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【朝日新聞】天声人語

8月18日朝日新聞の天声人語は、松江市の私立小中学校で「はだしのゲン」が開架から閉架になった件です。

昨年12月に亡くなった漫画家の中沢啓治さんに、あるとき手紙が届いた。『はだしのゲン』を読んだ小学生の母親からだった。息子がトイレに一人で行けなくなった、と。中沢さんの書いた返事がいい
「息子さんは、すばらしい感受性の持ち主です。ほめてやってください」。昨夏、本紙のインタビューで語った話だ。代表作で描いた原爆の悲惨さが児童に伝わったと知って、うれしくなったのだろう
ゲンは中沢さん自身の被爆体験をもとにしているが、広島で当時、実際に目の当たりにした光景は、作品での表現よりはるかに酷いものだった。絵は子ども向けに抑えて描いたという。それでも時に「残酷すぎる」と言われたと述懐している
この海外にも知られた名作を、子どもたちが自由に読むことができなくなった。松江市内の市立小中学校の図書館でのことである。旧日本軍がアジアの人々の首を切り落としたりする場面があり、暴力描写が過激だと市教委が判断したという
市議会への陳情が発端らしい。ゲンが「間違った歴史認識」を子どもに植え付けるから、撤去すべしという内容だった。さすがにそこまではしなかったが、最近まで好きに触れることのできたものがなぜ突如、駄目となるのか。解せない話だ
地獄図のような場面を見れば、だれしも恐怖を感じ、戦慄を覚える。しかし、そんな経験から戦争の恐ろしさ、罪深さを思い知る。子どもの感じる力や考える力を、中沢さんのようにもっと信じてはどうか。


そもそも、歴史認識が気に食わないから図書館から排除しろ、というのは乱暴きわまりない意見です。そんなことをすれば、図書館には無味乾燥な本しか残らなくなります。市教委がこれを認めなかったことだけは評価します。

しかし、「はだしのゲン」の暴力描写が過激だから閉架にしたという市教委理由は信用できかねます。陳情団の圧力に抗しきれなかったので、言い訳で暴力描写を持ち出したのが真相だと思います。報道によれば、もともとは「間違った歴史認識」だから撤去せよという陳情が発端だからです。

これは太平洋戦争の歴史的評価といったこととは無関係です。思想がどうであれ表現の自由は保障されるべきであり、図書館はその砦であるべきです。

それはさておき、一般論として過激な暴力描写を子供に触れさせるな、という意見は無視しきれないものがあります。

私としては、子供が自発的にそうした表現に触れようとするのを無理に妨げる必要はないと思っています。怖い表現に触れて、一人でトイレに行けなくなるのも成長の糧となる経験です。この数十年間日本には過激な漫画・映像・書籍が氾濫していましたが、社会は安定しています。過激な表現が青少年に特に悪影響を与えるとは考えられません。

気になったのは、天声人語の作者が一般論として過激な暴力描写を容認しているのか、それとも「はだしのゲン」だから容認しているのか、です。背景の思想に賛成だから暴力描写容認、気に入らない思想だから暴力描写反対ということだとすれば、ご都合主義の極みだと思います。
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