FC2ブログ

【本】経営の流儀 次世代リーダー育成塾

「経営の流儀」 次世代リーダー育成塾 
価値創造フォーラム21 編
日本経済新聞社

「価値創造フォーラム21」という経営者・学者のグループが、対談・講演などで自らの経営観を示したものをまとめた本です。一人の著者の本ではないので、全体的なまとまりはありません。

この手の本に興味があるわけでもありませんが、読まねばならない事情がありました。せっかく読んだのですからBlogで紹介します。

いろいろな主張がされていますので、賛成できる部分もありますし、納得いかない部分もあります。経営やリーダーシップといったことに知識の薄い私が、賛同する部分をBlogに載せても面白くありませんので、むしろ、変だと思った部分を取り上げます。


■序章 次世代リーダーへの期待 (福原義春:資生堂名誉会長)

もっとも大事なところは決して数値化できないのです。
二〇世紀までは、数値化することに意味がありました。だから100メートル競争で10秒を切ることはすばらしいことでした。しかし、二一世紀になると荒川静香のイナバウアーが注目されるのです。このイナバウアーの美は、じつは数値化できません。そもそも評価される項目ですらない、数値には表せないのです。でも全体としての美しさで金メダルを獲得する。
そういう新しい価値観の時代がいま来ていて、100メートルを九秒台で走れば一国の英雄にはなるでしょうが、世界的な英雄になるにはさらにそれを超えたものが必要なようです。



数値化できない大事なことがある、というのは同意できますが、福原氏はそこにとどまらず、二〇世紀がどうの、イナバウアーがこうのと暴走をはじめます。

フィギアスケートの荒川静香選手のイナバウアーが評価項目でなかったというのは聞いた事がありますが、「全体としての美しさで金メダルを獲得」した、というのは事実に反します。イナバウアー以外の数値化される項目でトップに立ったから金メダルをとったのです。数値化されないイナバウアーで人気を博したというのは事実でしょうが、金メダルを取らなければそれほど注目を集めなかったのは明白です。また100メートルを九秒台で走っても世界的な英雄にならない、といっていますが、八秒台で走れば世界的に賞賛されるでしょう。オリンピック競技をひきあいにして、数値化できない大事なものを論ずるのは間違いだと思います。

別の側面から言えば、優れた芸術作品は、その価値は数値化されていません。昨今の経営者が数値化だけにこだわっているだけではないでしょうか。数値化できない大事なことがある、というのはパラダイムシフトでもなんでもなく、世間一般の常識といえます。

問題にすべきなのは、ビジネス界で重要なことがすべて数値化できるのか、できないのか、という議論のはずです。


■グローバル経済下の日本企業経営
JFEホールディング株式会社社長:數土文夫
ハーバード大学経営大学院教授:竹内弘高
の対談

さらにもう少し詳しいデータを見ると、「管理職になりたがらないミドル層が増えていると思うか」との質問に対して、経営トップの回答は「そう思う」と「ややそう思う」を合わせて四〇%でした。また、教育研修担当者によると、「経営者やリーダーになりたくない」というミドル層が、すでに五〇%もいるそうです。
人事が「わが社の将来を背負う人材だ」と思って入社させた人たちが、一〇年、二〇年経つと、リーダーになりたくないと考えるようになってしまう。これは、日本全体がそうなってきているからだと思います。大変なことです。


引用部分の発言は、數土文夫氏のものです。

データの読み方がおかしいです。
  
いつと比べて、「管理職になりたがらないミドル層が増えていると思うか」がアンケートでは明確でありません。アンケートの受け手(経営トップ)に任せて、増えたの、減ったのと意見を集めても無意味です。

『教育研修担当者によると、「経営者やリーダーになりたくない」というミドル層が、すでに五〇%もいるそうです。』というのは、まだ客観性があります。しかし、過去のデータとの比較がありません。外国との比較もありません。これでは、増えているのか・減っているのか、外国と比べて多いのか・少ないのか、なにも分かりません。

本来は、過去や外国と比べて経営者やリーダーになりたくないミドル層が増えているのは、問題がある、と提議しなければなりません。これでは、「最近の若い者は」と嘆いているのと同じレベルです。

こんなデータ分析で、日本を憂いてもらっては困ります。


■グローバル新時代の価値創造 竹内弘高 ハーバード大学経営大学院教授

ビジネスの世界のたとえで、「ゆでガエル現象」(二匹の生きたカエルを捕まえて、一匹は熱湯へ、一匹は水に入れて徐々に温めていく。すると、熱湯へ入れたカエルはすぐに飛び出すが、徐々に温められたカエルはそれに気づかずそのまま死んでしまうという現象)といわれるものがあります。
ご存知の方も多いと思いますが、実際に実験した人はなかなかいないと思います。私は二回カエルを捕まえて実験したことがあります。すると、たしかに熱湯へ入れたカエルは飛び出し、もう一方はゆでガエルとなって死んでしまいました。


現実には、生きているカエルをゆでるのは無理なようです。竹内氏は実際に実験した、と言っていますが、信じられません。ありていに言えば、竹内氏は嘘をついているのではないでしょうか。Wikipediaの「茹でガエル」を参考にしました。

あくまで寓話ですので、実際にカエルがゆでられなくても、主張の価値を損ねることはありません。しかし、実験した、と怪しげなことを言い出すと、本筋の主張自体が信用できなくなります。


■全体の感想

まじめに企業経営を考えている人には参考になるのかもしれませんが、私のような人間には、この本の価値は読み取れませんでした。「猫に小判」といったところでしょうか。

スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

sidetitleプロフィールsidetitle

えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle最新トラックバックsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitleFC2カウンターsidetitle
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleリンクsidetitle