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【朝日新聞】歴史「で」語る

7月15日朝日新聞朝刊オピニオン欄。私立西大和学園中学・高等学校(奈良)教諭・浮世博史氏へのインタビュー記事です。

--先生の近著は、百田尚樹さんの「日本国記」をはじめ相当数の史実の誤認を指摘しています。
「歴史にまつわる俗説や誤認はネットが普及した2000年以降、顕著です。これらの文章は、プロの歴史家が書いたものでないことはすぐ分かります。自分の主義主張が先にあり、それに合わせて歴史を語る、という分かりやすい特徴があるからです。歴史『を』語るのではなく、歴史『で』主張を語っています」
--歴史『で』語ると、どんな弊害があるのでしょう。
「自分の言いたいことに合わせ、歴史をつまみ食いする傾向があります。たとえば日露戦争での日本の勝利はアジアに勇気や自信を与えた、という言説がありますが、一方で、孫文やインドのネルー、ビルマ(現ミャンマー)の独立運動家バー・モウは、日露戦勝利が日本の帝国主義と植民地支配のきっかけになったことを批判しました。『自信を与えた』という評価Aだけを説明し、『失望させた』という評価Bを言わないと、社会科学ではなくプロパガンダになってしまいます」
(略)
「蒙古襲来(1274年の文永の役、1281年の弘安の役)は、時代によって説明が大きく揺れた典型例です。太平洋戦争までは、寺社が祈祷して神風が吹き、元が撃退されたとの見方が浸透していました。神国思想を強める狙いがあったからです。戦後は、武士たちが頑張ったから勝てたというストーリーが強調されました。右から左に振り子が振れた結果、1980年代ごろまで、両者が混ざった何だかよく分からない内容が教えられていました。
--私自信、「神風で撃退された」という印象が強いです。
「暴風雨の影響は皆無ではないのですが、勝負を決した唯一最大の理由でないことは、近年見つかった日本の一次史料、元と高麗という相手国側の史料から明らかになりました。元は当時支配していた高麗の三別抄の乱(1270~73年)で日本遠征が遅れました。その間、日本は戦闘準備の余裕ができました。元は文永の役のあとに南宋を滅ぼしますが、その戦いで厭戦気分が広がりましたし、ベトナムの反乱鎮圧で3回目の日本攻撃計画を中止したことも重要です。『運がよかった』とか『日本が軍事力で優位だった』からではありません。
(略)


歴史を『で』語るのは良くない、というのは同意します。

ただいくつか疑問と異議があるので述べてみます。

まず、歴史学というのは自然科学とは違い、最新の説だから正しいとは言い切れません。現在の歴史家がこう言っているぞ、とけんつくに言われても、それだけでは納得させるのは無理でしょう。

孫文たちが日露戦争後の日本を批判をしたということですが、これは明らかに戦争直後の評価ではなく、その後の日本の振る舞いを長い目で見てのことです。当時のアジアに勇気や希望を与えた、ということの反証にはなっていません。

それと、歴史「を」語ることと、歴史「で」語ることを客観的に判別する方法はないと思います。

元を撃退できた理由として朝鮮や南宋の人が頑張ったからだ、というのは、人によっては歴史『で』語っている、とみなすでしょう。

あと、ベトナムの反乱鎮圧のために3回目の元寇がなかったのだとしても、今議論になっているのは1回目と2回目をなぜ撃退できたかです。3回目がなかった理由を議論しているのではありません。

ここから、日本が頑張ったというストーリーでなく、アジアの民衆がみんなで頑張ったというストーリーを欲しているように見えます。

悪口を書いちゃったようですが、世の中に出ている言説に対して、ここがおかしいあそこが変だ、と批判する浮世氏の姿勢は正しいと考えています。それぞれの立場から色々な意見を出していくことが大事なのは言うまでもありません。
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No title

二十才の頃、日本共産党系の新日本出版社「日本の歴史」を読み、学校で習った歴史と違うのでびっくりしたことを思い出しました。

Re: No title

共産党系の教科書というのもすごいものですね。
読みたいような読みたくないような(笑)
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えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

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