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【朝日新聞】記者有論:国交正常化40年 等身大の中国人を知ろう

1月7日朝日新聞朝刊のオピニオン欄の記者有論のコーナーに、編集委員五十川倫義氏による「等身大の中国人を知ろう」とい一文が載りました。

(前略)
両国民(引用者注:日本と中国のこと)とも相手が好きでない。言論NPOと中国紙チャイナー・デーリーの昨年の調査では、中国人の約66%、日本人の約78%が相手国に良くない印象をもつ。歴史認識、台湾、領土、政治体制の違いに加え、海の軍拡や資源争いなど新たな問題まで抱えたのだから、無理もないのかもしれない。
両国は経済の協力ができても、政治の対立や心の壁を乗り越えるのは苦手だ。それが日中間の本質にあり、摩擦を増やし続けている。
だが変化の芽もある。
昨夏、浙江省で高速鉄道事故が起きた際、中国紙、経済観察報は日本の新幹線の高い安全性の理由として科学技術力、仕事への態度に加え、透明な社会で世論が監督していることを指摘した。中国版ツイッターのウエイボーでは、市民の政治参加と司法モデルについて問われた法律学者が「日本から学ぶことができればすばらしい」と答えていた。
グローバル化で人の往来や情報量が増えたことや、様々な分野の交流などで、等身大の日本が伝わり始めたように見える。
国交正常化から40年で、ようやく顔を出したこの芽を大切に育てたい。
理解が深まれば、冷静な対話を期待できる。そんな国民の層が厚くなれば、様々な摩擦の中で、適切な対応を求める世論になる。日中の行方に不透明な要素が多いなか、重要な存在になるはずだ。もちろん、等身大の中国人を知ることも必要だ。そうでなければ、対話をできる層は広がらない。
日本のロックバンド、ジプシークイーンが昨年、中国で演奏した時のこと。大学生たちからこう言われたという。「日本を目標に、もっと中国を良くしていきたい」。日中が苦手にしてきた心の壁を、いつか乗り越えられるかも知れない。


三点、指摘します。

第一に、相手国民の「等身大」を知ると友好が深まる、というのは根拠がありません。よく知ったらさらに嫌いになるという事態は十分に考えられます。確かに日中のもめごとは、領土問題、歴史問題、人権問題、資源問題など両国政府の方針によって衝突しているものが多くあります。しかし、毒ギョーザ事件など、市井の中国人が起こした問題で嫌悪感が深まったこともあります。市民どうしが知り合えれば仲良くなれる、というのは幻想です。

第二に、中国以外の例が示されていないのは感心しません。「等身大」を知ると友好が深まる、という五十川氏の主張が正しいというのであれば、等身大に知り合っている友好国の例を挙げるべきです。日米は同盟国ですが、大部分の米国人は等身大の日本人を知らないでしょうし、逆もしかりです。昨年のブータン国王の日本訪問でブータンへの好感度が上がりましたが、日本人がブータンの人びとを「等身大」に知っているわけではありません。中国以外の国との例を考えれば、「等身大」を知ること友好には、さほどの関連がないことが分かります。

第三に、包括的な世論調査の結果を瑣末な例でくつがえそうとしている誤りがあります。世の中にはいろんな人がいますので、大多数とは違うことを言う人は常にいます。そうした少数意見だけを取り上げていてはゆがんだ像しか見えてきません。少数意見を無視しろ、ということではありません。しかし世論調査の数字を棚上げして、ネットでのある法律家の発言や、日本のロックバンドの演奏に来た数人の大学生の意見を重要視するのは間違っています。
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