【朝日新聞】加害者の表現活動と倫理

10月22日朝日新聞朝刊。神戸連続児童殺傷事件の加害者の手記出版をめぐって、朝日新聞社の「報道と人権委員会」が、定例会を開きました。
出席者は、今井義典委員(元NHK副会長)、長谷部恭男委員(早稲田大学教授)、宮川光治委員(元最高裁判事)。

 ――この手記の出版について、遺族側は二次被害を被ったとして出版中止や回収を求めており、事前に遺族の了承を得るべきであった、少なくとも出版することを伝えるべきであった、との意見もある。表現の自由、遺族・被害者感情への配慮も含めて、加害者による手記の出版について、どう考えるか。
 宮川委員 犯罪者、保護観察を終えた元少年であっても、自分が考えていることを表現して社会に発信する権利は奪われない。表現空間は全ての人に平等に開かれている。仮に遺族が出版に反対していても、社会はそれを許容しなければならないと思う。
 ただ、出版倫理が別にある。出版する側は、想定できる遺族感情と、出版物の内容、その他の事情を総合的に考えて、出版社の責任において、出版する是非について、真摯に判断しなければならない。
(略)
 長谷部委員 著者に表現の自由があることは第一の出発点であり、遺族の許可がなければ出版できないという考え方はとるべきではない。ただ、遺族感情への配慮が求められるのもその通りで、その観点から批判を受けることも十分あり得る。
 公共の図書館がどのような選書を行うかは、あくまで図書館の専門職としての職員の判断と倫理に基づいて決めるべきものだろう。


この点に関しては、宮川委員、長谷部委員に同意します。どういう前歴があろうとも表現の自由は尊重されるべきです。

 ――手記は出版時32歳の加害男性が「元少年A」という名前で出したのが特色の一つ。すでに成人となっていて、加害者側の視点で書くからには、実名を出して責任を負うべきではないかとの意見もある。匿名の問題をどう考えるか。
 今井委員 この加害男性が教育を受けて、たどり着いた社会復帰を再び無にするような危険を冒すべきではない。メディア側からも、名前や所在、写真の公表はあってはならないことだと思う。加害男性を再び追いやり、社会に行き場がなくなるようにするリスクが高い。
 長谷部委員 あえて一般論を述べると、どんな人にも匿名で表現をする自由があり、この著者にも当然あるということ。かつて加害者だった人が、その後、更生して、いわば別の人格になって社会復帰をする。それを妨げてはならないというのが少年法の背景にある考え方だ。少年法だけではない。ノンフィクション「逆転」事件の最高裁判決(1994年)は、成人でかつて罪を犯した人が更生して社会復帰を果たした時、その実名を示してノンフィクション作品を刊行したのはプライバシー侵害にあたると判断した。前科のある人について実名を報道することは、十分な理由がない限りは控えるべきだろう。
 実名を明らかにすべきだとの議論が出てくるのはなぜかを考えると、かつての加害者が更生をし、社会復帰をした時、その経緯について、本人自ら執筆をして、その著作を出版するようなことを想定していないこともあったのではないか。しかし、だからといって、実名を明らかにしなくてはいけない、あるいは第三者が実名を示すことも当然、認められる、ということにはならない。
 宮川委員 社会から特定されない、そのためにペンネームがある。「元少年A」という記号を用いて、こういう書物を著すことは当然許される。自分の家族への被害をも考え、知られることを恐れて、逃亡者のように生きている者に対して、実名でなければ表現活動をしてはならないという議論は理解しがたい。
(略)


ペンネームを使い出版するのは当然の権利です。実名でなければ出版してはならない、ということはありません。罪を償い社会で頑張っている加害者の前歴を暴くようなことはひかえるべきだ、というのも同意します。ノンフェイクション「逆転」事件は、ライターが加害者名を公表したので、これに該当します。

しかしながら、この件は本人が自分の事件をネタに表現活動をしているものです。ペンネームを使うのは自由ですが、報道機関が作者をつきとめて公表したとしても、ただちに悪いとは思えません。本人の選択の結果という側面もあります。

また、週刊誌等で報じられたこの加害者男性のホームページの内容を知ると、とてもではありませんが“正常”とは思えません。再犯の可能性を疑います。もし、近所に住んでいて、小さな子供がいたら、耐え難いことでしょう。三氏の理屈も分からなくはありませんが、そうした市民的な感情に届くものではありません。

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