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【朝日新聞】戦争遺跡「インスタ映え」

8月19日朝日新聞。特集「消された戦争 記録と記憶」の6回目『戦争遺跡「インスタ映え」』より

(略)
 長崎県川棚町に残る戦跡。太平洋戦争中、佐世保港から駆逐艦に積み込む魚雷の発射試験が行われていた。この場所が数年前から「インスタ映え」すると話題を呼んでいる。人気にあやかろうと町の「地域おこし協力隊」は昨夏、ゲームやアニメのキャラクターの衣装を着て撮影をするコスプレイベントを開いた。
 企画した協力隊の飯田千織さん(28)は3年前に初めて試験場跡を訪れ、「建物が朽ちるほど長い間、平和が続いてきたんだ」と感じた。ここなら、町おこしにも、平和を考えることにもつなげられると考えた。
 募集チラシでは、戦争について触れなかった。イベントでは「戦時中は人を殺す武器を作っていた」と説明したが、飯田さんは考える。「最低限の概要を知ることは大切。でも『平和は大切』と気づくために、深く歴史を知っているかはそれほど重要とは思えない」
 「この場所が、あの悲惨な戦争の手助けをしていた。それを知らずに今を生きることは、本当に幸せなんでしょうか」。京都府舞鶴市の小坂光孝さん(88)は、バーベキューを楽しむ家族連れを横目につぶやいた。目の前に広がるキャンプ場は、旧海軍の火薬工場の敷地。近くには朽ちた建物も残るが、その歴史を説明する案内板などはない。
 「神風が吹いて、日本が必ず勝つ」。14歳で工場に動員された小坂さんは、そう信じて疑わなかった。人間魚雷「回天」の火薬を詰める作業に没頭した。回天で亡くなった戦没者は145人。平均年齢は21・1歳だった。
 草木が生い茂る工場跡を再訪し、高校生たちと出くわしたことがある。「こんな所で何を」。そう聞くと「肝試し」と返ってきた。言葉を失った。あれから約10年。市の中心部には跡地をモデルにした子ども向けのホラーハウスができた。
 「(歴史は)知らなかった」「肝試しだった」。戦跡を荒らした少年たちがそう語った事件から、まもなく1年になる。
 沖縄県読谷村で昨年9月、大戦末期の沖縄戦で住民83人が「集団自決」に追い込まれた洞窟「チビチリガマ」に当時16~19歳の少年4人が忍び込んだ。動画を撮り、千羽鶴を引きちぎり、遺品のつぼを割った。
 平和ガイドとして幾度となくガマを訪れてきた沖縄国際大非常勤講師の伊佐真一朗さん(33)は、心霊スポットと言われているのは知っていた。それでも、ショックだった。
 小さいころから周囲の大人に、ガマや平和祈念資料館に連れて行かれた。懐中電灯で照らしても奥が見えない暗闇や、戦時中の水が入ったままという水筒の存在が胸に残った。父や母や、子を亡くした人たちにとってかけがえのない場所――。歴史を少しずつ学び、そうした感覚は自然と身についた。
 いずれ戦争体験者はいなくなる。だから、ガイドでは「想像力」を強調する。
 ガマが「暗くて怖い」と感じる人には、「戦争中は『ここにいれば安心』と逃げ込んだ場所。今とは違う価値観があると想像して」といった具合に。
 ただ、あの少年たちがなぜ一線を越えてしまったのか、今もわからない。


長崎・京都・沖縄でいずれも太平洋戦争の遺構に痛みを感じない世代の台頭を紹介しています。

歴史の事実を知ることは私も大事だとは思いますが、どちらかと言えば長崎で町おこしをしている女性の考えに共感します。その時代を生きた人にとっては自分の人生を変えた出来事であっても、世代が変われば歴史上の事件の一つで、例えば関ヶ原合戦やご維新戦争の戦跡と変わりありません。

むしろ「想像力」の強要が若者の反発を招くのではないかと恐れます。
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No title

方法論はともかく、今の平和を守る事が戦陣に倒れ職域に殉じた方々に対する我々の責務であると考えます。
戦争が悲惨であった事は否定しませんが、「どうすればよかったのか」と言う事も真面目に論じるべきだと思います。

そういう意味で、えいび様が仰る「歴史的な事件」として捉えるべき時期に来てるのではないかという意見には賛成です。
むしろそう有るべきだとすら思います。

Re: No title

コメントありがとうございます。
同意いただき嬉しく思います。
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えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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