【展覧会】プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光
日本とスペインが外交を樹立して150年を記念した展覧会です。この展覧会の売りは、ベラスケスの作品が7つも来日したことです。プラド美術館には行ったことがあるのですが、それでも見に行きました。重厚で本格的な展覧会でした。
いままで意識していなかったルーベンスとベラスケスの関係がクローズアップされていて興味深かったです。
5月27日まで
巡回展が兵庫県立美術館6月13日~10月14日であります。
今回の南北首脳会談は、東アジアでの日本の位置づけが変わっていることを顕在化させた機会だったと思います。
南北会談から米朝会談への流れを見ると、韓国政府が主導的な役割を果たした半面、同じく米国の同盟国である日本政府は、アジェンダ設定にうまく絡めませんでした。
米政府が朝鮮半島にかかわる重要な案件について動くときは日本政府に事前に話をするはずだ――そういう意識が戦後の日本にはあったと思います。米国という西側のボスのもとで自らを“東アジアの番頭”であるかのように位置づける意識です。
今回の「日本外し」が突きつけているのは、日本がいまや“東アジアに何人もいる支店長の一人”に過ぎないかもしれないという現実です。
(略)
大阪府内の男性(69)が「40年以上連れ添った同性パートナーの葬儀に配偶者としての参列を拒まれた」などとして、パートナーの妹に700万円の慰謝料などを求める訴訟を26日、大阪地裁に起こした。
訴状などによると、男性は1971年から8歳上のパートナーと同居。2人は男性が実質経営する事務所の収入で生活し、代表にパートナーが就いていた。死別後に互いに財産を残せるよう養子縁組する約束をしていたが、手続き前の2016年3月にパートナーが急死したという。
男性は、火葬に同席できず、葬儀で親族席に座れなかった▽廃業通知を勝手に取引先に出され、事務所が継続できなくなった――ことなどで精神的苦痛を受けたと主張。パートナーが生前に約束した財産の引き渡しも求めた。男性は会見で「同性というだけで、差別は歴然と存在している。人間として同等の権利が与えられるべきだ」と話した。
(略)
この問題では、セクハラを受けたと感じた女性記者が事務次官との会話を録音し、それを「週刊新潮」に渡したことの是非もニュースになっています。同日付の読売新聞は社会面にテレビ朝日の記者会見での主なやりとりを掲載しています。
〈――女性社員が週刊新潮に情報を渡したのはなぜか。
「財務次官という社会的に責任の重い立場の者の不適切行為が表に出なければ、黙認され続けてしまうのではないかという考えを持っていた。(情報を第三者に渡したことについて本人は)現在、不適切な行為だったという私どもの考えを聞いて反省している」(中略)
――取材で得た情報が第三者に渡った点について、どう改善していくのか。
「適切な対応ができなかったことは深く反省している。組織として適切な判断ができるようにしたい」〉
この扱いを見ると、読売としては記者が次官とのやりとりの音源を週刊新潮に渡したことを重大視していることがわかります。
それがさらに明確になるのが、19日付夕刊社会面です。「報道各社 取材内容提供 過去にも」という見出しの記事を掲載しています。
〈1989年には、TBSのスタッフが、オウム真理教の問題に取り組んでいた坂本堤弁護士のインタビュー映像を放送前に教団幹部に見せ、9日後に一家が殺害される事件が起きた〉
今回の記者の行為は、これと同列に扱われるようなことなのでしょうか。ここで問題になるのは、記者が録音したのは、取材行為ではなく、自分を守るためだったと話していることです。
取材行為において、相手に対して録音することの許可を求めるのは一般的なルールです。取材相手は、この音源が、取材記者が原稿を書く際の正確性の担保になると思って承諾しているはずです。それを第三者に渡したら、確かに記者のモラルが問われます。
でも、女性記者がセクハラを受けていると感じて録音を始めたのなら、これは取材活動ではなく、被害者の自己防衛です。セクハラ被害を受けたと訴えた場合、往々にして「言った、言わない」の争いになってセクハラの認定が難しくなるので、録音するのは当然のこと。その録音内容を自分が所属する会社が報じてくれないなら、どこへ訴えればいいのか、ということになります。
