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【テレビ】フランケンシュタインの誘惑E+  第十九話「天才誕生 精子バンクの衝撃」

Eテレにて放送。

主人公は二人です。アメリカの遺伝学者ハーマン・マラー(1890~1967)。天才の精子を集め優れた人間を作り出すという、いわゆる優生学にもとづく計画をたてた科学者です。もう一人は科学者ではなく大富豪のロバート・グラハム(1906~1997)。マラーの提言に触発され資金面での援助をし、マラーの死後は天才精子バンクの構想に邁進した人物です。

1890年:マラー、ニューヨークで生まれる。ドイツ系。ハーレム(当時は労働者の街)で育つ
1906年:マラー、コロンビア大学に入学。ショウジョウバエを使った突然変異の研究をするトーマス・モーガン教授に師事する。
マラーは優れた研究者だったが、協調性に欠けていた。
1920年:マラー、テキサス大学に移籍。ショウジョウバエにX線を照射することで突然変異が多発することを見出す。これにより人為的に突然変異を起こすことに成功し、同時に遺伝子(メンゲレによって提唱されていたが、具体的にそれが何なのかは不明だった)が物質であることを証明した。
1932年:マラー、ドイツに向かう
1933年:ドイツがヒトラー政権になる。マラーはナチスの優生学に幻滅する。ナチスが「劣等」な遺伝子を持つ者を排除しようとしたことに対して、ひとにぎりの優秀な人間だけが父親になるべきだと提唱する。
1946年:マラー、ノーベル医学・生理学賞を受賞
1961年:マラー、核戦争の可能性に危機感を抱き、優秀な精子は地中深くに隔離し保存すべき、とサイエンス誌に投稿。肯定的な反応もあったが、結局はナチスの考えと同じだという反発もあった。
1963年:ロバート・グラハムが、マラーの考えに共感し接触してくる。天才精子バンクの構想が動き出す。
1964年:アメリカと日本で、不妊治療のために、世界初の精子バンクができる
1967年:マラー、心不全のため死去。グラハムは本業をなげうち天才精子バンクにのめりこむ。ノーベル賞受賞者に精子の提供を求める。
1980年:天才精子バンクが公になる。精子提供者の中に、人種差別主義者として知られるウィリアム・ショックリー(ノーベル物理学賞受賞者)がいたことで騒動となる。
グラハムは、精子提供者を科学者だけから広く募ることになる。マラーの構想から離れ、精子提供の産業となっていった。
1982年:グラハムの精子バンクから子供が生まれる。IQ175の子供だったが、現在は家庭教師で生計を立てていて、取り立てて成功者になったわけではなかった。
1997年:グラハム、シアトルのホテルで脳震盪を起こし死去
1999年:グラハムの精子バンクが閉鎖。19年の間に217人の子供が生まれていた。
現在、インターネットを使って精子バンクビジネスは活況を呈している。

■感想
マラーは、天才の精子だけに着目して、天才の卵子は気にも留めていなかったみたいです。これは彼が男尊女卑の思想だったからでしょうか、それとも卵子の保存が難しいとかの技術的問題があったからでしょうか。番組ではよく分かりませんでした。

「天才」の例として番組では、何人かの肖像画や写真を見せていましたが、その中に画家のゴッホがいました。ゴッホが評価されたのは死後です。したがってゴッホの生きている時代に天才精子バンクがあったとしても、ゴッホの遺伝子は収集の対象外だったはずです。マラーの考えるように、優れた遺伝資質の持ち主だけが父親になってしまうと、歴史上で天才とみなされる遺伝子が残らないことになってしまいます。

天才精子バンクから生まれた子供が、特別な業績を残していないということは、天才が遺伝だけで生まれるのではないのではという疑問を突きつけます。高IQの子供が高IQになるらしいというのはわかりますが、「天才」になるというわけではないようです。実際、歴史上天才と呼ばれる人の親が普通だったり、その子供がなんということもないことはよくあります。普通の授精で天才が引き継がれないのに、体外受精で引き継がれるというのは考えに無理があります。ただし、天才は無理かもしれませんが、普通よりやや優れた子供が生まれるという可能性はありますので、精子バンクでより「優秀」な精子を求める気持ちはわかります。

もしかしたらオッペンハイマーがいなければ人類は原爆を手にしなかったかもしれませんが、一方で遅かれ早かれ誰かが発明しただろうという気もします。それは証明できることではありません。しかし、ハーマン・マラーがいなくても精子バンクはできましたし、精子バンクが産業化すれば優れた遺伝子を求める親がいて「天才精子バンク」に近い考えの運営になるのは必然です。したがって、マラーがいなくても世の中はこうなっていたというのはほぼ間違いありません。彼を「フランケンシュタイン」呼ばわりするのはちょっと酷かと思います。

私は米国のドラマが好きでよく観るのですが、独身女性が一念発起して子供をつくろうと精子バンクと契約するというエピソードがよくあります。そういうのを見ているせいか、精子バンクといわれても特におどろおどろしい感じがしません。慣れ、というのは恐ろしいものですね。
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