【本】天涯の武士
![]() | 天涯の武士―幕臣小栗上野介 (1之巻) (SPコミックス―時代劇画) (2006/01/27) 木村 直巳 商品詳細を見る |
幕末に活躍した幕臣小栗上野介の半生を描いた漫画です。
幕末期に活躍した人物の中ではさほど有名ではありませんが、私は高木彬光の「黄金の鍵」を読んでいたので、なじみがありました。
物語はアメリカ訪問からはじまり、悲劇的な死までです。ライバルとして位置づけられる勝海舟や、小栗に徹底的に対立する西郷隆盛などの有名人も登場しますが、偉人たちの群像劇とはなっていません。勝海舟は小栗に対して嫉妬心をあらわにしますし、西郷隆盛は狂的な面が描かれます。とはいっても単純な悪者としているのではなく、人間くさいところもとらえています。
反面、肝心の小栗上野介の人物像が聖人君子の悲劇の偉人というとらえかたに終わっているところです。悪くいえば、子供向けの伝記を読んでいるような気さえしました。
ただ、派手な見せ場の少なかった小栗上野介という人物を、商業的な競争の激しいであろう漫画で描いたことには敬意をはらいたいと思います。
歴史漫画の良作です。
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