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【本】民主の敵 政権交代に大義あり

民主の敵―政権交代に大義あり (新潮新書)民主の敵―政権交代に大義あり (新潮新書)
(2009/07)
野田 佳彦

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野田新総理が2009年6月(麻生政権時代)に出版していた本です。

まだ野党時代の民主党が、政権奪取に向けて、なぜ自民政権ではだめなのかをつづっています。その数ヵ月後の選挙で政権交代が実現します。当然のことですが、今となって読むと苦笑せざるをえない記述もあります。それをあざ笑おうとは思いませんが、わずか2年前の本ですので検証してみることにします。

■選挙なき総理交代について
P82から

小泉さんが選挙で勝った後、安倍、福田、麻生と三人も、民意を反映していない総理大臣が続いてしまいました。間接民主主義の建前からみれば、議員内閣制という制度の中では、違法な政権とまでは言えません。しかし、これだけ時代の変化が激しいときに、民意の裏づけのない政権が、国の舵取りをし続けるということでいいはずがありません。


皮肉なことに野田氏自身が民意を反映していない総理になってしまいました。この件で自公政権を攻撃したのは野田氏だけではありません。民主党が一丸となって言っていたように記憶しています。この件につて民主党からコメントがないのはいぶかしく思います。

■道路行政について
P18では、自民党の道路政策について語っています。

もちろん、この「道路イズ政治」を支持してきた、その仕組みに乗っかってきた国民を多数いたわけです。田舎になればなるほど、その度合いは深かったでしょう。ある時までは、それでよかったことは否定しません。国家の成長と国民の幸福のためにそういう政治が求められた時代に、もし私が政治家だったとしたら、票のために利益誘導はしたくはありませんが、地元の発展のために必要な予算を引っ張ってくるという選択をしていたかもしれません。ただ、それは、あの時代の政治判断としては、ということです。
忘れてはならないのは、一度作ったシステムが、永続的に有効に機能すると考えるのは、幻想でしかないということです。時代に合わせた軌道修正を怠ったところに、自民党の今日の問題があるわけです。


過去の政策は否定しないが、時代が変わりその変化に自民党がついていってない、という主張です。
一見もっともな主張ですが、時代が変わったということを客観的に評価する基準を示していないのは難点です。これでは、まだ道路が必要だ、という意見に理屈では抗しきれないでしょう。

■田母神論文について
P137から

自衛官の持つフラストレーションについては、親父のこともあるので、普通の人以上によくわかっているつもりです。しかし、それでも田母神俊雄前航空幕僚長については、やはり私は評価できません。
田母神さんは、現役の幕僚長の立場でありながら、民間企業に「日本は侵略戦争などしていない」という主旨の論文を送ったことが問題とされました。私自身は、歴史認識については、タブー視せずに見直していかなければならないという立場です。しかし、幕僚長という極めて専門性、戦略性が問われる立場にいて、何であの時期にあんな論文を書いたのかが問題なのです。
自分の立場であのような発言をすれば政治問題化するのではないか、という見通しがなかったのだとしたら、航空自衛隊の制服組のトップとしての戦略眼を疑わざるを得ません。正直、幕僚長がこれほどそそっかしい人でいいのか、と不安に感じた方も多いのではないでしょうか。


タブー視しないという立場ならば、政治問題化したら田母神氏の言論の自由を擁護すべきです。それを、見通しが甘いからダメと、からめてから非難するのは少し卑怯だと思います。また、戦略眼があれば、騒ぎが起きるまえに政治問題化すると予測できた、というのも無理があります。結果論だと思います。

■小泉元総理
本書のあちこちで小泉元総理について触れていますが、どれも歯切れの悪いものです。それは小泉氏の政策が、「道路行政」を典型とする古い自民党とは違うものだからなのでしょう。民主党が(もしかしたら現在の日本の政治家全部が)小泉氏の評価を定め切れていないようです。

■赤城大臣
P178から

あの参議院選挙勝利の要因は大きくわけで三つあると思います。相撲でたとえれば、殊勲賞は何と言っても長妻昭さんの指摘した「消えた年金」問題。
小沢さんは敢闘賞だと思います。(中略)
技能賞は絆創膏大臣、赤城徳彦さん。あの絆創膏を、あのようなタイミングであのように顔に貼る技能に、日本中がしびれたわけです。


本書のほかの記述は誠実さのあらわれなのか不快なものはありませんでした。しかし、ここの赤城氏への意地の悪い皮肉は突出していました。すこしギョッとしました。どちらが本当の野田さんなのでしょうか。

■総論
自民党だけが政権についているのはよくないからとにかく政権交代を実現しよう、と主旨です。その意見に多くの有権者が賛成し、政権交代がなりました。

いずれ、民主党は敗北し政権を追われるでしょう。問題はその次です。再度政権を奪取するためには、この程度の理屈ではもう有権者はのってくれないでしょう。本書「民主の敵」を越えられなければ、民主党に未来はないでしょう。

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