽く見られているという印象は避けがたい。
 私は、既に竹島を実効支配している韓国が大統領訪問に訴えることは、日韓関係に新たな対立を加える愚かな行動であると考える。さらに、尖閣諸島から南シナ海に至る地域において、中国政府が日本ばかりでなく韓国、ベトナム、フィリピンの領土と領海を無視する行動を行っていることは容認できないとも考える。領土紛争の政治化や威迫と既成事実による国境の変更は国際関係の安定を損なうからである。
(中略)
 ではどうすべきか。領土領海については、主権は譲らないが挑発もしないアプローチが必要だ。日本が実効支配する尖閣諸島については日本ばかりでなくアメリカ、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国との連携の下に武力介入を阻止するが、実効支配をしていない北方領土と竹島については法的に主張する一方で武力行使は自制すべきだろう。
 また、領土では妥協しない一方、歴史問題については新たなアプローチが必要ではないか。日韓関係でいえば、歴史問題は決着済みだとする日本政府の主張が韓国社会に受け入れられていない現状を直視して、従来の政府合意と河野談話・村山談話に加え、さらに明確に植民地支配と戦争への責任を表明する。日本側のイニシアチブによって、正義の名の下に粗暴な対日偏見が広がる根を断つのである。
 これは韓国や中国への迎合ではない。終戦から70年近く、日本国民は好戦的ナショナリズムを排除し、民主政治を維持してきた。戦後日本に誇りを持つことが自虐史観になると私は思わない。賢明な外交は、力に加え、諸外国の寄せる信頼に支えられることを銘記すべきだろう。


藤原氏の意見には賛成しかねます。

河野談話・村山談話に続けて新たなものを発表する意味はないと思います。それは決して自虐史観だから反対、という理由ではありません。これまでの河野・村山談話によって韓国は納得していなかったという現実があります。これ以上どんな談話を発表しても彼らは納得しないでしょう。

強硬論を述べて悦にいるつもりはありません。ただ、事実を淡々と観察すれば、日本が譲歩をすれば韓国はさらに要求してくるのは明らかです。

【SAPIO】リテラシーの低いネトウヨが作り出す「バカの論壇」に大した力はない

SAPIO 2012年8/22・29号より

ネットニュース編集者の中川淳一郎氏とブロガー投資家の山本一郎氏の対談です。

細かい部分に異論をさしはさんでいるときりがないので、もう少し大枠の話をします。

「ネトウヨ」というのは特定個人のことではありませんので、その意見は様々です。「ネトウヨ」が一枚岩とは限りません。中川氏も山本氏も、ネットで拾った過激な意見の一部を取り上げています。これでは、「ネトウヨ」全体への反論にはなりません。

また、両氏の言っていることは単なる悪態にしか聞こえません。中川氏の発言を引用してみます。

自分がみじめな生活をしているのはすべて在日コリアンのせいだ、と責任転嫁しているところがありますね。ネトウヨの年収が低いのだとすれば、在日コリアンのせいじゃなく、一生懸命勉強して東大に行かなかったお前のせいだと言いたい。今すぐハローワークへ行け!


仮にネトウヨの年収が低いとしても、意見の正しさと年収の多寡は関係ありません。

ほかにも、「年収も少なく、友人もほとんどいない弱者」とか「無料のネットにかじりついている」というように悪口を言い合って互いに喜んでいる様は、彼らが批判する一部のネットユーザーと変わりありません。

読むに堪えない対談です。

【本】嫉妬の世界史


嫉妬の世界史 (新潮新書)嫉妬の世界史 (新潮新書)
(2004/11)
山内 昌之

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著者は、国際関係史とイスラーム地域研究をしている東京大学大学院の教授です。つまり、歴史が専門で、心理学が専門ではありません。したがって、本書で指摘されている世界史の人物たちの「嫉妬」が、心理学という学問で裏づけられているわけではありません。一般的に嫉妬とみなされるというレベルの話です。

古今東西から豊富な事例を縦横無尽に活写されています。著者の幅広い知識には驚かされます。自分の専門分野だけに特化した先生ではないようです。

私が一番面白かったのはドイツのロンメル将軍の話です。なるほどと思いました。

【映画】おおかみこどもの雨と雪


おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)
(2012/06/22)
細田 守

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これは面白かったです。

ストーリーには起伏がなく、最後までスペクタクルシーンはありません。その終始淡々と描くところがかえって好印象です。

疑問に思うところは多々あります。父親が何を学びたくて大学に来ていたのかがわかりません。死んだ理由もはっきり明かされていません。死んだあと子供二人をかかえてアルバイトもせず、おそらく実家の援助もなしに、数年を暮らしてきたわけですから、それなりのお金を持っていたはずです。引越しのアルバイトをしていただけでどうしてそれだけのお金を貯められたのかもわかりません。娘(雪)が人間の道を選び、息子(雨)が狼の道を選んだ心情もはっきりとはわかりません。

こうした疑問が残るのは、普通は欠点として数えるべきなのですが、この映画の場合はむしろ想像する余地を残してくれているような感じさえします。ストーリーとは別ですが、題名が生まれた順の「雪と雨」でなく「雨と雪」となっているのもおおいに想像を膨らませてくれます。

