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【本】北京烈日

著:丹羽宇一郎

伊藤忠の社長と中国大使をつとめた丹羽宇一郎氏の「北京列日」です。

丹羽氏は民主党政権で中国大使になったこともあり、中国寄りと見られていました。また丹羽氏の発言も中国べったりと見られかねない部分があり、そうした見方を助長してきたように思います。本書は、そうした見解に対抗して書かれたのでは、と推察します。

通読して、丹羽氏がそれなりに日本の国益を尊重していることは理解できました。随所に示される見識も、だてに大会社の社長ではないことを示しています。しかしながら、中国関係ではバランスを失っているように読めました。

P22からの引用です。

私がもう一つ批判を受けたのは、「胡錦濤=天皇」発言でした。
胡錦濤という政治家は、過去一度も間違ったことがなく、「共産党=無謬党」の姿を国民に見せてきました。ところが、あの「立ち話」は中国の国民に対し、「われわれの『天皇』の言うことを無視した日本」という印象を与えてしまったのです。早い話、俺たちの頭が侮辱を受けてしまったぞ、あいつら、中国人を虫けらのごとく扱った昔の日本軍と同じじゃないか、と。
外交とは言うまでもなく相手の立場を考え、どう反応するかも推測しながら行うものです。日本の最高主脳が中国に要求して、それを断るどころか、要求とは正反対の行動に出られたとしたら、きっと、顔に泥を塗られたと憤るでしょう。侮辱されたと騒ぐでしょう。つまり、日本は、国交断絶があってもおかしくないぐらいに、相手のこころを踏みにじったのです。いや、胡錦濤のこころを踏みにじっただけならまだしも、中国人のこころを踏みにじったわけです。


中国人が胡錦濤をオールマイティだと考えたのは勝手ですが、日本を含む外国がそれを尊重するいわれはありません。外国政府が必ず従わなければならない人間など、認めるわけにはいきません。中国人の感情は措くとしても、日本の大使である丹羽氏が胡錦濤の無謬性を守ろうとするのは訝しいかぎりです。

国民に敬愛されているという意味合いで「胡錦濤=天皇」と言ったのはわかります。しかし、天皇は政治に関与できないということを丹羽氏が知らないはずがありません。したがって、「日本の最高主脳が中国に要求して」云々のくだりで、日本と中国の立場を入れ替える思考実験はそもそも成り立ちません。

通読して、中国以外の論考は、賛否はともかく冷静で客観的なだけに、中国への傾斜が際立って不自然に感じました。
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