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【本】居眠り磐音 決定版03 花芒ノ海

「居眠り磐音」シリーズの第三弾です。

第二巻の感想で、このシリーズは長編と短編を組み合わせた構造で、短編部分は江戸でのアルバイトの話で、長編部分はもと居た藩の陰謀が徐々に明らかになる構造なのだろう、と想像しました。

この三巻を読んで、ちょっと予想を外されました。藩の悪い家臣の暗躍はこの巻で解決しました。よく考えれば、51巻もその話を引っ張れるとは思えません。

ただ、解決したからといって主人公は藩に戻ることはありませんでした。藩主も話の分かる人なので、小説の内部世界の理屈から考えると戻らない理由はないのですが、浪人暮らしをやめるとこのシリーズは終わってしまうという外部の理由があるからでしょうか。意図せず人気になったので、話を引っ張っているような感じもします。

次巻からなにが基軸になるのかわかりませんが、私の予想では苦界に身を沈めた婚約者を救い出す話かと思います。

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【映画】アド・アストラ

出演:ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド

地球外知的生命体探求に尽力した父(トミー・リー・ジョーンズ)の背中を見て育ったロイ・マクブライド(ブラッド・ピット)は、父と同じ宇宙飛行士の道に進むが、尊敬する父は地球外生命体の探索船に乗り込んだ16年後に消息を絶つ。あるとき、父は生きていると告げられ、父が太陽系を滅亡させる力がある実験“リマ計画”に関係していたことも知る。


出演陣は豪華ですし映像も見事ですが、中身はさっぱりでした。以降、ネタばれを含みますのでご注意ください。

まず、地球を危機に陥れた現象が父親の探索船にあるという推測の根拠がまるでありません。主人公は軍人だから命令されたら納得してなくても服従したのかもしれませんが、軍の上層部がそう考えた根拠がまるでわかりません。

それはいいとしても、機能している火星の地下から海王星付近にいる宇宙船に息子からメッセージを送るというのが任務ですが、わざわざ主人公が火星に行く必要はありません。地球で録音してそれを火星に届ければ済むだけです。

月の山賊とか、途中の難破船のエピソードも絵的に面白いというだけで、本筋に無関係です。

火星で何を思ったか大暴れをして海王星探索船を奪うのも唐突な展開でした。地球の危機を救う話かと思いきや、中年男の自分探しの旅になってしまいました。

しかも海王星付近は広大なので無人機を送り込んでもリマ計画の宇宙船を探せなかったのに、息子が行ったらあっさり見つかりました。しかも父親とあっさり対面です。

だいたい海王星まで数週間で着くというのがおかしすぎます。科学的設定としておかしいというだけではありません。そんなに近いなら、父親のリマ計画が悲壮なものであるわけがありません。成果が上がらないならとりあえず帰還すればいいじゃないですか。物語の根幹が揺らいでいます。

ここまで来ると、夢落ちを疑います。宇宙の旅と見せかけて内面世界の旅だったみたいな落ちかと思います。

ところが、夢落ちでもなんでもありませんでした。口あんぐりとはまさにこのことです。

まったくお勧めできません。

【朝日新聞】9月28日天声人語

9月28日朝日新聞の天声人語より

戦前から戦中にかけて、新聞や雑誌はときに検閲で発禁処分となり、損失に苦しんだ。印刷を終えたのに販売できなくなるからだ。それゆえ問題になりそうなところを先回りして、伏せ字や削除をする例が多かった▼作家の石川達三が日中戦争に従軍して書いた小説『生きている兵隊』は雑誌の初出では例えばこんな感じだった。「…兵士たちは自分等がXXXXXXXXXはなった。伏せ字は「宿営した民家に火を」である。
(略)
似たようなことにならなければいいが。そう思うのは、愛知県で開催中の芸術祭に国が補助金を交付しないと発表したからだ▼展示のひとつ「表現の不自由展・その後」に脅迫の電話があり、中止になった。警備が必要になりそうなことを事前に国に報告しなかったという。後出しじゃんけんのような変な話だ
(略)
石川の作品が載った雑誌は結局発禁処分になり、作家も起訴された。
(略)


警備が必要になりそうな展覧会であれば事前に国に報告する義務がある、というのであれば分かりますが、そんなルールがあったようには思えませんので、天声人語のいうように後出しじゃんけん的な感じはします。

しかし、今回の決定を検閲ととらえるのは無理があるように思います。

石川達三の小説の場合は、民間企業が発行する雑誌を差し止めたのですから、あきらかに検閲です。しかしあいちトリエンナーレの場合は補助金を出すのをやめた、というだけです。作家が起訴されたわけでもありませんし、補助金をもらうのが権利だったわけでもありません。検閲ととらえるべきではありません。

そもそも、天皇の写真を燃やすとかエッジの効いた出品をしてるくせに、お上からお金をもらうのが当然と思っているのは笑止千万です。

ただし、国はどういう場合に補助金を出すか出さないかを明文化して示しておく必要があったとは思います。

【テレビ】フランケンシュタインの誘惑E+  第二十話「クローン人間の恐怖」

Eテレにて放送。

これが最終回とのことです。

今回の主人公は、ドイツ人の発生生物学者カール・イルメンゼー。クローン研究を切りひらきながら、疑惑の実験によってクローン研究を遅らせたという二面を持つ男です。

1951年:カエルのクローンが誕生。脊椎動物では世界初。
1981年:イルメンゼーがマウスを使い世界で初の哺乳類クローンができたと発表。カエルの卵は1.5ミリに対して、マウスの卵は0.1ミリと小さいので操作が困難だった。他の科学者の追試はすべて成功しなかった。
1981年:イルメンゼー、ハツカネズミのクローンを発表。
1983年1月:ジュネーブ大学で講義中に弟子がイルメンゼーの実験に捏造の疑いがあると告発。
同年6月:調査委員会が立ち上がる。
1984年1月:不正の証拠は見つからないが、実験には大量の訂正・誤り・矛盾がある。科学的にあ価値がない、と結論がでる
1984年5月:核移植による哺乳類のクローンは生物学的に不可能である、という論文まで発表される。
同年6月:イルメンゼー、大学を辞職。
これにより、発生生物学者の誰もがクローンに関心を持たなくなった。
1997年2月:スコットランドの無名の学者イアン・ウィルムット(農業機関の研究所の学者)が、ヒツジの体細胞クローン(名前はドリー)の誕生を発表。実は、農業機関ではクローンの研究を続けていた。しかも、優秀な個体のコピーを作るために、胚細胞クローンではなく体細胞クローン(すでに生育した動物の細胞の核をもとにクローンをつくる)を目指していた。発生生物学界にとっては寝耳に水だった。
同月:米クリントン大統領は人間のクローンに反対すると声明を出す。
同年3月:ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が人間のクローンは「人間の尊厳の冒涜につながる」と声明を出す。
1998年:ホノルル大学が、マウスの体細胞クローンに成功
同年:牛のクローン成功
1999年:ブタのクローンに成功
2002年:ネコのクローンに成功
2005年:イヌのクローンに成功
2008年:アメリカの食品医薬局はクローン肉を食品として承認。クローンであることの表示義務はないので、消費者には見分けがつかない
2013年:ヒトクローンES細胞のクローンに成功。細胞レベルであるが人間のクローンに成功
2018年:中国の研究所がサルのクローンに成功。

■感想
クローンというアイデアはイルメンゼーのものではありませんし、イルメンゼー自身はクローン研究を遅らせていますので、人間のクローン研究を立役者(フランケンシュタイン的学者)ということにはならないはずです。むしろ、ヒツジのドリーを作った農業機関の科学者の方がフランケンシュタイン的です。

それにしても、この分野の研究ではしょっちゅう不正が横行しています。個体差のある生物を使った実験なので再現が難しいというのもありますが、個人の技術によるところが大きいため、その気になれば論文に何でも書けちゃうというのが理由なのでしょうか。

【朝日新聞】「圧力」とは?

朝日新聞の記事「トランプ氏、調査直接要請 ウクライナ大統領との通話」を引用します。

 トランプ米大統領がバイデン前副大統領に関する疑惑を調べるようにウクライナ政府に圧力をかけたとされる問題について、ホワイトハウスは25日、トランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領が今年7月に行った電話会談の記録を公開した。トランプ氏が疑惑調査を直接要請している様子が明らかになった。
 公表された記録は両首脳が電話で話した30分間の内容。トランプ氏は「バイデン氏の息子について、バイデン氏が捜査をやめさせたなど、色々なことが言われている。多くの人が知りたがっている」と調査を要請。顧問弁護士ジュリアーニ氏やバー司法長官と相談するように求めた。ゼレンスキー氏は「真剣に調査に取り組む」と応じていた。
 バイデン氏に関する疑惑は、バイデン氏が副大統領だった2015年、ウクライナの検事総長が汚職捜査に消極的だとして解任を求めたことに関するもの。当時、バイデン氏の息子が役員を務めていた同国のガス会社が検察の捜査対象になっていた。そのため、トランプ氏側は解任要求が「バイデン氏が息子を守るためだった」と批判していた。
 ゼレンスキー氏は25日、トランプ氏と首脳会談を行った際、記者団から7月の電話会談について「(トランプ氏から)圧力を受けたと感じたか」と問われると、「普通の電話だった。誰も私に圧力をかけなかった」と語った。トランプ氏も同日、記者会見で「私は誰も脅していない。圧力もない。全てでっち上げだ」と述べた。
 ただ、米大統領が外国首脳に対し、政敵の疑惑調査を直接要請するのは極めて異例だ。野党民主党トップのペロシ下院議長は24日、「大統領の行動は、重大な憲法違反だ」と述べ、弾劾裁判に向けた調査を正式に開始すると発表した。



この記事では、トランプ大統領の電話が米国憲法のどこに抵触している疑いがあるのか分かりません。トランプ氏も電話をしたことは認めていますので脅すとか圧力とかが憲法違反なのでしょうか?

