【アニメ】GOD EATER

ゲームは未プレイです。

やたら特番が多かったのが印象に残ります。はじめからそういうスケジュールなのかと思ったら、最終回(?)の最後に残りの10話から13話を仕切りなおして放送するとの告知がありました。どうやらはじめから13話の予定だったのに、制作が間に合わなかったようです。

間に合わない理由は、特番で説明していたように、凝りに凝った映像のせいでしょう。

実験的な試みはきらいではありませんが、実験が成功したか失敗したかは正直に言わなければなりません。成功だとは思いません。初めて見た時は変な絵だと思いました。最後までみて慣れましたが、馴染めません。

設定は、「BLUE GENDER」(1999年)を思い出させます。「BLUE GENDER」は設定をきちんと作った上で説得力のあるストーリーを展開していたため良作だったと思います。

本作はまだ完結していないのでまだ評価するのは難しいのですが、単なるヒーロー物語に終わるか、設定を生かしきった展開があるかに注目します。
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【朝日新聞】「オッサン」は性差別語では?

9月28日朝日新聞朝刊は、今年の統一地方選で初当選した女性議員へのアンケートを発表しています。それによると、86%は「女性であることが選挙にプラス」、72%が「議員活動にプラス」と感じているそうです。

落選した候補者にも「女性であることが選挙にプラス」だったかどうかを訊いてみるべきです。当選した人たちは、当選したのですから、たいていの要因を「プラス」と感じるはずです。当選組にだけ訊くのは意味がないように思います。

「議員活動にプラス」かどうかという質問も、初当選議員だけに訊くのではなく、何回もキャリアを重ねた女性議員にこそ問うべきだと思います。

それはともかく、埼玉県越谷市議のエピソードに興味をひかれました。

一方、議員活動のハードルとしては、「家事・育児」が最も多かった。
 埼玉県越谷市議の山田裕子さん(32)=越谷市民ネット=は8月、FBに議員の出産や育児について投稿した。
 6月、議会規則に「出産による欠席」が明記されたが、山田さんの会派は子どもの急病など「育児による欠席」も盛るよう提案。反対する男性議員らの「育児に代わりはいるが、議員の代わりはいない」などの発言を取り上げ、「若い世代が言わなきゃオッサンたちは気づかない」と書き込んだ。
 こうした発信が問題視され、今月17日に各会派の代表者会で約3時間追及され謝罪を求められたが、山田さんはその必要はないと主張する。発言を取り上げられた議員は「育児による欠席は可能。あえて規則に文言を入れるか否かの議論だ」と反論するが、山田さんは「多様な人が力を発揮できる意識や制度を議会が持たないと、社会も変わらない」と考えている。


子供が急病で世話できる人がいないなら欠席はしかたないかもしれませんが、議会の規則に「育児による欠席」と書くのは疑問があります。「育児」を理由に休めるなら365日ずっと休めることになります。山田市議もそこまでするつもりはないのならば、文面は考え直すべきです。また、「議員の代わりはいない」というのは、決して間違った意見だとは思いません。よく話し合えば妥協できることだった思います。

問題は、フェイスブックへ「オッサンたちは」との書き込みです。文脈からみてあきらかに、「オッサン」を罵倒語として使っています。つまり性差別です。

仮に男性議員が、“年増がわがままな提案をしてきて云々”と書き込んだら烈火のごとく怒ったでしょう。

自分は性差別に苦しんでいると訴えながら、平気で差別発言をする神経がわかりません。

【アニメ】のんのんびより りぴーと

「のんのんびより」の二期です。一期の感想はここ

一期は大好きでした。二期も期待通りです。今期は、これが一番良かったです。

一期にあったするどいギャグは抑え気味でしたが、叙情的な部分はより深みを増したように思います。

ストーリーがあるものではありませんので、感想を書き連ねるのは難しいです。この作品の素晴らしさを伝えられる言葉はなかなか浮かんできませんが、普段アニメを観ない人にも自信をもってお薦めできます。

是非、三期もお願いしたいです。

【朝日新聞】(考論 長谷部×杉田)安保法成立、民主主義の行方は

9月27日朝日新聞朝刊。杉田敦法政大教授と長谷部恭男早稲田大教授の対論です。今回は、安保法制成立を受けてのものです。

いい事も言っていると思うので全否定はしません。しかし、納得できない部分があるので、引用します。

(略)
 長谷部 そして予想以上に、日本には立憲主義者がいた。抗議デモに参加した人たちだけでなく、法制は必要だという人たちにも、憲法の重要性や、権力を縛る立憲主義の意義についての認識が広まった。安倍政権の「教育効果」は大きかったと言えます。
 杉田 非立憲主義者は、政策的に必要だと政治が判断すれば、法や慣例を破っても構わないとする。それも一つの立場だが、「あなたは非立憲主義だ」と自覚を促す必要があります。「右/左」「保守/革新」というものさしでははかれなかった関係が、「立憲/非立憲」ですっきり整理される。日本政治の見通しがずいぶん良くなります。
(略)


政治姿勢を表明するのに、「右/左」とか「保守/革新」というのが、必ずしもきれいな区分けではない、というのは分かります。しかし、「立憲/非立憲」というやつで、「すっきり整理される」ことはあり得ないと思います。

なぜなら、「右/左」にはどちらにも否定的な意味合いが同程度に含まれています。「保守/革新」には、どちらかが正しいといった意味は含まれていません。それゆえに「右/左」も「保守/革新」も、公平な単語です。

しかし、「立憲/非立憲」では、「立憲」の方が正しいという意味合いを誰もが感じます。ゆえに「非立憲」を自称する人はいないでしょうし、他称されたら反論するでしょう。

一昔前の、「改革派/守旧派」みたいなものです。「非立憲」は罵倒語にはなっても、日本政治の見通しをよくする単語にはなりえないでしょう。

【映画】心が叫びたがっているんだ。

[あの花]スタッフが贈る感動青春群像劇


というキャッチコピーから分かるように、名作の誉れ高い「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」とタイアップして宣伝しています。スタッフだけでなく舞台も同じ秩父です。

大宣伝でしたし、公開後も宣伝を重ねています。今後、この路線で売っていこうとしているのでしょうか。

しかし、残念ながら、「あの花」には及んでいなかったと思います。

まず、クラスメートの反応に違和感があります。ミュージカルの上演に否定的だったのが、一転して乗り気になった理由が描けていません。ミュージカル本番をボイコットして逃げた主人公に怒っていたのに、戻ってきた途端に温かく迎えるのも分かりません。モブキャラだからといって適当すぎます。

くり返し語られるテーマは、発してしまった言葉で他人を傷つけてしまったことへの後悔です。しかし、主人公の少女がやったのは、知らずに父親の秘密を暴いたことです。心無い言葉を発した、というのとはちょっと違います。テーマと実態にズレを感じます。

野球部の元エースが、“喋らない女がミュージカルの実行委員をしているのは謎すぎる”みたいなことを言っているシーンがあります。CMでもここが流れています。これはその直後の盛り上がりにつながるのですが、よく考えると元エースの言っていることは、失礼という以前におかしいです。喋らない女がミュージカルの主役をするというのであれば、喋れないけど実は歌えるという事実が明らかになる前ですので、否定的な態度は分かります。しかし、この発言の時点では誰が出演するかは決まっていません。彼女は単に実行委員、つまり世話係の一人にすぎません。したがって、“喋らない女がミュージカルの実行委員”をしていても問題視する理由は全くありません。脚本のミスではないでしょうか。

絵も劇場用アニメにしては粗い感じがしました。

批判もしましたが、次作、次々作のためにも興行的に成功することを望んでいます。あざとい感じもしましたが、感動するシーンはあります。

ところで、主人公は喋るとお腹が痛くなるということですが、あれは下痢なんですよね。下痢体質のヒロインとは斬新です。

【アニメ】六花の勇者

原作は最新刊まで既読です。

1巻を1クールで映像化したことになります。通例よりはややゆっくりしたスペースです。同じ原作者による「戦う司書」が10巻を2クールに押し込めたのと比べれば、実にゆったりとしています。その分、衣装や建物など細部にこだわった映像でした。