記者も人間です。取材活動なのか、人間としての尊厳を守る自己防衛なのか。そこをはっきりさせて論じる必要があるのです。
低層の家やアパートが並ぶ名古屋市瑞穂区にこの春、15階建てマンションができた。高さ45メートル、突出して高い。「太陽を奪うな」。現場を見れば周辺住民の反発は理解できる。
この建設途中に、反対運動のリーダーで薬剤師の奥田恭正さん(61)は、暴行容疑で逮捕、起訴された。
現場監督を両手で突き飛ばし、通りかかった大型車に接触させた、というのだ。「触った覚えもない」と否認したが、取調官は「防犯カメラに映っとる」と自白を迫った。勾留は14日間に及び家宅捜索もされた。
ところが、防犯カメラは奥田さんの後方上部にあり、手元は映っていなかった。法廷で私もカメラの映像を見た。監督が大きく手を広げて倒れ込む様子は映っていたが、奥田さんが触れた様子は見えなかった。
名古屋地裁は今年2月、「有罪の証拠がない」として無罪を言い渡し、判決は確定した。逮捕から1年4カ月。この間、奥田さんには刑事被告人の立場がついて回り、精神的な負担も大きかった。
警察はもっと慎重に捜査するべきだった。だが、地元警察署の幹部は今も、「違法状態があれば取り締まる」とにべもない。
(略)
――財務省が、セクハラを受けた女性に名乗り出るよう求めました。
最悪です。セクハラ被害者を恫喝し、追い詰めている。「被害者に聞かなければ証明できない」で逃げようと思っているのでしょうが、音源や週刊誌の報道があるのだから、財務省内でまず次官本人や職員に対しての調査を弁護士などに細かくやらせるべきです。それもやらずに被害者に「名乗り出ろ」なんて、聞いたことがありません。
――女性記者が会話の録音を週刊誌に渡したことを問題視する声があります。
批判はまったくあたりません。セクハラの被害者が被害事実の証明のために録音するのは当然。「情報漏洩」などの批判は、記者倫理と自己防衛を混同した誤った見方です。女性は最初に会社に訴えたのに、会社側が対応しなかったため、週刊誌に話した。その行動こそ女性たちが性被害やセクハラを訴える「#MeToo」でしょう。
(略)
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「スカーフをかぶって仕事をするのが、なぜ、だめなのですか」
インドネシアから来た女子留学生(20)が、私に問いかけた。スカーフとは、イスラム教徒の女性が髪を隠すために頭に巻く「ヒジャブ」のことだ。彼女にとってイスラム教は「生活のガイドブック」。中東と違い、インドネシアではここ数年、カラフルな布でエレガントな巻き方が女性の社会進出と重なり、インターネットを通じて広がった。
彼女は今春、早稲田大に入学した。留学生は資格外活動の許可があれば1週間に28時間まで働ける。入学前に、日本語学校に通いながら、語学力の向上と、家族の仕送りの負担を減らすためにアルバイトを探した。アパレルショップの面接では、「お店の規則」としてイヤリング禁止、軽いメイクなどの説明を受けた。彼女がスカーフに関する規則を尋ねると「後で確認します」と言われた。説明はないまま、「ご希望に添いかねることになりました」と書かれた不採用通知が届いた。
それ以前にも、面接日が決まっていた会社に電話をかけ、「スカーフをかぶっていてもいいですか」と質問。しばらく待たされた後に「募集は終わりました」と断られた。
スカーフ着用が不採用の理由と言い切れないが、そう考えるに足る不自然な様子はお分かりいただけると思う。
同様のことは医療現場でもある。経済連携協定で来日するインドネシア人看護師候補者をサポートする首都大学東京の石川陽子准教授は「日本の受け入れ病院とのマッチングでもよくある問題です」と言う。候補者は看護助手として働きながら日本の国家試験合格を目指す。スカーフには事前に条件を示す病院もあるが、来日後に外すことを求める病院もあるという。石川准教授は「(外せと言われた側は)アイデンティティーが損われたと思うのです。日本人は宗教への関心が薄く、宗教と生活の結びつきを理解できず、『日本人と同じに』と言ってしまうのでしょう」とみる。
訪日外国人が増え、東京ではスカーフを巻く女性をよく見かける。ただ朝日新聞の「声」の欄には「不快と恐怖を感じる」「ムスリムの慣習が通用する場所で生活して」という投書も届く。お互いが持つ違和感が強くなれば、いずれ偏見につながる。冒頭の彼女は、欧州より寛容と思っていた日本の現実に「悲しい」とつぶやく。
