【朝日新聞】(多和田葉子のベルリン通信)歴史の輪郭、ぼやける怖さ

5月19日朝日新聞朝刊の「文化・文芸欄」。「多和田葉子のベルリン通信 歴史の輪郭、ぼやける怖さ」

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 今ドイツ社会が揺らいでいるのは、難民を受け入れたからでもテロ事件が起こったからでもない。保守も革新も同意していた歴史の輪郭が次の世代に伝わりにくくなってきたからだ。ナチス政権が人種、思想、宗教を理由に差別、迫害、殺人を行ったこと、言論の自由を侵害したこと、ナショナリズムを煽って侵略戦争を行ったことは、どんなに政治的立場が違っていても一応みんな認めてきたはずなのに、それを平気で否定するような演説が現れ、支持者を得るようになってきた。
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 マクロンが選挙戦の最後に声をからして強調していたのは、ヨーロッパが連帯することがいかに大切かという一点だった。フランスはマクロンを選んだというより、EUを選んだのではないかと思う。今のEUには改善すべき点もあるが、今の世界を見渡すと民主主義の砦として頼りになるものが他に見あたらない。ウクライナ問題に関してプーチンを支持するマリーヌ・ルペンがヨーロッパへの期待を裏切る存在として見られても仕方がない。
 EUを選ぶことはナショナリズムにノーを唱えることであり、第二次世界大戦のような惨事を二度と繰り返さない、という決意の表れでもある。そのためには、第二次世界大戦がどういう戦争だったかという認識を共有する必要がある。もしも、わたしを乗せたタクシーの運転手のように、広島に原爆が落ちたという事実さえ認めない人間が増えていくようなことがあれば、わたしたちは携帯を見ながら運転するドライバーの車に乗せられた客と同じで、大変危険な未来に突入することになるだろう。


EUが「民主主義の砦として頼りになる」というのは考えられません。EUの意思決定は市民や市民の代表によってではなく、EU官僚によって行われています。EU自体が民主主義的に運営されていないのに、何で民主主義の砦になるのでしょうか。

EUが第二次世界大戦の悲劇を繰り返さないために生まれたのは事実ですが、現在のEUが欧州での戦争を防止しているというのは言いすぎです。英国がEU離脱を決めた際に、経済的影響を懸念する声はありましたが、英国とEUが戦争になることを心配する声はありませんでした。

ドイツでは戦後、立場の違いはあっても一応にホロコーストを反省してきたが、近年それを否定する声が出てきて「今ドイツ社会が揺らいでいる」、というのも嘘臭いです。本当に今までのドイツ人が一応にホロコーストを認めていたのなら、ホロコースト否定論を法律で禁止する理由がありません。昔から、一定数のドイツ人は戦争中のドイツを肯定してきたのだと思います。

多和田氏の態度は、民主主義とは正反対のものです。意見に反対な人を、愚かもの、歴史修正主義者、反民主主義者、といわんばかりに罵るだけで、真摯に議論を戦わせようとしません。もしかしたら説得する理論なんて持ち合わせていないのかもしれませんが。
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