シリーズ全体は、魔神との戦いが背骨なのでしょうが、この一巻での主要なテーマは仲間に紛れ込んだ偽物を探す、というもので、ミステリーに近いジャンルです。ただ厳密な推理ものというにはいわゆる“フェア”さに欠けます。そこは割り切って楽しむしかありません。

インカとかアステカ文明を思わせる建造物が斬新でかっこよかったです。ナッシュタニア姫の刃の描写も想像を上回っていました。

原作既読組としては満足のいく出来でした。二期も期待します。

【アニメ】乱歩奇譚 Game of Laplace

原案の江戸川乱歩の諸作品は一通り読んでいます。

アニメーションアニメーションした演出は、ストーリーを壊すことがありますが、この作品では成功していました。

しかしながら、乱歩を原案にした意味が見えなかったのも事実です。完全にオリジナルにして作った方がすっきりしたように思います。アケチとかコバヤシとか怪人二十面相というキャラクター名を使いたかったのかもしれませんが、乱歩に頼っているという印象を持ちました。

どうしても同じ時間帯の「PSYCHO-PASS」の影響を感じずにはいられません。特に“数式”がどうのこうのとか集団ヒステリー状態などは「PSYCHO-PASS」の世界です。もう少し独自性を出して欲しかったです。

一番印象に残ったのは、コバヤシ少年です。あの容姿で男の子だというのは、他に例がないわけではありませんが、自分の見た目と実際の性別の違いに無頓着というのははじめてかもしれません。正直に言って、見るたびに気持ちがザワザワしてしまいました。劇中のハシバ君と同じです。

オリジナルで意欲作だと思うので、多少甘めかもしれませんが、まずまずの出来かと思います。

【朝日新聞】安全保障法制に関する昭和電工最高顧問・大橋光夫氏の意見

朝日新聞は、安全保障法制成立を受け、各界の識者の意見をインタビューしています。9月22は、中国大使だった丹羽宇一郎氏と昭和電工最高顧問の大橋光夫氏が登場しています。大橋光夫氏の意見を紹介します。

(略)
 安保法制は短期的に中国を刺激することにもなる。経済面で、中国への投資や取引が多い企業にはマイナスの影響が出るかもしれない。従って、今後は長期的な視点に立って、中国との信頼関係をどうやって築くかが重要になる。
 中国を仮想敵国とするのは、日本経済にとっても得策ではない。経済的なパイプをより太くするため、中国への投資だけでなく、中国から日本への投資も増やし、相互依存を一層高める必要がある。
 いまは中国の対日投資は不動産がほとんどだが、研究開発投資を促し、日本市場でも勝負できるぐらい産業構造を高度化してもらう。それにより、日中の信頼関係が向上し、国家間の緊張を緩めることになる。
 安保法制がいまのリスクを回避できても、10年先20年先の中国はもっと強大な国になっている可能性が高い。日本は防衛力強化だけに頼らず、中国が国際社会で柔軟に政策を遂行できるよう支えることが大事だ。
(略)


中国との取引の多い一部の企業にマイナスの影響が出るかもしれない、というのはその通りかもしれません。しかし「従って、今後は長期的な視点に立って、中国との信頼関係をどうやって築くかが重要になる」には同意できません。

政府や国民が、その企業に中国との取引を増やしてください、お願いしたわけではありません。彼らが自分達の利益になると思って勝手にやったことです。国家につけをまわすのはやめていただきたいものです。

従って」と書いてはいますが、論理がつながっていません。

中国とズブズブの関係になってマイナスの影響が出たからといって、その対策が投資をさらに増やす(もっとズブズブになる)というのも困った発想です。

かつて中国が突然レアアース輸出にストップをかけたことがあります。中国との関係を深めるということは、政治の影響という余分なリスクをしょいこむことです。

また、日本の協力で中国の産業構造が高度化しても、決して中国は感謝をしません。かつて、天安門事件の影響で西側諸国が中国制裁に動いた際に、日本だけが中国を助けたということがありました。その時中国は感謝の言葉を口にしていましたが、裏では対日圧力政策を進めていました。

中国政府は、決して本心から感謝などしません。これは忘れてはならない教訓です。

【テレビ】あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

好評だったテレビアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」が実写ドラマになりました。

実写にしたことによるキャラクターイメージの違いとか、尺の差など、アニメとは印象が異なることは否めません。不平を言えばキリはありません。しかし、アニメファンからあれやこれや言われることが予想される中で果敢に実写化に挑んだことは好印象です。

アニメ版の感想で、「実写で撮るとなると、子役を使わざるをえません。同じ人間を違う役者が演じるとどうしても違和感がでてしまうので、ある意味アニメならでは」と書きました。

残念ながらその懸念は当たりました。役者や監督の責任ではありません。頑張ってくれたとは思いますが、実写だとどうしようもない部分です。

アニメ版を観ていなかった人に、どの程度受け入れられたか分かりませんが、これを機にオリジナルのアニメ版も観てもらえれば嬉しいです。

参)
テレビアニメの感想はここです。
劇場版の感想はここです。
お台場で見つけた「あの花」コーナーについてはここです。

【世論調査】朝日新聞:9月12日、13日実施

安全保障関連法成立をうけて、朝日新聞が緊急世論調査を実施しました。

 (数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。丸カッコ内の数字は、9月12、13日の調査結果)

◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する  35(36)
 支持しない 45(42)

◆今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。
自民33(36)
民主10(10)
維新2(2)
公明3(3)
共産4(4)
次世代0(0)
社民1(1)
生活0(0)
元気0(0)
改革0(0)
その他の政党1(1)
支持政党なし37(37)
答えない・分からない9(6)

◆安全保障関連法についてうかがいます。集団的自衛権を使えるようにしたり、自衛隊の海外活動を広げたりする安全保障関連法に、賛成ですか。反対ですか。(前回は「安全保障関連法案に…」と聞いた)
 賛成 30(29)
 反対 51(54)

◆安全保障関連法は、参議院の委員会で採決が強行され、本会議で可決、成立しました。国会でのこうした進め方はよかったと思いますか。よくなかったと思いますか。
 よかった   16
 よくなかった 67

◆安全保障関連法案の成立に反対した、民主党や維新の党など、野党の対応を評価しますか。評価しませんか。
 評価する  34
 評価しない 49

◆安全保障関連法について、国会での議論は、尽くされたと思いますか。尽くされていないと思いますか。(前回は「安全保障関連法案について…」と聞いた)
 尽くされた    12(11)
 尽くされていない 75(75)

◆安全保障関連法について、安倍政権が、広く国民の理解を得ようとする努力を十分にしてきたと思いますか。十分にしてこなかったと思いますか。
 十分にしてきた    16
 十分にしてこなかった 74

◆安全保障関連法ができたことで、外国が日本を攻撃しにくくする抑止力が高まると思いますか。高まらないと思いますか。
 高まる   32
 高まらない 43

◆安全保障関連法ができたことで、日本が、アメリカなど他の国の戦争に巻き込まれる可能性が高まると思いますか。高まらないと思いますか。
 高まる   64
 高まらない 21

◆安全保障関連法が、憲法に違反していると思いますか。憲法に違反していないと思いますか。
 違反している  51
 違反していない 22

 <調査方法> 19、20の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は2406件、有効回答は1273人。回答率53%。


この世論調査が私のところに来たと想定して回答してみます。

>◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持します。
前回と比べ支持率の変化はないようです。

>◆今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。
支持政党はありません。
自民がやや減少した以外は、ほぼ変化ありません。

>◆安全保障関連法についてうかがいます。集団的自衛権を使えるようにしたり、自衛隊の海外活動を広げたりする安全保障関連法に、賛成ですか。反対ですか。(前回は「安全保障関連法案に…」と聞いた)
賛成です。
これも変化なしです。

>◆安全保障関連法は、参議院の委員会で採決が強行され、本会議で可決、成立しました。国会でのこうした進め方はよかったと思いますか。よくなかったと思いますか。
「国会でのこうした進め方」という部分に責任は与党にあると暗示しているようです。
責任の所在はともかく、国会内でのピケや暴力行為の連続は国辱ものでした。欧米が偉いとは言いませんが、欧米の議会でこうした光景があるとは聞いたことがありません。情けないかぎりです。

>◆安全保障関連法案の成立に反対した、民主党や維新の党など、野党の対応を評価しますか。評価しませんか。
評価しません。

>◆安全保障関連法について、国会での議論は、尽くされたと思いますか。尽くされていないと思いますか。(前回は「安全保障関連法案について…」と聞いた)
「尽くす」の定義次第としかいいようがありません。

>◆安全保障関連法について、安倍政権が、広く国民の理解を得ようとする努力を十分にしてきたと思いますか。十分にしてこなかったと思いますか。
「十分」といった計量できない言葉を持ち出して質問すべきではないと思います。こう訊かれると、たいてい「十分でない」と答えたくなるはずです。実際、そうなっています。
政府が伝えようとしてきたことは認めます。

>◆安全保障関連法ができたことで、外国が日本を攻撃しにくくする抑止力が高まると思いますか。高まらないと思いますか。
法律だけで抑止力が高まるとは思えませんが、その一助にはなります。

>◆安全保障関連法ができたことで、日本が、アメリカなど他の国の戦争に巻き込まれる可能性が高まると思いますか。高まらないと思いますか。
法律だけで、可能性が高まるわけではありませんが、“安全装置”の一つが外れたのは確かです。これからは政権に、そしてそれを選ぶ国民に、よりいっそうの責任がのしかかると解しています。

>◆安全保障関連法が、憲法に違反していると思いますか。憲法に違反していないと思いますか。
自衛隊自体が憲法に違反していると思います。本来は、自衛隊設立時に憲法を改正すべきでした。解釈改憲を積み重ねた果てが今日の光景だと思います。

【映画】カリフォルニア・ダウン

都市を襲う大規模地震を最新CGで描いたデザスタームービーです。

派手な映画でありながら、上映館が少ないのは、もしかしたら地震・洪水といった3.11の記憶が生々しい日本人には辛いものがあると判断したためかもしれません。確かに、劇中のシーンは3.11の記録映像に触発されたと思しきものが多々あります。しかし、繰り返される高層ビルの倒壊は、9.11を想起させます。3.11を腫れ物のように扱う日本と、9.11をエンターテイメントに昇華する米国。この点については米国の空気の方が好ましいと思いました。

主人公は、救命隊の隊員ですが、被災者をそっちのけで自分の家族だけを助けます。一応、上の了承をとっていますが、本来認められるわけがありません。“女房を助けに行ってもいいでしょうか?”などと訊くこと自体が無責任です。遭遇した被災者にアドバイスをするシーンをはさんで、言い訳が立つようにしていますが、膨大なはずの被災者を放っておいたことは隠しようもありません。

それではアンチヒーローなのか、というとそうでもありません。被災者と家族のどちらを助けるか、といった葛藤もありません。ややこしいシーンは一切なく、あくまでも純正のヒーローとして描いています。

ヒーロー像が劣化してやしないですか?

それと、アジア系の地震学者が出てきて、間一髪で子供を助けるのですが、自身は犠牲になってしまいます。こうした役柄でアジア系を使って政治的に正しくしようとしているのでしょうが、私にはかえって馬鹿にされているような気がしました。

CGは素晴らしいですが、心に残る映画ではありませんでした。

【アニメ】GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり

原作は未読です。

来年1月から二期の予告がありました。つまり未完です。未完ですので評価は難しいのですが、二期は観る予定にしている程度には楽しめました。

いわゆる異文明とのファーストコンタクトがテーマだと思います。普通のファーストコンタクトものは異星文明との遭遇なので、地球か異文明のどちらか、あるいは両方が星間航空を可能な文明レベルに達しています。しかし、この作品は、東京に突然空いた門(ゲート)を通じての文明の接触であるため、現在の地球レベルと中世レベルのファンタジー世界という、ちょっと風変わりな組み合わせにできました。

ファーストコンタクトですので、互いの文明に対する“驚き”が大きなテーマになるはずです。しかし、主人公をオタクに設定したことで、ファンタジー世界特有のエルフや魔法や竜や猫耳少女にちっとも驚かない、というのが新機軸です。

逆方向の、ファンタジー世界の住人が現代日本の文明に対して驚いたのは、地下鉄だのビルだのと割りと普通のものでした。同人誌に興味津々というのだけは新しいかもしれません。これもこの作品の特色(オタク賛歌?)なのでしょう。

日本だけにゲートがあることによる米中露などとの葛藤も描かれていましたが、全体的に薄味です。肝心のゲートを日本に握られているのを放置して、異世界の民間人を追い掛け回すというのは納得感がありません。

国会での野党の追及も甘々です。派遣した自衛隊が、戦時下で民間人を十分に守れたかどうかは、瑣末な問題です。東京に攻め込まれたからといって、ゲートからしか侵入口がないのに、わざわざこちらから自衛隊を派遣することの是非を問うのが本筋の議論です。意地の悪い野党議員に追求される主人公(自衛官)、という構図のために、無理な質疑をさせているように見えました。

あと、画面に皇居が出たのは目新しいかったです。

二期に期待します。

【朝日新聞】芸能人の政治発言

9月16日朝日新聞夕刊に「著名人法案へ意見発信」という記事が載りました。俳優や歌手が、安保法案についての意見をSNSなどで発表していることを取り上げています。

芸能人も国民ですので、政治について語るのは自由です。しかしながら、こうして新聞記事で取り上げることには違和感を覚えました。

マスコミが、安保法案について識者の意見を求めるなら、憲法学者とか安全保障の専門家とか国際情勢に通じた学者などに依頼します。市民の意見は市民の意見として、専門家の意見とは別扱いになります。

一般市民が、安保法案について意見をSNSなどで発信するのは自由です。しかし、マスコミが一般市民の意見を特別に載せるということは普通ありません。投書欄に投稿したら載ることもありますし、街の声として紹介されることもあります。しかし、高い競争倍率を勝ち抜いた上であり、あくまで一般市民の素朴な意見というくくりです。

歌手やら、俳優やら、タレントは芸能に秀でた才能で有名になったのであって、安全保障に対して見識が優れているわけではありません。その意味で一般市民と変わりありません。

安保法案について一般市民と変わりない見識とみなされる芸能人の意見を、記事で麗々しく紹介するという新聞社の姿勢には疑問を感じます。

【朝日新聞】投書:長生きはめでたいことなのか

9月16日朝日新聞朝刊の投書欄。毎週掲載の、一つの投書に対する反響の投書を載せる「どう思いますか」のコーナー。今週は、神奈川県の無職の男性(83)の投書「長生きはめでたいことなのか」が元投書です。

 日本人の平均寿命は男女とも過去最高を更新しましたが、これは単にめでたいことなのでしょうか。
 日本の少子高齢化は深刻です。少子化対策はいろいろと検討されています。けれども、高齢化対策はもっぱら、いかに支えて長生きさせるかという観点からの対策です。これでいいのでしょうか。
 社会の活力の維持には、構成員の適切な新陳代謝が必要です。それより何より、当の高齢者がどんな状態でも長生きしたいと考えているでしょうか。
 私も介護を受けて寝たきりになり、排泄もままならない日が来るかもしれません。その時、そんな状態で生きながらえたくはありません。介護を拒否し、安楽になることを願います。
 しかし、自分で安楽になることはできません。社会が措置してくれることを願います。これは多くの高齢者の願いではないでしょうか。みなさんは、どうお考えでしょうか。
 (8月30日付掲載の投稿)


今週の投書は、非常に重たい話題です。誰も回復が望めない寝たきりの立場になるかもしれません。自分が、同じ立場に立つとしたら、今は想像でしかありませんが、やはり投書子と同じように、尊厳死(安楽死)を願うと思います。

米国ドラマでよく見ますが、あらかじめ延命拒否を宣言しておくと、医師は無用な治療をしてはいけない、という制度があるようです。こういう制度が日本でもできることを望みます。

