【朝日新聞】「日曜に想う」:9条シャツ、9条せんべい

1月17日朝日新聞朝刊の「日曜に想う」のコーナー。山中季広特別編集委員の「9条シャツ、9条せんべい」より

(略)
 だれもが感じている通り、日本の雰囲気はこの2、3年で驚くほど変わった。人口が減り、国の借金は増えた。成長戦略は見えず、中国は強大化していく。官邸だけでなく人々も気持ちに余裕がなく、万事ギスギスしてきた。ささいな日本批判が気にさわる。
 象徴的なのは、米映画「アンブロークン」をめぐる騒ぎだ。アンジェリーナ・ジョリー監督が日本軍の捕虜虐待を取りあげた。米国では一昨年の秋に封切られ、数十カ国で上映された。
 日本公開は遅れに遅れた。来月6日から上映されることになったものの、「反日」「日本をおとしめる」といったネット上の反発はなお消えない。
 たまたま私は昨年、出張中に国際線の機内で見た。一体どこが反日なのか、さっぱりわからなかった。
 主人公をいたぶる日本兵の加虐癖は不快だが、米映画でのロシア人やイスラム教徒たちのゆがめられ方に比べたら、ものの数ではない。ひと頃の中国抗日映画のように、愚かで小心な日本人の描写が延々続くわけでもない。
 B29による空襲の場面では、米軍の残虐さも一応は指摘されている。
 この映画を見て侮辱されたと憤る人が本当にいるのだろうか。もしいたら失礼ながら、その方々の了見の狭さはさすがの私をも上回る。
 日本兵による捕虜虐待を扱った映画はいくつもある。「戦場にかける橋」(1957年)や「戦場のメリークリスマス」(83年)など。これらの作品でも、虐げる役の人物造形は「アンブロークン」と大差ない。
 それでも当時の日本には、見もしないで「反日」と決めつけて上映を妨げるような動きはなかった。すぐれた映画なら正当に評価する度量もあった。
(略)


前提として、「反日」という理由で映画の上映禁止を求める行動には賛成できません。特定個人の名誉を傷つけるような内容は別ですが、言論・表現の自由は守らなければなりません。

その上で、まず米国映画のすべてが日本で公開されているわけでない、という事実を指摘しなければなりません。実際、「日本未公開」の映画はレンタルビデオ屋に数多く並んでいますし、テレビでも放映されます。日本で公開されないというのは、決して珍しいことではありません。

「アンブロークン」の件が喧伝されるのは、日本で公開できなかったからではなく、抗議が相次いだことが理由です。しかし、抗議がなくても、内容からいって日本で観客が押しかけるとはとても思えません。監督も女優としては有名ですが、監督業はこれが初めてだったはずです。

抗議が相次いだことで、ある種の運動家の象徴に祭り上げられた感はあります。普通にしていたら日本未公開で終わったか、公開しても大コケして、忘れられたかもしれません。

この二三年で、日本人が余裕を失って狭量になったのではなく、ネット環境で抗議活動の敷居が下がったというのが正しいのだと思います。

余談ですが、「戦場にかける橋」ってやたら評判がいいみたいですが、何がいいのか私には全然分かりませんでした。「戦場のメリークリスマス」は観たことないので分かりません。
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