しかし、米国の大統領が他所の国を脅かすのは特に珍しいこととも思えません。最近では、イランに対してさんざん脅しをかけていますが、それが米国内で問題になったとは聞いていません。

別にトランプ氏が好きなわけでも嫌いなわけでもありません。記事として説明不足だと思います。


「圧力」というのは上の立場の人間が下の立場の人間に命令権や人事権で言うことを聞かせることです。建前上は、アメリカとウクライナは対等な国家どうしですので、「圧力」という言葉はふさわしくありません。

むろん、現実には国力の違いがあるので対等とはなりません。だからといってアメリカ大統領からウクライナ大統領へ何かを頼んだ疑いがある、というのを「圧力」と表現してしまうのは無神経だと思います。


構造は、前の米副大統領がウクライナに「圧力」をかけた疑いがあり、それを現在の米大統領が調査するように「圧力」をかけた、というものです。

両方悪いという見方もあるかもしれませんが、前副大統領のが不当な「圧力」をかけた疑いがあるのを現大統領が調査依頼をしただけ、という見方も十分成立します。

前副大統領のはよくて、現大統領のはダメ、という理屈は成り立たないように思います。

【アニメ】からかい上手の高木さん2

一期も観ていました。とても面白いシリーズでしたし、二期も同様に楽しめました。普段恋愛ものは避けているのですが、この作品は例外の一つです。実生活でこういう恋愛には縁がなかったのですが、素直に視聴できました。

一期は最終回で、おっ、と思いましたが、二期の最終回でもありました。主人公に、一見どんくさそうで空気を読めないように見え友人がいるのですが、最終回で、彼が結構目端が利くとことをみせて、友達思いのところを示してくれました。なかなか深いです。

良作です。


【朝日新聞】表現の自由 侵害の線引きは」

9月24日朝日新聞朝刊。特集「憲法を考える」の「表現の自由 侵害の線引きは」は、「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展」が中止になったことを題材に「表現の自由」を論じています。

私は「表現の自由」「言論の自由」には重きをおいていますので、基本的には政治家が展覧会の内容に介入していったことには全面的に賛成はできません。しかし「表現の不自由展」の運営にはかなり問題があり、いらざる介入を招いた一因となったのも事実だと思います。テロ予告があったから中止したと発表したのですから、犯人が捕まったら再開するのが筋です。それができないのは、運営に哲学が欠けていたからだとしか思えません。

「表現の不自由展」騒動が突きつけた問題は、”税金が投入されている以上、納税者(と納税者の代表たる政治家)には異議を唱える権利があるのではないか。つまり「表現の自由」は権力者を縛るというのが目的であるが、民主主義政体では一般人が権力者である。一般人も縛られるのか?”ということだと思います

それへの回答らしきものが豊秀一編集委員の取材後期にありますんで、引用します。

展示の趣旨について、どう思いますか」。企画展「表現の不自由展・その後」の中止をめぐり、愛知県の検証委員会が、作品の選定などに関してアンケートをしている。「県内・県外を問わず個人の方にご意見いただき、今後の参考といたします」という。
 広く意見を聞くことはいいことじゃないか。そう感じる方が圧倒的に多いと思うが、だからこそ、立ち止まって考えたい。企画展に展示された芸術作品の多くは、「議論が分かれる」など様々な理由で展示や発表ができなくなったものだ。疑問の声が多数寄せられることは想像に難くない。回答の使い方次第では、市民の声が企画展や作品に対する圧力へと転じかねない。
 抗議は1万件を超えた。国家による言論統制だけではなく、社会的圧力から作者の表現をどう守るのか。憲法の課題として突きつけられている。


つまり「市民の声」とは社会的圧力であり言論統制の一種であるといわんばかりです。その上で、「市民の声」から作者の表現を守るのが課題だとしています。

朝日新聞の論調にあった市民の声は尊重されるべきで、論調に反する意見は社会的圧力だ、と考えているのではと疑いを持たざるを得ません。

言い訳なのか、記事本文の中で、千葉県船橋市の公立図書館司書が著者への反感から「新しい歴史教科書をつくる会」の関係者の著作を独断で処分したことを、「表現の自由」に抵触した例として挙げています。

論調に合ったものでも「表現の自由」の侵害はきちんと認めます、と言いたのかもしれません。しかし、税金で購入した図書を、司書が個人の判断で破棄したことがそもそもいいわけありません。「表現の不自由展」にガソリン缶を使ったテロ予告をしたのと同じで、論外の事例に過ぎません。

むしろ、海女をモデルにしたセクシーな萌えキャラが公の公認キャラにしたことを抗議した市民の主張と並べて考えるのべきでしょう。

【アニメ】ソウなんですか?

原作は未読です。

無人島に遭難してサバイバルをするという話ですが、女子高生四人組というのが今風です。遭難しているのに女子高生的リアクションがギャグがになって結構笑えます。

サバイバル技術も(詳しくは分かりませんが)本格的で、そのギャップもおかしかったです。特に、最終回の水分補給方法には驚愕しました。

15分という短い枠なのが、かえってテンポがよくなり引き締まった感じです。

今期の収穫です。

【アニメ】かつて神だった獣たちへ

原作は未読です。

舞台はアメリカの南北戦争後っぽい感じの世界です。中世ヨーロッパ風とか第二次世界大戦中のヨーロッパ風とか中世中国風とか舞台設定を過去の歴史にもとめることはよくありますが、米南北戦争風というのは初めてみました。それだけでも興味がわきます。

大戦が終わった後の特殊部隊生き残りの話というのは、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」とか「パンプキンシザーズ」とかありますが、おそらく最初は「装甲騎兵ボトムズ」ではないかと思います。

先行する諸作品に共通するのが、メインテーマとなっているかどうかはともかく、主人公が人間性を取り戻す、というストーリーです。

しかし、この作品では、特殊部隊の生き残りが滅びる運命にあり、それにあらがうことはできない、というのが特色です。つまり人間性を取り戻せたとしても、幸せに生き続けることはできない定めです。

キャラクターの思惑も複雑にからみあい、なぞめいた伏線がいくつもはられています。

しかし残念ながら、これから面白くなりそうというところで、投げっぱなしのように終わってしまいました。これでは評価のしようがありません。悪いとは言いませんが、良いとは言い切れません。二期があることを期待します。

【テレビ】フランケンシュタインの誘惑E+  第十九話「天才誕生 精子バンクの衝撃」

Eテレにて放送。

主人公は二人です。アメリカの遺伝学者ハーマン・マラー(1890~1967)。天才の精子を集め優れた人間を作り出すという、いわゆる優生学にもとづく計画をたてた科学者です。もう一人は科学者ではなく大富豪のロバート・グラハム(1906~1997)。マラーの提言に触発され資金面での援助をし、マラーの死後は天才精子バンクの構想に邁進した人物です。

1890年:マラー、ニューヨークで生まれる。ドイツ系。ハーレム(当時は労働者の街)で育つ
1906年:マラー、コロンビア大学に入学。ショウジョウバエを使った突然変異の研究をするトーマス・モーガン教授に師事する。
マラーは優れた研究者だったが、協調性に欠けていた。
1920年:マラー、テキサス大学に移籍。ショウジョウバエにX線を照射することで突然変異が多発することを見出す。これにより人為的に突然変異を起こすことに成功し、同時に遺伝子(メンゲレによって提唱されていたが、具体的にそれが何なのかは不明だった)が物質であることを証明した。
1932年:マラー、ドイツに向かう
1933年:ドイツがヒトラー政権になる。マラーはナチスの優生学に幻滅する。ナチスが「劣等」な遺伝子を持つ者を排除しようとしたことに対して、ひとにぎりの優秀な人間だけが父親になるべきだと提唱する。
1946年:マラー、ノーベル医学・生理学賞を受賞
1961年:マラー、核戦争の可能性に危機感を抱き、優秀な精子は地中深くに隔離し保存すべき、とサイエンス誌に投稿。肯定的な反応もあったが、結局はナチスの考えと同じだという反発もあった。
1963年:ロバート・グラハムが、マラーの考えに共感し接触してくる。天才精子バンクの構想が動き出す。
1964年:アメリカと日本で、不妊治療のために、世界初の精子バンクができる
1967年:マラー、心不全のため死去。グラハムは本業をなげうち天才精子バンクにのめりこむ。ノーベル賞受賞者に精子の提供を求める。
1980年:天才精子バンクが公になる。精子提供者の中に、人種差別主義者として知られるウィリアム・ショックリー(ノーベル物理学賞受賞者)がいたことで騒動となる。
グラハムは、精子提供者を科学者だけから広く募ることになる。マラーの構想から離れ、精子提供の産業となっていった。
1982年:グラハムの精子バンクから子供が生まれる。IQ175の子供だったが、現在は家庭教師で生計を立てていて、取り立てて成功者になったわけではなかった。
1997年:グラハム、シアトルのホテルで脳震盪を起こし死去
1999年:グラハムの精子バンクが閉鎖。19年の間に217人の子供が生まれていた。
現在、インターネットを使って精子バンクビジネスは活況を呈している。

■感想
マラーは、天才の精子だけに着目して、天才の卵子は気にも留めていなかったみたいです。これは彼が男尊女卑の思想だったからでしょうか、それとも卵子の保存が難しいとかの技術的問題があったからでしょうか。番組ではよく分かりませんでした。

「天才」の例として番組では、何人かの肖像画や写真を見せていましたが、その中に画家のゴッホがいました。ゴッホが評価されたのは死後です。したがってゴッホの生きている時代に天才精子バンクがあったとしても、ゴッホの遺伝子は収集の対象外だったはずです。マラーの考えるように、優れた遺伝資質の持ち主だけが父親になってしまうと、歴史上で天才とみなされる遺伝子が残らないことになってしまいます。

天才精子バンクから生まれた子供が、特別な業績を残していないということは、天才が遺伝だけで生まれるのではないのではという疑問を突きつけます。高IQの子供が高IQになるらしいというのはわかりますが、「天才」になるというわけではないようです。実際、歴史上天才と呼ばれる人の親が普通だったり、その子供がなんということもないことはよくあります。普通の授精で天才が引き継がれないのに、体外受精で引き継がれるというのは考えに無理があります。ただし、天才は無理かもしれませんが、普通よりやや優れた子供が生まれるという可能性はありますので、精子バンクでより「優秀」な精子を求める気持ちはわかります。

もしかしたらオッペンハイマーがいなければ人類は原爆を手にしなかったかもしれませんが、一方で遅かれ早かれ誰かが発明しただろうという気もします。それは証明できることではありません。しかし、ハーマン・マラーがいなくても精子バンクはできましたし、精子バンクが産業化すれば優れた遺伝子を求める親がいて「天才精子バンク」に近い考えの運営になるのは必然です。したがって、マラーがいなくても世の中はこうなっていたというのはほぼ間違いありません。彼を「フランケンシュタイン」呼ばわりするのはちょっと酷かと思います。

私は米国のドラマが好きでよく観るのですが、独身女性が一念発起して子供をつくろうと精子バンクと契約するというエピソードがよくあります。そういうのを見ているせいか、精子バンクといわれても特におどろおどろしい感じがしません。慣れ、というのは恐ろしいものですね。

【テレビ】ダークサイドミステリー  「闇の神話を創った男 H.P.ラヴクラフト」

NHK-BSにて放送。

米国の怪奇小説作家ラヴクラフト(1890年~1937)に迫ります。

謎めいた小説群を残して夭折した作家ですが、本人に謎があったわけではありませんので、なんでこの番組で取り上げるのか、あるいはこの番組の趣旨はなんなのかと疑問は膨らみます。

それはともかく番組の内容ですが、ラヴクラフトが創始した「クトゥルー神話」が、現在静かなブームを呼び、映画・アニメ・マンガ・ゲーム・小説に影響していることを紹介しています。

そして、「クトゥルー神話」が当時一般的だった吸血鬼とか狼男といった教訓話めいた怪奇ものとは一線を画し根源的恐怖、宇宙的恐怖を描いていることが特徴です。

ラヴクラフトは裕福な家庭に育ち、邸にあった膨大な蔵書を子供のころから読みふけり、特にエドガー・アラン・ポーに影響を受けました。自分でも小説を書いて出版社に送りましたが、当時の流行とは違っていたことや、本人に出世欲が欠けていたため、鳴かず飛ばずでした。それでも理解者となった友人の作家たちの後押しもあり、ほそぼそと作家業を続けていました。

ラヴクラフトの特異なところは、自分の作った怪物のキャラクターを友人の作家が使って小説を書くことを快く認めたところです。

■感想
ラヴクラフトは知ってはしましたが、読んだことはありません。

番組の中で、ラヴクラフトの小説のあらすじを再現していました。正直に言って、”それって落ちはなんなの?”と言いたくなるようなものばかりでした。人気の理由がちょっと分かりませんでした。

【本】「ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた」 その2

監修:佐藤文香

昨日の感想の続きです。昨日の部分は本の感想という意味ではちょっと離れていたのですが、本日の分は本当に本の感想です。


まず思ったのが「ジェンダー論」という学問のことです。普通に考えて「学問」というのは、世の中にある何らかの法則や真実を明らかにするものだと思っています。しかし「ジェンダー論」というのは普通の学問と違って法則を見つけるのではなく、”世の中はこうあるべき”というような社会改良を目指しているような感じがします。

「ジェンダー論」が言っていることを否定しようというわけではありません。私も”男だからかくあるべし”という世間の圧力にはうっとおしく感じないでもありません。そういうものから自由になるべし、というのは全面的に賛成するわけでもありませんが、全否定でもありません。

しかし、全く新しい社会をつくるとなると果たしてその社会が歪みなく機能するかという疑問がわきます。

この疑問に、この本は処々で答えているかのようです。つまり、男は外で働き女は家の仕事をする、というった概念は近現代において作られた、というものです。つまりもともと人間社会には男女の役割分担なんてなかった、ということです。(そう明言しているわけだはありませんが、そういう主張だろうとくみ取りました)

たとえば、第23章「女性はバリキャリか専業主婦か選べるのに、男性は働くしか選択肢がないのっておかしくない?」では、「近代以前、特に農耕社会では、男女ともに農作業に従事することが求められました。資本主義の発展とともに市場が登場すると、男性が公共領域を、女性が家内領域を担うという性別役割分業を基礎にした家族が登場します」と説明しています。

事実関係としては正しい指摘です。

しかし、農耕社会でも農機具が発達する前は、筋肉をつかって仕事をしていたので、男女の役割分担はあったはずですし、狩猟採取社会でも男女差はあったとしか考えられません。そればかりか、人間以外の動物や鳥、昆虫、魚などでも雌雄の役割分担がある種はざらにあります。

男性が綱領領域を、女性が家内領域を担う」のが「歴史的・文化的につくられた」ものであっても、男女による役割分担はホモサピエンスだけでなく生き物に一般的だというのも事実です。

男女の役割分担を決めつけるのが息苦しい、という意見には同意します。ただ、完全に男女の役割分担を否定した社会というのは人類は未経験の社会であるため、それを目指す社会改良は慎重になるべきだとも思います。


コラム4で「なんでジェンダーのゼミにいるのに化粧してるの?」で、ジェンダーを学ぶ女学生が化粧しているのはなぜか、と訊かれたことを取り上げています。引用します。

でも、わたしは、化粧自体が嫌いなのではありません。化粧を「女らしさ」と結びつけることに問題意識をもっているのです。
(略)
もちろん、どこまでが本人の選択なのかといいうのは難しい問題です。個人の自由な選択とみえる女性の行動が、社会の常識に多分に影響を受けながら、男性中心主義的な構造を再生産する可能性もあるからです。一方で、たとえば「化粧する女性は男性に媚びている」といった決めつけは、その女性の選択の自由をなかったものにしてしまいます。はたしてそれは、女性の意志を尊重しているといえるでしょうか


女性に限らず、”個人の選択”が歴史や社会から完全に自由に、切り離されたものであるはずがありません。

一応、「個人の自由な選択とみえる女性の行動が、社会の常識に多分に影響を受け」ている可能性を指摘してはいますが、よく読むと自分以外の女性のことを言っているような気もします。

自分のことに関しては、「わたしは、化粧自体が嫌いなのではありません」と堂々と言い切っています。

この件に限らず、この本の論がだいたいこの調子で、「ジェンダー論」に歯向かう者、疑問を持つ者をバッタバッタと切り捨て、自省というものがほとんど感じられません。

ここら辺の態度や雰囲気が、ジェンダー論者が不人気な理由だと思います。

【本】「ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた」 その1

監修:佐藤文香

ジェンダーを研究している一橋大学の佐藤文香教授のゼミ生が、友人や知人から問いかけられたジェンダー論に関する質問をQA形式でまとめたものです。

いくつか感想があるのですが、今日はその中の一つを取り上げます。なんでこの一つを取り上げたかというと、本の感想というより、先般の愛知トリエンナーレに絡む感想だからです。

第十五章の「どうしてフェミニストは萌えキャラを目の敵にするの?」で、2014年に三重県志摩市で海女をモチーフにした萌えキャラが公認キャラと認定されたことに女性蔑視だと抗議があった件を取り上げています。

当時のニュースを覚えていますが、扇情的とまでは言いませんが割と大胆なデザインでした。

引用します。

『女性の性的な表現が公的組織から公認を受け、公共施設に掲示されることには、次のような問題があります。まず、性的な表現が公認を受けるとは、公の「お墨つき」を得ることであり、あたかもそのような性的なありかたが推奨されているように思われてしますでしょう。そして、公共施設に性的な表現が掲示されれば、子どもを含めた不特定多数の目にはいってきます。』


つまり、性的な萌えキャラが、公に認められたこと、公共施設に入り込んだことを問題視しています。公認されなければフェミニストたちは黙認したかというとそれは分かりませんが、公の場に進出したことにたいして強く異議を申し立てています。

これは先般の「あいちトリエンナーレ」での騒ぎと似ています。ここでは朝鮮人慰安婦をモチーフとした少女像や、昭和天皇の写真を燃やすなどした作品が、税金を投入した公の場所に置かれたことに異議が殺到しました。

論理の構造は同じです。税金を投入して公的なものになったのだから納税者は発言します、ということです。

我々はややもすれば自身の政治的立場に引きずられて、片方の苦情は当然だがもう片方は表現の自由への侵害だ、というダブルスタンダードにおちいりがちですが、素直に考えれば両者のよってたつ論理は同じだと認めるほかありません。

【世論調査】朝日新聞9月17日発表

9月17日朝日新聞朝刊に世論調査の結果が発表されました。

(数字は%。小数点以下は四捨五入。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は、7月22、23日の調査結果)

◆今の政治などについてうかがいます。あなたは、安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する 48(42)
 支持しない 31(35)
 その他・答えない 21(23)

◇(「支持する」と答えた人に)それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一)
 首相が安倍さん 10〈5〉
 自民党中心の内閣 15〈7〉
 政策の面 20〈10〉
 他よりよさそう 54〈26〉
 その他・答えない 1〈0〉

◇(「支持しない」と答えた人に)それはどうしてですか。(択一)
 首相が安倍さん 17〈5〉
 自民党中心の内閣 24〈7〉
 政策の面 44〈14〉
 他のほうがよさそう 8〈2〉
 その他・答えない 7〈3〉

◆あなたは今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。
 自民党 37(34)
 立憲民主党 7(10)
 国民民主党 1(1)
 公明党 3(5)
 共産党 3(4)
 日本維新の会 3(4)
 社民党 1(1)
 希望の党 0(0)
 NHKから国民を守る党 0(0)
 れいわ新選組 1(1)
 その他の政党 1(1)
 支持する政党はない 35(30)
 答えない・分からない 8(9)

◆安倍首相は内閣を改造しました。内閣の顔ぶれを見て、あなたは、安倍首相の今回の人事を評価しますか。評価しませんか。
 評価する 35
 評価しない 33
 その他・答えない 32

◆あなたは、安倍政権のもとで憲法改正をすることに、賛成ですか。反対ですか。
 賛成 33
 反対 44
 その他・答えない 23

◆安倍首相の自民党総裁の任期は2021年9月までです。あなたは、次の自民党総裁として、だれがふさわしいと思いますか。(択一)
 石破茂さん 18
 岸田文雄さん 6
 茂木敏充さん 3
 河野太郎さん 8
 菅義偉さん 8
 加藤勝信さん 1
 小泉進次郎さん 22
 この中にはいない 27
 その他・答えない 7

◆小泉進次郎さんが環境大臣に就任したことで、あなたの安倍政権に対するイメージは、よくなりましたか。悪くなりましたか。それとも、変わりませんか。
 よくなった 31
 悪くなった 6
 変わらない 60
 その他・答えない 3

◆立憲民主党と国民民主党が、自民党に対抗するために、国会で統一会派を組むことを、大筋で合意しました。あなたは、立憲民主党と国民民主党が統一会派を組むことを評価しますか。評価しませんか。
 評価する 38
 評価しない 36
 その他・答えない 26

◆消費税についてうかがいます。あなたは、消費税を予定通り、10月に10%に引き上げることに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 46
 反対 46
 その他・答えない 8