ただし、途中で出てきた檻の中の狼は意味がなく、無駄な感じでした。あれはなんだったのでしょうか。

お勧めできる良作です。

【朝日新聞】記者有論:肥大化する五輪 スポンサー倫理問うべきだ

8月17日朝日新聞朝刊にスポーツ部の由利英明記者による「肥大化する五輪:スポンサー倫理問うべきだ」という文章が載りました。

 華やかな五輪の裏で、小さな抗議デモがあった。ロンドン五輪公園付近で7月下旬、米化学会社のダウ・ケミカル社に対し、約40人が「賠償に応じてほしい」と訴えた。
 1984年、ユニオン・カーバイド社がインド中部のボパールでガス漏れ事故を起こし、3日間で約3500人が死亡した。最終的に死者は2万人以上に達したという調査もあり、「史上最悪の産業事故」と呼ばれている。そのカーバイド社を2001年に買収したのが、ダウ社だった。
 1989年、インド政府はカーバイド社と4億7千万ドル(当時約600億円)で和解した。だが、1人当たりの賠償額は数万円程度。工場跡に隣接するスラム街の医療施設は、今も後遺症に悩む人であふれる。別の施設では、事故後に障害を持って生まれた子供たちがリハビリに励んでいる。ともにNGOが運営し、政府の援助はない。
 一方で、ダウ社は2010年、国際オリンピック委員会(IOC)と10年間で総額150億ドル前後(同約1兆3千億円)の最高位スポンサー(TOP)契約を結んだ。
 住民や支援団体は反発し、インド・スポーツ省や同国オリンピック委員会もIOCに抗議した。ロンドン五輪組織委員会も、メーン競技場の周囲を覆うダウ社製の装飾物に、同社の名前を入れないことにした。ロンドン市議会は7月中旬、「契約を見直すべきだ。企業の環境、社会、倫理面も重視すべきだ」とする動議を可決した。
 日本の水俣病も取材したボパール在住のジャーナリスト、ラジクマール・ケスワーニさんの言葉には説得力がある。「被害者にとって、カーバイド社を買収したダウ社は『死』で、スポーツは『生』を意味する。この二つは両立しない」
 賠償問題と五輪は別という意見もある。ダウ社は「和解済み」とし、IOCも「買収前の事故」と擁護している。
 TOPは現在11社。世界経済が厳しい状況の中、北京五輪時より1社減った。IOCにとって、同社は10社目の契約で、やっと見つけたTOPなのだ。1984年ロサンゼルス五輪以降、IOCが進めてきた商業路線の矛盾が、噴き出し始めている。肥大化をやめない限り、スポンサーの倫理が問われる事例がこれからも相次ぐだろう。
 IOCは、ダウ社との契約金を被害者に寄付し、五輪のありようを見直すきっかけにするべきだ


不十分であるのかもしれませんが、ユニオン・カーバイト社は和解金を支払っているようです。和解したのにまだ訴えを続けられる理由がよくわかりません。また、(インド)政府の援助がないのは、ユニオン・カーバイト社を買収したダウ・ケミカル社の責任ではありません。

この記事に書かれていない事情でダウ・ケミカル社を訴えているのかもしれませんが、「ダウ社は『死』で、スポーツは『生』」などという情緒的な言葉だけでは説得力を感じません。

ましてや、由利記者のIOCがダウ社との契約金を寄付すべきだ、との主張はまったく賛成できません。これだとダウ社の腹はまったく痛まず、IOCが賠償金を払うことになってしまいます。五輪の改革とガス漏れ事故の被害救済は別個に考えるべきことがらです。

【SAPIO】ネトウヨとは何か?これは若者たちがのめり込む「愛国という名の階級闘争」だ

ジャーナリスト安田浩一氏によるネット右翼のレポートです。

欠点は、ネット右翼(ネトウヨ)の定義が明確でないことです。自分のインタビューした相手をネトウヨの代表と考えるのは無理があります。同じページにある「ネット右翼をデータで読む」をよく読むべきでしょう。

ネット右翼は、社会的に不遇な人間が人種差別的な愛国運動に走っているというステレオタイプの見解を述べているに過ぎません。実際インタビューされた人は少し特異な感じがするのは事実です。これが一般的な傾向なのか、特定の少数者の傾向なのかを見極める必要があります。

特集のオープニングとしてはお粗末な記事です。先入観ではなく、データをもとに語って欲しいと思いました。

【SAPIO】ネトウヨ亡国論:ネット右翼をデータで読む

SAPIO 2012年8/22・29号より
「ネトウヨ亡国論」という特集の一記事です。

実体がよくわからない「ネット右翼」についての統計情報の分析です。何が「ネット右翼」なのかという定義なしの議論は無意味ですので、こうした記事は非常に重要です。なお、この特集のほかの記事には、自分勝手な「ネット右翼」像を決め付け悪口を書くという程度の低い文章がちらほら存在しています。

「ネット右翼」の定義は、大阪大学大学院の辻大介准教授らが08年に実施した調査によります。調査対象は大手ネットリサーチ会社マクロミルのモニター会員1000名です。下記の[A],[B],[C]のすべての条件を満たすもの人がネット右翼。[B]の条件に3項目以上に賛成とした人も含めたのが、「少し条件を緩和した」ネット右翼としています。


