【朝日新聞】ヨハン・ガルトゥング氏のインタビュー

8月26日朝日新聞朝刊オピニオン欄。ノルウェーの平和学者、ヨハン・ガルトゥング氏のインタビューです。

(略)
 ――安全保障関連法案は、中国や北朝鮮からの脅威に備えるために抑止力を高めるものだと説明されています。
 「日本が米国とともに集団的自衛権を行使するようになれば、中国はさらに軍備を拡張するでしょう。その結果、東アジアにはかつてない規模の軍拡競争が起きる。そこまで考える必要があります」


たしかに、軍拡競争は起きるかもしれません。しかし可能性を言い出せば、中国の軍拡を座視していると、日本を含めた周辺諸国は中国の属国化する可能性もあります。私にはその可能性の方が高いように感じます。そもそも集団的自衛権に縛りがあるのは日本だけで、よその国は普通に集団的自衛権を持っていることをどう解釈しているのでしょうか?

 「北東アジア共同体の創設を提案したい。メンバーは日本と中国、台湾、韓国、北朝鮮、ロシアの極東部。本部は地理的にも中心で、琉球王国時代に周辺国と交流の歴史をもつ沖縄に置いてはどうでしょう。モデルはEC(欧州共同体)です」


うまく行っているとはとうてい思えない欧州共同体をモデルにしてもなんの魅力も感じません。

 ――政治体制が異なり、領土問題も抱えるそれぞれの二国間関係を考えると実現は難しいのでは。 「政治体制が異なっても、協力はできます。協力することに慣れていないだけです。互いの悪い点ばかり見ていては関係はよくなりません。共同プロジェクトを通じて良い点を発見しながら、段階的に進めていくのです。すでにNGOや民間レベルでは、相互の交流や協力関係が進んでいます」


欧州共同体には共産主義国は入っていませんでしたし、独裁国家も入っていませんでした。何の根拠で「政治体制が異なっても、協力はできます」と断言するのか分かりません。個別の問題(医療協力とか、環境問題とか)でしたら協力はできるでしょうが、国境を溶かして一体化するような共同体が可能とはとても思えません。

 「領有権を主張しあっている土地は、共同管理とする。尖閣諸島も竹島も、北方領土もです。それぞれに言い分があるのですから、そうでないと解決できません。答えは実はシンプルなのです」


無人の尖閣や竹島は共同管理可能でしょうが、有人の北方領土を共同管理できるとは信じがたいです。また、ある国が一方的に、“対馬は我が領土”とか“沖縄の領有問題は未解決”とか言い出したら、共同管理になっちゃうのでしょうか。「シンプル」どころか暴論です。

 「大切なことは、未来の理想的な状況から考えてみることです。あなたは将来、どのような北東アジアに住みたいか。このことをそれぞれが真剣に考えていけば、共同体はそう遠くない将来に実現すると思っています」


いわゆる“北東アジア”の人間のほとんどが“北東アジア”という枠組みに重きを置いていません。欧州とは状況がまるで違います。その欧州にしても完全な一体的意識にはほど遠いように見えますが、“北東アジア”にはそもそも一体感はまったくありません。

(略)
 ――独自のネットワークを通じ、中東情勢をどう見ていますか。
 「『イスラム国』(IS)の勢いは止まらないでしょう。イスラム教徒にとっての夢を語っている側面があるので。ある調査では、サウジアラビアの9割以上の人が、ISはイスラムとして正しいと答えています。首を切り落とすことは残虐ですが、民間人もいる地域に空爆を加えることも残虐です。ISの側からすれば、自分たちは米国よりも人を殺していないとなります」
 ――文明の衝突が起きているのでしょうか?
 「いいえ。今起きていることは、もっと深刻で重大なことです。コロンブスの航海に始まる西洋の植民地主義と、民族を分断する形で人工的にひかれた国境線。これを解消しようとする動きが生まれ、対立が起きているのです。ISは、かつてイギリスの植民地であったイラクを、フランスの植民地だったシリアを取り戻そうとしています」
(略)


イラクもシリアも現状は英仏の植民地ではありません。したがってISがやっていることは、本人達がどう主張しようとも、決して植民地解放運動ではありません。

欧米がやってきたこと、やっていることが正しいわけではないという認識は正当ですが、だからといって中国やISに道理があるというわけでもありません。
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