◆10月からは、食品の種類や食べる場所によって消費税率が異なります。あなたは、こうした税率の違いを十分に理解していますか。十分には理解していませんか。
 十分に理解している 28
 十分には理解していない 69
 その他・答えない 3

◆消費税が上がった後、電子マネーやクレジットカードなどで買い物をすると、店によってはポイントが還元されます。あなたは、現金を使わないキャッシュレスの利用を増やしたいと思いますか。そうは思いませんか。
 増やしたい 36
 そうは思わない 57
 その他・答えない 7

◆あなたは、韓国は好きですか。嫌いですか。特にどちらでもないですか。
 好き 13
 嫌い 29
 どちらでもない 56
 その他・答えない 2

◆あなたは、安倍政権の韓国に対する姿勢を評価しますか。評価しませんか。
 評価する 48
 評価しない 29
 その他・答えない 23

◆あなたは、日本と韓国の関係悪化で、経済や文化の交流に影響が出ることを、どの程度心配していますか。(択一)
 大いに心配している 14
 ある程度心配している 42
 あまり心配していない 29
 全く心配していない 12
 その他・答えない 3

◆あなたは、自分が住む地域に、ギャンブルができるカジノを含む統合型リゾートを誘致することに賛成ですか。反対ですか。
 賛成 20
 反対 71
 その他・答えない 9
     ◇
 〈調査方法〉 コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、14、15の両日に全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した2027世帯から1010人(回答率50%)、携帯は有権者につながった2172件のうち914人(同42%)、計1924人の有効回答を得た。


この世論調査が私のところにきたと想定して回答してみます。

>◆今の政治などについてうかがいます。あなたは、安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持します。

>◇(「支持する」と答えた人に)それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一)
首相が安倍さんだからです。

>◆あなたは今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。
支持政党はありません。
自民が支持を伸ばしたのは内閣改造のせいかもしれませんが、野党が減らしている理由がわかりません。

>◆安倍首相は内閣を改造しました。内閣の顔ぶれを見て、あなたは、安倍首相の今回の人事を評価しますか。評価しませんか。
どちらともいえません。

>◆あなたは、安倍政権のもとで憲法改正をすることに、賛成ですか。反対ですか。
安倍政権でなくても賛成です。占領されていた時代に押し付けられた憲法というのはおかしいです。中身がまったく同じであっても国民投票を経る必要があります。したがって憲法改正にいたる国民投票が必要です。

>◆安倍首相の自民党総裁の任期は2021年9月までです。あなたは、次の自民党総裁として、だれがふさわしいと思いますか。(択一)
よくわかりません。
それにしても今回初入閣の議員をこの質問で22%の人があげるというのは、日本人の民度に問題を感じます。

>◆小泉進次郎さんが環境大臣に就任したことで、あなたの安倍政権に対するイメージは、よくなりましたか。悪くなりましたか。それとも、変わりませんか。
変わりません。別に悪意があるわけではありませんし、特に応援しているわけでもありません。ただの初入閣議員とうだけです。

>◆立憲民主党と国民民主党が、自民党に対抗するために、国会で統一会派を組むことを、大筋で合意しました。あなたは、立憲民主党と国民民主党が統一会派を組むことを評価しますか。評価しませんか。
もともと同じ党だったのですから必然だと思います。評価するとかしないとかいう問題でもないように思います。

>◆消費税についてうかがいます。あなたは、消費税を予定通り、10月に10%に引き上げることに賛成ですか。反対ですか。
今更反対するのはもう無意味です。そんなことより景気がおかしくなったときに一時的にでも引き下げる準備をした方がいいと思います。

>◆10月からは、食品の種類や食べる場所によって消費税率が異なります。あなたは、こうした税率の違いを十分に理解していますか。十分には理解していませんか。
「十分」かと聞かれると自信ありません。「十分には理解していない」の回答を増やすためのトリックのような気がします。

>◆消費税が上がった後、電子マネーやクレジットカードなどで買い物をすると、店によってはポイントが還元されます。あなたは、現金を使わないキャッシュレスの利用を増やしたいと思いますか。そうは思いませんか。
そうは思いません。

>◆あなたは、韓国は好きですか。嫌いですか。特にどちらでもないですか。
好きではありません。

>◆あなたは、安倍政権の韓国に対する姿勢を評価しますか。評価しませんか。
評価します。

>◆あなたは、日本と韓国の関係悪化で、経済や文化の交流に影響が出ることを、どの程度心配していますか。(択一)
影響はあると思いますが、特段気にしてません。

>◆あなたは、自分が住む地域に、ギャンブルができるカジノを含む統合型リゾートを誘致することに賛成ですか。反対ですか。
もろ手をあげて賛成というわけではありませんが、別に反対はしません。

【朝日新聞】「最悪の日韓関係、改善への道筋は?」

9月14日朝日新聞。韓国大統領統一外交安保特別補佐官・文正仁氏へのインタビュー記事「最悪の日韓関係、改善への道筋は? 文正仁氏」より

 ――対韓輸出規制の強化と日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA〈ジーソミア〉)破棄で最悪の日韓関係ですが、対話の機運すらありません。
 「日本も韓国も、相手をたたくと人気が出る構造になっている。相手に融和的な態度をとると国内政治で難しい状況に陥る。だから強い姿勢に出る。指導者間の不信もある。歴史問題が解決されないと韓国との協力は難しいと主張を繰り返す安倍晋三首相に対し、文在寅大統領は疲れを感じ、諦めかけているようだ」
 ――関係悪化の契機は昨年10月に韓国大法院(最高裁)が出した元徴用工への賠償判決です。1965年の日韓請求権協定は(1)外交協議(2)解決しない場合は日韓と第三国の仲裁委の設置(3)第三国のみの仲裁委設置、を定めますが、ここで双方はすれ違っています。
 「日本側は一方的に(1)ができなかったと見なして次の手続きに進んだ。韓国側はその後6月に対応案を出してから(1)の協議に応じる構えを示したが、日本側は案とともに拒んだ。韓国の人々の心情を考えて形式的にでも協議に応じるべきだった。日韓ではかつては相手の立場になって考える気持ちがあったが、今回の日本は高圧的で一方的だ」
 「朴槿恵・前政権時の大法院長(最高裁長官)は政権の意向を受け、徴用工訴訟の進行を遅らせた罪に問われている。文政権も司法と協議すれば違法だ。文政権は朴氏弾劾の民意から生まれた。こうした法的、政治的な敏感さを日本が少しでも理解し、特別法制定など解決に向けて協力すれば『共通の代替案』を見いだすことができると思う」
 ――ただ、歴史問題では日本には「謝罪疲れ」、韓国には「心からの謝罪はなかった」との思いがあり共通認識がないと指摘していますね。
 「それが問題の本質だ。世代が変われば状況も変わるとの見方もあるが、日本では修正された教科書で学んだ世代もいて、韓国では民族主義が強まる傾向にある。反日、反韓は若い世代の方が強くなるのではないか」
 ――複雑に悪化した状況を改善する方法はありますか。
 「小渕恵三首相と金大中大統領が韓国での日本文化解禁を果たしたように、小さくても『成功例』をつくらないと。北朝鮮問題や経済分野の協力などで、双方の国民に互いの必要性を認識してもらうことが助けになると思う」


つっこみどころの多いインタビューです。


>安倍晋三首相に対し、文在寅大統領は疲れを感じ、諦めかけている
という言説が面白いです。日本では、安倍首相が韓国に疲れている、と言われています。

なんか、言われている同じことを言い返してやったぞ、という感じですね。


>韓国側はその後6月に対応案を出してから(1)の協議に応じる構えを示したが、日本側は案とともに拒んだ
というのも日本人の私には責任転嫁っぽく聞こえます。韓国が言っていたのは、こちらの案を受け入れるなら協議に応じるゾ、というものです。それは協議でもなんでもありません。韓国案を受け入れろと一方的に言っていただけです。


>歴史問題では日本には「謝罪疲れ」、
これもちょっと違うと思います。今回の問題は、謝罪しなければならない事案が噴出したのに謝罪に疲れたから謝りたくない、というものではありません。すでに決着した話を蒸し返したから日本が怒っているのです。

問題の真の本質は、韓国文大統領の、”一回合意したって何度でも蒸し返すぞ(意訳)”という発言にあります。これでは韓国政府と何を話たって意味がないことになります。文大統領のこの発言で、韓国との外交協議そのものが意味をなくしたように思います。

つまり謝罪に疲れたのではなく、韓国に疲れちゃったのです。


>日韓ではかつては相手の立場になって考える気持ちがあったが、今回の日本は高圧的で一方的だ
この発言が韓国人の本音と見ました。どういうことかと言えば、韓国は日本を外交の相手と見ているのではなく、「甘え」ていることを示しています。


> ――複雑に悪化した状況を改善する方法はありますか。
私からすれば、別にこのままでいいんじゃない、と思います。韓国はホワイト国から外されたって貿易ができなくなるわけでもなく、GSOMIAが破棄されたって、直ちに安全保障に悪影響がでるわけでもないでしょう。徴用工(?)問題で、差し押さえ資産の現金化が行われるとギアが上がると思いますが、それまではこのままで特に支障はないように思います。

解決しなきゃとか日韓は友好であらねばとかいう思い込みが、かえって事態を悪くしているのではないでしょうか。

【映画】ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -

京都アニメーション制作。例の事件があったので完成を危ぶんでいましたが、無事に公開できました。観客も半分応援で観に来たのか盛況でした。

本編にあたるTVシリーズは観ていました。その感想で、世界設定への疑問を呈しましたが、もうそういうことは気にせずに観ることにしました。

息を吞むほど美しい映像は映画でも同じでしたし、ストーリーも切なさに満ちています。泣かせる映画というのは得手ではないのですが、本作には素直に泣けました。

満足できる作品です。

【テレビ】フランケンシュタインの誘惑E+  第十八話「”いのち”の優劣 ナチス科学者」

Eテレにて放送。

ドイツの人類遺伝学者オトマール・フォン・フェアシュアー(1896~1969)が主人公です。ナチスが進めた断種法の理論的背景を構築し、ユダヤ人迫害への責任がありながら、罪に問われることなく科学界の重鎮として生をまっとうした男の素顔に迫ります。