[A]
「韓国」「中国」いずれに対しても、「あまり」「まったく」親しみ感じないと回答

[B]
「首相や総理大臣の靖国神社への公式参拝」
「憲法9条1項の改正」
「憲法9条2項の改正」
「小中学校の式典での国旗掲揚・国歌斉唱」
「小中学校での愛国心教育」
という5項目すべてに、「賛成」「やや賛成」と回答

[C]
直近1年の間に、政治や社会の問題について
「自分のホームページに、意見や考えを書き込んだ」
「他人のブログに、自分の意見や考えをコメントした」
「電子掲示板やメーリングリスト等で議論に参加した」
という3項目いずれかに、したことが「ある」と回答


1.3%がネット右翼。3.1%が少し条件を緩和したネット右翼という結果でした。記事にも指摘してありますが、調査の母集団がネットのヘビーな利用者ですので、現実世界でのネット右翼の割合はこの調査より低くなるはずです。ただし、ネット利用者以外にもネット右翼と政治的思想を同じくする人はいる可能性もあります。つまり[A][B]を満たす人間がどれだけいるかはここではわかりません。

この調査で分かったのが、ネット右翼と呼ばれている層が決して低所得者だけに固まっているわけではなく、年齢層も広範囲にわたっていることです。彼らは、署名や会合への参加などリアルでの活動も積極的です。これらは一般的に考えられるネット右翼とはイメージが違うように思いました。

また、ネット右翼の2ちゃんねる利用率、日本のマスコミへの不信度が高いこともわかりますが、これはイメージ通りといっていいでしょう。

2008年の調査ですので、現時点がどうなのかは不明ですが、意義ある調査結果だと思います。

なお、私は韓国には親しみを感じていませんが、中国の文明には敬意を払っています。ブログの名前も中国由来の言葉を使っているくらいです。中国政府には警戒感を持っていますが、中国そのものにはある程度の親しみを感じています。よって、私はネット右翼ではありません。

【朝日新聞】いじめている君へ:今の大人と違った生き方を

朝日新聞で「いじめと君」といういじめ問題に関して、各界の著名人がいじめの当事者に語りかけるという企画があります。8月14日には、経済学者の金子勝氏が、「今の大人と違った生き方を」という一文を載せました。

 子どもは大人の背中を見て育つと言いますが、君には大人のまねをしないでほしいと思っています。
 ある国会議員が、高額所得の芸能人の母親が生活保護を受けていることを国会で問題にしました。その芸能人は法律に違反していたわけではありません。でも、人気商売である芸能人が反論できないのをよいことに、テレビや週刊誌からも袋だたきにされ、多くの人がその騒動を楽しみました。
 君がいじめている子と似ていませんか。逃げ場がどこにもなく、先生も守ってくれず、抵抗する手段も限られているからです。
 その議員は、親族の扶養義務を強めるべきだと主張しました。でも、そんなことをされたら、たちまち生活に困ってしまう弱い立場の親子だっているんです。
 もう一つ、時事問題を挙げます。東京電力福島第一原発の事故では、16万人が避難しました。放射能の不安におびえながら逃げ場のない人たちもたくさんいます。自殺者も出ました。
 でも、東電の経営者たちは明確な責任を問われないまま。やはり責任があるはずの原子力安全・保安院の人たちは今も原発の「安全性」を審査しています。私には、いじめ問題への対応が甘かった大津市教育委員会とダブって見えます。
 弱い人はいじめられ、追い込まれる。強い人は何をしても許され、平気でいられる。こんな社会を今の大人は作っているんです。なんかおかしいですよね?
 君はこの新聞を読んでいないかもしれません。私は実は「いじめている大人」が読んで、間接的に君に届くのを期待しています。どうか、今の大人とは違った生き方をしてください。


このシリーズの筆者は皆、今の子供たちのいじめ問題を真剣にとらえ彼らなりの答えを書いています。中には、的外れだなあ、と思うものもなくはありませんが、それでも子供たちに向けて真摯に訴えているのはわかります。

しかし、この金子氏の文はいただけません。金子氏は、もともとの自分の主張を、いじめ問題に便乗して語っているだけです。

人気商売だからといって不当な言いがかりだったら反論するのは当たり前です。事実無根の報道をされた芸能人が反論する例はいくらでもあります。「いじめている子」とは似ていません。反論できないから反論しなかっただけのことです。

親族の扶養義務を強めると生活に困る親子がいる、というのは論理のすりかえです。問題にされたのは高額所得の芸能人です。高額所得の息子がいるのに生活保護を税金から支給するのはおかしいのではないか、という至極まっとくな問いかけでした。他人の主張をねじまげています。

あのような「不正」受給を放置すれば、本当に生活保護を必要とする人にいきわたらなくなる恐れがあります。本当に弱い者の味方であるなら、かの芸人の行動には怒らなければならないはずです。

「法律に違反していたわけではありません」というのも理解しがたい説です。国民に選ばれた国会議員は法律を改正し、よりよい社会を築く役割があります。現在法律違反でなくても改善を訴えることは国会議員の正しいありかたです。

金子氏は、敵(自民党議員)の敵(高額所得者芸人)は味方、という俗な考えにおかされているようです。

原発問題に至っては、いじめとどこが同じなのかさっぱりわかりません。東電の経営者がいじめっ子で、原子力安全保安員の人たちが教育委員会なのでしょうか? ぴんときません。東電は被災者を困らせようとわざと事故を起こしたわけではありません。原発の問題は、金子氏の考えに賛成できる部分もなくはないですが、いじめ問題との類似を指摘するのは的外れです。

まぜっかえして言えば、法律に違反していたわけではない東京電力をテレビや週刊誌で袋だたきにしている方がいじめだ、と言えなくもありません。

そもそも、この文章を「いじめている大人」が読んで子供に届く、という期待にいたってはお笑いです。本当に「いじめている大人」だったらそんな殊勝なことをするはずがありません。金子氏が、まじめに子供に語りかけていないことは明白です。

【展覧会】バーン=ジョーンズ -装飾と象徴-

於:三菱一号館美術館

日本で初めて開催される、ラファエロ前派の画家バーン=ジョーンズの個展です。

ギリシャ神話やキリスト教、さらにはアーサー王伝説などのからとりあげた場面を描いています。有名な場面がほとんどですので、なじみのないものはありませんでした。音声ガイドも分かりやすく、充実した展覧会でした。

日曜に出かけましたが、それほど混んでいなかったので、落ち着いて鑑賞できました。

気に入った作品は、
「運命の車輪」
「ステュクス河の霊魂」
の二点です。

「闘い:龍を退治する聖ゲオルギウス」は龍が強そうに見えないのが残念です。あれでは、ただのでかいトカゲです。人間より小さいトカゲがどうやって生贄の娘を食べるのでしょうか。疑問を持ったというより、可笑しかったです。

その点、「果たされた運命:大海蛇を退治するペルセウス」の怪物は迫力を感じさせました。なお、この絵に限りませんが、アンドロメダ姫を黒人ではなく白人として描くのはお約束のようです。私が不勉強のせいなのか、黒人のアンドロメダ姫をまだ見たことがありません。


【朝日新聞】座標軸:韓国大統領竹島入り 大国らしからぬ振る舞い

8月12日朝日新聞朝刊に朝日新聞主筆の若宮啓文氏が韓国大統領の竹島上陸について語っています。

(前略)
 李明博大統領にとってつらかったのは従軍慰安婦の団体が対日姿勢を強めるなか、昨年、憲法裁判所から問題の交渉を迫られたことだろう。外交に裁判が乗り出す意外な展開に、野田政権が応ずることはなかった。
 東日本大震災では支援を惜しまず、福島第一原発事故のあとは中国首脳と福島でサクランボを食べて見せた李氏である。それなのに、自分の苦境は察してくれないのか……。竹島問題でも固い野田佳彦首相に対し、そんな思いを強めていた。
 だが、日本も国内に「屈辱外交」批判があるなかで一昨年の「併合100年」に菅直人首相が謝罪の談話を出すなど配慮を続けてきた。慰安婦問題では韓国政府も当事者能力を欠いているし、竹島では日本国内に激しい圧力もある。それなのに、これみよがしの上陸で逆なでするのは、いまや立派な大国の元首らしい振る舞いではなかろう。
 尖閣諸島では中国漁船に仕掛けられ、北方領土ではプーチン・ロシア大統領の「引き分け」発言にもかかわらずメドベージェフ首相が国後島を再び視察。「日本外交が軟弱だからなめられる」という人がいるが、いま政権が問われるのは首相がくるくる代わって一貫性が乏しいうえ、野党や党内に足をとられて本当の外交にならないことだ。これでは足元を見られる。
 最近は「毅然」を意識するあまり、相手の懐に入る外交も乏しい。どこの国であれ外交は内政の延長にあり、首脳はみな苦しい。うまい解決策がなくとも自分の苦境や心情を察してくれる相手には、少なくとも自分から進んで嫌なことはすまい。こんどの竹島上陸から見えるのはそれらの教訓だ。
 それにしても、どれも戦争の処理にからんで「四海波高し」の領土問題である。これらをただ「毅然」で解きほぐせるはずもない。よくよく腹をすえて硬軟の戦略を練る機会である。


「うまい解決策がなくとも自分の苦境や心情を察してくれる相手には、少なくとも自分から進んで嫌なことはすまい」と書いていますが、なんの根拠もありません。日本も韓国も独裁国家ではありません。もともと友好関係の国家間なら政治家の友情が友好増進に役立つのかもしれません。しかし仲の悪い国どうしなのに、政治家個人の友情だけで国家間が友好関係になるはずがありません。若宮氏の感覚は、ずれています。

もともと韓国は日本と友好国になろうという気はないように見えます。朝鮮王朝儀軌をあげても、スワップ協定を強化しても、日本に感謝する気配さえありません。それどころが要求はどんどんエスカレートしていきます。韓国が求めているのは、日本との友好関係を結ぶことではなく、日本が韓国に屈服し続けることなのでしょう。

