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【朝日新聞】忌避と重宝の時期、交互に

6月5日朝日新聞朝刊オピニオン欄。「耕論」のコーナーは『「出羽の守」の功罪』です。3人の識者が意見を述べています。

『出羽の守』とは、『「……では」と外国の事例、見聞して得た知識などをよく引き合いに出して語る人。揶揄して使うケースが多い』のことです。

元外交官の佐藤優氏の「忌避と重宝の時期、交互に」を取り上げます

 日本では、「出羽の守」が忌避される時期と、重宝される時期が交互にやってきます。前者は、国風文化がもてはやされる時代。後者は、外部の知識や情報が必要な変革の時代です。今は明らかに前者ですね。
 米国ではああだ、フランスではこうだと、「では」を多用する出羽の守は、書物などを通じて外部の知識を仕入れ、論理を組み立てます。
 それが気に入らず、論理を無視して、論理的思考そのものを放棄する。こうした反知性主義ともいえる傾向がこの20年、特にここ5年、急速に強まっている。新自由主義の進展とパラレルだと、ぼくは思うんです。
 人々が個人に分断され、競争させられ、勝者が総取りをするのが新自由主義の本質。そこでは一番以外はみな、不幸です。
 当然、社会は不満、不平だらけになる。会社だってそうでしょう。飲み屋で聞き耳をたてていると、サラリーマンらしき男たちの会話はたいてい二つに収斂します。「オレの能力が正当に評価されていない」と「今度こそオレたちで起業しよう」。
 彼らが求めるのは理屈より癒やし。そこで出てくるのがポエム。ロマンと感動の世界です。
 彼らはこう考えます。競争や会社の昇進制度では優位に立てないが、真理や感動を心でつかむことでは、自分たちのほうが上。外国語ができ、論理も巧みだが、お前は事柄の本質をつかんでいない――。出羽の守は一刀両断にされます。
 今の時代はポエム言語を使えるかどうか。政治家でも文化人でもタレントでも、詩的な感性に響く言葉を発しないと排斥される。「永遠の0(ゼロ)」が受けるのも、ポエムだからです。
 でも、こうした状況は社会にひずみをもたらす弊害がある。歴史認識や首相の靖国参拝に国民が熱くなるのは、その一例です。「日本は悪くない」「英霊は祭るべきだ」と自らの信条を大声で唱えてスカッとする。日本にとってプラスかどうか論理的に考えない。問題です。
(略)
(聞き手・吉田貴文)


『出羽の守』という言葉は悪口に使われますが、佐藤氏は肯定的にとらえています。佐藤氏の定義は『書物などを通じて外部の知識を仕入れ、論理を組み立てます』というものです。つまり、海外重視派vs国内重視派という対立構造を見ています。

本来、『出羽の守』が揶揄されるのは、海外の知識を無批判に国内に適用しようとするからであって、海外の知識そのものを否定しているわけではないと思います。おそらく、佐藤氏は、朝日新聞の出したお題を、自分なりにわざと曲解して論を組み立てているのだと思います。

それはそれで結構ですが、佐藤氏の主張には首肯しかねます。

『出羽の守』に反対するものすなわち国内重視派を、『論理を無視して、論理的思考そのものを放棄する』と断定するのは行き過ぎです。海外の知識を学んでも論理がおかしな人は大勢いますし、海外の知識に懐疑的な人でも論理の通った人はいます。海外重視派=論理重視、国内重視派=論理無視、という決め付けは根拠がなく、それこそ論理的ではありません。

「永遠の0(ゼロ)」は小説・映画ですので感性に訴えているのは当然です。海外の小説・映画も感性に訴えたものが流行します。要するに創作分野では、海外の知識を重視する『出羽の守』も感性重視なのです。

靖国参拝に賛成する人すべてが『信条を大声で唱えてスカッと』しているだけというのも根拠がありません。賛成派の多数が、靖国参拝は日本にとってプラスになる理由をあげています。“これこれの理由で実は日本にとってプラスにならないのだ”と反論するのであれば論理的ですが、“お前は論理的でない”と、ひたすら言い張るのは、そっちの方が論理的でありません。

佐藤氏に限りませんが、“論理”“論理”といいながら、ちっとも論理的でない人がいるのは不思議です。以下は私の仮説です。

小学生ぐらいだと、喧嘩相手にさかんに“馬鹿”と言います。実際に馬鹿かどうかは関係ありません。“嫌い”の同意語のような使い方です。普通は大人になると、そういうもの言いはしなくなりますが、極一部が、小学生の“馬鹿”と同じ意味で“論理的でない”という言葉を使っているような気がします。つまり相手の論理に矛盾や飛躍を指摘しているのではなく、自分とは意見が違う、と言っているだけです。
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