1896年:ドイツ中央部ゾルツに生まれる
1919年:マールブルク大学で医学を学び、優生学に魅せられる。優生学とはダーウィンの進化論とメンデルの遺伝学が融合したもので、劣った遺伝子を持つ者を断種することで国家・民族の弱体化を防ごうとする考えのこと。
1923年:大学の付属病院に勤めだす。研究対象として双子に目をつける。当時流行していた結核の統計から、結核に耐性のない遺伝子が存在することを突き止め、断種を推奨する。
1931年:障害者への断種を主張しだす。プロイセン州政府はフェアシュアーの提言に従い不妊手術を模索するが、法律の壁に阻まれる
1933年:ヒトラー内閣成立。断種法が成立する。当人の同意を必要とせず断種ができるようになる。
ナチス政権とフェアシュアーが結びつき、フェアシュアーは出世街道を驀進する。フランクフルト大学の遺伝病理学研究所所長に就任する。遺伝的に問題のあるカップルの情報を優生裁判所に報告。次々と判決が下された。1945年までに40万人(ドイツの200人に一人の割合)で断種が行われた。
1935年:血統保護法が成立。ユダヤ人とドイツ人の結婚や性的関係を持つことを禁止する。この段階で、「ユダヤ人」とは何かということが問題になる。フェアシュアーは、ユダヤ人の定義に乗り出す。
1942年:カイザー・ヴェルヘルム人類学人類遺伝子優生学研究所所長に就任。ユダヤ人を特定するたんぱく質を見つけ出そうと試みる。ユダヤ人と比較のための非ユダヤ人の大量の血液が必要となる。アウシュビッツ強制収容所に赴任した弟子のメンゲレが、収容されたユダヤ人や捕虜の血を抜いてフェアシュアーに送る
1945年5月:ドイツ降伏。フェアシュアーは自分に不利な証拠を破棄する。拘束されたが、アウシュビッツの出来事は知らなかったとの言い分が通り、日本円にして45万円の罰金で済む。
1951年:ミュンスター大学 人類遺伝子研究所所長に就任
1952年:ドイツ人類学教会会長に就任
1968年:自動車事故。昏睡状態になる
1969年:11カ月の昏睡を経て死去
死ぬまで、戦争中の行為が問題視されることはなかった。

現在、証拠が発掘され、フェアシュアーの罪が明らかになっている。

■感想
番組でも言及されていますが、断種法の考えナチスやフェアシュアーの発明ではなく、世界中で行われています。日本でも、最近になって本人の同意なしに断種手術をしたことに対するお詫びと補償が行われました。現在になってフェアシュアーが非難されているのはアウシュビッツの出来事に積極的に関与したからのようです。

「優生学」と聞くとおどろおどろしいですが、出生前検査が普通になった現在、我々自身も「優生学」と無関係とは言い切れません。ナチスやフェアシュアーだけを非難して済む問題ではないと思います。

【テレビ】ダークサイドミステリー  「幻のニホンオオカミを追え!」

NHK-BSにて放送。

公式には絶滅したとされながら、たびたび生存情報が飛び交うニホンオオカミの話です。

1905年:奈良で最後の個体が死んでいるのが発見される。
1963年:静岡で自衛隊員がニホンオオカミを目撃
1996年:秩父で写真が撮られる。専門家が”ニホンオオカミに近い”と鑑定
1999年:山梨でも目撃
2013年:埼玉で正体不明の遠吠えが聞かれる。

剥製は国内に三体あります。どれも姿かたちが異なっています。剥製の専門家によれば、剥製というのは作成者の個性が入りやすいもので、作者が生きているニホンオオカミを見たことがないとすれば、見た目が異なるのはあり得ることだそうです。

オランダにニホンオオカミのタイプ標本(その種の基準となる標本)の剥製があります。これはシーボルトが持ち出したもので、これも国内の三体の剥製と微妙に違う姿です。なお、この標本の台座には「ヤマイヌ」という表記があります。

これについて
ⅰ)ニホンオオカミとは別にヤマイヌという種がいた。
ⅱ)オオカミとヤマイヌは同じ種。
ⅲ)犬とニホンオオカミが交雑したものがヤマイヌ。
という三つの説が唱えられていました。
近年になって、日本各地に保存されていたニホンオオカミの骨から、ニホンオオカミ特有のDNAが解析され、それをオランダの標本と照らし合わせたところ、すくなくともニホンオオカミの血を引く生き物であることが証明されました。つまり、ⅱ)かⅲ)です。

■感想
番組ではさらっと触れただけですが、一番気になったのはニホンオオカミがなぜ絶滅したかです。なんとなく明治になって開発が進んだために絶滅したように考えていましたが、日本の山地が明治で急速に開発されたわけではないのでちょっと腑に落ちません。餌となるイノシシやシカは現在でも生き残っているのですから、ニホンオオカミだけがすぽっと絶滅したのは不思議です。

ヤマイヌといえば、映画「オーメン」で悪魔の子ダミアンを生んだ獣を思い出します。そういう種がいるものだとばかり思っていましたが、学問的な分類にはないようです。

ニホンオオカミに関する日本人の記録が案外少ないのも驚きです。むしろ西洋人の方が熱心に収集したりしています。昔の日本人は意外に自然に対する興味が薄かったのでしょうか?

【朝日新聞】文化格差?

9月12日朝日新聞朝刊オピニオン欄。「欧州季評」のコーナー。英国在住のライターであるブレイディみかこ氏の「大変革時代の英国の教育 長い目で文化格差解消を」を引用します。

(略)
 (英国の)長年の緊縮財政は学校現場を疲弊させ、貧困層の子どもを増やした。広がっているのは経済格差だけではない。サッカーの母国として知られ、音楽や演劇、ダンスの分野でも世界中の人々から「本場」と呼ばれてきた国の子どもたちの間で、「文化格差」が広がっている。
 政府の社会流動性委員会(SMC)の調査によれば、学校の外で楽器を習ったり、合唱やオーケストラの一員になったりする機会に恵まれる10歳から15歳の児童の数は、低所得層では裕福な層の約3分の1になるという。また、パキスタン系英国人の児童の4%が音楽のレッスンを受けているのに対し、インド系の児童では28%、白人の児童では20%になる。イングランド北東部では9%の児童が音楽のレッスンを受けているが、ロンドンを含む裕福な南東部では22%だ。
 裕福でない家庭の児童がスポーツや演劇、ダンス、芸術などの課外活動に参加する機会を失っているため、SMCは奨学金や学校への資金援助、サポートの必要性を指摘している。
 課外活動にはお金がかかる。だが、音楽やスポーツ、芸術などを通して、児童たちは思わぬ自分の才能に気づいたり、自信を身に付けたり、チームスピリットを学んだりする。資金不足のためアフタースクール・クラブ(学童保育)の運営をやめたり、夏休みなどの休暇中に課外活動をできなくなったりしている学校が増え、児童たちがこうした活動に参加する場が失われている。
 文化活動やスポーツに参加する機会がなければ、子どもたちは「溶け込めないという不安」を抱くようになるそうだ。つまり、例えば楽器を習うことや歌うこと、クリケットをプレーすることに敷居の高さを感じ、自分は音楽や演劇、芸術、スポーツには「値しない」人間だと感じるようになる。
 こんなに早い時期から児童たちが好奇心や芸術性や遊びの精神を培う機会から引き離されていると思うと、ビートルズやシェークスピアの国はいったいどうなってしまったのかと思う。自己表現ができるのは裕福な子どもたちだけで、貧しい子どもたちは文化の外側に押しやられている。これではエリート主義の構造を強化させ、支配層と庶民の意識の乖離を増長するばかりだ。
(略)



提示されたデータが偏っているので、実情がはっきりしませんが、分かった範囲ではこういうことです。
・学校以外で音楽活動をしている児童の割合は、低所得者の家の子は裕福な家の子の三分の一。
・音楽レッスンを受けているインド系の児童は28%。白人の子は20%。パキスタン系の子は4%
・音楽レッスンを受けている子は、イングランド北東部では9%。南東部(裕福な地域)は22%。


もしかしたら英国在住者には自明なのかもしれませんが、人種と所得格差の関係がよくわかりません。インド系が一番裕福で、白人が次いで、パキスタン系が貧困ということでしょうか?


ブレイディ氏が主張しながらデータを出していないのが、『「文化格差」が広がっている』根拠です。つまり、昔は今より格差が少ないというデータがありません。

また、地域的なことではイングラントの北東と南東の情報だけで、北西と南西がどうなっているのか分かりません。イングランド以外はまったくわかりません。

また、裕福な家の子(低所得者の家の子)の何パーセントが学校外で音楽活動をしているのかも明示していません。


常識的に考えて、古今東西を通じて、家計に余裕がない限り子供に音楽を習わせたいとは思わないはずです。最近になって格差が広まったというのは眉唾です。

また子供の習い事ですから、親の意向が強く反映します。家計の余裕だけでなく、文化的違いも影響すると思います。たとえばイスラム圏のパキスタンでは芸術的なものへの関心が低いという可能性があります。

ブレイディ氏が問題にしているのは学校外の活動ですが、そこから推測するにおそらく英国の学校でも音楽などの芸術の授業はあるようです。であれば、学校外で音楽活動をしなくても『自分は音楽や演劇、芸術、スポーツには「値しない」人間だと感じるようになる』というのは無理があります。

こういう提言は文化格差の是正のためではなく、職にあぶれた音楽家の雇用対策のようにしかみえません

【朝日新聞】呼び方をかえたって・・・

9月11日の朝日新聞の記事『「不登校」と呼ばないで アイドルら、代わりの呼称募る』

 「在宅就学者」? それとも「スクールフリー」? ネガティブなイメージが持たれがちな「不登校」に代わる新しい言葉を見つけよう、とアイドルグループ「制服向上委員会」が募っている。様々な理由で学校に行かない子どもたちへの社会のまなざしを変えていくのが狙いだ。
(略)
 「不登校」の代替案をさがすことにしたのは、メンバーが不登校になった時、周囲から「不登校」と言われるたびに傷ついた経験などからだ。「『学校に行かない』という選択を、否定しない言葉をつくりたい」と、今年4月から募集を始めた。これまでに「スクールフリー」「在宅就学者」「自休校」など50以上の案が集まった。ほとんどが当事者やその家族からだ。
 寄せられた案は、社会学者の宮台真司さんなどを交えて検討し、10月18日にルネこだいら(東京都小平市美園町)で開くイベント「世の中から“不登校”という名が消える日」で発表する。
 橋本さんは「自分を守るために学校に通っていない当事者にとって、登校することが正しい、という印象がある不登校という言葉は重い。募集をきっかけに、社会の認識にも変化が起きてほしい」と語る。
(略)
  学校に通わない子どもたちを指す言葉は、これまでも変化してきた。
 1990年代初頭までは「登校拒否」や「学校ぎらい」と呼ばれることが多く、文部科学省も97年度までは「学校ぎらい」として調査をまとめていた。
 不登校の子どもや保護者向けに支援情報や経験談などを伝えている「不登校新聞」編集長の石井志昂(しこう)さん(37)は「『不登校』という言葉自体が、誰にでもおこりうるものという認識に変化してきたことでできたもの」と説明する。
 ただ不登校新聞にも昨年8月、当事者から「『不登校』は差別的で、最悪。新語を使いだしたらいい」と訴える意見が掲載されるなど、変化を求める声がある。
 石井さんは「学校に行けなくなって傷つかない人はいない。当事者から望まれるネーミングが求められている」と話した。