一般人の反応の4つのうち3つは、投書子の主旨に賛成しています。

新潟県の無職の男性(71)は、尊厳死(安楽死)の法整備を望むというご意見です。

東京都のパートの女性(69)は、親の介護に疲れ果てた子供が親を手にかけたという話を聞くと、その子供が不憫でならない、と言っています。また、延命処置を望まないという意思表示を法的に有効にすることを求めています。

埼玉県の医師の男性(82)は、寿命の延長だけを目的とした医療は制限されるべきだが、医者の口からはなかなか言えない。高齢者自身がもっと声をあげるべき、との意見です。

一人だけ、山口県の介護職の女性(54)だけが、介護を拒否するような元投書の言葉に、心を痛めている様子です。

識者である、日本尊厳死協会副理事長の鈴木裕也医師は、“尊厳死協会”の副理事長という肩書きからもわかるように、元投書に賛成しています。

今週は、真面目に考えさせるテーマでした。

【朝日新聞】「虚構新聞社」社主のインタビュー

9月15日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。「虚構新聞社」社主のUKさんのインタビューより、

 「橋下市長、市内の小中学生にツイッターを義務化」という虚構の話を、僕がネットで運営するサイトに載せたときです。爆発的に話が広がっていくのを呆然と眺めながら、ネットの世界は大きく変わったんだなと痛感しました。
 大阪市の橋下徹市長が、若者には「偏向したマスコミ」以外の情報源が必要だとして、短文投稿サイト「ツイッター」の使い方を学ぶ授業を学校で始める、という話でした。もちろん事実ではありませんよ。いかにもありそうで、事実ではない、虚構のニュースを楽しんでもらう「虚構新聞」のサイトに載せているんですから。
 でも、それを本当の話だと信じる人が大勢出てきた。「いかにもやりかねない」と、多くの人に思われたのが最大の誤算でした。
 ツイッターは投稿文字数を上限140字と定めています。それを「日本に限り、17字に制限する」という話を載せたときも、僕は笑ってもらえるはずだと信じていたんです。17字にする根拠として、「日本人には五七五の俳句の文化が浸透している」というコメントまで付けておきました。
 ところが、ツイッターだと見出しだけが流れることが多いんですね。情報源を確認するどころか、見出しの「ツイッター、17文字に」だけを読んで事実だと信じる人や、「なぜ、だますのか」と批判する人まで現れた。初めて、怖いと思いましたね。
 つまりツイッターなどのSNSが広がったことで、情報拡散の速度と規模が桁違いになったんです。ボタン一つをクリックするだけで、指先の脊髄反射で、断片的な情報が爆発的に拡散していく。システムが楽すぎるんです。
 ネットの世界では、周りがどう反応しているかで本当かウソかを判断する人が多いせいもあります。その周りというのが似た者同士。同じ考えの人たちで、こもりがちなのがネットの世界です。
 ただ、虚構と現実の二つの世界の境界が実際、あいまいになってきたせいもあると思うんです。
 僕はこれまで、虚実の境目を見極めつつ、虚構ニュースを書いてきたつもりです。何となく常識が通じる世界があって、ある程度の境界線が引けました。
 それが、あいまいになったと感じるのは、ウソのような出来事が次々に起きているからです。衆院憲法審査会で自民推薦を含む憲法学者3人が全員、「違憲」と言ったときも、虚構新聞でやれたネタだと悔しい思いをしましたし。
(略) 


「虚構新聞」というのは初めて聞きました。

UK氏は「虚構新聞」を11年間続けてきて、「(最近は)情報拡散の速度と規模が桁違いになった」と判断していますが、10年程度のスパンでしか見ていません。デマを信じる人がいるのは、ネット以前からありましたし、おそらくは有史以前からあったことでしょう。

また、私は日常的にネットを利用していますが、UK氏が「爆発的に」拡散したという話は、橋下市長の件も、ツイッターの文字制限の件も、全く見聞きしていません。

UK氏は、自分の体験した範囲内でしか物事を考えていないようです。

さほど深い見識があるとは思えない人間を、朝日新聞がオピニオン欄に登場させるのは、後半にある与党を中心とした政治家批判があるからなのでしょう。

新聞が政権を批判するのは良いのですが、利用できるものは何でも利用して批判するという態度は、かえって批判の信用度を下げると思います。

【世論調査】朝日新聞 9月12、13日実施

9月15日朝日新聞朝刊に世論調査の結果が発表されました。

(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は、8月22、23日の調査結果)

◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する36(38)
 支持しない42(41)

◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」36%、右は「支持しない」42%の理由)
 首相が安倍さん14〈5〉 7〈3〉
 自民党中心の内閣21〈8〉 18〈8〉
 政策の面42〈15〉 66〈28〉
 なんとなく18〈7〉 7〈3〉

◇(「支持する」と答えた36%の人に)これからも安倍内閣への支持を続けると思いますか。安倍内閣への支持を続けるとは限らないと思いますか。
 これからも安倍内閣への支持を続ける48〈17〉
 安倍内閣への支持を続けるとは限らない47〈17〉

◇(「支持しない」と答えた42%の人に)これからも安倍内閣を支持しないと思いますか。安倍内閣を支持するかもしれないと思いますか。
 これからも安倍内閣を支持しない63〈27〉
 安倍内閣を支持するかもしれない33〈14〉

◆今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。
自民36(35)
民主10(10)
維新2(2)
公明3(3)
共産4(3)
次世代0(0)
社民1(1)
生活0(0)
元気0(0)
改革0(0)
その他の政党1(0)
支持政党なし37(40)
答えない・分からない6(6)

◆橋下徹大阪市長は、維新の党を離党し、新たな国政政党を結成する方針を表明しました。橋下さんの新しい政党に期待しますか。期待しませんか。
 期待する 34
期待しない 49

◆今の国会に提出された安全保障関連法案についてうかがいます。集団的自衛権を使えるようにしたり、自衛隊の海外活動を広げたりする安全保障関連法案に、賛成ですか。反対ですか。
 賛成 29(30)
反対 54(51)

◆安全保障関連法案について、国会での議論は、尽くされたと思いますか。尽くされていないと思いますか。
 尽くされた11
 尽くされていない75

◆安倍政権は安全保障関連法案を、今開かれている国会で成立させる方針です。この法案を、今の国会で成立させる必要があると思いますか。今の国会で成立させる必要はないと思いますか。
 今の国会で成立させる必要がある20(20)
 今の国会で成立させる必要はない68(65)

◆安全保障関連法案に関してデモが広がっています。デモによって、人々が意見を表明することに共感しますか。共感しませんか。
 共感する57
 共感しない30

◆デモに、政治に対する影響力がどの程度あると思いますか。(択一)
 大いにある6
 ある程度ある41
 あまりない43
 まったくない7

◆日本に住んでいる人に12桁の番号を割り振るマイナンバー制度が、来年1月から始まります。マイナンバー制度をどの程度知っていますか。(択一)
 よく知っている3
 ある程度知っている42
 あまり知らない42
 まったく知らない13

◆政府は、マイナンバー制度によって、役所での手続きが簡単になったり、行政機関の仕事が効率化されたりするなどのメリットがあると説明しています。こうしたメリットに期待しますか。期待しませんか。
 期待する34
 期待しない57

◆マイナンバー制度によって、あなたの個人情報が、ひとつの番号で管理されることに、抵抗感がどの程度ありますか。(択一)
 大いにある33
 ある程度ある38
 あまりない21
 まったくない6

◆2017年4月に消費税を10%に引き上げることが予定されています。消費税を引き上げる際、食料品については、10%の消費税を支払った後、増税した2%分を、上限をつけて、返金してもらえる制度が検討されています。この制度に賛成ですか。反対ですか。
 賛成 35
反対 54

◆消費税の一部を返金するため、買い物の記録をとるのに、マイナンバー制度を使うことが検討されています。消費税の返金にマイナンバー制度を使うことに、賛成ですか。反対ですか。
 賛成 17
反対 72
     ◇
 〈調査方法〉 12、13の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は4047件、有効回答は1994人。回答率49%。


この世論調査が私のところに来たと想定して回答してみます。

>◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持します。

>◇それはどうしてですか。
首相が安倍さん、だからです。

>◇(「支持する」と答えた36%の人に)これからも安倍内閣への支持を続けると思いますか。安倍内閣への支持を続けるとは限らないと思いますか。
支持し続けるとは限りません。

>◆今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。
支持政党はありません。

>◆橋下徹大阪市長は、維新の党を離党し、新たな国政政党を結成する方針を表明しました。橋下さんの新しい政党に期待しますか。期待しませんか。
期待しません。橋下氏のことを特に期待しない、というわけではありません。野党の分裂・合併劇には飽き飽きしているだけです。

>◆今の国会に提出された安全保障関連法案についてうかがいます。集団的自衛権を使えるようにしたり、自衛隊の海外活動を広げたりする安全保障関連法案に、賛成ですか。反対ですか。
賛成です。

>◆安全保障関連法案について、国会での議論は、尽くされたと思いますか。尽くされていないと思いますか。
なにをもって「尽くされた」とするかが分かりません。国民が十分に理解していない場合は「尽くされていない」と定義してしまえば、安保法案に限らず、たいていの法案は「尽くされていない」ことになってしまいます。

>◆安倍政権は安全保障関連法案を、今開かれている国会で成立させる方針です。この法案を、今の国会で成立させる必要があると思いますか。今の国会で成立させる必要はないと思いますか。
特に、今国会で成立させる必要があるとは思っていません。

>◆安全保障関連法案に関してデモが広がっています。デモによって、人々が意見を表明することに共感しますか。共感しませんか。
質問が、デモ一般について訊いているのか、安保法案に関するデモについて訊いているのか不明確です。それはともかく、私自身は、安保法案には賛成ですが、反対デモをしている人をおかしな人たちだとは思っていません。デモで自分の政治的意見を表明することは悪いことではありません。

>◆デモに、政治に対する影響力がどの程度あると思いますか。(択一)
ある程度はあると思います。

>◆日本に住んでいる人に12桁の番号を割り振るマイナンバー制度が、来年1月から始まります。マイナンバー制度をどの程度知っていますか。(択一)
ある程度知っていると思います。

>◆政府は、マイナンバー制度によって、役所での手続きが簡単になったり、行政機関の仕事が効率化されたりするなどのメリットがあると説明しています。こうしたメリットに期待しますか。期待しませんか。
大して期待していません。

>◆マイナンバー制度によって、あなたの個人情報が、ひとつの番号で管理されることに、抵抗感がどの程度ありますか。(択一)
ある程度あります。管理には万全を期す必要があると思います。

>◆2017年4月に消費税を10%に引き上げることが予定されています。消費税を引き上げる際、食料品については、10%の消費税を支払った後、増税した2%分を、上限をつけて、返金してもらえる制度が検討されています。この制度に賛成ですか。反対ですか。
反対です。はじめから8%の税率にすればいいと思います。

>◆消費税の一部を返金するため、買い物の記録をとるのに、マイナンバー制度を使うことが検討されています。消費税の返金にマイナンバー制度を使うことに、賛成ですか。反対ですか。
反対というより、間に合いっこない、と思っています。

【時事問題】国勢調査

5年に一度の国勢調査の時期が来ました。

今回からはインターネットでも報告ができるようになりましたので、早速やってみました。

便利は便利なのですが、世帯ごとにIDとパスワードを設定して、おそらくアクセス集中に配慮したシステムにするには相当の経費がかかったことでしょう。どこのIT業者が請け負ったのかは知りませんが、結構な稼ぎになったはずです。

IT部分を除いても、調査書類を各家庭に配布したり、ポスターを作ったりと、相当な経費がかかっていることは想像に難くありません。

巨額の経費をかけて調査したものを何に使っているかというと、総務庁のホームページに次のような説明がありました。

国勢調査では、居住実態を反映した地域の人口や産業別就業者数などの様々な統計を作成することから、客観的なデータに基づく公正な行政を行うための基礎資料として、国や地方公共団体における各種行政施策の策定・推進はもとより、その評価に広く活用されています。また、衆議院小選挙区の画定や、地方交付税の交付額の算定など、多くの法令に利用が規定されており、「法定人口」とも呼ばれます。


一般に統計には、全量調査とランダムに抽出したサンプルで行う調査の二種類があります。全量調査は経費の関係で普通は行われません。ランダムサンプルで普通に統計資料として問題ありません。世論調査などは普通にランダムサンプルです。

なぜ、国勢調査が全量調査を必要としているのかよく分かりません。

例えば、独居老人が日本でどれだけいるのかという数字は政治決定に必要ですが、何百何十何人というレベルまでの詳細なデータを必要とするわけではありません。そもそも日々変動するので、正確に捕捉しても無意味です。

選挙権の管理は住民票で行っているはずです。選挙区の確定だけは国勢調査の資料を使うというのも釈然としません。そんなに、全量調査が必要なら、住民票をデータ化して集計できるようにした方がよっぽど有益です。

それに、今回調査票を書いて思ったのですが、嘘を書いてもバレるとは思えませんし、嘘を書くことで不利益も考えられません。嘘を書くと不都合が生じる住民票と比べるとデータの信頼度は低い、と考えられます。

国民の義務なのでしょうが、費用対効果が不明の風習です。外国でもこんなことをしているのでしょうか?

【展覧会】線と色の超絶技巧

於:大田記念美術館

今年は錦絵誕生から250年になるそうです。その記念の展覧会が大田記念美術館で開かれました。題して「線と色の超絶技巧」。

従来の浮世絵展覧会は画家に注目して展示作品が選ばれていました。そこを、今回は、彫師、摺師に着目します。彫師、摺師に着目するといっても、残念ながら彼らの個人名はほとんど伝わっていません。あくまで、彫りや摺りの技術発展が浮世絵版画の発展にどう関係しているかがわかるような作品配置です。

題名の「線」は彫りのこと。「色」は摺りのことを指していると思われます。

浮世絵黎明期の作品の中には、摺りがあきらかにズレているものもありました。おそらく従来の展覧会では不良品扱いとして展示されなかったのだと思いますが、参考のために展示したようです。

勉強になりました。

【時事問題】自民党総裁選

自民党の総裁選挙の立候補者は、安倍現総理だけとなり、無投票当選が決まりました。

立候補をうかがっていた野田聖子氏は、二十人の推薦人を集めることができず断念しました。

私は自民党党員ではないので無関係な立場ですが、総裁選挙があった方が面白いと思っていました。今回は勝てなくても、次の総理になるかもしれない人の政治信条がわかるのも意味があります。

それでも、野田聖子氏の立候補断念はやむを得なかったと思います。むしろ、立候補してこない方がよかったです。野田聖子氏自体の政治信条はよく知りません。しかし、背後に政界を引退したはずの古賀誠氏がいるのが問題です。

いままでも、総理の後に本当の権力者であるキングメーカーがひかえているという例はあり、国民に嫌悪感を抱かせていました。それでも、キングメーカーは選挙で選ばれた議員ではありました。一私人にすぎない人間がキングメーカーとして政局に影響力を振るうなど決して許してはなりません。

9月10日の朝日新聞に載った野田氏のインタビューを読んでも、総理になってどういう政策を実行するのか、安倍総理とどこが違うのかまるで語っていません。“自民党の多様性をみせる”という自民党の都合しか喋っていません。

あとは、“立候補を二人に促したが気概を見せなかったので、私が出ることにした”といった、他人をくさすことで成り立つ自慢話だけです。

古賀誠氏の影響についてはまったく触れていません。全部自分が決めたみたいな口ぶりです。国民が知らないとでも思っているのでしょうか。

性格に不誠実なものを感じます。

古賀氏のことがなくても、この人が総理になるのは御免です。

【時事問題】投書:「思い出の品々を処分できない」

9月9日朝日新聞朝刊の投書欄。毎週掲載の、一つの投書に対する反響の投書を載せる「どう思いますか」のコーナー。今週は、神奈川県の手作り作家の女性(44)の投書「思い出の品々を処分できない」が元投書です。
 

■思い出の品々を処分できない
 「ミニマリスト」という最低限の物だけで暮らす人たちが増えているらしい。私も以前から何もかも捨てられたらどんなにスッキリするだろうと、シンプル生活に憧れを抱いてきた。けれども思うのは、思い出の品々はどうするのかということだ。
 写真に撮った後、処分するやり方もあるけれど、全てがそうできるわけでもない。しかし「ミニマリスト」の部屋は見事に何も無い。すごいの一言だ。子供の頃の作品とか手あかの付いた思い出の品など、本当に一つも残っていないのだろうか。私にはそういったものが山ほどあるのに。
 「断捨離」という言葉がはやったこともあり、多少は処分した。けれども思い出の品々はどうしたって処分できない。過去が全て消えてなくなってしまいそうで怖い。「過去にしがみついていないで前を向け」の声が飛んできそうだ。でも、思い出の品々から情熱やエネルギーをもらいながら生きている自分がいるし、これが今の私にとっての財産だから。
 (8月1日付掲載の投稿〈要旨〉)


賛否それぞれの意見が載っていますが、いつものこのコーナーよりもさらに噛み合っていません。これは元の投書が、社会や他人になにかを求めているのではなく、自分は物を捨てられません、と告白しているだけの文章だからだと思います。

有識者の意見は、「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」の著者でミニマリスト・佐々木典士氏からです。

モノが大好きでどんなモノにも思い入れがあり、モノは自分自身だと感じて捨てられない。少し前までのぼくです。でも、そんな自分に嫌気がさしてモノを最小限にしました。
 本や音楽はスマートフォンやノートパソコンでも楽しめます。手紙、年賀状はスキャンすれば見返しやすい。捨てるのが難しい思い出にまつわるモノは写真で残す。かなりのモノがデータで保管でき、減らせる時代です。
 モノがあふれて片づけることに頭を悩ませなくて済むようになったぶん、自由に使える時間ができました。身軽になり、外によく出るようになりました。人との交流や新たな体験が増え、生き方まで変わりました。捨てることは失うことではなく、別の何かを得ることだと実感しています。


これも、つまるところは本人の生き方を説明しているだけです。そういう考え方もあるのかなあ、と思うだけです。

折角の企画なのですから、もっと白熱するようなテーマを選んで欲しいです。

【時事問題】マイナンバーのカードによる軽減税率

2017年4月に予定されている消費税率引き上げにともない、食料品の軽減税率を実現させる案を自公が大筋合意と報じられています。それによると、買い上げ時に10%の税で支払い、同時にマイナンバーのカードを提示。後で税務署から2%分が戻される、という仕組みです。

システムエンジニアの一人として言いますが、この案は無理です。間に合いっこありません。

これから議論が始まるわけですので、まだ作業どころか要件整理もできません。おそらく作業にはいるのはよくて一年前です。

いままでITを入れていない小口商店への対応もしなければいけません。メーカーがカード読み取り&記録装置を開発して、商店に販売or貸与という形だと思いますが、設計だけならまだしもその装置を日本中の商店に行きわたらせるだけの数を作るのは無理だと思います。

しかも、このデータを事故で失うことがあれば、商店の損害ではなく、消費者の損害になります。商店の損害なら我慢すればなんとでもなりますが、消費者に損害をかけることは、店の信用問題につながります。それだけ慎重さを必要とします。

一年やそこらで実現するのは、ほぼ不可能です。

この案は、別の落としどころをさぐるためのアドバルーンではないかと思います。

【朝日新聞】会社の目的とは?

9月4日朝日新聞朝刊。東芝の不正問題について、安井孝之編集委員が「利益優先、見直す機会」という論考を載せています。

 東芝にはいくつもの「日本初」がある。洗濯機、冷蔵庫、掃除機、カラーテレビ……。経営理念の「豊かな価値を創造し、世界の人々の生活・文化に貢献する」を、技術力で実現してきた会社だった。
 会社は、モノやサービスで消費者を満足させ、社会を豊かにする責任を負う。そのために稼ぐ力を持ち、利益を出さねばならない。
 しょせん稼ぐ力や利益は手段で目的ではない。東芝の不正会計問題では、利益を出すこと自体が目的となった。達成のため歴代社長らは不正な損失の先送りや利益の捻出を繰り返した。組織が陥りがちな「手段の目的化」が、蔓延した。
 日本でも、株主利益の最大化を求める米国型の資本主義が広がる。利益率を高める圧力は強くなり、経営者は四半期ごとに利益水準を問われ、ハードルを越えるのにあくせくしている。
 利益を上げることが悪いわけではない。問題は「何のための利益か」を忘れ、経営者の体面を保つ道具に変わってしまうことだ。過去にカネボウやオリンパスで起きた会計不祥事も、似たところがある。
 東芝の再生は、社会に何を提供するのかという再確認から始めなければならない。かつて社会を豊かにする商品を次々と世に出した東芝の原点を、見つめ直してほしい。
 (編集委員・安井孝之)


会社の目的は「モノやサービスで消費者を満足させ、社会を豊かにする」のが目的で、利益は手段でしかない、と言っています。

世間知らな意見だと思います。

たしかに、出版とかマスコミとかが、“利益が目的です”などと言い出せば鼻白むものがありますが、一般的な業態であれば、利益が目的といってなんら間違っていません。出版やマスコミにしたって赤字垂れ流しの経営をしていれば、いずれ存続できなくなります。

それに、東芝の不正会計が不正といわれるゆえんは、利益がないのにあるように見せかけたことです。つまり正しく“利益が目的”だと思っていなかったことにあります。

世間知らずでもありますし、問題の本質が分かっていないと思います。

【朝日新聞】社説:寄付と税制―官民格差をたださねば

9月7日朝日新聞社説、「寄付と税制―官民格差をたださねば」より

 毎年12月を「寄付月間」と定めて寄付への関心と機運を高め、様々な社会課題の解決につなげよう。
 NPO法人や公益法人、企業の「民」が主導し、内閣府など「官」も協力して、こんな取り組みが動き出す。その推進委員会が旗揚げした。
 民間団体の調べでは、日本での個人による寄付は東日本大震災などで盛り上がったものの、寄付大国の米国は言うに及ばず、より人口が少ない英国などにも総額で見劣りする。統一ロゴ作りやシンポジウムの開催を通じ、寄付全体の底上げをはかるのが狙いだ。
 社会課題の解決にまず責任を持つのは国や自治体であり、その経費を賄うのが税金だ。ただ、官による公的サービスが行き届かない分野は少なくない。民による公的サービスと、それを支える寄付を育てて、幅広い課題に向き合う。そんな社会を目指したい。
(略)


後半に、寄付とふるさと納税がバッティングしている。いきすぎたふるさと納税のあり方が寄付文化を疎外している、という主張が展開されています。

ふるさと納税には特に関心は持っていないので意見はありませんが、前提となる「寄付全体の底上げ」には違和感があります。

社会課題の解決にまず責任を持つのは国や自治体であり、その経費を賄うのが税金」だというのは正論です。したがって必要なのに税金で賄えないのであれば、増税が筋です。

税には、金持ちからたくさん徴収して、貧困層のために使うことで社会格差を是正するという側面があります。金持ちから十分に徴収することができない(しない)国では、社会課題を解決するのに、個々人の善意に頼る寄付が必要になっているのかもしれませんが、本来的にはいびつです。

