【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第七章 そして艦は行く


宇宙戦艦ヤマト2199 第七章「そして艦は行く」 映画パンフレット 【監  督】出渕裕 【声の出演】菅生隆之、小野大輔、桑島法子、鈴村健一、大塚芳忠宇宙戦艦ヤマト2199 第七章「そして艦は行く」 映画パンフレット 【監  督】出渕裕 【声の出演】菅生隆之、小野大輔、桑島法子、鈴村健一、大塚芳忠
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不明

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最終章です。


前作では、波動エンジンの設計図を送りながら放射能除去装置の設計図を送らなかった理由がわかりませんでした。ありていに言えば、作劇上の都合であって理由はなかったのでしょう。今作では、その疑問に答えが示されました。納得感があるかどうかはともかく、理由は語られています。この点で、スターシアの言動につじつまが合いました。

しかし、波動砲に対する嫌悪から、コスモリバースシステムを引き渡すの渡さないの、というくだりには納得感がありません。そもそもイスカンダル人が波動エンジンの設計図を渡す際に、武器への転用を禁ずると言った形跡がありません。地球人が自分達の創意工夫で開発したものですので、文句を言うのは筋違いかと思います。


第七章では、デスラーが唐突な行動をとってガミラス本星の人々を慌てさせます。ほとんど戦力が残ってない状態で、頼みの波動砲(デスラー砲)が命中しなかったので、あのような行動に出たのだとは思いますが、ちょっと説明というか描写が足りなかったように思います。唐突すぎました。完成版では直っていることを期待します。


帰還するヤマトとデスラーの戦闘は前作よりもすぐれています。前作ではとってつけたような新機能(反射板のようなもの)を作動させ、しかも偶然にデスラー艦に反射するというものでした。今作ではそのような新機能も偶然もありません。前から伏線(?)のあった実体弾が勝敗を決するというカッコの良いものでした。


森雪の死と復活のくだりは前作と同様でした。ただし、前作では合理的な説明もなく復活しましたが、今作では「合理的な」説明があります。旧作のヤマトのシリーズでは死んだキャラクタが気軽に復活することが頻発したため、あきれられる面もありました。おそらくこの点への反省から「合理的な」理由を付け加えたのだと思います。

私も旧シリーズの安直なキャラクタの復活には、鼻白むところがありましたが、第一作の森雪の復活は、物語が内包しうる奇跡とみなしていたので、それ以降のものとは別と考えていました。つまり不合理であることが素晴らしかったと思っていました。その意味で、森雪の復活の流れは前作に軍配を上げたいと思います。


すべて劇場で観ました。その価値は十分にありました。スタッフのみなさま、ありがとうございました。

【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第一章「遥かなる旅立ち」
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第二章「太陽圏の死闘」
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第三章「果てしなき航海」
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第四章「銀河辺境の攻防」
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第五章「望郷の銀河間空間」
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第六章 到達!大マゼラン
【映画】宇宙戦艦ヤマト2199 第七章 そして艦は行く
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【朝日新聞】社説:全国学力調査―ランキングから卒業を

8月28日朝日新聞の社説より

(略) 
 今は都道府県別の成績公表にとどまっている。これを市町村ごとや学校ごとの公表にまで広げるべきか。文部科学省は首長や保護者らにアンケートを配って検討することにした。
 これまでは序列化を心配して渋ってきた。しかし、「税金を使う以上、市民には成果を知る権利がある」といった首長や保護者の声に押された。通う小中学校を選べる制度のある地域では、「学校選びの参考になる」という声もある。過去の国の調査では、学校ごとの公表に賛成する保護者が多かった。
 しかし、ここは慎重に考えよう。成績が市町村や学校の努力を反映しているとは限らない。
 お茶の水女子大が08年度に国の委託で行った調査では、年収の高い家庭の子どもは学力調査の成績がよく、進学塾に通う子はそうでない子より成績がよい傾向がくっきり出た。
 県から市、さらに学区と単位を細かく区切るほど、豊かな家庭の集まる地域かどうかの影響は色濃く出る。
 ある学校の成績がいいから教え方がいいのかと思いきや、塾に通う子が多いだけだった。そういうことは大いにありうる。逆に、順位は低くても年々上向いているなら、学校の教え方がうまい可能性が高い。
 各校の単年度の成績を見てもそういうことはわからない。少なくとも何年か変化を追って成績の伸び具合を示すくらいの工夫をしないと、学校の努力ぶりは見えてこないだろう。
 自治体独自の学力調査で学校別の成績を公表した例はある。
 あの地域は学力が低い、とネットに書き込まれる。成績を気にして、試験中に先生が生徒に間違いを示唆する。実施した自治体ではそんなことも起きた。
 子どもたちの苦手を知り、わかる教え方を工夫するためのテストだ。過去の自分たちと比べてどれだけ伸びたか。ほかの地域や学校との比較より、そこにこだわったほうがいい。


たしかに、成績が上位の学校が指導がよいからだとは単純にはいえません。しかし、それが市町村ごとや学校ごとの公表に広げることを妨げる理由にはなりません。むしろデータを積極開示すべき理由になります。

進学塾に行っている子供が多い(≒親が高収入)ということも考えられます。成績のいい生徒を積極的に伸ばすことで平均点が高いのかもしれませんし、「落ちこぼれ」をなくすことで平均点を維持しているのかもしれません。「税金を使う以上、市民には成果を知る権利がある」というのは実に正論です。

この社説は「知らしむべからず、よらしむべし」といった思想です。マスコミがこうした思想に積極加担する様には強烈な違和感を覚えます。

また、「順位は低くても年々上向いているなら、学校の教え方がうまい可能性が高い」という理屈は成り立ちません。教え方を工夫している途上にある、と言えるだけです。父兄が気にするのは自分の子供への教育、つまりその時点での教え方の巧拙です。長い目で学校教師を育てようと思っているわけではありません。

朝日新聞の関心は学校教師の努力をどう評価するかにのみ向いていて、父兄の関心にどう応えるかに向いていないことが明白になりました。

【世論調査】朝日新聞:質問と回答(8月24、25日実施)

8月26日朝日新聞朝刊に世論調査の結果が発表されました。

(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は7月22、23日の調査結果)

◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する55(54)
 支持しない27(26)

◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」55%、右は「支持しない」27%の理由)
 首相が安倍さん13〈7〉 8〈2〉
 自民党中心の内閣24〈13〉 31〈9〉
 政策の面44〈25〉 48〈13〉
 なんとなく16〈9〉 11〈3〉

◆いま、どの政党を支持していますか。
自民38(39)
民主6(7)
維新2(3)
公明3(4)
みんな2(4)
共産2(4)
生活0(0)
社民1(0)
みどりの風0(0)
新党大地0(0)
新党改革0(0)
その他の政党1(0)
支持政党なし40(31)
答えない・分からない5(8)

◆安倍首相の経済政策で、日本経済が成長することを期待できると思いますか。期待できないと思いますか。
 期待できる46
 期待できない34

◆安倍首相の経済政策が、賃金や雇用が増えることに結びつくと思いますか。そうは思いませんか。
 結びつく35(35)
 そうは思わない47(41)

◆消費税を来年4月に8%に、再来年10月に10%に引き上げることに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 43(30)
 反対 49(58)

◆消費税を来年8%、再来年10%に引き上げるのではなく、毎年1%ずつ引き上げて10%にする、という考えがあります。こうした引き上げ方はよいと思いますか。よくないと思いますか。
 よい 34
よくない 51

◆消費税を引き上げることで、景気に悪い影響が出る不安をどの程度感じますか。(択一)
 大いに感じる18
 ある程度感じる59
 あまり感じない19
 まったく感じない2

◆消費税を引き上げないことで、社会保障に悪い影響が出る不安をどの程度感じますか。(択一)
 大いに感じる24
 ある程度感じる49
 あまり感じない19
 まったく感じない3

◆集団的自衛権についてうかがいます。集団的自衛権とは、アメリカのような同盟国が攻撃された時に、日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして、一緒に戦う権利のことです。これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきました。憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 27
 反対 59

◆安倍首相は終戦の日の8月15日、靖国神社に参拝しませんでした。安倍首相が靖国神社に参拝しなかったことは適切だったと思いますか。適切ではなかったと思いますか。
 適切だった 63
 適切ではなかった 20

◆安倍首相は8月15日に靖国神社に参拝しませんでしたが、3人の大臣はこの日に参拝しました。大臣が靖国神社に参拝したことは適切だったと思いますか。適切ではなかったと思いますか。
 適切だった 41
 適切ではなかった 37

◆安倍首相は、戦争で亡くなった人を追悼する8月15日の式典で、この20年間の首相と違って、アジア諸国に被害を与えたことに触れませんでした。安倍首相のこうした対応は適切だったと思いますか。適切ではなかったと思いますか。
 適切だった40
 適切ではなかった40

◆アジアに被害を与えたことに安倍首相が触れなかったことや、3人の大臣が靖国神社に参拝したことに対し、中国や韓国が批判しています。安倍内閣は中国や韓国からの批判を重く受け止めるべきだと思いますか。そうは思いませんか。
 重く受け止めるべきだ34
 そうは思わない52

◆東京都は2020年夏のオリンピック開催地に立候補しています。東京都でオリンピックを開くことに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 74
 反対 17
     ◇
 〈調査方法〉 24、25の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は3269件、有効回答は1658人。回答率は51%。


この世論調査が私のところに来たと仮定して回答してみます。

>◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持でも不支持でもありません。

>◆いま、どの政党を支持していますか。
支持政党はありません。それにしても、自民以外は壊滅的な状態ですね。

>◆安倍首相の経済政策で、日本経済が成長することを期待できると思いますか。期待できないと思いますか。
まだ分かりません。
期待はしていますが、期待できるか、と問われるとYESとは答えられません。

>◆安倍首相の経済政策が、賃金や雇用が増えることに結びつくと思いますか。そうは思いませんか。
すぐには結びつかないでしょう。もう少し長い目で見る必要があります。

>◆消費税を来年4月に8%に、再来年10月に10%に引き上げることに賛成ですか。反対ですか。
反対です。
景気に悪影響があるのでは、という心配があります。

>◆消費税を来年8%、再来年10%に引き上げるのではなく、毎年1%ずつ引き上げて10%にする、という考えがあります。こうした引き上げ方はよいと思いますか。よくないと思いますか。
それはよくないです。煩雑すぎます。机上の空論という言葉を思い出します

>◆消費税を引き上げることで、景気に悪い影響が出る不安をどの程度感じますか。
大いに感じます。
まだ賃金上昇がないので、消費税の引き上げは家計に直撃します。

>◆消費税を引き上げないことで、社会保障に悪い影響が出る不安をどの程度感じますか。
ある程度感じます。
正直に言って、経済問題に疎いこともありますが、消費税をどうすべきなのか人様に申し上げられるような定見はありません。ただ心配しているだけです。

>◆集団的自衛権についてうかがいます。集団的自衛権とは、アメリカのような同盟国が攻撃された時に、日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして、一緒に戦う権利のことです。これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきました。憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることに賛成ですか。反対ですか。
その解釈の変更が法理論的に正しいのであれば、それでかまいません。しかし、改正が難しいから解釈の変更に走るという姿勢は賛成できません。
したがって、どういう論理で解釈を変えるのかを聞かないと賛否は言えません。

>◆安倍首相は終戦の日の8月15日、靖国神社に参拝しませんでした。安倍首相が靖国神社に参拝しなかったことは適切だったと思いますか。適切ではなかったと思いますか。
首相の靖国参拝には賛成です。ただし、8月15日という特定の日に参拝しないことがいけない、とは思いません。したがって、適切とも不適切とも思いません。

>◆安倍首相は8月15日に靖国神社に参拝しませんでしたが、3人の大臣はこの日に参拝しました。大臣が靖国神社に参拝したことは適切だったと思いますか。適切ではなかったと思いますか。
同上。

>◆安倍首相は、戦争で亡くなった人を追悼する8月15日の式典で、この20年間の首相と違って、アジア諸国に被害を与えたことに触れませんでした。安倍首相のこうした対応は適切だったと思いますか。適切ではなかったと思いますか。
日本の死者への追悼式典ですので、加害について触れる必要があるとは思いません。ただ、触れてもかまわないと思います。適切とも不適切とも思いません。

>◆アジアに被害を与えたことに安倍首相が触れなかったことや、3人の大臣が靖国神社に参拝したことに対し、中国や韓国が批判しています。安倍内閣は中国や韓国からの批判を重く受け止めるべきだと思いますか。そうは思いませんか。
無視すべきだと思います。
首相が加害に触れなかったことをことさら大騒ぎしたのは日本のマスコミで中韓はそれに便乗しただけでは、と疑っています。

>◆東京都は2020年夏のオリンピック開催地に立候補しています。東京都でオリンピックを開くことに賛成ですか。反対ですか。
何故東京で(日本で)開催しなければならないのか分かりません。「反対」というほど明確な反対ではありませんが、少なくとも賛成ではありません。

【朝日新聞】民主の歴史認識、安倍政権と違い強調 前原氏、韓国外相に

8月24日朝日新聞朝刊より

 民主党の前原誠司元外相は23日、ソウルで韓国のユンビョンセ外相と約50分間会談した。前原氏は歴史認識について「民主党政権は村山談話、河野談話を踏襲し、主要な役職の者は靖国参拝を自粛してきた」と述べ、安倍政権との違いを強調。
(略)


こういう記事を読むと、民主党の復活はまだまだだと思います。

民主党が靖国参拝をすべきでないと考えているなら、「主要な役職の者」にかぎらず民主党の議員はすべて参拝すべきではありませんでした。しかし、現実には参拝した議員はいます。これは、民主党が靖国について党論をまとめていなかったからです。

民主党が、靖国問題につい党論をまとめなかったことを非難しているわけではありません。すべての事柄でいちいち議員の意見を集約する必要はありません。靖国反対派と擁護派が党内に同居しても問題ありません。

しかし、党内で意見の集約していない事案について、あたかも意見統一ができているかのごとく振る舞い、外国の外務大臣に誇らしげに説明するのは感心できません。自民党との差別化をはかるためだけの発言だと思います。

これでは、まだまだ政権を任せてみようという気にはなれません。

【朝日新聞】歴史認識、解決を探る

8月22日朝日新聞朝刊、国際面。米ダートマス大学のジェニファー・リンド准教授のインタビューです。

 歴史認識を巡る韓国や中国との対立が収まらない日本。安倍晋三首相が15日の戦没者追悼式の式辞で、加害責任に触れなかったことも、両国から反発を受けた。問題は、袋小路に入り込んでしまったかのようにも見える。国際政治における「謝罪」について研究する、米ダートマス大のジェニファー・リンド准教授に聞いた。
 ――「日本は戦後のドイツに学ぶべきだ」という意見をどう思いますか?
 ドイツから学ぶのであれば、日本はアデナウアー首相時代に学ぶべきだというのが私の主張です。過去に起きたことを認め、真実を語ると同時に、国内で反発が起きないよう配慮するやり方です。
 ドイツが謝罪したから独仏は和解したというのは、非常に広く受け入れられている物語ですが、実際は違います。西ドイツは50年代にフランスとの和解を進めましたが、当時はきちんと謝罪をしていなかったのです。犠牲者の碑や非常に誠実な教科書をつくったのは後のことです。
 ――では、何が和解を可能にしたと考えますか。
 当時の和解は、独仏が一つになれる形で歴史を語るときに起きたのです。ドイツは「自分たちは恐ろしいことをした。その責任を取る」と明確にしました。
 米国は当時、ソ連の侵攻には核兵器で応じるつもりだったので、核戦争を避けたかった独仏は、ほかの道を探したのです。
 ――著書では「謝罪にはリスクもある」と指摘しています。
 私の考えでは、謝罪という概念は(和解の)入り口にはなりません。間違った方向に行く危険があるのです。外国への謝罪はしばしば国内の反発を引き起こします。どの国にも、戦争を戦った人や遺族がおり、国のためにやったと信じています。相手側の記憶よりも、自分たちの記憶を重視するのです。
 ――和解はどう達成されるものですか。
 世界各国の和解の事例を見ると、安全保障上であれ経済的な理由であれ、お互いを必要とする状況がまずあります。通常は、そこから過去についての交渉が始まります。
 その結論が謝罪かもしれませんし、何らかのセレモニーかもしれません。たとえば独仏首脳がベルダンで手を取り合ったのは非常に重要な瞬間でしたが、謝罪ではありませんでした。
 過去をどう扱うかについて国内で議論があること自体は正当なことです。ただ、日本はまず、真実を語る必要があります。日本が隣国への歴史上の行為を認め、自分たちが受け入れられる言葉で、何が起きたのかを若者に伝えるのです。
 (ハノーバー〈米ニューハンプシャー州〉=大島隆)


謝罪は和解の入口にはならない。真実を語ることが入口になる、との指摘です。

疑問があります。日米関係を例にあげます。日本は宣戦布告なしに真珠湾奇襲をしたことを若者に繰り返し教育してなどいません。米国も民間人を殺す目的で爆撃をしたことを教育しているとは思えません。にもかかわらず、日米は友好国です。

謝罪どころか、和解のために真実を語ることが必要という意見には頷けません。

また、リンド氏の「日本はまず、真実を語る必要があります」という発言からは、なにが「真実」なのか客観的に明らかだと、天真爛漫に信じている無邪気さを感じます。現実はそうではありません。

あまり役に立つアドバイスだとは思えません。

【朝日新聞】労働時間規制の除外制度

8月21日朝日新聞朝刊 経済気象台のコーナーより

労働時間規制の除外制度
政府が、2007年の第1次安倍内閣時代に検討しながら導入を見送った「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」の導入について再び検討を始めた。
この制度は、一定の条件を満たすホワイトカラーの従業員を、労働基準法で定められている時間外手当などの支払い対象から除外することを可能にするもの。07年には労働団体などから「残業代ゼロ法案」と強く批判され、国会への提出を断念した経緯がある。
成果が労働時間に比例する生産現場などとは異なり、ホワイトカラーと呼ばれる事務部門では「労働時間の長さ=成果の大きさ」とはならないケースが多い。それにもかかわらず、現在の法律では、すべての従業員を労働時間で管理し、その長さによって時間外手当などを支給するのを原則としている。その結果、日本企業の時間あたりの労働生産性は米国と比べ3割程度低いとされ、ホワイトカラーの生産性が著しく低いと言われている。
今後、人口の減少が避けられない中、我が国が成長していくには1人あたりの労働生産性を高めることが不可欠だ。新制度は、運用次第では在宅勤務をはじめとするフレキシブルな勤務体系の拡大も期待でき、政府が進める女性の活用拡大につながる可能性もある。
政府は前回の反省も踏まえ、まず大手企業で試験的に導入して課題を洗い出し、順次拡大していく方針のようであるが、労働団体の反発も予想される。もちろん新制度が本来の目的と異なり、賃金の抑制や労働強化につながるのは避けなければならないが、そうした負の部分のみに目を向けるだけでなく、新制度が生み出す効果も注目し、前向きな議論を期待したい。(H)


私はシステムエンジニアという職種で、すでに残業代が出ていません(土日祝日の休出手当てはあります)。いわば、「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」を先取りしています。この経験から発言します。

労働生産性とは、労働時間あたりの生産量のことです。したがって時間外手当を支給しようがしまいが、同じ時間を働く限り生産性は向上しません。

それなのに、なぜこうした議論が出るかというと、労働者がわざとダラダラと仕事をして時間外手当を受け取っているという思い込みがあるからです。時間外手当がないなら5時までの仕事を終わらせてさっさと帰ろうか、となることを期待しているからです。

おそらく大部分の日本のホワイトカラーの現実とは異なっています。本当に労働者が昼間ダラダラしているならそれを見逃している上長が無能だというだけです。長時間働くのはそれだけ仕事があるからです。残業代を出さなくなっても仕事があるので帰れません。労働生産性は変化せず、実質の給料が減るだけです。

また、残業代の支給がなくなるともう一つの現象が現れます。組織への忠誠心を示すための残業が横行します。「残業代が出ない」=「会社に負担をかけない」という図式が完成し、長い時間会社にいることで必要な人材であることを証明しようとする人たちが出てきます。こうした人たちは概ね経営者のおぼえがよくなり出世しますので、組織はいよいよ息苦しくなります。

「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」=「残業代ゼロ法案」、というのは真実だと思います。なんら日本の社会に良いものをもたらしません。

【朝日新聞】(インタビュー)安倍政権と戦争の記憶

8月20日朝日新聞朝刊オピニオン欄に歴史家のキャロル・グラック氏のインタビューが掲載されました。

(略)
 ――安倍首相は終戦の日の全国戦没者追悼式で、アジア諸国に対する加害責任に触れませんでした。
 「安倍首相を含む自民党の右派政治家たちは長い間、戦後問題やナショナリズムに関わることを国内政治扱いしてきました。加害責任を否定することで、国内の支持を得ようとしてきた。彼らはまるで、自分たちの話す日本語は海外ではまったく理解されないと思っているようです。実際はソウルや北京やワシントンにすぐに流れるというのに。これは一種の『地政学的無神経』です」
 ――なぜ日本ばかりが謝罪しなければならないのか、という疑問を持つ人もいます。
 「この20年ほどで、戦争の記憶に関する『グローバル記憶文化』とでも呼ぶべきものが生まれました。それは、国家が過去に行った行為について新しい国際規範ができた、ということを意味します」
 「戦後すぐは、その規範は存在しませんでした。国家の首脳は50年代、『ごめんなさい』と言って回ったりはしなかった。この『謝罪ポリティクス』につながる新しい記憶文化が生まれた理由のひとつはホロコーストです。欧州連合(EU)が創設される過程でホロコーストはヨーロッパ共通の記憶になりました。多くの国が追悼の日を設け、教育を始めた。EUが90年代以降に北・東欧に広がると、この記憶も広がった。私は『溶媒効果』と呼んでいます」
 「トルコを例にとると、オスマン帝国末期のアルメニア人虐殺をトルコ政府が認めないことを、EUは重大視しています。EUの一員になるにはグローバル記憶文化の共有が要求されるのです。EUがトルコ加入に難色を示す理由として、これは明らかに政治利用されています」
(略)
 「90年代、世界各国で新しいナショナリズムが生まれました。冷戦が終わり、不確実に変化する世界秩序を前に、経済的な繁栄を譲り渡さなければならないと感じた先進諸国が直面した問題です。このポスト冷戦期、日本にもたらされた最も大きな変化は、アジア諸国の成長、特に中国の台頭でした。東アジアで経済関係がこれほど分厚く広がったことはかつてありません。地政学上の大きな変動は緊張をもたらします。ナショナリズムの矛先が中国、韓国に向かうのは、そのためです」
 「90年代からずっと言い続けているのですが、日本はグローバルプレーヤーになる努力をするべきです。非核国で、兵器も売らず、かつ世界有数の経済大国という稀有な国です。ノルウェーが平和交渉の仲介役をするように、他国がしない隙間の役割を見つけるべきでしょう。クール・ジャパンだけでは無理でも、もっと多面的なソフトパワーを武器にして、何かできるはずです」
 「それは、台頭する中国にどう対処するか、という問いへの答えでもあります。軍備に軍備で対抗するのは、ばかげていますから」
     


