【朝日新聞】 「アンネの日記」破損事件に関するコメントについて

2月28日朝日新聞朝刊に、「破れない、アンネの志 本の寄贈、続々」という記事が載りました。複数の図書館で「アンネの日記」などの関連書籍が破かれた事件についての報道です。

高千穂大の五野井郁夫准教授がこの事件へのコメントを載せています。

■日本社会が右傾化
 首相の靖国参拝が一定の支持を集めるような社会の右傾化が背景にあるのではないか。歴史や領土の問題で中国や韓国に日本がおとしめられたと感じ、戦後の歴史観を否定しようとする人もいる。ネット上ではそうした意見が広がっており、戦勝国側の価値観を全て否定しようという意見さえ出始めている。その延長線上で、敗戦国が反省すべき象徴とも言えるホロコーストに関する本が狙われたのではないか。「ユダヤ人虐殺がうそならば、南京事件や慰安婦問題だって全否定でき、日本は悪くないと主張できる」というゆがんだ発想かもしれない。様々な意見はあるだろうが、史実に基づいて議論していくのが開かれた社会だ。


破かれたのは「アンネの日記」なのですから、普通に考えれば反ユダヤ思想か親ナチス思想が思い浮かびます。靖国参拝支持にみられる日本の右傾化と関係がある、などと疑うのは根拠のない妄想です。

図書館にある「アンネの日記」を破いたってユダヤ人虐殺が否定できるわけではありませんし、ユダヤ人虐殺と南京事件と慰安婦問題はそれぞれ別の事案ですのでユダヤ人虐殺が嘘だとしても他の二件が嘘になるわけではありません。五野井氏が言うように、犯人がこのように考えているとすれば、それは「ゆがんだ発想」です。しかし、犯人がこのように考えたとする根拠はどこにもありません。すべて五野井氏の想像です。つまり「ゆがんだ発想」をしているのは五野井氏の想像の犯人と五野井氏自身です。

事件について真摯にコメントするのでなく、自分の関心事に無理にからめて話そうとするから、こうした無茶苦茶な発言になるのだと思います。

それはともかく、敗戦国つながりで日本もホロコーストの反省をすべき、というのは、驚いた理屈です。そんな突飛な発想は初めて聞きました。あきれました。
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【時事問題】東京都立美術館で「政治的」作品の撤去

東京都美術館で、「政治的」な意図をもった作品の撤去をもとめる事案がありました。結局、「現政権の右傾化を阻止」「靖国神社参拝の愚」などと書かれた紙をはがすことで、作品の撤去はまぬがれました。
朝日新聞の記事より引用します。

 東京都美術館(台東区)で開催中の現代日本彫刻作家展で、安倍政権の靖国参拝などを批判した作品の撤去を同館が求めていた。主催者は「表現の自由を侵害する」と反発したが、同館は「政治的な宣伝という苦情が出かねない」とし、協議の末に作品の一部が削除された。
 作家展は15~21日、約60点を展示。同館が指摘したのは、主催した現代日本彫刻作家連盟の中垣克久代表の「時代(とき)の肖像―絶滅危惧種 idiot JAPONICA円墳―」。高さ1・5メートルのドーム状の形で、作品として「憲法九条を守り、靖国神社参拝の愚を認め、現政権の右傾化を阻止して、もっと知的な思慮深い政治を求めよう」と手書きの紙を貼っていた。
(略)


この件に関する私見を述べます。

作品の撤去や貼付された紙をはがすように求める行為には反対です。表現の自由を軽々しく規制すべきではありません。

直接見たわけでないので報道からの印象ですが、作品のメッセージは直接的過ぎて、作品の価値には疑問があります。もし現在の日本が言論弾圧社会なのであれば芸術作品に仮託して主張を述べるというのは意味があります。しかし、「靖国反対」「右傾化反対」といった意見はメディアに山のように載っています。わざわざ美術館に展示する意味があるのか疑問です。ジェリコーが「メデュース号の筏」を発表した時代とは違います。

だからといって、規制が正しいとはいえません。表現の自由を譲ることはできません。東京都美術館には考え直してもらいたいと思います。

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【朝日新聞】「いつから保守政党に?」 結い・江田氏、古巣のみんなに皮肉

2月26日朝日新聞朝刊より。

「いつから保守政党に?」 結い・江田氏、古巣のみんなに皮肉
 結いの党の江田憲司代表は25日の会見で、かつて所属したみんなの党の渡辺喜美代表が「保守」を打ち出したことについて、「何年か一緒にいたが、渡辺氏から『保守』という言葉は聞いたことがない。いつから保守政党になったのか」と述べ、集団的自衛権の行使容認などで安倍政権に近づく渡辺氏を皮肉った。
 渡辺氏は23日の党大会で昨年末の党分裂で江田氏らが抜けたことを踏まえ「みんなの党は保守の政党だ。昨年まではそう言いにくい人たちも交じっていたが、はっきりと保守の党と言えるようになった」とあいさつしていた。


読んで、奇妙な感じがしました。

時系列で並べると次のようになります。
・23日:渡辺みんなの党代表が、みんなの党は保守の政党である、と宣言。
・25日:江田結いの党の代表が、みんなの党はいつから保守になったのか、と述べた。

記事はあえて時間を逆転させています。

そもそも、江田氏の疑問には、渡辺氏はすでに答えています。
・もともと保守政党だった
・江田氏(名指ししていませんが)がいたためにそう言えなかった。
・今ならはっきり言える

江田氏にすれば、おそらく“そんなのは嘘だ”といいたいのでしょうが、「いつから保守政党に?」と疑問を投げかけるだけでは言葉が足りません。

みんなの党にも結いの党にも肩入れをするつもりはありません。むしろ会派離脱問題ではみんなの党が正しくないという意見でした。しかし、公平に言ってこの件では江田氏の皮肉は空回りしています。

また、朝日新聞の記事の書き方にも違和感があります。論評抜きで報道するのであれば、できるだけ公平に書くべきです。あえて時間順を逆転させ江田発言がおかしな印象にならないようにしたり、見出しで江田氏が痛烈な事を言ったようにみせたりするのは印象操作だと思います。

【朝日新聞】耕論:NHK経営委員の資質

2月25日朝日新聞朝刊オピニオン欄。耕論のコーナー。NHKの経営委員の資質について、元総務相の竹中平蔵氏と、メディア研究者の松田浩氏が意見を述べています。このうち松田氏の『介入阻む砦にふさわしい人を』より

 (略)
 東京裁判は不正だったと言わんばかりの百田氏の発言も、安倍首相の「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない」といった国会答弁と同じ流れにあります。海外の目には、NHKは安倍政権と一緒になって戦後秩序をひっくり返そうとしている、と映るでしょう。しかも国際放送では政府の主張をしっかり伝えていくという。これでは中国や北朝鮮と同じような事実上の国営放送になってしまいます。「戦後レジームからの脱却」を本気でやるつもりなんですね。
(略)
 「人間のくず」と他者を公然と侮蔑したり、新聞社での拳銃自殺を礼賛したり。そんな人物がジャーナリズムの根本を理解しているとは、とても思えません。経営委員会の本来の性格から言えば、そもそも政権と距離を保てない人物は委員になる資格がないんです。
 私たちは国営放送のために受信料を払っているわけではない。NHKには優れた番組をつくっている人たちもいます。そういう現場の本物のジャーナリズムを支えたい。NHKには、私たちの「知る権利」に応えるような仕事をしてほしいのです。
 いま起きつつあるのは、安倍政権によるNHKの乗っ取りです。権力の介入を防ぎ、市民のための公共放送にしていくには、首相が経営委員を選ぶ仕組みを改めるしかありません。視聴者参加型で、国民に開かれた選考方法に変えていく必要がある。たとえば諸外国なみに、公募や推薦で委員を選ぶ工夫ができないでしょうか。
 全国に届くNHKの影響力は大きい。政治の先行きが不透明な今のような時期こそ、ジャーナリズムの意義を理解し、深い見識を備えた人物を選ぶ英知が求められています。
 (聞き手・萩一晶)


NHKに限らずジャーナリズムは権力と距離を置き、批判精神をもって報道に携わるべきです。またあまりにも極端な意見の持ち主はNHKの経営委員にふさわしくないと思います。しかし、松田氏の批判は無理が過ぎます。

他人を「人間のクズ」と呼ぶのは乱暴ですが、朝日新聞にはインタビュー相手をいきなり「御用学者」呼ばわりした記者がいます。堂々と新聞に載っているところをみると、少なくとも朝日新聞はこれを問題だとはみなしていないと分かります。「人間のクズ」呼ばわりも「御用学者」呼ばわりも罵倒であることでは一緒です。

もちらん、松田氏は「御用学者」呼ばわりした記者を記者失格と考えている可能性はありますが、それだと松田氏のお眼鏡にかなう「ジャーナリズムの根本を理解」しているジャーナリストが日本にどれだけいるのか、という問題になってきます。

米国の空襲や原爆投下を人道上の問題ととらえるのは、日本では多数派だと思います。むしろリベラルな勢力からこうした批判の声が聞こえてきます。東京裁判に問題を感じるのも、日本では極端な思想だとは思えません。米国が不快に思うのは分かりますが、NHKは米国のテレビ局ではありませんので問題視する方が変です。

松田氏のようなことを言っていたら、経営委員にふさわしいのは、人畜無害で意見らしい意見のない人間だけになりはしないでしょうか。

【本】招かれざる大臣


招かれざる大臣 政と官の新ルール (朝日新書)招かれざる大臣 政と官の新ルール (朝日新書)
(2011/02/10)
長妻 昭

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著:長妻昭

厚生労働大臣を務めた民主党の長妻昭氏が、大臣時代を振り返ったものです。大臣を退任した後、民主党が下野する前に書かれています。

題名から大臣としてうまくやっていけなかった体験を告白した、つまり愚痴めいたものを想像していました。実際は、まだ政権奪取の高揚感につつまれた気分で厚生労働大臣の仕事の内幕を書いたものでした。

そのためか長妻氏から反省めいたものはいっさいありません。一部の高級官僚がいかに長妻氏の邪魔をしたか、という話がつづられています。本当のことなのかもしれませんが、長妻氏の一方的な主張なので多少割り引いて読む必要があります。

本書を読んで感じるのは、長妻氏が自身の正しさを確信しきったところです。政治家は一般的にそうなのかもしれませんが、特にこの本から(長妻氏から)感じます。

もう一つ感じたのは、長妻氏は長い自民党時代につくられた現在のシステムを改善・改良に熱中していますが、社会そのものを変革したいといった野心は、つまり総理大臣になりたいといった意欲はうかがえません。よく言えば身の丈にあった仕事をしようとしていると言えますし、悪く言えば、ちまちまとした政治家という印象です。

【朝日新聞】インタビュー:米国から見る安倍政権1年

2月21日朝日新聞朝刊。作家・冷泉彰氏のインタビュー「米国から見る安倍政権1年」です。

 政権が発足して1年が過ぎ、靖国神社参拝や中韓両国に関する言動から、安倍晋三首相の目指すものへの懐疑と警戒が欧米でも強まっている。政権再交代から間もない昨年1月、この欄でインタビューした在米作家の冷泉彰彦さんに再び聞いた。首相の振る舞い、そして首相を支える日本の民意は、「米国の目」にどう映っているのか。

 ――昨年1月のインタビューで、安倍政権に対して米政権は「わかりにくさ」を感じていると指摘されていました。米国は現在の安倍政権をどう見ているのでしょうか。
 「靖国参拝と国家主義的な言動に対する危機感が、日本では薄すぎます。ダボス会議の発言を報じた欧米メディアを見ると、安倍首相への印象がかなり悪化していることが分かる。ロイター通信の社長が自ら書いた記事では、中国政府高官の『安倍首相はトラブルメーカー』という発言が紹介されています。引用とはいえ、安倍首相こそが『面倒を起こす人』という含意が感じられます」
 「CNNの単独インタビューでも安倍首相は『習近平政権だけではなく、過去20年、中国はずっと拡張主義だった』と答えた。これでは、中国と関係修復するつもりがあるのかと受け止められる。こんな報道が象徴しているように、安倍政権は一つのイメージにはまり込みつつある。それがどれほど日本の国益を損なうか、分かっているのでしょうか」
 ――国益を損なうほどですか。
 「安倍首相は『(日本の)民主党政権が日米関係を悪くした』と言っていますが、逆です。米国にとって安倍首相への懸念は大きく言って3点あります。まず、日韓関係がこれほど険悪だと、米国の行動を制約する。北朝鮮情勢に対する情報交換や態勢作りで日韓が一枚岩になれないのは、米国にとって大きなリスクです。もし北朝鮮が明日にでも政権崩壊したら、どうするのかと」
 「二つ目は、経済への波及です。先日、ニューヨーク・タイムズ紙の経済欄に『アジア経済の最大のリスクは日中関係だ』という記事が載りました。中国がくしゃみをすれば世界が肺炎になりかねない今、もし日中関係の悪化が何らかの形で中国経済の足を引っ張り、アジア発の世界的株安が起きたら、その原因は安倍首相だと言われかねない。国家主義イデオロギーを求心力に使いつつ、リベラル的な経済政策をするアベノミクスは、分かりにくいながらも評価されていました。しかし、中国との関係悪化が株安の引き金を引いたら、世界は許さないでしょう」
 「三つ目は米中関係に対する悪影響です。この2大国の関係は一筋縄ではいかない繊細な代物です。米国は中国の様々なことが気に入らないし、価値観もまるで違うが、我慢している。貿易相手及び国債引き受け手として共存共栄を目指すしかないからです。なのに、安倍首相の無分別な言動が微妙な均衡を狂わせ、米国の国益を左右している。日本人が想像する以上に米国にとって中国は難しい存在です。その遠くて近い距離感を何とかしのいで中国と付き合っているのに、安倍政権は無頓着過ぎる。これでは逆に中国の改革を遅らせてしまう、とオバマ大統領は思っているでしょう」
(略)
 ――なぜ、こんな雰囲気が出てきたのだと思いますか。
(略)
 「人口減や一部の産業の国際競争力の低下からくる閉塞感に対し、イデオロギーのゲームでうっぷんを解消しているとも言えます。例えば、過剰な反原発感情もそうでしょう。大切な問題ではありますが、必要以上に大きく語られ、人口減少や産業競争力低下といった日本の根源的問題が避けられている。リベラル側から社会全体の行き詰まりを解消する処方箋を出せていないのも確かです。議論が粗雑になった責任の一端は、(日本の)民主党にあります」
 ――右が靖国、左が反原発に向かうならば、真ん中は?
 「中間的な層が実は多数派ですが、この真ん中はいわゆるノンポリなんです。価値判断など面倒なことにかかわりたくないという巨大な空白があるんですね。是々非々で判断する中間層というのが日本にはない。ふわっとしたノンポリという立場があり、それが巨大なのです」
(略)


安倍政権に対する米国の見方を紹介するという主旨の記事は最近よく見ます。その大部分は共通の欠陥を持っていて、この冷泉氏のインタビューにもあらわれています。

それは、米国の見解を客観的な立場で紹介するのではなく、主観と区別がつけられなくなっていることです。冷泉氏が紹介する3つの懸念はどこの誰が言ったとも書いていません。米国人の意見ではなく、冷泉氏の意見ではないでしょうか。

読者は外国が安倍政権にどういう見方をしているかが知りたいのであって、冷泉氏の意見を聞きたいのではありません。

客観的に海外の主張を分析したいのであれば、ある特定の新聞や雑誌の媒体を数年間収集して、“日本の政権に否定的な記事が十年前は何件、去年は何件、今年は何件”、といった具合に客観的なデータを積み上げるべきです。それなら説得力があります。

もちろん、米国に在住している人間の皮膚感覚としての報告まで否定するつもりはありません。しかしそれには、事実に対して誠実で論理的思考のできる人間である信頼がなければ、信用されません。

冷泉氏が信頼に足るかどうか見てみます。

「安倍首相は『(日本の)民主党政権が日米関係を悪くした』と言っていますが、逆です。

民主党の鳩山元総理は米国でくるくるパーと呼ばれていました。鳩山氏が本当にくるくるパーなのか、米国が無礼なのかは置いておいて、鳩山元総理の時代から日米関係がきしみだしたのは事実です。日本の民主党政権から日米関係がおかしくなったのは客観的事実です。冷泉氏は事実を無視しています。

――右が靖国、左が反原発に向かうならば、真ん中は?
 「中間的な層が実は多数派ですが、この真ん中はいわゆるノンポリなんです。価値判断など面倒なことにかかわりたくないという巨大な空白があるんですね。是々非々で判断する中間層というのが日本にはない。ふわっとしたノンポリという立場があり、それが巨大なのです」


今年1月の朝日新聞の世論調査では、「安倍首相は昨年12月、靖国神社に参拝しました。首相が参拝したことはよかったと思いますか。」に41%がよかった、と答えています。「今、停止している原子力発電所の運転を再開することに賛成ですか。反対ですか。」に56%が反対しています。つまり冷泉氏の理論に従えば「ふわっとしたノンポリ」は残りの3%に過ぎず、多数派ではありません。数字の出し方はほかにもありますが、靖国賛成と原発反対を除いた層が多数派になるなど考えられません。要するに、冷泉氏の言っていることはただの思い込みです。

冷泉氏には、事実を受け止め考えを修正していくという真摯な態度が欠如しています。こうした人物が伝える海外の空気はまるであてになりません。

【展覧会】クリーブランド美術館展

於:東京国立博物館

米国オハイオ州のクリーブランド美術館の日本美術のコレクションを中心とした展覧会です。

前売り券を買ってあるのに、寒いだの雪だのとズルズル伸ばし伸ばしにしていたら、終了が近づいてきましたので、あわてて行きました。

点数は少なめでしたので、じっくり観ることができました。結構、年配の女性客が多かったように思います。何故なのでしょう?

岩佐又兵衛の「琴棋書画図」、渡辺崋山の「大空武左衛門像」、河鍋暁斎の「地獄太夫図」、がよかったです。

【朝日新聞】(社説余滴)「物語」に加担した自分

2月20日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。社説余滴のコーナー。社会社説担当・加戸靖史氏の『「物語」に加担した自分』より。

 佐村河内守氏(50)が別人に作曲をさせていた問題が心を離れない。知らずにとはいえ、私も「虚像」づくりに一役買った。
 広島市役所を担当していた08年11月、原爆を主題にした交響曲で広島市民賞を受けた佐村河内氏を初めて知った。
 (略)
 その後も、被爆2世として両親が経験した原爆の闇を音楽で伝えたい、という佐村河内氏の触れ込みを気にしていた。折々に広島発の記事で取り上げるよう心を配った。
 結果として、誤報が繰り返された。当時の後輩らはみな、痛切な悔悟を抱えている。読者には、ただただ申し訳ない。
 代作問題について社説は取り上げていない。だが、あえて個人的な経験を記すのは、教訓があると思うからだ。
 私が佐村河内氏に関心を持ったのは、被爆2世であることが大きかった。
(略) 
取材する側はともすると、親や祖父母が原爆に遭ったからこそ、核兵器廃絶を願って行動している、といった「物語」を用意しがちだ。そうした思い込みに乗って、虚像を膨らませたのが、佐村河内氏ではなかったか。
 原爆投下から来年で70年。今も人類を脅かす核兵器をなくす取り組みは不可欠だ。
 大事なのは「何をしたか」であり、被爆者との血のつながりなどではあるまい。安易な「物語」に寄りかからない取材姿勢を、肝に銘じたい。


佐村河内氏の件は東京新聞が社説にまで取り上げたことを、以前このblogで批判しました。出版の世界ではゴーストライトは公然の秘密であることから、社説にまで書くことに違和感を持ったからです。

