【時事問題】ヘイトスピーチ対策とデモ規制

8月31日朝日新聞は、ヘイトスピーチ対策の検討の中で国会周辺でのデモ活動規制を自民党内に検討の動きのあることを伝えています。

 原発の再稼働に反対する人たちが30日、国会正門前で抗議集会を開いた。自民党内では、ヘイトスピーチへの対策とともに国会周辺での街宣・抗議活動への規制についての議論が始まった。脱原発を訴える参加者からは、政府に抗議するデモなどが制約されないか、危ぶむ声が聞かれた。
(略)


私自身は即時原発停止には疑問を持っていますので、反原発デモ活動には賛同していません。しかし、「ヘイトスピーチ規制」にからめてデモ活動を押さえ込むことには強く反対します。

もともと「ヘイトスピーチ」は特定民族を威嚇し差別を助長する危険がある、つまり語っている内容に問題があるとされているものです。これはこれで言論・表現の自由に抵触する恐れがあるため、うかつな規制には慎重であるべきだと思います。一方で、国会周辺のデモは、音がうるさいといった言論内容に無関係な理由での規制されようとしています。性質がまるで違うことなので別々に議論されるべきです。

「ヘイトスピーチ」を口実に、国会周辺でのデモ規制に乗り出そうというのは悪ノリが過ぎます。
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【映画】喰女-クイメ-

監督:三池崇史
主演:市川海老蔵

四谷怪談(の舞台劇の稽古)と現実が交錯しながら、さらに妄想が重なり合い、不可思議な世界が展開します。

現実世界の出来事は説明が省かれ、解釈は観客に委ねられているかのようです。公式ホームページでは、ベテラン女優が自分の彼氏(市川海老蔵)を伊右衛門役に推薦した、とありますが、実際の映画ではそれを裏付ける説明はありません。徹底的に説明を省いているとしか思えません。明確なのは、舞台稽古でみせる四谷怪談のストーリーだけです。そのため、最後まで観てもこの映画が、ホラー(超自然現象が起きている)のか、サスペンスなのかもはっきりしませんでした。

市川海老蔵の演技も、小細工的な仕草や表情を排し、重厚で緊迫感がありました。さすがに歌舞伎俳優といったところです。ネットの映画評の一部に、海老蔵が大根であるとの批評があるのを見ましたが、これには賛同できません。特に海老蔵のファンということではありませんが、終始目が釘付けになりました。

明確なストーリーが好きな人にはお勧めできません。あと男女の絡み合いのシーンが過剰なので、家族向けでもありません。好きな人と認めない人で評価が二分される映画だと思いました。私は楽しめました。

【朝日新聞】社説:A級戦犯法要―聞きたい首相の歴史観

8月29日朝日新聞の社説です。

 「私人としてのメッセージ」で済む話ではないだろう。
 安倍首相が今年4月、A級、BC級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要に、自民党総裁名で哀悼メッセージを書面で送っていた。
 「今日の平和と繁栄のため、自らの魂を賭して祖国の礎となられた昭和殉職者の御霊に謹んで哀悼の誠を捧げる」
(略)
 日本は、東京裁判の判決を受け入れることによって主権を回復し、国際社会に復帰した。同時に、国内的には、戦争責任を戦争指導者たるA級戦犯に負わせる形で戦後の歩みを始めた。
 連合国による裁判を「報復」と位置づけ、戦犯として処刑された全員を「昭和殉難者」とする法要にメッセージを送る首相の行為は、国際社会との約束をないがしろにしようとしていると受け取られても仕方ない。いや、何よりも、戦争指導者を「殉難者」とすることは、日本人として受け入れがたい。戦後日本が地道に積み上げてきたものを、いかに深く傷つけているか。自覚すべきである。
 首相の口からぜひ聞きたい。
 多大なる犠牲を生み出し、日本を破滅へと導いた戦争指導者が「祖国の礎」であるとは、いったいいかなる意味なのか。あの戦争の責任は、誰がどう取るべきだったと考えているのか。
 「英霊」「御霊」などの言葉遣いでものごとをあいまいにするのはやめ、「私人」といった使い分けを排して、「魂を賭して」堂々と、自らの歴史観を語ってほしい。
 首相には、その責任がある。


安倍首相に歴史観を語れと迫っていますが、賛成反対は別として、首相の歴史観(戦犯に関する評価)はわりと明らかです。それは今回送ったメッセージからも分かります。

分からないのは朝日の社説子の歴史観の方です。社説は巧妙に誤魔化していますが、戦犯にはA級とBC級がいるにも関わらず、A級戦犯を戦争指導者として非難するところで思考停止しています。BC級戦犯も『「殉難者」とすることは、日本人として受け入れがたい』のか否かはっきりさせるべきです。

【朝日新聞】論壇時評:戦争と慰安婦 想像する、遠く及ばなくとも

8月28日朝日新聞朝刊。作家・高橋源一郎氏の「戦争と慰安婦 想像する、遠く及ばなくとも」より

(略)
 「先の戦争」が残した、大きな傷痕の一つ「慰安婦問題」に、今月、大きな動きがあった。朝日新聞が、「慰安婦強制連行」の証拠としてきた「吉田清治発言」を「虚偽だと判断し、記事を取り消」すと発表したのだ。「強制連行」があったかどうかは、もともと本質的な問題ではなかったはずだ。なのに、この一連の記事によって、いつしかそれは「慰安婦問題」の中心的論点になってしまった。そのことの責を新聞は負わなければならないだろう。だが、わたしが取り上げたいのは、そのことではない。
 たとえば、秦郁彦の『慰安婦と戦場の性』は、この問題について、広範で精密な資料を提示する「代表的」な文献とされる。けれど、わたしは、この、「正確な事実」に基づいているとする本を読む度に、深い徒労感にとらわれる。
 秦は、慰安婦たちの「身の上話」を「雲をつかむようなものばかり」で、「親族、友人、近所の人など目撃者や関係者の裏付け証言がまったく取れていない」と書いた。慰安婦たちのことばを裏付ける証言をするものなどおらず、彼女たちのことばは信ずるに足りない、と。ほんとうに、そうなのだろうか。
 先の戦争で、数百万の日本人兵士が戦場へ赴いた。その中には、多くの小説家たちがいた。生き残り、帰国した彼らは、戦場で見たものを小説に書き残した。そこには、歴史家の「資料」としてではなく、同じ人間として生きる慰安婦たちの鮮やかな姿も混じっている。
(略)


以降、慰安婦を描いた小説をいくつか紹介して「深い徒労感」のゆえんを説明します。

徒労感にとらわれたのは、真面目に読んだ新聞読者の方だと思います。少なくとも私は唖然としました。歴史資料の分析への反論として小説を持ち出すとは馬鹿馬鹿しい限りです。

朝日新聞の応援のつもりかもしれませんが、まるっきり無価値な論考です。

【朝日新聞】世論調査―質問と回答 (8月23、24日実施)

8月26日朝日新聞朝刊に世論調査の結果が発表されました。

(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は7月26、27日の調査結果)

◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する 42(42)
 支持しない 35(36)

◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。上は「支持する」42%、下は「支持しない」35%の理由)
 首相が安倍さん 14〈6〉 7〈3〉
 自民党中心の内閣 17〈7〉 15〈5〉
 政策の面 48〈20〉 70〈24〉
 なんとなく 18〈8〉 7〈2〉

◇(「支持する」と答えた42%の人に)これからも安倍内閣への支持を続けると思いますか。安倍内閣への支持を続けるとは限らないと思いますか。
 これからも安倍内閣への支持を続ける 42〈18〉
 安倍内閣への支持を続けるとは限らない 52〈22〉

◇(「支持しない」と答えた35%の人に)これからも安倍内閣を支持しないと思いますか。安倍内閣を支持するかもしれないと思いますか。
 これからも安倍内閣を支持しない 60〈21〉
 安倍内閣を支持するかもしれない 34〈12〉

◆今、どの政党を支持していますか。

自民34(33)
民主6(5)
維新1(1)
公明2(3)
次世代0(-)
みんな0(0)
結い0(0)
共産2(2)
生活0(0)
社民1(1)
大地0(0)
改革0(0)
その他の政党0(0)
支持政党なし45(50)
答えない・分からない9(5)