インタビュアーはニューヨーク支局長の真鍋弘樹氏


> ――安倍首相は終戦の日の全国戦没者追悼式で、アジア諸国に対する加害責任に触れませんでした。
 「安倍首相を含む自民党の右派政治家たちは長い間、戦後問題やナショナリズムに関わることを国内政治扱いしてきました。加害責任を否定することで、国内の支持を得ようとしてきた。彼らはまるで、自分たちの話す日本語は海外ではまったく理解されないと思っているようです。実際はソウルや北京やワシントンにすぐに流れるというのに。これは一種の『地政学的無神経』です」

これは質問と回答が本当に合っているのか疑問に思いました。今回の全国戦没者追悼式で安倍首相が国内向けの発言をしてそれが外国で叩かれた、というのであればこの問答は成り立ちます。しかしそのような事実はありません。加害責任に触れなかったことと、加害責任を否定したことは違います。

記者がグラック氏の発言をつぎはぎして意図を捻じ曲げているのではないかと疑います。


> ――なぜ日本ばかりが謝罪しなければならないのか、という疑問を持つ人もいます。
 「この20年ほどで、戦争の記憶に関する『グローバル記憶文化』とでも呼ぶべきものが生まれました。それは、国家が過去に行った行為について新しい国際規範ができた、ということを意味します」
 「戦後すぐは、その規範は存在しませんでした。国家の首脳は50年代、『ごめんなさい』と言って回ったりはしなかった。この『謝罪ポリティクス』につながる新しい記憶文化が生まれた理由のひとつはホロコーストです。欧州連合(EU)が創設される過程でホロコーストはヨーロッパ共通の記憶になりました。多くの国が追悼の日を設け、教育を始めた。EUが90年代以降に北・東欧に広がると、この記憶も広がった。私は『溶媒効果』と呼んでいます」
 「トルコを例にとると、オスマン帝国末期のアルメニア人虐殺をトルコ政府が認めないことを、EUは重大視しています。EUの一員になるにはグローバル記憶文化の共有が要求されるのです。EUがトルコ加入に難色を示す理由として、これは明らかに政治利用されています」


この問答も謎です。

グラック氏は、トルコの例を「明らかに政治利用されています」と言っているので否定的に捉えています。それであるなら、日本が謝罪しなければならないのも、政治的な理由だと言いたいのでしょうか。しかしグラック氏は「地政学的無神経」を難詰することも言っています。

それはさておき、私は、ヨーロッパ諸国が自分たちのことを棚にあげてオスマン帝国末期の問題でトルコ政府を非難するのは得手勝手だと思います。


> 「90年代、世界各国で新しいナショナリズムが生まれました。冷戦が終わり、不確実に変化する世界秩序を前に、経済的な繁栄を譲り渡さなければならないと感じた先進諸国が直面した問題です。このポスト冷戦期、日本にもたらされた最も大きな変化は、アジア諸国の成長、特に中国の台頭でした。東アジアで経済関係がこれほど分厚く広がったことはかつてありません。地政学上の大きな変動は緊張をもたらします。ナショナリズムの矛先が中国、韓国に向かうのは、そのためです」

経済発展をしたアジア諸国は中韓だけではありません。しかし、現在日本のナショナリズムの矛先は中韓と、経済が崩壊状態の北朝鮮だけです。これは経済発展がナショナリズムの原因になっているとの説を否定するものです。

日本を非難し続けるから、それへの反発が生まれた、と解釈するのが妥当だと思います。


>軍備に軍備で対抗するのは、ばかげていますから

アジアでもアフリカでも植民地支配を許した原因の一つはヨーロッパに比べ軍事力(それを支える経済力・政治力)で劣ったからです。適切な軍事力がなかったために国民は悲惨な目にあいました。軍事力を備えることが馬鹿げているとは思えません。

歴史家が軍事力を馬鹿げているというのは理解しかねます。人類の歴史をどう観察しているのでしょうか。

【朝日新聞】天声人語

8月18日朝日新聞の天声人語は、松江市の私立小中学校で「はだしのゲン」が開架から閉架になった件です。

昨年12月に亡くなった漫画家の中沢啓治さんに、あるとき手紙が届いた。『はだしのゲン』を読んだ小学生の母親からだった。息子がトイレに一人で行けなくなった、と。中沢さんの書いた返事がいい
「息子さんは、すばらしい感受性の持ち主です。ほめてやってください」。昨夏、本紙のインタビューで語った話だ。代表作で描いた原爆の悲惨さが児童に伝わったと知って、うれしくなったのだろう
ゲンは中沢さん自身の被爆体験をもとにしているが、広島で当時、実際に目の当たりにした光景は、作品での表現よりはるかに酷いものだった。絵は子ども向けに抑えて描いたという。それでも時に「残酷すぎる」と言われたと述懐している
この海外にも知られた名作を、子どもたちが自由に読むことができなくなった。松江市内の市立小中学校の図書館でのことである。旧日本軍がアジアの人々の首を切り落としたりする場面があり、暴力描写が過激だと市教委が判断したという
市議会への陳情が発端らしい。ゲンが「間違った歴史認識」を子どもに植え付けるから、撤去すべしという内容だった。さすがにそこまではしなかったが、最近まで好きに触れることのできたものがなぜ突如、駄目となるのか。解せない話だ
地獄図のような場面を見れば、だれしも恐怖を感じ、戦慄を覚える。しかし、そんな経験から戦争の恐ろしさ、罪深さを思い知る。子どもの感じる力や考える力を、中沢さんのようにもっと信じてはどうか。


そもそも、歴史認識が気に食わないから図書館から排除しろ、というのは乱暴きわまりない意見です。そんなことをすれば、図書館には無味乾燥な本しか残らなくなります。市教委がこれを認めなかったことだけは評価します。

しかし、「はだしのゲン」の暴力描写が過激だから閉架にしたという市教委理由は信用できかねます。陳情団の圧力に抗しきれなかったので、言い訳で暴力描写を持ち出したのが真相だと思います。報道によれば、もともとは「間違った歴史認識」だから撤去せよという陳情が発端だからです。

これは太平洋戦争の歴史的評価といったこととは無関係です。思想がどうであれ表現の自由は保障されるべきであり、図書館はその砦であるべきです。

それはさておき、一般論として過激な暴力描写を子供に触れさせるな、という意見は無視しきれないものがあります。

私としては、子供が自発的にそうした表現に触れようとするのを無理に妨げる必要はないと思っています。怖い表現に触れて、一人でトイレに行けなくなるのも成長の糧となる経験です。この数十年間日本には過激な漫画・映像・書籍が氾濫していましたが、社会は安定しています。過激な表現が青少年に特に悪影響を与えるとは考えられません。

気になったのは、天声人語の作者が一般論として過激な暴力描写を容認しているのか、それとも「はだしのゲン」だから容認しているのか、です。背景の思想に賛成だから暴力描写容認、気に入らない思想だから暴力描写反対ということだとすれば、ご都合主義の極みだと思います。

【映画】オーガストウォーズ


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ロシア製のロボット映画かと思いきや、実際におきたグルジア紛争を描いた戦争映画でした。なんでポスターにロボットの絵が出ていたかといえば、戦争に巻き込まれた少年の幻視でした。

戦争の描写は迫力があります。変な英雄譚にはせず淡々と戦場を描いているので作り物とは思えないくらいの重厚さです。なお、両軍が使用している武器はすべて実際に即しているそうです。

息子を助けるために戦場を駆け巡る若い母親が主人公です。グルジア紛争がなんだったのかという説明はありません。ロシア側からしか描いていませんが、特にロシアを”正義”としているようには見えません。公正とか客観的とかいうことではなく、息子を助ける母親がテーマだからでしょう。宣伝くさくはありませんので好感が持てました。

戦争映画ファン向きであり、ロボット映画が好きな子供向きであり、家族向きであり、という盛りだくさんな映画でした。

ただし、ロボットのCGはありきたりで退屈です。

【テレビ】ヒトラー・チルドレン~ナチスの罪を背負って~

放送:NHK BS

ヒトラーとナチスによるユダヤ人集団虐殺、ホロコーストを指揮したナチス幹部たちの残虐な行為は、彼らの子孫に何を残したのだろうか。
ヒトラーの後継者に指名されていたゲーリングを大叔父に持つベッティーナ・ゲーリング。「彼の残虐性を受けついでいるかもしれない」血筋を断絶したいと、兄とともに避妊手術を受けた。ナチスの親衛隊長ヒムラーの弟の孫、カトリン。家ではヒムラーのことはタブーだったが、沈黙を破り、その過ちへの罪悪感を綴った本を出版した。今はユダヤ人と結婚している。アウシュヴィッツ収容所の所長だったヘスの孫、ライネル。父は収容所敷地内の邸宅で育った。今回初めてアウシュヴィッツを訪れたライネルは、邸宅から壁一枚隔てた場所にガス室があったことを知り、絶句する。イスラエルから訪れていた学生たちから辛辣な質問を浴びせられたライネル。ホロコーストを生き延びた老人から「君がやったわけじゃない」と声をかけられ、堪えていたものがあふれ出す。
ナチスの重要人物の息子や孫、子孫に当たる5人のドイツ人を取材。親族をホロコーストで亡くしたユダヤ人監督が、過去を背負いながら生きる彼らの姿を描く。イスラエルとドイツの共同制作。
原題:Hitler’s Children
制作:Maya Productions / WDR (イスラエル/ドイツ 2011年)


まず思ったのは、情緒の点で、問題の親族が直系の先祖(父親や祖父)の場合と傍系(大叔父)の場合では、感じかたに差があるのでは、ということです。日本人の感覚と欧米人の感覚に違いがあるのかもしれませんが、大叔父の血は自分には流れていませんので、彼がどんな悪人であっても私だったら自分を責めることはしないのではないかと思います。

さらに論理の点でいえば、直系の先祖のしたことでも自分に責任がないのは明白です。私だったら、ヘスの孫のようにユダヤ人たちに謝罪したりはしないと思います。親族にも罪があるというのは前近代的な考えです。

ただし、彼らの立場は想像を超えるものがあります。実際に自分が同じ立場だったら、このような冷淡な考えは持てないのかもしれません。

なお、彼ら親族の中にはナチスを肯定する者や、ガス室の存在を否定する者もいるそうです。どちらにせよ、すでに他界した親族の“有名人”に人生を規定されてしまったと言えるでしょう。

【映画】ワールド・ウォーZ


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主演:ブラッド・ピット

3D字幕スーパーで鑑賞。

だいぶ前から映画館でコマーシャルを流していた作品です。なんの映画か分からなかったのですが、ゾンビ映画でした。普通のゾンビ映画は低予算で知らない役者が出るものですが、本作は有名俳優を起用し大金を投じた大作となっています。

主人公は家族思いの元国連職員という設定で、ごく普通の人間です。そうしたキャラクタ設定は既存のゾンビ映画を踏襲していますが、ハリウッド大作の癖なのか、この主人公が大活躍をして、彼の活躍で事態は一応収拾されます。こうしたヒーロー重視の感覚が全体のバランスをおかしくしてしまった感はあります。

ストーリーを重視するとがっかりするかもしれませんが、画面の迫力は尋常ではありません。なんどもコマーシャルで見ているシーンでもストーリーの乗せて映し出されると迫力満点です。つぎからつぎへと飽きることのないシーンの連続です。

特によかったのが、自分が感染したかもしれないと感じた主人公がビルの屋上の際で数を数えるシーン(感染していたら十数秒で発症する。そうなったら家族に襲い掛からないために、飛び落ちる準備をしていた)です。説明をすっ飛ばしていますが感銘を受けました

残虐シーンは抑え目ですので、家族で鑑賞するのもいいと思います。年齢規制はなかったようです。

お勧めします。

【朝日新聞】若者の低投票率 「若いもんは…」と嘆くより

8月11日朝日新聞朝刊。オピニオン欄。曽我豪政治部長が若者の低投票率について書いています。

(略)
NPO法人ドットジェイピーが参院選直前、全国1144人の大学生・院生を相手に実施した恒例の意識調査の結果も示唆的である。
 選挙権のある774人中、選挙に「行く」と答えたのは66%だったが、興味深いのは、複数回答による「選挙へ行かない理由」のほう。昨年12月の衆院選直前の同じ調査では「投票に行く時間がない」がトップだったが、今回は「政策の良しあしを判断できないから」がそれを抜き、計251の回答中56で一番多かったのだという。
 もちろん、若者の低投票率は日本だけの問題ではない。だから違いはとりくみの差であって、たとえば、英国ではブレア政権下の2002年、中等教育のカリキュラムに公的な事柄への関与や関心、社会参画の技能を習得させるシティズンシップ教育が導入された。それを方向付けた教育雇用相の諮問委員会の報告書(クリック・リポート、1998年)にはこうある。――学校での政治教育のカギは「争点を知る」ことにあり、単なる制度や仕組みの学習ではなく、時事的・論争的な問題に関する意見の発表や討論を中心に、対立を解決するスキルを身につけることを目的とする――。
 ひるがえって日本はどうか。戦後ずっと文部省と日教組の対立があって、教育の中立性の名のもと、リアルな政治対立の争点を学校現場で教えることに尻込みする空気があったのではないか。加えてともすればぼくらメディアも「今の政治家は政策より政局ばかりだ」などと過度の政治批判に傾きがちだ。いわば、大人がこぞって政治を何だか遠くにあってしかも汚いもののように仕立ててみせてきたのではあるまいか。
 だとすれば、20歳になったからさあ選挙へ行きたまえと簡単に言う大人は随分とおかしい。若者が選挙を大事と思える大人になかなかなれない現実があるとしても、それは社会教育の結果でもあって、つまりはぼくら大人の側の責任なんだから。


