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【テレビ】フランケンシュタインの誘惑  「ビタミン×戦争×森鷗外」

NHK-BSにて放送

「フランケンシュタインの誘惑 科学史闇の事件簿」はもともとNHK-BSで放送されていたのですが、それを編集してEテレで「フランケンシュタインの誘惑E+」と題して去年まで放送していました。このブログでは「フランケンシュタインの誘惑E+」の感想を書いてきました。

昨日は、なぜか突然「フランケンシュタインの誘惑」の「CASE14」の再放送がありました。毎週放送するつもりもなさそうです。新型コロナのせいで番組制作スケジュールがおかしくなったので穴埋めに使ったのかもしれません。それはともかく、「ビタミン×戦争×森鷗外」は「E+」ではやっていなかったので、せっかくだから感想を書きます。


明治時代の日本では脚気が流行っていた。特に軍隊では多くの若者が脚気にかかり命を落としていった。

1884年、森鴎外こと森林太郎はドイツに留学。コッホ博士のもとで細菌学を学ぶ。帰国し陸軍で要職を得た森は、脚気の原因は細菌によるものと考えた。

一方、薩摩下級武士出身の海軍軍医高木兼寛は、脚気の原因は白米ばかり食べている栄養の偏りにあると考え、麦飯をすすめた。

高木は英国で疫学を学び、原因はさておき統計的に分析し対策をたてるという手法を身につけていた。脚気にかかった人間の生活習慣をすべて調査し、白米に要因があると見定め、実験をして確認した。

これは、世界で初めて食事と病気の関係を解明した調査である。

しかし、森は高木を西洋かぶれと批判し、白米原因説を無視した。陸軍と海軍の意地の張りあいもあいまって、海軍は麦飯にして脚気患者を減らすことにしたのに対し、陸軍では脚気は収まらなかった。

森は、一日6合の白米があればおかずなしで栄養が取れると主張し続けた。

しかし、1894年の日清戦争で、陸軍の戦死者450人、脚気による死者4000人という惨状であった。日清戦争後、森は台湾総督府陸軍局軍医部長として台湾に乗り込むが、ここでも脚気の大量発生が起きた。

海軍と陸軍の間で論争がおきた。

海軍「海軍では脚気を防いでいる。陸軍は間違っている」
陸軍「病気の仕組みが分からない状態で白米をやり玉にあげるのは科学的でない」
海軍「天然痘も仕組みは分からないが種痘によって防いでいる。原因の解明と対策は別問題である」

1904年の日露戦争で陸軍は25万人の脚気患者を出し、2万7千人が死んだ。陸軍トップの軍医はくびになったが、その後を襲ったのは森だった。

1911年、農学者鈴木梅太郎が全く新しい栄養素(いまでいうビタミン)を世界で初めて提唱した。しかし農学者を低く見ていた医学者たちはこの提言を無視。海外での論文発表も遅れた。

1924年になって、調査会は、ようやく脚気の原因がビタミン不足であると認め解散した。

1929年、ビタミンの発見で医師・生理学者エイクマンと生化学者ホプキンズがノーベル賞をとった。後年発見された資料では鈴木はノーベル賞の候補になっていたことが分かっている。鈴木の海外発表がおくれなければ鈴木が日本初のノーベル賞受賞者となった可能性は高い。

■感想
「フランケンシュタインの誘惑」は科学者を主人公にした話でしたが、森鷗外は軍医であっても科学者とは言い難いと思いました。

高木説に反論するための実験として、白米・麦飯・洋食をあたえ食べた量と糞の量の差から、白米がもっとも栄養吸収にすぐれているという結論を出します。しかし、これは脚気とはなんの関係もない実験ですので高木説への反論になっていません。森には科学的な発想が欠けていたとしか思えません。

高木に対する反論も、イギリスかぶれだのなんだのと、学説とは無関係なところに終始します。これなどは歪んだエリート意識のあらわれでしょう。

これだけやらかした森鴎外(森林太郎)ですが、なぜか悪く言われていません。ひとえに小説が認められているからだとしか思えません。小説を書いていなかったら、あるいは書いていても見るべきほどのものでなかったら、後年ボロクソに批判されていたことでしょう。

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