◆政府は、企業や役所で女性が管理職などの指導的地位に占める割合を2020年に30%にするという目標を掲げています。この政府の目標について、どう思いますか。(択一)
 強く賛成 26
 やや賛成 53
 やや反対 14
 強く反対 2

◆女性が上司になることに抵抗がありますか。抵抗はありませんか。
 抵抗がある14
 抵抗はない82

◆管理職などの指導的地位にある女性を増やそうとするときに、何が一番大きな問題になると思いますか。(択一)
 家庭と仕事の両立 46
 個人の意欲や適性 28
 会社の姿勢 22

◆安倍首相の女性の活用を掲げている政策が、女性にとって働きやすい社会の実現につながると思いますか。そうは思いませんか。
 実現につながる 38
 そうは思わない 44

◆夫婦が、赤ちゃんをほかの女性に産んでもらう代理出産についてお聞きします。現在国内では代理出産は原則禁止とされていますが、希望する人もいて、海外で出産してもらうケースがあります。日本での代理出産について、認めるべきだと思いますか。認めるべきではないと思いますか。
 認めるべきだ 42
 認めるべきではない 42


この世論調査が私のところに来たと想定して回答してみます。

>◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持します。

>◇それはどうしてですか。
首相が安倍さん、だからです。

>◇(「支持する」と答えた42%の人に)これからも安倍内閣への支持を続けると思いますか。安倍内閣への支持を続けるとは限らないと思いますか。
支持し続けるとは限りません。

この質問は6月から続いています。いままでのデータを並べてみます。数字は全体に対する割合です。

8月26日
これからも安倍内閣への支持を続ける 18
安倍内閣への支持を続けるとは限らない 22
これからも安倍内閣を支持しない 21
安倍内閣を支持するかもしれない 12

7月29日
これからも安倍内閣への支持を続ける  18
安倍内閣への支持を続けるとは限らない 22
これからも安倍内閣を支持しない 22
安倍内閣を支持するかもしれない 12

7月6日
これからも安倍内閣への支持を続ける  18
安倍内閣への支持を続けるとは限らない 20
これからも安倍内閣を支持しない 15
安倍内閣を支持するかもしれない 14

6月23日
これからも安倍内閣への支持を続ける  18
安倍内閣への支持を続けるとは限らない 23
これからも安倍内閣を支持しない 19
安倍内閣を支持するかもしれない 12


こうしてみると、安倍内閣への強い支持層は岩盤のように18%を維持しています。また、強い批判層は揺れ動いていますが、今回は割りと高めに寄っていることがわかります。

>◆今、どの政党を支持していますか。
支持政党はありません。

>◆政府は、企業や役所で女性が管理職などの指導的地位に占める割合を2020年に30%にするという目標を掲げています。この政府の目標について、どう思いますか。(択一)
反対です。役所はともかく民間に目標を押し付けるのは問題があります。役所にしたところで、数字目標を立てると管理職にふさわしくない人材を管理職にしてしまう事態もあり得ます。強く反対します。

>◆女性が上司になることに抵抗がありますか。抵抗はありませんか。
まるで抵抗ありません。私は女性上司の下で働いたことがあります。

>◆管理職などの指導的地位にある女性を増やそうとするときに、何が一番大きな問題になると思いますか。(択一)
個人の意欲や適性が一番の問題です。

>◆安倍首相の女性の活用を掲げている政策が、女性にとって働きやすい社会の実現につながると思いますか。そうは思いませんか。
女性にとって「活用」されることが、働きやすい社会になることなのでしょうか?出世することが幸せ、という考えが根底にあるようで、違和感があります。

>◆夫婦が、赤ちゃんをほかの女性に産んでもらう代理出産についてお聞きします。現在国内では代理出産は原則禁止とされていますが、希望する人もいて、海外で出産してもらうケースがあります。日本での代理出産について、認めるべきだと思いますか。認めるべきではないと思いますか。
認めるべきだと思います。海外で代理出産が可能であるなら、実質的に貧困層だけが禁止されていることになります。


今回の世論調査では、慰安婦問題の朝日新聞の“誤報”について、意見を募るべきだったと思います。

【朝日新聞】「グローバル人材」は自ら育つ

8月26日朝日新聞朝刊オピニオン欄。東京大学大学院教授・松井彰彦氏の『「グローバル人材」は自ら育つ』です。

 政府は、我が国の「経済社会の発展に資することを目的に、グローバルな舞台に積極的に挑戦し世界に飛躍できる人材の育成を図るため」として、「スーパーグローバル大学等事業」などを展開している。しかし、グローバル人材の育成は、日本の「経済社会の発展に資することを目的」にすべきものなのか。そもそもグローバル人材とは何なのか、考えてみた。
(略)
 グローバル人材は、渡航を目指す世間的な意味でのトップ層の人間だけに限らない。「アトリエ インカーブ」のアーティスト、寺尾勝広氏は渡航経験がなくとも、真のグローバル人材だ。
 寺尾氏は計画教育の中では規格外とされた「知的障害者」である。しかし、海外では2メートル四方の絵が400万円で売れる人気の画家だ。大阪のアートフェアでも、私が数万円するはがき大の絵を買おうか買うまいか悩んでいるとき、仏国の画廊関係者がやってきて、部屋を見回し、一番大きい寺尾氏の絵を見て、すぐさま購入を決めていった。真のグローバル人材の元には海外から人がやって来る。
 ミラノ在住の青盛のぼるさんも日本での評価よりも海外での評価が高いオペラ歌手だ。音楽家の登竜門である日本音楽コンクールで最高位を受賞した後、「安定より自分の可能性に挑戦した」と言う彼女は単身ミラノに渡り、オペラの本場でタイトルロール(主役)をこなす歌姫に成長する。世界最高峰とも言えるザルツブルクの祝祭大劇場では、スタンディングオベーションがしばらく鳴りやまなかったという。
 アベノミクスのいう「グローバル人材」は、日本の成長戦略に資する人材であり、日本人としてのアイデンティティーが確立された人材である。しかし、真のグローバル人材に国境はない。彼らは世界を舞台に自分の運命を切り拓く人間であり、日本よりも世界を見据える人間である
 その昔、アレクサンドロス大王の「望みのものがあれば何でも叶えてやるから言ってみよ」との問いに、「あなたがそこに立っていると、日陰になってしまうのでどいてください」と答えたというディオゲネスのように、権力にへつらわず、自由を愛し、干渉を嫌う人間である。
 経済学の祖、アダム・スミスは政府主導の施策の危うさを指摘した。「人間社会という巨大なチェス盤においては、各々のコマがそれ自身の行動原理に従う。それは為政者が押し付けようとするものとは異なるものである」(アダム・スミス「道徳感情論」、拙訳)。
 為政者が下手にレールを敷けば、敷いたレールの上しか歩もうとしない人材しか育たない。「好きやから、飽きへん」と、鉄骨の絵をひたすら描き続ける寺尾氏を見いだした「アトリエ インカーブ」代表の今中博之氏は、教育は邪魔だ、ときっぱりと言う。
 「敷かれたレールに縁がなかった」と笑う青盛さんは、日本では小さな教会や区民会館で、彼女の歌を愛する友人やリピーターたちに一年に一度だけ、その歌声を披露してくれている。今年の東京でのリサイタルは9月6日。私も娘とともに、真の意味で世界で翼を広げる歌姫に逢いに行く。


アベノミクスの「グローバル人材」に対して、松井氏は「真のグローバル人材」という概念を打ち出しています。

アベノミクスの想定する「グローバル人材」は、松井氏によれば、「日本の成長戦略に資する人材であり、日本人としてのアイデンティティーが確立された人材」です。おそらくこの定義で政府も異存はないと思います。

一方、「真のグローバル人材」は、
・真のグローバル人材の元には海外から人がやって来る
・真のグローバル人材に国境はない。
・世界を舞台に自分の運命を切り拓く人間
・日本よりも世界を見据える人間。
・ディオゲネスのように、権力にへつらわず、自由を愛し、干渉を嫌う人間
というものです。

簡単に言ってしまえば、アベノミクスが育成したい人材と松井氏が尊重する人材が別のタイプだということです。「真の~~」とつけることで、両者の人材が同時に生まれないかのように錯覚させているに過ぎません。

「グローバル人材」を養成することが、「真のグローバル人材」が生まれるのが阻害されるという根拠はありません。国民全員を「グローバル人材」にしようとしているわけではないのですから。また、アベノミクスの求める「グローバル人材」が不必要だとも説明できていません。

つまり、アベノミクスの「グローバル人材」政策が間違っているとは論証できていません。

余談ですが、
>大阪のアートフェアでも、私が数万円するはがき大の絵を買おうか買うまいか悩んでいるとき
>今年の東京でのリサイタルは9月6日。私も娘とともに、真の意味で世界で翼を広げる歌姫に逢いに行く。

こうした文章には気味の悪いものを感じます。「真のグローバル人材」を見抜いている自分と自分の娘自慢を、臆面もなく書いているようにしか見えません。

【朝日新聞】揺れ動く民主主義 

8月21日朝日新聞朝刊オピニオン欄。英オックスフォード大学名誉教授のアーサー・ストックウィン氏(日本政治の研究家)が日本の「揺れ動く民主主義」について語っています。

(略)
 ――政治の混乱の原因に、選挙制度の問題がありませんか。
 「政党政治と選挙制度は、相互に影響し合う関係にありますが、肝心なのはしっかりとした責任ある野党が育つかどうかです。戦後、野党の歴史は、失敗の歴史でした。社会党は長い間野党第1党でしたが、政権を取ろうとする意思がありませんでした。私は60年代から社会党の研究を始めましたが、彼らは政権に入るのを怖がっているようにさえ見えました。社会党は労働組合の総評と進歩的知識人の政党でした。イデオロギー色があまりに強く、総評に依存して国民への広がりに欠けました。細かい理論闘争ばかりを繰り返し、党綱領がマルクス主義から脱するのは80年代で、時すでに遅すぎたのです」
 「英国には労働党、ドイツには社会民主党があり、それぞれ幾度も政権を担当しています。日本の社会党の『安保条約廃棄』のような硬直したイデオロギー的立場はとっていません。日本には、政権を担当できるセンターレフト(中道左派)の野党が育たなかった。それが、民主党の失敗までつながっています」
 ――今の政治は、一強多弱です。
 「12年の選挙で、民主党は総崩れだった。社民党は消えかかっているし、共産党も弱い。維新やみんなの党は右寄り。連立政権に入っている公明党はナショナリズム色は薄いはずなのに、集団的自衛権の問題では歯止めにならなかった」
 「先ほど述べたセンターレフトがぽっかり空いているのです。世論調査を見ると、憲法改正、とくに9条改正については反対の声が増えています。国会が、国民の意見の分布を反映していません。政党の役割は、国民の要求をくみとり、それを提案にまとめ、具体的な政策にすることにあるのに、その責任を果たす野党があまりに力不足です」
 ――民主党は再生できますか。
 「道は険しいでしょうが、他にセンターレフトを埋める政党は見あたりません。再生のカギは、魅力的で整合性のある綱領をつくれるかどうかでしょう。社会保障に重点を置くこと、そして経済や外交の政策を現実主義的なものにすることです。一歩一歩進んでいくしかありません。安倍政権は様々な問題をかかえていますから、やり方次第では、再建は不可能ではないと思います」
(略)


私は、具体的に自民党に不満があるわけではありませんが、政権交代可能な野党が存在することは日本に必要だと考えます。そしてその役割を担えるのは民主党しかありません。曲がりなりにも与党の経験があり、過半数を超える候補者を擁立できるのは民主党だけだからです。

ストックウィン氏は民主党再建の「道は険しい」と考えているようですが、私はそうは思いません。ここ数回の選挙は非常に揺れ動きやすい民意に選挙結果が左右されています。民主党が特になにもしなくても、次の選挙で政権交代がおきてもなんの不思議もありません。

むしろ、党論を無理に一致させるような行動が全体主義的な匂いを漂わせ、党再建を阻むと考えます。その意味で「センターレフト」で党をまとめようという提案には疑問を持ちます。

【展覧会】幻獣神話展 寓意夢想の召喚

於:Bunkamura Gallery

ファンタジー系の作品の展覧会です。販売もしています。作品ごとに値段がついていてそれも面白かったです。

作品は、絵画・立体作品などさまざまです。作家は50人あまり。麻宮騎亜・いしいひさいち・諸星大二郎といった有名漫画家も加わっています。

小さい会場でしたが、サブカルチャー系統の世界は好きなので、結構堪能できました。

それはともかく、展覧会名とその副題は一般人だとちょっと入りにくい気がします。楽しんで企画したのはわかりますが・・・

入場無料。
8月27日(水)まで

【展覧会】江戸妖怪大図鑑 第二部「幽霊」

於:太田記念美術館

第一部「化け物」は見逃してしまいました。第二部の「幽霊」は会期末ギリギリで行けました。

浮世絵の中で特に「幽霊」を扱ったものの展示です。

北斎の「百物語」の現存する5作品すべてが揃っていました。北斎以外の幽霊画は、人間の格好をしたまま幽霊になったように描いています。しかし、「百物語」の幽霊はむしろ化物といった方が似つかわしく描いているのが印象に残ります。また、そこはかとないユーモアーがあるのも特徴でしょうか。

大変面白かったです。

第二部は8月26日(火)まで
第三部「妖術使い」は8月30日から9月25日までです。

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【朝日新聞】社説:万引き犯公開―制裁につながるリスク

8月22日朝日新聞社説。「万引き犯公開―制裁につながるリスク」より。

 マンガの古書、フィギュアなどを売る東京・中野の店が、万引き犯とおぼしき人物の顔写真の公開を考えていると明かし、議論をよんだ。
 盗んだ品物を期限内に返さなければ公開すると、ホームページ上で通告したのだ。
 盗まれたのは、販売価格27万円のブリキ製おもちゃ。店は警察の要請に応じ、顔写真の公開は踏みとどまった。警察は提供された画像も手がかりに、容疑者の男性を逮捕した。
 それでも店側は「多くの捜査員を投入するくらいなら、映像を公開した方が効率的では」との思いを残す。
 背景には、警察に被害を届け出てもなかなか捜査に動いてくれず盗まれた物を取り戻せないという不満もあったのだろう。
 しかし当事者が犯人を特定し、その写真を公開することは大きな問題をはらんでいる。
 いったんホームページ上で公開されれば、事件が解決し、店側が削除しても、その画像はインターネット世界を漂い、半永久的に残る。
 公開画像が本当に犯人かどうかの検証もできず、人違いのおそれも排除できない。
 商品を取り返すことが目的だったにせよ、犯人として顔をさらされた側には強い制裁となる。第三者から攻撃されるなど、公開した側が意図しない事態を引き起こすかもしれない。
 だから、日本を含めた法治主義のほとんどの国では私人による訴追、制裁を認めていない。犯罪の捜査は警察などの捜査機関にゆだねる。その刑事手続きも、容疑者の人権をふまえ厳格に定められている。
(略)


いったん「公開」されればインターネットの世界に半永久的に残るのも、「公開」した側が意図しない事態を引き起こすかもしれないのも、被害者の私的報復に限りません。マスコミの報道も同じ危険をはらんでいます。

朝日新聞が上記の理由で私的な捜査・制裁に反対するなら、マスコミの犯罪報道にも同じ基準を適用して、有罪確定前に容疑者の情報をたれながすことをやめるべきです。

無意識に自分達は別だ、と考えているのでしょう。マスコミの特権意識が垣間見られました。

【朝日新聞】社説:生活保護 外国人の扱い法律で

8月20日朝日新聞社説。「生活保護 外国人の扱い法律で」より

 日本が受け入れた外国人が経済的苦境に陥ったとき、最低限の生活ができるセーフティーネットはどうあるべきか。
(略)
今の運用では、働くことが目的で入国する外国人は対象外となる。
 しかし、今後、介護や建設、家事労働など、これまでより幅広い分野で外国人を受け入れることになったときも同じでいいのか。人口減に直面して、外国人の活用が盛んに議論されている中での新たな課題である。
 不法滞在者や生活保護目当ての人が排除されるような仕組みを構えるのは当然としても、労働力として外国人を受け入れるならば、セーフティーネットも同時に考えるべきだ。今回の判決を契機に、外国人の扱いをきちんと法律で定めることを検討するべきではないか。