今回、朝日新聞の準社説といえる社説余説でもとりあげていたので、再度この件を考察します。

今回の問題といわれているのは、
・別人に作曲させたことを自分のものとして発表した。
・耳が聞こえているのに全聾の作曲家と称した。
の二点です。二番目の全聾でない、というのは現時点では推測です。被爆二世であることは疑問視されていませんので、事実なのでしょう。

さらに、加戸氏が言及している「物語」によりかかった取材姿勢があります。マスコミが過度に持ち上げたことで、佐村河内の“作品”が有名になったわけで、マスコミは共犯とも言えますし、もしかしたら主犯なのかもしれません。

事実を間違って報道するのはよくはありませんが、加戸氏は『「物語」に寄りかからない取材姿勢を、肝に銘じたい』と言っているので、誤報を詫びているのではありません。つまり、仮に佐村河内氏が本当に全聾で自分で作曲していたとしても、全聾の被爆二世という「物語」を流布するのはいけないという論理です。しかし、そうであるなら、今回の発覚を契機として反省の弁の述べるのはおかしいように思います。

反省しているというより、騙されたことと、結果的に読者を騙す立場に立たされたことを怒っているというのが本当のところではないでしょうか。

それはともかく、芸術の鑑賞に作者がどういう人となりであったかという事実(=物語)を排除するというのは、私には考えられません。作者の人格が作品にどう影響したのかは、芸術の鑑賞には無視できない要素だと思います。

【朝日新聞】天声人語:書画が泣く賞の不正

2月19日朝日新聞朝刊の天声人語より。

 明治という時代と人間を風刺し、毒舌評論で鳴らした斎藤緑雨(りょくう)が言っている。「画(え)をかく人々、字をかく人々に告ぐ。お金を払って買って下さるは、まことに有難(ありがた)いお方なり。併(しか)しながら大抵は、わからぬ奴なり」。つまり大抵の人は、良し悪(あ)しもわからぬまま買っているのだと▼書画を並べたがる成り金への皮肉でもあろうが、意味するところは古今東西に通じる。世の中、名のある画家の作というだけで値は跳ねる。箱書き一つで、よく読めもしない書をありがたがる▼といっても笑えない。私たちが芸術に接するとき、情けないが権威というものにすこぶる弱い。その小道具の一つが「賞」だろう。うさん臭い話も風聞するが、ここまでひどい例もあるのかとあきれた▼「全日展」という書道中心の公募美術展で、多くの県知事賞受賞者が架空の人物だったという。作品は関係者が用意して、偽名で賞を与え展示していた。作品よりむしろ組織を権威づけようとする偽りであろう▼都道府県知事賞のほか、総理大臣賞をはじめ賞の多さを売りにしていたという。賞を着せれば「馬子にも衣装」なのだろうか。昨秋に発覚した日展の不正審査といい、「賞ビジネス」が目に余る▼絵画についてだが、作家の開高健が「感動のきっかけは最初の一瞥(いちべつ)にある」と書いていた。そこで自分をとらえてくれなかったものは凡作であると。知識や権威筋によらず自分の感性に頼り切るあたり、この人らしく潔い。賞の意味など、どこかに消える


今回の「全日展」の問題は、県知事賞受賞者が架空だったことです。質の悪い作品に無理に賞を与えて、それをみんながありがたがった、という話ではありません。応募数が少なかったからか、それなりの書家が架空名義で出展してそれが賞をとったらしいので、道義的には悪くても、作品の質は良かったのだと思います。

天声人語は、的外れなことを言っているように思います。

【朝日新聞】耕論:道徳に成績?

2月19日朝日新聞朝刊オピニオン欄。耕論のコーナーで道徳の教科格上げについて、中学校長の御前充司氏、コピーライターの大倉幸宏氏、エロ漫画家の山本直樹氏の三氏が意見を述べています。

はじめに道徳の教科格上げに関する私の意見を述べておきます。教科格上げには反対です。

第一に目的が定かでありません。現在の子供が過去に比べ道徳的に劣るとは信じられません。したがって拡充する必要を感じません。

第二に道徳を成績で示すことが困難だと考えられます。仮に理科という教科で教科書の内容をよく理解し授業態度が立派であれば、たとえ日常生活でオカルトにはまっていようが、上位の成績をつけるのに疑問はありません。それはそれ、これはこれだからです。しかし、道徳では授業中にいくら素晴らしい発言をしようが、同級生をいじめていたら、上位の成績はつけにくいと誰もが感じます。つまり道徳は普通の教科と同じ判定基準をもてないのです。普通の教科扱いは無理があります。

御前氏は、道徳教育の拡充そのものには賛成していますが、教科化することで授業がつまらなくなることを懸念しています。また、成績をつけることで生徒から教師受けをする発言が出てくることを心配しています。

大倉氏は、私のあげた第一の理由と同じ指摘をしています。昔の人が道徳的に優れていたというのが思い込みであり、間違った前提で道徳教育を論じることは正しくない、と述べています。

山本氏も教科化に反対のようですが、私には論題を利用して自分語りに酔っているような印象がしました。コメントする価値を感じません。

 ■教師受け狙う子出ないか 和歌山県湯浅町立湯浅中学校長・御前充司さん
(略)
 私は、道徳教育の充実そのものは必要だと思います。教科化によってその成果が得られればすばらしいことだと思います。しかし、検定教科書の導入や評価には心配な点があります。
 これまでは授業で使う資料などの選択は現場の判断に任されていましたが、教科になると教科書の内容を一通りこなさなければならないという意識が教師の側に働きます。独自に題材を探そうとする教師が減り、ワンパターンのつまらない授業が増えるのではないかと心配です。
 また、人の生き方や命の問題を考えるとき、宗教家や企業活動などの話題に触れることはよくあります。実際テレビCMなどを題材に授業をすることもあります。ところが検定教科書となるとこれらの微妙な問題は排除され、現実味のない話ばかりにならないかも懸念されます。
 評価についても、子どものいい面を後押しするような評価ならいいのですが、マイナス面を書いたりする教師が現れるかもしれないと考えると慎重であるべきです。また、道徳の時間は思ったことを自由に言える時間だったのですが、評価を意識して教師受けのする発言をする子も出てくるかもしれません。
 現場の裁量の余地を残しながら道徳教育の充実ができればいいと思います。

 ■「昔はマナー守った」は幻想 コピーライター・大倉幸宏さん
 道徳教育の話になると保守系の人たちは、よく「昔はマナーが守られ、モラルも高かった」「しかし戦後を境に低下していった」という図式で語りますね。だけど、それは幻想です。戦前の公衆道徳はひどい水準でした。
 私は仕事などのため図書館で古い新聞や雑誌を読みます。そこには汚職をはじめ、人々のマナーやモラルの悪さを憂える記事がいっぱい載っています。きちんと検証する必要があると考え、何年もかけて明治以降の資料を調べました。すると「いまよりひどいな」という印象がするのです。庶民だけではありません。政府主催のパーティーの出席者たちが食器を持ち帰るのを嘆く資料も見つかりました。
 それどころか、家族が親を虐待する事件も珍しくありません。死に至らしめる例も多々起きています。親や高齢者を敬う価値観はすでに廃れていたわけです。本当に驚きました。
 いまの道徳教育に当たるものは明治の初期から授業科目となっています。しかし、知識としては身についても実践に結びつかない、と教育界で問題になっていました。
 修身教育では、理想のモデルを過去の偉人らに求めます。明治23(1890)年発布の教育勅語は修身の柱なのですが、内容はあくまで理想像を描いているのです。それがいつの間にか、過去へのノスタルジーもあって「昔はみんなちゃんとしていた」という事実のように認識されていったのだと思います。
(略)
  公衆道徳を向上させるうえで、教育の役割は限定的でした。例えば、落書きをなくそうという啓発運動が行われてもなかなか効果は上がりません。むしろ大事なのは、法やインフラの整備でした。公衆道徳が良くなっていくのは、東京五輪のころからです。
 道徳教育によって若い人たちを導こうなどと、あまり考えるべきではないと思います。せいぜい「こういう場面ではどうしたらいい?」と考えさせるにとどめ、それ以上のことは教育に期待しないほうがいい。
 「昔はよかった」という図式で考えると、戦後の努力を否定することになります。理想像を戦前の教育に求めるような短絡を起こす。それでは道徳教育のあり方をまともに議論することはできないでしょう。

 ■「理念の共有」うさんくさい エロ漫画家・山本直樹さん
 (略)


御前氏は道徳教育の充実を訴えていますが、教科化には慎重です。つまり、わざわざ3人から意見を聞いていながら、道徳の教科化に賛成の人がいません。私自身は道徳の教科化に反対ですが、残念です。自分とは違う意見を聞きたいですし、賛成反対を幅広く紹介するのが新聞の役目だと思います。

【世論調査】朝日新聞:2月15、16日実施

2月18日朝日新聞朝刊に世論調査の結果が発表されました。

(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は1月25、26日の調査結果)

◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する  47(50)
 支持しない 30(29)

◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」47%、右は「支持しない」30%の理由)
 首相が安倍さん  12 〈6〉  8 〈3〉
 自民党中心の内閣 17 〈8〉 24 〈7〉
 政策の面     48〈22〉 53〈16〉
 なんとなく    21〈10〉 11 〈3〉

◆今どの政党を支持していますか。

自民34(35)
民主6(5)
維新1(2)
公明3(3)
みんな1(0)
結いの党0(0)
共産2(3)
生活0(0)
社民0(1)
みどりの風0(0)
新党大地0(0)
新党改革0(0)
その他の政党1(0)
支持政党なし46(43)
答えない・分からない6(8)

◆安倍首相の経済政策で、日本経済が成長することを期待できると思いますか。期待できないと思いますか。
 期待できる 42
 期待できない 38

◆安倍首相の中国や韓国に対する外交姿勢を評価しますか。評価しませんか。
 評価する 33
 評価しない 48

◆日本と中国や韓国との関係が悪くなっているのは、どの程度問題だと思いますか。(択一)
 大いに問題だ     28
 ある程度問題だ    50
 あまり問題ではない  15
 まったく問題ではない  4

