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【テレビ】フランケンシュタインの誘惑  「ナチスとアスペルガーの子どもたち」

NHK-BSにて放送

主人公はオーストリアの医師ハンス・アスペルガー(1906~1980)。

従来、自閉症には(A)対人関係の障害(B)パターン化した興味(C)言語・知能の発達の遅れがあるとされてきた。しかしアスペルガーは(A)と(B)は持つが(C)はない種類の症状を発見した。自閉症研究のパイオニアである。

アスペルガーは「医師は全身全霊をかけて、これらの子供に代わって声をあげる権利と義務がある。ひたむきに愛情を捧げる教育者だけが困難を抱える人間に成功をもたらすことができる」と発言したように、それまで社会から顧みられなかったこの症例の子供を擁護した。

しかし、近年発見された資料で、アスペルガーがナチスの安楽死作戦に協力したことがあきらかになる。教育不可能とされた子供を、分かっているだけでも44人を施設送りにし、そのうち37人が安楽死させられている。

1906年:ウィーンで生まれる。父親は中卒だったが教育熱心でしつけに厳しかった。
1925年:ウィーン大学医学部に入学
1929年:ウィーン大学の小児科医になる
1932年:治療教育診療所に配属される。そこは発達障害の子供が送られるところで、子供に自由に遊ばせるという独自の方針だった。そこで興味を持ったことに非凡な才能を示す子供を多く目撃する。
1933年:ヒトラーが政権を掌握。恩師がナチスに入党した関係で、アスペルガーはドイツで研修を受けることになる。
1933年7月:障害者の断種法が制定される。
当時のアスペルガーの日記には「民族全体が熱狂的に一つの方向に向かう。確かに限定的なビジョンであるが献身的で熱意にあふれ厳しい鍛錬や規律を伴いものすごい力を秘めている」とある
1938年3月:ドイツ、オーストリアを併合
1938年10月:特別講演で、ナチスを礼賛し優生学を賞賛した。自閉症児を国家への奉仕に役立てるようにすべきとの考えを示した。これは、自閉症児を役に立つ立たないで分類したことでもある。
1939年9月:第二次世界大戦はじまる
安楽死作戦が始まる。ウィーンではシュピーゲルグルント児童養護施設がその舞台となった。教育不可と診断された子供が送られ安楽死が実行された。死因は「肺炎」と記録されている。
1940年11月1日:ナチス親衛隊員による報告書「アスペルガーは積極的にナチスに逆らうような行動をしたことがない。彼は優生保護法の案件についてナチスの理念に従って行動している」
1945年5月:ドイツ降伏
1946年:ウィーン大学小児科医の院長に。のちに終身院長になる。
1974年:ラジオのインタビュー。ナチス時代の自分を振り返って「私は多くの国家(ナチズム)的なことは受け入れましたが非人道的なことは受け入れることができませんでした。診療所では異常や障害のある子供たちと数多く関わりました。私にできるのはそのような子供たちを彼らの価値において認め愛することにほかなりません。私は子供たちを引き渡すことを拒みました」と述べている。
この発言は、後に発見される資料で虚偽であることが明らかになる。
1980年:没(74歳)
1981年:ロンドンの精神科医ローナ・ウイングが特殊な才能をもつ自閉症の子供に注目。発見者に敬意を示して「アスペルガー症候群」となづけ英語圏に紹介
2002年:ウィーンでシュピーゲルグントの追悼式。ここで最低でも789人が殺されたことが判明している。
2010年:アスペルガーが教育不可とされた子供をシュピーゲルグントに送ったことを証明する資料が発見される。

なお、戦後アスペルガーは自閉症の研究から手をひき、自分の発見を声高に主張することがなかった。ローナ・ウイングがアスペルガーの研究を発掘しなければ埋もれたままだったと思われる。

■感想
この人物のことは知りませんでした。アスペルガーという名前は知っていましたが、発見者の名前からつけられたとは思っていませんでした。

番組でも触れていましたが、アスペルガーがシュピーゲルグントで行われていたことを知らなかったという可能性はなくもありません。子供を役に立つ立たないで分類したのは、現代人の感覚では受け入れにくいですが、当時としては普通だったのかもしれません。優生学はナチスの専売特許というわけではなく程度の差はあれ他の国でもやっていたことですから。

発見された資料について本人の反証がなされないのですから、悪人呼ばわりは酷なのかもしれません。

また、ユダヤ人を絶滅収容所に送ったのは当事者の同意なしに行ったことですが、教育不可とされた自閉症児を施設送りにしたのは保護者の同意があったはずです。施設当事者のみを責めるのもどうかと思います。
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