【朝日新聞】「自白強要は仕方ない? 高校生7割が肯定的 1千人調査」

4月9日朝日新聞の「自白強要は仕方ない? 高校生7割が肯定的 1千人調査」という記事です。法律教育に取り組む大学の先生が高校生に法律の知識を問い、分析したとのことです。

 憲法で権力を制限するという「立憲主義」への理解が8割の高校生に浸透する一方、差し迫った重大犯罪を防ぐためには自白を強要してもよいと考える高校生が7割近くに上ることが、高校生1千人を対象にした研究者の調査でわかった。
 法教育に取り組む研究者のグループ(代表・橋本康弘・福井大教育学部教授)が昨年9~12月、関東と関西の8高校、1370人に法に関する知識や考え方を聞いた。橋本教授は「自分の頭で考え、判断する知識が身についているかを見るのが調査の目的」と話す。
 「日本国憲法は、国民の権利や自由を守るために、権力を制限する仕組みを定めている」との説明が正しいか尋ねたところ、正解の「○」が81・1%に上った。


○×だから正解しやすいとは思いますが、81.1%というのは大変に優秀な高校生たちだと思います。
 

その一方で「法の支配とは、法によって人間のわがままな行為を規律し、それに反すれば厳しい罰を与えるべきであるという考え方をいう」の正誤を尋ねると、正解の「×」と答えたのは35・0%。国家権力が法に縛られるという「法の支配」の考えが浸透していないことがわかった。質問を作った土井真一・京大院教授(憲法)は「法の支配の理解が浸透していないのは、法は人々の行為を規制し、違反すれば罰せられるという、古来中国の法治主義のイメージが日本社会に強く残っているためだろう」とみる。


この分析は間違っています。単に「法の支配」という言葉を知らなかっただけでしょう。前問の結果から、多くの高校生が「法の支配」という考えを知っていたと推測できます。だいたい「古来中国の法治主義のイメージ」を現代日本の高校生一般が持っているはずがありません。インテリの無茶苦茶な想像だと思います。

 司法・刑事手続きについて「日本国憲法では拷問は禁止されているが、拷問によって得た自白が真実であるなら、その自白を有罪の証拠としても構わない」が正しいか聞くと、正解の「×」が66・2%にとどまった。


これは難問かもしれません。拷問が禁止されていることは設問で明示されています。自白内容が真実であることも(どうやって証明したのかは不明ですが)設問の前提です。この場合、自白を証拠として排除しなければいけないのか、というのは法律の技術的な問題に見えます。

この設問の前提だと、自白を証拠としなくても、真実は証明されているはずなので、法律の専門家でもない高校生には枝葉末節なのではないでしょうか?

また、「多くの人命にかかわる重大な犯罪が発生しようとしている場合、共犯者と考えられる人に自白を強要してもいいと思う」かどうかも尋ねたところ、(1)とてもあてはまる(2)まああてはまる(3)あまりあてはまらない(4)まったくあてはまらないの四つの選択肢のうち、(1)=25・6%(2)=42・2%と約7割が自白の強要に肯定的で、(3)23・2%(4)7・0%だった。
 拷問と自白強要の回答を重ねて分析すると、拷問による自白を証拠としてはならないという正解を選びながらも、自白の強要を容認した生徒が約44%に上ることがわかった。


設問を作った人には、「自白の強要=拷問」のつもりかもしれませんが、どこにもそうは書いていません。そういう意図なら、明確に「多くの人命にかかわる重大な犯罪が発生しようとしている場合、共犯者と考えられる人に拷問してもいいと思う」かどうかをたずねるべきでした。

調査文章の中で、「自白の強要」と「拷問」という言葉があれば、別の意味を持っていると解釈されても仕方ありません。
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