また、個々のNPO法人やら公益法人の宣伝力によって、金の配分がゆがむというのも正義に反します。競争が入り込むべき分野とは思えません。

東日本大震災のように緊急に金が必要な場合(税では間に合わない場合)に寄付をするというのは分かります。私もわずかですが寄付しました。

しかし、寄付総額で、英国に負けるな、米国に追いつけ、といったキャンペーンにはついていけません。

【時事問題】北朝鮮情勢

北朝鮮情勢をみるに面白い記事が9月5日朝日新聞朝刊国際面に載っていました。「北朝鮮、中韓急接近に不快感 朴氏、南北緊張巡り中国へ謝意」です

 北朝鮮が2日の中韓首脳会談など、中韓急接近に強い不快感を示している。朝鮮中央通信は3日、朴槿恵大統領の会談発言を批判。韓国側も4日に遺憾を表明した。関係国は、金正恩第1書記の中国嫌いに拍車がかかり、武力挑発に結びつく事態を懸念している。
 朝鮮中央通信によれば、北朝鮮の祖国平和統一委員会報道官は3日、朴大統領が中韓首脳会談で、8月に南北朝鮮間で緊張が高まった際の「中国の建設的な役割」に謝意を示したことに反発。「我々を甚だしく侮辱する極めて無礼で初歩的な政治的自覚もない詭弁」と非難した。
 北朝鮮は3日に北京で行われた中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典に朝鮮労働党の崔竜海書記を派遣したが、北朝鮮メディアは式典の内容について報じていない。北朝鮮関係筋は「崔(書記)の父は抗日パルチザンの英雄。中国が崔よりも、父(朴正熙元韓国大統領)が満州国軍中尉だった朴大統領を優遇したことは、耐えられない屈辱だった」と語る。
 また、韓国政府は、中韓首脳会談の成果について「両国が北に武力挑発をしないよう、協力して事前警告したのは初めて」(当局者)と強調している。別の当局者は「中国が我々に理解を示せば、北に圧力をかけられる」とも話す。
 だが、正恩氏は、習近平中国国家主席が昨年7月に北朝鮮より先に訪韓したことに激怒。「ロシアと中国との等距離外交」を具申した側近を粛清したとされるほど、中国を嫌っている。日本政府関係者は「中韓接近をむやみに強調すれば、正恩氏を刺激することになりかねない」と語った。
 (ソウル=牧野愛博)


70周年記念式典で、韓国代表は国家元首、北朝鮮代表はただの書記。国家元首の方が優遇されるのは当たり前です。父親の立場からいってうちの代表の方が優遇されるべき、などとピンぼけぶりはお笑いです。

しかも、関係筋が「耐えられない屈辱」という大げさな表現をするのも、北朝鮮の文化かもしれませんが、笑いどころです。世界からみれば、よっぽど口惜しいのだろうな、と嘲笑されるだけです。いくらプライドを傷つけられたとしても黙っているべきでした。

韓国大統領が式典に参加したことは日本からみればおかしな行動ですが、韓国の立場からすれば、理にかなった行動かもしれません。先般の軍事衝突一歩手前で北朝鮮が屈服したのも、中韓接近(つまり北朝鮮外し)が影響したというのは正しいでしょう。中国と仲良くすることで、北朝鮮を封じ込めに成功しつつあります。もう北朝鮮得意の瀬戸際外交は、そうそう通用しないでしょう。

これは日本にとって、ある意味で悪くない事態だと思います。

【朝日新聞】太陽光発電1割担う

9月3日朝日新聞朝刊。「今夏ピーク時の電力供給 太陽光発電1割担う」という記事が載りました。

8月8日にも太陽光発電の記事が載りました(blogでも書きました)が、それをさらに詳しく分析したデータが載っています。

太陽光発電の年間発電量は全体の2%程度ですが、この夏の日差しの強い時間帯にかぎれば全体の1割を担っていた、とのことです。

太陽光発電ですので、日差しが強いとより発電能力が増します。また需要もクーラー使用のため、日差しの強い時間帯がピークになります。その意味で太陽光発電は利用価値が高いことが分かります。

地域別に太陽光発電の貢献割合が出ていますが、最大の割合は九州で四分の一(24.6%)にも達しています。

素人意見ですが、まだまだ太陽光発電を伸ばす余地があるように思いました。

識者の意見として、朝野賢司・電力中央研究所主任研究員の意見を引用します。

 太陽光は夏の昼頃のピーク需要を担う。だが、さらに導入が進んでも昼頃しか貢献せず、ピークは太陽光が発電しない夕方に移る。夕方は今までどおり電力会社の電気に頼る必要がある。昼も出力は不安定で、供給力として事前にあてにできる比率は小さい。火力発電所を廃止できる余地は乏しく、太陽光との設備を二重に確保する非効率さも考える必要がある。FITによる太陽光の買い取り価格も高く、制度の見直しが急務だ。


まず、太陽光の導入が進むことで需要のピークが昼から夕方に移る、というのは間違いです。どういう方法で発電しようと需要は変化しません。供給量から太陽光発電の分を引いたもののピークが昼から夕方に移る、というのが正解です。

そのピークが移るだけだから意味がない、というニュアンスで言っているようですが、それも間違いです。ピークは移るだけでなく、高さが低くなります。したがって、輸入原料に頼る火力発電の割合を下げることができます。もともと太陽光の普及で火力発電を全廃しようといっていたわけではないので、二重設備は折込み済みです。

昼も出力は不安定」というのは、よく分かりませんが、曇りや雨の日は発電量が少ないという意味なら、需要も減るのだから問題ないように思います。

太陽光発電に批判的なスタンスなのは構いませんが、批判する根拠が今ひとつ理解しかねます。

【朝日新聞】日本の外交は「狭隘で内向き」なの?

9月4日朝日新聞朝刊。社説余滴のコーナー。国際社説担当・箱田哲也氏の「意地の張り合い、いつまで」より

日韓の関係について、互いに意地の張り合いはやめて、仲良くすべし、と言っています。

(略)
 動機が何であれ、朴政権の対日政策の変化の兆しは、日韓の稚拙な意地の張り合いを終わらせるきっかけになりうる。今日の惨憺たる隣国関係を作り上げたのは、狭隘で内向きにすぎた双方の外交だ。
 韓国は来春、総選挙を控える。それが終われば、現在は水面下で進む大統領選に向けた動きが一気に表面化する。日本も安保法制をめぐって民意は割れている。日韓ともに先は見通せない。
 安倍、朴政権での関係改善はもうあきらめたと、さじを投げるのは簡単だが、本気で改善しようとするのなら、まず考慮すべきは時間だ。
 残された時間は、そう長くはないのかもしれない。


まるで理解できません。

これまでの報道によれば、日韓首脳会談を拒んでいるのは韓国であり、日本の回答は「対話のドアは常にオープン」というものです。日本が「稚拙な意地」を張ったり、「狭隘で内向きにすぎた」外交をしていたとは承知していません。

もちろん、水面下の外交では融和的ではなかったのかもしれません。しかし、上記の私の印象は、朝日新聞をはじめとした日本のマスコミから受けたものです。

違うと言うのであれば、つまり日本も結構えぐいことをしていたと言うのであれば、それなりの報道が必要でした。しかし、他の報道はおろか、このコラムですら、日本外交の「狭隘で内向き」な事例を示せていません。

対立する両者(この場合は日韓両政府)に向かって、“あなたたち両方が努力しなさい”と説教するのは気持ちいいかもしれませんが、根拠がなければ説得力を持ちません。

【朝日新聞】投書:「教員は本当に多忙なのだろうか」

毎週、一つの投書への反響の投書と識者からの意見が交錯させるコーナーです。今週は、愛知県の元小学校長男性(64)の「教員は本当に多忙なのだろうか」が元の投書です。

 公立小中学校教員の多くが、授業以外の「保護者からの苦情対応」や「研修リポートの作成」を負担に感じている、と文部科学省が発表した。しかし、私は教員側にも工夫の余地があると思う。
 私は38年間、小中学校で教員生活を送った。「優先順位をつけて計画的に仕事をこなす」ことが苦手な教員が増えている。
 例えば研修リポートの通知は突然来るわけではない。すぐとりかかる教員もいるが、多くは提出直前に着手する。だから「忙しく」感じる。通知表も同じだ。保護者からの苦情は、他の教員や管理職と相談すれば迅速に解決できる場合が多い。
 私は校長時代、職員室の机の上を整理整頓するよう口を酸っぱくして言った。整理ができない教員は仕事が遅く、物をよくなくす。授業の準備もまともにできないことが多かったからだ。
 時間をうまく使う方法を企業社会から学ぶべきだ。そして、もっとテキパキと仕事ができるようになってほしい。
 (8月1日付掲載の投稿〈要旨〉)