高齢社会、人口減社会の日本は、経済の活性化や社会の維持に外国人の力は欠かせない。ダイバーシティーという言葉が盛んに使われるようになった。しかし、国籍、人種、宗教といった外国人の背景にある多様性について、日本人の想像力と対応力はまだまだだと感じた。
米コーヒーチェーン最大手のスターバックスは17日、全米に8千以上ある直営店の営業を5月29日午後に一斉に見合わせる、と発表した。米東部フィラデルフィアの店内で12日、商品を買わずにいた黒人男性2人が逮捕される事件があり、SNSでその映像が拡散。人種差別だとして同社に批判が殺到していた。店や事務所を一時休業し、従業員約17万5千人が人種差別を防ぐ研修を受けるという。
謝罪などのためにフィラデルフィアを訪れたケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は17日、「我々が何を誤り、それを正すために何をすべきか、この数日間で学んだ。研修のための休業は、道のりの一歩に過ぎない」と述べた。
地元警察の説明などによると、男性2人は12日午後、知人との待ち合わせのために入店。商品を買わないまま座席に座り、トイレを使おうとした。店側はそれを断り、店を出るよう求めたが、2人は退去を拒んだ。店の通報で警察官が駆けつけ、不法侵入容疑で2人を逮捕したという。
2人が手錠をはめられて連行される様子を、居合わせた客が撮影。「彼らは友人が来るのを待ち、実際に来たところで捕まった。私たち白人が同じことをしても、こういうことが決して起きないのはなぜか」とのコメントとともにツイッターに投稿したところ、17日夕(日本時間18日朝)までに1千万回以上、視聴された。店の前には抗議の人が集まり、SNS上で「スターバックスをボイコットせよ」という運動が巻き起こっていた。
(略)
日本ではほとんど報じられていないが、人工知能(AI)分野で、地政学的な変化が起きようとしている。フランスの動向だ。マクロン大統領は3月末、世界中からAI分野の有識者を招き意見交換会とシンポジウムを開催。フランスを「AI立国」とすると宣言した。2022年までに15億ユーロをAI分野に投資し、規制緩和を進める。
(略)
「新技術が登場する時には心配する人は必ずいる。電話やテレビが登場したときもそうだが、何の問題もなかった。AIも同じだ」と楽観論を展開するヤン・ルカンに、(マクロン仏)大統領は厳しく指摘した。「これまでの技術は国民国家という枠の中で管理できた。AIとビッグデータは違う。圧倒的な寡占状況があり、富の再分配が行われていない。フランスが育成した有能な人材がシリコンバレーに流出しても、フランスに税金は支払われない」と。
アメリカと中国でブームになると、日本は慌ててAIに手を出した。だが、「何のため」かはっきりしない。夏目漱石そっくりのロボットを作ってみたり、小説を書かせてみたり。よく言えば百花繚乱、悪く言えば迷走気味である。メディアも、AIと聞けば何でも飛びつく状況だ。フランスは違う。AIというグローバルゲームのルールを変えるために乗り出してきたのだ。
最後発のフランスにルールを変えられるのか。大統領のAIアドバイザーを務めるのは数学者のセドリック・ビラニだ。法学者や哲学者も連係して、アルゴリズムによる判断によって引き起こされ得る深刻な人権侵害、AIの誤認識による事故の責任の所在、世界中から最高の頭脳を吸引するシリコンバレーの「教育ただ乗り」問題を鋭く指摘。巨大なIT企業の急所を握る。そして、「データとアルゴリズムの透明性と正当な利用のための共有」という錦の御旗を掲げながら、同時に投資を呼び込む作戦だ。最初の一手は、5月に施行されるEU一般データ保護規則になることだろう。
ヨーロッパでは哲学も倫理学も黴の生えた教養ではない。自らが望む民主主義と資本主義のルールを通すための現役バリバリの武器なのである。
振り返って、我が国はどうか。「人間の研究者が『人工知能カント』に向かっていろいろ質問をして、その答えを分析することがカント研究者の仕事になると私は予想する」(「AIは哲学できるか」森岡正博寄稿、本紙1月22日)。
これでは、日本の哲学者の仕事は風前の灯と言わざるを得ない。(敬称略)