唖然としました。

現在考えられている政策は、労働者不足に対応するために数年間働いてもらって帰国してもらおうというものです。日本に骨を埋めてもらおうというものではありません。日本にいる間は労働するのが前提です。社説がいうように「働くことを目的で入国」しているのです。

したがって、彼らが生活保護を申請するというのは考えられません。仕事がなくなったのであるなら帰国するのが当然です。これは外国人差別ではありません。政策の目的から必然的に導かれる帰結です。

朝日新聞がなにを思ってこのような社説を掲げるのか不思議でなりません。

【朝日新聞】地方都市は生き残れるか

8月20日朝日新聞朝刊。明治大学教授・小田切徳美氏の「地方都市は生き残れるか」より

 急激な人口減少で全国の自治体のほぼ半数は2040年までに消滅する可能性がある――。民間研究機関が描き出した日本の将来像が波紋を広げている。「消滅」と名指しされた小さな市町村には、悲観的なムードも漂う。どう受け止め、乗り越えればいいのか。長年、過疎問題に取り組んできた明治大学教授の小田切徳美さんに聞いた。
 (略)
 ――推計自体については、どう評価しますか。
 「推計は2010年の国勢調査の数字を使っているため、仕方がない面はありますが、11年の東日本大震災以降、顕著になった若者の『田園回帰』の動きがまったく反映されていないため、一部自治体では現状とかけ離れてしまっています」
 ――田園回帰?
 「地方へのUターン、Iターンのことです。NPO法人『ふるさと回帰支援センター』の移住相談件数をみると、08年の約2900件が、13年は約1万1千件で、3・8倍という驚くべき伸びです。かつて『団塊の世代』のUIターンブームがありましたが、今は過半数が40歳代以下で約7倍に増えています」
 「相談者が全員移住するとは限りませんが、たとえば鳥取県では11年度に504人だった移住者が13年度には962人に増え、1・9倍になっています。同県日南町ではこの3年間で人口の約2%にあたる102人が移住してきました。隣の島根県でも人口2400人のうち移住者が1割超を占める海士(あま)町などいくつかの市町村で転入超過、すなわち人口の『社会増』が起きています。ほとんどが『消滅可能性都市』と判断された自治体です」
 (略)
 ――40年には1億700万人まで総人口が減ると予測される中、減るパイを大都市と地方で奪い合っているだけにもみえます。
 「増田さんも指摘していることですが、大都市への若者の流入が人口減少に拍車をかけている現実があります。大都市圏は結婚し子どもを産み育てる環境として望ましいものではなく、出生率も低い。しかし、田舎では子どもが3人の家族も珍しくない。大都市から地方に向かう若者の流れを太くすることは、地方のためだけでなく、日本全体の人口減少対策にもつながります」
(略)
 ――しかし、大きなうねりにするには課題が多そうです。
 「まず仕事の問題があります。どこもが大きな工場を誘致するのは現実的ではありません。しかし、IT企業のオフィスを呼び込んだ徳島県神山町のように、必ずしも大都市にオフィスを構えなくてもいい業種は意外とあるんじゃないでしょうか。
(略)


日本創成会議のレポートはIターンUターンによって人口の社会増が起きている動きを見逃しているとの指摘です。しかし、小田切氏があげている数字は、鳥取県の移住者が13年度に962人になったということ、日南町はこの3年で102人が移住してきたこと、島根県の海士町では移住者が1割を占める、ということだけです。”○○年度に何人のIターン、Uターンがあった”といった全体的な数字がわかりません。数字はきちんと示すことは議論の前提です。なお、小田切氏のあげた数字がすべてなら無視できる程度のものでしかありません。

また、大都市での出産が少ないのは、良し悪しはともかくその生活様式に原因があります。別に東京という土地に瘴気が渦巻いていて少子化になっているわけではありません。したがって、地方にIT企業を誘致したら、社員は大都市の生活様式ごとやってきます。そこで子供を3人も4人もつくるというのは考えにくいです。

地方都市を活性化することに反対するわけではありませんが、少子化傾向を利用して自説を無理に展開するのは感心しません。

【朝日新聞】社説余滴:日韓、よしみを通ずる

8月19日朝日新聞朝刊オピニオン欄。社説余滴のコーナー。国際社説担当の箱田哲也氏による「日韓、よしみを通ずる」より

 底が見えず、どうしようもない日韓関係だが、それでもどうにかならないものか。
(略)
 そんな関係者らが今、真剣に取り組む目標がある。江戸時代に朝鮮半島から日本にやってきた外交使節団「朝鮮通信使」の歴史を、日韓共同でユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産に登録しようという運動だ。
 支配の傷痕をはじめ、とかく「負の記憶」が先立つ両国だが、200年以上にわたって友好を確かめ合った通信使の「肯定的な記憶」に光をあてようというわけだ。
 だが、行く手に厚い壁が立ちはだかる。韓国政府は、同じ記憶遺産に慰安婦問題の登録を検討している。まさに負の記憶で、通信使の登録運動への影響は避けられまい。
(略)


朝鮮通信使も慰安婦問題も世界記憶遺産に登録を目指すのは邪道だと思います。

世界記憶遺産は、人類の文化を将来にわたって毀損されることのないように保存を目指すものです。国家間の友好促進のためにあるわけではありませんし、他国を攻撃するためのものでもありません。こうした目的で世界記憶遺産の登録を狙うのは政治利用です。

なお、朝鮮通信使の資料が世界記憶遺産に登録されたとしても、関係者は喜ぶかもしれませんが、日韓の一般市民にとっては上から押し付けみなされます。決して真の友好に役立つことはないでしょう。

そもそも、無理に「友好」「友好」と訴えるのはどうかしていると思います。

【朝日新聞】投書:負の歴史を見つめ続けるドイツ

8月17日朝日新聞投書欄より。投書子は、77歳文筆業の女性。イギリス在住。苗字は西洋風、下の名前は日本人風なので、外国人と結婚した女性だと思います。

  ドイツのベルリンには今も、ナチスによるユダヤ人大虐殺「ホロコースト」の記憶が残されている。
 7月に訪れたとき、ある家の前の石畳に真鍮の板「つまずきの石」が埋め込まれていた。その家からユダヤ人が連れ出された印だ。ベルリンには同じものが数多くあるという。
 街の中心にあるホロコースト記念碑には、棺形の碑が墓地のように広がる。ドイツ人の友人は「戦後、国中が負の歴史を振り返った。碑は過去を繰り返さないという願い。教育の一環として、子どもたちは碑や記念館、かつての強制収容所を見学する」と語った。
 ユダヤ人の夫は、ドイツへの旅を長年拒んできた。今回しぶしぶ出かけた。彼は「罪は許せないが、これだけの謝罪の努力を国民と政府が協力してやってきたことは称賛に値する。来てよかった」と言った。
 さて、日本は加害の歴史をどう考えるだろうか。


イギリス在住者がドイツを旅行して加害の歴史を反省しているのをみて、日本はどうかと問いかけています。

ひどく奇妙な気分にさせられました。

投書子はイギリス在住で、最近の日本の状況には疎いのでしょう。だからこそ「さて、日本は加害の歴史をどう考えるだろうか」と問いかけで終わっているのでしょう。

したがって投書子がドイツと比較すべきは、日本ではなく居住地のイギリスであるべきです。

にも関わらず、イギリスについて言及しないと不自然な展開なのは、“ドイツは過去を反省しているが日本は・・・”というのはプロバガンダに毒されているからだと思います。

【展覧会】だまし絵Ⅱ

於:Bunkamuraザ・ミュージアム

2009年に開催した「だまし絵」展の第二弾。

視覚に訴えるアートが目白押しです。夏休み期間ということもあって子供も多く見に来ていました。芸術を鑑賞するとか勉強するとかではなく、純粋に芸術作品を楽しみにきている風です。

