【朝日新聞】(私の視点)世界遺産 政治色見せれば信頼失う

8月21日朝日新聞朝刊オピニオン欄。元ユネスコ本部世界遺産センター研修員・田中俊徳氏の「世界遺産 政治色見せれば信頼失う」より

(略)
  本来、世界遺産登録の可否は、世界文化遺産はイコモスが、世界自然遺産はIUCN(国際自然保護連合)がそれぞれ現地調査をして出す勧告(登録、情報照会、登録延期、不登録)を踏襲するのが通例だ。それがロビー活動のように公開性の低い政治活動によって覆されることが続けば、世界遺産条約そのものの信頼性を失いかねない。
 この条約は危機に瀕した文化遺産や自然環境を保護するために締結された。しかし世界遺産の知名度が劇的に向上し、観光振興の側面が強調されるなどした結果、選考が政治色を増すという事態に陥っている。
 目立つのは、登録延期勧告を覆そうという過度なロビー活動だ。昨年の世界遺産委員会では、延期勧告を受けた14件中9件が、その後登録されている。
 実はこうした傾向が始まったのは、2007年に登録延期を勧告された日本の石見銀山がその年に「逆転登録」されて以降だ。ユネスコで影響力を持つ日本がロビー活動を行ったこと、諮問機関の延期勧告を覆して登録された例が実質的に初めてだったことなどから、イコモスやユネスコの職員の間では苦い記憶となっている。
 日本はその後「政治」を持ち込むことを極力避けるようになった。08年の平泉の登録延期や13年の鎌倉の不登録勧告を受け入れたのもその表れと言える(平泉は11年に登録)。
 登録を勝ち取るために自国政府が支援することは当然と考える人は多いだろう。だが、科学的客観性に基づく勧告を覆そうと政府が動くことは、世界遺産条約の根幹である信頼性を損なうことになる。本来の目的を達するためにも、また持続的な制度運営を行うためにも、可能な限り政治色を減らすよう各国に自省と自制を求めたい。今回の問題はその警鐘とすべきだ。


過剰なロビー活動は、世界遺産の信頼性を損なうので、各国政府に自重を促しています。

最近になって世界遺産登録は、村おこしの拡大版と化している雰囲気を感じます。世界でどうなっているかはよく知りませんが、日本ではそうなっています。上野に行くと、国立西洋美術館の世界遺産登録をめざすのぼりを見ないときはありません。ちょっと関係者の熱意が高すぎる気がしています。

したがって、田中氏のいうことも分からなくはありません。しかし、各国政府に要請する前に、ユネスコなりイコモスなりの関係者すべてが、不当なロビー活動をはねつけるという姿勢を示すことが肝心です。はねつけていれば、やがて誰もが、ロビー活動をしても無駄と悟るはずです。

それをしないで、各国政府に要求するのは順序が違うと思います。
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