(数字は%。小数点以下は四捨五入。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は、3月17、18日の調査結果)
◆いまの政治などについてうかがいます。あなたは、安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持する31(31)
支持しない52(48)
その他・答えない17(21)
◇(「支持する」と答えた人に)それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一)
首相が安倍さん10〈3〉
自民党中心の内閣19〈6〉
政策の面18〈6〉
他よりよさそう50〈16〉
その他・答えない2〈0〉
◇(「支持しない」と答えた人に)それはどうしてですか。(択一)
首相が安倍さん29〈15〉
自民党中心の内閣21〈11〉
政策の面33〈17〉
他のほうがよさそう11〈6〉
その他・答えない6〈3〉
◆あなたは今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。
自民33(32)
立憲10(11)
希望0(1)
公明4(3)
民進2(1)
共産3(3)
維新1(1)
自由0(0)
社民0(0)
日本のこころ0(0)
その他の政党0(0)
支持する政党はない40(36)
答えない・分からない7(12)
◆今年の秋に自民党の総裁選挙があります。あなたは、次の自民党総裁にふさわしいのは誰だと思いますか。(択一)
安倍晋三さん22
石破茂さん27
岸田文雄さん6
野田聖子さん6
この中にはいない34
その他・答えない5
◆第2次安倍政権が発足して、5年以上たちました。あなたは、安倍政権に長期政権の弊害をどの程度感じますか。(択一)
大いに感じる23
ある程度感じる36
あまり感じない26
まったく感じない11
その他・答えない4
◆最近の安倍首相の発言や振る舞いをみて、あなたは、安倍首相のことをどの程度信用できると思いますか。(択一)
大いに信用できる4
ある程度信用できる27
あまり信用できない37
まったく信用できない29
その他・答えない3
◆「森友学園」に国有地を値引きして売却した問題をめぐり、財務省の職員が森友学園に、地下のごみの撤去について、うその説明をするよう求めていたことがわかりました。あなたは、財務省のこうした対応は、大きな問題だと思いますか。それほどではないと思いますか。
大きな問題だ83
それほどではない12
その他・答えない5
◆財務省が「森友学園」との国有地の取引に関する決裁文書を改ざんしたことをめぐり、当時の局長だった佐川宣寿さんへの証人喚問が先月、国会で行われました。佐川さんは、改ざんの経緯などの証言を拒否する一方、安倍首相やその周辺からの改ざんの指示はなかった、と話しました。あなたは、こうした佐川さんの説明に納得できますか。納得できませんか。
納得できる15
納得できない77
その他・答えない8
◆あなたは、森友学園への国有地売却の問題を解明するため、安倍首相夫人の昭恵さんが国会で説明する必要があると思いますか。その必要はないと思いますか。
説明する必要がある61(65)
その必要はない33(27)
その他・答えない6(8)
◆「加計学園」の獣医学部新設についてうかがいます。安倍首相の秘書官だった柳瀬唯夫さんが、愛媛県の職員らに会って、「本件は、首相案件」と話した、と記された愛媛県の文書が見つかりました。一方、柳瀬さんは「記憶する限りはお会いしていない」と話し、安倍首相は獣医学部の新設について、指示や関与を否定しています。あなたは、安倍政権の説明に納得できますか。納得できませんか。
納得できる14
納得できない76
その他・答えない10
◆加計学園の獣医学部の問題を解明するため、あなたは、安倍首相の秘書官だった柳瀬唯夫さんを国会で証人喚問する必要があると思いますか。その必要はないと思いますか。
証人喚問する必要がある72
その必要はない19
その他・答えない9
◆陸上自衛隊の記録、「日報」についてうかがいます。防衛省が、存在しないと国会で説明したイラク派遣の日報が、陸上自衛隊で1年前に見つかっていましたが、今年3月まで大臣に報告されていませんでした。あなたは、政治家が自衛隊をコントロールする「文民統制」ができていると思いますか。できていないと思いますか。
できている13
できていない75
その他・答えない12
◆政府は、働き方改革関連法案の成立を今の国会で目指しています。この法案は、残業時間の上限を罰則付きで定める一方、専門職で年収の高い人を労働時間の規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」を盛り込んでいます。あなたは、この法案を今の国会で成立させるべきだと思いますか。その必要はないと思いますか。
今の国会で成立させるべきだ20
その必要はない61
その他・答えない19
◆政府は、ギャンブルができるカジノの入場料などを定めた法案の成立を今の国会で目指しています。この法案が成立すると、カジノが実際に国内でできるようになります。あなたは、この法案を今の国会で成立させるべきだと思いますか。その必要はないと思いますか。
今の国会で成立させるべきだ22
その必要はない71
その他・答えない7
◆安倍首相は今月、アメリカのトランプ大統領と会談を行い、日米の貿易問題や北朝鮮の拉致問題などを話し合います。あなたは、日米首脳会談に期待しますか。期待しませんか。
期待する50
期待しない44
その他・答えない6
◇
〈調査方法〉 コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、14、15の両日に全国の有権者を対象に調査した(固定は福島県の一部を除く)。固定は、有権者がいる世帯と判明した番号は1973件、有効回答945人。回答率48%。携帯は、有権者につながった番号は1923件、有効回答966人。回答率50%。
他人の労苦の成果を横からかすめ取るような行いは許しがたい。だからといって、こんなやり方で対抗しようとすれば、将来に大きな禍根を残す。
政府がきのう、インターネット上で漫画や雑誌などを無料で読める「海賊版サイト」に対する緊急対策を決めた。
人々がこうしたサイトにアクセスするのを、ネット接続事業者(プロバイダー)が遮断しても違法にはならない、との見解を打ち出したのだ。さらに三つのサイトを明示し、「当面の措置として遮断するのが適当」と踏みこんだ。「事業者の自主的な取り組み」としつつ、事実上の要請と言っていい。
サーバーが海外にあるなどの理由で、海賊版サイトには有効な手を打てないのが現実だ。被害額は数千億円にのぼるとの推計もあり、権利を日々侵される漫画家、出版社のいら立ちや悩みは、十分理解できる。
だが、プロバイダーが接続を遮断するためには、顧客のアクセス先を逐一確認する必要がある。憲法が保障する「通信の秘密」の侵害になりかねない、まさに劇薬だ。
日本では、幼い子供の心身に回復できない傷を残す児童ポルノのサイトに限り、11年から遮断対象としている。刑法の「緊急避難」の考えに基づく措置で、プロバイダー、関係省庁、憲法学者らが2年にわたって議論し、ルールを整備した。
しかし今回の対策は、そうした過程抜きに唐突に決まった。政府は海賊版サイトも緊急避難の理屈で説明できるというが、法律家の間では否定的な声が多い。「通信を無断でチェックしたのは問題だ」と客から抗議された場合などのリスクを、「自主的な取り組み」をしたプロバイダーに押しつけるものでもあり、あまりに無責任だ。
(略)
「安倍政権は国民に選択肢を示さず、高齢者の定義を急に変え、なし崩しで70歳まで働く社会にもっていこうとしている。これはアンフェアです。」
(略)
「アニメだから」「時代劇だから」目くじらをたてるな、という意見もありました。昔をそのまま描くことだけが時代劇の意義ではないはず。時代劇という意匠を通じて現代を批判し、再検討するという意味もあります。原作が古いものでも、もとの世界観を崩さずに、いまの課題をとりこみ、緊張感をもって社会と対峙しているアニメはいくつもあります。私はアニメやサブカルチャーが好きなぶん、カウンター性をなくしたサブカルには失望を感じてしまうのです。
(略)
朝日新聞社とベネッセ教育総合研究所が共同で実施する「学校教育に対する保護者の意識調査」の結果が4日、まとまった。全国の公立小中学校の保護者7400人に聞いたところ、教育格差について「当然だ」「やむをえない」と答えた人は62・3%となり、4回の調査で初めて6割を超えた。また、子どもの通う学校への満足度は83・8%で、過去最高となった。
調査では「所得の多い家庭の子どものほうが、よりよい教育を受けられる傾向」について「当然だ」「やむをえない」「問題だ」の3択で尋ねた。