日韓ともに本音では友好関係を願っていると、若宮氏は考えているようです。しかし、それは間違っています。韓国が日本との友好関係を望まない以上、日本も韓国との友好関係を模索する必要はありませんし、そもそも不可能です。

今回の件で、目が覚めた政治家も多いように思います。それだけは収穫です。

【本】ムシウタ 12 夢醒める迷宮(上)


ムシウタ  12.夢醒める迷宮(上) (角川スニーカー文庫)ムシウタ 12.夢醒める迷宮(上) (角川スニーカー文庫)
(2012/06/30)
岩井 恭平

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「ムシウタ」シリーズのひさしぶりの新刊です。前巻の発売から1年以上もたちました。

前巻では、ディオレストイを倒したと思ったら、Cがあらたな敵となった(らしい)、という衝撃的な終わり方でした。この巻はそのつづきです。ただし、(上)とあるように話はまだ終わりませんでした。

この巻で終わりが見えてきたように思います。ただし、すでに整理されたキャラクタが復活してきましたので、あと何巻で終わるのか見通しがつきません。

おおきな伏線だったともいえるbugシリーズも本シリーズに融合される模様です。次巻ではbugシリーズのヒロインが復活すると思われます。

また、エルビオーネとの大きな戦いもおそらく次巻であるはずです。

次巻の発売が待ち遠しいです。

【本】エンド・ハウスの怪事件


エンド・ハウスの怪事件 (創元推理文庫)エンド・ハウスの怪事件 (創元推理文庫)
(2004/01)
アガサ クリスティ

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アガサ・クリスティの推理小説。1931年発表。探偵はエルキュール・ポアロ。

この時期の推理小説を集中的に読んでいます。比べてみると、クリスティは優れた推理作家だというのを痛感します。いまだ人気が衰えないのも不思議ではありません。

登場人物の書き分けもうまく、犯人も意外。事件が始まる前から探偵が事件に関わるという珍しい構成をとっています。多くの新しい工夫をためしたクリスティならではの作品といえます。

【アニメ】ジュノー

長編アニメーション作品 ジュノー

スイス人医師マルセル・ジュノーの半生を描いた映画です。原爆投下後の広島で医療活動に従事したことで知られている人物です。恥ずかしながら、私はこの人のことは初めて知りました。

NHKで8月6日にNHKで放送したのですが、原爆だけに焦点をあてたわけではなく、エチオピア、スペイン、ドイツ、満州などでの活動も描かれています。

一時間の枠しかないので、どうしてもそれぞれのエピソードが薄くなるのは否めません。また背景説明をほとんどしないので、事前の知識がないとどの国とどの国が戦争をしているのかまったく分かりません。小さい子供が観ることを意識して難しい話は控えたのでしょうが、中高生以上だと物足りない感じがすると思います。

学校の旅行で広島に来た二人の女生徒が、幽体離脱(?)とタイムスリップをして、ジュノーの半生を見守る、という設定です。わざわざこういう設定なのだから、女生徒が時代背景の解説をしてくれてもよさそうなものですが、そういうことは一切行いません。ただ、きゃあきゃあ騒いでいるだけではじめは邪魔だと思っていました。物語の締めで女生徒たちはジュノー医師の生き方に学び、いじめや喧嘩を見て見ぬふりをするのはよそう、と決意します。この訴えがテーマのようです。戦争の話から得られる教訓としては、スケールが小さくなったように思います。

また、ジュノー医師に、劇の中で対立する勢力が、イタリア・フランコ・ドイツ・日本というやや偏っているように思いました。悪意はないのかもしれませんが、ちょっと一方的すぎるような気がしました。

アニメ映画としては不出来だと思いますが、ジュノー医師という人物を知らしめたことは価値があると思います。


【朝日新聞】世論調査―質問と回答〈8月4、5日実施〉

朝日新聞の世論調査の結果が発表されました。

引用します。

◆野田内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する22(25)
 支持しない58(58)

◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」22%、右は「支持しない」58%の理由)
 首相が野田さん28〈6〉 2〈1〉
 民主党中心の内閣14〈3〉 14〈8〉
 政策の面21〈5〉 38〈22〉
 実行力の面25〈5〉 41〈23〉

◆いま、どの政党を支持していますか。
 民主13(15)▽自民13(13)▽国民の生活が第一1(-)▽公明3(3)▽共産1(2)▽新党きづな0(0)▽社民0(0)▽みんな1(2)▽国民新0(0)▽新党大地・真民主0(0)▽たちあがれ日本0(0)▽新党日本0(0)▽新党改革0(0)▽その他の政党1(2)▽支持政党なし57(55)▽答えない・分からない10(8)

◆できるだけ早く衆議院を解散して総選挙を実施すべきだと思いますか。急ぐ必要はないと思いますか。
 早く実施すべきだ41(43)
 急ぐ必要はない45(44)

◆仮にいま、衆議院選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか。
 民主13(14)▽自民23(22)▽国民の生活が第一2(-)▽公明3(3)▽共産2(3)▽新党きづな0(0)▽社民1(1)▽みんな4(4)▽国民新0(0)▽新党大地・真民主0(0)▽たちあがれ日本0(0)▽新党日本0(0)▽新党改革0(0)▽その他の政党4(6)▽答えない・分からない48(47)