◆安倍首相は、日中関係や日韓関係の改善に向けて、中国や韓国との首脳会談を急ぐべきだと思いますか。急がなくてよいと思いますか。
 急ぐべきだ   52
 急がなくてよい 34

◆安倍首相が靖国神社に参拝したことは、日本の外交に悪い影響を与えていると思いますか。そうは思いませんか。
 悪い影響を与えている 56
 そうは思わない    36

◆学校運営や教員の人事など、教育委員会が担う地方の教育行政についてうかがいます。教育行政に、知事や市町村長の政治的な考え方がより反映される仕組みが望ましいと思いますか。知事や市町村長の政治的な考え方に左右されない仕組みが望ましいと思いますか。
 政治的な考え方がより反映される仕組み 22
 政治的な考え方に左右されない仕組み  59

◆政治家が学校の学習内容をゆがめることのないよう、一定の歯止めが必要だと思いますか。そうは思いませんか。
 一定の歯止めが必要だ 75
 そうは思わない    13

◆義務教育で、成績が優秀な生徒が学年を飛び越えて進級する「飛び級」を認めることに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 51
 反対 38

◆義務教育で、学力が不足している生徒をもう一度同じ学年にとどめる「留年」を認めることに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 38
 反対 48

◆原子力発電を利用することに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 34
 反対 48

◆国民の間で福島第一原発事故の被災者への関心が薄れ、風化しつつあると思いますか。そうは思いませんか。
 関心が薄れ、風化しつつある 69
 そうは思わない       27

◆福島県を産地とする食べ物を食べることに、抵抗をどの程度感じますか。(択一)
 大いに感じる    8
 ある程度感じる  32
 あまり感じない  33
 まったく感じない 26

◆ご家庭に中学生以下の子どもはいますか。
 いる 29
 いない 71

 <調査方法> 15、16の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は3493件、有効回答は1801人。回答率52%。


この調査が私のところに来たと想定して回答してみます。

◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持します。
最近、若干の疑問を感じていますが、現状はまだ支持です。

◇それはどうしてですか。
首相が安倍さん、だからです。

◆今どの政党を支持していますか。
支持政党はありません。

いままで1%を維持してきた社民が0に転落しましたね。誤差でしょうけど。

◆安倍首相の経済政策で、日本経済が成長することを期待できると思いますか。期待できないと思いますか。
期待しています。どうなるかは予測できませんが。

◆安倍首相の中国や韓国に対する外交姿勢を評価しますか。評価しませんか。
評価します。現在の姿勢が正しいと思います。

◆日本と中国や韓国との関係が悪くなっているのは、どの程度問題だと思いますか。(択一)
中韓に関する一連の質問が並んでいますが、中国と韓国は別々に問うべきです。
中国との関係が悪くなることはある程度問題だと思いますが、韓国との関係が悪くなることは、まったく問題だと思いません。中国は好き嫌いはともかく大国です。韓国とは比較になりません。

◆安倍首相は、日中関係や日韓関係の改善に向けて、中国や韓国との首脳会談を急ぐべきだと思いますか。急がなくてよいと思いますか。
中国との首脳会談は可能であるなら早期に行うべきだと思いますが、交換条件があるなら応じる必要はありません。「急ぐべきだ」の中身に、何かを譲っても、という意味合いがあるのか不明瞭です。
なお、韓国との首脳会談は当面実施すべきではありません。第三国にまで日本の“悪行”を告げ口した国とは簡単に仲良くすべきではありません。

◆安倍首相が靖国神社に参拝したことは、日本の外交に悪い影響を与えていると思いますか。そうは思いませんか。
悪い影響を与えています。ただし、靖国参拝は外交のために行うものではありません。

前回の調査では「安倍首相は昨年12月、靖国神社に参拝しました。首相が参拝したことはよかったと思いますか。参拝するべきではなかったと思いますか」という設問でした。前回の結果が気に入らないから文章を手直ししたのだとすれば、こすっからいと思います。

◆学校運営や教員の人事など、教育委員会が担う地方の教育行政についてうかがいます。教育行政に、知事や市町村長の政治的な考え方がより反映される仕組みが望ましいと思いますか。知事や市町村長の政治的な考え方に左右されない仕組みが望ましいと思いますか。
「政治的な考え方に左右されない仕組み」が望ましいです。
教育委員会が正しいということではなく、選挙結果の変更を受けて右往左往するのは避けるべきです。

◆政治家が学校の学習内容をゆがめることのないよう、一定の歯止めが必要だと思いますか。そうは思いませんか。
「一定の歯止めが必要」です。
政治的成果を学校現場に影響を力及ぼすことで示そうというのは言語道断です。真摯に議論を積み重ねて学習内容をいじることは反対しません。

>◆義務教育で、成績が優秀な生徒が学年を飛び越えて進級する「飛び級」を認めることに賛成ですか。反対ですか。
賛成です。やり方はいろいろあると思いますが、基本的に賛成です。

◆義務教育で、学力が不足している生徒をもう一度同じ学年にとどめる「留年」を認めることに賛成ですか。反対ですか。
反対です。
「学力が不足している」の基準がどうなるかわかりませんが、明らかに引っかかるのが不登校の生徒です。留年させてもなんの解決にもなりません。
また、留年が制度化すれば、言うことを聞かない生徒に留年をちらつかせる教師が出てくるのは必定です。

◆原子力発電を利用することに賛成ですか。反対ですか。
前回の世論調査までの設問と文章が変わりました。今回の設問は、漠としていて、回答しにくいです。

◆国民の間で福島第一原発事故の被災者への関心が薄れ、風化しつつあると思いますか。そうは思いませんか。
どんな事故・災害でも、程度の差はあれ、時とともに関心が薄れ風化するのは必然です。仕方のないことです。

◆福島県を産地とする食べ物を食べることに、抵抗をどの程度感じますか。(択一)
あまり感じません。

こういう設問が、風評被害を助長していると思います。
似たような設問として、

・「食品を選ぶとき、放射性物質の影響を心配してどこのものか産地を気にしていますか。特に気にしていませんか」(2012年の8月の世論調査
・「飲食店のメニューなどの表示をめぐる問題についてうかがいます。レストランなど飲食店のメニューに表示されている食材の種類や産地を、普段どの程度気にしていますか」(2013年11月の世論調査

というのがありました。2013年11月のは放射能がらみではないのかもしれませんが、2012年8月のははっきりと放射能について訊いています。この程度の言及だったら問題は感じませんが、今回初めて福島県と名指しました。
世論の動向を調べるという必要性は認めますが、こころない設問は控えるべきです。

>◆ご家庭に中学生以下の子どもはいますか。
いままでにない唐突な質問です。
おそらく、他の調査とクロス集計がしたかったのでしょう。その結果で、例えば「ちいさい子供がいる人に原発反対派が多いことが判明」などという見出しを書きたかったと想像できます。しかし、解説記事にはこの設問に触れたものはありませんでした。朝日新聞が面白がれるような結果にならなかったからでしょうか。

【雑記】NISA

本日の記事は備忘録を兼ねています。

今年からはじまったNISAを利用して株を買いました。

株の取引は何年もやっていますが、こまめに売り買いするようなことはしていません。配当と株主優待目当ての取引です。買った株は基本的に長期保有です。その意味ではNISA向けの投資方針だと思います。

勉強して利ざやを稼ぐというのは性に合わないので、株取引について深い知識を持ち合わせていません。それが、今回問題になりました。

今回の株購入から一週間ほどたって、証券会社から電話がありました。

「あなたの所有する株の一部が信託銀行の口座に入っているかなにかしているため、このままだとNISAで買った株の配当に課税される。それを防ぐために心当たりのある信託銀行に電話をして確認してくれ。どの信託銀行にどういう銘柄の株がどれだけあるか確認できたら移管手続きをする。なお、信託銀行に電話をするのは本人でなければできない、つまり我々(証券会社)は代行はできない。」

とのことです。知識がないので正確に再現できていないかもしれませんが、こういったことを言っていました。

銘柄にこころあたりはありません。おそらく昔購入した株の端株かなにかだろう、とのことでした。

信託銀行に片っ端から電話をするしかないのですが、日本に信託銀行がいくつあるのかもわかりません。証券会社に信託銀行のリストをくれ、といったら教えてくれました。

次の6機関だそうです。

三菱UFJ信託銀行代行部
三井住友信託銀行代行部
みずほ信託銀行代行部
東京証券代行
日本証券代行
アイ・アールジャパン証券代行事業部

知識のある人にはくだらないことなのかもしれませんが、私にはすごく面倒事になってしまいました。

株、投信を買うなら必見!   税金がタダになる、おトクな「NISA」活用入門株、投信を買うなら必見! 税金がタダになる、おトクな「NISA」活用入門
(2013/07/26)
竹川 美奈子

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【朝日新聞】私の視点:東アジア外交 期待されている度量と忍耐 

2月15日朝日新聞朝刊オピニオン欄。「私の視点」のコーナー、東北大学教授の柳淳史の「東アジア外交 期待されている度量と忍耐」より。

 「東シナ海をめぐる日中戦争の可能性が世界の安全保障にとって最大のリスクだ」「日中間の競争は不可避だが、声高に主張しない方がいい」――。最近の英フィナンシャル・タイムズ紙の社説の論調である。
 国際社会が東アジアに求めているのは、世界経済の成長センターであり続けることだ。従って、北朝鮮情勢や中国の軍備増強による安全保障上のリスクが顕在化しないようにするための政治的環境が不可欠と考えている。
 具体的に言えば、第一に、対北朝鮮情勢を念頭に中国の建設的な協力を得つつ、緊密な日米韓連携を図ること。第二に、日中関係の安定化と改善ではないか。
 そのためには、G8の一員である日本に対する期待感が強い。たとえ中韓の側に理不尽な言動があっても、同じレベルに立って言い争ったり、競い合ったりするのではなく、成熟した大人の国家として隣国に対して忍耐と度量を示す「静かな外交」を国際社会は日本に求めているように見える。
 特に、国際社会の責任ある主要プレーヤーとして振る舞うように中国に働きかけていくことを、アジア最先進の民主主義国である日本に期待している。
 第三国との会談で対日批判を繰り返す韓国政府の頑迷さ、防空識別圏の設定に象徴される中国による挑発的な行動を受けて、国際社会と国際世論は一時、日本に同情的にも見えた。
 だが、日本が同じ土俵でやり合えばやり合うほど、国際世論は「どっちもどっち」の論調になってしまうことが危惧される。
 日本が隣国を挑発しているとの曲解や言い掛かりを許すような言動も、しばらく自重することが賢明ではなかろうか。なぜならば、隣国の反発を招くだけではなく、日本に対する否定的イメージを国際社会に与えてしまうからだ。
 たとえば、集団的自衛権の行使容認が必要だとしても、首脳同士の意思疎通が途絶えている今の状況で行えば、隣国のプロパガンダに絶好の口実を与えてしまう。日本が自主的に決めるべきものではあるが、隣国からも一定の理解が得られるような環境を整えた上で行う方が望ましいだろう。
 外交は忍耐だ。「対話の窓は常に開いている」という以上に、あえて日本の方から中韓に対して働きかけ、すぐに友好的な関係は無理だとしても、安定的な関係の回復に努める。世論も、そうした政府の姿勢を「軟弱外交」と無責任に批判せず、反中・反韓感情を自重する。それが、国際社会からの信頼を勝ち取る道でもあり、ひいては日本の国益なのである。


理不尽な相手と「同じレベル」で競争するな、とう点は同意します。しかし、それはあくまで「同じレベル」に立たないということです。具体的には、第三国相手に韓国の悪口を言わないとか、勝手に防空識別圏を広げるような行為で周辺国を挑発しない、ということです。

集団的自衛権の見直しだとか、憲法の改正だとかは、「同じレベル」ではありません。

「外交は忍耐だ」というスローガンは結構ですが、忍耐すべきことと、忍耐してはいけないことがあります。柳氏の言い分だと、日本は無制限に譲歩しなければならないようにも聞こえます。

そもそも柳氏の主張は、第三国にどう見られるかということだけをひたすら気にしているようにしか見えません。

【朝日新聞】社説:集団的自衛権―聞き流せぬ首相の答弁

2月15日朝日新聞の社説より。

 安倍首相の「立憲主義」や「法の支配」への理解は、どうなっているのだろうか。
 集団的自衛権をめぐる国会審議で、こんな疑問をまたもや抱かざるを得ない首相の答弁が続いている。
 日本国憲法のもとでは集団的自衛権の行使は認められない――。歴代内閣のこの憲法解釈を、安倍内閣で改めようというのが首相の狙いだ。
 歴代内閣は一方で、情勢の変化などを考慮するのは当然だとしつつも、「政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではない」との見解を示してきた。
 この矛盾にどう答えるか。野党議員からの問いに、安倍首相は次のように答えた。
 「(憲法解釈の)最高の責任者は私だ。政府答弁に私が責任をもって、そのうえで私たちは選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは、内閣法制局長官ではない。私だ」
 最高責任者は、確かに首相である。内閣法制局は、専門的な知識をもって内閣を補佐する機関に過ぎない。
 それでも法制局は、政府内で「法の番人」としての役割を果たしてきた。首相答弁はこうした機能を軽視し、国会審議の積み重ねで定着してきた解釈も、選挙に勝ちさえすれば首相が思いのまま変更できると言っているように受け取れる。
 あまりにも乱暴だ。
 首相の言うことが通るなら、政権が代わるたびに憲法解釈が変わることになりかねない。自民党の党是である憲法改正すら不要ということになる。
(略)


朝日新聞の社説が正しいと思います。

政権交代のたびに国の基本が揺れ動いては困ります。総理大臣は積み重ねられた憲法解釈をできるかぎり尊重すべきです。

これは安倍内閣を支持するとかしないとかの問題ではありません。集団的自衛権をどう考えるかとも無関係です。

今後、どんな政権が誕生するかわかりません。政権が憲法解釈を変更できるという判断が、後の政権の前例となってしまうことを憂慮します。

【朝日新聞】Media Times:ネットのデマ、許す空気

2月14日朝日新聞朝刊。「Media Times」のコーナー。「ネットのデマ、許す空気」より。

 《朝日新聞社に「進藤翔」記者はおりません》
 1月29日夜、朝日新聞デジタルにアップされた「お知らせ」。ネットでは「滑稽だ」「珍しいリリース」と話題になった。
 発端は1月25日にあった籾井勝人NHK会長の就任会見だ。質問した記者が「朝日の進藤翔(24)らしい」といううその情報がツイッターで拡散。朝日新聞社は放置できないと判断し、公式サイトにお知らせを出した。
(略)
 真偽が怪しい情報が流れるネット世界の根底には「マスメディアへの不信」があると、ジャーナリストの津田大介さん(40)は言う。その上で、ネットには“マスコミは情報操作している”という前提で、特定の話題の情報を集めた「まとめサイト」などで広告収入を狙う運営者と、「マスコミを正し、日本を良くすると義憤に駆られたユーザー」が集まり「共犯関係」を作っている、と解説する。
 ネット情報はどこまで正しいのか。マスメディアは報じた内容が誤っていた場合、「訂正」を出すなどの対応をとるが、ネットで誤った情報を流しても追及されることは少ない。津田さんは「ネットでは自分が信じる価値観を補強し、多くの人と共有したい気持ちが強くなり、そのためには真実を確認しようという気持ちが薄くなる」と分析する。
 ネットの特徴について、東京大学大学院の橋元良明教授(コミュニケーション論)は、匿名性が高く、根拠が薄弱でも極端な意見が注目を浴びやすく、「本当は違うのでは」と思っても声に出せない人も多いと指摘。その中にいると「『世間がみんなこうだ』と考えてしまいやすい現象が起きる」と話す。
 日本大学大学院の林成之教授(情報生命科学)は、ネットユーザーが全部そうではない、と前置きした上で「ネット社会では、同じ意見の人が集まり『そうだね、そうだね』と言っていると、正しいかどうか検証しなくなってしまう」と危惧する。
(略) 
(今村優莉)


ネットでの情報発信に記事が指摘するような側面があることは否定できません。しかし、付け加えるならば、既存マスメディアへの不信以前に、素人が発信しているという理由が大きいように思います。

既存マスメディアといっても、週刊誌や夕刊紙などは相当にあやしい情報を垂れ流しています。まして素人がネットで書くのとなると、あやういものが多くなるのは必然です。

だからネットの情報は全て疑わしいとか、逆に嘘情報を流してもいい、ということではありません。ネットの情報は玉石混交でその度合いは既存マスメディアより大きいのだ、という認識が必要ということにつきると思います。

【朝日新聞】若者に届かぬリベラル 

2月12日朝日新聞朝刊の文化欄。評論家の宇野常寛氏による「若者に届かぬリベラル」より

 平和や公正を重視する「リベラル」の声は、若者に届いていない。東京都知事選の結果をそう読み解くのは評論家の宇野常寛さんだ。注目するのは、既存の保守層よりタカ派色の強い訴えをした田母神俊雄氏が得た61万票余り。届かないのには理由がある――。

 「ネット保守」と呼ばれる層に人気が高いとされる田母神俊雄氏の票数は衝撃的でした。マスメディアの出口調査によれば、投票した20代の4分の1近くが彼に投票しました。かなりの割合が「ネット保守」と考えると、リベラル勢力は自分たちの言葉が届かない若い層がこれだけいるということを軽視してはいけないと思う。マスメディアだけの問題ではないと思います。僕を含めた30~40代のインターネットに足場を持つ若いジャーナリストや言論人の言葉が、ネット保守の動員力に対抗出来ていない。
 僕の考えでは、こうした若いネット保守層は甘く見られてきた。承認欲求が満たされない「かわいそうな若者」とレッテルを貼り、ただ軽蔑して済ませていた。しかし、ネット保守層はこうした「かわいそうな若者」にとどまらないのではないか。現実に東アジア情勢は緊迫し、北朝鮮の状況も混迷している。この状況下で、防衛、外交方針を具体的に打ち出す保守派に対して、リベラル勢力は数十年前から更新されない言葉で教条的かつ精神論的な憲法9条擁護論を繰り返すだけで、現実に存在する国民の不安に対応しようとしない。
 たとえば、自民党が国防軍の明記などを盛り込んだ憲法改正草案を発表したとき、多くのリベラルな憲法学者たちは「憲法とは何かを分かっていない」と自民党案をバカにした。もちろんこうした指摘自体は妥当だったと思うし、個人的にも支持します。しかし、リベラル勢力はこうして相手をバカにするだけで自分たちは具体的な、現実的な処方箋(せん)を出せていない。これでは、実際に国防に不安を抱いている人々を安心させるどころか、「この人たちは自分たちの話を聞いてくれない」と心を離れさせるだけです。
 私見では、国家に軍事力が必要であることも、近隣諸国の反日ナショナリズムの問題も一通り認めた上で、保守派の掲げる「重武装化」や「強気外交」以外の現実的な選択肢を提示することが、リベラルの側にもっと必要だと思う。性急な改憲や重武装化以外の手段を講じた方が、国防に結びつくというアピールが足りていない。その背景にあるのは、リベラル勢力のある種の大衆蔑視だと僕は考えています。
(略) 
(聞き手・高久潤)


宇野氏は、田母神候補が予想を超える61万票を獲得したのは、若者(20代)が右傾化しているからであり、その原因はリベラルの声が彼らに届いていないから、だと反省しています。宇野氏に限らず、田母神候補の健闘から若者の右傾化を感じる意見は多く見られます。

この意見には賛同できかねます。

前の前の知事である石原氏は4期の連続当選を果たし、得票数はそれぞれ170万-310万-280万-260万です(参:wiki)。田母神候補が石原氏より保守的とは信じられません。むしろ石原氏の方にタカ派的な発言が目立ちます。また、石原氏の得票数から考えて若者中心の支持だったとは考えにくいです。

強引なことを言えば、“今回の都知事選で右派の票は激減した。東京都民は左傾化したのだ”と解釈できます。もちろん、本気ではありません。しかし61万票を根拠に右傾化したと考えるよりもはるかに合理的な解釈です。

現実的に考えれば、東京都に「保守」勢力はもともと若者だけでなく存在しているが30代以上の「保守」は勝てそうな候補に投票した、ということだと思います。

宇野氏は違いますが、この61万票を見て、今の若者は嘆かわしいとか、頼もしいとかいう意見は、どちらも間違っていると思います。

話はそれますが、すこし前まで「保守」的思想の若者は「ネット右翼」と呼ばれていたはずです。「ネット保守」と呼び名が変わったのでしょうか? それとも別のものを指しているのでしょうか?