教員の仕事の仕方には問題があるのでは、という指摘です。仕事に優先順位をつけない、あるいは探し物ばかりしている会社員は仕事が遅い、というのは私も実感してわかります。

これに対して、四人の一般人と一人の識者が反応を示しています。

山口県の小学校教員の男性(28)は、「投稿者の意見は看過できない」と批判しています。

しかし、批判に中身がありません。机がきたなくても一生懸命やっている教員が僕らの仲間だ、などと見当違いの反応です。

和歌山県の高校非常勤講師の男性(67)は、38年の教員生活の経験から、教師の仕事は予定外の作業が発生するので、優先順位付けは言うほど簡単でない、と反論しています。

ですが、予定外の作業が発生するのは一般の会社でも同じです。元投書の「時間をうまく使う方法を企業社会から学ぶべき」という言葉にもう少し耳を傾けるべきだと感じました。

埼玉県の主婦(73)の方は、PTA役員の経験から、直接元投書には触れず、“先生お忙しくてお大変”と言っています。

千葉県の無職の男性(76)の方は、基本的な問いとして、教員は本当に忙しいのか、という疑問を投げています。この方は一般企業に勤めていてPTA役員の経験もあります。その経験に照らして、教員が一般企業の人間より忙しいとは思えない、としています。

立命館大学教授の陰山英男氏の意見は、全文引用します。

 疲れ果てて笑顔のない先生では、いい授業はできず、子どもたちにとっても不幸です。広島の公立小で校長をしていた時、「限られた時間内で成果を上げるため、無駄の多い仕事は切れ。俺が責任をとる」と言いました。今の学校は報告書の作成など仕事量が増え、確かに忙しいです。もっと効率的に仕事をすべきなのはもちろんです。
 問題は教育界の意識です。要領よく仕事をして早く帰ると、手抜きとかずるいと見られてしまう悪い文化がはびこっています。「かけた時間や努力こそ評価すべきだ」という神話を、まず払拭しなければいけません。
 その上で、子どもと向き合うためのエネルギーをどう最大限確保するか。いわゆるモンスターペアレントへの対応を第三者機関に任せるなど、負担の軽減を検討すべきだと思います。


私見を述べます。

千葉県の男性の問いかけ(教員は一般に比べて本当に忙しいの?)が重要です。これを明らかにするためには、年間総労働時間の比較しかありません。にもかかわらず、この議論で年間総労働時間は一切でてきません。報告書がどうの、保護者への対応がこうの、と業務の種類を言うだけです。業務の種類がたくさんあるということと、仕事が忙しいということは別です。この基本の数字が出ないのであれば、社会の問題として受け止めることはできません。

世間一般と比べてどうかはともかく、自分の仕事の効率を上げるために、仕事の仕方を他業種に学ぶというのは意義があります。社会の問題ではありませんが、個人の問題として多いに工夫したらいいと思います。

元投書は、教員が一般より忙しいと言っているのではなく、仕事の進め方が下手なのでは、という意見なので、同意できます。教員にかぎらず、仕事の工夫は大事です。

余談ですが、「要領よく仕事をして早く帰ると、手抜きとかずるいと見られてしまう悪い文化」は教育界だけでなく、私の会社(外資IT系)にもあります。もしかしたら日本全体の問題なのかもしれません。

【時事問題】監視カメラと五輪エンブレム問題

昨今世間を騒がせる事件では、たいてい監視カメラが解決に役立っています。こんな場所にも、と思われるようなところにも監視カメラが仕掛けられていて、犯人と思しき人物を写します。昨日は、なんとタクシー乗車中のオレオレ詐欺受け子の鮮明な映像が公開されました。

統計的なデータはありませんが、近頃は未解決事件というのが少なくなったようにも思います。事件がどんどん解決するのは結構ですが、いつのまにか世の中が監視社会になっているかのようで不気味な感じもします。

テクノロジーの進歩によって監視社会が到来するという予測だか予言だか懸念だかは、ずっと昔から言われてきました。その意味で、今日の状況は予測の範囲内といえなくもありません。

その一方でまったく未来予測に現れなかった事態も現出しています。昨日の五輪エンブレムの取り下げの背景にあった、ネット社会の執拗な調査です。

五輪エンブレム問題のきっかけは、ベルギーの同業者の訴えです。剽窃なのかどうかは、素人の私にはわかりませんが、似てはいてもパクリとまでは思えませんでした。しかし、その後に次々と明るみになる剽窃疑惑を前にして、件のデザイナー本人も組織委員会も取り下げざるをえなくなったようです。

この次々と明るみになった例の大部分がネット住民による調査によるものです。プロの作品のこれこれと似ている、というのなら探し出せなくもないと思いますが、個人サイトにある写真との一致を指摘するなど、どうやって調査したのかさえ分からないくらいです。しかも彼らは無報酬です。

プロの仕事を素人がよってたかって検証するという社会の到来は、おそらく誰も予想していなかったと思います。

監視カメラの規制は、我々主権者が決意するなら、できなくありません。しかし、ネットの調査をやめさせるとか、基準を設けて規制するという方法はまったくありません。

これは、もしかしたら監視カメラよりも恐ろしい社会現象なのかもしれません。

【朝日新聞】夜歩きの子、声かけぬ大人 防犯意識広がり「通報されるかも」

8月31日朝日新聞朝刊。戦犯の寝屋川市の事件について、「夜回り先生」として知られる元高校教諭の水谷修さんのインタビューが掲載されました。

 「夜回り先生」として知られる元高校教諭の水谷修さん(59)の話 1980年代後半、コンビニが急激に増え始めたころ、夜の街は変わった。きれいなトイレがあり、食べ物や飲み物が買える。子どもたちはコンビニ裏の駐車場など目につきにくいところでたむろするようになった。
 「どうせ大人は声をかけてこない」と、90年代に入ると表に出てきた。95年ごろから繁華街に現れ、その延長線上に子どもたちがいることを許す今の夜の街がある。
 子どもたちは最初にちゃんと試している。声をかけられたり、怒られたりすればそこで収まるはずだった。
 どう見ても18歳以上には見えない寝屋川のあの子たちは、深夜未明から早朝までに、どれだけの大人と会ったのだろう。その1人でも帰るように声をかけていれば、せめて警察に通報していれば、事件は防げたかもしれない。
 密告のようで嫌な社会かもしれない。でも今の日本には、そういう感性が必要だ。社会全体が子どもに対し、冷たい無関心ではなく、温かい厳しさを持たないといけない。
 (聞き手・荻原千明)


前提として、日本の犯罪件数は低下傾向にあることを確認しなければなりません。昔は大人が声をかけていたのに、最近声をかけなくなったから犯罪が増えた、と考えているのだとしたら間違っています。子供が事件に巻き込まれるのは今も昔もありますし、今の方が少ないというのが真実です。

統計的に減ったとはいえ一件の犯罪も許してはならないのだ、という意見は分かります。例えば、航空機事故だの、原発の事故だのでは、統計的にどうであろうが一件でもあったら大問題です。子供の犯罪被害もそうしたものといえなくもありません。

しかし、一件の犯罪を減らすために、いわゆる「密告のようで嫌な社会」と表現される副作用の何が許容できるのかについては、議論が分かれます。

そもそもこの事件は、犯人が被害者に「声をかけた」のがきっかけだったと思います。これを忘れてはなりません。「声をかけた」大人を、ほいほい信頼してもらっても困るのです。

航空機事故調査で行うように今回の事件の原因究明と対策をするのであれば、最大の責任は犯人にあるものの次に大きな責任を負うのは、少年少女の夜歩きを許した保護者にあることを認めなければなりません。

子供が殺された親御さんにこうしたことを言うのは酷だというのは分かります。しかし、真面目に対策を考えるのであれば、“我々社会全体の責任だ”みたいな毒にも薬にもならないことを言うのではなく、本当のことを語るべきなのです。
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えいび

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