【朝日新聞】耕論:メディアで何があった

12月6日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。「耕論」のコーナー。トランプ氏の大統領選勝利に関してメディアの現状を3人の識者が分析しています。

ニーマン・ジャーナリズム研究所長のジョシュア・ベントン氏の分析はこうです。

地方紙が衰退にともない、地方に住む市民がメディアから取り残されたと感じている。その隙をSMSなどの「ウソ」情報が埋め、トランプ氏支持を食い止められなかった。今後、トランプ氏の言動を綿密に報じなければならないと考えている報道機関は多い。しかし、そうなると、いよいよ身近な地方ニュースが枯れるという悪循環に陥るかもしれない。

なんだか釈然としない説です。米国は広いので、地方紙の果たす役割が日本とは違うのだと聞いたことはあります。しかし、地方ニュースが少ないからといって、地方民が虚偽情報に踊らされた、というのは短絡的です。

しかも、マスコミが教導しなければ市民はウソ情報を信じ込むのだ、という前提があるみたいで、なんだか気に障ります。こういう感覚が、エリートへの反感、というものなのでしょうか。

駿河台大学講師・八田真行氏の主張は一部を引用します。

(略) 
 トランプ氏自身もそうですが、オルタナ右翼は、ネットによる虚偽情報などの拡散に非常にたけています。ネットでつい共有したくなる面白い画像などを使って、「クリントン氏陣営は悪魔崇拝に関与している」といった陰謀論を展開。ネット炎上をつくり出して、存在感を拡大させた。
 オルタナ右翼が表舞台に出てきた背景には、ソーシャルメディアの広がりと既存メディアの退潮があります。
 フェイスブックのユーザー数は17億9千万人。米国の成人の44%がフェイスブックを通じてニュースに接すると言います。一方でマスメディアへの信頼度は急落し、共和党支持者の間ではわずか14%。今や、フェイスブックこそがメディアなんです。
(略)


八田氏の主張も、SMSの隆盛が既存マスメディアの力を削ぎ、多くの有権者が虚偽情報に踊らされた、というものです。基本的にはベントン氏と同じ意見だと思います。

ところで八田氏の主張には数字のごまかしがあります。

米国の成人の44%がフェイスブックを通じてニュースに接するということと、共和党支持者のマスメディアの信頼度が14%(14%の人間が信頼していると答えた?)ということは正しい比較の対象ではありません。正しくは、

「フェイスブックを通じてニュースに接する米国の成人の割合」(これは44%)と「既存マスメディアを通じてニュースに接する米国の成人の割合」の比較と、

「共和党支持者のマスメディアの信頼度」(これは14%)と「共和党支持者のフェイスブックの信頼度」の比較が必要です。

さらに民主党支持者のメディアの信頼度も出すべきです。

何を主張しようと自由ですが、比較対象が恣意的に過ぎます。

ライターの松谷創一郎氏は、トランプ候補のキャラクターがはっきりしていたことが、勝敗を分けた、と分析しています。プロレスでいうヒール(悪役)という分かりやすいキャラクターが、理性ではなく感情に訴えかけた、としています。そして、なぜか日本のリベラル勢力の批判になるのですが、キャラクター勝負と割り切ってベビーフェイス(善玉役)の人材を発掘しないから退潮するのだ、としています。

三氏とも、トランプ候補の勝利は愚かな民衆が投票したからだというのを、明言していませんが、共通認識としています。

当たっている面もあるのかもしれませんが、そのレベルの分析で大丈夫なのか思います。民主主義選挙の結果なのですから、選挙結果をもう少し謙虚に受け入れるべきではないでしょうか。
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