【朝日新聞】歴史認識の根っこ3:うつろう議論の重心

2月10日朝日新聞夕刊。神戸大の木村幹教授のインタビュー「うつろう議論の重心」より

 ――従軍慰安婦をめぐる議論が続いている
 この問題には二つの顔がある。一つは「歴史認識問題」としての顔であり、もう一つは「女性の人権問題」としての顔だ。日本では第2の顔が十分理解されていない。
 ――具体的には
 韓国でこの問題が大きく取り上げられるようになったのは1980年代以降だ。韓国の有名女子大の研究者がメディアで取り上げたのがきっかけだった。当時は酒席でサービスする妓生(キーセン)と呼ばれる女性たちの買春などを目的にした「キーセン観光」が真っ盛りで、その主な客が日本人だったことから、それと重ね合わせる形で、韓国のナショナリズムに火がついた。
(略)
 ――歴史認識を考えるには、その時代その時代の世論の形成過程まで考える必要があるということか
 そうだ。日本では慰安婦の動員に国が関与したかどうかといった点が主に議論されるが、韓国でのこの問題の主流は人権問題に移りつつある。だからこそ、海外の人権団体なども積極的に議論に参入している。この視点で見れば、NHK会長の「(慰安婦は)戦争地域にはどこの国にもあった」との発言は完全にアウトだ。奴隷制度に典型的に表れているように、人権の観点からは過去のことも批判的に議論されるからだ。
 ――今後どうすれば?
 韓国側は法律的責任を離れ、道義的責任の議論に足場を移している。だから日本政府が、補償問題は65年の日韓基本条約で解決済みといくら説明しても、「悪いものは悪いんだから謝れ」という答えしか返ってこない。問題は、多くの日本人がこうした状況を理解しておらず、議論も研究もこの20年間止まってしまっていることだ。国外での議論の展開を踏まえて、次の段階へ進まなければいけない。(聞き手 編集委員・宮代栄一)


木村氏の言っていることはよくわかりません。

法律的責任であろうと、道義的責任であろうと、事実が違うのであれば責任は存在しません。したがって、「二つの顔」のどちらであろうと、「慰安婦の動員に国が関与したかどうかといった点」だけが問題となります。

現在でもそうしたなりわいをしている人はいるのですから、いきなり人権問題と言っても納得しかねます。強制的にそういう職につかせたのであれば人権問題です。強制でなければ人権問題というのは乱暴です。強制だったのか否かがすべての鍵です。

昨今の韓国の主張を聞くにつれ、韓国とその場しのぎの妥協をすると、後でいよいよこじれるのがよくわかりました。木村氏が主張する「国外での議論の展開を踏まえて」向かう「次の段階」が、新たな妥協案であるなら、“いつか来た道”であると言わざるをえません。

【映画】ラッシュ/プライドと友情


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監督:ロン・ハワード
主演:クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール

性格もレーススタイルも相反するF1レーサー、ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)とジェームス・ハント(クリス・ヘムズワース)が激しい首位争いを繰り広げていた1976年。ランキング1位だったラウダはドイツ大会で大事故に遭遇し、深いけがを負う。復活は無理だと思われたがわずか6週間でレースに復帰し、日本の富士スピードウェイでのシリーズ最後のレースに臨む。


これは面白かったです。

F1の知識はなくても楽しめます。私はニキ・ラウダというレーサーの名前をかろうじて知っていた程度です。最終レース結果はもちろん知らずに鑑賞しました。

主人公の二人も丁寧に描いていますし、レースそのものも大音量とスピード感のあるカメラワークで迫力があります。

文句のつけどころがありません。満点です。是非、大画面で観て欲しい映画です。

【ニューズウィーク日本版】靖国参拝はお粗末な大誤算

ニューズウィーク日本版2014年1月14日号。米戦略国際問題研究所太平洋フォーラム研究員のJ・バークシャー・ミラー氏の『靖国参拝はお粗末な大誤算』より

 暮れも迫った12月26日、安倍晋三首相が靖国神社に参拝した。過去7年間、日本の首相は中国と韓国に配慮して参拝を自粛してきたが、安倍は2度目の首相就任からちょうど1年目にあたるこの日、参拝を決行した。
 まったく予期せぬ出来事だったわけではない。かねてから安倍は、首相1期目に靖国に参拝できなかったことを「痛恨の極み」と語っていた。これまで参拝の意図を問う記者団に曖昧な返事を繰り返してきたが、ずっとチャンスをうかがってきたのは明らかだ。
 靖国参拝は個人的な信念に基づく決断だと、安倍は強調している。確かに安倍が言うように、どの国の指導者も戦没者に敬意を表する権利があるし、靖国神社については誤解もある。だがタイミングがまずかった。この時期に「個人的な信念」を優先させたのは戦略的な誤りだ。
 安倍としては、どうせ中国と韓国との関係は最悪なのだから、参拝してもこれ以上悪化しないという思いがあったのかもしれない。だがこれを機に中韓が、やはり日本は第二次大戦中にやったことを反省していないと勢いづくのは間違いない。
 最近の中国は東シナ海で挑発的な行動を繰り返し、韓国も「日本外し」の外交を進めてきた。そんな両国をアメリカが厳しくいさめてきたのに、安倍は靖国参拝で中韓に助け舟を出してしまったようなものだ。むしろ地域の緊張を高めかねないとして、自分が米政府の批判を浴びてしまった。
(略)



靖国参拝への賛否とは無関係に、この記事には納得しかねます。

ミラー氏は、靖国参拝の動機が個人的な信念であり、背景に『どうせ中国と韓国との関係は最悪なのだから、参拝してもこれ以上悪化しないという思いがあったのかもしれない』と想像して、靖国参拝を『お粗末な大誤算』と断じています。そうであるなら、中国と韓国の関係が今以上に悪化すると指摘しなければなりません。『中韓が、やはり日本は第二次大戦中にやったことを反省していないと』言いつのっているのは、靖国参拝以前からのことです。靖国参拝をしても中韓との関係はこれ以上悪化しない、という安倍首相の想像は正しいように思います。

アメリカにとって安倍首相の靖国参拝が不快だった、というのは理解します。しかし、アメリカと日本は別の国であり、別の利害で動きます。アメリカにとって不都合が日本にとっての不都合ではありません。ミラー氏の論では日米の利害が区別できていないように見えます。

日本にとって(アメリカにとってではなく)、靖国参拝が成功だったか失敗だったかを考えるには、参拝した場合の利益・不利益と、参拝しなかった場合の利益・不利益を比べて考えなければなりません。参拝することとしないことを両方できませんので想像するしかありませんが、両方を考えなければなりません。


私なりに考えて見ました。

参拝の利益はありません。利益を求めての行為ではありませんので。

参拝の不利益は、アメリカとぎくしゃくしたことです。しかしオバマ政権が同盟国とぎくしゃくしているのは対日本だけではありません。中韓との関係は変わりありません。さらに言えば、安倍政権は、韓国の『日本外し』を日本にとって不都合と考えていない気配さえあります。今の状況を打破するには、韓国にのみ妥協的に出て中韓の分断をはかるのが定石だと思いますが、いっこうにそうした行動に出ません。韓国との友好は考えていないようにも見えます。

参拝しなかった(参拝しないと明言した)場合の利益は、中韓との短期的な関係改善です。しかし長期的には改善できません。中国は対外膨張政策への批判を避ける目的で日本批判をしているふしがありますので、いずれ靖国以外のネタで日本批判に転じるでしょう。韓国は国内世論に押されての日本批判ですので、これも長期的には日本批判が止むことはないでしょう。

参拝しなかった(参拝しないと明言した)場合は、安倍政権の支持率が低下します。安倍首相を応援していない層は、靖国に行かないといったぐらいで政権支持にまわりませんので、もともと支持者が離れるだけです。

※この論考は利益・不利益についての側面でのみ考えています。政教分離の原則に基づいて反対とか、戦犯がまつられているから許せなといった意見に反論するものではありません。

【展覧会】第17回文化庁メディア芸術祭

於:新国立美術館

最近コマーシャルで流れている「文化庁メディア芸術祭」に出かけてきました。コマーシャルで見て知ったのであって、いままでこういうものが存在すること自体知りませんでした。1997年から毎年開催しているので、いわゆるクールジャパン戦略以前から開催されていました。マンガやアート、アニメなどの分野から優秀な作品を表彰しようというものです。作家のはげみになるならよいことだと思います。

短編アニメは会場で視聴できました。「WHILE THE CROW WEEPS –カラスの涙-」というアニメーション部門の新人賞をとった作品が心に残りました。

私が観たことがある作品では、アニメーション部門の優秀賞に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」、同じく優秀賞に「有頂天家族」が選ばれていました。これらは予告編や原画の展示がしてありました。

2月16日までです。無料です。

【映画】僕は友達が少ない

主演:瀬戸康史、北乃きい

原作は既読です。アニメ版も観ています。結構好きな作品です。

原作と大きく違うのは、コメディでないことです。ヒロインの夜空は傍若無人な人間ですし、小鳩はかわいそうな子供で、理科は心を病んでいます。原作でもそうだといえばそうなのですがこれらをコメディとしていますが、映画では実写にしたせいなのか、はじめからの意図なのか、笑いの要素は大きく剥ぎとられています。

後半のオリジナル展開(とはいいつつ、理科の作成したゲームの話とタイムマシンの話をベースにしています)の落ちは簡単に読めました。あまりにも想像通りなのでがっかりです。もうひとひねりは欲しいところです。

エロチックな描写はよけいだったと思います。原作はもっと幅の広い読者をもっているような気がしますし、宣伝で言っているような青春映画なら大人や女性でも楽しめるように作るべきだと思いました。

興業的なことを言えば、アニメで「劇場版 僕は友達が少ない」をやった方が有利だと思います。それでもあえて実写化に挑んだことには敬意を表します。映画ではじめて接した人が原作も読んでくれたらうれしいです。

【東京新聞】作曲別人問題 虚構だらけの罪は重い

2月7日東京新聞社説より

 「現代のベートーベン」と称賛された作曲家の作品は、別人が書いた虚構の産物だった。原爆で傷ついた人や大震災の被災地の人々の希望や夢も、一瞬にして欺いたその罪はあまりに重い。
 広島出身で被爆者の両親を持つ作曲家として知られる、佐村河内(さむらごうち)守氏の「交響曲第一番 HIROSHIMA」など一連の曲は、東京の音楽大学に勤める非常勤講師が作っていた。
 音楽界では、作曲者が助手たちに譜面を書く作業を手伝ってもらうケースなどはある。
 しかし、十八年間、佐村河内氏の“影”に徹した講師が記者会見で明かした制作の実態は、驚くような偽りにまみれていた。
(略)
 悲しいことだが、人の痛みや苦しみを逆手に取ったような作曲家の“物語”は、話題に頼りがちな業界にとって格好のビジネス文句だったのではないか。映像メディアも含めて虚像づくりを担った責任はある。
 「私は共犯者です」と謝罪した講師の姿は痛々しかった。受け取った報酬も二十曲でわずか七百万円。遅きには失したが、この告白がなければ、フィクションはこの先も続いたはずだ。佐村河内氏は逃げないで、真実を説明すべきだ。
 二人の作曲家は、原爆被爆者や被災地の人々、音楽ファンの信頼を損ねてしまった。だが、音楽の持つ力は失われない。絶望に光を当て、慰め、希望に変えていく力があると信じたい。


音楽関係には疎く、この“作曲家”のことはいままで知りませんでした。作品を聴いたこともありません。

連日、新聞テレビで報道が行われていますが、正直言ってなんでこんな大騒ぎになるのか分かりません。出版の世界ではゴーストライターなど普通に存在することは誰でも承知しています。“著者”の関わり方はさまざまでしょうが、名前を貸しただけの出版物も少なからずあるとにらんでいます。

音楽の世界では珍しいのかどうか知りませんが、報道を見た限り怒っている音楽ファンはいませんでした。曲の良し悪しが変わるわけではないので当然でしょう。

記者会見に臨んだ本当の作曲者の沈痛な表情をみていると、そのうち関係者から自殺者がでるのではないかと本気で心配になります。

【本】上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史


上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史 (星海社新書)上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史 (星海社新書)
(2013/05/24)
山内 宏泰

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著:山内宏康

国立西洋美術館の常設展示作品をもとに西洋美術史を見直します。類書と異なるのは、過去から現在ではなく、逆に現代絵画から過去にさかのぼってみていきます。したがって常設展示室を逆にみてまわります。

新書一冊で西洋美術史を語りつくすのはもともと無理がありますので、概要をざっとおさらいするだけになりますが、コンパクトで概観をつかむのには適しています。

必ずしも国立西洋美術館の作品だけで解説をしているわけではありません。必要に応じて他所にある絵も参考にしています。

本書を読む前は、常設展の作品を一点ずつ解説するようなものを予測していますたが、そうではありません。西洋絵画史のおさらいが主目的の本です。

写真はすべてカラーです。正面から捉えたものだけでなく、鑑賞者といっしょに写ったものが多いです。写真に写った鑑賞者を読者に見立てているのでしょうか。著者の山内氏は写真が専門のようですので、こうした趣向をこらしているのかもしれません。

【朝日新聞】終わりと始まり:誰が薪を積むのか

2月4日朝日新聞夕刊。作家池澤夏樹氏の「誰が薪を積むのか」より

(略)
 先月、ぼくが今の日本と中国の対峙の構図に第一次世界大戦を重ねたのは警告のつもりだった。係争地で偶発的な衝突が起きて、中央政府の間に意思疎通の回路がなければ戦線は拡大する。薪に火が着き、戦闘が戦争になる。そうなっては困る、と言いたかった。
 そうしたら、一月二十二日、安倍首相はダボスで第一次世界大戦から百年目の今年、領土問題をきっかけに日中間に「偶発的な衝突が起こらないようにすることが重要だと思う」と言った。
 言うまでもないが、ぼくと首相では立場が違う。同じ歴史を踏まえた発言であるが、首相はそういう展開があり得ることを承知で、そうなってもしかたがないと明言したのだ。
 別の場で彼は「残念ながら今、(緊張緩和の)ロードマップがあるわけではない」とも言っている。あるわけではないって、あなた、それを作るのがあなたの仕事でしょうが……
 今、事態はものすごく危ないことになっている。安倍首相は自分の靖国詣でをアメリカ大統領のアーリントン墓地参拝になぞらえ、アメリカは怒った。それは当然、アーリントンに戦争犯罪人は葬られていない。死者を汚すことになると人は誰も感情的になる。それとこれとを一緒にするなと憤る。
 第二次世界大戦で我々は負けた。アメリカに負け、中国に負けた。この事実を踏まえての戦後世界の運営なのだ(今更言うまでもないが「国連」とはあの大戦の「戦勝国連合」であり、中国はその一員である)。この構図を引っ繰り返すにはまた戦争をする覚悟が要る。安倍さんにはそれがあるのかもしれないが、ぼくには無い。中国との全面戦争なんてまっぴら御免。
 今の段階ではことはパブリシティーの戦いに納まっているが、そこでも日本は負けている。ぼくはそれに荷担するつもりはないから、日本政府・官邸・安倍首相がぼこぼこに負けていると言おうか。
 中国政府が、安倍首相の靖国参りはドイツの首相がヒトラーの墓に詣でるようなものだと言った。もちろん間違い。ドイツ人はヒトラーの墓を造らなかった。今に至るまで徹底してあの男を忌避している。彼の罪について再考の余地はない。
 だからこそ、この重ね合わせは効果的だし、きついのだ。
 それを承知の上でまだ安倍首相が同じような発言と行動を繰り返すとすれば、彼は本当にどんどん薪を積んでこの国を戦争に引き込むつもりだと思わざるを得ない。
 ぼくの友だちが言った――「ここで戦争をしなければならないほど日本の経済は逼迫してるのかな」
 まさか、でも、しかし……そういう種類のバブリーな経済を信奉するのがあの首相だとすると……そこに原発再稼働を重ねると……


一月二十二日、安倍首相はダボスで第一次世界大戦から百年目の今年、領土問題をきっかけに日中間に「偶発的な衝突が起こらないようにすることが重要だと思う」と言った。
 言うまでもないが、ぼくと首相では立場が違う。同じ歴史を踏まえた発言であるが、首相はそういう展開があり得ることを承知で、そうなってもしかたがないと明言したのだ。


安倍首相は『日中間に「偶発的な衝突が起こらないようにすることが重要だと思う」と言った』のであって、これがどうして『そうなってもしかたがないと明言』と解釈できるのでしょうか。私が調べた限りでは、安倍首相から“しかたがない”と明言した事実はありませんでした。

自分が第一次世界大戦との類似を指摘するのはいいが、安倍首相が同じ指摘をするのが気に入らないというのであれば、フェアな態度とは言えません。

別の場で彼は「残念ながら今、(緊張緩和の)ロードマップがあるわけではない」とも言っている。あるわけではないって、あなた、それを作るのがあなたの仕事でしょうが……

緊張緩和をつくるのが政治家の仕事であるという指摘は正しいと思います。しかし、現在打つ手がないのであるなら、ないと誠実に訴えるのも間違った態度ではありません。そもそも“ロードマップがあるわけではない”と語ること自体が政治的な行動です。

また、日本の政治家だけの責任ではなく、中国の責任にも等しく責任があります。安部首相の責任ばかりあげつらって、中国側の責任に言及しないのは片手落ちです。

今、事態はものすごく危ないことになっている。安倍首相は自分の靖国詣でをアメリカ大統領のアーリントン墓地参拝になぞらえ、アメリカは怒った。それは当然、アーリントンに戦争犯罪人は葬られていない。死者を汚すことになると人は誰も感情的になる。それとこれとを一緒にするなと憤る。

アメリカが靖国神社をアーリントン墓地になぞらえたことに不快感を示したというのは初耳です。本当にそういう事実があったなら(報道があったなら)、池澤氏はどこで見聞きしたのかを明言すべきです。これは作り話ではないのですか?