はじめに憂うべき現状を述べて、最後に“その責任は我々にあるのだ”と詠嘆で終わるというよくあるパターンの文章です。

なぜ“我々”に責任があるかというと、若者が選挙を大事に思えないような社会教育の結果だからであって、それは教育現場に文部省と日教組の対立があったり、メディアも政治を遠いものに仕立てていたからである、との説です。

なにか釈然としません。

曽我氏も指摘しているように、若者の低投票率は日本だけの問題ではありません。それなら、日教組と文部省の対立が原因だというのは成り立ちません。また、世界中のメディアが日本のメディアと同じように政治批判をしていたとは思えません。

英国の取り組みを紹介していますが、英国の若者の投票率が向上したのかどうか(=その取り組みが成功したのか)さえ書かれていません。

政治部長の肩書きのわりに、中身のない文章だと思います。

【朝日新聞】竹島訪問1年―政治が世論をあおる罪

8月11日朝日新聞の社説。「竹島訪問1年―政治が世論をあおる罪」から。

 一国のリーダーの愚かな行動や発言が隣国との関係をめちゃくちゃにし、草の根交流や経済活動まで滞らせてしまう。
 1年前、韓国の李明博前大統領が強行した竹島訪問と、それに続く天皇への謝罪要求は、まさにそんな言動だった。
 その後、日本では安倍首相が、韓国では朴槿恵大統領が誕生したが、関係改善の兆しは見えない。
 首脳同士が会えず、閣僚間の接触もほとんどないような状態がこれほど長期に及ぶのは、1965年の国交正常化以降、極めて異例のことである。
 政治がナショナリズムをあおれば、どんな結果を招くか。そのことを両首脳は肝に銘じるとともに、関係修復に向けた取り組みを急がねばならない。
 ソウル中心部の明洞。繁華街を埋めていた日本人の姿は昨秋以降、めっきり減った。
 実際、日本から韓国への観光客は昨年、過去最高を更新したものの竹島騒動後は前年比2割減の状態が続く。このところの円安や不安定な北朝鮮情勢も加わり、日本企業の対韓投資も減っている。
 これが、浅はかな行動がもたらした代償である。韓国では、李氏の言動がいかに国益を害したかという指摘も聞かれる。
 李氏は竹島訪問後、従軍慰安婦問題で日本政府が誠意をみせないから行った、と説明した。それが行動を正当化する理由には到底ならないが、日韓に歴史認識問題が重く横たわっていることは事実だ。
 にもかかわらず、日本側では最近も橋下徹大阪市長の慰安婦発言や閣僚らの靖国参拝、首相の「侵略の定義」発言などが相次いだ。これらは韓国や中国との関係をさらに冷え込ませただけではない。
 欧米からもその人権感覚や歴史認識を疑う声が出るなど、国際社会での日本のイメージをいたく傷つけた。
 韓国の司法が、戦時中の元徴用工らの訴えを認め、日本企業に損害賠償を命じるなど新たな火種も持ち上がっている。
 こんな時こそ、みずから挑発的な言動を控え、国民に冷静な対応を呼びかける。それが政治家の仕事だろう。
 まずは8月15日の終戦記念日に、首相や主要閣僚は靖国参拝を控える。韓国の政治指導者らも、国民の対日感情を刺激するような言動を慎む。
 ともにアジアのリーダーとして責任を負う隣国同士が、自分たちの問題さえ解決できない。こんな醜態をいつまで世界にさらすつもりなのか。



主旨は、日韓の政治リーダーがナショナリズムを煽り立てる言動をして、韓国では経済的な不調、日本では国際的イメージの低下を招いた。この際、両国のリーダーは責任をもった行動をとれ、というものです。

しかし、李明博韓国前大統領の竹島訪問や天皇謝罪要求は政権末期に突発的に起こしたものです。それまでの李前大統領の言動からはかけ離れた印象がありました。ほぼ間違いなく、韓国世論に押されてあのような行動をとったと考えられます。

朴槿恵大統領ははじめから対日強硬路線でしたが、韓国の裁判所も仏像問題や徴用問題で、日本から見ると疑問の多い判断を続けているところからみて、政治家が反日を煽っているという見方は正しくないように思います。

言論の自由が保障されている韓国で、日本を好ましく思わないとする世論調査が出ている以上、韓国全体が草の根から反日に染まっていると見るべきです。

草の根レベルで日本が嫌いなら、無理に日本と仲良くする必要はありません。日本としても韓国との友好が不可欠というわけではありません。「関係修復に向けた取り組みを急がねばならない」理由はありません。日韓はもっと薄い関係でよいと思います。


日本から韓国への旅行者が減ったこと、対韓投資が減ったことを韓国政治指導者の「浅はかな行動がもたらした代償」と見るのも疑問です。

旅行者が減ったのは、社説でも指摘しているように円安と北朝鮮への懸念が大きいように思います。政治家の言動が原因だ、とするのなら世論調査なりアンケート調査なりの根拠が必要です。こじつけという感じが否めません。

対韓投資が減ったのは、あくまで経営判断だと思います。韓国大統領の言動が気に食わないから投資はよそう、などと経営者が判断するとは信じられません。

なお、社説に言及がありませんでしたが、スワップ延長停止については、一連の言動が影響していると見るのが妥当でしょう。


>ともにアジアのリーダーとして責任を負う隣国同士が、自分たちの問題さえ解決できない。

韓国をアジアのリーダーと考えるのは少数意見ではないでしょうか。政治・経済・軍事、どれをとっても韓国が他のアジア諸国に影響を与えているとは考えられません。これは韓国を馬鹿にして言っているわけではありません。客観的考えて無理がある、と言っているだけです。

なお、日本は軍事に関してリーダーとなる資格(あるいは能力)に欠けています。政治・経済に関してはリーダーとしてふるまうことも可能ですが、リーダーとなる必要があるのかどうか疑問です。


【朝日新聞】日本たたき、いらだつ官邸

8月10日朝日新聞朝刊より。現状の日韓関係について官邸の空気を伝えています。普段伝え切れていない、官邸の韓国へのいらだちがわかります。

「ひどい国だ」(政府高官)、「けしからん」(首相周辺)、「むちゃくちゃだ」(外務省幹部)――。
 安倍晋三首相は日韓関係について「冷静かつ静かな雰囲気で、対話を通じ着実に発展させていきたい」と語る。ただ、政権内にはいま、「冷静」とはほど遠い韓国への不満が渦巻く。
 安倍氏は06~07年の前回の首相当時に比べ、歴史認識をめぐる言動で「自制に自制を重ねている。なのに韓国は竹島問題をこじらせておいて、対話の姿勢が全く見えない」(周辺)。首脳会談のめどは立たない。
 昨年8月に李前大統領が島根県の竹島に上陸し、日韓関係は悪化。安倍氏は昨年末に首相となり、修復へ動いた。大統領選に勝った朴槿恵氏に早期会談を呼びかけ、竹島問題で国際司法裁判所(ICJ)への単独提訴を見合わせている。
 米国も中国や北朝鮮への対応で足並みが乱れるのを危ぶみ、日韓に修復を働きかけた。北朝鮮が2月の核実験を機に挑発的言動を強め、日韓が対話へ動く中、歴史認識問題でまたボタンの掛け違いが始まった。
 麻生太郎副総理ら4閣僚が4月下旬、靖国神社に参拝し、韓国は外相会談をキャンセル。安倍氏の「侵略の定義は定まっていない」発言も飛び出し、韓国メディアは一斉に批判した。
 安倍政権をいらだたせたのは中韓の接近だ。朴氏は6月、歴代大統領で初めて日本より先に訪中。習近平国家主席と会談し日本を批判した。尖閣問題を戦前の日本の軍国主義にまでこじつける中国。連携する韓国に対し、日本側で「理解不能」との戸惑いが広がった。
 7月に米国で旧日本軍の慰安婦像が設置され、サッカーで韓国サポーターが日本批判の横断幕を掲げると、菅官房長官は記者会見で批判。外務省幹部は「官邸には、とにかく日本をたたく韓国丸ごとへの不満が募っている」と語る。
 一方、安倍氏の歴史認識をトゲと見る韓国は「ボールは日本側」(政府関係者)。朴氏は「加害者と被害者という歴史的立場は、千年の歴史が流れても変わりようがない」と語る。日韓国交正常化は1965年。日本外務省幹部は「和解まであと950年もかかるのか」とぼやく。
 こんな日韓関係は米国で最近、サッカーに例え「ムービング・ザ・ゴールポスツ」と評される。互いにゴールをずらしてはシュートをよけ、試合が動かないという意味だ。
 (広島敦史)


米国での「ムービング・ザ・ゴールポスツ」との評の紹介が気になりました。おそらく慣用句で、両方が「ゴールポスト」を動かしているという意味だと思います。「ゴールポス(ツ)」と複数形なので。

しかし、記事を読む限り、また私の知る限り、ゴールポストを動かしているのは韓国だけです。日本はなにもしていません。

米国からみて日本が「ゴールポスト」を動かしているというのであれば、具体的な指摘があるべきです。。韓国がどうあれ、「ゴールポスト」を動かすのは反省すべきだからです。あるいは、米国の見解が、韓国だけが「ゴールポスト」を動かしている、というのであれば、誤解のないように、そのように記すべきです。

途中までは日韓関係の現状を要領よく記述していたのに、最後に「米国では~」という紋切り型のまとめをしてしまったために、不完全に見える記事になってしまったようです。



【テレビ】オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 第3回 原爆投下

2012年に制作されています。日本では今年の4月に放送されたようですが、今月の再放送を観ました。

日本の降伏を早め米兵の犠牲を防ぐために原爆を投下したのだ、との説に異を唱えたものです。トルーマン大統領とその一派は、天皇の地位を保証すれば日本は直ぐに降伏すると考えていたにも関わらず、不必要な原爆投下を行った。戦後も核の国際協同管理案を蹴飛ばすことで核開発競争に突入した、というのが主旨です。

多くの日本人が心のうちで思っていることですが、現在のアメリカ人には受け入れがたい内容かもしれません。

ドキュメンタリーというより映画的・物語的要素が強く、心ある人々がいさめるのを聞かずトルーマンやその取り巻きが一方的に原爆投下に突っ走った、という“キャラクター重視”の話になっています。やや見方が一方的過ぎるように思いました。

ただ、両論併記的なつくりでない分、主張は明確で力強いメッセージを感じたのも確かです。

【本】100文字でわかる「名画」の秘密


100文字でわかる「名画」の秘密 (ベスト新書)100文字でわかる「名画」の秘密 (ベスト新書)
(2009/03/07)
不明

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古今東西の名画をそれぞれ100文字で解説するという趣向です。

実際にはメインになる100文字の説明以外にも補足の説明がついています。100文字ではさすがに説明しきれないからでしょう。

この100文字の説明は見事なまでに100文字ぴったりでおさまっています。なんのための努力かわかりませんが、その努力には敬服します。

監修として美術ライターの佐藤晃子氏の名前で出版されています。著者の名前はありません。おそらく複数人で書いたのでしょう。

ちょっと驚いたのは、言及した作品の図版はいっさいなく、すべてイラストだったことです。この件に関して、下記の説明があります。

著作権について
本書に収録した絵画のイラストについては、すべてをその原典となる絵画の著作権について検討、確認したうえでイラスト化したものであり、すでにあるいかなる著作権(なかでもとくに、著作者本人のみが有する権利である著作者人格権、さらに同一性保持権)を侵害する意図はありません。


美術の本の出版というのは意外に面倒なようです。

内容は、基本的なことが多いように思いました。書いてあることはまともなので美術を概観するにはうってつけです。題名は「秘密」とついていますが、決して新規(あるいは珍奇)な説で驚かそうとする主旨ではありません。美術史を概観するにはうってつけでした。

私は現代美術には詳しくないので、勉強になりました。

100文字でわかる」シリーズというべきものとして、「~世界地図」「~心理学」「~哲学」「~世界の宗教」があるようです。初歩的な知識を得るにはいいシリーズかもしれません。

【朝日新聞】核抑止論、過大評価されてないか

8月6日朝日新聞朝刊。7月27日に広島市中区の広島国際会議場で開かれた国際平和シンポジウム「核兵器廃絶への道 核兵器の非人道性と被爆体験の伝承」の報告が載りました。その中から英国王立国際問題研究所安全保障研究部長のパトリシア・ルイス氏の基調講演を引用します。

(略)
 核兵器は、第2次世界大戦を終わらせ、冷戦時代の平和を保ったとし、究極の安全保障と考えられてきた。だが、この「核抑止論」は十分に検証されてきただろうか。過大評価されてはいないか。
 核兵器は大量に人間を殺すための兵器で、近代化された軍にはふさわしくない。最新兵器のように標的を正確に絞ることはできない。生物化学兵器や対人地雷、クラスター爆弾は禁止されたが、なぜ核兵器は禁止されないのか。
 核は戦争を防ぐ魔法の装置ではない。サイバー攻撃やテロ、気候変動は、核兵器では解決できない。市民社会を巻き込んだ廃絶への取り組みが必要だ。
 すべての核保有国が最初から交渉に加わらなくても、あきらめる必要はない。最後に宇宙物理学者のスティーブン・ホーキング博士の言葉を紹介したい。知識における最大の敵は無知ではなく、知っているという思い込みだ――。


核抑止論が過大評価されているのではないか、という疑問は重要です。核兵器が廃絶されない最大の理由が核抑止論にあるといって過言ではないからです。

しかし、ルイス氏の展開する論理は理解できません。

核兵器が大量に人間を殺すための道具で近代化された軍にふさわしくない、ことは核抑止論を否定する材料にはなりません。むしろ大量に人間を殺すための道具であるからこそ、核抑止論は成立しているのです。サイバー攻撃やテロや気候変動を核兵器で解決できないことも核抑止論を否定する理由にはなりません。

核兵器廃絶に努力をしている人を悪く言いたくはありませんが、このように仲間内でだけ通じる言葉には説得力を感じません。

【展覧会】浮世絵Floating World 第2期 北斎・広重の登場

於:三菱一号美術館

第1期に続いて行きました。

今回は、北斎・広重・国芳といった有名浮世絵師が中心です。浮世絵という言葉で連想される絵が多いように思いました。

なお、前回の半券を示すことで200円引きで入場できました。

第2期は、8月11日までです。
第3期は、8月13日から9月8日まで
です。

第3期も行くつもりです。

【朝日新聞】テレビが作る空気に勝てない

8月3日朝日新聞オピニオン欄。ネットの選挙解禁について、ネットニュース編集者・中川淳一郎氏の「テレビが作る空気に勝てない」

 ネット選挙解禁で、浮かれる人たちがたくさん出ました。選挙報道の新たな切り口を見つけたマスコミ、特需を期待した広告、PR会社。あとは無邪気にネットの可能性を信じている人たち。要は、何かが変わると言いたい人たちが騒いだだけです。
 ネットは、自分の見たいものだけを見られる世界です。例えば韓国が嫌いな人のツイッターやサイトには、同じような人ばかりが集まるから「日本人は全員、韓国が嫌い」みたいな意見が世の中のすべてのように考えてしまう。
(略)
 安倍晋三首相のフェイスブック(FB)は絶賛コメントで埋め尽くされていました。逆に民主党の海江田万里代表、当時の細野豪志幹事長のFBは悪口が並んでいた。僕は組織的な力が働いたとにらんでいますが、とにかく安倍さんの気分を高揚させ、海江田さん、細野さんを落ち込ませる効果があったのは間違いない。安倍さんは見たいものを見て、民主党の2人は見たくないものを見せられた。そんなケースもありました。
(略) 


