【朝日新聞】保守思想とは

4月13日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。中島岳志東京工業大学教授へのインタビュー。自民党の改憲草案が、世の中を一気に書き換えるようなもので、本来の保守思想とは違う、と批判しています。

(略)保守思想の祖といわれる18世紀英国の思想家エドマンド・バークは、フランス革命を厳しく批判しました。彼が何に批判的だったのかを突き詰めていくと、フランス革命の背後にある人間観です。人間は優れた理性で世の中を合理的に設計し、完全な社会をつくることが可能だという考え方に、バークは異議を唱えた。そうしたものが、むしろ寛容性を失わせ、他者に対する暴力や専制政治を生み出すと考えたんです」
 「では、バークはどんな人間観を持っていたのか。人間の理性は不安定で、どんな優秀な人間でも世界すべてを把握することはできない。不完全な存在である人間が構成する社会もまた永遠に不完全であるはずだ。しかし、安定した平和的秩序はつくっていかなくてはいけない。そのとき、長年の風雪に耐えてきた良識や慣習、伝統といった経験知に依拠すべきだとバークは考えました。これが本来の保守です」
(略)
 「さらに保守は、国民の中に、『過去の国民』を含めます。僕は『死者の立憲主義』と呼んでいますが、今生きている人間だけではなく、過去の膨大な経験や試行錯誤の蓄積が政府を縛っている。権力や民主主義が暴走して、多くの犠牲が出た。保守は、そうした死者の経験知を踏まえた安全弁として憲法を考えます」
 ――憲法が過去の蓄積からできているなら、簡単に変えてはいけないということになりませんか。
 「憲法を変えてはならないというのは、ある特定の時代の人間を特権化することにつながります。日本国憲法制定に関わった人たちだけが、この国のあり方を決定し、明文化できるというのはおかしい。彼らもまた不完全な人間であり、彼らのつくった憲法も不完全であるはずだからです」
 「社会は変わっていきます。何かを保守するためには、少しずつ変えていかなくてはならない。長く続いている老舗は、創業者が作ったレシピをまったく変えないわけではない。技を継ぎながら、時代に合わせて少しずつ変える。それと同じで、憲法も少しずつ変えていくべきです。ただ、一気に変えようとしてはいけない。抜本的な書き直しをすると、革命のようなことになってしまう」
 ――「保守的」とされる自民党の改憲草案は、憲法を一気に書き換えようとするものですよね。
 「あの改憲草案は、非常に『革新』的です。これまで合意されてきた規範や憲法解釈を一気に変えてしまおうとしている。その態度は保守というより、むしろ左翼的なものに近いと思います。蓄積されてきた死者たちの英知をどんどんはぎ取ろうとしている」
 「安倍さんのように『憲法を一気に変えてしまおう』という人と、『一文たりとも変えるべきではない』という『護憲派』は、特定の人間が絶対的に正しいものを設計できるという設計主義に立っている点では、同類だと言えます。本来の保守は、そのどちらの考え方も採りません」
 (略)
 (聞き手・尾沢智史)


中島氏のいう、本来の保守思想は社会を一気に変革することと対極にある思想だ、というのはよくわかります。憲法も時代に合わせて少しずつ修正すべきだ、というのもわかります。

しかし思い起こすべきは、日本国憲法というものが、日本を抜本的に変革することを狙って一気に作られたという事実です。しかも作ったのは「過去の国民」でもなんでもない、占領軍です。

こうした経緯で作られた憲法を微調整して使っていくのも保守思想なのでしょうか。

英国は、他国によって無理矢理社会を変革させられた経験がないから辞書的な意味での保守思想を貫けるだけであって、それをそのまま日本に持ち込むのは無理があると思います。
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