第二次世界大戦で我々は負けた。アメリカに負け、中国に負けた。この事実を踏まえての戦後世界の運営なのだ(今更言うまでもないが「国連」とはあの大戦の「戦勝国連合」であり、中国はその一員である)。この構図を引っ繰り返すにはまた戦争をする覚悟が要る。安倍さんにはそれがあるのかもしれないが、ぼくには無い。中国との全面戦争なんてまっぴら御免。

この“構図”をひっくり返すのに再び戦争をする必要があるとは思えません。例えば、先のイラク戦争はアメリカの勝利で終わりました。あの戦争でアメリカに問題があったのでは、と70年後にイラクの政治家が発言し、なんらなかの政治的果実を手にしようとするのに、再度戦争をしたアメリカに勝つ必要があるのでしょうか。そんなことはないと思います。まして、政治家でもなんでもない一般のイラク人が発言するだけなら、全面戦争の覚悟はいりません。

池澤氏のこれらの発言は、すべて中国の主張に沿ったものです。後に続く、ヒトラーの墓参りの話も同じです。中国の手先とまでは言いませんが、知的怠慢だとは思います。

よく考えられた意見であれば、たとえ賛成できなくても読む価値はあるのですが、池澤氏のこの文章には全く感じられませんでした。

【朝日新聞】性とは、政治家の挑戦 「少数者認めて」極秘勉強会

2月2日朝日新聞朝刊、『性とは、政治家の挑戦 「少数者認めて」極秘勉強会』より

 性的少数者LGBTが政治の舞台で声を上げ始めている。多様な生き方を認める社会になるには、もっと「見える化」が必要だ。

 LGBTの国会議員や地方議員、官僚、弁護士たちが数年前から当事者だけの勉強会を開いている――そんな話から取材を始め、複数の関係者に行き着いた。
 会の存在自体が厳に伏せられているが、名称は「永田町」「霞が関」に由来するという。20人程度のメンバーの多くが職場などで性的指向を公にしていないからだ。規約には口外禁止規定もある。
 関係者によると、勉強会は東京都内で2カ月に1回程度。メンバーはLGBTを巡る国内の判例や海外の事例、仕事上の取り組みを紹介し、職場や地域がカミングアウトしやすい雰囲気かも意見交換している。関係者の一人は「永田町・霞が関ではLGBTの問題はないものとされてきた。そこで働く当事者がつながれば、政治に働きかけやすくなる」と言う。
 公の場でもLGBTの動きは活発になりつつある。
 「みなさんを誇りに思います」。1月19日、都内で開かれたLGBTの成人式。世田谷区議の上川あや氏(46)は約170人の門出を祝った。
 上川氏は2003年、日本で初めて性同一性障害を公表して当選。3回の当選の間、LGBTの人権を訴え専用の相談窓口も作った。当初は「親はどういう育て方をしたんだ」と批判も浴びた。それでも議員を目指したのは「訴えなければ『いない』ことにされ、『変態』と言われて終わる」と考えたからだ。可視化への挑戦だった。
 昨年5月にはレズビアンだと公言し、民主党公認で07年の参院選に立候補した尾辻かな子氏(39)が繰り上げ当選した。尾辻氏の任期はわずか2カ月だったが、参院法制局を巻き込み、議員立法による同性パートナーシップの法制化などの検討を進めた。11年にゲイを公表して豊島区議に当選した石川大我氏(39)は昨年9月、社民党党首選に立候補。「弱い立場の人の声をすくいたい」と訴えた。
 上川氏はこうした「後輩」たちの挑戦を「小石であっても、海に投げ続けて底流を変えていく試みだ」と語る。
(略)
 (二階堂友紀)


はじめに断っておきますが、私は性的少数者に偏見はもっていません。他人に迷惑をかけているわけでもないのに社会から排斥されるのは間違っていると考えています。

しかしながら、同性愛を職場や社会での“カミングアウト”を良しとする考えには疑問を持ちます。性的指向を赤の他人に話さなければならない理由はありません。

ありていに言えば、職場は自分のすべてをさらけ出すためにあるのではなく、稼ぐためにあるのです。同僚としての興味は、その人の仕事の能力だけです。仕事を超えて友人になったらそうしたことを話してもいいのかもしれませんが、特につながりのない同僚から同性愛者だと打ち明けられても困惑するだけでしょう。

同性愛にカミングアウトが必要だと思いません。カミングアウトできるかできないかで社会の成熟度をはかるのも間違っています。

ただし、性同一性障害の場合は、職場の協力と理解がいるので、いわゆるカミングアウトが必要なのかもしれません。LGBTのうちTだけは特別だと考えます。

【朝日新聞】投書欄:文楽の皆さん、東京へどうぞ

2月3日朝日新聞朝刊。神奈川県の会社員の男性(51)の投書です。

 大阪市の国立文楽劇場の年間入場者数が目標に達しなかったため、市が補助金を削減するとの記事を読んだ。文楽協会の皆さん、どうぞ東京にお引っ越しください。
 東京・三宅坂の国立劇場では、大阪より料金が高い場合も多いのだが、毎度大入り満員で切符が取れず困っている。東京で取れないので、大阪に文楽を見に出かけることがある。なるほど、気の毒なほどに客の入りが悪い。
 文楽が大阪で生まれた芸術であることは百も承知だが、「武士は食わねど」の時代ではない。食わなければそれこそ文楽がなくなってしまう。ここ十数年、若い技芸員が突然舞台からいなくなってしまうのに接する。芸道の厳しさに耐えられない人もあろうが、収入の不十分さに去っていく人も多いと察している。
(略) 

傾聴に値する意見だと思います。

大阪市が、予算の関係で補助金を出せないというのであればいたしかたありません。大阪市民でもない人間が、文化のために金を出せ、と言うのは筋違いです。しかし、文楽は伝統芸能ですので、簡単になくしていいわけがありません。なくならないまでも、採算の合わない大阪で頑張る意味はあまりないでしょう。

投書子の言うように、東京で大入り満員になっていて、大阪では客が入らないというのであれば、東京の公演を主とすべきです。

それはともかく、51歳の会社員が文楽についての造詣が深く、神奈川から大阪まで公演を観にいくことがあるとは、なかなかに充実した人生だと感嘆しました。


あらすじで読む名作文楽50 (ほたるの本)あらすじで読む名作文楽50 (ほたるの本)
(2005/06)
高木 秀樹、青木 信二 他

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【朝日新聞】アニメが1~4位独占 昨年の邦画興行収入

2013年の映画ランキングの記事です。

 国内の大手映画会社4社で作る日本映画製作者連盟(映連)は28日、2013年の興行概況を発表した。宮崎駿監督の引退作「風立ちぬ」が興行収入(興収)120億2千万円を稼いだのをはじめ、邦画の上位4位までをアニメが独占した。洋画も上位5本のうち2本がアニメだった。
 邦画の上位を占めたアニメはいずれも「基礎票」のしっかりした定番作品。むしろ実写の方に「海猿」や「踊る大捜査線」のようなメガヒットがなかったのが主な原因とみられる。ただ現在公開中の「永遠の0」は80億円を超える勢いで、4月にはヒット作の続編「テルマエ・ロマエ2」が公開される。今年は実写が盛り返しそうだ。
 邦画・洋画を合わせた総興収は前年比0・5%減の約1942億円、入場人員は0・5%増の約1億5588万人と、いずれも前年並み。公開本数は1117本と初めて千本を超えた。またスクリーン数は3318で、3年ぶりに増加。前年に洋画の約2倍の65・7%に達した邦画のシェアは60・6%にとどまった。
 会見で、松竹の迫本淳一社長は映画界の今後について、「邦画各社が頑張って、(引退した)宮崎監督に近づけるようなクリエーターを育てていかなければならない」と語った。(石飛徳樹)

 ■2013年興収ベスト5(単位は億円)
 【邦画】                    興収
(1)風立ちぬ                120.2
(2)ONE PIECE FILM Z     68.7
(3)映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館 39.8
(4)名探偵コナン 絶海の探偵         36.3
(5)真夏の方程式               33.1

 【洋画】
(1)モンスターズ・ユニバーシティ       89.6
(2)レ・ミゼラブル              58.9
(3)テッド                  42.3
(4)シュガー・ラッシュ            30.0
(5)007 スカイフォール          27.5



邦画・洋画のベスト5の中で観たのはが「レ・ミゼラブル」の一本だけでした。感想はここです。

「風立ちぬ」は声優に素人を起用したので映画館での鑑賞はやめました。これまでもジブリの声優起用には疑問を持っていましたが、タレントや俳優という一応プロの人材を使っていました。しかし、今回は限度を超えています。お金を取っていい作品とは思えません。

「ONE PIECE」「ドラえもん」「コナン」は守備範囲ではないので観ていません。

「真夏の方程式」はテレビドラマを観ていなかったので、避けました。

「モンスターズ・ユニバーシティ」「シュガー・ラッシュ」も守備範囲外です。レンタルして、英語学習のために英語字幕で視聴するかもしれません。

「テッド」は、大画面で観る必要を感じませんでした。面白いという評判なのでレンタルで観るかもしれません。

「007」は観たかったのですが、スケジュールの関係で観られませんでした。


アニメと実写の比較をしたいのであれば、メガヒットの5本で比較するのもよいですが、中ヒットやこけた映画も含めたすべての観客動員数の比較もすべきです。作品数の比較も欠かせません。

日本映画製作者連盟から資料をもらって書いただけのような記事だと思います。もっと多面的に迫って欲しいです。

【映画】大脱出


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主演:シルベスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー

二大アクションスターの共演で話題の映画です。

脱獄ものだと、脱獄が成功した際に爽快感があるのですが、この映画ではあまりありません。知恵を絞って脱獄というのではなく、機関銃をバリバリ撃ちまくって逃げ出すという映画だからです。主演の二人に合わせたのでしょう。そうはいっても、スタローン頭脳派の演技は結構さまになっていました。

一方の、シュワルツェネッガーの方はあまり謎の男という雰囲気を出し切れていない感があります。役の上でも、シュワルツェネガーは割りをくっています。それなりに複雑な設定があるのですが、うまく生かしきれていません。もっと単純に、刑務所所長を演じて、“二大スターの激突!”という具合にした方がよかったかと思います。

なお、この映画のポイントは、刑務所がどこにあるのかわからない、というのが大きな魅力だったはずでした。しかし、日本でだけなのか、宣伝で刑務所の場所を盛大にバラしているのががっかりです。映画の出来とは関係ありませんが、関係者は猛省すべきです。

映画自体は、満足のいくものでした。
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Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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