ネットでは同質の意見に集中しやすいのは事実だと思います。しかし、ネットで読んだ意見を普遍的なものと考えるのは、知性に問題があります。例えば、私はアニメ関連のblogをよく読みますが、「日本人は全員、アニメが好き」などと誤解したことはありません。そんな風に思ったとすれば、その人が愚かなだけです。愚か者はどこにもいますが、ネット空間だけにいるわけではありません。

安倍首相と民主党代表・幹事長のフェイスブックの件で、中川氏は「組織的な力が働いたとにらんでい」るそうですが、根拠が示されていません。陰謀論の類かと思います。そのことは置くとしても、ネットのメッセージによって政治家を勇気づけたり、落ち込ませたというのなら、ネットには従来のマスコミにはない可能性があることを意味します。

中川氏は、ネットを軽視しつつ敵視するという、相容れない主張をしているように見えます。

私自身は、選挙でのネット活用は手段の一つであり、街頭演説やポスターといったものと並行して使えばいいものだと思っています。他の手段にとってかわると考えるのも無茶ですが、無視や軽視するも乱暴だと思っています。活用すべきツールがひとつ増えたと考えるのが妥当だと考えます。

【朝日新聞】「なぜナチスを例えに」米の人権団体、麻生氏発言を批判

8月2日朝日新聞朝刊2面。麻生副総理の「ナチス発言」についての記事です。

麻生太郎副総理の発言に素早く反応した米国のユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・ロサンゼルス)。「そもそも、なぜナチスのたとえを使ったのか」。エイブラハム・クーパー副代表は麻生氏の発言撤回に一定の評価はしつつも、発言の経緯の説明をなお求める構えを見せる。
 同センターはナチス戦犯を追い続けたサイモン・ウィーゼンタール氏の名を冠して1977年に設立。世界中で反ユダヤ活動の監視を続け、ヒトラーが崇拝したワーグナーの上演禁止訴訟を起こしたりしている。95年には「ナチ『ガス室』はなかった」と題する記事を掲載した文芸春秋の月刊誌に抗議。雑誌は廃刊し、当時の社長が辞任した。ユダヤ人についてのコメントを巡り、テレビ朝日に抗議したこともある。
(略)


ユダヤ人人権団体ですので、「ガス室はなかった」という記事に抗議するのは理解できます。

しかし、「ヒトラーが崇拝したワーグナーの上演禁止訴訟を起こしたりしている」というのは尋常ではありません。ワーグナー自身は反ユダヤ主義だったようですが、反ユダヤの芸術家は他にもいます。ワーグナーが標的になっているのは「ヒトラーが崇拝した」のが理由のようです。

ヒトラーに崇拝されたというだけの理由で特定の芸術家を否定するなど、まともな団体とは思えません。

【朝日新聞】私の視点:道徳の教科化 教師の意欲、後押し必要

8月1日朝日新聞オピニオン欄「私の視点」コーナー。元小学校教員・深澤久氏の「道徳の教科化 教師の意欲、後押し必要」より。

(略) 
 教育再生実行会議の提言は「学校や教員によって指導の内容や方法の充実度に差がある」状況を変えるため、としている。だが、おそらく大半の教師は「教科化する必要はない」と考えているだろう。「道徳の時間」が教科でないことが問題なのではないからだ。
 必要なのは、名称を「道徳科」に変えることではなく、今ある「道徳の時間」をより充実させ、子どもの心と体に響く効果あるものにしていくことだ。そのための具体策を構想、実行する取り組みなくして、実態は変わらない。
 実行会議が打ち出す道徳の教科化は教育現場から生まれたものではない。子どもと日々向き合って授業をしているのは、教育長でも首長でも実行会議のメンバーでもない。現場の教師だ。よって、教師に道徳の授業を構想・展開する力量をつけることが重要だ。
 今から26年前、私は担任する6年生に、「命は大切」という言葉をただ教えるのではなく命の重さを感じ取らせたいと考え、こんな道徳授業を行った。まず「あなたの大切な人に値段を付けるといくら?」と問う。そして人体成分表を示し、物質の値段に換算すると3千円になるという“事実”を伝える。すると、子どもたちから次々と反論が出される。その後「いじめで自殺」「日航機墜落事故」の新聞記事を提示していく。
 「命の授業」と呼ばれ、今なお全国の教室で他の先生方に追実践されているが、この授業の様子を公表した当初は各地で管理職や教育委員会の指導主事から批判された。「これは道徳授業ではない」「文部省(当時)の読み物資料を使っていないから」「○○方式でないから」などの理由で、授業をすることすら許されなかった事例も少なからずあった。今までの道徳授業とは全く違う試みが、やる前からつぶされたのである。
 こういうことを繰り返してはならない。特定の方法を絶対視し、それ以外のやり方はダメというやり方では豊かな実践は生まれない。教師の意欲的・創造的・挑戦的な試みを推奨する風土を教育現場でつくる必要がある。政府にはその後押しこそして頂きたい。最前線の教師たちが「よし、やるぞ!」とならなければ、教育現場は動かず、変わらないのだから。


前提として、私は道徳を教科にすることも、深澤氏のいう道徳教育の充実にも賛成していません。

現在の日本の若年層の道徳が劣化しているとは見ていません。犯罪発生率は年々下がっています。一昔前に街にうようよしていた不良学生を今やほとんど見かけません。先の東日本大震災でも、一般の日本人の行動は賞賛に値するものでした。こうした状況下でなぜ道徳教育の充実が必要なのか、さっぱり理解できません。

まず、深澤氏は、教師に道徳の授業を構想する権限を委譲せよ、教育長や首長や実行会議のメンバーは口出しするな、という意味のことを主張しています。それは、「子どもと日々向き合って授業をしているのは」「現場の教師だ」から、という理由です。

悪しき現場主義の一例にしか見えません。

私塾でない以上、教員は組織の一員として振る舞うのは当然です。授業を企画する権限が与えられたなら企画してもいいですが、権限がないのに「現場だから」といった理由で勝手に振る舞うのが許されるわけがありません。

工場のラインで現場の労働者が権限を持たずに勝手に手順を変えるのが許されないのと同じです。権限の範囲で改善するのは結構です。提案するのも結構です。しかし権限もなしに勝手なまねは許されません。

特に、このような思想に関わる教育を現場の教師が好きにするのが良いことだとはとても思えません。

また、深澤氏の「命の授業」は、道徳教育というより思想教育といった方が近いように思います。小学生が大人からこのような問いかけを受ければ、大人の思った方向に誘導されていくのは明らかです。

私の小学生時代も、似たような「思想教育」を受けましたが、現在の私の人格に影響はありません。こうした「思想教育」は教員の自己満足に過ぎません。

学校は、勉強を教えることに専念して欲しいと思います。


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Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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