登校していないのだから「不登校」という呼称に問題があるとは思えません。言葉の中に、揶揄したり嘲笑したりさげすんだりと負の意味を持つ漢字が使わられていたりしたら、それは止めよう、というのはあり得ます。例えば、「障害者」などです。

しかし、「不登校」そのものに負の意味はありません。学校に行かないという状態に負の意味がこもっているために、「不登校」という言葉に過敏になっているだけです。「不登校」をやめて「在宅就学者」に替えても、しばらくしたら「在宅就学者」はやめてくれ、ということになるだけでしょう。

【朝日新聞】入管、長期化する収容

9月5日朝日新聞朝刊オピニオン欄。インタビュー記事。弁護士・児玉晃一氏の「入管、長期化する収容」を引用します。

 在留資格を失った外国人が入国管理当局の施設で長期間、収容され続けるケースが増えている。明確な期限もないまま、数年間に及ぶ例が珍しくなく、自殺や抗議のハンストも相次ぐ。20年以上前から外国人を支援してきた弁護士の児玉晃一さんは、人権侵害が今、最悪の状況だと言う。この事態、日本社会の何を映すのか。
(略)
 ――国内にある17の施設に、現時点で1200人余りの外国人が収容されています。6カ月以上の長期収容者は昨年末の時点で、681人に上っていました。この20年余りの間で見て、現在の長期収容の状況はどうですか。
 「最悪の状況だと思います。いまや2年や3年の長期収容が珍しくありません。仮放免を何回申請しても認められない。考えられない事態です」
(略)
――日本では「不法滞在」という言葉が使われますね。
 「国際的には通常、『超過滞在』という言葉が使われています。オーバーステイです」
 ――超過滞在をしている人は犯罪者なのでしょうか。
 「日本の法律には刑事罰があります。ただ海外では、行政処分である『強制退去』の対象にはなっても、刑事罰の対象ではない国が多いと聞きます。超過滞在は、人のモノを取るとか人を殺傷するといった行為とは全然違うと私は思います」
 「日本の入管政策の特徴は全件収容主義です。逃亡の恐れがあるかなどに関係なく、不法状態にあるというだけで誰でもつかまえて収容してよい、とする考えです。外国人の人権とは相いれません」
 ――そもそも、超過滞在になる理由とは。
 「母国に帰ると政治的に迫害されるなどの危険を抱えた人が少なくありません。日本で家族や養うべき子どもができたり、地域とのつながりができたりした人もいます。事情は様々です」
(略)
  ――超過滞在の外国人は治安を脅かす要因でしょうか。
 「いえ。彼らの多くは『超過滞在しかしていない』のです。何年も理不尽な収容をされながら耐えている。仮放免を受けたあと日本で何年も生活している人々も同様です。働くなとか県外に出るなという制約を受け、微罪でも犯せば再収容されてしまうという厳しい条件をクリアしながら暮らしている。統計を偽装したり公文書を偽造したりする人より、よほど真面目に生きている人たちです」
(略)
 ――長期収容問題を解決するためには、何が必要ですか。
 「超過滞在の外国人を何らかの形で正規滞在者と認めていく仕組みが必要です。欧州では実際、そうした形で社会に再び受け入れている例もあると聞きます」
(略)



不法滞在者は法律違反をしているわけですが、強盗とか窃盗とかとは性質を異にする、というのは同意します。直接的には治安を脅かすような存在ではありません。そして、不法滞在者であったとしても、人権は守られるべきです。外国の真似をしろというわけではありませんが、諸外国と比べて日本の扱いが悪いというなら改善してしかるべきです。

しかしながら、それらの問題を解決するために、不法滞在者を正規滞在者と認めろ、というのは飛躍しすぎです。また「欧州では・・・例もあると聞きます」って専門家なら、きちんと事実を確認して喋るべきです。


不法滞在になる理由として、
-母国に帰ると政治的に迫害される危険がある
-日本で家族や養うべき子どもができた
-地域とのつながりができた
というものを挙げています。

母国で政治的迫害をされるおそれがあるなら難民申請ができるはずです。認められやすいかどうかは分かりませんが、制度としては整っています。その制度が有名無実化しているというのであれば、具体例を挙げて丁寧に説明すべきです。

日本人と結婚した、というのであれば滞在は可能なはずです。ここでいう「家族ができた」というのは外国人同士の結婚のことでしょうか。そういうのは”理由”にならないように思います。

地域とのつながりができたから不法滞在になった、などというのはまるで説得力のない”理由”です。

【本】居眠り磐音 決定版02 寒雷ノ坂

「居眠り磐音」シリーズの第二弾を読んでみました。

一作目を読んだ時は、これで51巻もどういう風に話が続くのかと疑問がわきました。長大な小説となると、よくあるのが群像劇です。複数の「主役」を配置し、あっちこっちから描写していくと結構長い小説になります。あと、伝記も長くできます。歴史上の人物を主人公にして、微に入り細に入り描いていけばこれも長くなります。しかし、一人の主人公で、架空の人物が主人公となると、長い話は結構難しいかと思います。

第二巻を読んで、そのカラクリが大体読めてきました。長編小説の体裁をとっていますが、基本構造は連作短編と長編の組み合わせです。

連作短編の部分は、主人公が仕事をみつけ騒動に巻き込まれるが、腕と人柄で解決するが、たいした稼ぎにならないので金欠病は治らない、というのを連作で配置していきます。その間に、主人公が藩を抜けた事件の真相が徐々に明らかになるというのが長編の部分です。

これだと、各巻に見せ場を持ってきながら、長い話が続けられます。

主人公は正義感が強く弱い者に優しく強い者にもへつらわないという、おそらく正当的な時代小説です。人気シリーズだというのもうなずけます。続けて読んでみたいと思います。


【テレビ】フランケンシュタインの誘惑E+  第十七話「超人類 ヒトか 機械か?」

Eテレにて放送。

第十七話の主人公は米国の工学者のラルフ・モシャー(1920~2008)。ロボット開発のパイオニアです。

1945年:ニューハンプシャー大学入学。機械工学を学ぶ。
1949年:ゼネラルエレクトリック社入社。
1956年:空軍の依頼でロボットの開発に着手。器用で繊細な動きが必要とされるので、操縦者→ロボットと同時に、ロボット→人間のフィードバック機能が必要になる。モシャーは油圧に目をつける
1960年代:陸軍から、戦場(当時はベトナム戦争中)で荷運びをするロボットの開発依頼がくる。
1964年:海軍から、空母で重たい爆弾を取り付けるための装置開発の依頼がくる。人間が身にまといパワーアップするというアイデアを思い付く。
1969年:陸軍に依頼されたロボットの試作機が完成。四本足でどんな悪路でも時速8キロメートルは出せる操縦型のロボットである。
1971年:軍から依頼されたロボットはどれも実用化に至らなかったため、軍からの資金援助は打ち切られる。GEを退社して新会社を立ち上げる。しかしこの時期からコンピューターが目覚ましく発達して、ロボットを動かすのは人ではなくコンピューターが制御するとう発想に変わる
2008年:モシャー死去

三軍から資金を引き出すことに成功するなど資金調達の面で際立っていたモシャーでしたが、実用化できるロボットの完成には至りませんでした。しかし、モシャーの考えた油圧システムは現在の機械の多くに取り入れられています。またモシャーが考えた、ロボットはすでに実用化できたといっても過言ではありません。

モシャーの考えた人と機械の融合はさらに進化しています。あるロシアの富豪は自分の記憶・感情・意識をコンピューターにアップロードすることを計画しています。成功のあかつきには、事実上の不老不死となり、一万年にわたって趣味を満喫する予定とのことです。

■感想
モシャー自身の発明で、世の中の人に迷惑をかけたということははありません。したがって彼を「フランケンシュタイン」呼ばわりするのは無理があるように思います。再現フィルムではノリノリで四足歩行ロボットを動かしていて、いかにも頭のネジがとんだ人間のように描いていますが、実際には真面目に研究していたのだろうと思います。

自分の記憶や意識を別のものに置き換えて事実上の不老不死を実現しようというのは、アニメや漫画などのサブカルチャーでよく見かけます。しかし、このアイデアは技術的な面ではなく、もっと根本の部分で無理があるように思います。

ある人の記憶や感情を機械とか別の人間にコピーできたら、確かに他人にとっては、その人が生き続けているのと同じでしょう。しかし、コピー元の本人にとっては、コピーした後も自分の意識は自分の肉体に残ったままです。あくまで同じ記憶を持ち、同じように考える他人が誕生しただけです。本人にとっては不老不死でもなんでもありません。


【朝日新聞】原因と結果の取り違え?

9月6日朝日新聞の記事『高齢者が運転やめたら――要介護可能性「2倍」 活動量減り、健康に悪影響か』を引用します。

 高齢になって自動車の運転をやめた人は、運転を続けた人に比べて要介護となる可能性が約2倍高くなる――。筑波大などのチームがそんな調査結果を公表した。高齢ドライバーによる事故が問題になる一方、「移動の手段を失うと、活動量が減って健康度が下がる」といわれており、指摘が裏付けられた形だ。
 愛知県に住む65歳以上の男女約2800人に協力してもらった。2006~07年時点で要介護の認定を受けておらず、運転をしている人に、10年8月の時点で運転を続けているか改めて尋ね、認知機能を含めた健康状態を調べた。さらに16年11月まで追跡し、運転継続の有無と要介護認定との関係を分析した。
 身体能力や認知機能が落ちれば、運転も難しくなりやすい。こうした事例が結果に混じらないよう、10年の調査後すぐに要介護となった人は除き、健康状態の違いが影響しないよう統計学的に調整して分析した。
 その結果、10年時点で運転をやめていた人は、運転を続けた人に比べて要介護となるリスクが2・09倍あった。このうち、運転はやめても移動に電車やバスなどの公共交通機関や自転車を利用していた人では、同様のリスクは1・69倍にとどまっていた。一方、運転をやめて移動には家族による送迎などを利用していた人だと2・16倍だった。活動的な生活が送りにくくなることで健康に悪影響が及んだと考えられるという。
 結果をまとめた筑波大の市川政雄教授(公衆衛生学)は「事故の予防はもちろん大切だが、高齢者に対する安全運転の支援や、運転をしなくても移動がしやすい街づくりといった対策も急ぐべきだ」と話す。(編集委員・田村建二)


この実験は原因と結果を取り違えている可能性が大です。

例えば、子供の身長と体重には相関関係があります。つまり身長の高い子供ほど体重は重い(=体重の思い子供ほど身長が高い)と言えます。もちろん例外はあって、肥満の子供やガリガリに痩せた子供もいますが、概ねこの法則が成り立ちます。(余計な話ですが、大人になるとこの相関度は低くなってしまいます)

しかし、体重を増やしたら身長が伸びる、とは言えません。統計をとれば体重と身長の間に相関関係があることは言えますが、体重→身長の因果関係があるとは言い切れません。

これが原因と結果の取り違えです。

記事は、活動的な生活が送りにくくなることで健康に悪影響が及んだ、と決めつけています。しかし、頭がはっきりしているから本人も大丈夫と自信がもて家族も安心していため運転が続けられているという可能性もあります。

だいたい「公共交通機関や自転車を利用していた人では、同様のリスクは1・69倍」というところが怪しいです。車を運転するのも、公共交通機関や自転車の運転も同じくらいに頭をつかっているはずです。自動車の運転に認知症に対する劇的な予防効果があるとは信じられません。

常識的に考えて、運転なり勉強なり読書なりと頭を使っていれば、認知症になりにくい、というのはありうることだとは思います。しかし、影響の原因と結果をきちんと検討しないと奇妙な結論になってしまいます。

そもそも、この先生は運転していたら認知症になりにくい、と結論づけたはずなのに、「運転をしなくても移動がしやすい街づくりといった対策も急ぐべきだ」と提言しているのはなぜなのでしょうか?

【テレビ】ダークサイドミステリー  「人民寺院事件 本当にその道しかなかったのか」

NHK-BSにて放送。

1978年南米のガイアナで900人超の集団自殺したカルト宗教団体人民寺院に迫ります。

1931年:のちに人民寺院教祖となるジム・ジョーンズ、インディアナ州で生まれる
1952年:白人教会の見習い牧師になる。
1954年:人民寺院設立。貧困者の救済や人種差別反対を掲げる。ホームレスに食事や衣服を提供したり、悩み事相談を受けるなどの活動を展開。その一方で、足腰の立たない老婆を信仰の力で歩きださせる奇跡体験を演出する(この老婆はサクラであったことが後で判明しています)。
1961年:人権委員会の委員長に就任。人種差別に反対したため、白人層の反感を買う。自宅に無言電話や夜中に窓ガラスを割られるなどの嫌がらせにあう(のちに、ジム・ジョーンズの息子が、窓ガラスはジョーンズが自分で割っていたと証言する)。この辺りから、ジム・ジョーンズは被害妄想を膨らませていった。当時の話題だった核戦争の恐怖も利用した。
1965年:教団はカルフォルニアに移転。信者に全財産を寄進させ、共同生活を送る。共同体の外に敵がいると思わせ、同時に内部も恐怖で縛る。人間浄化と呼ばれる、自己批判をさせ、友人や家族から批判にさらすことで、ジム・ジョーンズへの忠誠を強固にする。
1977年:人民寺院の告発記事が新聞に掲載。これをうけて人民寺院はガイアナに向かう。ジャングルを切りひらいて新しい街(ジョーンズ・タウンと命名)を作る。
1978年11月14日:米国のライアン下院議員が信者の家族が作った被害者家族の会のメンバーとマスコミを連れてガイアナに向かう
同17日:ジョーンズ・タウンに入る。歓迎会が催され、表面的には和やかに交流する(←映像が残ってます)
同18日:訪問団が帰国する予定日。一部の信者がアメリカへの帰国を望み、下院議員の帰国に同行したことが原因なのか、飛行場で訪問団が襲撃される。死者5人、重傷者5人。
この襲撃がきっかけで集団自殺に至る。シアン化合物入りのジュースが作られ、子供から順に服用。死者900人超(18歳未満304人を含む)。

■感想
驚いたのは、要所要所で映像や音声が残っていることです。人民寺院での布教の様子や、飛行場での襲撃、集団自殺を支持するジョーンズの音声などです。

番組でも指摘されていましたが、オウム真理教と類似点が多々あります。外側に敵を仮想し、内部の結束を高め、教祖への忠誠心を醸成し、犯罪行為も辞さない、といった点です。番組では触れていませんでしたが、あさま山荘事件を起こした連合赤軍との類似点もあるように思いました。やはり外部との接触を断ち、外の敵を求めると同時に、内部を粛清で統率するという点です。

番組の問題かもしれませんが、人民寺院の実態はよく分かりません。信者全員で共同生活をしていたのでしょうか? だとすると活動資金などはいずれ尽きるはずです。オウムのように共同体に参加する信者と仕事をもっている外部信者に分けているなら資金の問題はないのですが・・・

下院議員を襲撃したのが集団自殺のきっかけらしいのですが、なんで下院議員を襲ったのかがよく分かりません。離脱者が多少出たぐらいで銃撃することはないと思います。綿密に計画してやったのではなく、行き当たりばったりだったのかもしれません。

ガイアナ政府はどう考えていたのかよく分かりません。まさか勝手に入植したわけでもないでしょうし、米下院議員も勝手に入国したはずもないと思いますが。ジャングルでの出来事には興味なし、ということだったのでしょうか?

【朝日新聞】現実を見ない空虚な思想

9月4日朝日新聞朝刊オピニオン欄。「耕論」のコーナー。ひきこもりの特集です。

三人の論者のうちの一人、当事者発信ぼそっとプロジェクト主催のぼそっと池井多氏は、ひきこもりは日本特有の現象でないこと、また先進国だけの現象ではなく、発展途上国のしかも中産階級以下の家庭にもひきこもりがあることを報告しています。

さて、論者の別の一人である、九州工業大学名誉教授の佐藤直樹氏の「世間に縛られる息苦しさ」を引用します。

日本特有の概念である「世間」を研究した立場から、ひきこもりの原因は世間にあると思っています。
(略)
歴史的にみると、西欧では都市化とキリスト教によって「個人」という概念が生まれ、個人が集まり「社会」ができました。日本には、明治時代に翻訳されて言葉としては入ってきましたが、本来の意味では定着せず、世間が土台に残り続けました。今でも日本に個人や社会はない、と思っています。
他国に比べて圧倒的に犯罪が少ないのも、みんながきちょうめんに世間のルールを守るからです。一方で、自殺率が先進国で最悪レベルなのも、世間が生み出す同調圧力が異様に強いからです。
さらに、ひきこもりを深刻化させているのは、世間からどう見られているかという「世間体」を家族が意識していることです。子がひきこもることを恥と考え、外に相談せず、徹底的に隠そうとする。結果としてその状況がいつまでも続く原因になっています。
日本では「他人に迷惑をかけない人間になりなさい」と育てられます。罪を犯すと、「親も責任を取れ」と非難され、世間にひたすら謝らないといけません。子が大人になった後もです。個人がないため、親子は一体と見られ、世間と家族の境界もあいまいです。その結果、世間が家族の中にどんどん侵入してくる。
(略)


佐藤氏の思想は、事実に基づかない、頭でこしらえたものに過ぎません。ひきこもりが日本特有の現象であると勝手に思い込み、「世間」がどうの「都市化とキリスト教」がこうの、と空虚な言葉を垂れ流しているだけです。

そもそも『日本特有の概念である「世間」を研究した立場から』というのが臭います。

自分の研究テーマと関係あって欲しい、という願望で書いているとしか思えません。

朝日新聞はもう少し論者を選ぶべきです。

【朝日新聞】孫に注意するのは?

9月3日朝日新聞の投書欄「ゲームに夢中の孫 注意する?」を引用します。投書子は東京都の女性(80)です。

 中学時代からの女友達2人と昼食を食べた。話題は尽きず、孫の話になると一層盛り上がった。幼児から中学生の孫の、スマホやテレビゲームに明け暮れる姿が最大の悩みで一致。勉強する時間がなくなる、目が悪くなる、姿勢が悪くなるなど、心配なのである。
 私ともう一人が孫に注意すると言うと、別の一人は絶対注意はしない、その親に任せればいいと言う。
 近所に住む我が子もそうだが、共働きの家庭が増えている。帰宅後、大急ぎで夕食を準備し、他の家事も山ほど抱える親は多い。子どもが静かにゲームでもしていてくれれば楽である。だから注意したりうるさく叱ったりしないのだろう。だが、見過ごせない祖父母はつい口出ししてしまう。私も、だ。
 目を悪くしたら困るのはあなただからと孫に言い聞かせると、その場では納得してやめる。だが時間を置いて、また始める。再三言うのは私も嫌だし、互いに気分がよくない。やはり祖父母の注意はないほうがいいのだろうか。


結論を言えば、注意しない方がいいです。祖父母だからダメというだけではなく、ゲームを禁止する論理に問題があるからです。

投書子がゲームをやめさせたい理由は
1)勉強する時間がなくなる
2)目が悪くなる
3)姿勢が悪くなる
の三つです。

勉強していないなら”勉強しなさい”と注意するのはありうる話ですが、投書子の孫が十分な勉強時間をとっていないのかどうかは不明です。それに”ゲームをやめろ”と注意しても、やめた後に勉強しなければ意味がありません。

子供は勉強ばかりして楽しいわけではないので、適当な楽しみも必要です。人によってそれが漫画であったりスポーツであったり読書であったりゲームであったりするだけです。

”遊んでばかりいないで勉強しなさい”という注意は、本当に言うことを聞くのなら、有意義ですが、”ゲームをやめろ”とか”漫画を読むな”とか言うだけの注意は無意味です。