見飽きることのない作品が多く堪能しました。私の印象では、客の反応もよかったようです。

ただし、上映していたムービーは私には退屈でした。コップやらブロックやらを並べて都会の夜景やら田舎の光景などを作り出すという映像です。途中で出たくなりましたが上映室が混雑しているので出ることもかなわず最後まで観ました。最後まで見てもやっぱり面白さが分かりませんでした。

10月5日までです。

【テレビ】NHKスペシャル シリーズ日本新生「戦後69年いま“ニッポンの平和”を考える」

8月15日、NHK放送。

6人の識者の討論がメインです。5人は傾聴に値する発言をしていますが、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏一人が辻褄の合わないことを言い立てるために議論が深化しませんでした。

鳥越氏は、日本に中国軍が侵攻してくる可能性を考えるのは妄想だと断じます。それならば自衛隊は不要ということか、と問いかけられました。これに対して鳥越氏は、万一攻撃されたときに自衛隊が戦うのだ、と言い返します。

論敵が万一の事態を想定したら妄想と決め付けたくせに、自分も同じ事態を想定して自衛隊は不要でないというのはどういう理屈なのか理解できません。

戦争はよくない、という鳥越氏の意見には賛成します。誰もが賛成するでしょう。しかし視聴者の関心は、具体的にどうやって平和を維持するのか、というものです。前後矛盾して恥じない鳥越氏のような人物を参加させるのは議論の邪魔でしかありません。

【朝日新聞】バターや脱脂粉乳の不足深刻 昨夏の猛暑で生乳減る

8月14日朝日新聞朝刊より。

 ケーキに使うバターや、ヨーグルトやアイスクリームに使う脱脂粉乳の不足が深刻だ。昨夏の猛暑や農家の廃業に伴う乳牛の減少で、原料となる「生乳」の生産量が減っているためだ。農林水産省は緊急輸入を決めたが、乳業業界の不安は収まっていない。
 「すぐに輸入できないので、早めに要請した」
 4日、乳業メーカーなどでつくる日本乳業協会は農水省に、バター5千トン、脱脂粉乳1万2千トンの緊急輸入を求める異例の要請文書を出した。クリスマスケーキなどの需要が高まる年末に向け、同省は5月にバター7千トンの緊急輸入を決めた。ただ、業界には「生乳不足はしばらく続きそうで、すぐ足りなくなる」との危機感が強い。
 貿易自由化への不安などから酪農家の廃業が続く。今年2月の乳牛の頭数は前年より2%も減少した。昨夏の猛暑の影響で搾乳に必要な妊娠・出産も思うように進まず、生乳の生産量は6月まで13カ月連続で前年割れとなっている。
 国内で年745万トン生産される生乳。過半は価格が高い牛乳に回され、残りがバターや脱脂粉乳、チーズなどの保存食品になる。
 生乳が不足すれば、最初に保存食品が影響を受ける。チーズは民間企業が輸入できるが、バターと脱脂粉乳は制度上国しか輸入できない。業界が輸入要請をするのはこのためだ。
 業界の危機感の背景には、2008年の生乳不足がある。この時はスーパーの店頭から一時バターがなくなる事態に陥った。農水省は方針を明らかにしていないが、いざとなれば追加輸入に踏み切る構えだ。(編集委員・小山田研慈)


一頭あたりの生産量が同じなら、乳牛が2%減少したので、年745万トンの2%にあたる約15万トンの生産減になると推測できます。

今回の要請はバター5千トン脱脂粉乳1万2千トンの輸入で、すでに5月にバター7千トンの輸入が決まっています。ざっと数えただけでの3万トンにも満たないので、不足分をほとんど埋めていません。残り全部が民間で輸入できるチーズというわけでもないでしょう。

門外漢のせいか、読んで心配になる記事です。

なお2008年に続くバター不足は、乳製品では市場原理が機能していないこと(バターと脱脂粉乳は国しか輸入できない&おそらく牛乳が不自然に高い価格で取引されている)が根源的理由であることは理解できました。

【朝日新聞】北朝鮮地下教会にローマ法王の訴え届くか 迫害深刻化

8月14日朝日新聞朝刊。

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が14日、韓国を訪れる。平和を訴えるメッセージは、北朝鮮当局の厳しい監視を逃れて信仰を保つ「地下教会」の信者たちに届くのか。
 法王は5月、朝日新聞など日本メディアの質問に答え、「信仰を禁じられ、殉教する人が多くいる。救いたいが簡単ではない」と懸念を示した。
 司祭を送れない北朝鮮は、バチカンにとって、過激なイスラム組織によるキリスト教徒迫害が深刻な中東・アフリカの一部地域と並ぶ布教の困難な地だ。
 「金日成の一族が神格化された北朝鮮は、国家というより巨大な新興宗教団体。それ以外の『神』への信仰は許されない」。脱北者の支援団体「北朝鮮正義連帯」代表のチョン・ペトロ牧師は批判する。
 平壌は日韓併合前、キリスト教の布教が盛んで「東洋のエルサレム」と呼ばれるほどだった。しかし韓国統一省によると、北朝鮮では金日成国家主席の思想を維持するため、反宗教政策が進められた。憲法上は信仰の自由が保障されるが、反政府的活動として危険視されるのが実態だという。
 国連の北朝鮮人権調査委員会は今年2月の報告書で「キリスト教の広がりは特に深刻な脅威ととらえられている。信者は儀式を禁じられ、迫害されている」と指摘した。
 チョン牧師によると、金正恩体制になり、迫害は厳しさを増している。それでも監視を逃れて信仰を続ける「地下教会」がわずかだが存在するという。「人口の0・1%(約2・5万人)程度いるのではないか」
 2001年に脱北した後、プロテスタント系教会に入信した金忠誠さん(38)は、北朝鮮に一時戻った際、地下教会の信者と接触した。「見つかれば殺される恐怖の中、聖書を自宅内に隠し、家族だけで小さな声で賛美歌を歌い、祈りを捧げていた」という。
 また、家族の中ですら信仰を隠す場合がある。脱北者の女性(32)は「北にいた時は父の信仰を聞かされていなかった。子どもの雑談から発覚するのを恐れたようだった」と話した。(ソウル=石田博士、東岡徹)


よく分からない記事です。

反政府的活動として危険視される」のと「見つかれば殺される」というのは天地の違いがあります。北朝鮮で事実上信仰の自由が保障されていないのはわかりますが、具体的な実態がこの記事では伝わりません。

チョン牧師の推定では「地下教会」に所属している信者が約2.5万人ということですが、これはプロテスタント系キリスト教徒の話なのか、キリスト教徒全体のことなのか、すべての宗教を含めた数なのか分かりません。記事は明確に書くべきです

日韓併合前に平壌が「東洋のエルサレム」と呼ばれるほどキリスト教が盛んだったが、金日成が反宗教政策を進めたという説明です。これだと30年に及ぶ併合時代に平壌でのキリスト教がどういう扱いだったのか分かりません。不親切な説明です。

取材したものを咀嚼せずに切り貼りして書いたという感じの記事です。

【朝日新聞】(人口減にっぽん)出産阻む要因取り除け/企業の地方移転に支援を

8月13日朝日新聞朝刊。増田元総務相へのインタビューです。

 全国約1800自治体のうち896市区町村が2040年までに消滅するかもしれない――。増田寛也元総務相ら民間研究機関「日本創成会議」がこうした試算をまとめた。私たちはどう受け止めればいいか。増田氏に聞いた。
 人口減少の理由は全国的な出生率の低下だ。出産適齢期の女性が減っている。東京に人が集まり、地方が子どもを生み育てる力を失っている。
 昔は結婚して子どもを生み、家族を守るという価値観があったが、多様化してきた。出産か仕事かを迫られる働き方の問題や、当人の意識の問題もある。一方で、「結婚したい」「子どもを持ちたい」と願う若者も多い。こうした出産を阻む社会的、経済的な要因を取り除かなくてはいけない。
 東京に大学と企業が集中している問題もある。地方では、東京のいい大学、東京のいい企業に入ることが人生の成功モデルだとすり込まれてきた。これを変えるには時間がかかるが、東京も2020年ごろから人口が減り、若者と高齢者のバランスが悪くなる。
 若い世代が地方でも十分に暮らしていけるようにすること。また、中高年世代も豊かな老後を考え、余力のあるうちに地方で過ごすライフスタイルを定着させることが必要ではないか。
 そのためには、地方で働ける場をどうしたら増やせるかという議論に尽きる。小さな市町村で無理なら、せめて県庁所在地で人材の流出を止められるようにしなければならない。
 国は、地方に移転する企業の支援に踏み込んでもらいたい。また、自治体も、移転してきた企業で自らの能力を向上させたいという意欲のある社員のため、例えば、地方大学で夜間でも学べる場を増やすことも必要だ。そのためには、東京の一部の大学に金が集まる仕組みも変えなければいけない。(聞き手・菊地直己)


人口減少対策では、本当に人口減を心配しているのではなく、この機会に利益を得ようとしているかのような意見が散見されます。

増田氏の意見にも同じ匂いを感じます。

結婚することを絶対とせず仕事に生きることもよしとする価値観(つまり東京での生き方を肯定する価値観)が出生率の低下につながっているというのは、その通りだと思います。しかし、その対策として地方に金を出して働く場所を増やす、要するに小東京を作る、というのは人口減対策にはなりません。東京に暮らして子供を産まなかったのが、発達した地方に暮らして子供を産まなくなるだけです。

決して地方が発展することに反対するわけではありません。しかし、人口減少を予算獲得の口実に使うことには強い違和感を覚えます。

【新聞】長崎の教諭、児童に「負けたら窓から飛び降りて」

Yahooのニュースより引用します。

朝日新聞デジタル 8月12日(火)12時1分配信
 長崎県雲仙市の小学校で6月下旬、40代の男性教諭が休み時間中、担任する6年生の男子児童に「ゲームで負けたら窓から飛び降りて」と発言し、市教委から文書訓告の処分を受けていたことがわかった。
 市教委によると、教諭は道徳の授業参観が始まる直前、校舎3階の教室で児童らと数字を言い合うゲームをした。男子児童が「先生に勝てます」と言った際、負けたら飛び降りてもらうという趣旨の発言をした。
 当時、男子児童の保護者も含め10人ほどの保護者が教室に集まっていた。教諭は授業後、男子児童の保護者に謝罪。保護者も受け入れたという。
 訓告は7月31日付。教諭は「今後このようなことがないよう言葉に十分気をつけながら、子どもたちと接していきたい」と反省しているという。
 教諭は、2004年に小学校6年生の女児が同級生を殺害した事件が起きた同県佐世保市の小学校で2人の担任を務めていた。


注目したのは太字の部分です。

Yahooは朝日デジタルから引用していますが、朝日新聞夕刊の紙面には佐世保の件は書いてありません。

今回の事案そのものには特に思うところはありません。あきらかに冗談とわかる雰囲気だったのか、児童はどう感じたのかなど現場にいないとわからないことが多すぎます。

気になるのは佐世保の出来事との絡めた報道です。

あの事件は、とうてい学校の教師の指導くらいで防げたものだとは思えません。たまたま担任だったために、10年たった今でも関連して語られるというのは、この教師にとっては不幸なことだと思います。仮に佐世保の事件が担任教師の責任だったとしても、今回のこととは無関係だと思います。

こうした報道はマスコミによる”いじめ”です。

【本】ダークゾーン


ダークゾーンダークゾーン
(2011/02/11)
貴志 祐介

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著:貴志祐介

同じ作家の「新世界より」が面白かったので、手を伸ばしてみました。感想はここです。

不可思議な世界に閉じ込められ、ゲームの駒として理由の分からない戦いを強いられる、という筋立てです。作中でも言及されていますが、永井豪の「真夜中の戦士」やフレドリック・ブラウンの「闘技場」と似ています。特に永井豪の「真夜中の戦士」の影響が大きいように思いました。

「真夜中の戦士」は、死んだ戦士(駒)は生き返らないというチェス風でしたが、この「ダークゾーン」は斃した戦士を持ち駒として利用できるという将棋風です。また、将棋のタイトル戦を意識しているのか七番勝負です。

こうした設定だと現実の世界とゲーム世界との関係性が面白さの大部分を占めますが、「ダークゾーン」の場合、現実世界とゲーム世界の関係が弱すぎます。これだと将棋の駒のそれぞれの心情を書いたらどうなるかな、という程度のものでしかありません。

傑作である「真夜中の戦士」にはるかに及びません。残念ながら、あまりお薦めできません。


真夜中の戦士 (KCフェニックス)真夜中の戦士 (KCフェニックス)
(1997/05)
永井 豪

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【展覧会】ヴァロットン展


Félix Vallotton (Gallery of the Arts)Félix Vallotton (Gallery of the Arts)
(2008/10/01)
Marina Ducrey

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於:三菱一号館美術館

スイスで生まれ、パリで活躍したフェリックス・ヴァロットンの日本初の回顧展。オルセー美術館から世界中を巡回します。特に日本ではスイスとの国交150周年記念での開催にもなります。

日本であまり知られていない画家で、私も今回の展覧会で初めて意識しました。事前にNHKの「日曜美術館」とBS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」の特集で予習しておきました。

近代になって画布に何が描かれているのかは重要ではない、といった考えが隆盛を極めますが、この画家の場合は何が描かれているかを非常に意識させる作品です。まるで小説や映画の一シーンのようです。

会場では画家の新古典派のアングルへの傾倒が繰り返し説明されていました。確かにアングルを思わせる部分はあります。しかしアングルの絵を観て、アングルの女性観はどのようなものかとか、人間性はどうだったのかとかを考えることはありません。しかし、ヴァロットンは過剰なまでに画面に気持ちをぶつけているため、画家の内面に関心が向かざるを得ません。

展覧会のキャッチコピー「冷たい炎の画家」というのは非常に的確だと思います。「冷たい」けど「炎」でした。

9月23日までです。

【朝日新聞】ニュースQ3:ママだけ家事・育児に奮闘? CMの表現に議論

8月8日朝日新聞朝刊。ニュースQ3のコーナー。「ママだけ家事・育児に奮闘? CMの表現に議論」より

 共働き夫婦の妻だけが家事育児に奮闘して夫の姿がなかったり、家事をする夫への妻の「ダメだし」が否定的に描かれたり。企業の広告で表現される男女の役割分担をめぐり、議論が起きている。何が問題なのか。
 「お皿洗いありがとう。一応もう一度洗っとくね」。家事をする夫に妻が発した「ダメだし」だ。「その一言が、俺を『食器洗い』から遠ざけた」という夫のセリフが続く。
 東京都心を走るJR車両のうち2編成が、7月半ばからこんな広告で埋め尽くされた。旭化成ホームズが同社の共働き家族研究所の調査をもとに展開した。
 調査はフルタイムの共働き夫婦が対象で、「夫の家事協力に対する妻のダメ出し行為」を「妻の家事ハラ」と定義。「家事を手伝ったことがある」夫は9割を超え、その約7割が妻の家事ハラを経験したとしている。同社は妻の家事ハラを再現した動画も制作した。
 これに対し、「共働きなのに夫が家事を『手伝う』というのはおかしい」「夫が家事をしないのは妻のせいになってしまう」などの批判がわき起こった。
 (略)
同研究所の入澤敦子所長は「夫の家事参加を促す狙いだったが、誤解を招く表現があった」。7月末までの予定だった車内広告を27日で取りやめた。
 (略)
 (編集委員・林美子)


旭化成ホームズは自社の調査結果をもとに、妻のダメ出しが夫を家事から遠ざけていると分析しています。批判を受けるいわれはないはずです。

夫が家事をしないのは妻のせいになってしまう」というのは、批判になっていません。旭化成ホームズは、まさに(ダメ出しをする)妻のせいだ、と言っているのです。

批判するのであれば、ダメ出しをされるような仕事ぶりの夫が悪いとか、ダメ出しをされたくらいで家事から遠ざかる夫が悪い、というようなことを論じなければなりません。

複数人で作業する場合、命令系統や役割分担を整理しておかないと混乱するのは明らかです。家事労働の場合、そうした大仰な作業定義はしないと思われますので、「家事ハラ」が発生し旦那が嫌になるというのはありそうなことだと思います。

