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【朝日新聞】思想の地層:「誤解」を解く 「枢軸国日本」と一線を

10月14日朝日新聞夕刊。歴史社会学者・小熊英二氏の『「誤解」を解く 「枢軸国日本」と一線を』より

 米国で、「慰安婦問題」での「日本叩き」が続いているという。ジャーナリストの古森義久氏は、共和党系のヘリテージ財団による歴史問題シンポジウムの模様を、以下のように伝えている。
 その場の質問で、古森氏は朝日新聞の誤報訂正を強調し、「日本軍による強制連行はなかった」と述べた。しかし財団側は、「せっかく私たちが日韓関係の改善を図ろうとしているのにこんな質問が出てくるなんて」と述べたという(古森義久「慰安婦報道訂正 アメリカに届かず」WiLL11月号)。
 この問題で、国際社会の一部に、誤解や単純化があるのは事実である。軍需工場などに動員された「女子挺身隊」が、ときに「慰安婦」と混同されているのはその一例だ。古森氏をはじめ、そうした「誤解」を解こうとする人々は多いが、効果は上がっていない。
 それはなぜか。冷泉彰彦「朝日『誤報』で日本が『誤解』されたという誤解」(NEWSWEEK日本版ウェブサイト)は、そのヒントを示している。
 冷泉氏によると、国際社会は、「日本国」と「枢軸国日本」は「全く別」だという前提に立っている。ここでいう「日本国」は、「サンフランシスコ講和を受け入れ、やがて国連に加盟した」国である。「枢軸国日本」は、「第二次世界大戦を起こした」国だ。
 そうした国際社会の視点からは、「慰安婦問題」での「誤解」の解消にこだわる日本側の姿勢は奇妙に映る。それによって「枢軸国日本の名誉回復」に努めても、「日本国」の国際的立場の向上とは無関係だからだ。かえってそうした努力は、「『現在の日本政府や日本人は枢軸国日本の名誉にこだわる存在』つまり『枢軸国の延長』だというプロパガンダ」を行う国を利する逆効果になる、と冷泉氏はいう。
 「慰安婦問題」での「誤解」を解こうとしている論者は、「東京裁判」や「戦後憲法」への批判も並行して行うことが多い。しかし、史実認識を訂正しようとする努力が、「枢軸国日本の名誉回復」や戦後国際秩序の否定を伴っていたら、国際社会で認められる余地はない。かえって逆効果である。
(略)
 こうした問題での「誤解」を解きたいなら、方法は一つである。現在の「日本国」は、「枢軸国日本」を否定している、という姿勢を明確にすることだ。それなしには、国際社会の理解も、安全保障の議論も進まない。


小熊氏の意見によれば、慰安婦問題に関する説明をしても国際社会で受け入れられないのは、戦争前の日本の否定をしないからだそうです。

しかしこの論では、小熊氏がはじめに紹介したヘリテージ財団のシンポジウムでの出来事は説明できていません。日韓関係改善に水を差すという理由で受け入れられなかったのです。「枢軸国日本」の否定云々とは関係ありません。

仮に小熊氏の論が正しかったとしても、慰安婦問題での誤解を解こうとする行為が「枢軸国日本」を肯定する行為とみなされているわけですから、誤解を解く唯一の方法が「枢軸国日本」の否定だ、というのはおかしな理屈です。

もしかしたら、誤解という言葉をカギ括弧付きにしたのは、この矛盾にうすうす気がついていて、後付けの理屈を言える余地を残したのかもしれません。そうであるなら、随分と意気地がないと思います。
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