FC2ブログ

【朝日新聞】記者有論:歴史教育 加害を語らないのが中立か

6月5日 朝日新聞朝刊 オピニオン欄の「記者有論」のコーナーで、大阪社会部の高木智子氏が「歴史教育 加害を語らないのが中立か」という文が載りました。引用します。

戦争による負の遺産、特に「加害」を語る場がつぶされようとしてはいないか。
朝日新聞阪神支局が襲撃されたことを機に始まった連載企画「『みる・きく・はなす』はいま」の取材を担って、そんな思いを強くした。
大阪府の中学校で校長と向き合った。日本が朝鮮半島を植民地支配していた過去を伝えるプリントを授業で配ったが、回収したというので、その理由を聞いていたときだ。
「奪うという表現が、短絡的でした」かつての日本が朝鮮の人たちから言葉や土地、名前を「奪う」とした表現や強制連行の人数が「一方的な見方だ」と抗議をされたという。
いろんな意見はあっていいが、プリントに違和感はなかった。けれど学校は「奪う」は感情的で発達段階の生徒にはいかがなものかと回収。教科書のコピーに差し替えた。
長崎県の離島の中学校では、南京攻略戦の頃に「百人斬り 超記録」と報じた新聞記事の見出しを紹介。教師は平和な時代と比べ、戦争になると人を殺すことが英雄視される世相を伝えようとした。
「百人斬り競争」は「あった」から「なかった」まで見解か分かれている。「はっきりしないことは教えるな」 「自虐教育は反日だ」との匿名の抗議が押し寄せ、ネットは「炎上」。右翼団体も来島する騒ぎになった。収束を急ぐあまり、教師も学校も即座に不適切だったと謝罪し、授業を訂正した。   
時代をさかのぼって検証できない部分はある。けれど、国民を戦争へとあおった記事が掲載されたのは事実だ。 
近現代史に詳しい学者は「加害を教えさせたくない人たちが公平でないと騒ぎたて、授業をさせない。抗議にどう対処するかが大事だが、事なかれ主義では自主規制に走ってしまう」と指摘する。
学校は「外」からの批判に免疫がないのだろう。思考停止しているように映った。
どんなときも被害者と加害者の言い分は食い違う。「中立」を目指すからといって、意見が対立する話題から目を背け、□を閉ざして、未来を担う子たちに戦争の痛ましい出来事を伝えていくことができるのか。日本によって痛みを受けた人たちへの想像力を失いはしないだろうか。
加害と被害は表裏一体。双方を知ることが、平和の実現につながるはずだ。戦後67年。負の遺産を知らされない子が育ってしまう。その風潮がこわくてならない。


一学校だと、外部の抗議には弱いだろうな、というのは容易に想像できます。離島に右翼団体が押し寄せてこられたら、困ってしまうと思います。「加害を教えさせたくない人たちが公平でないと騒ぎたて、授業をさせない。抗議にどう対処するかが大事だが、事なかれ主義では自主規制に走ってしまう」という指摘もまんざら間違っていないように思います。

しかし、もう少し深く考えてみる必要があるように思います。

学校に抗議をすることは、節度と常識を守っている限り悪いとは言えません。授業内容に問題があったら保護者として主権者として抗議の声を上げるのは当然です。その結果、学校がそれを受け入れたとしても、必ずしも「思考停止」とは呼べません。学校も社会の中の存在ですから、市民の抗議から不可侵ではありえません。抗議の方法によって非難されることがあっても抗議内容そのものを非難するのは、思想信条の自由という原則からいって間違っています。

高木氏の着眼はよいものがあると思います。それを平和勢力対反動右翼、といったありきたりの対立図式で論じるのではなく、学校は外部(デモやネット)の抗議にどう対応すべきか、といった観点で考えてほしかったと思います。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

sidetitleプロフィールsidetitle

えいび

Author:えいび
日々の出来事、映画やアニメの感想です。

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle最新トラックバックsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitleFC2カウンターsidetitle
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleリンクsidetitle