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【朝日新聞】歴史学と歴史ファン

10月29日朝日新聞朝刊オピニオン欄。「歴史と歴史学は別物? イメージ固執のファンに苦言も」より

 過去の出来事を調べて考察する学問である歴史学や考古学。近年、それが一般の人たちの間に広がりをみせています。歴史好きの女性を意味する「歴女」や、土偶好きの「土偶女子」、古墳好きの「コフニスト」。でも、専門の研究が進むにつれて、今までの歴史像も大きく変わり始めていて――。受け止めかねる人も出てきているようです。
 (略)
 ただ、このように歴史を純粋に「楽しむ」傾向が強まっていることに関しては、苦言を呈する専門家もいます。「歴史小説や大河ドラマなどで描かれた、根拠がはっきりしない『通説』がまかり通り、イメージだけで歴史が語られるケースが多すぎる」とある研究者。
 維新史が専門の青山忠正・佛教大教授は「例えば幕末の志士・坂本龍馬は、一次史料からは『薩長同盟の仲介者』というより、『薩摩藩の利害を代弁するエージェント』で、薩長同盟も倒幕軍事同盟とまでは言えないのに、歴史ファンという人たちの中には、かたくなに信じようとしない人もいる」と指摘します。
 実際、近年の歴史研究の進展はめざましく、かつて歴史小説や教科書などで示された多くの出来事や歴史上の人物に、従来の通説とは違った新たな光があてられています。
 例えば、織田信長は全国統一は目指さず、畿内の静謐を願っていたとする東京大史料編纂所の金子拓准教授の説や、豊臣秀吉の朝鮮出兵は領土拡大が主目的ではなく、アジアに進出してきたスペイン・ポルトガル勢力を追い払うためだったとする平川新・宮城学院女子大学長の説、美少年のイメージが強い江戸時代の一揆指導者・天草四郎は架空の存在だったという吉村豊雄・熊本大名誉教授の説などが代表的なものです。
(略)
 こうした新説や解釈に対しては、時として思わぬ反応も起きます。朝日新聞が昨年9月、幕末に活躍した長州(現在の山口県)の志士・吉田松陰について、「本質は教育者というより革命家ではないか」という説を紹介したところ、地元の萩市議会である市議から萩市長に対し、「松陰先生のイメージにデメリットを与えた、朝日新聞に抗議をしないのか」との質問が出され、市長は「松陰が過激な革命家であったという評価、異説の存在を紹介したもの。一つの視点として尊重するべきだ」と答えました。この出来事は、研究者による学説であっても、地元にとって重要な人物に関わる場合、受け入れ難い面もあることを示しています。
(略)
 ふだん、歴史などをテーマに記事を書いていますが、新説を紹介した際、いただく感想の中に、「うそだろ」「知りたくなかった」といったものを見かけます。
 私が唱えた説ではないので、「そう言われても」というのが率直な感想です。日本史でも戦国時代史と幕末~明治維新史の研究は長足の進歩を遂げており、司馬遼太郎さんらが小説の前提としていた「歴史的事実」が少なからず覆されています。このため、従来の歴史像が変容するのはむしろ当然とも言えます。
(略)
 (編集委員・宮代栄一)


一般の歴史ファンが何を言おうが、研究者は無視すればいいだけです。しょせん素人なのですから。

ただ、地元に不利な新説を発表した新聞に抗議することを要請する市議がいたというのは問題です。常識のある市長が却下したので事なきを得ましたが、市民の代表である市長や市議がなにか言ってきたら面倒なことになったでしょう。研究者に直接抗議するようなことがあったら最悪です。民主主義が学問の自由と衝突するところでした。

しかし、新聞記者が歴史の新説を紹介し読者から苦情がよせられたことに対して『私が唱えた説ではないので、「そう言われても」というのが率直な感想』というのも無責任に聞こえます。

学者は自由に研究しますので、新説がやがて定説になるかもしれませんし奇説となるかもしれません。新説が出た、ということだけで学会にどの程度受け入れられているかを明示することがないのはいただけません。
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No title

この様な事で講義するのは民主主義ではなく、衆愚でしょう。
政治的圧力で学問を捻じ曲げようとする人が日本に居るというのは実に悲しい事であります。

Re: No title

俺だよ!!さん
衆愚とのご意見、同意します。
困った人たちです。
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えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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