2)3)は、勉強や読書でも起こりうることです。”目が悪くなるから本を読むな”とか”姿勢が悪くなるから勉強するな”という注意はあり得ません。

”読書の時は十分な照明をつけ、目からの距離は適切に保て”とか”勉強するときは姿勢よく座りなさい”という注意なら有意義です。

さらに言えば、注意したその場で納得してやめてもすぐに再開する、ということはちっとも納得していないということです。

”婆さんがうるさいことを言うからしょうがなくやめた”というだけです。

嫌われるだけです。

本当に孫にゲームをやめさせたいなら、その子の親(自分の息子or娘)に言うべきでしょう。

それはともかく、80歳になっても中学時代の友人とつるんでいられるというのは楽しそうな老後だと思います。せっかくの時間なのだから孫の愚痴ではなくもっと楽しい話題で時間を過ごすことをお勧めします。

【時事問題】頭脳競技での女性の活躍

9月3日朝日新聞の記事「17歳の上野愛咲美、囲碁・一般棋戦で女性初の4強入り」を引用します。

 囲碁の上野愛咲美(あさみ)女流棋聖(17)が、早碁棋戦「第28期竜星戦」(囲碁・将棋チャンネル主催)で準決勝進出を決めた。性別を問わず全棋士が参加できる一般棋戦で女性棋士が4強入りするのは史上初めて。男性棋士の壁は厚く、これまでの女性棋士の最上位は8強だった。
(略) 
 全棋士が参加できる国内棋戦は名人戦など七大タイトル戦と、持ち時間の短い阿含・桐山杯と竜星戦の9棋戦。480人の棋士のうちおよそ5分の1を占める女性は苦戦を強いられてきたが近年地力をつけ、前期竜星戦では藤沢里菜女流四冠(20)が8強入りし、これが過去の一般棋戦最高位だった。
 持ち時間3時間以上と長い七大タイトル戦本戦の戦績はさらに厳しく、今年1月に藤沢が天元戦1回戦で挙げた1勝にとどまる。
 元棋聖で日本棋院の小林覚理事長は「対局はメンタルな要素が非常に強い。女性棋士はもともと強かったのに、なかなか結果につながらなかった。その壁を破って誰かが上位に進出すると、『やればできるんだ』と他の棋士にも相乗効果を及ぼす」と話す。
 持ち時間の短い早碁ではNHK杯でも2011年に謝依旻(しぇいいみん)六段が、翌年に向井千瑛(むかいちあき)五段が8強入りし、男性陣に食い込んできた。小林元棋聖は「七大タイトル戦でも藤沢さんが本戦勝利した。女性陣の上位進出も時間の問題でしょう」。(大出公二)


女性棋士が頑張ったという話ですが、裏を返せば男と伍していくことはなかなか難しいという現実が突きつけられます。

将棋でも、いいところまでいった女性が年齢制限でプロ棋士になれなかったということがありました。

参)【雑記】頭脳関連での性差

また、最近のニュースでもEスポーツ(ありていに言えばテレビゲーム)の大会のトップ選手はすべて男だった、というものがありました。

もちろんそれぞれの分野でトップに立つ女性は、一般の男性より優れているのはあきらかです。しかし、トップ同士を比べると男女差はあります。芸術関係だと性差はないように思いますが、競技関係だと女性が優位なものというのが思いつきません。

ここまでくると、頭脳関係にもある種の男女差はあると認めざるを得ません。これは男女差別の容認とは全く異なる話です。

【朝日新聞】「文科相発言 異論排除を助長するな」

8月29日朝日新聞社説「文科相発言 異論排除を助長するな」を引用します。

 ヤジを飛ばした市民の排除を是認するかのような閣僚の発言は、警察の行き過ぎた実力行使を助長しかねない。到底見過ごすわけにはいかない。
 先日の埼玉県知事選で、応援演説に立った柴山昌彦文部科学相に対し、大学入試改革への反対を訴えた大学生が警官に取り囲まれ、現場から遠ざけられるという事態が発生した
(略) 
 柴山氏は一昨日の記者会見で「表現の自由は最大限保障されなければいけない」と述べる一方、演説を聴きたいという聴衆の権利に触れ、「大声を出すことは権利として保障されているとは言えないのではないか」との考えを示した。警察の取り締まりにお墨付きを与えるものと言わざるを得ない。
 政治家による街頭演説は、支持者だけではなく、さまざまな考えを持った幅広い聴衆に向けられるものだ。ヤジも意思表示のひとつの方法であり、これが力ずくで排除されるようになれば、市民は街頭で自由に声を上げることができなくなる。その危うさに、柴山氏は思いが至らないのだろうか。
(略)
 大学生が抗議した入試改革は、実施が目前に迫るなか、英語の民間試験導入の全体像が固まらないなど、受験生や保護者らの間に不安が広がっている。「柴山やめろ」「民間試験撤廃」と訴えて排除されたが、柴山氏が懸念する演説妨害にあたるとはとても思えない。
 柴山氏は、「抗議の声をあげる権利は保障されている」とネット上で指摘されると、「大集団になるまで警察は黙ってみていろと?」などとツイッターで反論した。教育行政の責任者としてまずなすべきは、批判に謙虚に耳を傾け、政策に生かすことではないのか。
 先の参院選では、安倍首相の街頭演説でヤジを飛ばした聴衆が排除される事例が相次いだ。
 札幌市では、「安倍やめろ」などと連呼した男性と「増税反対」と叫んだ女性が、それぞれ警官に取り囲まれ、離れた場所に移動させられた。大津市でも、首相にヤジを飛ばした男性が遠ざけられた。
(略)
 強引な国会運営や説明責任の軽視など、異論を受け止める寛容さを欠く安倍政権の体質が影響してはいないか。そんな危惧を抱かせる柴山氏の今回の発言である。


演説の妨害は公職選挙法違反の疑いもあるとのことですが、反面政治家たるもの多少の野次は受け入れる度量は必要です。ただ、演説が聞こえなくなるほどの野次となると、聞きたくて集まっている人たちへの妨害になりますので、排除されても仕方ありません。

この時の野次がどの程度のものだったかは分かりませんが、大臣が「大集団になるまで警察は黙ってみていろと?」と発言するくらいですから、大集団にはなっていなかったようです。

また、大学入試改革への反対意見だったとのことなので、単純な、帰れコールとは違うようです。もちろん埼玉県知事選挙と関係ない野次だったというのも事実ですが・・・

大学生としては、選挙違反になるぎりぎりだったのをただ排除されただけで済んだわけですし、言いたいことは言えたみたいですから、これで良しとすべきではないかと思います。あとはネットでの発言や新聞への投稿の方に移行すべきです。ありていにいって、政治家を野次っても意見を変えるわけがありません。中間層を味方につけることに注力するのが最良です。

なお、今回の出来事を「異論を受け止める寛容さを欠く安倍政権の体質が影響」と見るのは強引です。むしろ、演説中の政治家を野次り倒してもいいんだ、という錯覚が助長された結果です。それゆえに、安倍政権と無関係の旧民主党の前原代表まで帰れコールを受けています。

参)【時事問題】前原氏への「帰れ」コール

野次られた政治家ばかりを批判して、野次った方にも問題がある、と指摘しないでいるマスコミも原因の一つだと思います。

【テレビ】大草原の小さな家 第十三話「メアリーの失敗」

毎週観ていますが、たましか書かない「大草原の小さな家」の感想です。

今回のお話は、学校の試験で一番になったら賞品として辞書がもらえることになり、メアリーは夜も勉強を頑張ります。夜中にランプをつけると母親を起こしてしまうのを心配して納屋で勉強していたら、うっかりランプを蹴倒してボヤ騒ぎになります。さらに先生から借りた大事な本を燃やしてしまいました。

今回気になったのは、オルソン家(町の金持ちで雑貨屋)の長女ネリーです。感じとしてはメアリーと同年代に見えます。とてもわがままで意地悪な性格をしています。メアリーたちも敬遠している雰囲気です。そればかりか学校のビードル先生まで、嫌な娘、という目で見ています。現実で先生があんな態度を示したら子供だって気づいて傷つくと思いますが、ドラマのネリーは一向に気づいていない様子です。

気の良い田舎の人たちだけということではなく、嫌な奴は嫌な奴という設定のようです。

ところで、日本のアニメ「けいおん!」(制作:京都アニメーション)の感想で、タイの若者だったと思いますが、”ムギちゃん(キャラクターの一人)は金持ちの娘なのに、やさしい性格なのがめずらしいし面白い”とテレビで言っていたのを思い出しました。金持ちの子供は意地悪な性格というのが世界的には標準なのかもしれません(あくまで、現実の金持ちの子供のことではなく、フィクションの金持ちの子供のことですヨ)

しかし、日本だと必ずしもそうではありません。

日本の代表的なスポーツ漫画を三つ見ていきます。「巨人の星」「あしたのジョー」「エースをねらえ」です。

「巨人の星」にも金持ちの息子が二人出ています。一人は終生のライバル。一人は盟友です。登場時点で軋轢はありましたが、別に嫌な奴ということはありません。ライバルになる方はプライドは高いですが、主人公よりも常識人です。盟友になる方も、親が金持ちであることに重きを置いていないようで、貧乏人の主人公と気にせず交流しています。

「あしたのジョー」には、金持ちの娘が出てきます。男女の違いがあるのでライバルではありませんが、最後まで物語にからんでいます。当初、主人公は彼女のことをひどく嫌っていましたが、客観的に考えて彼女は何も悪くありません。主人公の詐欺に引っかかったので裁判を傍聴したら罵られ、少年院に慰問にいったら偽善者呼ばわりされ、と踏んだり蹴ったりです。しかし、客観的に言って、悪いのはすべて主人公です。この作品では金持ちの子供が嫌な奴だというのは、主人公の主観の中にしかありません。(後半には反省したのか、ひどい態度には出ていません)

「エースをねらえ」では、金持ちの子供は主人公のライバルというより目標です。内心で主人公に嫉妬しているようなところもありましたが、プライドの高さゆえか、表面には出しませんでした。この作品では、金持ちの子供は嫌な奴どころか、理想の人間という位置づけです。

このように、”金持ちの子供は意地悪”という図式は、日本の主要な作品では、あまりないように思います。

もしかしたら、ここにも日本と外国との文化的な違いがあるのかもしれません。

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えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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