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【本】「ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた」 その2

監修:佐藤文香

昨日の感想の続きです。昨日の部分は本の感想という意味ではちょっと離れていたのですが、本日の分は本当に本の感想です。


まず思ったのが「ジェンダー論」という学問のことです。普通に考えて「学問」というのは、世の中にある何らかの法則や真実を明らかにするものだと思っています。しかし「ジェンダー論」というのは普通の学問と違って法則を見つけるのではなく、”世の中はこうあるべき”というような社会改良を目指しているような感じがします。

「ジェンダー論」が言っていることを否定しようというわけではありません。私も”男だからかくあるべし”という世間の圧力にはうっとおしく感じないでもありません。そういうものから自由になるべし、というのは全面的に賛成するわけでもありませんが、全否定でもありません。

しかし、全く新しい社会をつくるとなると果たしてその社会が歪みなく機能するかという疑問がわきます。

この疑問に、この本は処々で答えているかのようです。つまり、男は外で働き女は家の仕事をする、というった概念は近現代において作られた、というものです。つまりもともと人間社会には男女の役割分担なんてなかった、ということです。(そう明言しているわけだはありませんが、そういう主張だろうとくみ取りました)

たとえば、第23章「女性はバリキャリか専業主婦か選べるのに、男性は働くしか選択肢がないのっておかしくない?」では、「近代以前、特に農耕社会では、男女ともに農作業に従事することが求められました。資本主義の発展とともに市場が登場すると、男性が公共領域を、女性が家内領域を担うという性別役割分業を基礎にした家族が登場します」と説明しています。

事実関係としては正しい指摘です。

しかし、農耕社会でも農機具が発達する前は、筋肉をつかって仕事をしていたので、男女の役割分担はあったはずですし、狩猟採取社会でも男女差はあったとしか考えられません。そればかりか、人間以外の動物や鳥、昆虫、魚などでも雌雄の役割分担がある種はざらにあります。

男性が綱領領域を、女性が家内領域を担う」のが「歴史的・文化的につくられた」ものであっても、男女による役割分担はホモサピエンスだけでなく生き物に一般的だというのも事実です。

男女の役割分担を決めつけるのが息苦しい、という意見には同意します。ただ、完全に男女の役割分担を否定した社会というのは人類は未経験の社会であるため、それを目指す社会改良は慎重になるべきだとも思います。


コラム4で「なんでジェンダーのゼミにいるのに化粧してるの?」で、ジェンダーを学ぶ女学生が化粧しているのはなぜか、と訊かれたことを取り上げています。引用します。

でも、わたしは、化粧自体が嫌いなのではありません。化粧を「女らしさ」と結びつけることに問題意識をもっているのです。
(略)
もちろん、どこまでが本人の選択なのかといいうのは難しい問題です。個人の自由な選択とみえる女性の行動が、社会の常識に多分に影響を受けながら、男性中心主義的な構造を再生産する可能性もあるからです。一方で、たとえば「化粧する女性は男性に媚びている」といった決めつけは、その女性の選択の自由をなかったものにしてしまいます。はたしてそれは、女性の意志を尊重しているといえるでしょうか


女性に限らず、”個人の選択”が歴史や社会から完全に自由に、切り離されたものであるはずがありません。

一応、「個人の自由な選択とみえる女性の行動が、社会の常識に多分に影響を受け」ている可能性を指摘してはいますが、よく読むと自分以外の女性のことを言っているような気もします。

自分のことに関しては、「わたしは、化粧自体が嫌いなのではありません」と堂々と言い切っています。

この件に限らず、この本の論がだいたいこの調子で、「ジェンダー論」に歯向かう者、疑問を持つ者をバッタバッタと切り捨て、自省というものがほとんど感じられません。

ここら辺の態度や雰囲気が、ジェンダー論者が不人気な理由だと思います。
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