「当然だ」と答えた人は9・7%で、2013年の前回調査の6・3%から3ポイント以上増えた。1回目の04年、2回目の08年(ともに3・9%)からは6ポイント近い増加だった。また、「やむをえない」は52・6%で、初めて半数を超えた前回の52・8%とほぼ同じ。格差を容認する保護者は計62・3%となった。
一方、「問題だ」は34・3%で前回の39・1%から5ポイント近く減少。08年調査の53・3%と比べると、19・0ポイントも減ったことになる。
(略)
(略)
――一方で北朝鮮の対話攻勢は核・ミサイル開発を進めるための時間かせぎだ、だまされるな、との指摘も少なくありません。
「著名な米国の北朝鮮研究者が面白い資料を作りました。1990年代以降、北朝鮮は対話が続く間、核・ミサイル開発をやめるが協議が壊れると活動を始める。北朝鮮を知らない人はすぐ『彼らはうそつきだ』というが、まともな研究者の間では、対話と核開発の関係は知られた話です」
――しかし、北朝鮮は核放棄を誓っても約束を破ってきました。
「94年の米朝枠組み合意の後、北朝鮮でウラン濃縮疑惑が浮上した時、当時の金大中大統領は、まだ濃縮施設は完成していないから対話で解決しようと米国に持ちかけましたが、答えはノーでした。米国は約束した北朝鮮への重油供給を停止。05年の6者協議の共同声明で北朝鮮が核放棄を受け入れた時は、直後に米国が北朝鮮の銀行口座を凍結しました。基本的には北朝鮮の疑わしい行動が問題ですが、彼らからすると合意を破ったのは米国だということになる」
(略)
――「非核化」の定義は日韓米と北朝鮮で違う、という指摘は、日本の中で根強くあります。
「完全、検証可能かつ不可逆的な核廃棄が非核化の普遍的な定義です。南北は91年末に核兵器の製造や使用を認めない非核化共同宣言を出したので北朝鮮も同じ認識を持っています。ただ米国は、交渉に入る段階で非核化が必要だという『入り口論』なのに対し、北朝鮮は(交渉の最終段階で非核化を実現する)『出口論』です」
(略)
日本学生支援機構の奨金を返せず自己破産した人が過去5年間で延べ1万5千人。その半分は親や親戚ら保証人だった――。朝日新聞が2月、3回にわたり報道したところ、電話やメール、投書などで多くの反響が寄せられました。主な意見について、2回にわけて掘り下げます。
800万円余の奨学金を返せず、東京で一人暮らしをしながら働く息子と、連帯保証人の父親が相次いで自己破産した事例などを紹介したところ、「800万円も借りる必要があったのか」(50代女性)など、金額が大きすぎるとの声が多く寄せられた。奨学金を返さないことへの批判も目立った。
これに対し、愛知県の男性(28)は「借りざるを得ない人もいることを理解してほしい」と訴える。
2016年度の利用者は約131万人で貸与額は約1兆円。給付型の奨学金は17年度から始まり、18年度以降、毎年約2万人。新たに借りる人は連帯保証人(父母のどちらか)と保証人(4親等以内)を立てるか、保証機関に保証料(借りる額の2~5%程度)を払う機関保証制度を選び、卒業後20年以内で返す。約410万人が返還中で、貸与額は約8兆円。
技術系の高校に通っていた男性は、成績はトップクラスだったが、年収約300万円の家計を考え、就職するつもりでいた。3年生だった2007年度、米国発の金融恐慌の予兆が現れていた。学校の求人リストは減り、めざす大手自動車会社の名前もなくなった。
担任に相談すると、「よく勉強しているのだから、奨学金を借りて進学すればいい」と勧められた。検討した四つの大学のうち、学費や家賃などの総額が最も安い九州の私大に進んだ。
仕送りはゼロ。毎月16~18万円の奨学金を借りたほか、アルバイトで数万円を稼ぎ、年110万の学費、生活費、月3万円の家賃などを賄った。コンパにも参加しなかったが、卒業前に電卓をたたくと奨学金は835万円に膨らんでいた。
就職活動はうまくいかず、非正規職や期間工として働いてきた。1年前、友人のつてで鉄鋼会社に就職でき、営業職になった。手取りは月20万円。返還猶予制度を使うのをやめ、先月から月3万9千円ずつ返し始めた。「職が安定しなければ、自分も破産していた。今はぎりぎり返せるが、48歳まで払い続けられるのか」。連帯保証人の父や保証人の妹の顔が目に浮かび、重い気持ちになる。最近、結婚したものの、子どもをもつことはあきらめている。
(略)