【朝日新聞】春画展について

12月25日朝日新聞オピニオン欄。「耕論」のコーナーは、永青文庫で開催した春画展にからめて、永青文庫理事長細川護熙氏、淑徳大学客員教授深澤真紀氏、エロマンガ家山本直樹氏の三人のインタビューです。

なお、私は「春画展」は10月に観覧しています。感想は、ここです。

まず理事長の細川氏です。

(略) 
春画は貴重な江戸の文化。明治以降、キリスト教的な禁欲主義によって「恥ずかしいもの」として封じられながらも、ロダンが収集し、モネやピカソに影響を与えたとも言われるほど国際的評価は高い。2年前に大英博物館で開かれた春画展も盛況でした。
 それなのに東京国立博物館をはじめ国公立、私立あわせて約20館から断られた、というのです。私は「引き受けます」と即答しましたが、役員に諮ると「大赤字になる」「警察に摘発されるのではないか」などと反対一色。それでも押し切って開催を決めました。
 実際に開いてみて、なにより驚いたのは、抗議の電話やメールが1本もなかったことです。たしかに、18歳未満を入場禁止にして、展示作品などの選択に心を砕き、3万部売れた図録にも、扱いに配慮を求める紙をはさみました。それにしても、あまりの歓迎ぶりに、これまで多くの人が二の足を踏んできたのは何だったのか、と思わずにはいられません。
 聞けば、春画の図版は25年ほど前から出版されているという。印刷物はよくて、実物は許されない。このダブルスタンダードはなんだろう。でもまあ考えてみれば、八百万(やおよろず)の神がいる神道でお宮参りをし、一神教のキリスト教会で結婚式を挙げ、仏教で葬式を出す。日本は、奇妙なまでのダブルスタンダード、トリプルスタンダードを都合よく取り込む社会なんですね。
 (略)


民営の美術館での開催は冒険的だったと思います。本来、東京国立博物館などの公営の機関が率先して開催すべきでした。細川氏の英断には敬意を表します。今回の「春画展」の文化的功績は大です

その上で、「ダブルスタンダード」という言葉は間違いだと思います。善悪を判断する基準を対象によって都合よく使い分けることが、ダブルスタンダードです。例えば、“裸体画はよくて春画は駄目というのはダブルスタンダードだ”というのであれば、内容への賛否はともかくとして、言葉の使い方は正しいです。

神道や仏教、キリスト教の儀式が混在しているのは、日本の文化的な特徴であってダブルスタンダードというものとは違います。春画展の開催をためらわせたのは、社会の同調圧力であるとか、事なかれ主義とかいった側面で論じるべきではないでしょうか。

次に深澤氏です。

(略)
 ダブルスタンダードといえば、安倍政権は「1億総活躍」を掲げて子育て支援や介護離職ゼロを打ち出しましたが、実際には育児や介護を家族に担ってもらおうとしているように見えます。その象徴が、よく耳にする「家族の絆」という言葉です。それが日本の伝統だ、と。
 伝統を大切にするというのであれば、若い娘やおかみさんたちが春画に描かれた男性器を喜んで眺めていた江戸時代に戻ろう、ということだってできるはず。でも、それを伝統とは認めたくないのでしょうね。
 あるいは、夫婦別姓や同性婚が世界的に認められる中、日本では「伝統だから」という理由で反対する人も少なくない。ただ、こうした価値観は日本の長い歴史の中で不変だったわけではありません。時代によって伝統の中身は変わっていく。そのことも春画が教えてくれています。
(略)


この人もダブルスタンダードという言葉を間違っています。しかも唐突に政権批判にからめるのは安直です。批判の内容自体は正しいような気がしますが、春画の話から脈絡もなく政治評論をするのは感心しません。

“伝統を大切にする”と言いながら日本の歴史の都合のいい部分だけ切り出して価値観を押し付けるのは滑稽だ、という批判には耳を傾ける価値があります。

しかし、江戸時代に「若い娘やおかみさんたちが春画に描かれた男性器を喜んで眺めていた」というのは事実誤認ではないでしょうか。あれは性教育のためだったはずです。春画を喜んで眺めていたのは、やはり男が主だったのだと思います。

その文脈で言えば、春画展にも展示してありましたが、男色の春画を例にあげて、日本では古来より男性の同性愛は普通だったことを示し、同性婚反対論に反論する方が気が利いていたと思います。

山本直樹氏の話は、エロ規制についてであって春画についてではないので、割愛します。
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