◆社会保障の財源にあてるために、消費税を2014年4月に8%に、2015年10月に10%に引き上げる法案に賛成ですか。反対ですか。
 賛成 42(42)反対 48(49)

◆消費税の引き上げで税収が増えたら公共事業を増やすという考えに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 28反対 56

◆原子力発電を利用することに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 33反対 50

◆福井県の大飯原発のほかにも原発の運転を再開することに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 31(35)反対 55(49)

◆野田内閣は、2030年の電力に占める原発の割合について、「0%」、「15%」、「20から25%」の三つの選択肢を示しました。三つの選択肢のうちどれが望ましいと思いますか。(択一)
 0%43(42)
 15%31(29)
 20から25%11(15)

◆原発の将来や今後のエネルギー政策に関する議論について、新聞やテレビ、インターネットなどを気にして見ているほうですか。それほどでもありませんか。
 気にして見ているほう60
 それほどでもない36

◆原発の将来や今後のエネルギー政策について、いま、国民的な議論が十分行われていると思いますか。足りないと思いますか。
 十分行われている10
 足りない81

◆原子力発電に対する政府の安全対策をどの程度信頼していますか。(択一)
 大いに信頼している1
 ある程度信頼している18
 あまり信頼していない50
 まったく信頼していない29

◆太陽光や風力などの自然エネルギーに電力としてどの程度期待しますか。(択一)
 大いに期待する29
 ある程度期待する54
 あまり期待しない12
 まったく期待しない2

◆アメリカ軍が日本のアメリカ軍基地に配備する新型輸送機オスプレイについてうかがいます。オスプレイを日本のアメリカ軍基地に配備することに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 24反対 58

(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は、7月7、8日の調査結果)


朝日新聞の世論調査が自分に来たという想定で回答してみます。

>◆野田内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持しません。

>◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」22%、右は「支持しない」58%の理由)
「政策の面」です。

>◆いま、どの政党を支持していますか。
支持政党なしです。

今回の調査で、国民の生活が第一党が共産党と同じくらいの支持だとわかりました。あとは共産党と比べどれだけ浮動票を集められるかが次の焦点です。またこの調査結果ではわかりませんが、地域的な偏りがあるのかもしれません。なお、民主党の支持率は、この分が削られた模様です。

>◆できるだけ早く衆議院を解散して総選挙を実施すべきだと思いますか。急ぐ必要はないと思いますか。
急ぐ必要を感じません。今、解散して何を争点にするのかよくわかりません。

>◆仮にいま、衆議院選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか。
まだ決めていません。

>◆社会保障の財源にあてるために、消費税を2014年4月に8%に、2015年10月に10%に引き上げる法案に賛成ですか。反対ですか。
反対です。

>◆消費税の引き上げで税収が増えたら公共事業を増やすという考えに賛成ですか。反対ですか。
どういう公共事業を増やすかによります。一般的に賛否を問うのは無意味です。

>◆原子力発電を利用することに賛成ですか。反対ですか。
「原子力発電を利用する」というのは、原発で発電した電気を使うことを聞いているのでしょうか。電気利用者は、どこで発電したかによって使うか使わないかを選んでいるわけではありません。

今あるものを利用することには何の問題もありません。原子力発電所の電気を利用しているからといって道義的な責任があるとは思いません。したがって原発反対の人たちがクーラーを使っているからといって責めることもできない、と思います。

意味のない質問だと思います。

>◆福井県の大飯原発のほかにも原発の運転を再開することに賛成ですか。反対ですか。
特定の原発の賛否を聞かれても、その土地の人間でない者が答えるべきではないような気がします。関東に住む人間には答えようがありません。

>◆野田内閣は、2030年の電力に占める原発の割合について、「0%」、「15%」、「20から25%」の三つの選択肢を示しました。三つの選択肢のうちどれが望ましいと思いますか。(択一)
三つしか選択肢がないような単純なことではないと思います。原発の発電量よりまず、どのくらいの電気を利用するのか、というところから考えるべきではないでしょうか。

>◆原発の将来や今後のエネルギー政策に関する議論について、新聞やテレビ、インターネットなどを気にして見ているほうですか。それほどでもありませんか。
それほどでもありません。ほかにも興味のあることが一杯ありますので。

>◆原発の将来や今後のエネルギー政策について、いま、国民的な議論が十分行われていると思いますか。足りないと思いますか。
「国民的な議論」という定義のないものを持ち出して、十分かどうかを問うのは設問として間違っています。回答不能です。

>◆原子力発電に対する政府の安全対策をどの程度信頼していますか。(択一)
ある程度の信頼をしています。政府の発言は専門家の提言に基づいているはずです。専門家の言うことを疑うほどに原子力に知識があるわけではありませんので。

>◆太陽光や風力などの自然エネルギーに電力としてどの程度期待しますか。(択一)
大いに期待します。

非常に長い目で見ると、自然エネルギーを活用していかないかぎり、エネルギーを使い果たして文明は崩壊すると思います。

>◆アメリカ軍が日本のアメリカ軍基地に配備する新型輸送機オスプレイについてうかがいます。オスプレイを日本のアメリカ軍基地に配備することに賛成ですか。反対ですか。
この問題は、事故率の統計をみて判断するしかありません。どんなものにも100%安全はありません。オスプレイより従来のヘリの方が危険になのかも知れません。実際、沖縄の小学校にヘリが落ちた事故も覚えています。

