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【朝日新聞】命のエゴが生んだ無人兵器

1月7日朝日新聞朝刊オピニオン欄。「過去2014未来 争いだらけの地球」という特集に、漫画家の鬼頭莫宏氏の「命のエゴが生んだ無人兵器」より。なお、鬼頭莫宏氏は漫画「ぼくらの」の作者です。

 現在、戦争の最大の抑止力は「敵味方を問わず人命は尊い」という人道主義ではなく、「他国民の命に関心はないが、自国民の命を失うのは耐え難い」というエゴイズムです。ベトナム戦争以降の米国は、特にその傾向が強い。戦争反対の世論が盛り上がるのは多くの場合、自国の兵士の犠牲者が増えてからです。
 ならば、無人兵器やロボット兵器が発達し、自国民の犠牲なしに機械を使って戦争ができるようになったらどうなるのか。近未来を舞台にした「ぼくらの」という作品では、無人兵器による戦闘を禁じる「天津条約」という国際協定を描きました。「戦争を起こすには、自国民を死の危険にさらす必要がある」という制約を設けないと、戦争のハードルが下がり過ぎると考えたからです。
 「ぼくらの」の連載を始めたのは10年前ですがその後、現実世界では予想を超える早さで無人兵器が発達しました。米国から無線誘導された軍用機が、中東で「テロリスト」とされる人々を攻撃し、誤爆で多くの民間人が殺されている。米国防総省の出資で開発された4足ロボットの動画を見ると、すぐに実戦で使えそうです。「ロボットが人間を襲う」という恐怖が、現実化しつつある。国際条約で無人兵器を実際に制限できるのか、疑問です。戦争とさえ呼べない、いびつな形での殺戮が広がるのではないか。


これには異論があります。

私の知る限り、現在の米国は敵国人でも民間人の人命を無視はしていません。第2次世界大戦中は原爆に代表される無差別攻撃がまかり通っていました。ベトナム戦争の段階では、国内外からの批判を浴びました。その後になると、もはや無差別爆撃ができる雰囲気はなくなっています。

無論、現在の米軍が民間人の殺傷を一切していない、と言っているわけではありません。批判されるべき点は多々あります。しかし、傾向としては、ベトナム戦争以降の米国は、人命にある程度配慮しているように思えます。

また、戦争では自軍の損害をできるかぎり小さくしようというのは、当然のことです。鉄砲、大砲、ミサイルなど飛び道具の発達をみればあきらに、安全な地点から敵を殺傷しようとしています。無人兵器を、味方の損害を小さくするためという目的でとらえるなら、これまでの兵器と質的に異なるものではありません。

無人兵器が戦争のハードルを下げるなら、これまでの兵器の発達も同じようにハードルを下げています。ことさら無人兵器を恐れるのは的外れの感があります。

そうではなく、無人兵器は制御不能に陥る可能性があることが大きな問題なのだと思います。

 問題の根にあるのは、自国民と他国民の生命を完全に分け隔てる思考法です。そもそも、集団を一体的に捉え「この会社は」「この国は」とレッテル貼りするのは、便利だが限界もある。会社も国も個人の集合だし、その意思決定も個人の意思の積み重ねの結果だからです。他国との関係を考える際も集団同士でなく、まずは自分自身と他国の一人ひとりとの関係として捉えるべきです。
 自分が自らの人生の主役であるように、見知らぬ他人もその人の人生の主役。ならば「自分の幸せのために他人の人権を侵さない」というのが最低限のルールです。それぞれがそれを守れば、個人間の争いも戦争もなかなか起きないはずです。
 古今東西の戦争は「人の幸せを踏みにじっても、今以上に自分たちが幸せになりたい」という動機で始まる。先の戦争も、植民地支配で欧米列強に出遅れた日本が「自分たちもおいしい思いをしたい」と始めた。自分たちが主役と思い込み、ハッピーエンドを追求するが、その過程で多くの他人が巻き込まれ不幸になっても「しょせんは脇役」と無関心になる。多くのハリウッド映画や日本の漫画にも共通する感覚です。
 「日本人の自分が家族に注ぐのと同じぐらいの愛情を、他の国の人々も自分の家族に注いでいる」「戦争で土地や財産を奪われたら、その人や家族はどうなるのか」というほんの少しの想像力が欠けていた。そういう人々は「戦争で自分の息子も死ぬかも」という想像力も働かないのでしょう。旧日本軍は多くの人々の人権を侵したと他国から思われている。そんな状況下で安倍晋三首相が靖国神社に参拝すれば、首相自身が人権を侵すことを間接的に肯定したと見られても仕方がない。理性的に考えれば分かるはずなのに、なぜ思考を閉ざしてしまうのか。
(略)
 (聞き手・太田啓之)



こうした平和思想に関しては、言っていることはわからなくも無いですが、現実感を失った考えにしかみえません。人類がみなそうした考えを持っているならば成立するのですが、残念ながら現実は違います。

『古今東西の戦争は「人の幸せを踏みにじっても、今以上に自分たちが幸せになりたい」という動機で始まる』というのも単純化しすぎています。このままでは自分達が不幸せになる、と考えて戦争が起きたこともあります。それも含めてエゴイズムというなら、あまりにも第三者的な立場の傲慢な意見でしかありません。

靖国神社参拝批判は、唐突であり論理が飛躍しすぎて、理解できません。インタビュアーの誘導があったのかもしれません。

※「ぼくらの」はアニメ版は観ています。小説化されたものも読みました。機会がなく原作漫画は読んでいません。

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