旭化成ホームズの提言を真面目に検討せず、“妻のせいにするのはけしからん”という程度の理屈で封殺すべきだとは思いません。

なお、「共働きなのに夫が家事を『手伝う』というのはおかしい」にいたっては単なる言葉の揚げ足取りです。

【朝日新聞】慰安婦問題を考える:ガラパゴス的議論から脱却を

一昨日、昨日の続き。本日は慶応大教授の小熊英二氏の「ガラパゴス的議論から脱却を」より

(略)
 例えば、外交は「冷静で賢明な外交官が交渉にあたる秘密外交」が理想とされることが多い。だが、民主化と情報化が進んだ現代では、内密に妥協すれば国民感情が収まらなくなる。
 政府が強権で国民を抑えられた時代しか、秘密外交は機能しない。日韓政府が慰安婦問題の交渉で両国民を納得させる結果を出せなかったのは、旧来の外交スタイルが現代に合わなくなったのが一因だ。
 大きな変化を念頭にこの問題をみると、20年前の新聞記事に誤報があったかどうかは、枝葉末節に過ぎない。とはいえ、今や日韓の外交摩擦の象徴的テーマとなったこの問題について、新聞が自らの報道を点検したのは意義がある。また90年代以降の日韓の交渉経緯を一望し、読者が流れをつかむことを助けてくれる。


国民はほとんどの情報を、マスコミを通じて得ています。ネットが発達した現在であってもマスコミの情報発信力は巨大です。したがって、マスコミ報道が誤報であったことが世論形成にとって枝葉末節であるはずがありません。

 違和感が残ったのは特集の構成だ。1日目に自紙の報道を振り返り、2日目に慰安婦問題で揺れる日韓関係を書いている。しかし本来は、日韓でどう問題化しているかが中心であるはずで、報道の細部など読者の多くにとっては二の次だ。


「報道の細部」を振り返っているのではなく、現時点で何が事実と認定されているのか(何が事実でないのか)を検証しているのですから、二の次ではありません。あからさまな朝日新聞擁護です。

(略)
 この問題に関する日本の議論はおよそガラパゴス的だ。日本の保守派には、軍人や役人が直接に女性を連行したか否かだけを論点にし、それがなければ日本には責任がないと主張する人がいる。だが、そんな論点は、日本以外では問題にされていない。そうした主張が見苦しい言い訳にしか映らないことは、「原発事故は電力会社が起こしたことだから政府は責任がない」とか「(政治家の事件で)秘書がやったことだから私は知らない」といった弁明を考えればわかるだろう。


論理のすり替えです。原発事故は誰が原因で起きようと悪いことです。汚職も同じです。しかしこの問題は違います。合意のもとで働いてもらったのなら悪ではない、という主張です。いくつかの先進国では売春は合法化されていますが、仮に強制的に売春をさせているなら犯罪になるはずです。強制か強制でないかは大きな違いです。
小熊氏が「日本以外では問題にされていない」というのは具体的にどこの国で問題にされていないのか、そして問題にされない理由は何なのかをはっきり示すべきです。単に「ガラパゴス的」といった言葉を使いたいだけにも見えます。

 慰安婦問題の解決には、まずガラパゴス的な弁明はあきらめ、前述した変化を踏まえることだ。秘密で外交を進め、国民の了解を軽視するという方法は、少なくとも国民感情をここまで巻き込んでしまった問題では通用しない。
 具体的には、情報公開、自国民への説明、国際的な共同行動が原則になろう。例えば日本・韓国・中国・米国の首脳が一緒に南京、パールハーバー、広島、ナヌムの家(ソウル郊外にある元慰安婦が共同で暮らす施設)を訪れる。そして、それぞれの生存者の前で、悲劇を繰り返さないことを宣言する。そうした共同行動を提案すれば、各国政府も自国民に説明しやすい。50年代からの日韓間の交渉経緯を公開するのも一案だ。困難ではあるが、新時代への適応は必要だ。


小熊氏の具体的提案というのが、日米中韓の首脳が一緒になって南京・パールハーバー・広島・ナヌムの家で宣言をしましょう、というものです。とてもではありませんが、大の男が言うようなことではありません。

広島で米大統領がなんらかの宣言をするのを米国民が賛成するとは思えません。また、ベトナムにも行ってかつての蛮行を繰り返さない宣言をしよう、と言い出したら韓国の国民は納得しないでしょう。小熊氏の提案はお花畑的です。

一昨日、昨日の外人二人の意見には賛成はできませんでしたが、真摯な人柄であることは伝わりました。しかし、小熊氏の意見はダメです。この人の発言にはまったく価値がありません。

三日間にわたって、「慰安婦問題を考える」の記事を取り上げました。今日で一応終わりにしますが、最後に、編集を担当した杉浦信之記者の「慰安婦問題の本質 直視を」より引用します。

(略)
被害者を「売春婦」などとおとしめることで自国の名誉を守ろうとする一部の論調が、日韓両国のナショナリズムを刺激し、問題をこじらせる原因を作っているからです。
(略)


この件での朝日新聞の論調には概ね反対なのですが、この意見には同意します。

当時売春は合法であり強制的に集めたのでないのだから日本への責任追及は不当である、とのロジックであるなら、応募者を「売春婦」という、現在ではニュートラルでない言葉で罵倒することは避けるべきです。自身の事情を隠して日本を一方的に責める行為に怒りを感じたとしても、その言葉は使うべきではありません。

【朝日新聞】慰安婦問題を考える:「忘れない」と言い続けよう

昨日の続きです。本日は米ジョージ・ワシントン大教授マイク・モチヅキ氏の『「忘れない」と言い続けよう』を取り上げます。

モチヅキ氏も吉田証言が虚偽であることを朝日新聞が認めたことに言及していません。もしかしたら、朝日新聞はそのことを隠してモチヅキ氏に原稿を依頼したのかもしれません。

 慰安婦問題はもはや日韓問題ではなく、国際社会の関心事になっている。
 日本で河野談話を見直す動きなどが出るたびに、日本のおわびや反省の言葉が偽物だったと映り、米国での韓国系の活動を活発にさせている。
 日本政府の対応もお粗末だ。慰安婦像を撤去させようと職員を地元に派遣し、米韓で報じられ、事態を悪化させた。碑の文言や犠牲者数で反論があるかもしれないが、大きな視点で物事を見る必要がある。
 米国にも歴史問題がある。私は、父も祖父も太平洋戦争中に強制収容された日系人だが、日系人収容所問題での米国の対応を誇りに思う。80年代に連邦議会が謝罪をし、父は大統領署名の謝罪文と小切手を受け取った。直後の会合でミネタ元運輸長官ら日系人リーダーは「こんな日が訪れるとは想像もしていなかった。過去の失敗に向き合える米国を誇りに思う」と涙を見せていた。
 話はこれで終わらない。収容所は今、国立公園局下で修復されている。私も家族と収容所の跡地に見学に行き、改めて過去を学んだ。売店には強制収容の歴史を記した書籍などが並んでいた。記憶を風化させず、米国が二度と同じ過ちを繰り返さないための取り組みがここにある。
(略)


米国政府は日系人収容について紆余曲折がありながらも非を認めたのは事実です。しかし、それが美談となったのは、日系米人が“謝罪が足りない”“補償が足りない”“大統領が頭をさげて詫びろ”などといったような要求のエスカレートをしないからです。

仮に、日系米人がこのような態度を取ったとしたら、米国社会は日系人に対して厳しい態度に出るのは容易に想像できます。

モチヅキ氏のお勧めは、日本では周回遅れの議論です。

【朝日新聞】慰安婦問題を考える:女性への暴力、国際社会は注視

朝日新聞朝刊8月5日、6日の紙面で、「慰安婦問題を考える」という特集が載りました。長らく誤報と言われてきた、吉田証言について朝日新聞も虚偽証言であると認めました。

6日のオピニオン欄では、5人の識者の意見が載っています。「米国からの視線」としてコロンビア大教授のキャロル・グラック氏、ジョージ・ワシントン大のマイク・モチヅキ氏の両名。「3氏に聞く」として現代史家の秦郁彦氏、中央大教授の吉見義明氏、慶応大教授の小熊英二氏の3人です。

