【朝日新聞】マスクの効果
日本では「予防策」のためのマスク着用が、2009年の新型インフルエンザ流行や花粉症対策などで広まりました。新型コロナウイルスの感染拡大で、いまや公共の場でマスクをつけていないと逆に注目され、「非常識」と思われてしまいそうです。
しかし通常のマスクには、感染症から身を守る効果はあまりありません。
構造上どうしても隙間ができるし、直径30マイクロメートルの花粉の侵入は防げても、0・1マイクロメートルの新型コロナウイルスは通してしまいます。気密性が非常に高い「N95マスク」もそうです。そもそもN95マスクは息苦しく、長時間の着用は厳しい代物です。
またウイルスは鼻、口だけでなく目からも入ります。マスクをしていてもゴーグルをつけなくては、「頭隠して尻隠さず」となります。
つまり、マスクは予防策ではありません。自分の病原体を他人に感染させないための道具で、元気な人は基本的にはつける必要がないのです。
一般のマスクでもウイルスがついた唾液は捉えられるので、せきや熱などの症状がある人がつければ、感染防止の効果があります。SARS(重症急性呼吸器症候群)などに比べて新型コロナウイルスの厄介な点は、感染しても症状がない人が多いこと。気づかぬ間にウイルスを広げないようマスクをつける意味は一定程度あるでしょう。
だからこそ少しでも使ったマスクは病原体だらけで、むしろ「感染源」。ポケットから出し入れして何度もつける人を見かけますが、一度外したらすぐに捨てるべきです。
(略)
前々からマスクには予防効果がないと言われています。久住氏は内科医ということで、より詳しくその説明をしています。
しかしこの説明でも腑に落ちないところがあります。病気でもない医者や看護婦、病院の事務作業の人もこの季節ではみんなマスクをしていることです。一般人ではなく医療関係者がです。まったく意味のないことをしているとは思えません。
医療関係者はきちんとマスクを扱っているから予防効果があるのだ、と言いたいのかもしれません。しかし医者や看護婦がいかに正しくマスクをしていたとしても、手術中くらいしかゴーグルはつけていません。
久住氏の説では、マスクをしてもゴーグルをしていないなら「頭隠して尻隠さず」のはずです。
この疑問に真正面から答えてくれないかぎり、マスク無意味論には疑問が残ります。
なお、新型コロナは自覚症状のない人からも感染するとのことなので、電車に乗る人全員が、オフィスで仕事をする人全員が、マスクをするようにするべきではないかと思います。
特に、飲食店従業員のマスクはウイルスとは無関係に必須にしてもらいたいです。マスクをせずにしゃべられると唾液が飛びます。