オスプレイの事故率だけでなく、代替手段と比較をして考えるべきことです。

参:同趣旨のBlogの記事です。
【朝日新聞】世論調査
【朝日新聞】世論調査
【朝日新聞】世論調査
【朝日新聞】世論調査 2012年6月
【朝日新聞】世論調査 2012年6月28日
【朝日新聞】世論調査7月10日

【アニメ】お台場で「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」


あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(上) (MF文庫ダ・ヴィンチ)あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(上) (MF文庫ダ・ヴィンチ)
(2011/07/22)
岡田麿里

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昨日、お台場のTOHO系列のシネマメディアージュで映画を観に行ったところ、映画館の入場口の広場に「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」の展示コーナーが出来ていました。

「秘密基地」の実物模型や、グッズの販売を行っていて、大勢の人が展示コーナーに集まっていました。

いかに人気作とはいえ、深夜アニメが一般人に知られているはずもない、と思い込んでいましたが、意外に認知されているみたいです。

視聴率は1%とか2%くらいだったのかも知れませんが、深夜放送なので、ほとんどの視聴者が録画して観ていると想像できます。私自身も深夜アニメは録画して観ています。表面的な視聴率で、認知度を測るのは間違っているようです。

アニメファンは自身を少数派だと思い込みがちですが、案外そうでもないのかもしれない、と感じました。

【映画】遊星からの物体X ファーストコンタクト


遊星からの物体X ファーストコンタクト (竹書房文庫)遊星からの物体X ファーストコンタクト (竹書房文庫)
(2012/07/26)
ジョン・W・キャンベル・Jr[原作]、エリック・ハイセラー[脚本] 他

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前作「遊星からの物体X」は観ています。「遊星よりの物体X」も観ていますが、本作品は「からの」の前日譚で、「よりの」とは無関係です。

前日譚とはいいつつ、やっていることはほとんど同じでリメイクのような感じです。

おそらく観客も前作を知って観に来ているようですので、特に驚くべきシーンはありません。特撮技術は進化したはずですが、前作の衝撃には及びません。前作を先に見ているからかもしれませんが、なにか「軽く」なったような気がします。

互いに疑心暗鬼になるところも前作と同様ですが、これは明らかに前作の方が上です。前作では、安心しきったところで怪物が現れるという緩急がみごとでしたが、今作では、どこで化け物が出てくるかだいたい予想がついてしまいます。ちょっとヘタだと思いました。

女性キャラを登場させ、主人公にするのは、営業的都合でしょうが、うまくいっていません。戦うヒロイン対モンスターという、いまでは飽きがくるような展開になりました。ヒロインの生死が不明なのもいただけません。前作に繋げるには死亡するのが自然ですが、それはしたくなかったのでしょう。 覚悟が足りないように思います。

有名作品の前日譚なのになぜ短い期間かつ限定した劇場での公開なのかと不思議に思っていましたが、ヒットしそうにない、とうのが真相のようです。

キャストやスタッフのせいではなく、誰が作っても前作には及ばなかったでしょう。それでも制作に挑戦したことには敬意を表します。

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ケネス・トビー、マーガレット・シェリダン 他

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【朝日新聞】滝法相「裁判所の決定、無視できない」 死刑執行

8月4日朝日新聞朝刊より

 民主党政権下で3度目となる死刑が3日、2人の死刑囚に対して執行された。滝実法相は「裁判所が苦労して出した結末を、むげに無視できない」などと決断の理由を説明した。死刑制度に反対する団体などからは、国民的な議論が深まらない中での執行に、抗議の声が上がった。
(中略)
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの日本支部は「死刑廃止が進む国際社会の流れに逆行する執行で、政府による死刑制度維持の意思表明だ」と抗議した。NPO法人・監獄人権センターは「政権交代で活性化するかに見えた議論が終息しつつあるのを食い止めなくてはいけない」と呼びかけた。
 執行停止を求めてきた日弁連の山岸憲司会長も「極めて遺憾な事態で強く抗議する。死刑をめぐる議論と切り離して執行がなされるべきではない」との声明を発表。法務省に有識者会議を設置するなどして議論を深めるよう求めた。
 死刑廃止を求める市民団体フォーラム90によると、執行された2人は生前、同団体が実施したアンケートに答えていた。それによると、服部死刑囚は昨年、「自分がしでかしたことの事実は重いのは十分にわかってもいるし、反省や悔悟を毎日している。納得してもらえないかもしれないが、生きて償いをしたい」と記した。松村死刑囚は08年、「処刑がいつ行われるかも告知されないまま、長期間、精神的・肉体的苦痛を味わわされる。死刑そのもの以上に非人道的だと思う」と書いていた。(田村剛)


処刑がいつ行われるか告知されない、というのは過酷なような気もします。死刑囚とはいえ無用に苦痛を与えるのは正しいことだとは思えません。しかしよく考えると、告知されたらされたで、心安らかではないでしょう。必要以上に過酷なのは、死刑の執行が「長期間」行われずにいることが原因のような気もします。

また、死刑廃止運動が盛り上がらないのは、死刑に変わる刑罰をどうするのかという提案が廃止論者からないのが原因です。ただただ、「執行を停止せよ」「死刑を廃止せよ」では誰も納得しないし、「国民的な議論」になりません。現在、制度が存在する以上、廃止したい側が議論を盛り上げなければなにも始まりません。議論が深まらないのは、あきらかに廃止論者側の責任です。

【朝日新聞】「2位狙い」は悪いのか バドミントン選手の失格処分

8月2日朝日新聞朝刊より

 失格処分は正しいのだろうか。ロンドン五輪バドミントンの女子ダブルスの4ペアが、世界バドミントン連盟から罰せられた問題だ。
 この4ペアは、1次リーグ最終戦で、わざと負けようとした。スポーツマン精神を求めた世界連盟の規則に触れている。
 しかし、五輪で勝つためには組2位が有利だから、それを目指した。次の試合で勝つ可能性が小さくなる組1位を選ぶことだけが、正しいのか。その試合の敗退行為であっても、大会の敗退行為ではない。引き分けを狙ったなでしこジャパンにも、同じ構図が当てはまる。
 過去の五輪は、完全トーナメントだった。1次リーグの導入は、このロンドン五輪からだ。国際大会も、ほとんどが完全トーナメントである中、観客増を図るために何かを変えようと、一発勝負でない新システムを導入した世界連盟の意図は理解できる。観客が入らなければ、国際オリンピック委員会(IOC)から厳しい目で見られ、五輪競技から除外される可能性も出てくるからだ。
 とはいえ、必要以上に厳しい処分はおかしい。もう一度試合をさせるなど、他にも方法があったはずだ。
 男子シングルスの林丹(中国)は新華社通信に語った。「彼女たちは五輪精神に反している。でもそれと同じくらい、このシステムをつくった人が悪い」(由利英明)


ネットの動画で見ましたが、あきらかに無気力試合でした。観客席からも不満の声があがっていました。入場料を払ってあんな試合を見せられたら怒るのは当然です。

しかし、選手が最終的によりよい成績を狙うために最大限の努力をするのは間違いではありません。スポーツマンシップといった精神論を振りかざすのはピントがずれています。なにかの見返りを得てわざと勝負に負けた、というなら、非難されるべきですが、この場合は違います。

問題があるのは、わざと負けた方が最終的に有利になる可能性がある大会ルールにあります。「このシステムをつくった人が悪い」というのは正論だと思います。

【朝日新聞】経済気象台:労働力の受け入れを

8月1日朝日新聞朝刊の「経済気象台」のコーナーです。

 インドネシア、タイ、ベトナムに進出している中小企業の工場を訪ねると、かつて日本の工場で技能実習を経験した技術者と出会うことが多い。整理・整頓・清潔など彼らは日本の工場の文化を学び、各種の機械の扱いを学んで帰国する。
 中には自動車の修理工場を開いたり、小店を営んだりする者もいる。多くは日本で働いた会社の進出先の工場に勤め、職制になっている。簡単な日本語ができ、一通りの仕事ができる彼らは、中小企業が海外進出する上での水先案内になっている。これは制度の予期せぬ、思いがけない効果であろう。
 外国人を対象にした実習制度は1993年に始まった。当初は、単純労働力を受け入れる便法という面もあったことは否定できない。一部の心ない企業主が過酷な条件を押し付け、社会問題となった。だが、大半は雇用側、実習生ともにメリットが大きいウイン・ウインの関係にあるといってよい。地元の新規就労者が少ない中で、日本の農村や漁村で地域の崩壊をかろうじてくいとめる役割も果たしている。
 そして、スタート時に今日の中小企業の海外進出をどれだけの関係者が予想しただろう。
 彼らの話を聞いていると3年の実習期間が短いようで、「(技能実習での)再入国を認めて」「高度な技術を身につけるために5年間は必要」との声が強い。すでに50万人を超し、帰国した若者による「知日」「親日」の輪の広がりも大きなものがある。
 そもそも、日本は外国人の受け入れ態勢が厳しすぎる。移民も難民もダメ、そして単純労働力もダメという縛りは少し緩めた方がよい。国際社会での義務でもある。(遠雷)


悪文だと思います。

遠雷氏が挙げた「根拠」の部分は、日本で技能実習を受けた労働者が帰国後、中小企業進出に役に立っている。また農村や漁村の地域崩壊をくいとめている、というものです。そして「主張」は、労働力の受け入れを増やせ、というものです。

「根拠」と「主張」がかみ合っていません。

挙げられた「根拠」から導かれるのは、日本の外国人労働者の受け入れは成功である、となるはずです。遠雷氏の「主張」を合理化するには、水先案内となってくれる旧外国人労働者が足りないとか、日本の農村や漁村の崩壊を食い止めるにはまだ足りないとかいった追加の「根拠」が必要です。

「国際社会での義務でもある」に至っては、なんの根拠もない唐突な主張です。

ひどい文章だと思います。
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えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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