【朝日新聞】「全面禁煙で公害化を止めよ」

6月2日朝日新聞朝刊のオピニオン欄。「私の視点×4」のコーナー。米ハーバード公衆衛生大学院教授イチロー・カワチの「全面禁煙で公害化を止めよ」より。名前からいって日系米人だと思います。

 受動喫煙対策を強化する法改正を巡り、自民党が5月20日、「未成年が立ち入らなければ、飲食店は『喫煙』『分煙』などの表示つきで喫煙を認める」という案を提案した。
 日本での受動喫煙を巡る議論は、たばこの煙を吸いたくない非喫煙者の「権利」と、たばこを吸いたい喫煙者の「権利」を争う構図が描かれがちだ。だが、受動喫煙は権利の問題を論ずる段階ではもはやない。
 日本では受動喫煙が原因で約1万5千人(推定)が毎年亡くなっている。交通事故死の3倍を超す死者が出ている受動喫煙は、現代日本の「公害」である、と言っても過言ではない。
 (略)
 毎年3月、ハーバードの学生による「ジャパントリップ」という日本への視察旅行がある。ハーバードの学生は、日本の清潔さや健康的な食事を目にして、「世界で最も健康な国」のひとつである日本の暮らしぶりに感心する一方、飲食店に入り、まだ喫煙できることに衝撃を受ける。世界の多くの国の飲食店は全面禁煙が「標準」だからだ。
 日本が「健康な国」であり続けるためにも、受動喫煙が現代日本の公害とならないためにも、飲食店の全面禁煙を実現するべきだ。


私は煙草は吸いません。隣で吸われるのも愉快ではありません。しかし、カワチ教授の論には釈然としないものを感じました。

他人に迷惑をかけるな、というのは世の道理です。しかし一方で、世の中ではある程度のことは我慢すべし、という道徳律もあります。迷惑をかけるな、だけでは息苦しい世の中ですし、我慢ばかりを強制されるのも同じです。この二つの道徳律は矛盾していますので、その時代時代で折り合いをつけていく必要があります。

喫煙は迷惑だから止めろ、という考えは徐々に広がりいまや飲食店での全面禁煙までも視野に入っています。

そのこと自体に異論はありませんし、むしろ賛成なのですが、多少のことは大目にみて我慢すべし、という考えが省みられなくなっていることも感じずにはいられません。

カワチ教授の論のどこに釈然としないかというと、受動喫煙で1万5千人が死んでいるという推定を出しながら、飲食店の全面禁煙化によって受動喫煙の死者がどれだけ減るかという推定値がないことです。うっかりすると、飲食店を全面禁煙にすると死者が0人になるかのように錯覚してしまいます。「数字」の悪用です。

また、飲食店の禁煙化という点では日本はまだですが、路上禁煙では逆に日本が先行しているとも聞きます(世界の事情はよく知りませんのでマスコミの受け売りですが)。

にもかかわらず、カワチ教授は世界の「標準」に達しない日本に教えを垂れるという構図にいびつさも感じずにはいられません。
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