【朝日新聞】投書欄「どう思いますか」:“生活保護者の「遊興」調査は妥当”

3月2日朝日新聞朝刊の投書欄。毎週掲載の、一つの投書に対する反響の投書を載せる「どう思いますか」のコーナー。今週は、福岡県のパートの男性(65)の投書が元です。

 ■生活保護者の「遊興」調査は妥当
 パート (福岡県 65)
 大分県別府市が、生活保護受給者がパチンコ店などにいないか調べ、一部の受給者に支給を停止していた。厚生労働省は、調査も支給停止も適切ではないとしているようだ。
 厚労省の「生活保護法に遊興費の支出を禁じる直接の規定はない」から、という説明に、賛同される方もおられると思う。しかし、税金や社会保障費をしっかり徴収され、生活を切り詰めている年金生活者の私としては、違和感を覚える。
 別府市が調査の対象としていたのはパチンコ店と競輪場で、余暇を楽しむ遊興というよりギャンブルだ。生活保護受給者のお金の使い方として、納税者の納得は得にくいと思う。私は、そうした納税者の意をくみ、事なかれ主義のお役所仕事に終わらない行動を起こした別府市の肩を持ちたい。別府市への一方的な非難は、他の地方自治体を萎縮させたり、生活保護者のギャンブル支出にお墨付きを与えたりすることにつながりかねないと思う。
 (1月12日付掲載の投稿)


全くの正論だと思います。熊本県の主婦(64)と北海道の会社員の男性(63)も賛意を示しています。

しかし、反対意見も二件あり、識者からも反論が来ています。どういう理屈で反対なのかを見てみます。

まず神奈川県のアルバイト(64)の意見です。

 投稿者は「遊興」「ギャンブル」に偏見をお持ちではないか。
 パチンコが「余暇を楽しむ遊興」ではないと考えるのは自由だが、旅行やゴルフに興ずるのが無理であろう生活保護者にとって、家に閉じこもってばかりいないためにも、パチンコなどはもっとも身近で手頃な楽しみであろう。依存し過ぎて生活を破壊することは、楽しむこととは別の問題だ。私が好きな競輪は、スピードとパワー、スリルに満ちており、間近で見るとすばらしい。ときおり払い戻しの小金を得て、私は幸せである。
 誰もが好き好んで生活保護を受けているわけではない。生活保護を生む社会構造こそが問題で、それは政治が解決すべき喫緊の課題である。
 ギャンブル、なぜ悪い。調査と支給停止を「適切でない」とする厚労省の指摘は正しい。


生活保護をもらっている人のパチンコが問題なのは、その人たちが本当は困っていないからです。「誰もが好き好んで生活保護を受けているわけではない」という前提に疑いがあるのです。

この方が自分のお金で競輪を楽しむのは全くの自由です。ギャンブル自体を否定しているわけではありません。

京都府の無職の男性(80)の意見です

 生活保護は、憲法で定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」の保障である。投稿された方は別府市の対応に賛成しておられるが、どのように「生活を営む」かは各人の自由である。受給者がパチンコ店にいないかどうか調べるのは、やり過ぎだ。
 パチンコなどが悪いというのであれば、社会の害悪なのでパチンコ店は営業を禁止すべし、公営ギャンブルも廃止すべしと言うべきだろう。
 生活保護担当のケースワーカーは、受給者が自立できるように指導する任務を負っているはずだ。パチンコなどギャンブルが原因で貧困にあえぐことがないよう、訪問して状況を把握することは当然だ。就業を奨励することで、健全な生活ができるように指導もしてほしい。それが行政の任務である。だからと言って、生活保護費の支給停止は認められない。


この方も同じ勘違いをしています。ギャンブルの善悪とは関係ありません。困っていない人が困ったふりをして生活保護を申請している疑いがある、というのが問題提起です。

識者の意見は、認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛理事からです。

 生活保護は、憲法に定められた生存権を保障するための制度で、その利用は困窮している国民の権利です。
 その一方で、日本社会では福祉を「恩恵」と捉える考え方が根強くあります。それゆえ、生活保護の利用者は「清く正しく美しく」あらねばならないということになり、パチンコはダメ、生活の監視も許されると考える人が多いのでしょう。
 しかし、利用者を監視すると何が起こるでしょう。今でも偏見による差別や恥辱のため、権利があるのに利用していない人がいます。監視が強まれば、困っている人をますます福祉から遠ざけることになるでしょう。
 道徳的に責めたくなる気持ちはわからなくもないですが、権利と道徳は切り離して考えるべきです。


本当に困窮している人はパチンコにふけったりしないので、監視しても福祉から遠ざけることにはなりません。

別に生活保護の利用者に「清く正しく美しく」を要求しているわけではありません。例えば、不倫は道徳的には悪ですが、生活保護受給者が不倫をしても文句はでないでしょう。豪華ヨーロッパ一周の旅(66万円)に参加するのは道徳的に悪ではありませんが、生活保護受給者が申し込んだら駄目です。

道徳を求めているのではなく、資産があるのを隠して生活保護を受けているのを責めているのです。

私も生活保護は必要な制度だと思っています。問題なのは、その制度を悪用している人たちです。彼らがパチンコに費やしたら、本当に困っている人に回らなくなる恐れがあります。むしろ、稲葉氏のような立場の人が率先して怒るべきです。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

sidetitleプロフィールsidetitle

えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle最新トラックバックsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitleFC2カウンターsidetitle
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleリンクsidetitle