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【朝日新聞】「高等教育の私的収益」の男女差は、男女の格差か?

10月10日朝日新聞朝刊の記事『「女が大学なんて」、言わせない』は、日本の大学進学率の男女差についての記事です。女子の進学率は50%を超えましたが、女子が男子を上回っている都道府県は2つだけ、という差があります。

その中で、OECDが報告する「高等教育の私的収益」なるものについての部分を引用します。

 OECDは、高等教育の学費や、進学した場合としなかった場合の生涯賃金などをもとに、各国の男女別の「高等教育の私的収益」を試算。大学や大学院で学ぶことによって得られる経済的メリットがわかる。「図表でみる教育2018」をみると、日本の女性の私的収益は、日本の男性の13分の1に満たず、男女格差が最大の国となっている。
 日本の女性は高等教育を修了しても、出産後の就労継続や正規雇用での再就職が難しく、経済的メリットが少ない。こうした現状が「女の子は大学に行かなくてもいい」といった風潮の背景にあるといえそうだ。
 ダイバーシティー(多様性)に詳しい山口一男・米シカゴ大教授(社会統計学)は、「女性は学歴や勤続年数が男性と同等になっても、地位と賃金が上がる割合が低い。そのため女性へ教育投資をしようという動機付けも弱まる。多様な人材を生かせないのは、社会にとっても経済的に不合理だ」と話す。
 (三島あずさ、山下知子、高橋末菜)


図表を添付します。
高等教育の私的収益



「高等教育の私的収益」とは、高等教育を受けた場合と受けなかった場合の生涯賃金の差のことのようです。例えば、図から見ると日本の男性の「高等教育の私的収益」は30万ドル(約3000万円)くらいですので、大学に行った日本の男は行かなかった男に比べ、生涯で3000万円プラスになる、と読めます。

日本の女性は、この「高等教育の私的収益」が男に比べ13分の1に満たない、男女格差の最大国ということです。図表をみると日本の男女格差も見えますが、日本の女性の「高等教育の私的収益」の低さが際立っています。

記事は日本の女性が虐げられているという論調ですが、よく考えると疑問です。

「高等教育の私的収益」の数字は定義上、高等教育を受けた人と受けない人の差を示しているものです。

つまり、日本の女性の「高等教育の私的収益」の低いというのは、直接には日本の女性は高等教育を受けた人と受けなかった人との生涯賃金に差がない(=学歴による差がない)ということを示しています。一方の男は高等教育を受けると受けないとではずいぶんと違います。極端なのは米国で、高等教育を受けないとかなり辛い人生になりそうです。

学歴による差がないのが良いことなのか悪いことなのか一概には言えません。

そもそも高等教育とはお金のためにやることなのかどうかという問いもあります。ギリシャの数学者ユークリッドの弟子がそういうことを言ったら銀貨を握らされて破門されたというエピソードもありますし。

それはともかく、高等教育有無の格差を問題にしている数値を使って男女の格差を論じるというのは、あらかじめ決められたストーリー(この場合は、日本の女性は男女格差に苦しんでいる)に無関係な数字をあてはめたとしか思えません。

そういうことを論じたいのであれば、高等教育を受けた男女の生涯賃金の差、とか受けたない男女の生涯賃金の差を調べるべきです。
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