【朝日新聞】池澤夏樹氏の沖縄論

7月6日朝日新聞夕刊の文化欄。池澤夏樹氏の「沖縄は日本の植民地か」より

先日、『沖縄への短い帰還』という本を那覇の出版社から出したのを機に沖縄に帰った。
ぼくはかつて十年に亘って沖縄に住んだが、それも今は昔、その後はいつ行っても短い帰還でしかない。
(略)
橋下首相とモンデール駐日大使の間で普天間基地の返還が合意されてから二十年になる。しかし、基地は危険を承知で運用が続いており、この先も返還の実現は遠い。
理由の第一は引っ越しのついでに大きな便利な基地をというアメリカ側の強欲。第二にこれに迎合する日本政府の卑屈な姿勢。揉み手で「アメリカさまの仰ること」と言わんばかり。第三に代替地として名乗りをあげる自治体が本土(日本国から沖縄県を除いた一都一道二府四十二県)にないこと。
(略)
日本国は沖縄県をあからさまに植民地と見なしている。どんな迷惑施設を押しつけてもかまわない二級の国土。
(略)
ぼくは本土に住むあなたを敢えて挑発しているのだ。


私も沖縄に米軍基地が集中しているのは決して正しいことだとは思っていません。集中の度合いを占有基地の面積だけで語るのは一面的だと思いますが、兵隊の半数が沖縄にいるのでは、沖縄に集中しているといっても言いすぎではありません。

日本に米軍基地が必要であるという理屈はわかりますが、沖縄になければならない理由はわかりません。どこかで、中国の脅威に対するため、という説明を読んだことはあります。しかし、仮想敵国がソ連で、中国を脅威とみていなかった時代から沖縄に米軍基地はありましたので、その説明には首を傾げます。

しかしながら、池澤氏の文章には、特に最後の一文には、なんとも言えず嫌な気持ちになります。沖縄出身でもないのに「沖縄に帰った」とのたまい、米軍基地に反対することで本土に住む人間を非難している態度です。

太平洋戦争中の日本を非難することで、自分はその非難の外側にいる気になっている一部の“良心的日本人”の態度と似ています。

沖縄のことを考えているのではなく、沖縄をだしにして断罪者の気分でいるようにしか見えません。

なお、普天間の返還が遅れているのは、辺野古への移設が遅れているからであり、その理由は、辺野古移設に反対論が強いからです。

したがって、普天間の返還が遅れているのは何故だ、という問いには辺野古への移設が駄目な理由をあげるべきです。池澤氏の挙げた理由の第一と第二は辺野古反対の理由ではなく、日本と米国の悪口です。第三の理由としているのは的外れではありませんが、辺野古以外に選択肢がない理由であって、辺野古が移転先でいけない直接的理由ではありません。

辺野古に反対の理由を示した上で、他の都道府県も受け入れない(第三の理由)から、普天間返還が遅れているのだ、という流れにしなければなりません。

辺野古移設に反対するのは分かりますし、他の都道府県が負担を受け入れないことに納得しないのも分かります(私もそこは同意見です)。しかし、「理由」としてあげたものが理由になっていないのは、文章として問題があります。
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