【朝日新聞】思考実験?

3月30日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。「論壇時評」のコーナー。歴史社会学者・小熊英二氏の「思考実験 労働を買いたたかない国へ」より

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 さてそこで今回は、思考実験をしてみたい。山積する問題を、まとめて解決する政策を考えてみた。
 その政策とは、時間給の最低賃金を、正社員の給与水準以上にすることだ。なお派遣や委託その他の、いわゆる「非正規」の働き方への対価も同じように引き上げる。
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 では、正社員より高いレベルの最低賃金とは、時給にしてどのくらいか。例えば時給2500円なら、1日8時間月22日働けば月収44万円になる。若年の正社員より高めで、賞与なしでも家族を扶養できる収入だ。もちろん、物価が上がれば金額も上げるようにする。
 では最低賃金を時給2500円にしたら、日本社会はどう変わるか。
 まず正規と非正規の格差は減少する。両者の違いは残るが、それは「安定しているが賃金と自由度の低い働き方」と「不安定だが賃金と自由度の高い働き方」の相違となる。
 次に「正社員の座」にしがみつく必要がなくなる。研修やスキルアップ、社会活動や地域振興のため、一時的に職を離れることが容易になる。転職や人材交流が活発化し、アイデアや意見の多様性が高まる。起業やイノベーションも起きやすくなり、政界やNPOに優秀な人材が入ってくるようになる。
 賃金が上がれば結婚もしやすくなる。男女ともに育児期の一時離職が容易になり、少子化の緩和が期待される。
 過度の長時間労働は減る。2014年に過労死した青年は、「正社員になれて良かった」と限界以上に働いていた。「正社員の座」に固執する必要が減れば、こうした悲劇は減少する。また労賃が上がれば、経営者は無駄な労働を減らそうと努めるだろう。
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最低賃金の引き上げに財源は不要である。賃上げで購買力と消費が増えればGDPも伸び、税収も増える。「福祉バラマキ」に批判的な人でも、労働賃金の引き上げなら受け入れやすい。
 もちろんマイナス面はある。まず失業率は「先進国並み」に上がる。省力化と技術革新が進むうえ、最低賃金を払えない企業は退場することになるからだ。とくに飲食や小売りなど、労働生産性が低く低賃金労働に依存している業種は、大幅な業態変更を迫られるだろう。
 しかし今野晴貴らによれば、低賃金労働に依存している業種は「ブラック企業」が多い。労働効率の悪い企業を淘汰するという意味では、この政策は一種の構造改革でもある。だが一方で起業や人材交流が進むから、飲食や小売りでも革新が起きるかもしれない。
 以上は思考実験である。実施した場合は、過度のインフレや円安を招く懸念もある。当然の話だが、競争や分断がまったくない社会は存在しないだろう。
 だがこの思考実験からは、最低賃金を大幅に引き上げるだけでも、日本社会が大きく変わることがわかる。そしてそのことは、日本社会が労働を湯水のように安価に使い、人間の尊厳を軽んじていることが、停滞と閉塞感の根底にあることを示している。
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穴がありすぎます。

最低賃金を2500円にしたら、国内の製造業はほぼ壊滅します。製品開発などの高度な仕事は残りますが、期間工はすべて失職します。飲食店や小売店も大多数が店をたたみ、パートの仕事はなくなります。つまり最低賃金を無理矢理引き上げたら、小熊氏が認めるように、失業者が増えます。

しかし、この変化は最低賃金引き上げという法律による影響によるものであって、技術革新や新産業の躍進によるものではありません。したがって「省力化と技術革新が進む」などということはありません。

退場しないのは、賃金を価格に上乗せできた企業だけです。つまり物価高になります。

なにが起きるかと言うと、失業者は増えるし、飲食など生存に関わる物価が高くなります。正社員と非正規の格差は縮まりますが、職のあるものと失業者の格差が広がります。

失業者を救うために社会福祉を手厚くしようにも、多くの企業が廃業し、全体の税収が落ちています。無理に増税すれば、日本全体が貧乏になります。

結果、正社員だけでなく、非正規も職にしがみつくというように拡大するだけです。

また、新規企業が立ち上がることを期待しているようですが、新規企業も高い労働コストに頭を悩ますことは必定です

思考実験をするには、想像力が足りてないと思います。
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