【時事問題】SNSのトランプ氏排除
インターネット交流サイト(SNS)大手のツイッターやフェイスブックが、暴力を扇動しているとしてトランプ米大統領のアカウントを停止したことに懸念の声が上がっている。IT企業がネット上で行使できる力の大きさを如実に示した形で、規制強化議論にも影を落としている。
「われわれを黙らせることはできない!」。8日にツイッターから永久追放されたことを受けて、トランプ氏は強く反発する声明を出した。トランプ氏は主要SNSから締め出され、これまでのように奔放な言動で人々の注目を集める術を事実上失った。
排除されたのはトランプ氏にとどまらない。グーグルとアップルは、トランプ氏の支持者が集う右派SNS「パーラー」について、暴力的な投稿の放置を理由にそれぞれのアプリストアで配信停止した。アマゾン・ドット・コムもサービス提供を打ち切り、パーラーは11日以降、接続不能に陥っている。
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ドイツのメルケル首相やメキシコのロペスオブラドール大統領ら他国の指導者も民間企業による公人の締め出しに苦言を呈した。
ツイッターのドーシー最高経営責任者(CEO)は13日、ツイッターへの投稿で、トランプ氏のアカウント停止は「正しい決定だった」と訴える一方、「われわれは健全な議論を促せなかったと感じる」とも指摘。「一個人または一企業が世界の公共の議論を上回る力を持つという危険な前例をつくったと感じる」と複雑な胸の内を明かした。
一般論として言うと、暴力を扇動する投稿を繰り返していたらアカウント停止措置を受けるのはしかたありません。政治家だから、大統領だからとまぬかれることはありません。
しかしこの件、問題がないわけではありません。
まず、直接アカウント停止の原因となった投稿は以下の二つだそうです。
・「私とAMERICA FIRST、MAKE AMERICA GREAT AGAINに投票してくれた7500万人の偉大な愛国者は今後も長く巨大な声を持つだろう。彼らの声は、いかなる方法、形態でも軽視されたり、不当に扱われることはない!!!」
・「質問したすべての人に答えよう。私は1月20日の新大統領就任式には出席しない」
率直に言ってこれを暴力の扇動とみなすのは無理があります。暴力行為を誘発するかもしれませんが”有罪”とまでは言えないような気がします。
また、ツイッター社が自分の製品からトランプ氏のアカウントを停止したところまではギリギリセーフだとしても、グーグルやアップルが「パーラー」というアプリを排除したのは問題が大きいように思います。パーラーに暴力的な投稿があったら対応するのはパーラーの責任・権利であるべきです。グーグルやアップルがパーラー全部を排除するのは独占企業の横暴だと思います。