日本人の3氏は、吉田証言が虚偽であると朝日新聞が認めたことを受け、それぞれの意見を語っています。しかし、米国人の両名はその件についてまったく触れていません。「もしかしたら吉田証言を朝日新聞でさえ取り下げたことを知らずに、まだ有効だと信じて喋っているのではないかとさえ思います。「知日派」だの「日本現代史の第一人者」だの肩書きで名乗ってもどれだけ実体を知った上での発言なのか疑わしく思います。

今日はキャロル・グラック氏の「女性への暴力、国際社会は注視」を取り上げます。

 慰安婦問題が世界的な注目を集めていることを理解するために、三つの観点から考えてみたい。
 第一に、慰安婦は国際法の分野で女性の権利侵害の歴史的な実例として1990年代から広く言及されてきた。ボスニア紛争などで起きた大量虐殺と集団レイプは、98年に合意された国際刑事裁判所の設立に影響を与え、レイプや強制売春は人道に対する罪として国際法のもとで裁かれるようになった。国際法の文献で慰安婦が第2次大戦中の性的犯罪として触れられるのは通常のこととなり、慰安婦問題は女性の権利に関わる国際的問題となった。


女性の権利侵害が問題視されてきたという背景は分かりますが、なぜボスニア紛争と第2次対戦中の日本だけが裁きの対象となっているのか理解に苦しみます。真に女性の人権擁護を訴えるのであれば、時間的には第2次大戦以降現在まで、地理的には世界中の出来事が俎上に乗せられるはずです。

現在の慰安婦問題の激化は、ほぼ間違いなく政治的力学の結果であって、女性の権利擁護などといった美しい話ではありません。グラック氏の認識は誤っていると思います。

(略)
 この25年で、慰安婦と女性の権利に関する世界の考え方が変わった。日本の政治家が「強制連行を裏付ける公文書は見つかっていない」といった発言を繰り返すと、世界中の反感を引き起こすことになる。米国で慰安婦の碑や像が増えつつあることはその一例だ。


「強制連行を裏付ける公文書は見つかっていない」というのは言い訳でも誤魔化しでもありません。朝鮮半島から強制的に連れ去った証拠がない以上、「ない」としか言えません政治家やら運動家であるなら、こうした言もあり得るのかもしれませんが、学者が事実を軽視し“反感を買うからやめろ”といった意見を述べるべきではありません。

【時事問題】アニメ「PSYCHO-PASSサイコパス 新編集版」第四話問題

アニメ「PSYCHO-PASSサイコパス」は2012年にフジテレビで放映されました。今回一時間番組に編集し新規カットを加えたものを「新編集版」として現在放映中です。

前回、その第四話にあたる部分が放映されず、かわりに第五話が放映されました。今後とも第四話が放映されることはないそうです。

番組内のテロップでは「事情により」とだけ説明されましたが、先般の女子高生による同級生の殺人事件の影響であることは明白です。この四話にあたる部分がまさに女子高生が同級生を殺害する話だったので自主規制したのだと想像できます。

2年前に発表された作品をいまさら規制する意味があるのかとか、この作品の影響で事件が起きたという指摘もないのになぜ規制する必要があるのかとか、いくつもの疑問が浮かびます。

私も社会人なので、色々な力学の働いた結果であることは想像できます。しかし、ここは毅然として放映して欲しかったです。表現の自由のためにはある程度の非難には堪えて欲しかったです。

優れた作品であるだけに実に残念でなりません。

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【朝日新聞】声:7歳の息子が「殺すのはいや」

8月3日朝日新聞の投書欄に神奈川県の主婦(40)の投書が載りました。

 集団的自衛権の行使容認が、我が家の食卓でも何度か話題になった。小学2年の息子は「戦争に行かなきゃいけないの?」。その後に「誰かを殺せって言われても僕にはできないから、それなら自分が死ぬよ」。夫と私が「そんなことにはさせないから大丈夫だよ」と慌てて答えた。
 数日後、息子が「どうやって自殺したらいいのかなあ」と言った。驚いて理由を尋ねると「だって、戦争するかもしれないでしょ。誰か殺す前に自分が死ななきゃいけないから」。まだ7歳の子が頭を悩ませていることを、安倍晋三首相は知らないだろう。
 日本が戦争に向かっていくなんて恐ろしい、困ったと漠然と思っていた。でも息子の言葉に、一体どうすればいいか、実際に自分に何ができるのかと途方に暮れた。そんな時、息子が言ってくれた。「やっぱり自殺しない。誰かを殺すなんていやだって、はっきり言うよ。強く言うよ」
 私たちにできることは、自分の考えを明確にして、声に出して伝えることだと息子が教えてくれた。そんな国民の声を聞く耳を持った方に、政治を任せたい。


7歳児が新聞やTVニュースを見て、集団的自衛権の行使容認がゆくゆくは自分が戦争に行くことにつながる、などと自発的に心配するというのは常識的には考えられません。ほぼ間違いなく、投書子夫婦の誘導によるものです。

自分の息子にこのような異様な教育をしておいて、責任を感じるどころか、誇らしげに新聞に投書する神経が分かりません。

これは集団的自衛権の容認がいいか悪いかといった話とは無関係です。子供をだしにした思想活動は思想の左右を問わず愚かしい行為だと思います。

【映画】ダイバージェント


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トライエックス

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主演:シャイリーン・ウッドリー

チラシには「たった一度の性格診断で未来は決まる」とデカデカと出ていますが、これはまったくの嘘です。性格診断がどうであれ(ダイバージェントでさえなければ)、希望の派閥にエントリーできます。性格診断の結果で未来が決まるわけではありません。

また、どの派閥にも属さないのが異端者(ダイバージェント)である、との説明もありますが、これも嘘です。ダイバージェントは複数の派閥に適正を示した者です。そもそもどの派閥にも属さない無派閥(ホームレスのような暮らしをしています)は普通に存在しています。

「勇敢」派閥で訓練について来られなかった人間が無派閥になるという説明はありましたが、他にどういう経路で無派閥者がでるのかの説明はありません。性格診断でどれにも属さないと出ることがあるのかとか、無派閥内で生まれた子供は一生無派閥なのかとかいった疑問がわきましたが、答えはありません。

ダイバージェントだと、「博学」派閥の精神支配を受けないので、「博学」派閥はダイバージェントを警戒しているという設定でした。しかし、それは「博学」がクーデターを計画していたからであって、社会全体としてなぜダイバージェントが警戒しているのか全くわかりません。

長い上映時間の割に、設定がなんだか分からない映画でした。

同じ近未来SFの「ハンガー・ゲーム」が好きな人には楽しめるかもしれません。

【映画】幕末高校生


幕末高校生 (小学館ジュニア文庫)幕末高校生 (小学館ジュニア文庫)
(2014/07/01)
浜崎 達也、橋部 敦子 他

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主演:玉木宏、石原さとみ

高校生3人と先生が江戸無血開城直前の幕末にタイムスリップします。史実と微妙に狂った世界を元の歴史に戻し、現代に帰還を果たそうとする奮闘を描きます。

タイムスリップものは何度も題材になっていますので、目新しい展開が必要ですが、残念ながらありきたりの時間旅行ものになってしまいました。

おそらく、頼りなさそうだけどやるべきときはやりそうな勝海舟とか、生徒との接し方に悩む女教師とかいったキャラクターに依存しすぎたのが原因でしょう。ありていに言えば役者の魅力に依存しすぎています。

そもそも、江戸で戦がおきるかどうかという話と、進路指導で生徒の身になってやれないことを悩む話が同列に論じられるのはバランスが悪いです。先生に真面目に進路の相談をしたがる高校生というのも私にはリアリティを感じません。

歴史が狂いだしたきっかけは、おそらくタイムスリップにあるのでしょうが、具体的に何がどうして史実と離れたのかを描いていません。タイムスリップものとしては中途半端です。

出演している役者が好きなら観にいくのもいいかもしれませんが、話そのものは不出来です。

余談ですが、そばの食べ方はうれしい演出でした。江戸っ子の勝海舟はそばの先端(末端?)をちょっとつゆにつけて食べます。現代人や西郷隆盛はつゆに全部つけてしまいます。感心しました。
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えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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