【朝日新聞】11月19日の天声人語

11月19日の朝日新聞の天声人語です。

「天皇の地位は日本書紀における『天壌無窮(てんじょうむきゅう)の神勅(しんちょく)』に由来するものだ」。おとといの衆院憲法審査会で飛び出した言葉に耳を疑った。自民党の安藤裕議員の発言である▼神勅は、アマテラスが自分の孫であるニニギに告げた命令とされる。「平定された日本へ行き統治せよ、永遠に栄えるであろう」が大意だ。日本書紀に「天孫降臨」にいたる神話として書かれている▼安藤氏は皇室典範についてこう述べた。「国会ではなく皇室の方々でお決め頂き、国民はそれに従うという風に決めた方がいい」。国民の代表が自ら国民主権を否定するような物言いである▼「八紘一宇(はっこういちう)」「皇紀」「神武天皇の偉業」。昨年来、自民党議員の口から皇国史観ゆかりの言葉が次々飛び出す。あえて時代錯誤の語を持ち出すのはなにゆえか。いさめる人は党内にいないのか▼教育史家の故・唐沢富太郎氏の資料館「唐沢博物館」(東京都練馬区)で、戦中の教科書「国史」を手に取った。最初のページに「神勅」がある。文字が格別に大きい。すぐ脇には「教育勅語」の展示もある。「天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼(ふよく)スヘシ」。天壌無窮そのものが、あの時代の狂気を支えた理念の一つだと実感する▼神話は当時の小学生にも見破られていた。唐沢氏の著書「教科書の歴史」によると、天孫降臨の図を教室で見せられた茨城県の小学生は「先生そんなのうそだっぺ」と尋ね、木刀で殴られた。神話と史実の混同が私たちを苦しめたのはさほど遠い昔の話ではない。


安藤裕議員の発言の真意は措いて、ここでは天声人語だけをもとに考察します。

二つの話が交じっています。一つは神話というものに我々がどう対応すればいいのか、ということです。もう一つは、皇室典範は「皇室で決めて頂き、国民はそれに従う」という意見についてです。

まず一つ目です。私も神話を歴史の時間で教育するというのはよくないと思います。歴史教育は、客観的事実だけを教えるべきで、過去の出来事について善悪を問うことさえもタブーとすべきです。

歴史の授業に組み込むべきではないとは思いますが、神話を知らなくてもいい、と思っているわけではありません。

こんな例があります。

1950年、米国の精神科医のイマヌエル・ヴェリコフスキーという人物が、今では疑似科学扱いですが、「衝突する宇宙」という説を発表しました。その説の眼目は、木星(ジュピター)から金星(ビーナス)が飛び出て、地球に影響を与えながら現在の軌道に落ち着いた。古代人は、その「事実」から神話を形成していった、というものです。

私がこの説を知ったのは中学生か高校生のころでしたが、あきれました。ジュピター(ギリシャ神話のゼウス)の頭から飛び出して生まれた女神はアテナ(戦女神)であって、ビーナス(金星の女神)ではありません。欧米人のくせに、ギリシア・ローマ神話を知らないのか、と馬鹿にしたものです。(生意気なガキでした)

学校で教えるかどうかはともかく、自分の民族の神話を知らずにいるというのは、かっこ悪いように思います。

二つ目の『皇室典範は「皇室で決めて頂き、国民はそれに従う」』という意見については賛成です。消費税率をどうするかとか年金の支給率をどうするかということを皇室に決めてもらおうというわけではありません。皇室のことなのですから、国民や議員があれこれ論議することではない、と考えます。

皇統にまつわることさえ、国民主権の名のもとに国会が決めるとなると、皇室の人の人権が損なわれることになってしまいます。
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